路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

2024-12-27 06:10:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか 

 学問の自由と独立は絶対に守られなければならない。新たな組織でそれが担保できるのかどうか。なお残る疑問を解消し、誰もが納得できる組織、運営体制を構築する必要がある。

 日本学術会議の在り方を議論している内閣府の有識者懇談会が、新法人への移行に向けた報告書を大筋で取りまとめた。

 学術会議の会員の選考については、首相による任命をなくす。一方で客観性を高める重要性を指摘し、会長任命の外部有識者からなる「選考助言委員会」を新設して意見を聞くとした。投票制も組み合わせる。

 学術会議の組織見直し議論は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したことが発端だ。

 その後、政府は学術会議を現行の「国の特別機関」から、国とは切り離した新法人に移行させた上で、会員選考や運営などに外部有識者が関わる仕組みの導入を提案していた。

 今回の報告書は会員の選考に政府は関与しないとしたが、そもそも菅氏より前の歴代政権は学術会議側の推薦通りに受け入れていた。助言委の設置に学術会議側が「わざわざ設ける必要はない」と反発するのも理解できる。

 さらに疑問なのは、活動状況を確認する「評価委員会」の委員や監事を首相が任命することだ。

 報告書は学術会議に対する国の財政支援を保障する一方で、「目的に沿った活動・運営が行われていることを国民に説明する仕組みを担保する必要がある」と指摘しており、それに沿った対応だ。

 ただこれでは、政府の介入を許す余地が否定できない。学術会議側はかねてこの項目に懸念を示していたが、報告書にほぼそのまま残ったのは残念だ。

 戦後設立された学術会議は1950年、戦前の組織が政府と一体となって戦争に協力した反省を踏まえ、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」との声明を出し、中立的な立場で政府への政策提言などに取り組んできた。

 菅氏が任命を拒否した6人はかつて安全保障法制など政府の方針に異論を述べていた。政府は任命拒否の理由を明らかにせず、「学問の自由の侵害だ」との批判から論点をずらすように持ち出したのが組織見直し論だった。

 政治状況は当時と様変わりした。10月の衆院選で自民党は大敗し、少数与党に転落した。任命拒否問題でも見られた強権的な政治はできなくなっている。

 政府は法人化のための法案を来年の通常国会に提出する構えだ。与野党で熟議をしてほしい。

 学術会議は6人の任命を求め続けている。石破茂首相はしっかり対応してもらいたい。いまだ明らかにしていない任命拒否の理由の説明も求められる。 

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:【学術会議】:懸念は解消されていない

2024-12-27 05:05:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・12.26】:【学術会議】:懸念は解消されていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:【学術会議】:懸念は解消されていない

