路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・01.15】:学術会議法人化/独立性保つ改革の道探れ

2025-01-18 06:00:20 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.15:学術会議法人化/独立性保つ改革の道探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.15】:学術会議法人化/独立性保つ改革の道探れ 

 国内の科学者を代表する組織である日本学術会議が大きな転機を迎えている。政府の有識者懇談会が先月、学術会議を国の機関から切り離し、新たな法人に移行させる最終報告書をまとめた。政府は法人化の具体的な制度設計を進め、関連法案を通常国会に提出する方針だ。

 報告書は、国に助言する権限や国からの財政支援を保障する一方、運営の客観性を高めるために政府が関与する制度を設けるよう提言した。

 学術会議の光石衛会長は法人化を大筋で容認する談話を出したが、内外の学術関係者からは独立性が脅かされるとの懸念が出ている。なぜ法人化する必要があるのかの説明も十分とは言えない。

 学術会議は1949年、国の特別機関として設立された。科学が戦争に利用された反省から、政権から独立した政策提言や分野を超えた科学者の連携を使命とし、年間10億円の国費で運営している。その存在意義が問われる重大な局面だ。政権に都合のよい改変に終わらないよう、慎重に議論を尽くす必要がある。

 元はといえば、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議の会員候補6人の任命を拒否したのが発端だった。理由を説明しないまま、政権の意向で会員を選別するかのような対応に「学問の自由の侵害だ」と批判が高まった。任命拒否の過程を国が公表しないのは違法だとする訴訟は今も続く。報告書がこの問題に言及していないのは違和感がある。

 焦点の会員選考については、法人化に伴い「政府は関与しない」と明記し、首相の任命をなくすとした。併せて、外部有識者でつくる「選考助言委員会」に意見を聴くことや、投票制も提示した。

 年齢、性別、地方在住者や外国人など会員の多様性を高める工夫は不可欠だ。運営の透明性や国民に説明する責任は学術会議側も自覚しているだろう。たゆまぬ自己改革が求められるのは言うまでもない。

 問題は、活動を確認する「評価委員会」や財務などをチェックする「監事」を首相が任命する新たな仕組みである。随所に設けられた外部監視が活動を制約し、独立性を損なわないか。懸念はぬぐえない。

 そもそも今回の改革論議は任命拒否問題への批判をかわそうと政府、自民党が持ち出した。論点のすり替えに学術会議側は不信感を募らせてきた。法人化に向けた協議の前に、政府は任命拒否を撤回し、長引く対立を解消するべきだ。

 世界的な感染爆発や気候危機、生成AIの進化などに即応して政策を提言する専門家の存在は重要性を増す。科学と真摯(しんし)に対話し、国の針路を見定めるのは政治の責任である。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

2025-01-11 07:00:25 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか 

 日本学術会議の在り方を議論していた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。現行の「国の特別機関」から法人に移行させるという。

 会員の首相任命をなくし、国に助言する権限や国からの財政支援を保障するなど、学術会議側の要望を受け入れた部分もある。とはいえ、活動状況を確認する「評価委員会」に加え、予算や業務の執行をチェックする監事も首相が任命するとした点は疑問だ。政治介入の余地が残り、独立性が損なわれかねない。

 政府は、法改正案をまとめる構えだが、懸念の残る改革を急ぐ必要はない。

 問題の発端は、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議の推薦した会員候補105人のうち6人だけ任命を拒否したことだった。6人は政府方針に異を唱えたことがあったが、政府は「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を求める観点から判断した」と説明するだけ。具体的な理由は今なお明らかにしていない。

 任命拒否に対し、学術会議側は「学問の自由の侵害」だと強く抗議した。ところが、政府は「組織の在り方に問題がある」と論点をすり替え、4年余り議論を重ねてきた。

 政府の真の狙いは何か―。これまでの議論から透けて見える。コントロールの利く組織にしたいのだろう。学術会議が1949年の発足以来、一貫して軍事目的のための科学研究に明確に反対してきたことが背景にある。過去の戦争協力に対する反省から生まれた軍事研究反対の姿勢が気に入らないようだ。

