【主張②・12.16】:巨大地震注意情報 北海道と東日本で周知を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.16】:巨大地震注意情報 北海道と東日本で周知を
内閣府と気象庁が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用を始めてから16日で2年を迎えた。まだ内容をよく知らない人が多いとみられ、周知徹底する努力が必要だ。
北海道東部から青森・岩手両県にかけての太平洋側では、津波を伴う巨大地震が想定されている。震源域や周辺でマグニチュード(M)7以上の地震が起きた場合、その後にM8~9の巨大地震が発生する可能性が普段よりやや高まったとして、後発地震注意情報が発表される。
青森市内に掲示された、巨大な後発地震への注意を呼びかけるポスター
巨大地震が発生すると、北海道から千葉県までの広範囲に最大30メートルの津波が押し寄せ、甚大な被害が生じる。被害を減らすため住民は発表から1週間は防災用品や避難経路の再確認、直ちに避難できる態勢での就寝などの防災対応が求められる。
ただ、巨大地震が1週間以内に発生する可能性は100回に1回程度で、必ず発生するわけではない。このため事前の避難は求めておらず、社会経済活動を継続しながら備えることが大切だ。
西日本ではほぼ同じ趣旨の南海トラフ地震臨時情報が8月に初めて発表されたが、旅行やイベントの中止などで社会的な混乱が生じた。多くの人が情報の意味をよく理解できず、戸惑ったようだ。認知度や対応が十分ではない自治体もあった。
この教訓を北海道・三陸沖に生かしたい。注意情報は約2年に1回の頻度で発表される見込みで、既にいつ発表されてもおかしくない状況にある。
内閣府が6月に発表した対象地域などの住民アンケートでは注意情報を「知らない」「聞いたことはあるものの詳しく知らない」と答えた人の合計は北海道が5割強、東北が6割、関東は8割近くに及んだ。
国はもっと知恵を絞り、広報に努めるべきだ。住民側も注意情報が出たときの行動を家族や学校、地域で話し合うなど、積極的な準備を心掛けたい。
北海道では約400年周期で発生する千島海溝の巨大地震が切迫している。東日本大震災では発生の2日前に周辺でM7級の地震が起きた。三陸沖は大震災の震源域のすぐ北側に位置しており、警戒が必要だ。
日本の東西で巨大地震への注意を喚起する情報があることを改めて認識し、国民全員が防災意識を高める契機としたい。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月16日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。