路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・12.31】:暮れゆく一年 舵なき流動化確かさ探って

2024-12-31 16:30:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説①・12.31:暮れゆく一年 舵なき流動化確かさ探って

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.31】:暮れゆく一年 舵なき流動化確かさ探って

 「トクリュウ」と呼ばれる匿名・流動型犯罪は、続発した「闇バイト」による強盗事件を特徴付けた新語である。

 交流サイト(SNS)の高額求人で集められた見知らぬ若者らが、指図のまま民家を襲撃し、全国を震撼(しんかん」)させた。

 首謀者も、離合集散する実行役も、えたいが定かでない不気味さだ。

 社会のあちこちで舵(かじ)やブレーキが外れ落ち、先の見えない不安が漂う中、一年が暮れる。

 国民の政治不信は底が割れたままだ。自民党裏金事件は逮捕者を含め未曽有の国会議員90人近くに及んだ。「抜け穴」温存の法改正強行に批判はやまず、岸田文雄政権は3年で退いた。

 刷新感を頼みに党総裁選を制し、衆院選に打って出た石破茂首相だが、与党過半数割れの大敗。12年間の強権的な「自民1強」から、有権者は「与野党伯仲」国会による熟議を求めた。

 臨時国会で使途非公開の政策活動費は廃止としたが、焦点の企業・団体献金禁止は自民の抵抗で議論を持ち越した。信頼回復に足る抜本改革を決断できるか、首相の指導力が試される。

 夏の東京都知事選以降、SNSの影響力が注目される一方、偽情報や中傷も横行。脱法的なライバル候補妨害、ポスター掲示板「転売」など、揺さぶられた民主主義の土台が問われる。

 暮らしを災害や物価高が直撃した。元日の能登半島地震は9月豪雨が追い打ちとなり、交通寸断による救援、復旧の遅れ、避難者の相次ぐ「関連死」で犠牲者は計500人を超える。抱える脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにした。

 初の南海トラフ地震情報への対応はばらついた。リスク周知と備えの再点検が欠かせない。 値上げラッシュは食品1万2千品目超などで続いた。春闘は大企業平均5%台の賃上げで、6月に実質賃金は27カ月ぶりにプラス転換したが、コメの高値やエネルギー高を賄えず、8月以降は再び家計が細っている。

 全労働者の最低賃金改定は、全国平均51円増と過去最大だった。人件費増を価格転嫁しにくい中小企業を後押ししたい。

 日銀は特異な大規模金融緩和を見直し、マイナス金利解除と利上げで17年ぶりに「金利のある世界」に。住宅ローンなど利率上昇の影響と、市場をゆがめた副作用の検証が要る。国の借金利払いもかさみ、緩んだ財政規律の正常化は急務だ。

 京都市で28年ぶりに市役所外から松井孝治市長が誕生。北陸新幹線延伸は、京都で懸念が高まり、来年度着工が見送られた。大津市の保護司殺害で、安全策や制度見直しが議論を呼んだ。

 ウクライナや中東の戦禍が続く中、核廃絶を訴える日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受けた。核は絶対悪と広め、禁止条約へつなげた確かな歩みは、大国による力の論理の危うさと、克服に向けた希望を示していよう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月31日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.30】:新幹線の京都縦断 密室協議やめ抜本見直しを

2024-12-31 16:30:20 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説①・12.30:新幹線の京都縦断 密室協議やめ抜本見直しを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.30】:新幹線の京都縦断 密室協議やめ抜本見直しを

 京都の北から南へトンネルを通し、福井県と大阪府を結ぶ北陸新幹線の延伸計画を巡り、与党が来年度の着工を断念した。

 最大5兆円を超え、およそ30年に及ぶという長大な工事の概要が分かるにつれ、府民の間に疑念が高まっている。

 無理押しすれば、京都の暮らしや地場産業、自然環境を脅かし、長く深刻な混乱を招きかねない。路線決定の持ち越しは当然だ。

 ここに至るまで大半の議論を少数の与党議員の密室で進め、国土交通省は府民に説明しようともしない。京都市内のどこを通ればよい、といった次元の話ではないのではないか。

 本紙は社説で繰り返し再考を求めてきた。必要性も含め、抜本的に見直すべき時である。

 1973年に計画を決定した北陸新幹線は今春、福井の敦賀まで開業。残す路線は与党が8年前、米原案などを退け、福井県小浜―京都駅―京田辺市松井山手―新大阪駅とした。

 140キロに及ぶ区間は約8割がトンネルで、京都市内は大半が地下40メートル超の「大深度地下」を通す。西脇隆俊京都府知事と松井孝治京都市長が先日、与党の聞き取りに、府市民の懸念に沿い、歩調を合わせて問題点を訴えたことは評価できる。

 トンネル工事に伴う京都盆地の地下水への影響▽巨費に及ぶ法定の自治体負担(JR貸付料を除く費用の3分の1)▽大量に発生する建設残土(約3割はヒ素などを含む)の処分地▽工事車両の長期往来に伴う京都市の渋滞深刻化、京都丹波国定公園の環境影響―などである。

 人口が急減する中、高度経済成長期の計画に固執する無理も大きい。費用対効果の再算出は、低すぎて出せないのかとみえる。災害時の代替交通が、新幹線である必然性も乏しい。

 国交省は「シールド工法で地下水に影響はない」というが、他の大深度地下工事の周辺では水枯れや陥没が起きている。元京都大総長の尾池和夫氏も本紙で指摘したが、京の地下水はつながっており、工事で水質や水流が変わる恐れは否めない。

 地下水は生活はもとより、伝統産業や飲食店、旅館、酒造、寺院などに広く使われ、京都を育んできた生命線に等しい。そこに手を突っ込む重大さを、政府や与党は甘くみていないか。

 そもそも京都市域には東海道新幹線がすでに走り、府北部は縮小が続く交通網の維持こそ課題だ。国策だからとさらに新幹線を通し、厳しい自治体財政を圧迫することに広く府市民の理解が得られるとは思えない。

 巨大事業の透明性が問われて久しい中、新幹線の路線決定の聖域化は許されない。少数与党のわずかな利害関係議員だけで決めるなど、「1強政治」の終わりを下した衆院選の民意を踏まえぬ時代錯誤ではないか。野党も参加を求めており、国会などで開かれた議論が必要だ。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【韓国】:逮捕状は「不法で無効」と強く反発、尹大統領の弁護団

2024-12-31 12:10:30 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【韓国】:逮捕状は「不法で無効」と強く反発、尹大統領の弁護団

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【韓国】:逮捕状は「不法で無効」と強く反発、尹大統領の弁護団

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、ソウル西部地方裁判所が31日に発付した尹氏の逮捕状について、尹氏の弁護団は同日、声明を出した。「捜査権のない捜査機関から請求して発付された逮捕状は、不法であり無効だ」として、逮捕には応じられないとの立場を表明した。

<picture>韓国の尹錫悦大統領=2024年12月7日、ロイター</picture>

韓国の尹錫悦大統領=2024年12月7日、ロイター

 尹氏側は、逮捕状の発付を受けた高官犯罪捜査庁(高捜庁)にこの事件についての捜査権はないと一貫して主張している。弁護団は声明で「捜査権のない高捜庁から請求された逮捕状が発付されたことに驚き、到底受け入れられない」と強調。「現職大統領として、捜査権限の問題など、(高捜庁に)出頭しない正当な理由があるにもかかわらず、逮捕状が出されたことは納得しかねる」とした。

 尹氏側が強く反発していることから、逮捕時に抵抗したり、大統領警護庁が逮捕を阻止しようとしたりする可能性もあり、高捜庁は逮捕の時機を慎重にうかがっているとみられる。【福岡静哉】

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 国際 【アジア・オセアニア・韓国】  2024年12月31日  12:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【公明党】:存在感アップに腐心 野党と協調「多方面外交」にジレンマ

2024-12-31 12:00:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【公明党】:存在感アップに腐心 野党と協調「多方面外交」にジレンマ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【公明党】:存在感アップに腐心 野党と協調「多方面外交」にジレンマ 

 自民党と公明党が少数与党となり、困難な政権運営が続く中、公明が存在感を出そうと腐心している。与党として野党の主張を取り入れることで、従来よりも公明党の主張が通りやすくなっているが、野党に「お株」を奪われかねないというジレンマも抱える。来年は公明が重視する東京都議選や参院選も控え、党は新たな目玉政策を打ち立てようと頭を悩ませている。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/28/20241228k0000m010056000p/9.webp?1" type="image/webp" />視察した公園で説明を受ける公明党の斉藤鉄夫代表(右から3人目)ら=東京都豊島区で2024年12月25日午後2時19分、野間口陽撮影</picture>
視察した公園で説明を受ける公明党の斉藤鉄夫代表(右から3人目)ら=東京都豊島区で2024年12月25日午後2時19分、野間口陽撮影

 「野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきた」。斉藤鉄夫代表は26日、記者団にこう語り、自負をのぞかせた。

 公明党は10月の衆院選で公示前から8議席減の24議席にとどまった。自民も大幅に議席を減らし、少数与党に転落。今までのように与党の事前協議で政策を決められなくなり、公明党も「多方面外交」を強いられることとなった。

 だが、思わぬ波及効果があった。2025年度の税制改正の議論では自公は国民民主党とも協議。防衛増税の所得税の増税時期について自民党は当初、予定通り法人税やたばこ税と同時に増税する方針だった。しかし、…

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 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政局・公明党・自民党と公明党が少数与党となり、困難な政権運営が続く中、公明が存在感を出そうと腐心している】  2024年12月31日  12:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:百条委員会は無視されるのか…斎藤元彦知事が今年最後の会見で語った「結果次第」に危惧

2024-12-31 11:00:30 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【兵庫県】:百条委員会は無視されるのか…斎藤元彦知事が今年最後の会見で語った「結果次第」に危惧

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:百条委員会は無視されるのか…斎藤元彦知事が今年最後の会見で語った「結果次第」に危惧 

 ◆元テレビ朝日法務部長・西脇亨輔氏が指摘

 兵庫県の斎藤元彦知事が今月26日、年内最後の知事会見に臨んだ。その中では前日25日に行われた百条委員会での証人尋問についても質問が出たが、元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士は斎藤知事の回答内容を分析し、「百条委員会軽視」の危惧を指摘した。

 私は毎朝配信しているYouTube番組のために斎藤元彦知事の会見を毎回書き起こしているが、その度に思っている。

 「これでいいのか」

 年内最後の定例会見で飛んだのは「百条委員会が出した結論は、きちんと受け入れるのか」という質問だった。前日に行われた再選後初の百条委員会で斎藤知事は突然、パワハラなどの認定について、最終的には百条委員会ではなく「司法の場が大事」と主張。このため、来年2月にも出される予定の百条委員会の結論を斎藤知事は受け入れないのではないかという疑念が生まれた。それを踏まえた質問に、斎藤知事はこう答えた。 

