路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.22】:プラごみ汚染 防止条約へ各国は協調を

2024-12-22 06:05:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説・12.22】:プラごみ汚染 防止条約へ各国は協調を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.22】:プラごみ汚染 防止条約へ各国は協調を 

 プラスチックごみが地球環境を汚染し、生態系を脅かしている。私たちの暮らしにも関わる問題だ。

 実効性のある対策を早急に実行しないと、事態はますます深刻になる。各国は合意形成に努めてほしい。

 国連環境総会は、プラごみ汚染を防止する国際条約を2024年中にまとめる目標を掲げていた。

 先月から今月にかけて韓国で開かれた政府間交渉委員会では合意できなかった。極めて残念だ。来年の再協議に期待する。

 環境汚染を防ぐには、プラスチックの原料や製品の生産から廃棄まで、全ての段階で対策が必要となる。

 会合で意見が対立したのはプラスチックの生産規制だった。環境対策に熱心な欧州連合(EU)が厳しい規制を求めたのに対し、プラスチック原料の石油を産出する中東諸国は強く反発した。

 EUやアフリカ、島しょ国などは、今回は生産規制を盛り込まず、条約発効後の締約国会議で削減目標を設定することを提案したが、産油国側は一切の妥協を拒んだ。

 プラスチックの大量生産、大量消費は環境に大きな負荷を与えている。現状を踏まえると、一定の生産規制は避けられない。段階的な削減を検討すべきではないか。

 日本は「できるだけ多くの国が参加する条約を目指す」との立場で、産油国にも理解を示した。交渉ではあまり存在感を発揮できなかった。

 日本は1人当たりの使い捨てプラスチックの使用量が、米国に次ぎ2番目に多い。海洋汚染にも直面している。今後の交渉では、より積極的な役割を果たす責務がある。

 プラごみの被害は国によって大きな差がある。気候変動に比べて問題意識が世界中に浸透していないことも、歩み寄りを困難にしている。

 各国は危機感を共有しなくてはならない。経済協力開発機構(OECD)によると、世界で生産されるプラスチックの量は40年に7億トンを超える見通しだ。20年の1・7倍に当たる。

 リサイクルや適切な処理をされず、環境中に流出したプラごみは年間2200万トンに上る。このまま推移すると50年までに、海へ流入したプラスチックの総重量が魚を上回るという試算もある。

 プラごみが漂着する島しょ国では、漁業や観光に影響が広がっている。海洋生物や鳥が餌と間違って食べたり、体に絡まったりして死ぬ事例は少なくない。

 直径5ミリ以下のマイクロプラスチックは人体からも検出され、健康に影響する恐れが指摘されている。

 軽くて丈夫で、安価なプラスチックは日常生活に欠かせない。すぐに使うことをやめられなくても、過剰包装の見直しなどで消費量を減らすことはできる。私たちの身近なところからプラごみの削減に取り組みたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月22日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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《記者の目・12.19》:プラ汚染根絶、各国に深い溝 急がれる条約、日本も貢献を=大野友嘉子(くらし科学環境部)

2024-12-19 02:01:00 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

《記者の目・12.19》:プラ汚染根絶、各国に深い溝 急がれる条約、日本も貢献を=大野友嘉子(くらし科学環境部)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《記者の目・12.19》:プラ汚染根絶、各国に深い溝 急がれる条約、日本も貢献を=大野友嘉子(くらし科学環境部)

 国連環境計画(UNEP)の下で、各国はプラスチック汚染根絶のための国際条約を年内に策定することを目指してきたが合意に至らず、来年の会合で仕切り直すことになった。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/19/20241219ddm012070106000p/9.webp?2" type="image/webp" />会合最終日に開かれた、2040年までのプラスチック汚染根絶を目指す有志国・地域の集まり「高い野心連合(HAC)」の記者会見。実効性ある条約策定の必要性を訴えた=韓国・釜山で1日、大野友嘉子撮影</picture>
会合最終日に開かれた、2040年までのプラスチック汚染根絶を目指す有志国・地域の集まり「高い野心連合(HAC)」の記者会見。実効性ある条約策定の必要性を訴えた=韓国・釜山で1日、大野友嘉子撮影

 焦点のプラスチック生産規制を巡る溝はあまりにも深く、交渉の過程では各国が互いをののしり合うような場面もあった。だが環境汚染は悪化の一途だ。汚染根絶に向けて実効性ある条約を完成させることは喫緊の課題で、日本も合意形成により積極的に貢献すべきだ。

 「私たちの地球、海は窒息している。建設的な貢献をせず、野心的な条約を結ぼうとしないのであればこの場から退場してほしい」、

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】  2024年12月19日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.16】:プラごみ条約/合意目指し議論の継続を