 政府は近年、防衛力強化を目指し、大学や研究機関を軍事関連分野の研究に引き込もうと努めている。15年度に始めた、軍事応用も可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度などだ。これに対し、学術会議は17年、「研究の進捗(しんちょく)管理などで政府による介入が著しく、問題が多い」と批判した。政府にとっては厄介な組織なのだろう。

 それだけに、政治介入の余地を残す法人化は問題だ。政府は年10億円に上る税金投入を理由として挙げているが、任命を拒否する前は特段、問題視していなかった上、運営に口も出してこなかった。今になって、税金投入を理由に関与を強めようとするのは理解し難い。

 その前に政府には、やるべきことがあるのではないか。「自民党1強」態勢で強行した6人の任命拒否について理由や経緯を、きちんと説明する必要がある。

 感染症や気候変動など、科学と社会の関わりは、かつてなく深まっている。例えば生成人工知能(AI)は私たちの暮らしを便利にし、経済発展の礎ともなりそうだ。ただ、悪用されれば、人殺しの武器をさらに強力なものに変えてしまいかねない。

 AIをはじめ、新たな分野の研究を進めるのは科学者の務めだろう。それでも、軍事目的に陥ることのないよう、歯止めを設けることが不可欠だ。学術会議にこそ期待される役割である。軍事研究をしないという戦後の原点を改めて誓うことにもなる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.11】:学術会議見直し 独立性を保ち役割果たせ

2025-01-11 06:05:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.11】:学術会議見直し 独立性を保ち役割果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.11】:学術会議見直し 独立性を保ち役割果たせ 

 政府と科学者たちがいつまでも対立している状況は好ましくない。原因をつくった政府は誠実な姿勢で関係を修復すべきだ。

 日本学術会議の在り方について内閣府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。現在の「国の特別機関」から新たな法人に移行し、国に助言する権限、国からの財政支援を保障することが主な内容だ。

 学術会議の光石衛会長は法制化に向けて政府と協議する意向を示した。とはいえ、内部は政府への反発が収まっていない。最大の懸念は独立性が保たれるかだ。

 そもそもこの問題は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したことから始まった。それまでは、学術会議が選んだ候補者を首相がそのまま任命するのが通例だった。

 政府は拒否した理由を説明せず、学術会議の在り方に矛先を向けた。政府の関与を強めるための、あからさまな論点のすり替えである。

 報告書は会員選考に関し、外部有識者からなる選考助言委員会を新設し、投票制を採用することを提起した。首相による任命は廃止する。

 予算執行や財務状況を監査する監事を置くことや、活動の評価委員会を設けることも盛り込まれた。こちらはいずれも首相が任命する。

 報告書の評価は分かれる。政府による財務状況の監査や活動評価を問題視する声が上がるのは無理もない。一方で年間10億円の公費を支出している以上、政府が活動の妥当性を点検するのは当然だという見方もある。

 政府と学術会議は協議を重ね、合意点を見いだしてほしい。その過程で任命拒否の理由を明らかにすべきだ。学術会議の存在意義を国民に周知する努力も求めたい。

 学術会議は1949年、行政や産業、国民生活に科学を反映、浸透させることを目的に設立された。

 50年には「戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」とする声明を発表した。科学者が戦前、軍事研究に動員された反省を踏まえ、軍事に関わる研究をしない姿勢を貫いてきた。

 これに不満を持つ政府関係者、政治家は少なくない。任命拒否は、6人が安全保障法制や特定秘密保護法に批判的だったこととの関連が指摘されている。

 学術会議は22年、軍民両用の研究を事実上容認する見解を公表した。

 学術会議には独立性が欠かせない。その使命は政治的な思惑に左右されることなく、学術の知見に照らして言うべきことを言うことだ。

 たとえ時の政権の意に沿わなくても、政府は尊重し、最適な政策判断を探るのが本来の関係ではないか。

 法人化に向けた法案は24日に召集予定の通常国会に提出される。与野党は学術会議の役割が最大限発揮できるように議論を深めてほしい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

2025-01-09 07:00:45 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.08】:学術会議の改革案 独立性、これで保てるのか 

 日本学術会議の在り方を議論していた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。現行の「国の特別機関」から法人に移行させるという。

 会員の首相任命をなくし、国に助言する権限や国からの財政支援を保障するなど、学術会議側の要望を受け入れた部分もある。とはいえ、活動状況を確認する「評価委員会」に加え、予算や業務の執行をチェックする監事も首相が任命するとした点は疑問だ。政治介入の余地が残り、独立性が損なわれかねない。