 「国の特別機関」である日本学術会議の在り方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、政府方針である新たな法人への移行に向けた最終報告書をまとめた。
 会員の首相任命をなくす一方、首相が任命する「評価委員会」や監事を置き活動状況を確認するなど、政府の一定の関与は残す。報告書を踏まえ、政府は法人化のための法案を来年の通常国会にも提出する。
 1949年に発足した学術会議はさまざまな専門分野から選ばれた科学者210人で構成。科学者の戦争加担への反省に立ち、中立的な立場で政府への政策提言を行ってきた。
 時の政治の干渉を受けない組織であり続けられるか、不安視されている。政府と学術会議は禍根を残さないよう、引き続き議論を続ける必要がある。
 報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとともに、国に助言する権限や、国からの財政支援を保障するとした。
 学術会議にとって前向きな内容も含まれた一方で懸念されるのは、独立性や自律性の確保だ。
 報告書は、活動を国民に説明する仕組みの必要性を指摘。会員選考の際には、会長が任命する外部有識者からなる「選考助言委員会」を新設するよう求めたほか、投票制も提示した。評価委や監事も含め、関わり方によっては独立性が損なわれかねないような提言が目立つ。
 もちろん学術会議にも会員選考や運営の透明性、客観性を高める姿勢は求められる。だが、重要なのは自主的な取り組みであることだ。
 学術会議の見直し論は、2020年の菅義偉元首相による会員候補6人の任命拒否に端を発する。この6人は過去に政府法案などに反対していた。
 説明を求める学術会議に対して政府は理由を明らかにせず、両者は対立。政府は現行の組織形態を維持した上で、会員選考に第三者を関与させるとした法改正案の国会提出を目指した。だが、学術会議の強い反発で断念。法人化方針を決め、有識者懇談会を設けた経緯がある。
 任命拒否問題について十分な説明責任を果たさないまま、政府は組織の見直し論を進めた。学術会議側の不信感は解消されていない。独立性への懸念が残るのは当然だろう。
 報告書を受けて学術会議の光石衛会長は「改革の当事者として、法制化に向けて責任を持って政府と協議していく」との談話を発表した。
 学術会議側が納得のいく改革を進めるには、両者の信頼関係の再構築が欠かせない。政府はまず拒否問題の解決を早急に図り、その是非を議論しなければならない。
 気候変動や感染症、人工知能(AI)といった地球規模の課題が山積する。求められるのは、効率優先や利益至上主義などに陥らないように政府や産業界に幅広い科学的知見を示すことだ。
 学術会議が自由に提言し、政府は施策に反映する。政府と学術会議の良好な関係を実現してもらいたい。

  元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.26】:学術会議改革 これで独立性保てるか

2024-12-27 04:05:20 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説②・12.26】:学術会議改革 これで独立性保てるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.26】:学術会議改革 これで独立性保てるか 

 日本学術会議の在り方に関する内閣府の有識者懇談会は、国の機関から新法人への移行に向けた最終報告書をまとめた。
 
 国に助言する権限や、国からの財政支援を保障する一方で、活動の透明性を高めるとして、首相が任命する「評価委員会」や監事を置くことを提言した。
 
 これを受け学術会議の光石衛会長は法制化に向けた協議に入る考えを示したが、内部にはなお異論や懸念が残る。政府の介入を許し、独立性を脅かしかねない内容は取り除くべきだ。
 そもそも問題は4年前の菅義偉元首相による会員候補6人の任命拒否に端を発している。唐突に始まった組織見直しは論点のすり替えにほかならない。
 石破茂首相は問題発覚当初、こうした経緯を疑問視し政府の説明責任を訴えていた。首相就任後はほとんど言及がないが、ここでもまた変節するのか。
 任命拒否を撤回し、不透明な経緯を説明するのが筋である。首相は真摯(しんし)に対応すべきだ。
 会員選考について報告書は、首相の任命制をやめるとともに客観性を持たせるとして外部有識者による「選考助言委員会」を新設し意見を聴くことを盛り込んだ。投票制も提示した。
 懸念されるのは、複数設ける外部監視の仕組みが、学術会議の自主性を縛らないかということだ。特に評価委員や監事は政府が人選するため、結果的にその意向が反映されかねない。
 学術会議の総会では報告書について「絶対に認められない」との反論の一方、評価すべきだとの声も出たという。
 光石会長も柔軟姿勢に転じたように映るが、夏には「懸念が十分払拭されないなら重大決意をせざるを得ない」と強調していた。主張は貫くべきだろう。
 政府・自民党内では、大学の軍民両用研究に反対するなどしてきた学術会議の姿勢に不満があるという。だが、ナショナルアカデミーに求められるのは時の政府と一線を画し、中立公平な立場から直言することだ。
 学術会議には、戦前の科学者が軍事研究に動員された経験を反省して作られた歴史があるということを忘れてはならない。
 首相は就任前、「学術会議は政権の独占所有物ではない。国の機関は国民のものだから、国民の納得がいくことが必要だ」と述べていた。
 
