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随筆 アソビ心  文科系

2020年12月13日 09時39分10秒 | 文芸作品

 昔書いた随筆です。4年生になった孫が三歳になる直前のころの、色んな一人遊びの様子。ご笑覧下さい。

 

 アソビ心
 
 ここに何度か紹介してきた孫のはーちゃん、この九月で三歳になる。今回は、いろんな言葉を拾ってみた。この観察の焦点は、彼女のあそび心ということになろうか。ただし一言。この年齢の言葉に大人流の一般的解釈はだめ。それでは第一、面白くも何ともない。

我が家へ駆け込みつつの第一声は、決まって「遊ぼーよっ!」。パソコン席から僕が離れそうもないのを確認すると、すぐに踵を返して「ばーばっ、遊ぼーよ!」。「チックン」というのは注射のことだし、アーンで口を開けさせ棒状のもので喉を調べたり、検温までするのは、お医者さんごっこ。チックンは念入りに時間をかけ、「痛いーっ?」と必ず聞いてくる。しかも、顔をしかめてみせるほどに、その目がにやりと歪んでいる。
 二つのソファを向かい合わせるのは、このくそ暑い中の彼女には大作業。がそれもなんのその、なんせ出来上がるのはプールである。近くの大人の尻を押した後から、自分も入ってくるのだから、そのプールの熱いこと。遊びに燃えた体で、バシャーンとか、バシャ、バシャとかやって、近ごろ口癖の「面白い、面白い!」を連発。プールにはいろんなものを持ち込んでいるが、こんなこともあった。「あっ、亀さんがウンコしました!」と自分で叫んでおいて、大変大変というわけで、トイレに連れて行く。それを目で追うと、一生懸命紙で拭いている。
 僕がパソコン席から離れない先日、こんなことも起こった。新聞紙を細めに長く丸めて「はい、ビールですよ!」。見れば自分も小さ目のを持っていて「乾杯しょ!」と申し込んで来た。僕の好物で僕を遊びに釣り出そうと企んだとしたら、相当な知能犯だが。乾杯してから「後で遊んであげる」と応えると、「楽しみーっ!」といいつつ離れて行った。

 アソビ心の先にいたずら心があるのも、既に人並と言えよう。家へ飛び込んできたとたんに何を思ったか、「じいじ、大好きーっ」と身体ごと脚にしがみついてきた。悪い気はしない。ところが、その三十分ぐらい後に、関連して起こったのがこれ。向かい合った時に僕の目を見てこう告げる。「好きって言って」。僕は、当然そう言った。と、こんな答えが返ってきた。「あんまり、好き(じゃ)ないの」。「好きって言って」とは、「好きかと質問してくれ」という意味だったのである。「好きって言って」の注文当初から何かおかしげな「にやり」表情だったのを、いぶかりながらのやりとりだった。
 僕のお茶専用のお盆を遊び場の方に持って行ったから、貸してと申し出に行った。何度か頼んでも返してくれないどころか、自分の身体の後に「隠している」。と突然、その体勢のままで、こんな返事が返ってきた。「まっ、いいか!」。僕は初め、返してくれる言葉と思い、ちょっと待った。が、その気配はなく、お盆は体の後に隠したままで、顔には例のにやりが浮き出ている。突然僕は気づいた。僕にこう語っていたのである。「(お前が)『まっ、いいか』と言え」と。つまり、諦めろと意地悪しているのである。

 最後に、あそびとは正反対の大変なリアル語を一つご紹介しよう。机の上の彼女の大好物・さきイカ燻製に僕の手が出たその瞬間「みんなで、みんなで!」との叫び声。叫ぶ間もあらばこそ、小さな手が体ごと既にモノを覆っている。お気に入りで対立が生じやすい保育園の連絡帳にこんな記述があったのを、僕はすぐに思い出した。
「彼女が『みんなでみんなで』と叫ぶ時には、既にちゃっかりと物を握っております」。』

コメント
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