 政府は、法改正案をまとめる構えだが、懸念の残る改革を急ぐ必要はない。

 問題の発端は、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議の推薦した会員候補105人のうち6人だけ任命を拒否したことだった。6人は政府方針に異を唱えたことがあったが、政府は「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を求める観点から判断した」と説明するだけ。具体的な理由は今なお明らかにしていない。

 任命拒否に対し、学術会議側は「学問の自由の侵害」だと強く抗議した。ところが、政府は「組織の在り方に問題がある」と論点をすり替え、4年余り議論を重ねてきた。

 政府の真の狙いは何か―。これまでの議論から透けて見える。コントロールの利く組織にしたいのだろう。学術会議が1949年の発足以来、一貫して軍事目的のための科学研究に明確に反対してきたことが背景にある。過去の戦争協力に対する反省から生まれた軍事研究反対の姿勢が気に入らないようだ。

 政府は近年、防衛力強化を目指し、大学や研究機関を軍事関連分野の研究に引き込もうと努めている。15年度に始めた、軍事応用も可能な基礎研究に助成する防衛省の公募制度などだ。これに対し、学術会議は17年、「研究の進捗(しんちょく)管理などで政府による介入が著しく、問題が多い」と批判した。政府にとっては厄介な組織なのだろう。

 それだけに、政治介入の余地を残す法人化は問題だ。政府は年10億円に上る税金投入を理由として挙げているが、任命を拒否する前は特段、問題視していなかった上、運営に口も出してこなかった。今になって、税金投入を理由に関与を強めようとするのは理解し難い。

 その前に政府には、やるべきことがあるのではないか。「自民党1強」態勢で強行した6人の任命拒否について理由や経緯を、きちんと説明する必要がある。

 感染症や気候変動など、科学と社会の関わりは、かつてなく深まっている。例えば生成人工知能(AI)は私たちの暮らしを便利にし、経済発展の礎ともなりそうだ。ただ、悪用されれば、人殺しの武器をさらに強力なものに変えてしまいかねない。

 AIをはじめ、新たな分野の研究を進めるのは科学者の務めだろう。それでも、軍事目的に陥ることのないよう、歯止めを設けることが不可欠だ。学術会議にこそ期待される役割である。軍事研究をしないという戦後の原点を改めて誓うことにもなる。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

2024-12-27 06:10:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:学術会議報告書 学問の独立を守れるのか 

 学問の自由と独立は絶対に守られなければならない。新たな組織でそれが担保できるのかどうか。なお残る疑問を解消し、誰もが納得できる組織、運営体制を構築する必要がある。

 日本学術会議の在り方を議論している内閣府の有識者懇談会が、新法人への移行に向けた報告書を大筋で取りまとめた。

 学術会議の会員の選考については、首相による任命をなくす。一方で客観性を高める重要性を指摘し、会長任命の外部有識者からなる「選考助言委員会」を新設して意見を聞くとした。投票制も組み合わせる。

 学術会議の組織見直し議論は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したことが発端だ。

 その後、政府は学術会議を現行の「国の特別機関」から、国とは切り離した新法人に移行させた上で、会員選考や運営などに外部有識者が関わる仕組みの導入を提案していた。

 今回の報告書は会員の選考に政府は関与しないとしたが、そもそも菅氏より前の歴代政権は学術会議側の推薦通りに受け入れていた。助言委の設置に学術会議側が「わざわざ設ける必要はない」と反発するのも理解できる。

 さらに疑問なのは、活動状況を確認する「評価委員会」の委員や監事を首相が任命することだ。

 報告書は学術会議に対する国の財政支援を保障する一方で、「目的に沿った活動・運営が行われていることを国民に説明する仕組みを担保する必要がある」と指摘しており、それに沿った対応だ。

 ただこれでは、政府の介入を許す余地が否定できない。学術会議側はかねてこの項目に懸念を示していたが、報告書にほぼそのまま残ったのは残念だ。

 戦後設立された学術会議は1950年、戦前の組織が政府と一体となって戦争に協力した反省を踏まえ、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」との声明を出し、中立的な立場で政府への政策提言などに取り組んできた。

