路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説②・11.19】:GDPプラス 先行きのリスクに備えを急げ

2024-11-19 05:00:40 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【社説②・11.19】:GDPプラス 先行きのリスクに備えを急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.19】:GDPプラス 先行きのリスクに備えを急げ

 日本経済は緩やかに回復しているが、先行きのリスクが増えてきた。政府は、物価高を上回る賃上げと活発な投資を促していくための具体的な取り組みを急がねばならない。 

 2024年7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で0・9%増だった。2四半期連続のプラス成長となったが、4~6月期の2・2%増から伸びは鈍化した。

 GDPの過半を占める個人消費は前期比0・9%増だった。内需のもう一つの柱である企業の設備投資は0・2%減となった。全体としてプラス成長を維持できたのは、消費の底堅さが大きい。

 ただし、一時的な要因が多いことが気がかりだ。

 新車販売の回復は、認証不正問題で落ち込んでいた反動の面がある。食品や飲料への支出拡大は、南海トラフ地震臨時情報や台風の影響で買いだめが起きたためという。外食や宿泊は伸び悩んでおり、国民の節約志向は根強い。

 この期間は、1人当たり年4万円の定額減税や、電気・ガス料金への補助金が再開された影響で、所得環境は大幅に改善していた。しかし、期待されたほど消費が押し上げられたとは言い難い。

 政府は、月内にもまとめる経済対策で、低所得世帯への給付金支給や、電気・ガス料金への補助再開などを検討している。そうしたバラマキ的な政策では、日本経済の成長力は高まりそうにない。

 日本は、賃上げと投資が主導する「成長型経済」へと移行するべき重要な局面にある。そうした中、先行きの懸念材料が増えており、備えを急ぐ必要がある。

 今回のGDP速報で、輸出は景気が停滞する中国向けが振るわず、前期の2・6%増から0・4%増へと伸びが縮小した。トランプ次期米大統領は高関税を課すと主張しており、輸出は今後、さらに打撃を被る可能性がある。

 外需頼みではなく、内需を拡大することが不可欠だ。だが、最近の円安・ドル高は、物価高を助長して家計を苦しめている。

 企業が600兆円を超える内部留保を活用せずに抱えていては、物価高を克服する賃上げと投資の好循環は実現しない。大企業が高い賃上げを先導し、中小企業にも恩恵を広げてもらいたい。

 政府は、賃上げ優遇税制などの施策をさらに練ってほしい。デジタル化や脱炭素、人手不足を解消する省力化など取り組むべき重要分野は多い。技術革新に向けた投資を後押しすることも大切だ。 

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:行政デジタル化 拙速を避け着実に進めたい

2024-04-15 05:01:20 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【社説②】:行政デジタル化 拙速を避け着実に進めたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:行政デジタル化 拙速を避け着実に進めたい

 自治体ごとに異なっているシステムをそろえるのは簡単ではないが、住民サービスの向上のためには行政のデジタル化が欠かせない。 

 国は作業が遅れている自治体を支援すべきだ。

 デジタル庁は、全国の自治体の業務システムの仕様を統一する「標準化」の事業について、全体の1割にあたる171自治体が、2025年度末の期限に間に合わないと公表した。

 大阪、埼玉など6府県や政令市、中核市など、人口規模が比較的大きい自治体が目立つという。

 都道府県や市町村など各自治体はこれまで、システムを独自に整備してきたため、仕様やデータの形式がバラバラになっている。各省庁のシステムともほとんど連携が取れていなかった。

 このためコロナ禍では、国と地方で感染状況などの情報共有がうまくいかなかった。国が用意した給付金の支給事務を、自治体が手作業で行うケースも多かった。

 こうした事態を踏まえ、政府は地方の事務のうち住民基本台帳や住民税など20の業務について、システムを統一することを決めた。25年度末までに、政府と自治体が共同で利用する「ガバメントクラウド」に移行する方針だ。

 行政のデジタル化が進めば、転出入の届け出や、医療や子育てに関する申請など、様々な手続きがオンラインでできるようになる。業務が効率化され、自治体職員の負担も軽減されるだろう。

 移行が遅れているのは、自治体によっては古い大型コンピューターを使っていたり、個別に改良を加えたりしているため、システム改修に膨大な作業が必要になっていることが原因だ。

