路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・03.17】:年収の壁見直し 理念置き去りで税制が歪んだ

2025-03-17 05:01:55 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説①・03.17】:年収の壁見直し 理念置き去りで税制が歪んだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.17】:年収の壁見直し 理念置き去りで税制が歪んだ

 財政の根幹を支える所得税制が、政党間の手柄争いで 歪 ゆが められてはならない。国民の声を広く聞き、あるべき姿を議論していく必要がある。 

 所得税が課され始める「年収の壁」を、103万円から160万円に引き上げる税制改正案の審議が参院で始まった。

 会社員などの収入には、原則全ての人に一律適用する48万円の基礎控除と、年収に応じて最低でも55万円を差し引く給与所得控除が設けられている。年収がこの二つを合計した103万円以下なら、所得税を課さない仕組みだ。

 物価高が長引き、低所得者層の家計は苦しい。デフレが長期化したことで、1995年から非課税枠は据え置かれたままだった。昨今の物価上昇を踏まえれば、課税最低限を見直すことは妥当だ。

 だが、改正案はいびつな形になってしまった。税収減を抑えたい自民、公明の与党と178万円への引き上げを求めた国民民主党との駆け引きで、数字合わせに追われた結果と言わざるを得ない。

 改正案は、年収200万円以下の人について非課税枠を160万円に広げた。それ以外は原則、基礎控除と、給与所得控除の最低額をそれぞれ10万円引き上げる。

 ただし、物価高を考慮し、年収が200万円超から850万円以下の人には2年間の時限措置として、年収に応じ、基礎控除をさらに5万~30万円上積みする。

 実際の減税額は、単身者の場合2万~4万円程度、夫婦共働きで年収がそれぞれ400万円なら、4万円と試算されている。

 国民が納得して税を納めるには、簡素でわかりやすい制度とすることが前提だが、これほど複雑では、理解は難しいだろう。

 改正案では1・2兆円の税収減となる。財政状況が先進国で最悪の水準にあるにもかかわらず、財源のめどがないのも無責任だ。

 そもそも基礎控除は、最低限必要な生活費には税をかけず、国民の生存権を保障するためにある。年収で細分化し、控除額を変えるのは、その趣旨にそぐわない。

 所得税の見直しは多くの国民に影響が及ぶ。本来、時間をかけ丁寧に議論を進めるべきものだ。基礎控除は、所得税率の在り方や、他の税制の見直しなどと合わせて考えていくのが望ましい。

 「手取りを増やす」として議論に火をつけた国民民主党は結局、改正案に賛成せず、与党との協議は決裂した。参院選をにらんで、与野党とも政治的な駆け引きばかりが目立つ現状は嘆かわしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・12.26】:自民党に踊らされる国民民主と維新

2025-01-03 06:15:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【HUNTER・12.26】:自民党に踊らされる国民民主と維新

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.26】:自民党に踊らされる国民民主と維新 

 今年後半の話題をさらった「年収103万円の壁」問題。衆議院議員選挙における与党の「過半数割れ」を受け壁の撤廃を迫った国民民主党だったが、玉木雄一郎代表が不倫スキャンダルで職務停止。自公との3党協議に臨んだ国民民主の古川元久税調会長は、「向こうが全然やる気がない。国民民主党が考えるような数字になる可能性はないと判断せざるを得ない」として席を立った。与党側が提示した新たな壁は123万円で、国民民主が求める178万円には程遠い数字だった。協議が継続される道は残ったものの、国民民主が握ったキャスティングボートが日本維新の会に奪われる可能性さえ出てきた。

             ◆   ◆   ◆

 一度は協議を蹴った国民民主党は「ゆ党」らしく、すぐに3党協議継続の意向を示す。同党には協議を続けるしか道がないというのだ。

 「最初に高めの178万円でボールを投げないと、自公の123万円になってしまう。そこからどう自民党の譲歩を引き出すかだ。3党協議を辞めてしまうと、今のポジションを維新に取られてしまう。維新が教育無償化で割って入ったことで、あわてて協議継続を表明するしかなかった」――国民民主党の幹部はそう舞台裏を明かす。

 ここに来て存在感を示したのが、吉村洋文代表、前原誠司共同代表へと人事を一新した日本維新の会だ。「高校の所得制限なしの無償化を予算編成の中に入れてほしい」「そこに本気で向き合ってもらえるか見極める」述べていた前原氏。結局、来年度予算編成大綱案の中の「教育無償化」の原案には、「教育無償化を求める声があることも念頭」という言葉が盛り込まれた。

 「過半数割れ与党にとって、国民民主党や維新の協力なくして予算成立はない。予算編成大綱案に教育無償化が盛り込まれたことで、本予算への賛成もありうる」――ある維新の国会議員は嬉しそうにそう話す。

 しかし、維新の大失敗は記憶に新しい。今年5月、馬場伸幸代表(当時)は、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革を巡り岸田文雄首相(当時)との会談で「使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講じる」という合意文書にサイン。しかし、約束はあっさり反故にされた。

 馬場氏は「騙された」と怒りを露にしたが、時すでに遅し。当時の馬場執行部は対応の甘さを厳しく批判され、執行部交代の一因となった。痛い経験をした党内からは、懸念の声が上がる。