 菅氏が任命を拒否した6人はかつて安全保障法制など政府の方針に異論を述べていた。政府は任命拒否の理由を明らかにせず、「学問の自由の侵害だ」との批判から論点をずらすように持ち出したのが組織見直し論だった。

 政治状況は当時と様変わりした。10月の衆院選で自民党は大敗し、少数与党に転落した。任命拒否問題でも見られた強権的な政治はできなくなっている。

 政府は法人化のための法案を来年の通常国会に提出する構えだ。与野党で熟議をしてほしい。

 学術会議は6人の任命を求め続けている。石破茂首相はしっかり対応してもらいたい。いまだ明らかにしていない任命拒否の理由の説明も求められる。 

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:【学術会議】:懸念は解消されていない

2024-12-27 05:05:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説・12.26】:【学術会議】:懸念は解消されていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:【学術会議】:懸念は解消されていない

 「国の特別機関」である日本学術会議の在り方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、政府方針である新たな法人への移行に向けた最終報告書をまとめた。
 会員の首相任命をなくす一方、首相が任命する「評価委員会」や監事を置き活動状況を確認するなど、政府の一定の関与は残す。報告書を踏まえ、政府は法人化のための法案を来年の通常国会にも提出する。
 1949年に発足した学術会議はさまざまな専門分野から選ばれた科学者210人で構成。科学者の戦争加担への反省に立ち、中立的な立場で政府への政策提言を行ってきた。
 時の政治の干渉を受けない組織であり続けられるか、不安視されている。政府と学術会議は禍根を残さないよう、引き続き議論を続ける必要がある。
 報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとともに、国に助言する権限や、国からの財政支援を保障するとした。
 学術会議にとって前向きな内容も含まれた一方で懸念されるのは、独立性や自律性の確保だ。
 報告書は、活動を国民に説明する仕組みの必要性を指摘。会員選考の際には、会長が任命する外部有識者からなる「選考助言委員会」を新設するよう求めたほか、投票制も提示した。評価委や監事も含め、関わり方によっては独立性が損なわれかねないような提言が目立つ。
 もちろん学術会議にも会員選考や運営の透明性、客観性を高める姿勢は求められる。だが、重要なのは自主的な取り組みであることだ。
 学術会議の見直し論は、2020年の菅義偉元首相による会員候補6人の任命拒否に端を発する。この6人は過去に政府法案などに反対していた。
 説明を求める学術会議に対して政府は理由を明らかにせず、両者は対立。政府は現行の組織形態を維持した上で、会員選考に第三者を関与させるとした法改正案の国会提出を目指した。だが、学術会議の強い反発で断念。法人化方針を決め、有識者懇談会を設けた経緯がある。
 任命拒否問題について十分な説明責任を果たさないまま、政府は組織の見直し論を進めた。学術会議側の不信感は解消されていない。独立性への懸念が残るのは当然だろう。
 報告書を受けて学術会議の光石衛会長は「改革の当事者として、法制化に向けて責任を持って政府と協議していく」との談話を発表した。
 学術会議側が納得のいく改革を進めるには、両者の信頼関係の再構築が欠かせない。政府はまず拒否問題の解決を早急に図り、その是非を議論しなければならない。
 気候変動や感染症、人工知能(AI)といった地球規模の課題が山積する。求められるのは、効率優先や利益至上主義などに陥らないように政府や産業界に幅広い科学的知見を示すことだ。
 学術会議が自由に提言し、政府は施策に反映する。政府と学術会議の良好な関係を実現してもらいたい。

  元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.26】:学術会議改革 これで独立性保てるか

2024-12-27 04:05:20 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説②・12.26】:学術会議改革 これで独立性保てるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.26】:学術会議改革 これで独立性保てるか 