2024-12-16 06:00:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説・12.16】:プラごみ条約/合意目指し議論の継続を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.16】:プラごみ条約/合意目指し議論の継続を 

 プラスチックごみによる環境汚染を防ぐ国際条約を巡り、条約案を取りまとめる会合を韓国で開いた政府間交渉委員会が、各国による合意を先送りすることを決めた。代表団が1週間にわたって議論した結果、最大の焦点となったプラスチックの生産規制について、積極的に賛成する国々と反対を主張する国々との深い溝を埋められなかった。

 交渉委の議長を務めるエクアドルのルイス・バジャス氏は「私たちの作業は完了からはほど遠い」と述べた。だがプラごみによる地球規模の汚染は急速に進んでおり、協議の失敗に落胆している猶予はない。早期の合意を目指し、各国による議論を粘り強く継続してもらいたい。

 プラスチックは石油由来の合成樹脂などを主原料にしている。安価で軽く、丈夫という特長があり、衣服や電化製品、自動車、レジ袋、ペットボトルなど生活に関わるさまざまな製品に幅広く使われてきた。

 分解されにくいため、不法投棄されたごみなどが河川や海洋に漏れ出し、生態系を脅かす。生物が誤って食べて死ぬほか、マイクロプラスチックが人の体内から検出される問題も起きている。脳卒中などのリスクを高めるとする研究結果もあり、健康への悪影響が懸念される。

 にもかかわらず汚染の進行を止める国際的なルールがない。そのため国連環境総会で2022年に国際条約の策定が決まり、今年末までの条約案とりまとめを目指していた。

 合意を阻んだのは、プラスチックの生産に関し、具体的な削減目標の設定など厳しい規制を求める欧州連合(EU)や島しょ国、アフリカ諸国側と、石油の輸出減少を恐れる中東諸国、ロシアなど産油国側との対立だ。産油国側は「(条約は)廃棄物対策に絞るべき」と反発した。

 経済協力開発機構(OECD)によると、19年の世界のプラスチック生産量は00年に比べて2倍になり、今後さらに増える。その間に環境流出も深刻化していく。ただし、対策を進めれば40年までに環境流出を95%程度削減できるという。生産、消費、廃棄の全段階での対策が不可欠であることは論をまたない。

 海流でプラごみが来る太平洋の島しょ国は、会合中に強く被害を訴えた。汚染の進行は日本も同様だが、日本政府は「できるだけ多くの国が参加する条約を目指す」との中立的な立場を通した。環境団体から「先進7カ国(G7)の中で一番後ろ向き」と批判されたのも当然だ。

 交渉委の会合は25年に再び開催されるとみられるが、難航が予想されている。日本は今度こそ議論をリードし、国際条約策定に向けて先進国としての役割を果たすべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.10】:プラごみ条約 汚染止める合意早急に

2024-12-10 04:03:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説①・12.10】:プラごみ条約 汚染止める合意早急に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.10】:プラごみ条約 汚染止める合意早急に 

 プラスチックごみ汚染を防ぐ国際条約作りは合意に至らなかった。韓国で行われた政府間交渉会合は、結論を先送りした。
 
 プラごみは適切に処理されなければ、河川などから海へ流れ込む。劣化すると細かなマイクロプラスチックやさらに小さいナノプラスチックとなり、魚などにも蓄積する。摂食を通し人体に影響を及ぼす懸念もある。
 
 プラスチックによる汚染は、気候変動や生物多様性の喪失と並ぶ地球規模の課題である。
 2022年の国連環境総会では今年末を条約策定の期限とすることで合意していただけに、今回の事態は残念だ。
 汚染を止めるため、各国は立場の違いを乗り越えて足並みをそろえ、実効性のある条約を早期に策定しなければならない。
 交渉で焦点となったのはプラスチックの生産を規制するかどうかだ。欧州連合(EU)などが汚染を根絶するには生産量全体を減らす必要があると主張したのに対し、サウジアラビアなどの産油国は強く反対した。
 産油国にとって、温暖化対策で化石燃料の削減が求められる中、プラスチックの生産が規制されれば、原料である石油の需要が一層減退する懸念がある。
 生産規制の目標については、条約策定後の第1回締約国会議で採択するとの妥協案も示されたが、産油国は拒否した。
 世界のプラスチック生産量は年々増加している。経済協力開発機構(OECD)によると、19年に環境中に流出したプラごみは2200万トンに上る。対策を強化しなければ、60年には4400万トンに倍増する。
 根本的な解決には、生産を含む規制強化が必要ではないか。産油国は自国の利益よりも、地球の危機を救う大局的な見地に立ってもらいたい。
 肝要なのは、生産から使用、処分、リサイクルまで、プラスチックの「ライフサイクル」全体に目配りした対策だ。
 日本は一律の生産規制ではなく、リサイクルなどを含めて、各国の事情に応じた取り組みを重視する立場だ。ただ各国の努力頼みでは抜け穴が生じる。海の汚染は国境をまたぐ。世界共通の削減ルールが欠かせない。
 