 「最終的に弁護士とも相談していく中で、ハラスメント問題の最終的な認定は司法でされるものだろうという認識をアドバイスもいただきました」

 記者からは「これまでは、百条委員会や第三者委員会で疑惑は判断されるべきと言っていなかったか」「ゴールポストが動いたのではないか」との指摘が飛んだが、斎藤知事は「法的な認定については、もちろん司法の場でしていく」と繰り返した。

 しかし、その「司法の場」とはどこなのか。斎藤知事を巡って司法手続きになっているのは「PR会社買収疑惑」の刑事告発だけで、パワハラや「内部告発つぶし」の疑惑は裁判になっていない。現在裁判中なら「司法の判断を待つ」というのも分かるが、そうではない。そこで具体的に「司法の場」とは何かを問われると、斎藤知事はこう答えた。

 「具体的には、想定していなくて」

 一方で「百条委員会や第三者委員会が知事のしたことを『パワハラ』『公益通報者保護法違反』と認定されれば受け入れるのか」という核心を聞かれると、こう述べた。

 「どういう結果が出るかというのはこれからなので、仮定の質問にはなかなかコメントできないですが、我々としては、公益通報の対応については適切だったと考えています」

 私は「えっ?」と耳を疑った。なぜ、「結果が出る前」だと百条委員会の結論を受け入れるかを答えられないのか。「結果によって、受け入れるかどうか決める」という意味だとすると「自分の気に入った結論なら受け入れるし、自分の気に食わない結論なら受け入れない」と言っているのと同じだ。

 百条委員会は地方自治法という法律による委員会で、公職にある知事が結論に従うのは当然のはず。それを受け入れないなら百条委員会の存在自体が無意味になってしまう。

 だが、百条委員会の結論を無視しただけでは「政治責任」は発生しても「刑罰」はない(百条委員会で偽証していたら罪に問われるが)。そこで斎藤知事は「司法」を持ち出して百条委員会の結論は「司法より格下」と扱い、これを黙殺しようとしているのか。

 斎藤知事は25日の百条委員会後の会見で、これまでに3人の専門家が公益通報者保護法上の問題を指摘したことについても「3人の方の見解が全ての専門家の見解ではない」と言い切っていた。百条委員会に出席した3人はいずれも公益通報者保護法についての我が国の第一人者だったのに、それすら認めなかった斎藤知事は、百条委員会の結論が出ても意に沿わなければ受け入れずに「強行突破」するのではと感じられる。

 ■関連するビデオ: 斎藤知事が年内最後の会見 改めて「一連の対応は適切だった」 百条委は来年2月にも調査結果まとめへ (読売テレビニュース)

 ◆続く遺族への誹謗中傷…「止めて」と呼びかけない知事

 そして、さらに耳を疑ったのは、斎藤知事を巡る告発をした元県民局長の遺族や県関係者に対していまだに続く誹謗中傷への対応だ。

 「知事として県職員やご遺族への誹謗中傷を止めてくださいということを、なぜ言わないのか」「情報拡散に今すぐできることもあるのではないか」という指摘に対して、斎藤知事はSNSの一般論を繰り返し、これから新しく第三者機関を作って対応すると述べるだけ。県内部調査の情報が漏えいしたとの指摘もあるのに、情報の削除要請をする意向さえ示さなかった。たまらずに記者が「誹謗中傷を止めてくださいとか、今すぐ県警に相談行きますとか、そういうことができる立場なのに、なぜしないのか」と問いただすと、斎藤知事はこのように答えた。

 「そういった意見があるということは受け止めますけれども、自分としては、県としても、適切な対応だという風に思っています」

 だが、今まさに誹謗中傷にさらされる人たちがいるのでそれを止めるべきだという指摘は、単なる「意見」で片づけてよいものなのか。目の前で苦しむ人たちの苦しみを無視したまま、政治はできるのだろうか。

 さまざまな思いが残った会見だが、何より深刻なのはこのことが継続して報じられず、その内容が黙認されていくことだと思う。兵庫県知事選挙から1か月以上が過ぎて新しいニュースも次々出てきているが、決して忘れてはいけない問題は確かに残っている。

 そのことを肝に銘じて年を越したいと思う。

 □西脇亨輔(にしわき・きょうすけ)

 1970年10月5日、千葉・八千代市生まれ。東京大法学部在学中の92年に司法試験合格。司法修習を終えた後、95年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社。『ニュースステーション』『やじうま』『ワイドスクランブル』などの番組を担当した後、2007年に法務部へ異動。社内問題解決に加え社外の刑事事件も担当し、強制わいせつ罪、覚せい剤取締法違反などの事件で被告を無罪に導いた。23年3月、国際政治学者の三浦瑠麗氏を提訴した名誉毀損裁判で勝訴確定。同6月、『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎刊)を上梓。同7月、法務部長に昇進するも「木原事件」の取材を進めることも踏まえ、同11月にテレビ朝日を自主退職。同月、西脇亨輔法律事務所を設立。今年4月末には、YouTube『西脇亨輔チャンネル』を開設した。西脇亨輔

 元稿:ENCOUNT 主要ニュース 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・斎藤元彦知事が、百条委員会での証人尋問についてコメント】  2024年12月31日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【北海道】:企業の2024年、価値上昇ランキング トップはブーム支える黒子役<宇野沢編集委員が読み解く>

2024-12-31 10:00:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【北海道】:企業の2024年、価値上昇ランキング トップはブーム支える黒子役<宇野沢編集委員が読み解く>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北海道】:企業の2024年、価値上昇ランキング トップはブーム支える黒子役<宇野沢編集委員が読み解く>

 2024年がまもなく暮れ、2025年がやって来ます。

 大みそかの配信となる「読み解く」では、北海道経済の2024年を振り返ります。23年に引き続いて、株式市場で企業価値が上昇した企業について、ランキングにまとめてみました。
北海道の気になる話題を深掘りする<読み解く>の一覧はこちら
 
 国内の証券取引所に株式を上場している企業のうち、北海道内に本社がある企業に加えて、北海道発祥の企業や、主要な事業拠点を北海道に持つ企業など「北海道関連企業」64社について、企業価値がこの1年でどれくらい上昇したのか、独自に調べてみました。
 
 企業の価値を示す指標として最も代表的な、発行済み株式数に株価を掛けて算出する時価総額で比較してみます。2023年の大納会(12月29日)の終値ベースの時価総額と、締め切りギリギリの12月25日の終値ベースの時価総額を算定し、この1年間で時価総額が上昇した企業のランキングをつくってみました。
 
 ちなみに、2023年末にも似た条件で「2023年の時価総額上昇ランキング」を作っています。1年前のトップは知名度バツグンのこの企業でした。
 
丸千代山岡家が運営する札幌市内の「ラーメン山岡家」の店舗

丸千代山岡家が運営する札幌市内の「ラーメン山岡家」の店舗

 さて、2024年はどんな企業がトップになったのでしょうか。
 
 知名度はそれほどではありませんが、国内外でブームを支える黒子役となる企業でした。なんと、この1年で時価総額が2.5倍に拡大していました。
 
 さて、問題です。冒頭に示した64社の表の中から、今年一番の成長を見せた北海道関連企業を探し当ててみてください。
 
 ランキング上位には北海道の新たな成長を支える企業の名前が並びました。以下に、トップからランキングを発表していきます。

 ■トップは、世界のラーメンブームを支える黒子役

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 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 経済【企業・産業・北海道】  2024年12月31日  10:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【韓国】:尹錫悦大統領逮捕へ 逮捕状発付、現職で初 内乱首謀疑い

2024-12-31 09:35:30 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【韓国】:尹錫悦大統領逮捕へ 逮捕状発付、現職で初 内乱首謀疑い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【韓国】:尹錫悦大統領逮捕へ 逮捕状発付、現職で初 内乱首謀疑い

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領=職務停止中=による「非常戒厳」の宣布を巡り、韓国のソウル西部地方裁判所は31日、尹氏への逮捕状を発付した。高官犯罪捜査庁(高捜庁)が30日未明、逮捕状を同地裁に請求していた。聯合ニュースによると、内乱と職権乱用の疑いがもたれている。韓国の現職大統領の逮捕が認められるのは初めて。

韓国の尹錫悦大統領=2023年4月26日、秋山信一撮影

 高捜庁は逮捕状発付を受け、尹氏の逮捕を試みる。大統領は憲法で不訴追特権が保障されているが、内乱罪は例外となっている。高捜庁はこれまで尹氏に3度にわたり出頭を要請したが尹氏が応じなかったため、逮捕状請求に踏み切った。

 尹氏の代理人の尹甲根(ユンカプグン)弁護士は30日、逮捕令状に対する意見書をソウル西部地裁に提出したと明らかにした。高捜庁には内乱罪事件についての捜査権がなく逮捕状の発付は不当だとの主張を盛り込んだと説明した。だがソウル西部地方裁判所はこれを認めなかった。

 ただ、大統領警護庁の職員らが高捜庁に抵抗する恐れがある。高捜庁は、逮捕を阻止しようとすれば公務執行妨害罪に当たる可能性があるとけん制している。

 国会は14日、戒厳令の宣布は違憲だとして尹氏に対する弾劾訴追案を可決。尹氏は職務停止に追い込まれたが、警護などの特権は維持し、ソウル市内の高台にある大統領官邸で生活している。

 高捜庁は尹氏による戒厳令の宣布について「職権を乱用し、憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした」疑いがあるとし、尹氏を「内乱の首謀者」とみている。法務省は尹氏を出国禁止にしている。

 検察は、戒厳令を尹氏に進言した金龍顕前国防相=27日に内乱罪などで起訴=と尹氏が共謀したとみている。

 尹氏は3日夜、政府提出の予算案の一部を減額したり、検察官らを繰り返し弾劾したりする野党の行為を「内乱を企てる反国家行為だ」と非難し、戒厳令を出した。特殊部隊の一部が国会議事堂に乱入したが、国会は混乱の中で戒厳令の解除を要求する決議案を可決。憲法に基づき大統領は従わねばならず、尹氏は4日未明に戒厳令を解除した。

 戒厳令宣布の際に国会の特殊部隊を指揮した軍幹部らは、尹氏から議員を議場から排除するよう電話で指示されたと証言している。高捜庁と共に捜査をする警察は尹氏の携帯電話の通話履歴を押収し、解析を進めていた。

 弾劾訴追を巡っては、憲法裁判所が国会での弾劾案可決から180日以内にその是非を判断する。憲法裁が妥当だと判断すれば、尹氏は失職。60日以内に後任を決める大統領選が実施される。

 韓国では過去に、全斗煥、盧泰愚、朴槿恵、李明博の各氏が大統領退任後に身柄を拘束され、実刑判決を受けている。【ソウル日下部元美】

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 国際 【アジア・オセアニア・韓国】  2024年12月31日  09:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.31》:冤罪と刑事司法 誤りを直視すること

