関西電力は、2023年10月10日、福島県知事に提示した「原発使用済み核燃料の搬出計画」のなかで、「フランスへの搬出量の積み増しも検討する」としているが、これまで関電は原子燃料工業(株)とMOX燃料製造契約を結び、フランスのオラノ社のメロックス工場でもMOX燃料(使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜて作ったもの)を製造し、高浜原発で使用(プルサーマル)するため、2013年以来日本へ返送(直近では2021年)してきていた。このMOX燃料の特性について、原子力資料情報室が1998年に『MOX総合評価』として公表している内容を以下に紹介しよう。
「➀融点が数10度下がる、熱伝導度が下がる、希ガス放出率が高くなり、ヨウ素、トリチウムの生成量が増える、局所的な出力上昇が起きやすくなる。
➁中性子への反応性が高まる事で制御棒やホウ素による炉心の制御効果が減り、原子炉の停止余裕が減少する。
③中性子線が増える事により、原子炉容器の脆化を早める。
こうした変化により、重大事故時の状況を早めたり、悪化させたりする。にもかかわらず、2013年に発足した原子力規制委員会は、プルサーマル実施炉に関して、特有の変化を考慮した審査を行っていないのは問題である。」
(2023年10月14日投稿)