 日本は1人あたりのプラ容器包装の廃棄量が米国に次いで2番目に多い。政府はプラスチックを再生利用する「循環経済」の取り組みを進めている。
 
 生産抑制の目標を定めたり、紙などプラスチック代替品への切り替えをさらに促進するなど、より踏み込んだ政策を打ち出して、条約交渉で指導力を発揮してほしい。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月10日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・12.05】:プラごみ条約 削減対策で合意あきらめるな

2024-12-07 05:01:10 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説②・12.05】:プラごみ条約 削減対策で合意あきらめるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.05】:プラごみ条約 削減対策で合意あきらめるな

 自然界では分解されないプラスチックごみが国境を越えて広がり、深刻な環境被害をもたらしている。国際社会は立場の違いを克服し、具体的な削減対策で合意すべきだ。 

 プラスチックごみによる汚染を防ぐ国際条約の策定に向けた政府間交渉委員会が、韓国で開かれた。だが、参加国の意見が対立して合意は見送られた。来年以降に会合を再開し、協議を続ける。

 国連は2022年に条約策定に関する議論を開始し、5回目となる今回の会合で内容を固める予定だった。期限内に合意に至らなかったのは残念だ。対策がさらに遅れることが懸念される。

 環境意識の高い欧州や、大量のごみが漂着している 島嶼 とうしょ 国は、プラスチック製品の生産そのものを規制することを提案している。

 これに対し、プラスチックの原料となる石油を生産するロシアやサウジアラビアなどは、経済的な打撃につながるとして、生産規制条項を条約に盛り込むことに強く反対している。

 今回の会合でも双方の主張の溝は埋まらず、今後も議論が難航することは避けられない。

 安価で丈夫なプラスチックは、包装や自動車部品など多くの分野で利用が増えている。リサイクルなど適切な処理が行われずに廃棄されるプラごみは、年間2200万トンに上り、一部は川や海に流れ込んで世界中に広がっている。

 海中で分解されなかったプラスチックが、紫外線や波で細かく砕かれ、「マイクロプラスチック」となって海を漂い、魚などに取り込まれている。人体や生態系に悪影響を与える恐れもある。

 プラ製品は、生産や焼却の過程で二酸化炭素を排出する。放置すれば地球温暖化防止にも逆行する。一方で、海岸に大量のプラごみが漂着する島嶼国などを除けば、被害を感じにくく、危機感が共有されているとは言い難い。

 しかも、1人当たりの使い捨てプラごみ排出量が世界最多の米国では、来年1月にトランプ政権が発足する。1期目に温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱したように、プラごみでも消極的な姿勢をとる可能性がある。

 今後の国際交渉では、欧州に加え、日本も議論を主導する役割を担うべきではないか。

 理化学研究所などの研究チームは、海水中で自然に分解される新たなプラスチックを開発した。技術革新でプラごみ問題の根本的な解決に貢献する道を探っていくことも重要になるだろう。 

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.05》:プラごみ条約先送り 生産規制への道筋模索を

2024-12-05 02:01:40 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

《社説②・12.05》:プラごみ条約先送り 生産規制への道筋模索を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.05》:プラごみ条約先送り 生産規制への道筋模索を

 プラスチック汚染が地球規模で拡大しているにもかかわらず、解決の道筋を見いだすことはできなかった。国際協調の停滞は憂慮すべき事態である。

 プラごみ汚染の根絶を目指し、韓国・釜山で開かれていた条約交渉会議が決裂し、策定が先送りされた。最大の焦点は生産量の規制に踏み込むかどうかだった。

プラスチック汚染根絶を訴える、有志国でつくる「高い野心連合(HAC)」の記者会見の様子=韓国・釜山で2024年12月1日午前10時4分、大野友嘉子撮影

 出席した約180カ国・地域のうち、欧州や島しょ国など100カ国以上が、プラ素材や製品の生産量の削減目標を設定するよう提案した。一方、原料である石油を産出するサウジアラビアやロシアなどは規制に反対を続けた。会議では、相手側を非難する発言が飛び交った。

 条約の議長草案には、ストローやレジ袋のような使い捨て製品の製造を禁止する項目も盛り込まれたが、合意には至らなかった。

 来年、この案をもとに会議を再開することで一致したものの、開催の時期や場所は未定だ。溝を埋められる見通しも立っていない。

 日本は一律の規制ではなく、各国の事情に応じて対策を進める案を掲げた。調整役を担う目的だったが、存在感を発揮できなかった。人口1人当たりで世界2位の排出大国という点からも、積極的に貢献すべきだった。