 政府は来年の通常国会に学術会議の法人化のための法案提出を目指すというが、衆院は少数与党で、野党は国の対応を厳しく批判している。
 
 首相は初心に立ち返り、対応を改めなければならない。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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《社説②・12.26》:日本学術会議の改革 独立守り役割果たす姿に

2024-12-26 02:01:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

《社説②・12.26》:日本学術会議の改革 独立守り役割果たす姿に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.26》:日本学術会議の改革 独立守り役割果たす姿に

 現代社会には科学が大きな影響を及ぼしている。政治家と科学者が互いに不信感を募らせている状況は解消すべきだ。

 日本学術会議の在り方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。

内閣府の有識者懇談会がまとめた報告書について議論する日本学術会議の総会=東京都港区で2024年12月22日、中村好見撮影

 議論のきっかけは2020年、当時の菅義偉首相が会員候補のうち6人の任命を拒否したことだ。「学問の自由への政治介入だ」として、学術会議側から強い反発を招いた。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【小社会・12.24】:魚類学の父

2024-12-24 05:05:45 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【小社会・12.24】:魚類学の父

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.24】:魚類学の父

 いま旬を迎えているブリはご存じ、出世魚で知られる。サイズで呼び名が変わり、地域によっても違うため、昔は取引する時に混乱することがあったという。

 混乱を防ぐには標準名がいる。それを手掛けたのが高知市出身の田中茂穂博士(1878~1974年)だ。別名「魚類分類学の父」。日本の魚研究の基礎を築いた。

 その偉業から県内では牧野富太郎、寺田寅彦とともに「高知の科学者の3巨頭」として扱われることが多いが、スター2人と並ぶとやはり知名度は分が悪いか。しかし弟子によれば「土佐人でも珍しい(ほどの)いごっそう」。多数残した随筆は人間味にあふれる。

 特徴的なのは、現場感覚や感情など非科学的な考察も試みることだ。例えば魚を美味に感じる66カ条を挙げたり、釣りの極意を語ったり。釣り人の多い都会は「魚が気が動転し、ひがみ根性を出す」などとユーモラスだ。

 「学問」の在り方を突き詰めたことでも知られる。田中の研究は富太郎同様にパイオニアだった。研究の意義や手法で自問を重ね、62歳にして「学問は到底わからないものとわかった」との境地を記している(「魚と暮(くら)して」)。それだけ奥が深いということだろう。

 翻って近年。学問を巡っては、論争中だった日本学術会議の在り方で方向が固まりつつあるようだ。だが、政府が研究者を選別しようとした事実は残る。田中なら何と言うだろう。きょう没後50年。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない

2024-12-24 05:03:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない 

 日本学術会議の改革を検討してきた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。

 学術会議は現在、法律に基づく「国の特別機関」という位置付けで、運営は税金で賄われている。

日本学術会議=東京都港区六本木

 令和2年に菅義偉首相(当時)が、学術会議が推薦した会員候補のうち6人を任命しなかったことで会議側が反発した。これを契機に、政府は会員選考の方法などの見直しを検討してきた。

 だが、報告書の内容で国民の役に立ち、国益にかなう組織に生まれ変わるとは思えない。

 報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとした。一方で「ナショナルアカデミー」としての役割を踏まえ、政府が財政支援を行うという。これまで通りの税金投入が見込まれている。

 政府は会員選考に関わらず、任命権を首相から法人側に移す。外部有識者による「選考助言委員会」を新設し、選考方針などに意見を述べさせるが個別の選考には介入しないとした。意見に法的拘束力はない。しかも委員は学術会議の会長に任命させるという。

 活動状況に関する「評価委員会」を設ける。業務執行の適正さを監事が監査する。この委員や監事は首相が任命するが、予算付けのための役割しか果たさないだろう。学術会議がおかしな行動をとったり、成果をあげなかったりしても、是正させることは期待できない。