 また、標準化の作業とは別に、システムの保守管理を担っていた企業が、人手不足などを理由に撤退した事例もあるという。

 標準化の事業では、膨大な個人情報を扱うことになる。クラウドへの移行を急ぐあまり、情報 漏洩ろうえい など重大なトラブルが起きるようなことは許されない。政府は、IT人材を派遣するなど自治体の取り組みを後押ししてほしい。

 先行してクラウドを利用し始めた自治体からは、その利用料などで経費が かさ んでいる、との声も出ている。政府は、クラウドを導入すれば行政全体で運用経費を3割削減できる、と説明してきたが、実態はそうはなっていない。

 費用が膨らんでいる原因や問題点を洗い出し、早急に対策を講じる必要がある。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:GDP世界4位に転落 暮らしの立て直し急ぐ時

2024-02-19 02:05:50 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

《社説①》:GDP世界4位に転落 暮らしの立て直し急ぐ時

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:GDP世界4位に転落 暮らしの立て直し急ぐ時

 物価高に苦しむ国民の暮らしを立て直さなければ、経済再生もおぼつかない。

 日本の昨年1年間の名目国内総生産(GDP)がドイツに抜かれて、世界4位に転落した。

 円安でドル換算のGDPが目減りしただけではなく、日本経済が抱える大きな問題を反映した。5割以上を占める個人消費の停滞が続いていることだ。

 新型コロナウイルス禍から経済活動が正常化した効果も息切れし、昨年7~9月期以降は2期連続のマイナス成長に陥った。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/02/19/20240219k0000m010002000p/9.webp?1" type="image/webp" />2023年の名目国内総生産(GDP)速報値について、談話を発表する新藤義孝経済再生担当相=東京都千代田区の内閣府で2024年2月15日、中島昭浩撮影</picture>
2023年の名目国内総生産(GDP)速報値について、談話を発表する新藤義孝経済再生担当相=東京都千代田区の内閣府で2024年2月15日、中島昭浩撮影

 背景には、賃上げが物価上昇に追いつかないことがある。昨年の実質賃金は前年比で2・5%減った。消費増税が影響した2014年以来の下げ幅となった。

 所得が低いほど物価高の負担は重くなる。非正規労働者は全体の4割近くを占め、厳しい節約生活を強いられている人は多い。

 懸念されるのは格差の拡大だ。

 日経平均株価はバブル期につけた史上最高値に迫っている。円安で自動車など輸出企業の好決算が相次ぎ、高所得者を潤している。

 東京23区で昨年発売された新築マンションの平均価格は初めて1億円の大台を超えた。「パワーカップル」と呼ばれる高年収の共働き世帯が「億ション」の買い手となっている。

 アベノミクスでも円安のメリットは大企業や富裕層に限られた。大幅に増えた非正規労働者などは蚊帳の外に置かれ、消費は低調なままだった。いびつな経済構造は今も変わっていない。

 にもかかわらず、岸田文雄首相は1月の施政方針演説で最近の賃上げや株高に触れ、「日本経済が新たなステージに移行する明るい兆しが随所に出てきている」と強調した。多くの国民の実感とは、かけ離れているのではないか。

 カギを握るのは今年の春闘だ。大企業では積極的な賃上げに応じる動きが出ている。課題は、雇用の約7割を占める中小企業に波及するかだ。取引先である大企業の協力や政府の支援が欠かせない。

 首相肝煎りの所得減税が6月にも実施される。だが小手先の景気刺激策を繰り返しても、将来不安は解消しない。格差の是正に本格的に取り組み、国民生活の底上げを図ることが急務だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月19日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日本GDP4位 デフレ完全脱却で再浮上図れ

2024-02-16 05:01:55 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【社説①】:日本GDP4位 デフレ完全脱却で再浮上図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日本GDP4位 デフレ完全脱却で再浮上図れ

 日本の名目国内総生産(GDP)が世界4位に転落した。最近の円安や過去のデフレが要因だ。デフレから完全に脱却して、経済の成長軌道を早期に取り戻したい。

 内閣府が発表したGDP速報値で、2023年の日本の名目GDPは前年比5・7%増の591兆4820億円となり、ドル換算では4兆2106億ドルだった。

 既に発表されたドイツの名目GDPは4兆4561億ドルで、日本はこれを下回り、米国、中国、ドイツに次ぐ4位となった。

 名目GDPは物価上昇で押し上げられるほか、国際比較では為替相場に左右される。日本が4位になったのは、円安でドル換算値が目減りしたことや、ドイツの高い物価上昇による面が大きい。過度に悲観する必要はないだろう。

