以下は、21日の拙稿『マドゥロ、フセイン、カダフィが踏んだ「米の虎の尾」』に付けたコメントである。フセイン、カダフィは既に殺され、今マドゥロの死か彼の政権転覆かが執拗に画策されているのを論じて、「3者が狙われて来たのは、同じ一つの理由による」と見抜いたアメリカの経済学者による文章の紹介だ。そこの中に、僕にとって非常に怖いある数字があった。そのことを論じた短いコメントである。
若干の手直しをさせていただいたが、お読み願えれば嬉しい。
【 最も怖かった部分 (文科系)2019-05-21 13:32:24
『現在、既に実際、全ての関連製造業とサービスを計算すればアメリカGDPの50%以上である戦争と武器産業に強く依存している破綻したアメリカ経済だ』
上記エントリー文中、僕はここが一番怖かった。古い経済学の大家、ケインズやマルクスが見抜いた資本主義の本質に最も根ざしている部分であって、20世紀の二つの大戦も、事後はこれで説明されていたはずだ。
①資本主義は、必ず供給過多になる。資本が大きくなる速度の方が、消費が大きくなるスピードより遙かに大きいからだ。必ず起こる供給過多、不況の長期化の行く末は、恐慌。これが周期的なように起こるのは必然である。
②供給過多への大きな対策が、経済の軍事化。ヒトラーも昭和日本も、これをやった。国家予算を軍事産業、軍隊に費やすことによってだぶついた供給力を買い取ってやるという方向である。命令系統がしっかりした固い組織である軍隊は、必ずひとり歩き、独自発展を遂げていくことになるその一貫した方向でもある。彼らが起こした世界大戦が、この結末であった。
③新しい国であるアメリカには、こういう世界史の痛苦の経験が少なすぎたようだ。敗戦という悲劇を伴ってここから学ばなかった唯一の大国ではなかったか。だからこそ、戦後すぐにアイゼンハウアー大統領が警告した「産軍複合体」の強大化が起こり、彼らの意向に抵触したからこそケネディ兄弟も殺されたのではなかったか。今のアメリカは、あの冷戦時代の2倍を優に超える軍事費を喰らうまでに育ち上がっている。
④こういう経済の軍事化、軍国主義化が、アメリカヘッジファンド金融経済とともに進んできたというのが、今の世界政治最大の焦点問題であるらしい。アメリカ・マスコミはさしづめ、これを隠し、美化する彼らの宣伝機関になっているということか。大本営発表の巧妙な現代版・・・。嘘の理由で始まったイラク戦争に国民を熱狂させたり、今はベネズエラのグアイドを持ち上げて「戦争だー!」と脅してみたり。さらに最近は、「アメリカの脅威になり始めたイランとも戦争だー!」と叫ぶ姿を大きく流したり・・・。】
イラクやリビア、さらにはベネズエラやイランに対するアメリカの有形無形の「独自制裁」は、国連という世界唯一の多国間主義外交世界機関を通さずに行う「私刑」そのものではないか。ということはつまり、日本の満州・中国侵略、ヒトラーのポーランド侵略とどこが変わるというのだろう。違っているのはここだけである。日独と違って、アメリカは国連を抜けない。国連の合意、規則をさんざん踏み外しながら、国連という大義名分だけは活用してきたのである。それも多分、世界諸国が一致してアメリカを非難する様な事態が起これば、満州事変で旧国連を抜けた日本のように「堂々と脱退」ということになるのだろうか。ヒトラーの世界蹂躙に対しては後手を踏んだ連合国だったが、アメリカの世界蹂躙を傍観するままで良いのか? 国連仲介の元に結んだイラン核合意から勝手に抜け出して、独自制裁と言う名称の「私刑」を始めたアメリカ。これには、西欧も日本でさえも、流石に批判が巻き起こっている今である。
若干の手直しをさせていただいたが、お読み願えれば嬉しい。
【 最も怖かった部分 (文科系)2019-05-21 13:32:24
『現在、既に実際、全ての関連製造業とサービスを計算すればアメリカGDPの50%以上である戦争と武器産業に強く依存している破綻したアメリカ経済だ』
上記エントリー文中、僕はここが一番怖かった。古い経済学の大家、ケインズやマルクスが見抜いた資本主義の本質に最も根ざしている部分であって、20世紀の二つの大戦も、事後はこれで説明されていたはずだ。
①資本主義は、必ず供給過多になる。資本が大きくなる速度の方が、消費が大きくなるスピードより遙かに大きいからだ。必ず起こる供給過多、不況の長期化の行く末は、恐慌。これが周期的なように起こるのは必然である。
②供給過多への大きな対策が、経済の軍事化。ヒトラーも昭和日本も、これをやった。国家予算を軍事産業、軍隊に費やすことによってだぶついた供給力を買い取ってやるという方向である。命令系統がしっかりした固い組織である軍隊は、必ずひとり歩き、独自発展を遂げていくことになるその一貫した方向でもある。彼らが起こした世界大戦が、この結末であった。
③新しい国であるアメリカには、こういう世界史の痛苦の経験が少なすぎたようだ。敗戦という悲劇を伴ってここから学ばなかった唯一の大国ではなかったか。だからこそ、戦後すぐにアイゼンハウアー大統領が警告した「産軍複合体」の強大化が起こり、彼らの意向に抵触したからこそケネディ兄弟も殺されたのではなかったか。今のアメリカは、あの冷戦時代の2倍を優に超える軍事費を喰らうまでに育ち上がっている。
④こういう経済の軍事化、軍国主義化が、アメリカヘッジファンド金融経済とともに進んできたというのが、今の世界政治最大の焦点問題であるらしい。アメリカ・マスコミはさしづめ、これを隠し、美化する彼らの宣伝機関になっているということか。大本営発表の巧妙な現代版・・・。嘘の理由で始まったイラク戦争に国民を熱狂させたり、今はベネズエラのグアイドを持ち上げて「戦争だー!」と脅してみたり。さらに最近は、「アメリカの脅威になり始めたイランとも戦争だー!」と叫ぶ姿を大きく流したり・・・。】
イラクやリビア、さらにはベネズエラやイランに対するアメリカの有形無形の「独自制裁」は、国連という世界唯一の多国間主義外交世界機関を通さずに行う「私刑」そのものではないか。ということはつまり、日本の満州・中国侵略、ヒトラーのポーランド侵略とどこが変わるというのだろう。違っているのはここだけである。日独と違って、アメリカは国連を抜けない。国連の合意、規則をさんざん踏み外しながら、国連という大義名分だけは活用してきたのである。それも多分、世界諸国が一致してアメリカを非難する様な事態が起これば、満州事変で旧国連を抜けた日本のように「堂々と脱退」ということになるのだろうか。ヒトラーの世界蹂躙に対しては後手を踏んだ連合国だったが、アメリカの世界蹂躙を傍観するままで良いのか? 国連仲介の元に結んだイラン核合意から勝手に抜け出して、独自制裁と言う名称の「私刑」を始めたアメリカ。これには、西欧も日本でさえも、流石に批判が巻き起こっている今である。