 これらを改革というのは噴飯ものだ。学術会議が好き勝手に税金を費消するだけに終わるのではないか。

 学術会議の最大の弊害は、日本と国民を守るための軍事研究を強く忌避し、研究を停滞させてきたことだ。昭和25年と42年に軍事目的の科学研究を拒否する声明を出し、その継承を平成29年の「軍事的安全保障研究に関する声明」で宣言した。学術会議はこのような反国民的な言動を反省し、一連の声明を撤回しなければならない。

 令和4年7月に軍事、民生の両方で使える「デュアルユース(軍民両用)」の研究を事実上容認した。だが、国家と国民を守るためには、純然たる軍事研究も推進すべきだ。

 新型コロナ禍でも学術会議がろくな役割を果たさなかったのは記憶に新しい。小手先の組織いじりは無意味である。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.22】:学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ

2024-12-22 05:00:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説①・12.22】:学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.22】:学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ

 国費の投入を求めながら、政府が人事や運営に関与することを拒否する日本学術会議の身勝手な主張は認められない。 

 あくまでも改革に反対を続けるというなら、国に一切頼らない組織を自ら作るべきだ。

 学術会議のあり方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、最終報告をまとめた。「国の特別機関」という位置づけを見直し、独立した法人に移行するよう求めた。一定の公益性のある業務を担う特殊法人が想定されている。

 政府は、学術会議の運営費として年間約10億円を計上している。報告は、法人化後も当面、国に財政支援を続けるよう求めた。

 日本の科学者を代表する機関である学術会議は、政策提言を通じて科学技術や産業の発展に貢献する役割が期待されている。

 だが、これまで時宜を得た提言をしてきたとは言い難い。本来の責務を果たせるよう、組織を改革することは急務だ。

 運営費を支援し続けるにあたっては、新法人に財務や業務を監査する「監事」を置き、外部の有識者が活動実績を点検する「評価委員会」を設置することも提案した。監事と評価委員は、いずれも首相が任命する。

 税金を投じる以上、学術会議が予算を適正に使っているかや、社会に役立つ活動を行っているかを政府が点検するのは当然だ。

 国から独立した組織となるからには、いつまでも税金を投じるわけにはいかない。新法人発足後、政府は、寄付など外部資金の調達を促していく必要がある。

 学術会議を巡っては、会員選考の不透明さが指摘されてきた。

 現在、会員の任命権は首相にあるが、それは形式的にすぎず、実際は現会員の推薦に基づいて選ばれている。その結果、研究分野は広がりを欠き、偏った主張の学者が多い、という指摘もある。

 懇談会が、外部の意見を幅広く聞くよう求めたのは妥当だ。

 ただ、問題はその手法である。報告は、外部の科学者でつくる「選考助言委員会」を新法人に設置するよう提案したが、この委員の人選については、学術会議の会長が決めるという。

 会長に選ばれた人が助言するというのでは、会員選考もお手盛りになってしまうのではないか。それでは改革する意味がない。

 学術会議を各界の多様な人材が集まる組織とするには、助言委員に産業界からの登用を義務づけるなど、政府が一定程度、関与することが不可欠だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.21】:日本学術会議 独立保つ組織へ対話尽くせ

2024-12-21 16:00:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説①・12.21:日本学術会議 独立保つ組織へ対話尽くせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.21】:日本学術会議 独立保つ組織へ対話尽くせ 

 「国の特別機関」である日本学術会議の在り方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、政府方針である新法人への移行に沿った報告書をまとめた。

 首相による会員の任命をなくす一方、活動状況を確認する評価委員会や監事の任命への関与を盛り込んだ。

 時の政権の意向に左右されない独立性、公正さを保てるのか。根深い疑念を残さないよう議論を尽くさねばならない。

 報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとともに、国に助言する権限や国の財政支援を保障するとした。