 「合意書に日付もいれず、あいまいなままにして『総理との約束だから大丈夫』とした馬場氏ら執行部が功を焦って、見事に自民党に騙された。まさに赤っ恥だった。それが衆議院選挙の大敗にも影響した。今回も政治とカネの問題や予算編成、成立を控えているので、また最初に調子のいいことを言われて喜んでいるだけではないか」

              ◆   ◆   ◆

 実は維新も、内情は複雑だという。吉村知事は代表就任後、これまで2度否決された「大阪都構想」の検討チームを発足させた。これまでの看板だった「身を切る改革」では選挙に勝てなくなったからだ。維新の国会議員がこう話す。

 「先祖返りのように大阪都構想を言い出すしかなかった。そこへ、ちょうど政局で103万円の壁がきた。大阪都構想は、いくら大声で叫んでも大阪だけの話で全国展開にはならない。教育無償化なら全国区。103万円をダシにして、自公政権に絡んでいきたいのが本音。維新の中で前原共同代表は、大阪組と国政組のどちらからも浮いている。早く実績を上げたいと前のめりになった。あわよくば、政権入りを狙っているのだろう」

 馬場氏は、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)に関する合意を行った時、自民党から「政権入り」をチラつかされ有頂天になったと永田町では囁かれていた。そうした状況を経て代表になった吉村知事は、就任時の記者会見で「永田町政治に染まらない、ぶっ壊す」宣言。自民党との対決姿勢を鮮明にしたはずだったが、教育無償化で、あっという間にすり寄った形だ。

 負けじと国民民主党も自民党との共同歩調を狙う。ある自民党幹部は、「こちらの思うツボだ」として笑顔さえ見せ、次のように語る。

 「国民民主党の178万円をそのまま飲んだら、自公政権はなんでも言うことを聞くと舐められる。国民民主が3党協議から外れれば123万円も実現しないわけで、絶対についてくると読んで、低めの数字にした。そこに維新を教育無償化で誘って、横やりを入れさせれば、国民民主はますます慌てる。こうやって国民民主党と維新を天秤にかけている状態だ。うまくやれば、国民民主と維新、両方を釣りあげることができる。1月から予定される通常国会では、本予算の編成、成立が最大の焦点。国民民主と維新のどちらも賛成となれば、自公に国、維の連立もありうる。いずれマスコミはそう騒ぎ出す。どちらの党も閣僚ポストがちらつきだすと、そわそわし出すだろう」

 政権を揺さぶっているようで、実は踊らされている格好の国民民主と維新。したたかさでは、石破自民党が上回っている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース・国民民主党・日本維新の会・政策・「年収103万円の壁」、教育無償化】  2024年12月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【立憲民主党】:小沢一郎氏が指摘「自民党があめ玉くれたに過ぎない」手取り増やすには「税の全面改正しないと」

2025-01-02 00:10:30 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【立憲民主党】:小沢一郎氏が指摘「自民党があめ玉くれたに過ぎない」手取り増やすには「税の全面改正しないと」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【立憲民主党】:小沢一郎氏が指摘「自民党があめ玉くれたに過ぎない」手取り増やすには「税の全面改正しないと」

 立憲民主党の小沢一郎衆院議員(82)は1日、東京都内の私邸で開いた新年会であいさつし、「今の税制の議論を否定しているものではないが、本当に手取りを増やすということであれば、もっともっとやることがある」と、主張した。

東京都内の私邸で開いた新年会であいさつする立憲民主党の小沢一郎衆院議員(撮影・中山知子)

 国民民主党が「手取りを増やす」として、「年収103万円の壁」引き上げを求めて与党と交渉を続けていることを念頭に置いたとみられる。

東京都内の私邸で開いた新年会であいさつする立憲民主党の小沢一郎衆院議員(撮影・中山知子)

 小沢氏は、昨年の衆院選で与党が過半数割れとなりながら、政権交代が実現できなかったことに関して「非常に残念でならない」と振り返り「現状を変えることを嫌う日本人がここまで意を決して野党に投票してくれたのに、野党の政権をつくり得なかった責任は、非常に大きい」と、自省の念を口にした。

 その上で「今の状況を見ますと、戦後長く続いた自社(55年)体制での野党の姿を思い出す」とした上で「自民党に何か、ちょっとした、と言うと失礼になるけれど、自分たちの要求をして、それが受け入れられたら『勝ち取った、勝ち取った』と言って、喜んでいる。自民党があめ玉をくれたに過ぎない」と、指摘した。「私は、今の税制の議論を否定しているものではありません」と断った上で「本当に手取りを増やすということなら、もっともっと、やることはある。税そのものであっても、税の全面的な改正をしないと、本当に手取りが増えるということにはならないということは、だんだんみなさんもお分かりになってきたと思う」とも口にした。

 1月24日に召集予定の通常国会での論戦を念頭に「国民の生活が第一という政治を実現するにはどうしたらいいか。どういう政権の枠組みがいいのか」とした上で「その都度、1つ1つ、枝葉末節のおみやげをもらって喜んでいればそれでいいというのでは、到底、議会制民主主義の機能を果たしたとはいえない」と述べた。「野党の諸君はしっかり、自ら、国民にどういう使命を託されたのか責任を負ったのかを、自覚してほしいと思っております」と促した。

