路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張②・12.16】:巨大地震注意情報 北海道と東日本で周知を

2024-12-17 05:03:35 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【主張②・12.16】:巨大地震注意情報 北海道と東日本で周知を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.16】:巨大地震注意情報 北海道と東日本で周知を 

 内閣府と気象庁が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用を始めてから16日で2年を迎えた。まだ内容をよく知らない人が多いとみられ、周知徹底する努力が必要だ。

 北海道東部から青森・岩手両県にかけての太平洋側では、津波を伴う巨大地震が想定されている。震源域や周辺でマグニチュード(M)7以上の地震が起きた場合、その後にM8~9の巨大地震が発生する可能性が普段よりやや高まったとして、後発地震注意情報が発表される。

青森市内に掲示された、巨大な後発地震への注意を呼びかけるポスター

 巨大地震が発生すると、北海道から千葉県までの広範囲に最大30メートルの津波が押し寄せ、甚大な被害が生じる。被害を減らすため住民は発表から1週間は防災用品や避難経路の再確認、直ちに避難できる態勢での就寝などの防災対応が求められる。

 ただ、巨大地震が1週間以内に発生する可能性は100回に1回程度で、必ず発生するわけではない。このため事前の避難は求めておらず、社会経済活動を継続しながら備えることが大切だ。

 西日本ではほぼ同じ趣旨の南海トラフ地震臨時情報が8月に初めて発表されたが、旅行やイベントの中止などで社会的な混乱が生じた。多くの人が情報の意味をよく理解できず、戸惑ったようだ。認知度や対応が十分ではない自治体もあった。

 この教訓を北海道・三陸沖に生かしたい。注意情報は約2年に1回の頻度で発表される見込みで、既にいつ発表されてもおかしくない状況にある。

 内閣府が6月に発表した対象地域などの住民アンケートでは注意情報を「知らない」「聞いたことはあるものの詳しく知らない」と答えた人の合計は北海道が5割強、東北が6割、関東は8割近くに及んだ。

 国はもっと知恵を絞り、広報に努めるべきだ。住民側も注意情報が出たときの行動を家族や学校、地域で話し合うなど、積極的な準備を心掛けたい。

 北海道では約400年周期で発生する千島海溝の巨大地震が切迫している。東日本大震災では発生の2日前に周辺でM7級の地震が起きた。三陸沖は大震災の震源域のすぐ北側に位置しており、警戒が必要だ。

 日本の東西で巨大地震への注意を喚起する情報があることを改めて認識し、国民全員が防災意識を高める契機としたい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.15】:【避難所の改善】生活の質守る環境整備を

2024-12-16 05:05:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説・12.15】:【避難所の改善】生活の質守る環境整備を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.15】:【避難所の改善】生活の質守る環境整備を

 仕切りのない大部屋で、床での雑魚寝が続く。1月の能登半島地震では阪神大震災と同様の光景が見られた。30年近くたっても厳しい状況は変わっていない。

 政府は災害時の避難所運営に関する自治体向け指針を改定した。確保すべきトイレの数や被災者1人当たりの専有面積に国際基準を反映させ、避難所環境の抜本的改善に取り組む。