 日本学術会議の在り方に関する内閣府の有識者懇談会は、国の機関から新法人への移行に向けた最終報告書をまとめた。
 
 国に助言する権限や、国からの財政支援を保障する一方で、活動の透明性を高めるとして、首相が任命する「評価委員会」や監事を置くことを提言した。
 
 これを受け学術会議の光石衛会長は法制化に向けた協議に入る考えを示したが、内部にはなお異論や懸念が残る。政府の介入を許し、独立性を脅かしかねない内容は取り除くべきだ。
 そもそも問題は4年前の菅義偉元首相による会員候補6人の任命拒否に端を発している。唐突に始まった組織見直しは論点のすり替えにほかならない。
 石破茂首相は問題発覚当初、こうした経緯を疑問視し政府の説明責任を訴えていた。首相就任後はほとんど言及がないが、ここでもまた変節するのか。
 任命拒否を撤回し、不透明な経緯を説明するのが筋である。首相は真摯(しんし)に対応すべきだ。
 会員選考について報告書は、首相の任命制をやめるとともに客観性を持たせるとして外部有識者による「選考助言委員会」を新設し意見を聴くことを盛り込んだ。投票制も提示した。
 懸念されるのは、複数設ける外部監視の仕組みが、学術会議の自主性を縛らないかということだ。特に評価委員や監事は政府が人選するため、結果的にその意向が反映されかねない。
 学術会議の総会では報告書について「絶対に認められない」との反論の一方、評価すべきだとの声も出たという。
 光石会長も柔軟姿勢に転じたように映るが、夏には「懸念が十分払拭されないなら重大決意をせざるを得ない」と強調していた。主張は貫くべきだろう。
 政府・自民党内では、大学の軍民両用研究に反対するなどしてきた学術会議の姿勢に不満があるという。だが、ナショナルアカデミーに求められるのは時の政府と一線を画し、中立公平な立場から直言することだ。
 学術会議には、戦前の科学者が軍事研究に動員された経験を反省して作られた歴史があるということを忘れてはならない。
 首相は就任前、「学術会議は政権の独占所有物ではない。国の機関は国民のものだから、国民の納得がいくことが必要だ」と述べていた。
 
 政府は来年の通常国会に学術会議の法人化のための法案提出を目指すというが、衆院は少数与党で、野党は国の対応を厳しく批判している。
 
 首相は初心に立ち返り、対応を改めなければならない。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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《社説②・12.26》:日本学術会議の改革 独立守り役割果たす姿に

2024-12-26 02:01:40 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

《社説②・12.26》:日本学術会議の改革 独立守り役割果たす姿に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.26》:日本学術会議の改革 独立守り役割果たす姿に

 現代社会には科学が大きな影響を及ぼしている。政治家と科学者が互いに不信感を募らせている状況は解消すべきだ。

 日本学術会議の在り方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。

内閣府の有識者懇談会がまとめた報告書について議論する日本学術会議の総会=東京都港区で2024年12月22日、中村好見撮影

 議論のきっかけは2020年、当時の菅義偉首相が会員候補のうち6人の任命を拒否したことだ。「学問の自由への政治介入だ」として、学術会議側から強い反発を招いた。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【小社会・12.24】:魚類学の父

2024-12-24 05:05:45 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【小社会・12.24】:魚類学の父

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.24】:魚類学の父

 いま旬を迎えているブリはご存じ、出世魚で知られる。サイズで呼び名が変わり、地域によっても違うため、昔は取引する時に混乱することがあったという。

 混乱を防ぐには標準名がいる。それを手掛けたのが高知市出身の田中茂穂博士(1878~1974年)だ。別名「魚類分類学の父」。日本の魚研究の基礎を築いた。

 その偉業から県内では牧野富太郎、寺田寅彦とともに「高知の科学者の3巨頭」として扱われることが多いが、スター2人と並ぶとやはり知名度は分が悪いか。しかし弟子によれば「土佐人でも珍しい(ほどの)いごっそう」。多数残した随筆は人間味にあふれる。

 特徴的なのは、現場感覚や感情など非科学的な考察も試みることだ。例えば魚を美味に感じる66カ条を挙げたり、釣りの極意を語ったり。釣り人の多い都会は「魚が気が動転し、ひがみ根性を出す」などとユーモラスだ。

 「学問」の在り方を突き詰めたことでも知られる。田中の研究は富太郎同様にパイオニアだった。研究の意義や手法で自問を重ね、62歳にして「学問は到底わからないものとわかった」との境地を記している(「魚と暮(くら)して」)。それだけ奥が深いということだろう。

 翻って近年。学問を巡っては、論争中だった日本学術会議の在り方で方向が固まりつつあるようだ。だが、政府が研究者を選別しようとした事実は残る。田中なら何と言うだろう。きょう没後50年。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない

2024-12-24 05:03:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.24】:日本学術会議 抜本改革になっていない 

 日本学術会議の改革を検討してきた政府の有識者懇談会が最終報告書をまとめた。

 学術会議は現在、法律に基づく「国の特別機関」という位置付けで、運営は税金で賄われている。

日本学術会議=東京都港区六本木

 令和2年に菅義偉首相(当時)が、学術会議が推薦した会員候補のうち6人を任命しなかったことで会議側が反発した。これを契機に、政府は会員選考の方法などの見直しを検討してきた。

 だが、報告書の内容で国民の役に立ち、国益にかなう組織に生まれ変わるとは思えない。

 報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとした。一方で「ナショナルアカデミー」としての役割を踏まえ、政府が財政支援を行うという。これまで通りの税金投入が見込まれている。

 政府は会員選考に関わらず、任命権を首相から法人側に移す。外部有識者による「選考助言委員会」を新設し、選考方針などに意見を述べさせるが個別の選考には介入しないとした。意見に法的拘束力はない。しかも委員は学術会議の会長に任命させるという。

 活動状況に関する「評価委員会」を設ける。業務執行の適正さを監事が監査する。この委員や監事は首相が任命するが、予算付けのための役割しか果たさないだろう。学術会議がおかしな行動をとったり、成果をあげなかったりしても、是正させることは期待できない。

 これらを改革というのは噴飯ものだ。学術会議が好き勝手に税金を費消するだけに終わるのではないか。

 学術会議の最大の弊害は、日本と国民を守るための軍事研究を強く忌避し、研究を停滞させてきたことだ。昭和25年と42年に軍事目的の科学研究を拒否する声明を出し、その継承を平成29年の「軍事的安全保障研究に関する声明」で宣言した。学術会議はこのような反国民的な言動を反省し、一連の声明を撤回しなければならない。

 令和4年7月に軍事、民生の両方で使える「デュアルユース(軍民両用)」の研究を事実上容認した。だが、国家と国民を守るためには、純然たる軍事研究も推進すべきだ。

 新型コロナ禍でも学術会議がろくな役割を果たさなかったのは記憶に新しい。小手先の組織いじりは無意味である。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.22】:学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ

2024-12-22 05:00:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説①・12.22】:学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.22】:学術会議改革 社会に貢献する組織に改めよ

 国費の投入を求めながら、政府が人事や運営に関与することを拒否する日本学術会議の身勝手な主張は認められない。 

 あくまでも改革に反対を続けるというなら、国に一切頼らない組織を自ら作るべきだ。

 学術会議のあり方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、最終報告をまとめた。「国の特別機関」という位置づけを見直し、独立した法人に移行するよう求めた。一定の公益性のある業務を担う特殊法人が想定されている。

 政府は、学術会議の運営費として年間約10億円を計上している。報告は、法人化後も当面、国に財政支援を続けるよう求めた。

 日本の科学者を代表する機関である学術会議は、政策提言を通じて科学技術や産業の発展に貢献する役割が期待されている。

 だが、これまで時宜を得た提言をしてきたとは言い難い。本来の責務を果たせるよう、組織を改革することは急務だ。

 運営費を支援し続けるにあたっては、新法人に財務や業務を監査する「監事」を置き、外部の有識者が活動実績を点検する「評価委員会」を設置することも提案した。監事と評価委員は、いずれも首相が任命する。

 税金を投じる以上、学術会議が予算を適正に使っているかや、社会に役立つ活動を行っているかを政府が点検するのは当然だ。

 国から独立した組織となるからには、いつまでも税金を投じるわけにはいかない。新法人発足後、政府は、寄付など外部資金の調達を促していく必要がある。

 学術会議を巡っては、会員選考の不透明さが指摘されてきた。

 現在、会員の任命権は首相にあるが、それは形式的にすぎず、実際は現会員の推薦に基づいて選ばれている。その結果、研究分野は広がりを欠き、偏った主張の学者が多い、という指摘もある。

 懇談会が、外部の意見を幅広く聞くよう求めたのは妥当だ。

 ただ、問題はその手法である。報告は、外部の科学者でつくる「選考助言委員会」を新法人に設置するよう提案したが、この委員の人選については、学術会議の会長が決めるという。