2024-12-31 09:30:50 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

《社説①・12.31》:冤罪と刑事司法 誤りを直視すること

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.31》:冤罪と刑事司法 誤りを直視すること 

 この国の刑事司法のあり方が根本から問われた年だった。逮捕から58年を経て、袴田巌さんが再審で無罪を得た。その年月の重さをあらためて受けとめたい。

 「巌だけが助かればいいのではない」。袴田さんを支えてきた姉のひで子さんは繰り返し述べている。同じことが二度と起きないようにしてほしい、と。

 何より欠かせないのは、冤罪(えんざい)を生む構造的な要因を徹底して検証することだ。同時に、被害回復の妨げとなっている法制度の不備を改めなくてはならない。

 ■裁判所も問われる 

 再審の判決で静岡地裁は、犯行時の着衣とされた「5点の衣類」や袴田さんの自白調書を、捜査機関の捏造(ねつぞう)と断じた。検察は控訴こそ断念したが、検事総長が談話を出し、強い不満を表明した。何ら具体的な証拠や根拠が示されていないなどと反論している。

 先週、最高検察庁が公表した検証報告もその延長上にある。無実の人に死刑を科す重大な冤罪を引き起こし、再審による被害回復にも立ちはだかった責任に向き合う姿勢は見えない。組織内部での検証の限界があらわだ。

 検察とは別に静岡県警が公表した調査結果も、元捜査員らから一通り聞き取りをしたにすぎない。独立した機関を置き、事件の全体を検証し直す必要がある。

 裁判所も重い責任を免れない。そもそも確たる証拠を欠く事件だったにもかかわらず、地裁が死刑の判決を出し、高裁、最高裁も支持して確定した。再審を申し立ててから無罪を得るまでに、さらに40年余りを要している。

 証拠を見極め、有罪か無罪かを認定するのは裁判所だ。誤った判断を重ねたのはなぜか。裁判所の責任に目を向けずに、冤罪の究明はできない。司法のあり方に踏み込んだ検証が必要になる。

 ■憲法に照らして  

 死刑事件が再審で無罪になったのは5件目だ。1980年代に免田栄さんの事件をはじめ4件が相次ぎながら、公的な検証はなされないまま今日に至っている。ここでまた、誤りを直視せずに済ますことがあってはならない。

 袴田さんの再審無罪の判決は、過酷な取り調べによる自白の強要があった事実を認定した。虚偽の自白に追い込まれるまで、19日間にわたって、取り調べは連日十数時間に及んだ。

 長く身柄を拘束して自白を迫る「人質司法」の悪弊は今も続いている。取り調べに弁護人が立ち会うことは認められず、家族との接見も禁じられて被疑者は孤立し、追いつめられていく。

 黙秘の意思を示しても、取り調べには応じる義務があるとされ、憲法に基づく黙秘権の保障が防御の盾になり得ていない。長時間にわたる取り調べで威迫や侮辱を受けたと訴える裁判が相次ぎ、弁護士らが、取り調べを拒む権利の実現に向けて動いてもいる。

 憲法は刑事司法の手続きに関して、諸外国に類を見ない手厚い人権保障の規定を置いた。戦前の旧憲法下で、拷問や、人身の自由を奪う苛烈な弾圧が繰り返されたことへの反省が土台にある。

 国家の刑罰権を担う捜査当局は強大な権限を持ち、被疑者に対して圧倒的な優位に立つ。適正な手続きと権利を確保することは、不当な権限の行使から無実の人を守るために欠かせない。

 しかし、捜査上の必要や便宜を優先する実務の下、権利の保障がないがしろにされ、冤罪を生む温床にもなっている。刑事手続きのあり方を、憲法に照らして点検し直さなくてはならない。

 新聞を含むメディアも、報道によって冤罪に加担した当事者である。事件報道のあり方を自ら絶えず検証し、刑事司法の現状に報道機関として厳しく向き合っていく姿勢を再確認したい。

 ■再審制度を改める 

 刑事裁判で最も大事なのは、無実の人を処罰しないことだ。冤罪は一日も早く晴らす必要がある。不備が明らかな再審制度の改定を棚上げにしておけない。

 再審の手続きを明文で定めること、裁判所の再審開始決定に対する検察の不服申し立ての禁止、証拠の開示―が柱になる。早期の制度改定を目指す国会議員連盟に与野党の360人余が加わり、議員立法を視野に入れている。

 法務当局は、確定した有罪判決を覆すことは司法の安定性を損なうとして背を向けてきた。法制審議会に諮る動きもあるが、当局が主導権を握り、議員立法を封じる意図すらうかがえる。注意深く見ていかなくてはならない。

 冤罪による死刑が現実になりかねなかった事件はまた、死刑制度を存続する是非を問うている。元検事総長や元警察庁長官を含む学識者らの懇話会は、制度を根本的に再検討する会議体を国会、内閣の下に設けることを提言した。

 死刑は、国家が人の命を奪う究極の刑罰であり、誤って執行されれば取り返しがつかない。社会に議論の場を広げ、国会、政府を動かす働きかけを強めたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月31日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ

2024-12-31 09:30:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ 

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、政府が水道法上の水質基準の対象とすることを決めた。定期的な水質検査や基準値を超えた場合の改善を、水道事業を担う自治体などに義務づける。

 これまで代表的なPFOAとPFOSについて合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)を暫定目標値に定め、超えないよう求めてきた。努力義務としたため検査の実施や結果の公表は事業者によって対応がまちまちだった。

 法による義務化で、汚染の実態が把握でき、安全な飲み水の確保につながる。ただ住民の不安が払拭されるわけではない。

 基準値は暫定目標値をそのまま採用する。米国の基準値は、2物質それぞれで同4ナノグラムと厳しい。健康影響との因果関係が不十分でも予防を重視し規制を強化する欧米とは、大きな隔たりがある。

 汚染が確認された地域で血液検査など住民の健康調査を重ね、50ナノグラムの基準値が妥当か常に検証し、見直していく必要がある。

 そもそも排出元や流出した原因を特定し、対策を講じなければ汚染はなくならない。

 水や油をはじき熱にも強いPFASは、布製品や食品容器、泡消火剤、半導体製造などで広く使われた。PFOAとPFOSは毒性や蓄積性が確認されたため、既に製造や輸入が禁止されている。

 高濃度で検出が相次いでいる場所は、こうした物質を以前扱っていた工場や、泡消火剤を使っていた在日米軍と自衛隊の基地の周辺などだ。物質が土壌に残り、地下水に浸透したとみられる。

 住民が独自に血液検査や現地調査に取り組み、実態や汚染源に迫っている地域は少なくない。

 一方で、原因の特定に自治体が消極的だったり、米軍が日米地位協定を盾に基地内の立ち入り調査を拒んだりしている。汚泥肥料や使用済み活性炭といった思いもよらないものから汚染が広がる事例も起きている。

 原因の特定や対策についても、政府は指針を示し、住民と自治体が連携して対応できるよう体制を整えていくべきだ。

 費用の問題もある。一つの検体で数万円かかるとされる検査費用は、原則事業者の負担になる。水道料金に跳ね返ってくる可能性が高い。水質改善のため新たに水源や送水管の整備が必要になると、地域の負担はさらに膨らむ。

 人口が減少する中、水道事業は運営が厳しくなっている。政府の財政支援が欠かせない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.30》:いじめの再調査 初動の大切さくみ取って

2024-12-31 09:30:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

《社説②・12.30》:いじめの再調査 初動の大切さくみ取って

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.30》:いじめの再調査 初動の大切さくみ取って 

 いじめが起きたのは10年前だ。いじめられた子も、いじめた子も今は10代後半になっている。あまりに長い時を費やしてしまったと言わざるを得ない。

 2014年に長野市の小学校であった1年生男児をめぐるいじめについて、第三者でつくる市の再調査委員会が報告書をまとめた。18年にも第三者委が検証したが、被害児の保護者の求めで、あらためて調査していた。

 子どもの訴えを聞き逃さず、ただちに組織として対応し、学校と教委、保護者が協力して事に当たる環境をつくらねば問題解決は遠のく―。調査で導き出された教訓を重く受け止めたい。

 初動対応が不適切だった。

 いじめの疑いは保護者側が学校に伝えた。ところが双方の児童の聞き取りや保護者とのやりとりはほぼ担任1人に委ねられ、学校と市教委との連携、サポートが不十分だった。

 「その場その場を収めようとする場当たり的な対応」(報告書)の結果、被害児の欠席が目立っていたのに、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」認定も遅れた。最初の第三者委による調査開始までに3年を要している。

 同法に沿って、学校も対応マニュアルは備えていた。あくまで組織として事に当たること、当事者の聞き取りは別々に複数職員の同席で行うこと、管理職や他の職員、市教委とも情報共有しながら進めることが定められていたのに、そうしなかった。

 いじめに対する認識や、法に基づく対応への理解が足りなかったと再検証委は指摘する。

 18年の調査では、いじめで心身に負担が生じた一因には被害児の発達上の特性もあると見ていた。保護者は差別的だとし、再調査委もこの見方を排除した。

 いじめの軽重や受けた傷の深さは他者が安易に決められるものではない。心身の苦痛をどう感じるかは、特性の有無にかかわらず一人一人異なる。

 とりわけ子どもがそれを言葉や態度で表現するのは難しい。声なき声に耳をそばだて、目を凝らすにはチームによる複数の目と耳が要る。多忙な学校だけにそれを求めるのでなく、専門家の助力を含めた現実的な支援態勢づくりを急がねばならない。

 初動を誤り、学校と保護者が不信感を募らせていたずらに時を費やせば、子どもが健やかに成長する権利は侵害され続ける。子どもの最善の利益の実現を、あらためて肝に銘じる必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:斎藤知事、元県民局長「3月告発文書」と「4月公益通報」は“別物”扱い 百条委が切り抜きに警鐘

2024-12-31 07:15:40 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【兵庫県】:斎藤知事、元県民局長「3月告発文書」と「4月公益通報」は“別物”扱い 百条委が切り抜きに警鐘

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:斎藤知事、元県民局長「3月告発文書」と「4月公益通報」は“別物”扱い 百条委が切り抜きに警鐘 

 兵庫県議会議員の増山誠氏が29日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、今月25日に行われた、斎藤元彦知事の告発文書問題を審議する県議会の文書問題調査特別委員会(百条委員会)についてコメントした。増山氏は百条委員会のメンバー。

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兵庫・斎藤知事、元県民局長「3月告発文書」と「4月公益通報」は“別物”扱い 百条委が切り抜きに警鐘© よろず~ニュース

 この日は、斎藤知事に対する最終尋問が行われ、増山氏も質問。SNSや報道などでさまざまな切り抜き動画が拡散したということもあり、Xでは「誤解の無いよう発言の全文を掲載します。」と自身の質問と斎藤知事の回答を伝えた。