 経済協力開発機構(OECD)によると、適切に処理されず廃棄されるプラごみは年2200万トンに上る。もはや、それぞれの国や業界の取り組みだけで解決できない状況にある。

 リサイクルや処理で排出を完全に抑えることは難しく、生産規制に踏み込まなければ十分な効果は期待できない。

 紫外線や波で砕かれたプラスチックを海洋生物が摂取している。2050年には海洋プラごみが魚の総重量を上回るとの予測もある。魚を食べた人の健康に影響が出ることも懸念されている。

 国際社会はこうした危機感を共有していたはずだ。22年に開かれた国連環境総会で、生産から消費、廃棄までの「ライフサイクル」を通じて削減する条約を作ることで一致した。

 交渉の原点に立ち返る時だ。実効性のあるルールの策定に向け、合意点を探る努力を尽くさなければならない。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月05日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・12.04】:国際プラごみ条約 政府間交渉の再開を急げ

2024-12-04 05:01:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【主張①・12.04】:国際プラごみ条約 政府間交渉の再開を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.04】:国際プラごみ条約 政府間交渉の再開を急げ

 川や海に流出するプラスチックごみ削減への国際的取り組みが先送りになった。

 韓国の釜山に世界170カ国・地域以上の代表が集い、プラごみによる環境汚染防止の国際条約作りを目指した政府間交渉委員会の会合は合意に至らないまま、2日に閉幕した。

プラスチックごみによる汚染を巡る政府間交渉委員会の最終日の全体会合=1日、韓国・釜山(共同)

 国際プラスチック条約の必要性は2022年の国連環境総会で提起され、政府間交渉が続いてきた。第5回の釜山での最終会合で全条文を完成させ、来年中の採択という展開が期待されていただけに残念だ。

 プラスチックは、その便利さから1950年代以降、需要が増加の一途をたどった。経済協力開発機構(OECD)によると2020年時点での世界のプラスチック生産量は4億3500万トンに上る。それまでの20年間で2倍の伸びである。

 これに伴い、管理の不備や不法投棄で毎年2千万トン前後のプラごみが環境中に散逸し、世界の海洋などにたまっていると分析されている。50年には海洋プラごみが全海産魚の重量を上回るとの予測もあるほどだ。

 こうした海洋プラごみは、オゾンホール、温暖化に続く「第3の地球環境問題」として世界の人々の関心事となっている。プラスチックは石油を原料とする人工物なので、微生物によって完全に分解されることなく自然界に残り続ける。ごみ化すると極めて厄介だ。

 波などの力で小破片になったマイクロプラスチックは有害な化学物質を吸着して海洋生態系を脅かすともいわれる。

 今回の国際条約作りでは、プラスチックの生産量規制が最大の焦点だった。規制を求めた欧州連合(EU)や島嶼(とうしょ)国などと、プラスチックの原料を供給する中東諸国やロシアといった産油国側との意見の隔たりが最後まで縮まらなかった。

 地球の7割が海である。それを汚染する海洋プラごみは、喫緊の対応を要する環境問題だ。政府間交渉委員会の早期再開が急務である。

 海洋プラごみの発生源はアジア諸国が多い。その中でも上位の中国は、福島第1原子力発電所からの処理水にクレームをつけた。海洋環境が気になるなら自国のプラごみ流出抑制に即刻、着手すべきだ。大気と海洋のダブル汚染で、地球を苦しめる行為は許されない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.03】:プラ条約先送り 危機感を共有し一致点探れ

2024-12-03 16:00:30 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説①・12.03:プラ条約先送り 危機感を共有し一致点探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.03】:プラ条約先送り 危機感を共有し一致点探れ 

 プラスチックごみによる環境汚染が広がり、人体への健康リスクが高まっている。国際社会で危機感を共有し、実効性あるルールづくりに向け、粘り強く一致点を探らねばならない。

 プラごみ汚染対策の国際条約作りのため、韓国・釜山で開かれていた政府間交渉委員会は、条約案への合意を先送りした。

 2022年の国連環境総会で条約策定を決め、5回目の今会合を最終と位置づけていた。

 最大の懸案事項だった生産規制で、各国の主張の隔たりが埋まらなかったという。

 世界共通の厳しい規制を求める欧州連合(EU)やアフリカ諸国、汚染に脅かされる島しょ国側に対し、原料となる石油を産出するサウジアラビアなど中東諸国やロシアは、需要減を懸念して強く反発した。

 議長がとりまとめた草案では、国際的な削減目標を設定する案を示す一方、生産規制に関しては条文に盛り込まない案も残した。両論を並立させたことは、合意の困難さを表しているといえよう。