 しかし、日本経済の長期低迷を反映しているのも事実だ。

 日本は、1968年に旧西ドイツを抜いて世界2位の経済大国となった。その後、バブル崩壊後の不況の長期化で2010年に中国に追い抜かれ、3位になった。

 長引くデフレの中で、企業はコストカットを最優先し、賃上げや投資を怠った。それが、さらに物価を押し下げる悪循環に陥り、名目GDPが伸びなかった。

 現在、日本経済は、その連鎖を断ち切り、経済の好循環を実現できるかどうかの転換点にある。

 企業業績は好調で、主要上場企業の24年3月期決算の最終利益は過去最高となる見通しだ。株式市場で、日経平均株価はバブル期の最高値に迫っている。訪日外国人客の消費も急回復している。

 そうした好材料をデフレ脱却につなげるには、まずは春闘で、企業が物価高を上回る賃上げを行うことが不可欠だ。それが消費を活性化し、好循環が生まれれば、GDPの再逆転も可能となろう。

 現状は、景気回復に足踏み傾向もみられる。23年10~12月期の実質GDP速報値は、前期比の年率換算で0・4%減と、2四半期連続のマイナス成長だった。

 個人消費が前期比0・2%減と振るわず、企業の設備投資も0・1%減だった。設備投資は、建築関係の人手不足で計画が滞っている可能性があるという。

 今後の安定的な成長には、人手不足の克服もカギとなる。省力化投資による生産性の向上、働き方や処遇の改善など、企業はあらゆる手を尽くしてもらいたい。

 GDPの世界4位への転落を、日本全体でデフレ下の意識を変革していく契機とするべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張】:GDP年6%増 外需頼みに危うさはらむ

2023-08-22 05:05:35 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【主張】:GDP年6%増 外需頼みに危うさはらむ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:GDP年6%増 外需頼みに危うさはらむ 

 4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で6・0%増となり、3四 半期連続のプラス成長となった。数字の上では大幅な伸びである。だが、これを楽観するわけにはいかない。

 GDPの過半を占める個人消費など、内需が総じて弱いためだ。賃上げが物価高に追いつかず、新型コロナウイルス禍から経済が回復する流れに水を差している。

 GDPを押し上げたのは、あくまでも輸出などの外需だ。ただし、中国経済の減速や金融引き締めが続く米欧経済、ウクライナ戦争など、海外情勢は不確実性が高い。そこに依存した景気回復は危うさもはらむ。

 大事なことは内需をいかに底上げするかだ。上場企業の4~6月期決算の最終利益が増加していることは好材料だ。収益拡大を継続的な賃上げや積極的な投資につなげ、経済の好循環を確実にしなくてはならない。

 4~6月期は、自動車などの輸出が大幅に伸びた。輸出にカウントされるインバウンド(訪日客)需要も拡大し、今月には中国から日本への団体旅行も解禁された。訪日消費をどう取り込むかは引き続き重要だ。

 一方で個人消費は前期比0・5%減とマイナスに転じた。コロナ禍からの回復過程で対面サービスは増えたが、食料品や家電などの買い控えが響いた。企業の設備投資も横ばいだ。

 足元では7月の消費者物価上昇率が3・1%となるなど、物価の高止まりが続いている。ガソリン価格も再び高騰し、個人消費の本格回復を遠のかせかねない。人手不足が深刻化していることも懸念材料である。

 こうした経済環境に対応できるよう、デジタル技術などを有効に活用して1人当たりの労働生産性を高め、賃上げにつなげなくてはならない。特に中小・零細企業が取り組みを強められるかどうかが問われよう。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【主張】  2023年08月21日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:GDPプラス 好材料を生かし力強い成長に

2023-05-20 05:00:30 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【社説②】:GDPプラス 好材料を生かし力強い成長に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:GDPプラス 好材料を生かし力強い成長に

 コロナ禍からの景気の持ち直し基調が、明確になってきた。今春闘の賃上げを消費の活性化につなげ、経済の好循環を実現する必要がある。 

 2023年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で1・6%増だった。22年10~12月期の実質成長率が今回、プラスからマイナスに改定されたため、3四半期ぶりのプラス成長となった。