 掲載したのは公益通報に対する解釈について尋ねた部分。全文は以下の通り。

                ◇ ◇

 ●増山の質問

 知事、副知事、総務部長は、(4月の)内部公益通報が誰によってなされたか、どのような内容でなされたかは知らない。

 3月の告発文と(4月の)内部公益通報の内容は全く違う可能性もあり、かつ内部公益通報はその結果が発表される仕組みになっていない。

 この前提に立つと、3月の告発文への処分を内部公益通報の結果を待つというのは全く関係ない事象とされるべきものに人事処分が影響されるということになるのではないか。

 誹謗中傷文書を流布したものが何らかの文書を内部公益通報を行った旨発表すれば永遠に処分されない事態を招きかねないと思うがどうか。

 ●斎藤知事の回答

 そうですね同じ認識です

 内部公益通報というのは行政内部で非公表、非共有であり、その調査を待って処分を待つべきだということになればずっと処分できないという事態を招く

              ◇ ◇

 亡くなった元西播磨県民局長は斎藤知事のパワハラ、おねだり、キックバック問題などについて3月12日に一部の県議や放送局、新聞社などに文書を配布。これが騒動となり、元県民局長は停職3カ月の懲戒処分を受けた。その後、あらためて4月4日に県の窓口に通報したとされる。

 3月の文書と4月の通報はほぼ同じ内容とされているが、本来は4月の通報は、内容が外部に漏れてはいけないもの。4月の通報は、知事であっても内容を知ることはできないとされている。

 増山氏の質問に対して、斎藤知事は「内部公益通報というのは行政内部で非公表、非共有」と答えており、たとえ報道されていたとしても、公式には4月の通報の内容は知り得ない立場であることを明言していた。元県民局長への懲戒処分については、本来知ることができない4月の通報への対応を待つのは筋違いというスタンスだ。

 3月の文書を「公益通報」とするかどうかについては弁護士や法学者の間でも意見が分かれている。

 (よろず~ニュース編集部)

 関連するビデオ: 「県として適切に対応」斎藤知事、2時間半に及ぶ百条委最後の証人尋問終了 調査結果は早くて来年2月 (読売テレビニュース)

 元稿:よろ~ずニュース 主要ニュース 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・斎藤元彦知事の告発文書問題を審議する県議会の文書問題調査特別委員会】  2024年12月30日  15:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2024年を振り返る】:斎藤元彦はなぜ再選されたのか 「情報の空白」期、立花孝志参戦後に起こっていたこと

2024-12-31 07:15:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【2024年を振り返る】:斎藤元彦はなぜ再選されたのか 「情報の空白」期、立花孝志参戦後に起こっていたこと

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年を振り返る】:斎藤元彦はなぜ再選されたのか 「情報の空白」期、立花孝志参戦後に起こっていたこと

 2024年兵庫県知事選には、さまざまな争点がありました。パワハラやおねだりはあったのか、公益通報者保護法違反の疑い、百条委員会の調査は適正か、そして、選挙後も続く公職選挙法違反の疑い――。しかし、選挙の流れを決定づけたのは、個々の争点というよりもSNSや動画など「ソーシャルメディア」の威力でした。そして、マスメディアは選挙後もその結果に苦悩しています。<button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">兵庫県知事就任会見で話す斎藤元彦県知事=2024年11月19日</button>

兵庫県知事就任会見で話す斎藤元彦県知事=2024年11月19日(dot.)

 ■ソーシャルメディアが変えた選挙の「語り口」とは  

 今回の選挙はもともと、パワハラなどの疑惑や告発者を調査し、処分を出した後に告発者が自殺したことで、斎藤元彦・兵庫県知事への批判が高まり、県議会が不信任決議を全会一致で可決したことによるものでした。  

 テレビは連日、「パワハラ・おねだり疑惑」「公益通報者保護法違反疑い」など斎藤知事を批判的に取り上げ、神戸新聞社とJX通信社の7月の世論調査では支持率は15.2%。斎藤氏の再選は不可能とみられていました。  

 しかし、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏の参戦で状況は変わります。「自分の当選は考えていない。選挙運動をしながら、合法的に斎藤氏をサポートをしたい」と述べて立候補した立花氏は「職員の自殺は不倫をバラされるのが嫌だったから」「斎藤知事はパワハラなど」していない」など、選挙演説や自身のYouTubeで繰り返しました。  

 パワハラなどの疑惑を調査する兵庫県議会の百条委員会は都合の悪いデータを隠している。斎藤知事をおとしめるためで、メディアも一役買っている。立花氏の主張は「マスメディアを含む既得権益層VSおとしめられた斎藤知事をソーシャルメディアで支える我々」という構図になっていました。  

 2024年11月14日配信の立花氏による動画「テレビとネットの戦い 正義vs悪 真実vsデマ 正直者がバカみない日本へ兵庫県知事選挙」がそれを顕著に示しています。これらの動画は本人のアカウントだけでなく、引用されたり、ショート動画に転用されたりして拡散しました。

 「パワハラ・おねだりをし、告発者を自殺に追い込んだ斎藤前知事」から「無実の罪を着せられた斎藤知事」へ。ソーシャルメディア上での選挙の語られ方は急激に変化していきました。ある物語がどのように語られるのか。これを「ナラティブ」といいます。直訳では「物語」ですが、たんなる事実の羅列の「ストーリー」ではなく、そこに物語の話者の視点が加わります。  

 ソーシャルメディアで、それまでの新聞やテレビになかった「ナラティブ」を見聞きした人たちは、この新しい語り口を受け入れていきました。

 ■選挙における「情報の空白」を埋めた  

 なぜ、人々は新たなナラティブを受け入れたのか。考えるべきは「情報の空白」の存在です。  

 選挙戦が始まると、新聞やテレビからは個別の候補に関する情報が減ります。公平性を重んじ、特定の候補が有利・不利になるような情報発信を控えるためです。  

 確かにテレビには放送法4条の「政治的公平性」、新聞も公職選挙法148条の「選挙の公正を害してはならない」という規定はあります。しかし、これらは報道自体を抑制せよというものではなく、事実の歪曲や虚偽報道を抑えるためのものです。  

 ところが現実には、選挙戦が始まり、有権者がまさに候補者に関する情報を必要とするタイミングで、具体的な報道が減ってしまう。その「情報の空白」を埋めたのがソーシャルメディアでした。  

 YouTubeだけを見ても、選挙戦が始まるまでは、民放各局のアカウントの動画がよく見られています。しかし、選挙の告示から投開票日という最も重要なタイミングで、民放アカウントの発信は弱まり、立花氏のようなインフルエンサーや独立系メディアの動画が見られるようになります。  

 選挙期間中にGoogleやYouTubeやTikTokなどで関連する情報を検索してみれば、その傾向は明白です。NHKの出口調査によると、今回の投票の参考にした情報として「SNSや動画サイト」が30%で、「新聞」や「テレビ」の各24%を超えました。  

 投票率は55.65%で、斎藤氏が初当選した2021年の前回選挙を14.55ポイント上回りました。注目を集めて盛り上がる中で、ソーシャルメディアで選挙関連の情報を検索した人は多いでしょう。そのときにどのような情報をより多く目にしたか。「SNSや動画サイトを参考にする」というのは、有権者にとって情報の空白を埋める合理的な判断だったといえるのではないでしょうか。

 ■情報の権威の交代  

 ソーシャルメディアの影響力拡大は不可逆的な変化です。日本に関していえば、むしろ遅すぎたともいえるでしょう。  

 アメリカではまだ新参の候補者だったバラク・オバマ氏が勝った2008年の大統領選はフェイスブックの活用に注目が集まり、すぐにソーシャルメディアが選挙戦で重要な位置を占めるようになりました。大統領選で2016年のドナルド・トランプ氏が勝利した際には、「フェイクニュース」が伝統的な大手メディアの発信以上に広がる状況に世界が驚愕しました。  

 トランプ氏が再選された2024年の大統領選では、フェイスブック、X、YouTube、Instagram、Podcastなどあらゆるソーシャルメディアで選挙情報が飛び交っており、日本もそうなることは間違いありません。 

 元稿:AERA.dot. 主要ニュース 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選】  2024年12月30日 10:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…①

2024-12-31 07:15:20 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【兵庫県】:斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…①デマを指摘する「ファクトチェック団体」の欠陥

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…①デマを指摘する「ファクトチェック団体」の欠陥

 SNSなどで拡散されるデマや誤情報を検証する「ファクトチェック」を行っている団体がある。フリー記者の渡辺一樹さんは「日本ファクトチェックセンター(JFC)という団体が配信している記事には問題がある。専門家もJFCの記事に危機感をあらわにしており、専門機関としての適性が問われている」という――。

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兵庫県議会の百条委員会で証人尋問に応じ、宣誓する斎藤元彦知事=2024年12月25日午後、神戸市内[代表撮影]© PRESIDENT Online

 ◆SNSが大きな影響を持った兵庫県知事選

 斎藤元彦知事が再選した兵庫県知事選は、SNSや動画サイトが民主主義に与える影響を、改めて浮き彫りにする結果となった。

 民間調査会社ネットコミュニケーション研究所の調査によると、この選挙では斎藤氏を応援した立花孝志氏が「デマを流すマスメディアvs真実を伝えるネット」という対立構図を描き、その発信がYouTubeやXなどで拡散したことが、投票結果に大きな影響を与えたという。

 同社の分析によると、立花氏関連チャンネルの動画は1500万回近くも再生され、インフルエンサーや切り抜きチャンネルなどが立花氏の発信を大きく取り上げていた。

 ここで問題だったのは、そうして発信・拡散された内容の中に、自殺した元県民局長のプライバシーに関わる情報や、確たる証拠もなく斎藤知事のパワハラを全否定するといった「真偽不明」の情報が含まれていたことだ。 

 ◆情報の拡散源となった有力プラットフォーム

 ネットコミュニケーション研究所の調査によると、立花氏や支援者たちの発信する情報が拡散したのは、YouTubeやXなどのプラットフォームを通じてだ。そのプラットフォーム上で、どのユーザーにどんな情報を届けるかについては、「アルゴリズム」が大きな役割を果たす。アルゴリズムの中身は非公開で、その仕組みはプラットフォーム側が自在に変更できるものだ。

 クイーンズランド工科大学のティモシー・グラハムとマーク・アンドレイェヴィッチの研究によると、イーロン・マスク氏のXでの投稿は、彼がトランプ大統領支持を表明したタイミングで起きたXのアルゴリズム変更により、表示回数が138%増加していた。マスク氏はXのオーナーで、アルゴリズムの中身を決定できる立場にある。

 当然の帰結として、プラットフォーム側は、アルゴリズムを作り出した責任からは逃れられない運命にある。国際的にみると、YouTubeやXは誤情報や偽情報を垂れ流すプラットフォームだとして強く非難されている。

 「ソーシャルメディアには誤情報が溢れている。特にXには多い」という指摘や、「イーロン・マスクとXは米国選挙の誤情報の震源地」といった分析は後を絶たない。米国のIT企業であるMozillaの大規模な調査においてもYouTubeは誤情報への対応が甘いと追及されており、米国のジャーナリズム教育機関であるポインターメディア研究所からは「特に英語でない言語の誤情報には対応が甘い」と批判されている

