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「分断米国で、バイデンは何もできない」と、クルーグマン  文科系

2020年12月26日 15時23分12秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 文春は嫌いだが、商売が上手いと言わざるを得ない。週刊文春最新号の「森友 赤木さん申立書は『すり替えられていた』」、「アメリカの前には茨の道しかない ポールクルーグマン」が目について、買ってきた。後者は言わずと知れたアベノミクスが常にご教示を仰いできたようなノーベル経済学賞受賞者。この記事を今日は紹介する。

 記事の副題は、こうだ。
「V字回復はない。問題は山積みだが、バイデンは何もできない可能性がある」
 初めに書いているのは、コロナ情勢。
「バイデンは新型コロナ対策を最優先させようとしているが、その方針が東京でのオリンピック開催にマイナスの影響を与えるかも知れない。アメリカがオリンピックに選手を送らないと言ったとき、それでもオリンピックを開催するのかどうか

 この後に来るのが、バイデン民主党政権の展望とあって、概略こんな風な。

「バイデンが大統領になって、政治において礼節と協力の復興が見られると思ったら、それは救いようがないほど甘い考えだ。2020年代のアメリカは陰謀論に満ち溢れ、深く分断されたままになるだろう。この分断はそもそもトランプが作ったものではなく、もともと存在していたものである。トランプがやったことは、その分断を可視化し、さらに悪化させたことだ。」

 このアメリカ分断の根深さを描いてその現れとしたトランプの大統領選挙善戦と、同時期の連邦議会選挙民主党苦戦とをあげて、こんな可能性にも言及する。24年にはトランプ再立候補と「バイデンは4年だけの可能性も」と。その上で、「米中関係は改善しない」という小見出しの文章がこう始まっていく。

国際舞台ではトランプはかなりひどいことをしてきた。独裁者を支持し、民主主義を弱体化させた。パリ協定を脱退し、WHO(世界保健機構)からも脱退すると表明した。
 バイデンがこれを元の状態に戻そうとしても、割った卵を元の形に戻すことができないのと同じように、失われた信用をこれからの4年で取り戻すことはできないだろう。信用を取り戻すには何十年もかかるだろう。アメリカという国がドナルド・トランプという反民主主義的な指導者を選んだことをどの国も忘れないだろう。しかも、2024年の大統領選挙にトランプがまた立候補する可能性も出てきている。アメリカには茨の道しかない」

 最後に文章の結び部分、言わずと知れた対中関係である。購買力平価GDPはすでにアメリカを超え、かつ、日本の五倍になっていると述べつつ、こう結んでいく。

「アメリカにとって国際舞台で最も重要な国は言うまでもなく中国だ。台湾問題にしても習近平の言動にしても最近の中国を見ていると、中国がますます勢いを強めていることは論を俟たない。
 中国との関係でも日本は難しいかじ取りを強いられるだろう。米中関係はバイデンが大統領になるぐらいでは改善しないからだ。
 中国の国内総生産は購買力平価ベースではアメリカをすでに上回っている。日本は中国の五分の一にすぎないが、日本にとって中国との経済関係は非常に重要である。日本の輸出先は中国が断トツに多いからだ。
 アメリカが中国に対する攻勢を強め、日本が同調するよう強いられた場合、日本はどう動くのか。中国との経済関係が悪化すれば、日本経済が受ける打撃は甚大である

 国連では特に信用がないアメリカという事実は日本マスコミには少な過ぎる論調なのだが、アメリカの国際的信用凋落はことのほか激しいのである。信用というのは長年かけて作り上げるものだから、「その時だけに生きている人々」には分かりにくいもの。そんな信用を落とすのはあっという間なのだが、その後遺症を思い知るには、長年かけていくことになる。シリア、イラン、ベネズエラ、そしてアラブ・イスラエル問題絡みのエルサレム・・・今も続くいわゆる西欧流入難民問題は全てアメリカ軍事外交がその遠因。米のお膝元においてさえ、反ベネズエラ(参戦)国結集を呼びかけたがほとんど応募がなかった事にも示されていたように、中南米の貧窮に対してアメリカ(による通貨危機など)積年の罪科があることも今はもう白日の下にさらされているのである。1990年代の日本住宅バブル弾けや、タイ、韓国などにも波及したアジア通貨危機がまたそうであったように。アジア通貨危機では日米が儲けたようだが、あれはタイ・バブルが無くとも起こったと、これはもう一人のノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・スティグリッツによる後の分析である。つまり、アメリカヘッジファンドが意識的に起こして、日本もこれに便乗した。

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