 また、今年の干支(えと)が「乙巳(きのと・み)」であることに触れ「(乙巳は)60年に1回の、大変革の年だそうです。日本の国の中で3度、『革命』が起きたが、その第1が(645年の)乙巳に起きた大化の改新。そういう意味において(今年に)私は、まだ大いなる希望を持っている。我々に課せられた国民の期待する姿を実現するように、頑張りたい」とも訴えた。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・立憲民主党の小沢一郎衆院議員・東京都内の私邸で開いた新年会】  2025年01月01日 18:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《記者の目・12.26》:2025年度税制改正 野党が動かした「年収の壁」=杉山雄飛(経済部)

2024-12-26 02:01:20 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

《記者の目・12.26》:2025年度税制改正 野党が動かした「年収の壁」=杉山雄飛(経済部)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《記者の目・12.26》:2025年度税制改正 野党が動かした「年収の壁」=杉山雄飛(経済部)

 「年収103万円の壁」の引き上げが決まった2025年度税制改正を取材した。税制改正はこれまで、与党である自民、公明両党だけで決めてきたが、今年は野党の国民民主党が加わったことで流れは一変し、社会の注目も集めた。私たちの暮らしに根ざす税制に対する国民の関心が高まったのは前向きな変化だ。一方で取材の過程では、税制が「政争の具」になりかねないという危うさも感じた。

協議に臨む自民党の宮沢洋一税調会長(右から2人目)、公明党の赤羽一嘉税調会長(右端)と国民民主党の古川元久税調会長(同4人目)=衆院第2議員会館で2024年12月17日、平田明浩撮影

協議に臨む自民党の宮沢洋一税調会長(右から2人目)、公明党の赤羽一嘉税調会長(右端)と国民民主党の古川元久税調会長(同4人目)=衆院第2議員会館で2024年12月17日、平田明浩撮影

 最大の論点となったのは、所得税がかかり始める年収103万円の壁の引き上げだ。壁を超えても所得税の負担は大きく増えるわけではないが、アルバイトの学生が親の扶養控除の対象から外れて世帯の手取りが減るなど「働き控え」の要因となっていた。

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【社説①・12.24】:与党の税制改正 国会で責任ある議論尽くせ

2024-12-24 16:00:30 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説①・12.24:与党の税制改正 国会で責任ある議論尽くせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.24】:与党の税制改正 国会で責任ある議論尽くせ 

 政権維持のための取引と先送りが目に付き、急ごしらえの感が拭えない。

 与党が2025年度の税制改正大綱をまとめた。焦点となった所得税が生じる「年収103万円の壁」は、123万円まで非課税枠を引き上げる。

 物価高が続く中、約30年間も据え置かれてきた控除額を見直すのは理解できる。主婦パートらの働き控え解消への期待もあろう。

 3党協議で、国民民主党が最低賃金の上昇率を根拠に「178万円」を主張したのに対し、自民、公明両党は物価上昇幅をもとに、計20万円の引き上げとした。

 地方自治体の減収は178万円になった場合の4兆円からは抑制され、最大1千億円となるという。だが、減収分の穴は埋めないとしており、福祉などの給付減につながる懸念が残る。減税効果は、年収400万円で5千円程度と見込まれる。

 一方、大綱には「178万円を目指して、来年から引き上げる」との3党合意を明記した。国民民主が25年度当初予算案などへの協力を引き換えに、要求を強める不確定要素を含む。

 政局の駆け引き材料に、税制を利用する3党の姿勢は無責任と言わざるを得ない。

 大学生年代(19~22歳)の子を扶養する親の税負担軽減も、子の年収制限を103万円から150万円へと引き上げた。「さらに学生を働かせるのか」との批判もある。奨学金制度の充実など、安心して学べる環境作りこそ優先すべきではないか。

 負担増は先送りが目立つ。

 防衛力強化の財源のため、法人税とたばこ税の引き上げを2026年4月から始めるが、所得税は開始時期の決定を3年続けて見送った。「壁」の見直しによる減税との整合性から慎重論に傾いた。

 そもそも防衛費「倍増」の規模ありきを見直し、必要性を精査せねばならない。

 高校生年代(16~18歳)の子がいる世帯の扶養控除は、児童手当の拡充の代わりに昨年の大綱で縮小を明記したが、先延ばしして維持するという。

 減税効果を当て込んだ税収増頼みは、場当たりに過ぎる。負担増を巡る議論を避けていては財政の持続性はおぼつかない。

 躍進したとはいえ、衆院議席6%の国民民主の一部意見を入れ、少数与党がまとめた大綱は説得力を欠く。

 立憲民主党などからは、社会保険料の負担が生じる「130万円の壁の方が高い」と見直しを求める案が出ている。

 富裕層の所得税負担率が下がる「1億円の壁」解消に向けた金融所得課税の強化などは、財源の捻出に向けて真剣に議論すべきだろう。

 与野党がオープンな国会の場で、税と社会保障を含めた公平な負担の在り方を議論してもらいたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月24日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.24》:与党税制大綱 政局優先の議論では困る

2024-12-24 09:31:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

《社説①・12.24》:与党税制大綱 政局優先の議論では困る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.24》:与党税制大綱 政局優先の議論では困る 