 ◆「日本ファクトチェックセンター」の不可解な記事

 プラットフォーム上に真偽不明の情報がはびこる状況では、それが事実かを調査する「ファクトチェック」の取り組みが貴重だ。

 ファクトチェックとは、一言でいうと「世間で事実であるかのように言われていることが、本当に事実かどうかを確かめること」だ。国際ファクトチェック団体のIFCNは、加盟団体に「中立性」「公平性」「情報源をできるかぎり明らかにする」「資金調達と組織の透明性」「ファクトチェック手法の公開と一貫性」「ミスがあった場合に誠実に訂正する」ことなどを求めている

 日本にもIFCN加盟団体が3つあり、なかでも最も頻繁に記事配信をしているのが「日本ファクトチェックセンター(JFC)」だ。運営委員長は京都大学教授で憲法学者の曽我部真裕氏が務めており、編集長は朝日新聞記者、バズフィード編集長やGoogle News Labティーチングフェローなどを歴任し、業界のオピニオンリーダーとしてテレビにも多数出演している古田大輔氏だ。

 こうしたファクトチェック団体の存在は、大いに歓迎すべきだ。しかし、今回の兵庫県知事選について、JFCが出した記事は、国際的なファクトチェック記事や、IFCNの倫理基準と照らし合わせてみれば、疑問を感じざるを得ない点がいくつもあった。

 ◆「パワハラの定義にあてはまる行動」としているが…

 それでは、JFCが配信した兵庫県知事選に関する記事の問題点を具体的に見ていこう。

 まず、斎藤知事のパワハラ問題を扱ったこの記事では、次のような結論を出している。

 兵庫県議会の不信任決議で失職した斎藤前知事はパワハラはしていないといった言説が拡散したが、根拠不明。県職員へのアンケートでは実際に目撃などで知っている人が140件、間接的に聞いて知っているという回答も含めると回答の4割を超える。本人も「厳しい叱責」「机を叩いた」ことなどを認めており、「必要な指導だと思っていた」と述べているが、パワハラの定義にあてはまる行動だ。

 県職員のアンケートや百条委員会の証言などで告発された以上、「パワハラはしていない」と決めつける言説が根拠不明だというところまでは妥当だろう。しかし、斎藤氏の行為が「パワハラの定義にあてはまる行動」だったという点については疑問が残る。

 ◆パワハラ問題については、まだ結論が出ていない

 JFCの記事は、パワハラの定義について厚生労働省の「パワーハラスメントの定義について」という資料をもとに次のように論じている。

 「精神的な攻撃」として「大勢の前で叱責する」「ものを机に叩きつけるなど威圧的な態度をとる」などをあげている。

 しかし、資料の該当箇所を読むと、資料には「これらの行為が全てパワーハラスメントに当たることを示すものではない」と注釈がついている。厚労省にも確認取材をしたがやはり「机を叩けば、それだけで自動的にパワハラになるわけではない」という。

 また、斎藤氏が自ら認めた「机を叩いた」行為とは、本人による百条委員会での再現によると、机を平手で二回ポンポンと叩いた程度だ。これは、斎藤氏の言い分に過ぎないが、「本人が認めた範囲」で即パワハラ判定ができるかどうかというと、議論の余地があるだろう。 

 もちろん、きちんとした議論の結果、やはり「パワハラだった」という結論が出る可能性は十分にある。しかし、地元紙の神戸新聞が2024年11月15日に配信した記事では「百条委や第三者委の調査が続いており、結論は出ていない」としている。また、12月25日に行われた県議会の百条委員会においても、斎藤知事のパワハラ問題については最終的な結論は出ておらず、来年2月の定例県議会で証言などを取りまとめた報告を行うとしている。

 「文書問題に関する第三者調査委員会」についても、報告書の提出目標を来年3月上旬としておりまだ結論は出ていない状況にある。

 ◆政治家の発言に対して“裏とり”ができていない

 また、こちらの記事では「兵庫県知事選挙に立候補している稲村和美氏について、『当選すると外国人の地方参政権が成立する』『外国人参政権推進派』という言説が拡散したが、誤り。稲村氏は外国人参政権を公約にしておらず、この言説を否定している」と結論付けている。

 しかし、そもそも記事が示した投稿の表現は「(地方参政権が成立する)かもしれない」となっている。もともと「かもしれない」だったのを、断定的な「成立」という言葉にすりかえて評価するのは、果たして適切なのだろうか。

 また、稲村氏の発言について、まったく裏とりをせずに信用している点も気になる。筆者は政治団体「みどりの未来」が、稲村氏が共同代表だった時期に、外国人参政権を推進する政策を打ち出していたと思われる資料を、「緑の党」と同じドメイン名(greens.gr.jp)の下で公開されているサイトで発見した。筆者は12月4日、電話や公式サイトの問い合わせフォーム経由で稲村氏の事務所に事実確認の質問を送ったが、2週間経っても返信はない。

 こうしたJFCの記事は、「証拠を多角的に検証する」という、IFCNの倫理規定が求めている基準を満たしていないのではないか。

 ◆ファクトチェックの専門家も記事を疑問視

 これら2本の記事について、専門家はどう捉えるだろうか。国内ファクトチェック団体の草分け「FIJ」の設立メンバーで、『ファクトチェックとは何か』(岩波書店)の共著者でもある楊井人文弁護士は、検証手法に重大な問題があると指摘する。

 「斎藤知事の行為を『パワハラの定義に当てはまる行為だ』と断言した記事には、大きな問題がある。どんな行為があったかどうかの事実認定や、それが定義に当てはまるかどうかは、専門家でも意見が分かれることのある難しい問題だ。それなのにJFCは独自判断で、斎藤知事の行為を事実認定して、それが『パワハラの定義に当てはまる行為だ』と断言した。専門家に取材をした様子もない。いつからJFCはパワハラ認定機関になったのか」 

 もう一つの記事についても、楊井氏は次のように話す。

 「稲村さんが『外国人参政権推進派』ではないとしたファクトチェックにも問題がある。『公約に書いていない=推進する可能性がない』と結論づけるのは短絡的すぎる。私自身もXで指摘したが、少し調べれば見つかる情報に言及はせず、それを本人に問い合わせた形跡もない。確認不足だろう」

 楊井氏は「ファクトチェックはそもそも『報道』の一手法だ。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)も、これは『ジャーナリズムの実践だ』と明確に示している」と指摘。「そうであれば、最低限やるべき取材調査は尽くして、スキのない記事、読者にとって納得感のある記事を書かなければいけない。JFCがこのレベルの記事を作り続ければ、『ファクトチェック』という手法そのものの信頼まで損なわれかねない」と危機感をあらわにした。

 ◆「SNS対伝統的メディア」という図式を煽っている

 JFCが配信した記事で問題があるのはファクトチェック記事だけではない。

 筆者がさらに根深い問題があると考えているのは、兵庫県知事選が終わった直後、JFCは「SNSや動画」の影響力が新聞やテレビを上回ったというテーマの記事(前編後編)である。

 この記事は、NHKの出口調査で、投票する際に最も参考にした情報として、「SNSや動画サイト」が30%となり、テレビ(24%)や新聞(24%)を上回っていたことを受けて書かれた記事だ。出口調査の結果を見る限り、テレビや新聞の選挙報道が、有権者の期待に十分応えられる内容でなかったということは言えるだろう。

 だが、それを「解説する」はずのJFC記事を読むと、そこには筆者の意見や主観が強く反映されており、実質的にはオピニオン記事と言うべき内容だった。

 具体的に記事を見ていこう。前編の見出しは「斎藤氏再選の裏にSNSや動画 投票の参考情報で新聞・テレビ上回る」となっており、この解説は最初から「SNS 対 新聞テレビ」という構図で書かれていることがわかる。続けて見ていくと、「今回の選挙では『ソーシャルメディア』か『新聞やテレビ=伝統的メディア』かという分断が発生していました。」という記述がある。自然にできた分断のように書いているが、これは立花氏の主張そのものだ。

 記事後編でも、冒頭に生成AIで作ったという「テレビと新聞が燃える画像」と「マスメディアが情報の権威だった時代の終焉」という文字が目に付く。これを見れば、多くの人が「マスメディアの終わり」というような印象を持つのではないか。イメージ画像による印象操作をするのは、ファクトチェック団体の取るべき手法とは言い難い。

 燃えている新聞とテレビの画像には、“マスメディアが「情報の権威」だった時代の終焉”という見出しが付いている。生成AIにこのような画像を作らせた意図はどこにあるのだろうか。

 ◆プラットフォームの問題点をほとんど指摘していない

 また、冒頭でも指摘したように、FacebookやXなどの有力プラットフォームはフェイスニュースの拡散源となっているが、JFCはこれらの問題点にほとんど触れていない。

 JFCは2024年11月までに「ファクトチェック記事」以外に解説記事22本、ファクトチェック講座記事20本、メディアリテラシー講座記事5本を出していた。すべてをチェックしたが、そのうちプラットフォームの責任論が語られていたのは1本だけで、その記事はPoynterの記事を和訳したものだった。

 たとえば、さきほどの解説記事では、YouTubeなどのプラットフォームについて「自分では選べない情報洪水の中で、アルゴリズムが適切に情報を取捨選択してくれる」などと利便性を強調する一方で、運営者の責任を語っていない。

 解説記事の前編では「情報洪水の中でアルゴリズムが情報を取捨選択(便利)」「プラットフォームが便利だからこそ人・情報が集まる」と、1つの図で「便利」という言葉が2回も使われている。

 YouTubeやTikTokなどの動画配信サイトが、アルゴリズムによって情報を取捨選択しユーザーに届けていることを説明した図。「便利」というワードが二度も登場する。

 ◆収入源のほとんどがプラットフォームからの助成金

 JFCがこうした主張記事を出すことには、大きな問題があると筆者は考えている。なぜなら、JFCが公開している「JFCへの支援と会計」によると、運営費の99%はGoogleなどのプラットフォーム企業が出しているからだ。内訳は、Googleから7367万円、LINEヤフーから500万円、Metaから400万円となっており、Googleからの助成金は8割以上を占めている。

 古田編集長自身も2020年から2022年までGoogle News Labのティーチングフェローを務めていた。そして、YouTubeはGoogleの動画プラットフォームである。

 つまり、JFCや古田氏は、この問題について「第三者」というより、当事者に極めて近い立場なのである。資金源についての情報はJFCのサイト上を探せば見つかるが、記事中にはそうした注意書きがまったくない。解説記事を読んだ人が、いちいちJFCの収支報告を調べるとは考えにくい。

 JFCは自らのガイドラインでも「非党派性」や「透明性」を打ち出している。JFCの監査委員長である東京大学大学院教授の宍戸常寿氏に対するインタビュー記事によると、JFCは2022年にGoogleから150万ドル(2億1700万円)の運営資金を得て、ネット関連事業者でつくる一般社団法人・日本セーファーインターネット協会(SIA)の一部門として立ち上げられた組織だ。

 しかし、後述するがJFCに問い合わせたところ、編集部をチェックするという運営委員会は完全非公開であり、2024年8月に公開されたさきほどのインタビュー記事によると、監査委員会は発足後からその時点まで、過去一度も開催されたことがなかったという。このような状況では、「非党派性」や「透明性」という言葉も疑わざるを得ない。

 ◆Googleとの関係性は本当に中立なのか

 JFCの「解説」記事では、マスメディアを批判する一方で、誤情報拡散に対するYouTubeやGoogleの責任は一切語られていない。Googleとマスメディアの間には競合関係があり、OECDの報告によるとGoogleなどのプラットフォーム側が圧倒的に優位な立ち位置にいる。

 つまり、JFCはGoogleから多額の資金をもらって、Googleが利害関係者である誤情報の問題について、中立を装って、YouTubeやSNSの影響力拡大やマスメディアの凋落を強調するオピニオン記事を書いているように見える。

 これは、ジャーナリズムの倫理にも反するのではないか?