 ただプラごみの削減や環境流出の防止を巡って、使い捨てプラの製造禁止といった選択肢が条文案に盛り込まれるなど一定の前進もみられる。生産規制にも踏み込みが不可欠だ。

 プラごみ汚染は深刻化している。経済協力開発機構(OECD)によると、19年のプラスチックの廃棄量は20年前と比べて倍増した。自然に分解しにくいため海や川にそのまま流出し、50年には海中のプラごみの総重量が、全ての魚より多くなるとの予測もある。

 特に近年、問題となっているのが、5ミリ以下に砕けたマイクロプラである。えさと間違え食べた魚を、摂取することで人体から検出されており、健康被害が危ぶまれる。

 会合は来年に再び開くとみられるが、先行きは見通せない。各国が自分ごととして向き合い、合意形成へ歩み寄れるかが問われよう。

 「EU寄り」との立場を示してきた米国は年明け、環境問題に消極的なトランプ氏が大統領に就任することで、後退する可能性も出ている。

 日本は各国の状況に応じた規制をとるべきだとの中間的な立場とするが、どっちつかずの感が否めない。1人当たりのプラ容器包装の廃棄量は米国に次いで世界2位であり、「プラごみ発生大国」として削減目標を示すなどして、各国の橋渡し役を担うべきではないか。

 これまでレジ袋の有料化は導入したものの、排出量の削減や熱回収中心となっているリサイクルなど不十分と言わざるを得ない。生産部分を含めた対策に力を入れていく必要がある。

 国際機関とともにマイクロプラの調査研究などを進め、科学的根拠を示すことで対策の後押しにも尽力したい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.03》:プラごみの削減 条約の実現へ粘り強く

2024-12-03 09:31:40 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

《社説②・12.03》:プラごみの削減 条約の実現へ粘り強く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.03》:プラごみの削減 条約の実現へ粘り強く 

 プラスチックごみを減らす国際条約づくりの政府間交渉が物別れとなった。今年中に条約案をまとめることになっていた。来年以降に持ち越される。

 増え続けるプラごみを抑えるには、元をたどって大量生産の段階から規制する必要がある。そこが最大のネックになっている。

 欧州連合(EU)や海洋汚染にさらされる島国などは生産量の削減目標をつくるべきだと主張。一方、原料の石油を産出する中東諸国などはプラごみを減らす対策にとどめるべきだとして、溝が埋まらなかった。

 生態系はもちろん、人体への悪影響も指摘されるプラごみの削減は、国際協調で解決を目指さねばならない差し迫った課題だ。世界有数の排出国である日本の責任は極めて重い。速やかな合意に向けて、粘り強く一致点を見いだしていく必要がある。

 条約づくりは2022年に国連環境総会で決まった。主に海洋に流出するプラごみを、クジラや海鳥などが餌と間違えてのみ込んだり、絡まって死んだりする被害が注目されていた。

 プラごみはさらに増える勢いにある。国連は毎年1900万~2300万トンが湖、河川、海洋に流出していると推計。経済協力開発機構(OECD)は、対策を強化しないと60年に流出量は4400万トンに達するとみている。

 生産が拡大すれば、それだけ温室効果ガスの排出も増えると予測されている。地球温暖化防止の意味でも、生産段階での規制は避けて通れない。

 人体への影響も見過ごせなくなってきた。捨てられたプラは紫外線や微生物の分解で細かくなる。直径5ミリ以下のマイクロプラスチックより小さい直径1マイクロメートル(千分の1ミリ)以下の超微粒子の存在が明らかになっている。

 国内外で人の血液から検出され、腎臓、肝臓などからはプラに添加された化学物質も見つかった。生殖機能や子どもの脳の発達への悪影響が懸念されている。こうした有害な化学物質の規制も積み残された論点だ。

 日本は、生産規制は一律でなく各国の実情に応じて行いながら、リサイクルや廃棄管理の強化を進める―との立場を取っている。まず条約を実現し、その後の締約国会議で内容を強化、充実していく選択肢もあるだろう。

 プラ製品を日々大量に消費し、捨てている私たちは当事者だ。暮らしの中にある課題として関心を持ち続けたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.03】:プラ条約合意先送り 危機感共有し努力続けよ

2024-12-03 07:00:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説・12.03】:プラ条約合意先送り 危機感共有し努力続けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.03】:プラ条約合意先送り 危機感共有し努力続けよ 

 本来なら待ったなしの国際条約のはずだ。プラスチックごみによる環境汚染を防ぐ条約案の合意がきのう先送りされた。韓国で開かれていた政府間交渉委員会の会合が、国連の目指す年内の策定を実現できずに終わったのは痛い。