 自民、公明両党が2025年度の与党税制改正大綱を決めた。

 所得税が生じる「年収103万円の壁」の扱いが焦点になった。少数与党となり、議論に加わった野党の国民民主党が強くこだわったからだ。

 課税される最低水準の引き上げについて、国民民主が178万円を主張したのに対し、自公は123万円を提示。合意に至らず大綱に123万円と明記した。

 ただ、今回は大綱の内容がそのまま実現するとは限らない。少数与党のため、政府が大綱に沿った法案を出しても野党の協力がないと成立は難しいからだ。合意に向けた議論は今後も続く。

 大綱は、インナーと呼ばれる与党の一部幹部議員の話し合いで決まるのが通例だった。野党が加わったことで決定過程の可視化が進んだとの評価も聞かれる。

 税制の議論を、これまでより開かれた形に変えていく一歩となった面はあるかもしれない。だが今回、その内容は政局的な思惑ばかりが先行し、改正による効果や財源に関する議論が深まったとは言いがたいものになった。

 国民民主は「年収の壁」の引き上げによる「手取りアップ」を掲げている。つまり減税を主張しているわけだが、それで生じる税収減をどうカバーしていくのか、明確な考え方を示していない。責任ある対応とは言いがたい。

 同党の案が通れば7兆~8兆円の税収減になるとされる。有権者にアピールしようと減税を訴えるだけでなく、負担のあり方にも十分に目配りしてほしい。

 大綱では、大学生年代の子を扶養する親の税負担を軽減する「特定扶養控除」について、子の年収制限を103万円から150万円に引き上げることも決めた。年収の壁で浮上した論点の一つだ。

 長くアルバイトをしても親の納税額が増えないようにし、人手不足緩和につなげる狙いがある。家計の一助にもなる。ただ、学業が本分の大学生に労働を促すだけでよいのか。学生の支援策はもっと視野を広げて考えたい。

 今回の税制論議は、年収の壁に注目が集まる一方で先送りされた分野も少なくなかった。

 例えば、増額した防衛費の財源確保のための増税だ。法人税とたばこ税は26年4月からの増税を決めたが、所得増税の開始時期の決定はまたも見送った。

 公平性の確保や格差是正など、税制は論点が複雑に絡み合う。与野党の駆け引きを超え、腰を据えて議論する必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月24日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.23》:県宿泊税の導入 使途の議論をまず詰めて

2024-12-24 09:31:35 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

《社説①・12.23》:県宿泊税の導入 使途の議論をまず詰めて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.23》:県宿泊税の導入 使途の議論をまず詰めて 

 納得できる使途の検討がまず必要だろう。

 県が観光振興の新たな財源として2026年度の導入を目指している「宿泊税」である。

 1泊300円とし、年間40億円余の税収を見込む制度の大枠は固まりつつある。ただし、徴税を担う観光事業者には異論もあり、理解が十分浸透しているとは言いがたい。

 40億円を何に使うのか。宿泊客に負担を求めるのに、公益性の根拠である使途をめぐる議論が後回しになっているからだ。

 県の審議会が導入を答申して8カ月。県が「想定される使途」を例示したのは今月18日、県民との意見交換会の場である。

 例示された使途の方向性は理解できる。スマホ操作一つで観光ルートを最適化し、複数の交通機関やサービスの予約、決済が行える「MaaS」(マース)の導入はその一つだ。旅行者へのアンケートで、目的地へのアクセスの満足度の低さが信州観光の弱点だとする認識に基づいている。

 それは旅行者の利便性向上にとどまらず、高齢者の足となる公共交通の再生充実や、マイカー利用を抑えて温暖化対策につなげられる可能性も含んでいる。

 温泉街などのバリアフリー化や廃屋撤去といったまちづくりへの支援も例に挙げた。それらをたたき台に、使途や地域の将来像を事業者、住民らも主体的に考えられれば、税導入の公益性への理解はより深まるだろう。

 今のところ県は、税額を書き込んだ条例案を来年2月県会に提出し、使途は条例が成立した後、市町村や事業者を交えて詰めるとのスケジュールでいる。

 「他地域の取り組みに後れを取ることは許されない」と阿部守一知事は述べてきた。県民との意見交換会でも、北海道が45億円規模の税収を得る条例を成立させたことを引き合いに「長野県も戦えるようにならなければいけない」と強調した。

 ほかの都道府県が次々導入しているからといって税収の規模ありきでことを進めるのは、徴税の重みを考えても疑問がある。

 定額300円とする方針に、県旅館ホテル組合会は、低料金の宿ほど割高感が大きくなるなどとして慎重な姿勢だ。物価高騰にさらされる観光地からは、課税される分、値上げできる余地がなくなると懸念する声も上がる。

 現場と歩調を合わせ、信州ならではの持ち味を生かした制度のあり方を、ともに練り上げるプロセスを大切すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月23日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.24】:25年度税制改正 「年収の壁」解消は道半ば

2024-12-24 06:05:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説・12.24】:25年度税制改正 「年収の壁」解消は道半ば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.24】:25年度税制改正 「年収の壁」解消は道半ば

 税制の見直しは暮らしに直結する。より公平、公正な税制を目指し、与野党で責任ある議論を深めてほしい。

 自民、公明両党は2025年度の税制改正大綱を決定した。所得税が生じる「年収103万円の壁」を123万円に引き上げる。

 103万円は基礎控除48万円と給与所得控除の最低額55万円の合算で、それぞれ10万円引き上げる。非課税枠の拡大は1995年以来、30年ぶりとなる。

 物価と賃金が上がれば所得税負担は重くなる。現状は実質賃金が増えず、生活は厳しくなる一方だ。この30年間に生活必需品は20%ほど値上がりした。これに見合う非課税枠の拡大は妥当だろう。