 石破茂首相は先月の所信表明演説で、災害対応の強化に向けて国際基準の適用を目指す考えを表明した。
 巨大地震に加え、異常気象が続く近年は自然災害も頻発する。被災者の生活の質を守る環境整備は喫緊の課題だ。政府の主導で迅速に実行する必要がある。
 国際基準は「スフィア基準」と呼ばれるものだ。国際赤十字などが人道支援の基本原則や、避難所が備える最低限の設備などを定めている。国の現行指針では参考扱いにとどまっている。
 改定指針では国際基準を踏まえ、具体的な数値目標を示した。
 トイレの数は、災害の発生当初から50人に1個用意し、一定期間経過した後は20人に1個とする。女性用は男性用の3倍にするよう求めた。
 専有面積については、1人当たり最低3・5平方メートル(2畳程度)と定める。生活空間を確保するため間仕切りの備蓄も求めている。
 このほか、仮設入浴施設の設置基準や、キッチンカーなどによる温かい食事の提供方法も例示した。
 避難所環境は大規模災害のたびに改善が図られてきた。国は高齢者への配慮などを示した運営ガイドラインを策定。被災地の要望を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」なども進めている。
 にもかかわらず、避難所の劣悪な環境が一因とされる災害関連死が後を絶たない。2016年の熊本地震では熊本県で直接死の4倍超に上った。能登地震でも直接死を超えている。検証とともに環境改善を急がなければならない。
 ただ避難所を巡る課題は多く、先行きは見通せない。避難所運営の主体は自治体で、人材や財源の不足に悩む地域は少なくない。基準を満たせない自治体が出てくる懸念も指摘される。また居住スペースを巡っても、主に既存施設の活用が想定される日本では、基準を満たすことは簡単でない。
 地域差が出ないよう、避難所環境の底上げが必要だ。政府には自治体への丁寧な説明と手厚い財政支援が求められる。

 加えて民間との連携も不可欠だろう。現場で多くの役割を担う自治体には限界がある。食事提供などの専門性を持つボランティアや企業の力をもっと生かせるようにしたい。

 南海トラフ地震に備える高知県では、25年度からの地震対策の行動計画に避難所の環境整備が重点課題として位置付けられるようだ。地域の住民らも関連死防止に向けた避難所の設置運営訓練を行っている。官民挙げて救える命を多く守りたい。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月15日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.14》:増える能登の関連死 対策を点検し命守りたい

2024-12-14 02:07:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

《社説①・12.14》:増える能登の関連死 対策を点検し命守りたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.14》:増える能登の関連死 対策を点検し命守りたい

 被災者の命と健康を守るため、対策を再点検する必要がある。

 能登半島地震で災害関連死と認定された人が247人となった。2016年の熊本地震の222人を上回っている。

記録的大雨災害の後、輪島市立鳳至小学校の避難所で、避難者と言葉を交わす石破茂首相(中央)=石川県で2024年10月5日午前11時6分(代表撮影)

 地震発生直後の建物の倒壊などでは助かったものの、避難生活による疲労や精神的なストレスなどで心身に負担がかかって亡くなった。適切なケアや支援があれば防ぐことができたはずだ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月14日  02:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.11】:災害関連死 高齢化踏まえた支援が必要だ

2024-12-11 05:00:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①・12.11】:災害関連死 高齢化踏まえた支援が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.11】:災害関連死 高齢化踏まえた支援が必要だ

 災害では命拾いしたのに、その後の生活で心身の健康を損ない、命を落とす「災害関連死」は、対策を講じることで減らせるはずだ。社会全体で備えを強化したい。

 能登半島地震の発生後、持病の悪化や慣れない避難生活などが原因で亡くなり、災害関連死と認められた人は247人となった。家屋の倒壊や津波など地震の直接的な被害の死者数を超えている。

 災害関連死の8割は80歳以上の高齢者だった。他の地域も同様のリスクを抱えている。災害後にお年寄りをいかに守るかは、重い課題と言えるだろう。

 能登半島地震を踏まえ、総合的な災害対策を検討してきた政府の有識者会議が報告書をまとめた。避難所の環境を改善することに加え、自宅など避難所以外で生活している被災者についても支援の強化を求めたことが特徴だ。

 報告書は、行政全体に「場所(避難所)の支援」から「人(避難者)の支援」へと発想を転換するよう求めたうえで、官民の連携、ボランティア人材の育成を図るべきだと指摘した。

 能登では、被災した自宅やビニールハウスなどで過ごす高齢者らに支援が行き届かなかったと言われており、重要な指摘である。

 中でも支援の遅れが目立ったのは介護の分野だ。医療支援に携わった医師によると、自宅にとどまっていた体の不自由な高齢者が、長期間入浴できず、体を清潔に保つのが難しくなっているケースが少なくなかったという。