 活動や運営を国民に説明する仕組みが必要とし、財政基盤の多様化に取り組むことも求めた。

 政府は、報告書をもとに、来年の国会で関連法案を提出する構えだ。

 国費を用いて公的機能を担う役割は維持される。構成員や運営の透明性、科学的見識からの助言機能の強化が求められることは当然だ。

 懸念が拭えないのは、独立性である。

 会員選定では、これまで通り研究者による互選を維持するが、形式的な首相による任命をなくす。一方で、客観性を高めるためとして、外部有識者からなる「選考助言委員会」を設け、投票制の導入も掲げた。

 評価委員会と2人の監事を首相が任命するとしたことと併せ、政権の恣意(しい)的な介入につながらないだろうか。

 そもそも、この問題は2020年、当時の菅義偉首相が理由も説明しないまま、新会員候補6人の任命を拒否したことに始まる。

 自民党内では、学術会議が過去の戦争協力への自省から軍事防衛研究に反対していることに不満が高まっていた。

 意に沿わない学術会議に対し、人事や運営へ介入して統制しようとする意図は明らかだろう。

 岸田文雄前首相も任命拒否を見直さず、昨年4月、会員選考に第三者を関与させる改正案を提出しようとしたが、学術会議の強い反対を受けて断念した。

 いまだ政府は、強行した任命拒否について説明責任を果たしていない。それを組織の見直しへ議論をすり替える姿勢が、不信感の根元にある。

 昨年成立させた改正国立大学法人法も、文部科学相が承認した委員が大学経営の中枢に関わる内容で、介入の余地が増え、学術界は警戒を強めている。

 学術会議は22日に総会を開き、協議する。

 高度な知見と自由で忖度(そんたく)のない直言こそ、社会課題を解決し、国の針路を誤らせないために不可欠だ。任命拒否の撤回を手始めに、学術会議と政府の直接の対話でこじれた糸をほどき、組織や活動の改革に向けた合意点を見いだしてほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月21日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:学術会議と政府 自由と独立を損ねるな

2024-01-15 08:03:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説①】:学術会議と政府 自由と独立を損ねるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:学術会議と政府 自由と独立を損ねるな 

 日本学術会議を現行の「国の特別の機関」から「国から独立した法人」に移行する基本方針を政府が表明した。しかし、何のための法人化なのか。政府の意に沿わなくても、独立した「ご意見番」であることが会議の存在意義だ。安易な結論は見送るよう求める。
 
日本学術会議
にほんがくじゅつかいぎ
Science Council of Japan
日本学術会議庁舎
日本学術会議庁舎
 
1949年1月20日に開かれた第1回総会[12]
 
 この問題の発端は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したこと。政府は理由を明らかにしないまま、自民党などが組織の見直しを巡る議論を一方的に進めてきた。
 
 政府は22年末に「会員選考のプロセスが不透明」などとして、会員選考に第三者を関与させる方針を表明したが、学術会議側が猛反発したため、いったん断念。23年に法人化に方針転換し、有識者懇談会を設置した経緯がある。
 
 同懇談会は昨年12月、「国とは別の法人格を有する組織になることが望ましい」との中間報告をまとめた。現行の「国の特別機関」の位置付けを、国から切り離して法人化するという考え方だ。
 
 法人化後の会員選考過程に「政府が一切関わらないことが妥当」としつつも、外部の目による透明性の確保を求めている。
 
 さらに、学術会議の財政基盤を多様化する必要性も示している。例えば対価を徴収して審議の依頼に応じることなどだ。
 
 この考え方は、学術会議を「ナショナル・アカデミー」でなく、コンサルタント的な役目を負わせるに等しいではないか。民間のスポンサーに頼らず、独立して科学的な立場から発言することが学術会議の役割のはずである。
 
 懇談会の認識が、そもそもずれているのではないか。法人化しなくても、現行の仕組みでも十分、組織の活動や運営の自由度は確保できると考える。
 
 学術会議が独立かつ自由だったゆえに、過去に「軍事研究は行わない」との声明を出したり、防衛省による研究費の助成制度について「政府介入が著しい」と厳しく批判できたのだ。
 