 最大の焦点はプラスチックの生産規制という、ライフサイクルの「上流規制」に踏み込むか否かだった。欧州連合(EU)や島しょ国など100カ国以上は、国際的な生産の削減目標を第1回の締約国会議で採択する案を主張した。プラスチックの原料となる石油を産出する中東諸国は反対し、「下流規制」のリサイクル、ごみ処理や管理の対策に限定するよう求めた。

 最後まで溝を埋められなかったのは、生産規制となると産業や暮らしへの影響が大きいからだ。プラスチックは軽く丈夫で安価なため、あらゆる場面で使われる。しかし、メリット以上に、環境汚染や生態系への悪影響は看過できないレベルになった。

 条約はプラスチックごみの汚染を食い止める初の国際ルールで、使用量の削減へと反転させる象徴となる。来年に再び交渉委を開く。危機感を土台に着地点を見いだす努力を続けなければならない。

 プラスチックごみを巡ってはまず、2019年に大阪市であった20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、50年までにプラスチックごみによる新たな海の汚染をゼロにする目標で合意した。22年には国連環境総会で条約の策定を決め、今回は5回目の交渉委の会合だった。

 国境を超えたルール作りに踏み出したのは、とりわけ海洋への流出の深刻さが明らかになったからだ。島しょ国の沿岸に大量のごみが漂着する。自然に分解されず、海の生き物を脅かす。風化で細かくなった「マイクロプラスチック」が人間の体内で検出された報告が相次ぎ、健康への懸念は現実になりつつある。

 このまま規制しなければ、プラスチックの生産量は世界で40年に7億トンを超え、20年の17倍に増える推計も出された。もはや下流規制だけでは追い付かない。生産の規制まで踏み込まない限り、実効性が薄いのは確かだ。

 ただ海洋への流出量が多いインドなど新興国や、大量消費国の中国も上流規制に後ろ向きだ。この国々が条約に参加しなければこれまた形骸化しかねない。

 曲がりなりにも交渉を重ねた結果、各国の姿勢が明確になった。使用量削減という最低限の合意はした上で、削減目標を設定する時期を柔軟に考えるのも一つの選択肢ではないだろうか。

 日本は米国とともに、一律の規制ではなく、各国の状況に応じて上流から下流の全体でバランスを取った対策を求めた。しかし、国民1人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量は、米国に次いで2番目に多い。レジ袋は有料化したものの、規制はEU各国に比べて緩い。

 条約の実現への努力と並行し、使い捨てに焦点を当てた規制強化など国内対策の強化を怠ってはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《クローズアップ・12.03》:プラ生産規制、溝埋まらず 汚染防止条約、合意先送り

2024-12-03 02:05:10 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

《クローズアップ・12.03》:プラ生産規制、溝埋まらず 汚染防止条約、合意先送り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《クローズアップ・12.03》:プラ生産規制、溝埋まらず 汚染防止条約、合意先送り 

 プラスチック汚染根絶のための条約策定を目指す政府間交渉委員会は2日、韓国・釜山の会合での合意を断念し、閉幕した。国連環境総会で決議した策定期限は「2024年末」。焦点だった生産規制を巡る対立は交渉を重ねるほど激しくなり、国際社会はこの重要な期限を守ることはできなかった。

プラスチック汚染防止条約の条文の完成を目指していた政府間交渉委員会の全体会合。合意を先送りし、後日会合を再開することになった=韓国・釜山で2024年12月1日、AP

プラスチック汚染防止条約の条文の完成を目指していた政府間交渉委員会の全体会合。合意を先送りし、後日会合を再開することになった=韓国・釜山で2024年12月1日、AP

 ◆「生命線」維持狙い? 産油国反発

 「自主的な対策のみに頼る条約は受け入れられない」(ルワンダ)。「私たちはプラスチックそのものをなくすためにここにいるのではない。汚染をなくすためにここにいるのだ」(クウェート)。1日夜に始まった交渉委の全体会合で、焦点の生産規制を巡る応酬は翌日未明まで続いた。

 国連環境総会は2022年3月、海洋以外も含めたプラスチックによる環境汚染根絶のため、法的拘束力を持つ国際条約を作ることを盛り込んだ決議を採択。22年11月に政府間交渉委での議論が始まり、今年11月25日に開幕した第5回会合で全ての条文を完成させる予定だった。約180の国・地域が参加し、終盤は徹夜で協議を重ねたが、交渉委のルイス・バジャス議長(エクアドル)らは会期中の合意は困難と判断し、後日改めて…、

 ※:この記事は有料記事です。残り2699文字(全文3182文字)
 

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【クローズアップ】  2024年12月03日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:プラ新法 削減へ抜本策欠かせぬ

2022-04-03 07:00:55 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説】:プラ新法 削減へ抜本策欠かせぬ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:プラ新法 削減へ抜本策欠かせぬ