 長引く断水や介護サービスの休止で、生活上のケアまでは支援の手が回らなかったのだろう。

 だが、衛生状態が不十分では感染症にかかりやすくなる。こうしたことが重なって、災害関連死が増えた可能性もある。

 災害時の介護支援を誰がどう担うのかは、大きな課題だ。

 各都道府県は、それぞれ介護職員らからなるDWAT(災害派遣福祉チーム)を設けている。

 能登には各地からメンバーが派遣され、避難所で支援を行った。今後は自宅などにいる高齢者にも支援を拡大できないか。

 災害時には、「福祉避難所」に指定されている高齢者施設などがケアを必要とする避難者を受け入れる。だが、能登の場合は多くの施設が被災したため、そうした役割を十分に果たせなかった。

 被災地の福祉避難所が機能しない場合、県外の施設が代わりに役割を担えるよう、平時から取り決めておくことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.08》:南海トラフ情報 備えを積み重ねる機会に

2024-12-08 09:31:40 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

《社説②・12.08》:南海トラフ情報 備えを積み重ねる機会に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.08》:南海トラフ情報 備えを積み重ねる機会に

 8月の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)について内閣府が行ったアンケート結果が公表され、取るべき対応に悩む自治体の現状が浮かんだ。

 回答した市町村の65%が「戸惑うところもあった」としたほか、13%は「何をすべきかすぐには分からなかった」とした。

 調査対象は南海トラフ地震の防災対策推進地域に指定されている707市町村。県内も南信地方などの34市町村が含まれる。

 巨大地震の発生確率が普段よりも高まっているが、起きると決まったわけではない。その可能性自体はそもそも低いという、曖昧な情報である。

 政府は、予知を前提に組み立てていた巨大地震対策の枠組みを2017年に転換し、震源域で異常現象を観測した場合に防災対応を促す臨時情報の仕組みを設けた。今回が初めての発表だった。

 危険性をいつもより気にかける一方、日常の社会経済活動は継続する。そんな相反する課題に直面した自治体が対応に戸惑ったのは当然とも言える。

 政府は今後、自治体や企業向けの指針見直しを検討する。今の科学で地震の正確な予測は難しく、曖昧にならざるを得ない情報をどう扱うか。単純な答えはない。日常と非常対応の両立の道を粘り強く探っていかねばならない。

 8月の発表時、自治体の対応は分かれた。高知市のよさこい祭りや徳島市の阿波おどりは、注意を呼びかけつつ開催。一方、和歌山県白浜町は海水浴場を閉鎖し、花火大会も中止にした。

 今回のアンケートでは、30自治体が避難所を開設。37自治体がイベントの中止や延期に踏み切ったと答えている。

 自治体からは、取るべき対応を政府が統一的に示してほしい、との声が上がっている。ただ、防災対策推進地域は茨城県から沖縄県の広範囲にわたり、海抜や津波到達想定などの条件も違う。

 大枠は政府が示すとしても、実際の対応は自治体が主体的に考える必要がある。発生に至らずに終わった今回の臨時情報を、巨大地震を具体的にイメージして備えを積み重ねる契機としたい。

 南海トラフでは100~150年ほどの間隔で巨大地震が発生している。近いところでは1944年12月7日の昭和東南海地震がある。きのうで80年が過ぎた。2年後の昭和南海地震は、これに連動して起きたと考えられている。

 揺れ動く大地に生きている事実を、改めて理解したい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月08日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.07】:東南海地震80年 「いつでも」に備えよう

2024-12-08 07:27:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①・12.07】:東南海地震80年 「いつでも」に備えよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.07】:東南海地震80年 「いつでも」に備えよう