 たとえば、海外の有名ファクトチェックメディア「Politifact」はMeta社から資金提供を受けているが、Facebook投稿の検証過程でMeta社のシステムを使っただけでも、毎回次のような断り書きを入れている。

 このFacebook投稿は、ニュースフィード上の偽ニュースや誤情報に対抗するMetaの取り組みの一環として要確認とされた。(Facebook、Instagram、Threadを所有するMeta社とPolitifactの関係性についてはこちらをご覧ください)

 先のJFCの記事で筆者が論評している対象は、テレビ局といい、インフルエンサーといい、Googleと利害関係がある人たちばかりだ。そして、GoogleとJFCとの関係性を念頭に置いて記事を読んでいくと、メディアを批判する一方で、YouTubeの番組やインフルエンサーには「甘い」姿勢が見えてくる。

 ◆デマを拡散する人物を説明なしで紹介

 たとえば、YouTubeなどのプラットフォーム上で活躍するインフルエンサーについては、解説記事の後編に次のような一文がある。

 2024年のアメリカ大統領選は「ポッドキャスト選挙」とも呼ばれました。コメディアンの「The Joe Rogan Experience」などの有力ポッドキャストが大きな影響を与えたからです。

 ここで紹介されているポッドキャストの配信者であるジョー・ローガン氏は、YouTubeのチャンネルに1870万人の登録者がいるほどの人気コメディアンだが、同時にCNNBBCNewYork TimesAP通信NewsweekAFP通信など、数多くのメディアからファクトチェックの対象とされている要注意人物でもある。

 JFCの記事は、ローガン氏を紹介する際、こうした注意点に一切触れていない。数多くのメディアから発言の信憑性を疑われている人物の番組を「有力ポッドキャスト」とだけ説明するのは、ファクトチェック団体として不適正だと言わざるを得ない。

 こうした「解説」記事やファクトチェック記事は、IFCNの倫理憲章和訳)や、JFCのガイドライン指針と照らしても問題があると思われる。

 IFCN倫理憲章の「非党派性と公正性」には、「私たちは、ファクトチェックの対象とする問題について、特定の政策的立場に立ったり擁護したりすることはしません」とある。また、「資金源と組織の透明性」の項目では、「他の組織から資金を受け入れても、資金拠出者がファクトチェックの調査で達した結論に対して全く影響を与えないことを確約します」とうたっている。

 Googleからの資金提供を前提にすると、これらの記事内容には、「非党派性と公正性」「資金源と組織の透明性」に課題があると言わざる得ないだろう。

 ◆国際団体もGoogleから資金提供を受けているが…

 JFCのガイドラインには「当センターにおいてファクトチェック記事の作成に従事する者は、正確性と透明性の問題を除き、当センターがファクトチェックを行う可能性のある政策課題について、合理的な一般市民が当センターの活動を偏ったものと見なす恐れがあるかたちで、自らの見解を提言又は公表してはならない。」と書いてある(14条)。

 プラットフォーム規制が、日本でも話し合われている「政策課題」であることは間違いない。そして、もちろんGoogleやYouTube、LINEヤフー、Metaはその最大の対象だ。繰り返しになるがJFCの資金源は99%がそのプラットフォーム3社からである。

 実は、ファクトチェックの国際団体IFCN自身も、Googleから1300万ドル以上の資金提供を受けている。しかし、メンバーの多くはGoogleなどの巨大プラットフォームを公然と「フレネミー(フレンドであり、同時にエネミーでもある)」と呼んでいる。資金提供を受けていても、その下請けや代弁者となり下がらないために、意識して距離を保とうとしているのだ。

 彼らはYouTubeの批判もしている。2022年にはYouTubeのCEO(当時)宛てに公開質問状を出している。80以上のファクトチェック団体が署名したこの質問状の冒頭には、次のような強烈な言葉が綴られている。

 「YouTubeは、悪意のある人たちがそのプラットフォームを武器として使い、他者を操り、搾取し、組織化し、収益を上げることを許容してしまっている」

 ◆JFCから回答が来たが…

 Googleからの資金が、編集方針に影響を与えているのではないか。その疑念について、筆者は12月4日にJFCに質問を送った。JFCからは12月19日に「当センターはファクトチェックガイドライン第2条に基づき、非党派的かつ公平公正なファクトチェックを実施しており、プラットフォームとの関係もこうした原則に基づいております」という返信があった。

 筆者が送った質問内容とJFCからの回答全文は、別途掲載するが、筆者がガイドラインの条文まで挙げて具体的な質問をしているのにもかかわらず、JFC事務局は「ご参考までに下記もご覧下さい」として、そのガイドラインのリンクを送ってきた。

 また、筆者は「アルゴリズムについて『便利』という言葉を2回も使った図」を例に挙げ、こうした説明をする意図を質問した。事務局は、その質問には直接回答せず、「参考までに」としたうえで、このような返答があった。

 SNS、アルゴリズム、エコーチェンバーなどの問題につきましては、ご連絡いただいた記事の他にも下記の講座理論編でも取り上げさせていただき、多くの方にご視聴いただいております。

 ■フェイクニュースとアルゴリズム YouTubeやTikTokが便利で危険な理由【JFCファクトチェック講座 理論編3】

 これには驚かされた。この記事は質問状で「チェックした」と伝えたものに含まれているうえ、そこには筆者が質問したのと実質的に同じ図が使われているからだ。「なぜこんな図を使ったのか」という質問に対して、「図そのもの」の確認を求められるとは思わなかった。

 ◆「透明性」は担保されているのか

 また、返信には「なお、運営委員会は、委員間で自由闊達な意見交換を行い、適切な意思決定を図る場としております。その性質上、詳細な日時や議事録等は非公開とさせていただいております」とも書かれていたが、この点にも違和感を覚えた。

 開催日時すらも非公開なのだとすれば、運営委員会が実際に開催されているのかどうかも、外部からはわからない。これでは「完全な秘密会議」と言わざるをえない。JFCは「ファクトチェック」という、本来なら極めて高い倫理性と真摯(しんし)な姿勢が求められる活動を行うはずの組織だが、これでいいのだろうか。自ら掲げる「透明性」の大義はどこへ行ったのか。

 こうしたJFCの姿勢をIFCNの姿勢と比べながら、なぜファクトチェック団体が、プラットフォームと適切な距離を保つべきなのかについて、さらに論じてみよう。

 IFCNは「YouTubeへの公開質問状から2年経つが状況は良くなっていない」という趣旨の続報記事も出している。そのなかでも、下記の指摘は重要だ。

 巨大テック企業のアルゴリズムは、ファクトチェッカーによる検証記事よりも、虚偽情報の作り手によるコンテンツの方を優先して表示しがちだ。

 ファクトチェッカーには巨大テックカンパニーからの資金が必要だ。しかし、そもそも資金がいる理由の一つは、テックカンパニーが問題をどんどん深刻にしてしまっているからだ。

 実際、Googleを運営するAlphabet社が公表した2023年度第4四半期の会計資料によると、Googleは3000億ドル以上を売り上げ、その純利益は738億ドルに及んでいる。それに比べれば、IFCNへの寄付(1300万ドル)は微々たるものだ。

 ---------- 渡辺 一樹(わたなべ・かずき) 記者/編集者 1976年生まれ。奈良県出身。早稲田大学法学部卒。信濃毎日新聞記者、月刊誌などを経てネットメディアへ。弁護士ドットコムニュース副編集長、BuzzFeed記者、ハフポストニュース統括マネジャーなどを経てフリーに。テクノロジーや社会問題全般について幅広く執筆している。 ----------

 元稿:プレジデント社 主要出版物 PRESIDENT Online 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・県知事選挙におけるSNSなどで拡散されるデマや誤情報が拡散された事象】  2024年12月30日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…②

2024-12-31 07:15:10 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【兵庫県】:斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…②デマを指摘する「ファクトチェック団体」の欠陥

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:斎藤知事のパワハラを断定、立花孝志氏のマスコミ叩きに便乗…②デマを指摘する「ファクトチェック団体」の欠陥

 SNSなどで拡散されるデマや誤情報を検証する「ファクトチェック」を行っている団体がある。フリー記者の渡辺一樹さんは「日本ファクトチェックセンター(JFC)という団体が配信している記事には問題がある。専門家もJFCの記事に危機感をあらわにしており、専門機関としての適性が問われている」という――。

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兵庫県議会の百条委員会で証人尋問に応じ、宣誓する斎藤元彦知事=2024年12月25日午後、神戸市内[代表撮影]© PRESIDENT Online 

 ◆ファクトチェック団体としての適性があるのか

 そもそも、誤情報・偽情報が減れば、ユーザーだけでなくプラットフォーム自身にも得だ。誤情報・偽情報が多すぎるプラットフォームは、最終的にユーザーにも見放される。海外のファクトチェック団体が多額の寄付をもらっても遠慮しないのは、この事実を十分に理解しているからだろう。

 ただ、Googleがファクトチェック団体にカネを出しても問題ないと言えるのは、ファクトチェック団体側が自主・独立を保ち、スポンサーへの過剰な配慮をしない場合のみだ。

 仮に、Google側がファクトチェック団体を意のままに操ったり、逆にファクトチェック団体側が過剰におもねったりするようなことがあれば、全ての前提が崩れてしまう。

 ◆独自資金での運営はほぼ不可能

 読者の中には、そもそもGoogleからカネを受け取らなければ良いのに、と考える人もいるだろう。しかし、ファクトチェックの専門団体は、世界的に見ても非常に厳しい財政状況にある。

 2023年のIFCNの報告書によると、国際的なファクトチェック団体はどこも人手不足だ。常勤スタッフの数は1〜5人の組織が最多で、続いて6〜10人と小規模になっている。それよりも深刻なのが活動資金で、80%以上の団体が「最大の問題は資金不足だ」と訴えている。IFCN所属団体の資金源のうち最大のものは、Metaが設立した基金からの寄付だという。

 JFCは年間100本以上のニュースを公開し、Yahooなどの大手サイトへも配信している。しかし、2023〜24年の報告書などによると、1354万円の人件費をかけて、ニュース配信の収入はわずか79万円だった。営利目的のメディアとして成立しないのは一目瞭然だろう。

