OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

だからスレイドが好き

2014-11-16 14:54:47 | Rock

だから君が好き / Slade (Polydor / ポリドール)

イギリスの芸能界において、クイーンの対極にあったのが、1971年に本日掲載のシングル盤A面曲「Coz I Luv You / だから君が好き」を最初の大ヒットにしたスレイドと名乗る4人組のバンドでしょう。

もちろん「対極」と書いたのは、クイーンと同等の国民的な人気があったからで、当然ながらクイーンが公式デビューした1973年頃は、彼等が足元にも及ばなかった人気者がスレイドだったわけです。

それはご存じのとおり、例のグラムロックの大ブームに便乗(?)したところもありますが、基本的にはバカノリのハードロックバンドだったのがスレイドの本質であり、加えて特にライブの現場では、観客が一緒に歌って騒げる演目を多数持っていたのが強みだったと思います。

また前述したグラムロック云々に関しても、スレイドはとにかくステージ衣装が奇抜というか、ギンギラギンのファッションには毒気よりもダサい感覚が強く、極言すればコミックバンドのようなメイクや着こなし、さらにはライブアクトそのものがミエミエのウケ狙いっぽい「芸当」だった事が、今日でも残されている映像に一目瞭然!

観客席のバカ騒ぎは、まさにスレイドを「見に来た」という最高のドサ回りフィーリングに溢れているあたりが、クイーンの振り撒いていた過剰な「華やかさ」とは絶対に異なる、サイケおやじにとっては決して憎むことの出来ないスレイドの魅力です。

さて、そこで肝心の「Coz I Luv You / だから君が好き」は結論から言うと、これはハードロックでありますが、それよりもイギリス伝来の民謡系フォークロックという感じが強く、一概に比較は出来ませんが、ジェスロ・タルっぽい雰囲気もあって、特にサウンドの要になっているのが、うらぶれた(?)たバイオリンの音色でしょう。

タテノリ型のロックビートは同時期のキンクスのようでもあり、ダミ声のボーカルにはジャストミートのサウンド作りは、なかなか侮れません♪♪~♪

ちなみに当時のメンバーはノディ・ホルダー(vo,g)、デイヴ・ヒル(g,b)、ジミー・リー(b,key,vln)、ドン・パウエル(ds) という下積み時代からの顔ぶれで、実は1960年代中頃からプロとして活動し、別なバンド名義でレコードも幾枚か出していたのですが、鳴かず飛ばず……。

しかし元アニマルズのベース奏者であり、ジミヘンを売り出した敏腕マネージャーのチャス・チャンドラーに認められたことから状況は一変!?

所謂パワーポップ系でありながら、イケていないルックスを逆手に活かしたしか思えないイメージ戦略と芸人系ロック魂を爆発させた音楽性をライブの場でも存分に発揮し、忽ち人気バンドに伸し上がったのというのが、スレイドの立志伝です。

そして既に述べたとおり、グラムロックの大ブームの中、本国イギリスではマーク・ボランのT.レックスデヴィッド・ボウイ等々と互角の人気があったところから、日本でも当時はそれなりにプロモーションが行われ、特にラジオからはスレイドの歌と演奏が様々に流れていたのですが……。

やっぱりやっている事がストレートに分かり易く、それゆえに女子供向の音楽性と見下され、しかも件のルックスでは、そういうファンもついていかないという厳しい現実がありました。

そのあたりは掲載のジャケ写にも、ハッキリクッキリでしょう。

これじゃ~、クイーンが登場した瞬間、我が国におけるスレイドは失礼ながら立つ瀬も無くなるのが当然で、しかもロック好きの野郎どもが当時必死で聴いていたブリティッシュ物はプログレが主流だったんですから、もはや言葉もありません。

そしてイギリスにおいてさえ、パンクが出てくるとスレイドは滑稽という判断が大っぴらになったらしく、メジャーなヒットが出せない状況が……。

しかし巡業での集客は良かったらしく、実はサイケおやじは1990年末、イギリスでスレイドのライブに接したんですが、ステージアクトのアホタレっぽさはロケンロールの本質が最高度に達していましたし、メンバー各々が年齢的な体力の衰えから、演奏がヨレたり、声が苦しくなったりする場面でさえ、ひとつの芸風にしてしまっていたのは流石と思いましたですねぇ~~♪

中でも、この「Coz I Luv You / だから君が好き」ではノディ・ホルダーがヘタってまともに歌えず、ジミー・リーのバイオリンに合わせてヨタヨタと踊ってしまうと観客は大喜び!

サイケおやじも、思わず拍手喝采、大歓声の中のひとりに同化してしまったです♪♪~♪

ということで、ガチンコを好む日本人には受けなかったスレイドも、実は国内にだって相当熱心なファンが多いようですし、殊更1970年代前半に洋楽の洗礼を受けた者にとっては、案外と忘れられていないでしょう。

というか、それは決してブラスのベクトルばかりではなく、むしろスレイドは超一流のB級バンド!

そういうグループが活躍していたからこそ、1970年代はロックの黄金期であり、面白さが廃れないと思っています。

コメント (4)
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