 80年前の1944年12月7日、静岡県浜名湖沖から三重県沖までを震源域とする昭和東南海地震(M7・9)が起きた。死者は1183人に上るとされる。
 
 その2年後の46年12月には四国沖で昭和南海地震(M8・0)が発生し、日本列島の南に位置する南海トラフでは歴史的に、巨大地震が繰り返し起きている。
 
 前回の発生から80年。次の南海トラフ地震がいつ起きても不思議ではないと考えて対策を講じることが重要だ。それが不意の内陸地震に備えることにもなる。
 
 昭和に起きた前回の巨大地震の前、つまり前々回は1854年12月に安政東海地震(M8・4)、その30時間後に安政南海地震(M8・4)が起きている。前回と前々回の間隔は90年。前回から80年がたつが、次の巨大地震が迫る状況を数字で表すことは難しい。
 
 政府の長期評価は、南海トラフ地震が今後30年間に発生する確率を70~80%としている。
 
 切迫感はあるが、これは南海トラフ地震だけに適用される特別な手法で算出した値で、他の地震と同じ方法による評価では20%程度となる。
 
 手法を検討する際、地震学者らは「20%が妥当」としたが、低確率では防災予算が取りにくくなるとの意見に押し切られた形だ。
 
 今年8月8日、日向灘でM7・1の地震が起き、南海トラフ地震の発生に注意を促す臨時情報が初めて発表された。この地震の影響により、南海トラフ地震が起こる確率は普段より数倍高くなったとされるが、その根拠にも地震学者の間に疑問の声がある。
 
 高い確率や注意情報を発表することで防災対策が進めばいい、との考え方もあるかもしれない。
 
 ただ、注意情報が発表されるのはまれで、南海トラフ地震はほとんどの場合、前触れなく起こる。南海トラフ地震よりも先に内陸の活断層で大きな被害を出す強い地震が起こる可能性もある。
 
 政府は、地震の発生確率には依然、科学的な議論があることを率直に説明するとともに、確率の算出や発表の方法を再検討する必要がある。それが災害情報への信頼をより高めるのではないか。
 
 地震に限らず、災害は「いつでも」「どこでも」起こり得る。家具の固定、家族との連絡方法や避難場所、食料や水の少なくとも3日分の備蓄など備えをいま一度、確認しておきたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月07日  07:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・12.05】:福島から能登へ

2024-12-05 07:00:20 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【天風録・12.05】:福島から能登へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.05】:福島から能登へ

  当たり年は、幸運に恵まれた年を指す。被災の痛みを知る者なら「台風の当たり年」という表現など使うまい。メッセージは、何を言うかはもちろんのこと、誰が言うかで届き具合は変わってくる

 ▲元日の能登半島地震から今月で11カ月。被災地に福島からメッセージ集が届いた。豪雨にも見舞われ、「心が折れそう」とうつむく能登の人々に矢も盾もたまらなかったようだ。福島県高等学校長協会の呼びかけで、県民約400人が言葉を寄せた

  ▲東日本大震災でなめた辛酸が映る言葉には小膝を打つ思いだろう。「泣いて、笑って、バカ言って」と勧める一文もあれば、ある教員は書く。「教室の時計は止まったままですが、子どもたちの人生の針は着実に進む」。教え子という未来を見つめ、きょう一日を生きてきたのだ

 ▲「復興が進んでいない」式の政府批判がやるせなかった、との声も。自分たち住民の力不足も、とがめられている気がしたらしい。今週始まった国会論戦でも能登の復興支援策を巡り、その決まり文句が聞こえてくる

 ▲メッセージ集「福島から能登 未来へ」はウェブ上で読める。被災地の外から何ができるのか。考える種には恵まれた年である。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年12月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.03】:避難所の質向上 「TKB48」を広げたい

2024-12-03 07:55:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説①・12.03】::避難所の質向上 「TKB48」を広げたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.03】:避難所の質向上 「TKB48」を広げたい 