 長く据え置かれた非課税枠を拡大し、手取りを増やすのは国民民主党の公約だった。衆院の議席が過半数を割った与党が、補正予算案に賛成してもらうために国民民主の主張を一部受け入れた格好だ。

 最低賃金上昇率を基に178万円への引き上げを求める国民民主と与党の溝は深く、3党の協議は物別れに終わった。国と地方を合わせた税収が年7兆~8兆円減少することがネックとなった。

 それでも大綱には178万円を目指して来年から引き上げることや、いわゆるガソリンの暫定税率廃止に向けた3党幹事長の合意内容を盛り込み、「引き続き、真摯(しんし)に協議を行っていく」と記した。

 政府、与党が予算案や法案を成立させるには野党の賛同が欠かせない。国民民主との協議が再開され、非課税枠が拡大する可能性もある。

 党利党略を絡めたポピュリズム(大衆迎合主義)的な減税で、赤字国債を増発する事態は避けなくてはならない。歳入歳出の両面に目を配った議論を求めたい。

 国民民主の協議参加で、与党の密室で決まっていた税制改正の過程が国民に見えるようになったのは前進だ。さらに透明化を進めてほしい。

 所得税の非課税枠を拡大するだけでは、主婦らの働き控えは解消できない。社会保険料の負担が生じる「106万円の壁」や「130万円の壁」があるためだ。社会保障制度の見直しと一体で検討する必要がある。

 大学生年代の年収の壁は解消する。19~22歳の子を扶養する親の税負担について、子の年収制限を103万円から150万円に引き上げ、これを超えても負担が急増しない仕組みが導入される。

 学費や生活費を稼ぐため、アルバイトをしながら学ぶ大学生には朗報だ。人手不足の緩和にもつながる。

 防衛力強化の財源を確保するための増税は、法人税とたばこ税を対象に26年4月に開始すると決め、所得税は先送りした。

 金融所得が多い富裕層ほど所得税負担率が低くなる「1億円の壁」は手つかずだ。金融所得課税の強化など負担増の議論に踏み込むべきだ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月24日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.24】:税制改正大綱/社会変化に応じた改革を

2024-12-24 06:00:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説・12.24】:税制改正大綱/社会変化に応じた改革を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.24】:税制改正大綱/社会変化に応じた改革を 

 自民、公明の連立与党は2025年度の税制改正大綱をまとめた。10月の衆院選で少数与党に転落した結果、「手取りを増やす」を掲げ議席数を伸ばした国民民主党が議論に加わる異例の展開となった。

 同党が選挙戦の目玉に掲げた「年収の壁」では、所得税の非課税枠を103万円から123万円に改めた。「178万円を目指して、来年から引き上げる」とした3党合意に基づき、今後も協議を続ける。

 ただその内実は冷静な政策議論というより、25年度政府予算案審議や来年の参院選をにらみ国民民主を与党陣営に引き込む政治的思惑に左右された感が否めない。さらなる引き上げについては政策効果なども踏まえた丁寧な議論が欠かせない。

 「年収の壁」が注目された要因に、非課税枠103万円が30年間変わらなかった点がある。憲法で保障する生存権を税制に反映させる主旨を踏まえれば、物価や最低賃金の上昇に合わせ適切に見直すべきだった。

 交渉過程はすぐに国民民主側から発信され、引き上げに消極的な自公税制調査会幹部に批判が集中した。「インナー」と呼ばれる一部の税調幹部が決定権を握り、首相でも逆らえないとされた税制改正のプロセスが一変したのは間違いない。

 一方で3党協議ばかりに議論が集中し、先送りした項目も目立つ。

 岸田政権が22年に掲げた防衛力強化の財源では、26年4月からの法人税とたばこ税引き上げを決めたが、所得税増税は見送った。参院選をにらみ負担増の議論を避けたのだろう。5年間で必要な防衛費を43兆円程度とした方針に沿い防衛予算は増え続けており、財源確保を急がねば財政はいっそう悪化する。

 ガソリン税に上乗せされる暫定税率も国民民主の求めで3党が廃止で合意したものの、実施時期は未定だ。ガソリン税はもともと道路特定財源で50年前に暫定税率が設けられたが、09年に一般財源となっても上乗せが続いていた。脱炭素や電気自動車の普及などを見据えれば、エンジンの排気量が課税基準となる自動車税も含め、自動車関連税全体の見直しは急務である。

 非課税枠を国民民主の主張通り178万円に引き上げれば国と地方で計7兆円強の税収が減る。しかしその対策は議論の俎上(そじょう)にのぼらなかった。ガソリンの暫定税率廃止も税収減をもたらす。

 減税は有権者に受け入れられやすいが、その穴埋めも考えねば、財政健全化はさらに遠のくばかりだ。3党合意を巡り税制に対する国民の関心が高まったのを好機に、社会の変化に対応して税体系を抜本的に改革する議論も求めたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月24日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.23】:与党税制大綱 国民目線で議論すべきだ

2024-12-23 04:00:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説・12.23】:与党税制大綱 国民目線で議論すべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.23】:与党税制大綱 国民目線で議論すべきだ 