 GDPの過半を占める個人消費が前期比0・6%増と、4四半期連続で伸びた。経済活動の正常化で外食や宿泊などが上向き、自動車の販売も好調だった。

 消費の回復は企業業績を押し上げている。鉄道や百貨店などの業績が改善し、23年3月期決算で上場企業の最終利益の合計は過去最高水準になる見込みだ。

 GDPの成長率が堅調だったこともあり、日経平均株価は1年8か月ぶりに3万円を突破した。

 そうした好材料を生かし、経済を力強い成長に導きたい。

 今春闘では、大手企業で労働組合の要求に対して満額回答が相次いだ。連合が求めた5%を上回る賃上げ回答も目立った。4月以降の賃金に反映される。

 ただ、消費には物価高の悪影響が懸念されている。3月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3・1%上昇と、高い伸び率が続いている。

 物価高を克服し、消費をさらに拡大させるには、賃上げを今春闘だけに終わらせず、継続することが重要だ。政府は最低賃金の引き上げなどで、幅広い労働者の賃金の底上げを図らねばならない。

 企業の設備投資は0・9%増と2四半期ぶりのプラスだった。LED照明など電気関連の設備への投資が増えたという。

 だが、伸び率は低い。脱炭素やデジタル化、人手不足に対応する省力化などに企業の積極的な投資が欠かせない。好業績の企業は利益を  め込むのではなく、攻めの投資に振り向けてほしい。

 一方、輸出は4・2%減と、6四半期ぶりのマイナスとなった。コロナ禍が直撃した20年4~6月期以来の大きな減少率だ。海外経済の減速で、自動車や半導体製造装置が低調だった。

 米欧の中央銀行による急速な利上げにより、海外経済の先行きは予断を許さない。米中堅銀行の相次ぐ破綻で、信用不安がくすぶっていることも気がかりだ。

 政府・日本銀行は金融不安が再燃した際、迅速に対処できるよう、備えを万全にしてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【内閣府】:GDPが年率1.6%増、3期ぶりプラス成長に 新型コロナ落ち着き個人消費回復

2023-05-17 10:44:30 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【内閣府】:GDPが年率1.6%増、3期ぶりプラス成長に 新型コロナ落ち着き個人消費回復

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【内閣府】:GDPが年率1.6%増、3期ぶりプラス成長に 新型コロナ落ち着き個人消費回復

 内閣府が17日発表した2023年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動を除く実質で前期比0.4%増、年率換算は1.6%増だった。3四半期ぶりのプラス成長。海外経済の減速により輸出が落ち込んだが、新型コロナウイルスの感染が落ち着き、旅行などの個人消費が回復した。設備投資も増加した。

 

 景気実感に近いとされる名目GDPは前期比1.7%増、年率換算で7.1%増だった。コロナ禍で前期に急減した反動で23.0%増となった20年7〜9月期以来の高い伸びで、物価高が強く影響した形だ。

 1〜3月期の実質を項目別に見ると、個人消費が前期比0.6%増と4四半期連続のプラス。外食や自動車販売が伸びた。設備投資はマイナスを見込んだ事前の市場予想に反し、0.9%増加した。主に自動車関連の投資が拡大した。
 輸出は、GDPの統計上輸出に区分されるインバウンド(訪日客)消費が増えたものの、半導体製造装置や自動車が落ち込んだことで4.2%減となった。輸入は2.3%減だった。(共同)

◆電気料金値上げに米金融不安… 「低空飛行」続きかねず

 国内総生産(GDP)速報値が3四半期ぶりのプラス成長となった要因は、個人消費の回復だ。だが、電気料金の値上げによる家計への悪影響に加え、米国の金融不安による世界経済の減速が起きれば、日本経済の「低空飛行」は続きかねない。
 
 新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類へ移行したことで、今回のプラス成長をけん引した外食や旅行需要の伸びは今後も見込まれている。航空各社によると、大型連休中の国内線の利用実績がコロナ禍前の水準を回復。国際線の総旅客数も前年の2倍を上回った。
 
