■望郷子守唄 / 高倉健 (テイチク)
今日は、とても悲しいです。
健さんの訃報に接した瞬間、昼飯の食欲も無くなりました。
言うまでもなく、健さん=高倉健は大スタアであり、殊更任侠作品やアクション物で演じた姿は、まさに男の憧れの生き様でしたから、分かってはいても実社会では不可能な義理と人情を大切する心意気だけは何とか自分のものにしたいと思い続けてきたサイケおやじです。
そしてそれは大方の日本人にとっても同じでありましょう。
だからこそ、我々は親しみと尊敬から、故人を「健さん」と呼ぶのです。
健さんの魅力は、また決してそれだけではなく、演技力としてのオトボケや人間臭さが、この世の中の機微に通じていましたから、作品によっては人情ドラマや恋愛物になっているものも少なくありません。
例えば本日掲載のシングル盤A面曲「望郷子守唄」が主題歌となった同名作品は、昭和47(1972)年の封切でしたから、既に往年の正統派任侠映画が勢いを失っていた頃の1本で、結果的にはクライマックスの殴り込みで悪いヤクザをやっつけるというカタルシスが用意されています。
しかし同時にあるのは、所謂「母物」であり、「軍隊喜劇」でもあり、笑いとペーソスに溢れた人情ドラマに仕上がっている各場面で、健さんは流石の芝居を堪能させてくれました。
さらに作詞:大二郎&作曲:深井大輔による主題歌「望郷子守唄」が、如何にも健さんらしい冒頓として、せつない心が伝わってくる名唱です。
あぁ、書いていて、本当に泣きそうになってきました。
憧れても、決して健さんにはなれないのが、サイケおやじの本性です。しかし銀幕やレコード等々を通して教えてくれた「男の生きる道」は、これからも大切していきたいと思っています。
健さん、ありがとうございます。
合掌。