 自民、公明両党は2025年度の与党税制改正大綱を決定した。所得税が生じる「年収103万円の壁」については、123万円に引き上げることを明記した。大学生年代の子を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除も、子の年収制限を103万円から150万円に引き上げるなど、現役世代を意識した減税策が並んだ。

 手取り増につながる「年収の壁」の引き上げは一定評価できよう。しかし、効果は限定的であり、個人消費の下支えになるかは不透明だ。物価高騰が続く中、社会保険料の負担も増している。社会保険料とも合わせた抜本的な税制改革を進める必要がある。

 「年収の壁」の引き上げ幅を巡り、物価上昇を根拠とする与党に対し、最低賃金の上昇率を根拠に178万円を主張する国民民主との間で協議は難航したが、大綱には自公国3党幹事長による「178万円を目指して、来年から引き上げる」との合意内容を記載、交渉決裂を回避した。

 これまでの協議では、それぞれが主張する数字が独り歩きし、引き上げによる効果や財源についての議論は十分だったとは言えまい。

 税収が5年連続で過去最高を更新すると見込まれる中、長引く物価高騰で低所得世帯を中心に家計の負担は増している。一方で財政への影響も考慮しなければならない。

 与党にとって、予算案審議を含め衆院での野党の協力は欠かせず、野党にとってはそれぞれの政策を与党にのませることも可能になろう。であればこそ、与野党には国民目線に立った責任ある議論が求められる。開かれた議論を重ねることで、国民の理解もさらに深まるのではないか。

 ガソリン税に上乗せされている暫定税率では自公国3党は「廃止する」との合意文書をまとめたが、実施時期は未定だ。車を保有している世帯だけでなく、物流などにとっても大きな経済効果が生まれる。早急に結論をまとめてほしい。

 税制大綱では、防衛力強化の財源とする3税のうち法人税とたばこ税は、26年4月から引き上げるとしたが、所得税は開始時期の決定を先送りした。国民の反発を招くとの懸念があったためとみられる。

 政府は23~27年度の5年間で必要な防衛費を43兆円程度と定めた。政治的な理由で所得増税が先送りされるなら、巨額な防衛費の根拠について疑問が生じる。

 共同通信の23年5月の全国世論調査では、防衛力強化のための増税を「支持しない」とする回答は80%に上っている。国民負担を見渡す中で、巨額な防衛増税が、果たして優先課題と言えるだろうか。敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を含む防衛力の強化は、かえって周辺諸国との緊張を高めかねない。防衛増税の必要性を与野党で改めて議論し、少子化や物価高対策に充てるよう見直すべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月23日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.21】:与党税制大綱 生活安定への協議続けよ

2024-12-22 06:10:40 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説・12.21】:与党税制大綱 生活安定への協議続けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.21】:与党税制大綱 生活安定への協議続けよ 

 所得税が生じる「年収の壁」の引き上げが大綱に反映され、手取りが増える。与野党が伯仲する中での成果と言っていいだろう。

 ただ、生活の安定に資するかは見通せず、財政面でも懸念が残る。与野党は引き続き、真摯(しんし)な協議を続けねばならない。

 自民、公明の与党両党は20日、2025年度の税制改正大綱を決定した。柱になる「年収103万円の壁」を巡り、所得税の非課税枠を123万円に引き上げる。

 協議に参加した野党、国民民主党の衆院選公約に沿い、年収制限を「178万円を目指して、来年から引き上げる」とした3党の幹事長合意に基づいている。

 しかし3党の税制調査会幹部の間では、引き上げ幅や財源で溝が埋まらず、123万円にとどまった。協議は継続されるとはいえ、国民民主が要求する178万円との開きは依然大きい。

 税制協議が24年度補正予算の成立が絡む政治主導で進んだ半面、政策効果などがデータに基づいて検討された様子はなかった。

 引き上げに伴う所得税や住民税の減収に対する対策も「特段の財源確保措置を要しない」とし、さらなる恒久減税まで保留した。

 地方税の住民税は26年度分から影響が生じ、減収は最大1千億円と試算されるという。政府が当初試算した約4兆円からは大幅に圧縮されたとはいえ、地方税収にどう影響するかは今後の協議次第で、注視する必要がある。

 19~22歳の大学生年代の子どもを扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除では、「特定親族特別控除」(仮称)を創設し、学生らの年収制限を103万円から150万円に引き上げる。

 長時間のアルバイトで学生らの収入が増えても、親の納税額が増えないようにする。学費や生活費が上がる中、アルバイト収入を生活費の足しにしている学生にとっては朗報だろう。

 引き上げには人手不足の緩和につなげる狙いもあるという。

 ただ本来、望ましいのは、学生が生活費を心配せずに、学業に専念できることだ。賃上げで世帯全体の可処分所得を増やすとともに、労働力不足に悩む企業の生産性向上に向けた支援を進めたい。

 与党は当初、児童手当を16~18歳の高校生年代まで広げた代わりに、扶養控除を縮小する方針だった。国民民主が維持を要求し、25年度の控除縮小は見送った。

 防衛力強化の財源を確保する増税の開始時期は、法人税とたばこ税を26年4月からとしたものの、所得税は決定を先送りした。国民負担を避ける狙いだろう。

 一方で少数与党は、野党の要求を取り込まねばならず、財政規律の維持が困難になりがちだ。

 そうした中にあっても、与党には責任ある財政運営が求められることを忘れないでもらいたい。

  元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国民民主党】:玉木氏「財務省は安上がりの政党と握る」、吉村氏「維新のせいでとの臆測はやめてほしい」