 ただ、一見見通しが明るそうな個人消費だが、実質所得が伸びなければ今年後半には失速しかねない。今春闘の賃上げ率は3.7%近くと30年ぶりの高水準となる一方、食料品を中心とした物価高の影響で、実質賃金は12カ月連続のマイナス。大手電力7社が来月から電気料金を値上げするため家計負担は増す。
 
 日本経済は欧米に比べてコロナ禍からの回復が遅れている分、プラス成長の余地はあるとされるが、その行方は世界経済の状況次第だ。米国の金融不安から懸念される欧米の景気後退が現実となれば、日本からの輸出はさらに落ち込む。その場合、個人消費が仮に好調であっても景気の下支えは難しくなる。(押川恵理子)
 

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 経済 【企業・産業・統計・2023年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値】  2023年05月17日  10:44:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政局】:GDP世界3位転落目前 自民党政権を続けさせたら凋落するだけ

2023-02-23 06:43:10 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【政局】:GDP世界3位転落目前 自民党政権を続けさせたら凋落するだけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:GDP世界3位転落目前 自民党政権を続けさせたら凋落するだけ 

 「安いニッポン」「先進国で唯一ゼロ成長」「賃金の上がらない国」──。そんなうれしくない代名詞が定着し、日本が“貧しい国”へと転落しつつあることを、国民もだんだん分かってきた。それでも、あらためて具体的な数字を突きつけられると愕然とする。

 <名目GDP、ドイツが肉薄><日本、世界3位危うく>

 19日付の日経新聞の記事の見出しだ。

 日本がずっと維持してきた国内総生産(GDP)で、米国、中国に次ぐ3位という地位が危うくなっている。4位のドイツとの差が急速に縮まっている、というものだ。

 2022年のドル建て名目GDPは日本が4兆2300億ドル(約560兆円)に対し、ドイツは4兆600億ドル。その差は1700億ドルしかない。20年は1兆1500億ドル、21年は6700億ドルの差だった。

 大きな要因は、一時32年ぶりの1ドル=150円超となった円安だ。物価高にしても、インフレ率が日本はドイツほどではないことも影響しているという。

 このドル建て名目GDPを20年前と比較すると、さらにショッキングだ。ドイツは2倍、米国も2倍、中国は12倍にまで膨んだのに、日本はわずか1%増とまったく成長していないのだ。

 日本だけがしぼんでいく理由について、日経新聞はこう分析している。

 <日本は構造的な成長力の弱さがある。海外からエネルギー資源の多くを輸入する体質がかわらず、資源価格高騰で輸入額が膨らむ。電機業界の競争力が弱まり、モノの輸出で稼ぐ力も落ちた。少子高齢化や人口減少が進み、基本的な「体力」が落ちつつあることも大きい>

日本経済は浮上できない(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ

 ◆非正規雇用と円安のぬるま湯

 “ものづくりニッポン”の稼ぎ頭は、長年、電機と自動車といわれてきた。だが、気づけば日本の電機産業は完全に没落。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、22年下半期(7~12月)に、半期ベースとしてはデータが残る1988年以降で初の赤字に転落した。貿易黒字の稼ぎ頭だったテレビなどのデジタル家電は割安な海外メーカーに敗北し、携帯電話市場も「iPhone」など海外スマホに奪われた。

 残された自動車産業もEV(電気自動車)の出遅れで正直、危うい。米テスラや中国BYDといった“EV台風”を前に、世界のトヨタもいつまでその地位にいられるだろうか。

 「日本には自動車に取って代わる次の産業がありません。日本政府がGAFA(米主要IT企業)のような新しい産業が生まれる環境をつくらなかったことが原因です。アベノミクスの『3本の矢』も成長戦略とは名ばかりでした。日本企業が目先の利益ばかりを追いかけるようになったことも、経済を弱体化しました。小泉内閣あたりから加速させた非正規雇用の活用が元凶です。

 米国のように労働市場を流動化し、固定費としての人件費を変動費化するよう制度を改正したのです。必要な時だけ必要なだけの労働力を使えれば、企業は人件費を抑えられる。その結果、非正規雇用が労働者全体の4割を占めるようになりました。社員教育への資源配分を減らす企業が増え、『わが社』『うちの会社』というロイヤルティーもなくなった。長い目で見れば生産性の低下につながっていることは否定できません」(経済評論家・斎藤満氏)