 政府の基本方針には、外部有識者による「選考助言委員会」「運営助言委員会」「評価委員会」など、学術会議ににらみを利かせるような組織の設置が並ぶ。
 
 国から独立した法人化を掲げながら、学術会議を不自由で非独立の組織としたい政府の意向がにじみ出ている。学問を戦争に利用した歴史を忘れるべきではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月13日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:これまでに最も著者数の多い学術論文は…

2021-09-16 02:05:15 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【余禄】:これまでに最も著者数の多い学術論文は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:これまでに最も著者数の多い学術論文は…

 これまでに最も著者数の多い学術論文は2015年に物理学専門誌に発表されたヒッグス粒子の質量測定の論文という。何と5154人の研究者が名を連ね、33ページの論文中24ページが著者と所属先のリストだった▲著者数が多くなるのは大規模な共同実験のためで、国際的な共同研究が進む今日では執筆者が1000人を超す論文は珍しくないという。たとえ研究不正を行った人がまぎれていても見つけようがない(黒木登志夫(くろき・としお)著「研究不正」)▲逆に著者1人の論文は社会科学、数学などに多く、前者は38%、後者は31%がそうだという。さてネットには小学生の作文から会社員の退職まで支援・代行サービスのある時代だから、学術研究のサポート業者がいても驚きはしない▲ネットのスキル(技能)マーケットでは、大学教員や企業の研究者らが有料で学術論文の執筆支援などを行う「研究スキル売買」が広がっているという。小紙の調べでは、国内最大級のサイトで約120人がスキル販売を行っていた▲売買は仲介業者を介し匿名で行われ、執筆支援やデータの解析など研究の核心部分の指導も行われる。ある販売者の1論文当たり報酬は25万~50万円で、別の国立大教員は研究費稼ぎのためだと売り手側の切実な事情ももらしている▲サイト側は研究の代行のないようチェックしているというが、著者の「研究能力偽装」を問題視する声もある。影響力のある論文は減り、「影の著者」ばかりが増えてゆく日本の学術の未来はどうなるのか。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2021年09月14日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:「有力衆院議長で改憲シフト」=萩生田氏、大島氏交代に言及

2019-07-31 09:53:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【自民党】:「有力衆院議長で改憲シフト」=萩生田氏、大島氏交代に言及

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:「有力衆院議長で改憲シフト」=萩生田氏、大島氏交代に言及 

 自民党の萩生田光一幹事長代行は27日までに、保守系のインターネット番組で、憲法改正の国会発議に向け大島理森衆院議長を代える可能性に言及した。「今のメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置いて憲法改正シフトを国会が行っていくのは極めて大事だ」と述べた。

 萩生田氏は、大島氏について「立派な方だが、どちらかというと調整型だ」との認識を示した上で、「(野党に)気を使いながら、(憲法審査会での)審査はやってもらうよう促すのも議長の仕事だった」と指摘した。

 番組は26日夜に放送された。議長交代は衆院解散・総選挙後に行われるのが慣例。萩生田氏は安倍晋三首相に近く、強引に改憲を進めようとする姿勢を示したものとして野党側が反発しそうだ。  

 元稿:時事通信社 JIJI.com 政治 【政局・自民党】  2019年07月27日  15:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:キトラ古墳壁画 文化財守る心の象徴に

2019-04-07 06:10:30 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説②】:キトラ古墳壁画 文化財守る心の象徴に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:キトラ古墳壁画 文化財守る心の象徴に 

 奈良県明日香村のキトラ古墳の壁画を国宝にするよう、国の文化審議会が答申した。早ければ六月にも正式に指定される。「令和」に入って初めて誕生する国宝を、文化財を守る心の象徴にしたい。