 日本にはIFCN加盟のファクトチェック団体が3つだけで、JFCのほか「InFact」と「リトマス」しかないのは、そういった資金面での厳しさの表れでもあるだろう。

 ◆誤情報が蔓延しているからこそ、冷静な検証が必要

 ここまでGoogleやXなどのプラットフォームや、JFCのファクトチェック団体としての問題を論じてきたが、偽・誤情報をめぐる事態がここまで深刻なら、いっそ国家やプラットフォームが直接介入して取り締まればいいと考える人もいるかもしれない。

 しかし、そうしたアプローチは非常に危険だと筆者は考えている。国家はもちろん、国家に準ずるような権力を持つ超巨大プラットフォームに軽々しく「お墨付き」を与えれば、民主主義を維持していくうえで不可欠な、表現の自由の侵害になりかねないからだ。

 国家やプラットフォームなどの強大な権力から独立した形で活動するファクトチェック団体が必要とされている理由は、まさにそこにある。

 価値のある情報と誤情報が混然となったインターネットは、民主主義に対する大きな脅威となっている。そんな状況になってしまった今だからこそ、JFCをはじめとするファクトチェック団体には、冷静な検証活動を続けていってほしい。 

 ◆JFCへの質問と回答全文

 1.プラットフォームをめぐる解説の偏りについて

 ――兵庫県知事選の解説記事において、アルゴリズムについて「便利」という言葉を2回も使ったを提示する一方で、YouTubeやX.comなどのプラットフォームの責任についてほとんど触れていない理由をお聞かせください。

 ――同様の事例について、IFCNに所属する海外のファクトチェック団体の多くがプラットフォームを厳しく批判している中で、貴センターがプラットフォームに対して批判的な視点を持たない理由をお聞かせください。

 ――JFCは12月4日時点で、解説記事22本ファクトチェック講座記事20本メディアリテラシー講座記事5本を出されていました。これらすべてをチェックしましたが、そのうちプラットフォームの責任論を正面から語っていたのは1本だけで、その記事はPoynterの記事を和訳したものでした。「便利」な側面を強調する一方で、プラットフォームの責任論を真正面から語らない理由をお聞かせください。

 2.資金提供元との関係について

 ――JFCファクトチェックガイドライン第7条、第12条、第14条との関連について、下記見解を伺いたいと思います。

 ――Googleからの多額の資金提供(2億円以上)は、プラットフォーム問題に対するJFC編集部の論調に影響を与えていませんでしょうか。お考えをお聞かせください。

 ――古田編集長がGoogle News Labのティーチングフェローだった経歴は、記事の論調に影響を与えていませんでしょうか。お考えをお聞かせください。

 ――IFCNに所属する多くのファクトチェック団体が、プラットフォームを「フレネミー(友でもあり敵でもある存在)」と位置付け、距離を取る姿勢を見せている中、貴センターはそうした姿勢がないように見受けられます。この点についてお考えをお聞かせください。

 3.運営委員会によるガバナンスについて

 ――JFC設置規定によれば、運営委員会は「JFCが定めるファクトチェックガイドラインに則って編集部が検証を実施しているかを評価」し、「編集長の解任を理事会に勧告する権限も持っている」とされています。兵庫県知事選関連の記事について、運営委員会はどのような評価をされましたでしょうか。

 ――特に下記の点について、運営委員会での議論の有無と、その内容をお知らせください。

 * プラットフォームの責任論をほとんど語らない編集方針について

 * Googleからの多額の資金提供と記事の論調との関係について

 ――運営委員会は、これまでにJFC編集部に対して、どのような形で意見を述べたり、改善を求めたりしてきましたでしょうか。

 ・JFCからの回答

 お問い合わせいただきありがとうございます。以下、回答いたします。

 当センターはファクトチェックガイドライン第2条に基づき、非党派的かつ公平公正なファクトチェックを実施しており、プラットフォームとの関係もこうした原則に基づいております。なお、ご参考までに下記もご覧下さい。

 ■ご質問1および2について

 JFCでは「JFCファクトチェック指針」および「ファクトチェックガイドライン」に従い運用しています。

 検証対象の選定方法についても解説しておりますのでご確認ください。

JFCファクトチェック指針

 ■https://www.factcheckcenter.jp/guidelines/

ファクトチェックガイドライン

 ■https://drive.google.com/file/d/1H9TCU01zuNh8sHpYL81FJ8_pOUd1WsoH/view?ref=factcheckcenter.jp

検証対象をどう選ぶか

 ■https://www.factcheckcenter.jp/guidelines/

 SNS、アルゴリズム、エコーチェンバーなどの問題につきましては、ご連絡いただいた記事の他にも下記の講座理論編でも取り上げさせていただき、多くの方にご視聴いただいております。

 フェイクニュースとアルゴリズム YouTubeやTikTokが便利で危険な理由【JFCファクトチェック講座 理論編3】

 ■https://www.youtube.com/watch?v=eS2XCaHYH24

 ■https://www.factcheckcenter.jp/course/others/jfc-factcheck-course-theory3/

 なお、運営委員会は、委員間で自由闊達な意見交換を行い、適切な意思決定を図る場としております。

 その性質上、詳細な日時や議事録等は非公開とさせていただいております。事業に関する具体的な方針等につきましては、お知らせ等必要な形で適宜公開しておりますのでそちらをご確認ください。

 ---------- 渡辺 一樹(わたなべ・かずき) 記者/編集者 1976年生まれ。奈良県出身。早稲田大学法学部卒。信濃毎日新聞記者、月刊誌などを経てネットメディアへ。弁護士ドットコムニュース副編集長、BuzzFeed記者、ハフポストニュース統括マネジャーなどを経てフリーに。テクノロジーや社会問題全般について幅広く執筆している。 ----------

 元稿:プレジデント社 主要出版物 PRESIDENT Online 社会 【話題・地方自治体・兵庫県・県知事選挙におけるSNSなどで拡散されるデマや誤情報が拡散された事象】  2024年12月30日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県知事選】:奇跡の背景(下):なぜ議会は知事に、組織・政党は民衆に、マスコミはSNSに負けたのか?

2024-12-31 07:14:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県知事選】:奇跡の背景(下):なぜ議会は知事に、組織・政党は民衆に、マスコミはSNSに負けたのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県知事選】:奇跡の背景(下):なぜ議会は知事に、組織・政党は民衆に、マスコミはSNSに負けたのか? 

 兵庫知事選での斎藤氏の再選は予想を覆す逆転劇だった。しかし筆者は24年8月ごろから「県議会での斎藤氏の不信任決議、それに先立つ県議会調査特別委員会(百条委員会)は一部議員が知事を辞めさせるために仕組んだ謀略」と見ていた。不信任決議に際し、百条委員会の調査結果が出ていなかった。パワハラやおねだりなども伝聞ばかりで証拠がなかった。その中での不信任決議は極めて異例、不審だった。そして誰の目にも明らかなそのことをマスコミがどこも指摘しないという事実も極めて異様だった。だからこそ筆者は「私は実証する情報を持たないがこれは謀略だ」とYahoo!ニュースで書いた。斎藤氏を支持する、しないという以前に「知事が変わってしまったら議会とマスコミの連携プレーによる邪悪な謀略がまかり通ってしまう」ということを恐れた。

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出典:Estonia Toolbox

 そんな中で選挙戦に入った。テレビ、新聞などマスコミは「選挙期間中は中立」という言い訳のもと急に斎藤氏への批判をやめ沈黙した。一方、SNS、特にX(旧ツイッター)、YouTube上では名もなき一般の人々が斎藤氏の県政改革に感謝し、その実績を評価し始めた。また県会議員によるおねだり情報の捏造の疑い、百条委員会のおかしさを指摘する情報も流布された。

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ネットを情報源に「斎藤元彦さんは悪くない」/(C)日刊ゲンダイ© 日刊ゲンダイDIGITAL

 謀略の首謀者は一部の県会議員らである(その名前は先般の百条委員会で証人として招致された前副知事が疑惑の対象として実名を列挙した)。だがその他の議員も彼らの謀略を黙認し追従し、知事の不信任案に賛成した。背景にはマスコミによる激しい知事批判があった。議員は誰しもマスコミの激しい攻勢に反論する自信を失っていた。結果的に大勢順応し全員が不信任を決議した。そうさせるほどの影響力をマスコミは持っていた(自民党の長岡県議の弁などによる)。そこで今回(下編)は前回に続き、この間のマスコミとSNSの動きについて総括したい。

 1.マスコミの自爆

 マスコミについては今回の選挙でSNSに負けたという指摘がある。しかし私はむしろマスコミは自ら大きな騒ぎを作り上げ、その挙句に自爆した(一番の首謀者ではなかったが結果的に「策士、策に溺れた」)とみている。順を追ってみていこう。

 〇第一段階:マスコミによる点火

 兵庫に限らず県政はふだんは地味な存在で人々の関心を集めない。しかしマスコミは一部議員が拡散したパワハラやおねだりといった未確認情報に最初に飛びついた。そしてろくに裏どり取材もしないまま、また百条委員会のずさんな調査結果の裏どりもせずに全国に向けて「兵庫にはひどい知事がいる」と断罪した。当然、県民の関心は高まる。議会もその騒ぎの大きさに反応し、調査途上にもかかわらず「不信任決議」を急いだ。そして知事が失職する。すると県民の県政への関心はますます高まった。

 〇第2段階:マスコミの急な沈黙とSNSへの注目

 県民の関心が最高に高まった直後、知事は大方の予想を裏切って失職を選び、再出馬を表明。やがて選挙戦に入る。すると途端にマスコミは発信量を絞った。放送法で選挙における公平性を義務付けられているという理由が一番大きいだろう。一方、県民は調査途上での不信任決議や一方的に知事を断罪する過剰な報道に疑問を覚えたままで釈然としない。彼らはSNSやYOUTUBEに情報を求める。すると「元局長らの自死は知事のせいではない」「知事をやめさせたい議員による謀略だ」「マスコミも議員と結託している」「衆議院選挙に向けて維新の会を貶めるためにマスコミは知事批判に走っている」といった見方に接する。こうしてマスコミ報道に対する疑惑、そして議会に対する不信を覚える県民が増えていった。

 〇第3段階:斎藤氏の愚直な街頭活動と県民の目覚め

 一方、斎藤氏は当初は文字通りひとりぼっちで街頭に立つ。TVは「絵になる」とすかさず飛びついた。「あのパワハラ知事が性懲りもせず出馬している」という冷たい論調でである。しかし、斎藤氏は「高校予算や庁舎建設問題などいままでやってきた改革を終わらせたくない」と愚直に語りかける。やがて県民は「もしかしたら改革に反対する議員らが知事をやめさせたかった」「謀略議員とマスコミはグルで自分たちを騙そうとしている」と考えるようになる。

 〇第4段階:街頭演説とSNS映像の相乗効果(ネットXリアルの相乗効果)

 なお斎藤氏の街頭演説を取り巻く群衆の様子はSNSで拡散された。街宣車を使うようになると、群衆の数は増え、まるでライブのようになる。その様子がSNSに拡散されさらに人を呼んだ。人々はYouTubeやXを見て街頭演説に行き、そこで支持者の姿を見て安心・共感し、周りに斎藤氏支持を説いた。つまりアナログの極致である「行って群衆の一員となる」という行動がデジタル画像としてSNS上で拡散され全国に広がった。