 2000年代初頭の小泉・竹中構造改革で、日本の雇用はメタメタにされた。

 「強い者はより強く、弱い者はより弱く」という新自由主義路線だ。竹中平蔵氏が昨年8月まで会長を務めたパソナグループなどの人材派遣会社は大儲けした。

 非正規は製造現場などあらゆる分野に拡大され、企業が労働者を資産ではなくコストと考えるようになった。給料の安い非正規を増やせば、企業は人件費を減らせ、見せかけの利益は増えるから喜ぶ。

 そんなリストラ経営が10年続いたところに、第2次安倍政権の異次元金融緩和で円安が加速。企業は為替差益のぬるま湯に安住し、ますます競争力を失ったのだ。

 ◆中長期的な視野なく、「今だけ、カネだけ、自分だけ」

 とどのつまり、世界経済において日本が一人負けしているのは、歴代自民党政権の利権あさりと無為無策に尽きる。

 今ごろになって岸田政権は「異次元少子化対策」と大騒ぎしているが、こうなることは「出生率1.57ショック」の30年前から分かっていたことだ。それを自民党政権は長年放置してきた。

 「少子化問題には非正規雇用の拡大も影を落としています。国税庁の『民間給与実態統計調査』によれば、正社員と非正規雇用との賃金格差は3対1に拡大しました。年収190万円の非正規雇用では、子どもを持つことが難しい。少ない給料から家賃や社会保険料を払えば、あとはいくら残るのか。子どもどころか結婚すらできません。人口は経済成長に直結する。働き手が減れば、成長できなくなるのは当然です」(斎藤満氏=前出)

 少子化には自民党の古い家族観も多大な影響を与えている。

 09年の政権交代で民主党政権は「社会で子どもを育てる」という理念を掲げ、所得制限なしの「子ども手当」を創設するなどした。しかし、12年末に自民党政権に戻ると、安倍元首相の下、保守派が党の主流となり、再び子育ては「家庭」に閉じ込められた。

 その間、世界は、LGBT法や同性婚を認める法律が制定されるなど、多様性が進む社会に呼応して“進化”したのに、日本はそうした先進国のスタンダードからも取り残されたのだ。

 ◆倒錯した岸田政権

 そして、無為無策の政治は、岸田政権で絶望的に悪化している。

 少子化で人口減少に歯止めがかからないのに、防衛費を5年間で43兆円に増やす倒錯。米国に要求されるがまま兵器を爆買いし、防衛力を強化しても、人員不足の自衛隊で、誰が戦闘機を操縦し、誰がミサイルを撃つのか。軍需産業とその利権にぶら下がる政治家を喜ばせるだけだ。

 そのうえ、米国から購入した兵器は「輸入品」だから、日本の経済成長にはつながらない。どれだけ巨額の財政支出をしたとしても、GDPにはまったく反映されず、逆に借金が積み上がっていく。

 岸田首相が安易に原発回帰に舵を切ったことも倒錯と言うしかない。設計時に「40年」が基準だった老朽原発を60年超まで稼働させようという狂気の沙汰。建て替えに次世代原発の開発と、経産省、原子力ムラ、財界が一体となって古いエネルギーにしがみつく。

 GDPで日本を逆転しようとしているドイツは、東日本大震災での福島第1原発事故の大惨事を目の当たりにして、22年末の「脱原発」を決定した国だ。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー不足でタイムスケジュールがずれ込んではいるものの、脱原発の方針はブレていない。電力消費量に占める再生エネルギー比率は5割弱まで高まり、積極的な環境投資で経済成長の絵を描いている。

 要は自民党政権の本質は「今だけ、カネだけ、自分だけ」。大事なのは、短期的な利益と選挙の票に直結する支援組織、政権維持や保身。50年後、100年後の未来にどんな国を残すかなど考えていない。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。

 「中長期的な視野を持って提案する政治家が自民党にいなかったわけではないのですがね。例えば20年くらい前でしょうか。少子化対策のために社会保障制度を抜本的に改革すべし、と提言していた若手がいました。しかし、こうした声が吸い上げられないできた。女性議員もなかなか増えません。偉くなって出世するのは、男性に媚びるような女性議員ばかり。世代交代が進まず、男尊女卑の政党では、国を成長させられるわけありません」

 もはや自民党ではどうにもならない。国民が目覚めるしかないのである。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・岸田政権】  2023年02月21日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:GDPマイナス 消費後押しする政策を