 キトラ古墳の壁画は、一九八三年に発見された。極彩色で、七世紀末から八世紀初頭の飛鳥時代のものとされる。石室の四方の壁に青竜(せいりゅう)と白虎(びゃっこ)、朱雀(すざく)、玄武(げんぶ)の「四神図」が描かれている。天井には東アジアで最古とされる天文図があり、古代の宇宙観を伝える。

 国内の古墳で見つかった極彩色壁画は、「飛鳥美人」で名高い高松塚古墳(明日香村、国宝)とキトラの二例だけ。湿気が強く、風水害も多い日本で、これほどの壁画が残ってきたのは奇跡的だ。

 文化審議会は、唐招提寺(奈良市)の木造薬師如来立像(りゅうぞう)などとともに、国宝への指定を文部科学相に答申した。注目すべきは、修復と保存のためとはいえ、壁画が古墳からはぎ取られ、近くの保存管理施設で収蔵されていることだ。

 壁画はカビなどで劣化し始めたことから、文化庁が二〇〇四年、はぎ取りと修復を始めた。キトラに先立ち、一九七二年に発見された高松塚の壁画が、カビでひどく傷んだ手痛い失敗を教訓にした措置だ。修復は一六年に終わり、施設で年に数回公開されている。

 文化財は、もともとあった場所で管理する「現地保存」が基本原則。修復も、当初の状態をできるだけ残すため、必要最低限にとどめるのが望ましいとされる。

 原状とは大きく異なる状態となっていても国宝とすることは、昨年十月に重要文化財に指定してから半年ほどの早さで「格上げ」を決めたことと合わせて、壁画の貴重さを重視し、保護の態勢を強める姿勢の表れでもあろう。

 折しも近年は考古学ブームだ。関心の中心となっているのは縄文時代。東京国立博物館で昨年夏に開かれた縄文展には、三十万人以上が訪れた。書店では「土偶女子」を名乗る譽田(こんだ)亜紀子さんの著書が注目され、ゲームセンターのカプセル玩具のコーナーでは、土偶や土器のおもちゃが広い世代の人気を集める。

 このブームを追い風に、縄文をはじめ幅広い時代の文化財を社会全体で守り、後世へと確かに手渡す機運を高めたい。先人の思想や生活、美意識、さらにはこの国の歴史を次代に語り継ぐ重要な「証言者」だからだ。平成時代の知見と技術で守った飛鳥時代の宝は、その良い象徴になるだろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年04月06日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「父に別れしみなし子の九界九蔵(くかいくぞう)の二代目を…」。

2019-02-22 06:10:30 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【筆洗】:「父に別れしみなし子の九界九蔵(くかいくぞう)の二代目を…」。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「父に別れしみなし子の九界九蔵(くかいくぞう)の二代目を…」。

 江戸の芝居小屋で、十七歳の若者が「おひきたてを」と口上を述べた。居合わせた客はおろか、伝え聞いた人さえ涙したという。二代目市川団十郎の襲名披露には、そんな逸話が残っている▼江戸歌舞伎に独特の芸風を生み出し、人気を博した初代は悲運に見舞われ早世していた。待ち望まれた二代目だった。成功者の後を継ぐがゆえの重圧の中で、多くの人の温かい期待の視線が、その背に注がれていたようだ▼こちらは、地球から三億キロ超という想像も難しい宇宙空間である。夜空を見上げ、二代目の成功を祈った方もいるのではないか。小惑星探査機「はやぶさ2」が、正念場を迎えている。きょう小惑星りゅうぐうに着陸して、岩石採取に挑むと発表された▼半径数メートルという点のような場所に降りるという。地球との通信に時間差がある中、岩を砕き、舞い上がったかけらを取る。想像もしがたい難しさだ▼困難の連続だった初代はやぶさは、使命を果たしながら燃え尽きた。初代の無念と教訓を生かして、大きく改良されているという。一方で、携わる人には初代を超えなければならない重圧があろう▼二代目団十郎は困難に見舞われながら、後世に残る江戸歌舞伎の基盤を築いた。二代目が家の盛衰を決めるとすれば、小惑星探査も正念場か。ひきたてたいはやぶさだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年02月22日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:②巨大加速器計画 物理学の進歩に貢献できるか