 会長に選ばれた人が助言するというのでは、会員選考もお手盛りになってしまうのではないか。それでは改革する意味がない。

 学術会議を各界の多様な人材が集まる組織とするには、助言委員に産業界からの登用を義務づけるなど、政府が一定程度、関与することが不可欠だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.21】:日本学術会議 独立保つ組織へ対話尽くせ

2024-12-21 16:00:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説①・12.21:日本学術会議 独立保つ組織へ対話尽くせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.21】:日本学術会議 独立保つ組織へ対話尽くせ 

 「国の特別機関」である日本学術会議の在り方を検討してきた内閣府の有識者懇談会が、政府方針である新法人への移行に沿った報告書をまとめた。

 首相による会員の任命をなくす一方、活動状況を確認する評価委員会や監事の任命への関与を盛り込んだ。

 時の政権の意向に左右されない独立性、公正さを保てるのか。根深い疑念を残さないよう議論を尽くさねばならない。

 報告書は、学術会議を国から切り離して法人化するとともに、国に助言する権限や国の財政支援を保障するとした。

 活動や運営を国民に説明する仕組みが必要とし、財政基盤の多様化に取り組むことも求めた。

 政府は、報告書をもとに、来年の国会で関連法案を提出する構えだ。

 国費を用いて公的機能を担う役割は維持される。構成員や運営の透明性、科学的見識からの助言機能の強化が求められることは当然だ。

 懸念が拭えないのは、独立性である。

 会員選定では、これまで通り研究者による互選を維持するが、形式的な首相による任命をなくす。一方で、客観性を高めるためとして、外部有識者からなる「選考助言委員会」を設け、投票制の導入も掲げた。

 評価委員会と2人の監事を首相が任命するとしたことと併せ、政権の恣意(しい)的な介入につながらないだろうか。

 そもそも、この問題は2020年、当時の菅義偉首相が理由も説明しないまま、新会員候補6人の任命を拒否したことに始まる。

 自民党内では、学術会議が過去の戦争協力への自省から軍事防衛研究に反対していることに不満が高まっていた。

 意に沿わない学術会議に対し、人事や運営へ介入して統制しようとする意図は明らかだろう。

 岸田文雄前首相も任命拒否を見直さず、昨年4月、会員選考に第三者を関与させる改正案を提出しようとしたが、学術会議の強い反対を受けて断念した。

 いまだ政府は、強行した任命拒否について説明責任を果たしていない。それを組織の見直しへ議論をすり替える姿勢が、不信感の根元にある。

 昨年成立させた改正国立大学法人法も、文部科学相が承認した委員が大学経営の中枢に関わる内容で、介入の余地が増え、学術界は警戒を強めている。

 学術会議は22日に総会を開き、協議する。

 高度な知見と自由で忖度(そんたく)のない直言こそ、社会課題を解決し、国の針路を誤らせないために不可欠だ。任命拒否の撤回を手始めに、学術会議と政府の直接の対話でこじれた糸をほどき、組織や活動の改革に向けた合意点を見いだしてほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月21日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:学術会議と政府 自由と独立を損ねるな

2024-01-15 08:03:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説①】:学術会議と政府 自由と独立を損ねるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:学術会議と政府 自由と独立を損ねるな 

 日本学術会議を現行の「国の特別の機関」から「国から独立した法人」に移行する基本方針を政府が表明した。しかし、何のための法人化なのか。政府の意に沿わなくても、独立した「ご意見番」であることが会議の存在意義だ。安易な結論は見送るよう求める。
 
日本学術会議
にほんがくじゅつかいぎ
Science Council of Japan
日本学術会議庁舎
日本学術会議庁舎
 
1949年1月20日に開かれた第1回総会[12]
 
 この問題の発端は、2020年に当時の菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否したこと。政府は理由を明らかにしないまま、自民党などが組織の見直しを巡る議論を一方的に進めてきた。
 
 政府は22年末に「会員選考のプロセスが不透明」などとして、会員選考に第三者を関与させる方針を表明したが、学術会議側が猛反発したため、いったん断念。23年に法人化に方針転換し、有識者懇談会を設置した経緯がある。
 