2022-05-22 05:05:25 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【社説①】:GDPマイナス 消費後押しする政策を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:GDPマイナス 消費後押しする政策を 

 2022年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で前期比1・0%減と2四半期ぶりのマイナス成長となった。

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大で、GDPの半分以上を占める個人消費が伸び悩んだ。ワクチンや携帯電話など輸入の伸びが自動車など輸出の伸びを上回り、全体を押し下げた。

 日本経済の成長力がコロナ前の水準に依然として戻っていないことの表れと言えよう。

 4~6月期は外食や旅行などのサービス消費が戻りつつあり、プラス成長が見込まれている。

 ただロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格の高騰や、米利上げの影響による円安などのリスクは多く、楽観はできない。

 着実な成長につなげるためには個人消費の回復が欠かせない。

 政府は感染拡大抑制に目配りしつつ、国内の消費を後押しする政策をより強く進めるべきである。

 1~3月期の個人消費は0・03%減だった。34都道府県にまん延防止等重点措置が適用されていた中では底堅いとの見方もある。

 足元には明るさが見られる。さまざまな業種に景気の実感を聞く4月の景気ウオッチャー調査は2カ月連続で改善した。大型連休中も観光地などで人出が増えた。

 コロナの重症者数が急増していないためだろう。今後もワクチンの追加接種など、感染対策の徹底が経済再生には不可欠である。

 円安と輸入物価上昇による物価高は家計の負担を増やし、個人消費回復の足かせとなっている。

 日銀は「円安は経済全体にはプラス」として、金融緩和をさらに拡大する。一方で政府は円安に警戒感を示し、物価高対策に赤字国債を発行して補正予算を組む。

 生活の下支えに対策は必要だ。だが国民の将来不安につながる財政赤字を膨らませて対策を打つのに、金融政策では物価高の要因である円安をなお志向している。

 政府と日銀はかみ合っていないのではないか。日銀は緩和に傾斜しすぎた姿勢を一度修正する必要があろう。

 政府は訪日観光客の受け入れ再開に向けて、4カ国を対象に小規模ツアーの実証事業を近く行う。

 コロナ前には国内で年間5兆円近いインバウンド消費があった。足元の円安は訪日観光には追い風であり、経済界からは本格的な再開を期待する声が出ている。

 拙速な再開は感染再拡大を招く恐れもある。政府には感染抑止を前提に丁寧な対応を求めたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月20日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:米国が国内総生産(GDP)を初めて発表したのは…

2022-01-31 02:04:30 | 【統計データー・GDP(国内総生産)・国民経済計算・行政サービスのデジタル化】

【余禄】:米国が国内総生産(GDP)を初めて発表したのは…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:米国が国内総生産(GDP)を初めて発表したのは…

 米国が国内総生産(GDP)を初めて発表したのは今から80年前の1942年だった。国の豊かさを表す指標として世界に広まったが、米政府が使い始めたのは戦争遂行に必要な国力を把握するためだ。考案した学者も「国民の福祉はほとんど測れない」と認めていた

 ▲ロバート・ケネディ元米司法長官の演説が問題点を指摘している。「数字には大気を汚す経済活動も核弾頭も含まれる。けれども子どもたちの健康や教育の質は測れない。夫婦の絆の強さや私たちの思いやり、国への深い愛情も」

 ▲岸田文雄政権は「日本のGDPは2022年度に戦後最大になる」と強気の予測を示している。だが「戦後最大のGDP」を目標にしたアベノミクスが成長と効率を優先した結果、コロナ禍で格差や孤立があらわになった

 ▲福井県立大准教授の高野翔さん(38)はヒマラヤの小国ブータンで「国民総幸福量」という指標の調査に加わった時の驚きが忘れられない。小さな村で若い男性に「病気になった時に頼れる人は何人いますか」と尋ねたら、当たり前のように「50人ぐらいですね」と答えが返ってきた

 ▲生活水準だけでなく、地域のつながりや自然環境にも配慮したものだ。高野さんは「人と人の支え合いというGDPに含まれない価値がとても大事にされている」と語る

 ▲格差や孤立は各国が抱える課題だ。岸田首相は「新しい資本主義で世界をリードする」と強調する。ならばGDPの欠点を補う指標作りに率先して取り組んではどうか。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2022年01月31日  02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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