2018-11-28 06:05:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説】:②巨大加速器計画 物理学の進歩に貢献できるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:②巨大加速器計画 物理学の進歩に貢献できるか 

 次世代の加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の建設候補地として、東北地方の北上山地が浮上している。 

 宇宙や物質の根源に迫る研究施設である。素粒子物理学で多くの業績を生んできた日本として、誘致を前向きに検討すべきではないか。

 日米欧の研究者が計画するILCは、宇宙創成直後の高エネルギー状態を再現するための施設だ。全長20キロ・メートルのトンネルを掘り、電子とプラスの電気を持つ陽電子を光速に近い速度で衝突させる。その反応を精密に測定する。

 今の物理理論を超えるノーベル賞級の発見もあり得るだろう。

 岩手、宮城両県にまたがる北上山地が適地とされるのは、地層・地盤が安定しているためだ。

 建設に伴う研究都市の形成や、関連製造業の受注増といった効果が見込まれるという。震災からの復興にも資するとして、地元自治体や自民党は誘致に熱を上げる。期待が高まるのは無理もない。

 研究者の集まりである日本学術会議も、文部科学省から要請された計画評価への回答案で、ILCでの実験の意義は認めている。

 問題は、巨額の費用だ。

 文科省の試算では、建設費は約10年間で約8000億円に上る。実験完了まで約20年の稼働が予定されており、毎年約400億円の運営費を要する。

 北上山地に建設する場合、日本は誘致国として、半額程度を負担する必要があるとされる。

 学術会議は、先にまとめた回答案で「国際費用分担の見通しが得られていない」と指摘した。大規模工事による環境破壊への配慮なども求めている。他分野の研究予算へのしわ寄せを懸念する声もあり、政府の判断は遅れている。

 誘致を前進させるためには、施設建設の意義や費用対効果を説明し、理解を広める必要がある。

 ILCは、欧州合同原子核研究機関(CERN)にある世界最大の加速器を補完する施設だ。

 CERNでは2012年に、万物に質量を与えるヒッグス粒子の存在が確認された。次の課題の一つが、ILCによるヒッグス粒子の詳細な分析である。

 CERNは、次期計画の策定に着手した。そこにILCを盛り込めるかどうかは、日本の出方にかかっている。素粒子研究に力を入れる日本が誘致を見送れば、機運は一気に萎しぼむだろう。

 様々な課題を確実にクリアすることを前提条件に、誘致の意思を明確にすべき段階に来ている。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年11月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【種子島宇宙センター】:無人補給船「こうのとり」、打ち上げ成功

2018-09-23 03:13:30 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【種子島宇宙センター】:無人補給船「こうのとり」、打ち上げ成功

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【種子島宇宙センター】:無人補給船「こうのとり」、打ち上げ成功

 国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給船「こうのとり」7号機を搭載したH2Bロケット7号機が23日午前2時52分頃、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げられた。こうのとりは約15分後に分離、予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。

 H2Bの打ち上げは7回連続の成功となった。こうのとりは、順調に飛行すれば27日夜、ISSに到着する。

 こうのとりには、宇宙食や衣類などの宇宙飛行士の生活物資のほか、ISSでの実験試料などを地球に持ち帰る小型カプセル(重さ約180キロ・グラム)、ISSの電源に使うリチウムイオン電池、ISSから放出される超小型衛星3基などを搭載している。総重量は約6・2トンで、過去最大の重さとなる。

 当初11日の予定だったH2Bの打ち上げは、悪天候やロケットの液体酸素タンクの圧力を調整するバルブの異常で、4回にわたって延期された。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 科学・IT 【ニュース】 2018年09月23日  03:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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