  使い捨てプラスチック製品の削減を目指す新法「プラスチック資源循環促進法」が今月、施行された。プラ製品を客に多く提供する企業に、使い捨ての削減を義務付けた。対象の製品はフォークやスプーン、歯ブラシなど身近な12品目にわたる。

 コンビニが石油由来プラの使用量を減らしたスプーンに切り替えたり、ホテルが衛生用品を客室ごとに置かず必要な人だけに渡す方法にしたりと、既に対応を始めている。クリーニング業界では衣類用カバーの使用量をどう減らせるかを模索している。各分野でプラ削減への取り組みを促すことだろう。

 とはいえ対象としたプラ製品は、日本で1年間に排出される約800万トン超のうち、数万トン程度にすぎない。しかも取り組みの度合いは企業任せで、客に使うかどうかの意思を確認するだけでも「削減」と見なすという。効果の高い有料化を義務付けたわけではない。

 使い捨て容器の使用やプラ製ストローの販売を禁止した、欧州連合(EU)各国の強い規制に比べ、あまりに緩く見える。

 新法はプラ製品全ての製造、販売、回収・リサイクルの過程で資源循環を目指す。これまでの法が、容器包装や家電など製品別でリサイクルに重点を置いていたのとは異なる。つまり製造段階からごみを極力減らす設計をした上で、プラを使う場合も再生可能な素材に切り替え、リサイクルを徹底させる考え。EUの水準にようやく近づいたと言える。

 だが個々の取り組みを促す強制力が弱すぎる。とりわけ製造販売の事業者には、自主回収して再び資源として使う計画の策定を求めただけだ。プラ製品を世に送り出す事業者に削減の責任をより重くする抜本策がなければ、解決にはつながるまい。

 製造販売の事業者に、自社の製品がごみになった後のリサイクルや回収の費用負担を求める「拡大生産者責任」の原則が、EUをはじめ国際的に広まっている。事業者がごみ削減対策を進める動機になっている。

 新法で進められる削減には限界があり、実効性にも疑問があある。政府は及び腰にならず、「拡大生産者責任」に踏み込む必要があるのではないか。

 プラ削減の出発点は、深刻な海洋汚染への国際的な危機意識だ。波や紫外線の作用で5ミリ以下になったマイクロプラが生態系に及ぼす危険性は、広く知られるようになった。使い捨てプラの廃棄量が世界4位の日本も当然、対処を迫られる。

 瀬戸内海の沿岸域でも、北太平洋と同レベルのマイクロプラが検出されている。ごみの大半は地元の川から流れ出ていると専門家は指摘する。今年2月に改定された瀬戸内海環境保全基本計画に、プラごみの汚染が顕在化した新たな課題として盛り込まれたばかりだ。広島県は県内から海に流出するプラごみを2050年にゼロとする目標を掲げた。地域ぐるみの削減を加速させる必要がある。

 企業の意識や取り組みを変えるために、私たち消費者がプラ削減への意識を高めるのも大切だ。20年7月からのレジ袋有料化をきっかけにマイバッグが普及し、レジ袋を使わない人の割合が増えた。使い捨てプラを当たり前のように受け取ってきた生活様式を変えねばならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月03日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:プラごみ削減が始動 使い捨てを見直す契機に

2022-04-01 02:05:40 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

《社説②》:プラごみ削減が始動 使い捨てを見直す契機に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:プラごみ削減が始動 使い捨てを見直す契機に 

 プラスチック資源循環促進法が施行された。プラごみ削減の新たな取り組みが始まる。

 大きな柱は、使い捨て製品の提供方法の見直しだ。

 コンビニのスプーンやフォーク、ホテルの歯ブラシやくし、クリーニング店のハンガーなど12品目が対象となる。

 前年度に5トン以上の製品を無料で提供した事業者に義務付けられ、対策を講じなければ50万円以下の罰金が科される。 

 一部のコンビニでは、割りばしに替える実証実験が始まっている。ストローなしで飲める牛乳パックも開発された。歯ブラシなどの提供をやめたり、素材を変更したりするホテルもある。

 さまざまな試みが広がる一方、課題もある。

 見直し方法が事業者に委ねられていることだ。エコバッグへの切り替えが進んだレジ袋とは異なり、有料化を義務付けなかった。 

 受け取りを辞退した人へのポイント還元、他の素材の使用、店舗による再利用なども認められる。客に必要かどうか尋ねるだけでも対策と見なされ、どこまで削減効果が上がるかは分からない。