 災害時における避難所のトイレや食事など、被災者の生活環境の抜本的な改善に取り組むと、政府が11月下旬に閣議決定した総合経済対策に盛り込んだ。元日の能登半島地震でも、断水でトイレを使用できず、体調を崩した人が少なからずいたという。日本の避難所は災害大国にもかかわらず、欧米に比べて劣悪だと指摘される。官民挙げて質の向上に努めねば、その文明度が問われる問題だろう。
 
 求められるのは、個室の水洗トイレを積んだトイレトレーラーや温かい食事を提供するキッチンカーなどの配備を進め、段ボールベッドなどとともに被災地に迅速に届ける仕組みづくりだ。避難所・避難生活学会などは、こうしたトイレ(T)、キッチン(K)、ベッド(B)を「48時間以内」に届けることを「TKB48」と名付け、早期の実現を提唱している。
 
 阪神や東日本など過去の大災害では、トイレの我慢のほか、冷めた食事に雑魚寝が続いたりしたことによる体調の悪化、さらには災害関連死も報告されている。
 
 避難所の運営は市町村の責務だが、通常業務も抱え被災自治体の職員だけでは手が回らないのが実情。一方、被災者の健康維持にはなるべく日常に近い生活環境が求められる。トイレトレーラーなどの配備と派遣、被災地外からの職員応援に関しては、国が財政支援に加え、調整役も担うべきだ。
 
 NPOや自治体の協力を得て、トレーラーなどの所在地、数をデータベース化して、情報共有することが急務だ。全国段ボール工業組合連合会のように独自でTKB48に取り組む組織もある。
 
 一般社団法人「助けあいジャパン」は万が一の際、トイレトレーラーを融通し合う「災害派遣トイレネットワーク」を立ち上げ、既に20以上の自治体が加わる。愛知県刈谷市もその一つで、5年前にトイレトレーラーを1400万円で購入した。平時こそイベント開催時など活用は限定的だが、能登地震では現地に投入され、貢献した。こうした例が増えれば、救援でカバーできる範囲が広がる。まずは、できる自治体から導入を進めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  07:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.01】:避難所の改善 雑魚寝の光景、もう変えよ

2024-12-01 07:00:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説・12.01】:避難所の改善 雑魚寝の光景、もう変えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.01】:避難所の改善 雑魚寝の光景、もう変えよ

 命の危険を免れたはずの多くの被災者を、またも救えなかった。能登半島地震の発生から11カ月で、避難中に亡くなる災害関連死が247人に上った。建物倒壊などによる直接死を超えたのは2016年の熊本地震に続く事態だ。

 避難生活は長期の停電や断水に見舞われ、とりわけ高齢者に厳しかった。避難先を転々とした被災者も多く、肺炎や心臓病を患ったケースが目立つ。生活環境が悪ければ関連死誘発のリスクは高まると発災当初から指摘されていた。教訓をなぜ生かせないのか直視しなければならない。

 被災者はもちろん、報道で知った避難所の光景にがくぜんとした人は多かろう。学校体育館での雑魚寝が象徴である。プライバシーを保護するテントや間仕切り、段ボールベッドが誰にでも、また速やかに届くことはなかった。関連死が知られるようになった阪神大震災から30年近くたっても状況は変わっていない。

 石破茂首相はおとといの所信表明演説で、避難所での生活環境を改善すると強調した。関連死ゼロを実現するため、人道の視点から最低限の設備を定めた国際基準「スフィア基準」を踏まえるとした。確実な実行を求める。

 被災地で活動した専門家らは「TKB」といわれるトイレ、温かい食事を提供できるキッチン、ベッドを支援の標準にすべきだと提言している。福祉の助けが必要な家族が過酷な避難所を避けるため車中泊や在宅を選んだ結果、支援が及ばなくなる現状も問題視されている。

 避難所の開設は災害対策基本法に基づく市町村の自治事務である。しかし人材や財源の不足に悩む市町村は多い。突然やってくる災害に、ノウハウが乏しいまま対応に臨むことになる。能登のように過疎地の小さい自治体が人員不足で業務が追いつかない事態は少なくない。