2024-12-21 18:51:30 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【国民民主党】:玉木氏「財務省は安上がりの政党と握る」、吉村氏「維新のせいでとの臆測はやめてほしい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国民民主党】:玉木氏「財務省は安上がりの政党と握る」、吉村氏「維新のせいでとの臆測はやめてほしい」 

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・財務省・日本維新の会・国民民主党・年収「103万円の壁」】  2024年12月21日  18:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.21】:与党税制大綱 開かれた論議に程遠い

2024-12-21 07:00:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説・12.21】:与党税制大綱 開かれた論議に程遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.21】:与党税制大綱 開かれた論議に程遠い 

 自民、公明両党は来年度の与党税制改正大綱を決定し、所得税の非課税枠、いわゆる「年収103万円の壁」を123万円に引き上げることを明記した。
 国民民主との間で合意した「178万円を目指す」との内容も盛り込んだ。来年度の金額を巡り3党協議は途絶したが年明け以降の継続を図るという。
 年収の壁問題は働く人の税負担を軽くして手取りを増やし、経済成長を実感できるようにするのが目的だ。政治的駆け引きの道具にしてはならない。
 大綱は防衛力強化のため所得税を上げる時期決定を来年以降に先送りした。法人税などは再来年度に上げる。納税者の反発を恐れ議論を避けた形である。
 与野党伯仲での熟議や開かれた税制論議には程遠い。従来の密室協議の延長でなく堂々と国会で審議を尽くすべきだ。
 税と予算は表裏一体のため、与党は予算編成時期の年末に大綱を決め、政府はそれを受けて税制改正法案をまとめる。
 実権を握るのは自民党税制調査会だ。かつてより影響力は低下したものの、なお存在感を放ち、毎年秋から省庁や業界団体などの要望を聞いて利害調整し税の軽減や特例を差配する。
 今回の大綱も投資を促す個人型確定拠出年金の掛け金上限引き上げや中小企業の法人税軽減税率の特例延長などを決めた。
 ベンチャー企業に投資する個人投資家への優遇措置であるエンジェル税制も拡充した。
 経営者や投資家だけでなく現場で働く人の声も聞くべきではないか。パート主婦やバイト学生とその家族に影響する年収の壁は30年間据え置かれてきた。
 国民民主が声を上げなければ問題視されなかった。その点は評価できようが、閉じた場での交渉には疑問が残る。消極姿勢を崩さなかった与党が食料品などの物価上昇を基に123万円を持ち出したのも唐突だ。
 最低賃金の伸びを反映した国民民主案では税収減が7兆~8兆円に及ぶと強調したが、この案は高所得者の優遇抑制で6千億~7千億円で済むという。切り札を隠していたかのようだ。
 そもそも衆院選で論戦になった消費税減税や金融所得課税強化については全く論議がない。経営者側の経団連ですら社会保障費増に対応するための「富裕層の負担増」を今月提言した。
 これらを総合的に考えねば格差是正の再分配は進まない。
 個別交渉は前例となり、日本維新の会も与党と高校教育無償化の協議を始めた。政策のつまみ食いでは人口減時代の税財政の展望は見えないままだ。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月21日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【主張①・12.21】:与党税制改正大綱 責任ある論議尽くしたか 安定的な防衛財源を確実に

2024-12-21 05:03:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【主張①・12.21】:与党税制改正大綱 責任ある論議尽くしたか 安定的な防衛財源を確実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.21】:与党税制改正大綱 責任ある論議尽くしたか 安定的な防衛財源を確実に 

 国民民主党との協議に折り合いをつけられぬまま、自民、公明両党が令和7年度与党税制改正大綱を決めた。焦点の「103万円の壁」を巡っては、所得税の非課税枠を123万円に引き上げることを盛り込んだ。

 国民民主が求める178万円とは開きがある。3党幹事長は20日の会談で協議の継続を改めて確認し、交渉の枠組みが決裂することだけは回避した。

与党の税制改正大綱を手に記者会見に臨む自民党の宮沢洋一税制調査会長と公明党の赤羽一嘉税制調査会長(左)=20日午後、国会内(春名中撮影)

 年収の壁の見直しは壁を超えないようにする働き控えの抑制策であり、恒久的な減税策だ。暮らしにも幅広く影響する。

 本来は国民民主の賛同を得て与党大綱を決定し、大綱に基づく法案を成立させる道筋をつけるべきだったが、少数与党の石破茂政権にはできなかった。その責任は当然ながら重い。

 ◆「壁」引き上げは妥当だ

 国民民主の姿勢にも残念な点がある。法案成立のキャスチングボートを握ることに意を強くし、手取りの増加を掲げた自らの公約を反映させようと強気に出たのはいい。

 だが、178万円に固執するあまり、与党との土壇場の交渉に応じなかった振る舞いは首肯できない。国と地方で7兆~8兆円の減収になるとの試算を踏まえた財源確保も納得できる具体策を示さなかった。