 プラごみの回収方法も変わる。

 市区町村に、文房具やおもちゃなどのプラごみを、ペットボトルなどとともに一括回収することを求める。リサイクルを促進する狙いがある。 

 しかし、自治体のコストや手間が増えるため、一括回収を計画しているところは少ない。政府の後押しが欠かせない。

 プラごみ対策は待ったなしだ。

 2019年の世界の排出量は3億5300万トンに達し、00年の2倍以上になった。国内でも年800万トン以上に上る。一部は川や海へ流れ出す。生態系に悪影響を及ぼす恐れが高まっている。

 このため、国際的な取り組みも加速している。国連環境計画(UNEP)は、プラごみを減らす初めての条約を制定することを決めた。世界有数の排出国である日本も、率先して行動しなければならない。

 重要なのは、一人一人がなるべくプラごみを出さないようにすることだ。

 新法をきっかけに、使い捨てに頼ってきた暮らしを見直したい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月01日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【記者の目】:廃プラはごみから「資源」に 企業参入促し市場活性化を=鈴木理之(東京科学環境部)

2022-04-01 02:05:10 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【記者の目】:廃プラはごみから「資源」に 企業参入促し市場活性化を=鈴木理之(東京科学環境部)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【記者の目】:廃プラはごみから「資源」に 企業参入促し市場活性化を=鈴木理之(東京科学環境部)

 使用済みの廃ペットボトルを巡り、清涼飲料メーカー各社が独自の回収ルート開拓に乗り出し、激しい争奪戦の様相を呈している。

 使い捨てプラスチックの使用削減を目指す「プラスチック資源循環促進法」が1日施行された。

 

家庭ごみとして収集された廃ペットボトル=神戸市西区で、梅村直承撮影

家庭ごみとして収集された廃ペットボトル=神戸市西区で、梅村直承撮影

 プラスチックごみを出さない社会づくりは喫緊の課題だ。実現のカギは、リサイクル市場全体の活性化にあると考える。プラ素材の中で最もリサイクルが進む廃ペットボトルの現状からその糸口を考えたい。

 ※:この記事は有料記事です。創刊150年ありがとうキャンペーン 今なら2カ月無料トライアル! いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金言】  2022年04月01日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:プラごみ削減 使い捨て文化見直しを

2022-02-06 05:05:50 | 【プラスチック(ビニール)製品の廃プラスチックによる環境、海洋汚染問題】

【社説②】:プラごみ削減 使い捨て文化見直しを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:プラごみ削減 使い捨て文化見直しを 

 プラスチックごみの削減を目指す新法「プラスチック資源循環促進法」が4月に施行される。

 政府は先月、事業者に削減を義務付ける使い捨てプラスチック製品12品目を政令で定めた。

 スプーンや歯ブラシなど身近な製品ばかりだ。コンビニやホテルなどの事業者は代替品の利用促進をはじめ対策を急ぐ必要がある。

 同時にプラごみの発生を抑制したり、できるだけ回収して再資源化したりすることが求められる。

 消費者の行動も鍵を握る。使い捨てが当然という意識や生活様式の見直しが欠かせない。

 プラごみによる海洋などの環境汚染は深刻さを増しており、対策は国際的な課題となっている。

 今回の対象製品が国内のプラごみに占める割合はわずかだが、地道な取り組みを社会全体の脱プラスチック推進につなげたい。

 12品目にはストロー、ナイフ、ヘアブラシ、カミソリ、ハンガーなどもある。小売店や宿泊施設、クリーニング店などで利用され、日常生活に深く浸透している。

 こうしたプラ製品を前年度に計5トン以上提供した事業者は削減目標を定め、提供する方法を見直すことが義務付けられる。対策が不十分な場合には社名公表や改善命令、罰金の対象となる。

 気がかりなのは業界や事業者ごとの削減量の取り決めがない点だ。規制が名ばかりにならないよう環境省は留意する必要がある。

 事業者は削減策を選択できる。有料化や代替素材への転換、提供を辞退した客へのポイント還元、再利用できる製品の提供などだ。

 木製スプーンを提供し始めた大手コンビニや、ブラシなど備品の有料化に踏み切ったホテルチェーンもある。事業者は可能なものから積極的に着手してもらいたい。

 メーカー側も規制を逆手に取ってはどうか。例えば植物由来のバイオマスプラスチック、微生物が分解できる生分解性プラスチックの導入を進めれば、技術力や企業イメージの向上につながろう。

 プラごみ削減で先行したのは2020年7月に始まったレジ袋の有料化だ。普及するか懸念もあったが、4人に3人が店頭での受け取りを辞退するまでに浸透した。

 今回の規制を消費者の意識を変え、プラスチックに依存する社会を見直すきっかけとしたい。

 軽くて丈夫なプラ製品は便利な半面、いったん環境に排出されれば半永久的に残存し、生態系を脅かし続ける。生産や使用を減らしていくしか未来への道はない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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