 国はこれまで避難所の運営ガイドラインを示し、高齢者らを受け入れる福祉避難所の仕組みは整えた。市町村からの要請を待たず物資を送るプッシュ型支援も広げる。だが自らはあくまで助言する立場を変えないまま、基準だけ引き上げても改善できるのか。

 災害が頻発する今、避難所は社会インフラの一つだ。国の責任で、生活の質を保てる避難所を自治体が運営できる仕組みづくりを急ぐべきだ。

 企業や災害ボランティアと連携した避難生活の支援が、その一つだろう。現行では原則、被災した自治体と住民が避難所運営を担い、受け入れには差がある。能登半島地震の課題を検証した中央防災会議の作業部会がまとめた提言は、この点に重点を置く。

 専門性のあるNPOや民間団体がすぐに駆けつけられる登録制度の創設や、トイレトレーラー、キッチンカーのデータベース化など提言は多岐にわたる。事前の役割分担なしでは機能しないからだ。

 石破政権は避難所を改善する施策を24年度補正予算に盛り込む。南海トラフ巨大地震の被害想定で、関連死を示す動きもある。具体策は待ったなしと肝に銘じたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月01日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.27】:能登地震の検証 被災者の命と尊厳を守れ

2024-11-27 05:01:50 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【主張①・11.27】:能登地震の検証 被災者の命と尊厳を守れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.27】:能登地震の検証 被災者の命と尊厳を守れ 

 震災を生き延びた多くの人が避難生活中に体調悪化などで命を落とす現状を変えなくてはならない。1月の能登半島地震の課題を検証してきた政府の作業部会は26日、災害関連死を防ぐ支援策の強化を柱とする報告書をまとめた。

 能登半島地震の災害関連死は家屋倒壊などによる直接の死者・行方不明者を上回り、230人を超えた。これを踏まえ報告書は、関連死を防ぐため避難所などの生活環境を抜本的に改善するよう行政側に求めた。

 具体的には簡易ベッドや空調設備、温かい食事を提供するキッチンカー、トイレトレーラー、入浴設備を整備すべきだとした。特に避難所の雑魚寝は心身への負担が大きく、解決すべき課題である。

 避難所の環境改善は被災者の命だけでなく、尊厳を守るためにも欠かせない。政府は必要な予算措置を講じたうえで自治体や民間と連携し、早急に改善に取り組むべきだ。

 自宅で避難生活を送る人や、車中泊を余儀なくされた人に物資が渡されなかったケースがあることも考慮し、報告書は避難所以外の場所も含め、全ての被災者に十分な支援が行き届く体制が必要だと指摘した。

 能登半島地震の災害関連死は過去の災害と比べ高齢者が多い。年齢が公表されている人の内訳は80代以上が全体の8割超を占める。高齢化が進む地方のリスクを浮き彫りにした。

 関連死で亡くなった人の死因はまだ一部しか分かっていない。詳しく分析すれば、どのような支援が必要だったのかが分かるのではないか。

 家屋倒壊や津波、火災、交通網の寸断、集落の孤立など多様な被害が生じた。報告書は住宅の耐震化、道路などインフラの強化、備蓄や物資輸送などの課題も指摘した。山がちな半島という特殊な地理条件で起きた震災だったが、必要な対策は全国各地の地方都市と共通するものが多い。

 少子高齢化、人口減少で地方の防災力が低下する中、無人機(ドローン)やデジタル技術は災害対応の強化に役立つ。近い将来の発生が予想される南海トラフ地震は、地方も広範囲で被災すると見込まれる。

 政府や自治体は、能登の教訓を生かした実効性ある対策づくりに知恵を絞ってほしい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:警報級大雨恐れ 命守る行動の再確認を

2024-11-19 04:01:20 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説・11.17】:警報級大雨恐れ 命守る行動の再確認を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:警報級大雨恐れ 命守る行動の再確認を

