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「2016年の転換」   文科系

2016年12月18日 12時09分57秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 2016年は、世界史の大きな転換点だと言う。そんな意味の言葉が、最近の論壇に多い。表題は、12月11日中日新聞「視座」の題名。今回の書き手は、東京大学政治学科で政治思想史、政治哲学などを教えている宇野重規教授である。その最も短い要約は、こんな言葉。
『「すべては1979年から始まり」、その帰結は2015年と16年に明らかになったといえる』
 この79年というのは、こういうことだ。『サッチャー政権の成立に加え、イランのホメイニ革命や、中国における鄧小平の改革政策など・・・社会主義の後退が明らかになるなか「市場」と「宗教」が世界を動かす時代がこの年に始まった』
 対するに、2015~6年とは、意外な結末、英国のブレグジット(英国離脱)とトランプ大統領当選を上げて、こう述べるのである。
『グローバル資本主義によって経済的・社会的に困難に陥った人々による異議申し立てが、思わぬ結末を招いたことは間違いない』
 英国のEU離脱問題を招いた要素に難民問題があるが、これもとてつもなく大きな、「困難に陥った人々による異議申し立て」の「意外な」形と言えよう。

 こうして、79年以降の経済グローバリゼーション隆盛が、それによって虐げられた人々の反乱によって終わりを迎えようとしていると、そんな現代世界史観なのである。「では、これからはどうなる?」に対しては、宇野教授はこんなことを語る。

『グローバル化の第一期の帰結が見えた今こそ、第二期を展望し、それを人類にとってより良いものとする英知を結集する時ではないか』
 そしてその方向は、こう語られてあった。
『グローバル経済をより公正に制御するための国際的な制度構想と、各国で痛んだ人々を救済し生活の必要を満たすための仕組みである』

 以上は、正しい見方だと思う。新自由主義経済学に基づく金融グローバリゼーションで世界に打って出ていた両巨頭国・米英が、それぞれ内向きに大転換を強いられたのであるから。それも米英がうち揃って、イラク戦争とリーマンショックで痛恨の歴史的敗北を喫してのことだった。今話題の経済学者・水野和夫氏(元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト)も、同じようにこう語っている。
『安全保障政策も、オバマ大統領が「世界の警察をやめる」と言った延長線上にあり・・・・グローバル化で世界中の富を呼び込む戦略を、自らひっくり返そうとしている』(11月24日中日新聞)

 宇野氏文中の、1979年世界情勢主要項目のその後に目をやれば、こんな巨大な変化もある。「宗教国家」イランは、これと敵対したフセイン・イラクの崩壊を尻目に、アメリカに潰されずしぶとく残っている。鄧小平改革を経た中国は、自らも日本の倍を越える経済力を持つに至るとともに、BRICSとしてまとまって、アメリカに対して国連中心主義を突きつけている。「宗教が世界を動かす」で言えば、専横・米英はイスラムの憎しみを買い、その結果でもあるテロと難民の問題は世界民主主義にとって待ったなしの課題になっている。


「2016年の転換」。この行方が世界の人々にとって吉と出るか凶と出るか、それは今後数年の人類実践に懸かっている。さしあたって来年は、この世界史の転換点に何が付け加わるのだろうか。こんな世界の急転換の時期には、従来の常識はどんどん役に立たなくなっていく。まして、「日本の、今」しか見えない目、ナショナリズム思考では、こんな歴史の後追いさえ容易ではないだろう。


祝、週間累計アクセス1,749! 昨17日までの1週間累計数であって、これは、15年8月9~15日の週の2,346アクセス以来の記録です。
コメント (2)
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