 これでは無責任である。税制改正を担う政党としての自覚に欠け、「対決より解決」という看板も色あせて見える。

 与党が決めた非課税枠の拡大は、最低限の生活に課税しない基礎控除と、会社員らの経費を差し引く給与所得控除をそれぞれ10万円ずつ引き上げて、控除の合計額を現行の103万円から123万円にするものだ。

 103万円は約30年も据え置かれており、これを引き上げるのは妥当である。焦点だった引き上げ幅について、食費や光熱費など身近な物価の上昇率を反映させたこともうなずける。

 大学生年代(19~22歳)の子供を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除も見直し、子供の年収制限を103万円から150万円に引き上げる。親の控除がなくならないよう103万円を超える就労を控えるアルバイト学生は多い。「103万円の壁」への対応で手をつけるのは当然だ。就労を促して人手不足の緩和につなげたい。

 大綱には、補正予算を成立させるため自公と国民民主の3党幹事長が先に合意した事項も明記した。178万円を目指す方針やガソリンの暫定税率廃止である。いずれも時期や実施方法は示されておらず、今後、3党間で改めて協議する。

 その際には、巨額の税収減を伴うこれらの措置の必要性についてよく吟味すべきだ。減税で可処分所得を引き上げて消費を刺激する狙いは分かる。一方で民間企業では賃上げの動きが広がっている。物価高が深刻だとしても、それで消費が極度に落ち込んでいるともいえない。

 ◆減税の必要性吟味を

 ただでさえ社会保障費などの財政需要が急増する中、財源の当てもなく大規模減税を進めるわけにはいくまい。地方への影響も見極める必要がある。減税で経済が上向けば税収増も期待されるが、それがどの程度なのかも詳細に検討すべきだ。 

 一方、大綱では、防衛力を抜本的に拡充するため2年前に実施を決めた3つの増税項目のうち、所得税増税を始める時期の決定を先送りした。法人税とたばこ税は8年4月から増税を実施することが決まった。

 所得税見送りの背景には手取り増を掲げる国民民主への配慮などもあったようだ。だが防衛力を安定的に強化するためには安定した財源が必要だ。そのための道筋をいつまでも決められないのはどうしたことか。軍事的圧力を強める中国などがどうみるかについて懸念する。

 高校生年代(16~18歳)の子供がいる世帯の扶養控除縮小については、現状を維持することにした。控除縮小は児童手当の支給対象に高校生を含めることに伴う措置だ。だが、昨年末の税制改正では最終決定に至らず今回の改正に持ち越された。それがまたもや見送られた。

 先の衆院選で大敗した与党にすれば負担増につながる税制改正は極力避けたいのだろう。一方で衆院選で大きく議席を伸ばした国民民主は世論の支持に自信を深めて減税路線の一点張りである。そうした政治状況で与党が役割を果たすべき責任ある税制論議が深められたのかは疑わしい。石破政権は厳しく認識すべきである。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.21】:税制改正大綱 無責任な楽観論は慎むべきだ

2024-12-21 05:00:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【社説①・12.21】:税制改正大綱 無責任な楽観論は慎むべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.21】:税制改正大綱 無責任な楽観論は慎むべきだ

 税制を改めれば、恩恵を受ける人と負担が増える人が出てくる。一人ひとりの負担能力に応じ、均衡の取れた税制を決めるのが政治の役割だ。 

 財源を考えずに大幅な減税を唱えるだけでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)でしかない。今回の「年収103万円の壁」を巡る議論を、公平な税負担はどうあるべきかを考える契機としたい。

 自民、公明両党が、来年度の与党税制改正大綱を決めた。

 大綱には、所得税がかかり始める103万円の水準について、2025年から123万円に引き上げる方針が明記された。今の課税水準となった1995年以降、食費や光熱費などの家庭の支出が2割上昇したことを踏まえた。

 物価高が長引く中、30年間据え置かれてきた非課税枠を引き上げるという判断は理解できる。

 もっとも、今回の大綱は最終的な決着ではない。

 少数与党は、178万円への引き上げを求める国民民主党の協力をつなぎとめるため、大綱に「引き続き 真摯 しんし に協議する」と盛り込んだ。大綱決定と並行して会談した自公と国民民主の幹事長も、そうした方針を改めて確認した。

 政府は年明けの通常国会に、大綱を反映した税制関連法案を提出するが、3党の協議次第では修正される可能性がある。

 国民民主の要求通り、非課税枠を178万円に引き上げた場合、減収は7兆~8兆円に上る。与党が決めた123万円の場合でも、数千億円の減収となる。

 それを増税なしで穴埋めしようと安易に国債発行に頼れば、今の若者を含めた将来世代にツケを回すだけで、妥当とは言えまい。

 一方、大綱には、防衛力強化の財源を確保するため、たばこ税と法人税を2026年4月から増税する方針が明記された。

 岸田前政権は2年前、防衛費の拡充のため、法人税と所得税、たばこ税を増税し、年1兆円の財源を賄う方針を決めた。24年度からの実施を想定していたが、自民党内で世論の反発を恐れる声が強まり、先送りが続いていた。

 今回、3税のうち所得増税は見送ったものの、ようやく財源確保に道筋が付いたことは前進だ。

 自民や国民民主内には、国の税収が伸びていることを理由に「増税しなくても防衛予算の拡充はできる」といった声がある。

 税収は多少伸びているからといって、国のお金が余るようになったわけではない。無責任な楽観論は控えねばならない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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