そうした動きは「テレビや新聞に騙されたままでまだ目覚めていない人に街頭演説に集まる人の数のすごさや熱狂を伝えよう」という草の根のアナログの動きになった。若者たちはネットでも口コミでも「投票に行こう」「親や友達に声をかけよう」と発信した。

 政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏も参戦し、結果的に斎藤氏にプラスに作用した。特に同氏が入手したという元副知事の音声データ(百条委員会での証言)はあっという間にX上で拡散し、これを機に「一部議員による謀略だ」「元副知事が言うとおり一連のできごとは県政を覆すクーデターだ」という書き込みが増えた。さらに各種のYouTube動画が流布した。

 今回の選挙はネット(デジタル)とリアル(アナログ)のハイブリッド戦だった。アナログとは街頭演説や握手、そして口コミである。斎藤事務所には大量の青い紙が貼ってあったが、あの1枚1枚も支持者からの手書きコメント(アナログ)だった。

 〇第5段階:マスコミ批判と突き放し

 この頃からまるで壊れたテープレコーダーのように”公益通報問題”と”知事の資質”しか報じないマスコミに対するいらだちが高まる。「なぜ県政改革の総括をしないのか」「知事と議会の対立の背景をなぜ報じないのか」という疑問である。やがて沈黙を続けるマスコミに対し人々は愛想をつかせ、もっぱらSNSとYOUTUBE、そして口コミ情報に頼るようになった。

 〇第6段階:オールドメディア批判

 そして開票。新聞もテレビも逆転劇に接し、まるでお通夜のような静けさで知事の再選の事実をきまり悪そうに報じる。やがて「斎藤陣営はSNS戦略がうまかった」「SNSを通じたデマで人々は間違った投票をした」といった論調がでてくる。これに対し人々は「オールドメディアはSNSに負けた」と言い出し、また「先にデマを流したのはマスコミであり、素人のSNSの一部にデマが混じっていたとしても汚れたマスコミに批判をする資格はない」と反発した。

 2.マスコミはどこで失敗したのか。

 選挙後に識者やマスコミは「斎藤陣営のSNS戦略にマスコミが負けた」と総括したが間違いだ。斎藤陣営自体のSNS戦略は通常の候補者となんら変わらない発信だった。いつどこで街頭演説をする、やった結果これだけ人が集まったといった事実、そして県政改革の成果を淡々と発信した。それを拡散し、また今回の選挙戦の真の争点を掘り起こし解説したのはボランティアたちだった。要はマスコミは人々から相手にされなくなった。それにもかかわらず自分たちは正しいと主張し続け、さらに信用を失い続けている。

 それではマスコミはいったいどこで間違ったのか。

 第1は、選挙前に「知事がパワハラ、おねだりをした」という一部議員や百条委員会発の情報を裏取りもせずそのまま大量発信したことだろう。百条委員会のアンケートは匿名で誰でも何回でも回答できた。職員以外の人も回答できたし、実際に退職者も記入した可能性があると指摘される。そんなアンケートの欠陥をマスコミ各社は県庁に記者を常駐させておきながら見過ごした。取材能力の欠如といってよい。

 第2に百条委員会の調査も終わらないうちに不信任を議決した議員たちの異常な行動の背景を取材、掘り下げ報道しなかった。これも取材能力の欠如だがそれを超えて報道機関としては致命的なミスといえよう。

 第3に選挙戦に入ると急に沈黙した。そして斎藤氏の落選を落柿を待つがごとく信じ、街頭演説の盛り上がりもあまり報じなかった(ただしこの背景には中立公正を強いる放送法等の制約はあった)。

 第4に、通常、知事選では県民は政策や予算に興味があるのにひたすら「争点は知事としての資質と公益通報問題」と決めつけ、過去の報道内容を繰り返した。これも記者クラブでの特権を擁し、公共の電波を預かる機関としては致命的な欠陥と言えよう。県民の関心事を無視して選挙報道は成り立たない。取材放棄とすら言ってよい。かくしてマスコミは多くの県民から放送しない自由の権利を乱用したと批判される結果に至った。

 第5に一部の番組は明らかな偏向報道を企画した。最たるものはNHKのクローズアップ現代である。匿名の職員OBと称する人物の証言を丸呑みし、一方的に選挙で選ばれた知事の改革を批判した。ほかにも証拠のない中、知事を殺人者呼ばわりしたワイドショーもあった。

 第6に選挙で民意が示されたにもかかわらず自らの誤報、偏向あるいは憶測報道の不適切さを認めず、ひたすらSNSはデマだと決めつけ全く反省しない姿勢は企業として不適切だろう。民意が2度にわたって知事を支持したにもかかわらず一部のテレビ番組ではいまだに斎藤知事を白眼視する姿勢を変えない。視聴者の信頼を裏切り続ける姿は異様である。

 3.SNSは嘘ばかりなのか

 マスコミは「SNSでデマが流れ、それで有権者が惑わされた」「だから選挙時のSNSの規制をすべきだ」と主張する。しかし、筆者はこと今回の選挙に関する限り、これは全く当たらないと考える。

 百条委員会のアンケート問題、そして不信任決議のおかしさを経て、また報道姿勢のおかしさを多くの有権者が感じた。そしてマスコミは何かを隠していると感じた。実際にどうだったかは第3者委員会や百条委員会、あるいはその他裁判の結果を得ない限り誰にも断定できないが、そもそもプロ集団で報道の自由という特権を得ているマスコミが「隠している」「冤罪報道をしている」と大衆に思われたらもう終わりだろう。

 有権者の信用を失ってしまったマスコミ関係者が素人が流したSNSの一部の内容をとりあげて「デマだから規制しろ」と決めつけ批判すること自体がおかしい。信頼を失ったマスコミが行うべきは、まずは斎藤知事への謝罪(元局長の自死があたかも知事のせいでるかのように報じたこと、百条委員会が認定できなかったパワハラやおねだりがあったと決めつけ大々的に批判報道をしたこと)であり、県民への釈明(杜撰なアンケートのけっかをなぜ事実であるかのように報じたか、調査委員会の調査結果が出ない中での不信任決議の政治的背景を掘り下げなかったこと等)だろう。

 4.マスコミに信頼回復の余地はあるのか。

 上記の失敗はなぜ起きたのか。筆者はかつて経営コンサルタントだったがマスコミ企業の改革にもかかわったことが複数回ある。また大阪府市や都庁の改革で多数の記者と仕事をした。当時と今では事情が異なる部分はあろうが、およそ以下のようなことが起きていると推測する。

 第1には現場の取材体制がかなり弱体化している。地方自治体の動きを探るには現地にそれなりのベテランを配備しなければならない。なぜなら県庁が発表する公式情報だけでは真実はわからない。しかし記者の数も予算も減って余裕がなくなった。畢竟、知事や議員からのリーク情報に飛びつくことになる。記者クラブ経由の情報を加工するだけだと特色が出せない。そんな中、他社がリーク情報でスクープ記事を時々書くと放置できない。各社それぞれが懇意な議員をつくり、こっそりリークを求める。そのためには議員が望む記事を書く(たとえば知事をめぐる疑惑など)。それと引き換えに情報をもらう貸し借り関係に発展し、中立性を失う。

 第2には本社と現場の乖離である。片山元副知事がいみじくも百条委員会で述べていたが

 現場の記者は特定議員の謀略や知事がパワハラ等をしているのかどうか真実を知っている。しかし東京本社は他社が視聴率の取れるニュースを流す中、当社だけが沈黙、中立を保つというのは看過できない。裏どりできていない情報であっても「ワードショーならいいだろう」と考えてセンセーショナルに流してしまう(ニュース番組では中立を装う)。これは社内の報道部門(ニュース担当)と社会情報部門(ワイドショー担当)の番組ガバナンスにもかかわる問題だが、報道部門、特に現場記者が慎重でもワイドショーでは週刊誌やネットで面白い情報を見つけるとネタとしてさっさと流してしまう傾向がある。

 第3にはネットの影響である。かつて新聞は朝刊、夕刊の一日2回のみの発信だった。テレビは定時や臨時のニュースの発表機会があったが、露出は地上波の番組の時間枠の中だけだった。しかし今は新聞もテレビもネットで瞬時にいくらでも情報を出せる。その中で特落ちを防ぐには24時間、目を凝らしていく必要がある。一方で記者は数が減っている。となるとがせネタや未確認情報を選別する余裕はますますなくなる。結果、誤報や誰かが捏造した情報でもあたかも事実であるかのように安易に拡散してしまう。こうして今回のような誤報や冤罪報道の事故が起きる。

 第4には政治との距離である。今回の県議会の不信任決議の急ぎ方、それに呼応するかのようなマスコミによる急速かつ強烈な斎藤知事バッシングの背景には何か大きな力が働いていた可能性がある。各社一斉に知事たたきを急いだ裏には衆議院選挙が近い中で自民党が維新の会の伸長を阻止したかったという事情が作用していたのではないか。それがマスコミへの圧力なのか、マスコミ側による忖度なのか、阿吽の呼吸の一致なのかはわからない。だがそれ以前からの大阪万博に関する執拗なネガティブキャンペーンとあわせ見てみると日本維新の会の伸長を快く思わない動きが今回の謀略の率先にかかわっているという可能性は否定しきれない。

 以上、さまざまな角度からマスコミの在り方を考えてきたが、期待したいのは筆者のような見方に対する賛否両論、談論風発の論戦をマスコミ人が自ら行うことである。マスコミ人がこれまでのできごとを一切振り返らず、今後もひたすら「公益通報と知事の資質」のみを断罪し続けるとしたらもはや反社会的勢力とすらみなされかねない。スポンサーは離れ、購読者は減り、受信料収入は減り続けるだろう。今回の事件はマスコミの限界を見事に露呈させたが、刷新の良い機会でもある。正しい資金の流し方、人材の育成の仕方、会社としてのガバナンスの在り方や社会によるマスコミ支援のあり方も含めた議論の契機にすべきだろう。

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慶應大学名誉教授、経営コンサルタント

専門は戦略と改革。国交省(旧運輸省)、マッキンゼー(パートナー)を経て米ジョージタウン大学研究教授、慶應大学総合政策学部教授を歴任。平和堂、スターフライヤー等の社外取締役・監査役、北九州市及び京都市顧問を兼務。東京都・大阪府市・愛知県の3都府県顧問や新潟市都市政策研究所長を歴任。著書に『改革力』『大阪維新』『行政評価の時代』等。京大法、米プリンストン大学院修士卒。これまで世界119か国を旅した。大学院大学至善館特命教授。オンラインサロン「街の未来、日本の未来」主宰 https://lounge.dmm.com/detail/1745/。1957年大阪市生まれ。

 元稿:Yahoo!JAPANニュース 主要ニュース 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選・担当:上山信一:慶應大学名誉教授、経営コンサルタント】  2024年12月28日  16:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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