 同懇談会は昨年12月、「国とは別の法人格を有する組織になることが望ましい」との中間報告をまとめた。現行の「国の特別機関」の位置付けを、国から切り離して法人化するという考え方だ。
 
 法人化後の会員選考過程に「政府が一切関わらないことが妥当」としつつも、外部の目による透明性の確保を求めている。
 
 さらに、学術会議の財政基盤を多様化する必要性も示している。例えば対価を徴収して審議の依頼に応じることなどだ。
 
 この考え方は、学術会議を「ナショナル・アカデミー」でなく、コンサルタント的な役目を負わせるに等しいではないか。民間のスポンサーに頼らず、独立して科学的な立場から発言することが学術会議の役割のはずである。
 
 懇談会の認識が、そもそもずれているのではないか。法人化しなくても、現行の仕組みでも十分、組織の活動や運営の自由度は確保できると考える。
 
 学術会議が独立かつ自由だったゆえに、過去に「軍事研究は行わない」との声明を出したり、防衛省による研究費の助成制度について「政府介入が著しい」と厳しく批判できたのだ。
 
 政府の基本方針には、外部有識者による「選考助言委員会」「運営助言委員会」「評価委員会」など、学術会議ににらみを利かせるような組織の設置が並ぶ。
 
 国から独立した法人化を掲げながら、学術会議を不自由で非独立の組織としたい政府の意向がにじみ出ている。学問を戦争に利用した歴史を忘れるべきではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月13日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:これまでに最も著者数の多い学術論文は…

2021-09-16 02:05:15 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【余禄】:これまでに最も著者数の多い学術論文は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:これまでに最も著者数の多い学術論文は…

 これまでに最も著者数の多い学術論文は2015年に物理学専門誌に発表されたヒッグス粒子の質量測定の論文という。何と5154人の研究者が名を連ね、33ページの論文中24ページが著者と所属先のリストだった▲著者数が多くなるのは大規模な共同実験のためで、国際的な共同研究が進む今日では執筆者が1000人を超す論文は珍しくないという。たとえ研究不正を行った人がまぎれていても見つけようがない(黒木登志夫(くろき・としお)著「研究不正」)▲逆に著者1人の論文は社会科学、数学などに多く、前者は38%、後者は31%がそうだという。さてネットには小学生の作文から会社員の退職まで支援・代行サービスのある時代だから、学術研究のサポート業者がいても驚きはしない▲ネットのスキル(技能)マーケットでは、大学教員や企業の研究者らが有料で学術論文の執筆支援などを行う「研究スキル売買」が広がっているという。小紙の調べでは、国内最大級のサイトで約120人がスキル販売を行っていた▲売買は仲介業者を介し匿名で行われ、執筆支援やデータの解析など研究の核心部分の指導も行われる。ある販売者の1論文当たり報酬は25万~50万円で、別の国立大教員は研究費稼ぎのためだと売り手側の切実な事情ももらしている▲サイト側は研究の代行のないようチェックしているというが、著者の「研究能力偽装」を問題視する声もある。影響力のある論文は減り、「影の著者」ばかりが増えてゆく日本の学術の未来はどうなるのか。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2021年09月14日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:「有力衆院議長で改憲シフト」=萩生田氏、大島氏交代に言及

2019-07-31 09:53:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【自民党】:「有力衆院議長で改憲シフト」=萩生田氏、大島氏交代に言及

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:「有力衆院議長で改憲シフト」=萩生田氏、大島氏交代に言及 

 自民党の萩生田光一幹事長代行は27日までに、保守系のインターネット番組で、憲法改正の国会発議に向け大島理森衆院議長を代える可能性に言及した。「今のメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置いて憲法改正シフトを国会が行っていくのは極めて大事だ」と述べた。

 萩生田氏は、大島氏について「立派な方だが、どちらかというと調整型だ」との認識を示した上で、「(野党に)気を使いながら、(憲法審査会での)審査はやってもらうよう促すのも議長の仕事だった」と指摘した。

 番組は26日夜に放送された。議長交代は衆院解散・総選挙後に行われるのが慣例。萩生田氏は安倍晋三首相に近く、強引に改憲を進めようとする姿勢を示したものとして野党側が反発しそうだ。  

 元稿:時事通信社 JIJI.com 政治 【政局・自民党】  2019年07月27日  15:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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