 豪雨被害から雨が続き、北部の被災者は疲労困憊(こんぱい)だろう。だが、18日にかけてさらに北部や中南部に警報級の大雨が降る恐れがある。長雨で地盤が緩んでおり、警戒を怠ることはできない。命を守る行動を優先してほしい。 

 北部を襲った豪雨から1週間がたった。国頭、東、大宜味、名護、恩納の5市村では床上浸水53件、床下59件が確認され、住民は土砂を片付ける作業に追われた。

 河川の氾濫や土砂崩れ、道路損壊が各地で発生。名護市源河と東村有銘を結ぶ県道14号は全面通行止めとなり、今も再開のめどが立っていない。

 台風25号に伴う雨雲の影響で16日も雨が降った。

 土壌には多くの水分が蓄積されており、沖縄気象台は、少しの雨でも土砂災害につながる可能性があるとして厳重な警戒を呼びかけている。天気予報をチェックし、十分備えてほしい。

 逃げ遅れたり、被害を拡大させないためには早めの行動が必要だ。

 浸水の危険がある場合は、あらかじめ2階以上に大切な物を運んでおく。

 雨どいや排水溝などに詰まったごみを片付け、水はけを良くしておくことも大事だ。

 車で避難する場合、必要な物は事前に車に積んでおきたい。

 通行止めや冠水で道路を通れない場合もある。自治体や報道機関の情報を確認してほしい。

              ■    ■

 豪雨は各地に深い爪痕を残した。

 全容はまだ分からないが、農作物や家畜への影響が明らかになってきた。

 大宜味村の養鶏場では、浸水被害で飼育していた約2万6千羽が死んだ。

 東村では、パインなどが大打撃を受けた。綿密な計画の下で育てられたブランド品種「ゴールドバレル」の苗が腐るなど深刻な被害が出ている。

 国頭村では河川の氾濫による浸水で、今も数十人がホテルや空き家などで避難生活を送る。

 大宜味村では津波浄水場が床上浸水し、施設の機能が停止した。長いところでは6日間、断水が続いた。

 氾濫した国頭村比地川は、かねて地域住民が危険を懸念し、県に浚渫(しゅんせつ)工事を何度も要請していたことが分かった。抜本的な対策が必要である。

              ■    ■

 被害の一方、支援の動きも広がっている。

 浸水被害がひどい同村比地に連日、北部市町村の職員が入り、堆積した泥をかき出すなど復旧作業に当たっている。義援金や寄付金を集める動きも出ている。

 焦燥感を募らせる被災者の心のケアも欠かせない。

 災害はいつ、どこで起こるか分からない。互助の精神が必要だ。

 今回、県の初動が遅れ、災害救助法の適用が困難になっている。県の危機管理体制の見直しが必須だが、今、困っている人にどんな支援ができるのかが重要だ。県と国、与野党が協力して早急に方策を講じてほしい。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:北部豪雨1週間 早期の生活復旧へ全力を

2024-11-19 04:00:20 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【社説・11.17】:北部豪雨1週間 早期の生活復旧へ全力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:北部豪雨1週間 早期の生活復旧へ全力を 

 沖縄本島北部に降った記録的な雨による被害から1週間が経過した。被災地で家屋や道路の復旧が続く中、沖縄地方は17日にかけて大気の状態が不安定となり、大雨への警戒が必要となっている。前週の大雨で地盤が緩んだ箇所も多く、最大限の警戒をしてもらいたい。

 北部豪雨では国頭村、東村、大宜味村、名護市で、河川の氾濫などによる床上・床下浸水が広がり、各地で土砂崩れが起きた。大宜味村の津波浄水場では、ろ過池への浸水による断水が数日にわたって起きた。土砂崩れや道路陥没が発生した県道14号は復旧作業が進むが、今も通行止めを余儀なくされている。

 大宜味村内の鶏舎に濁流が流れ込み、食鶏約2万6千羽が死ぬ被害が出るなど、農畜産業の被害も大きい。生活の復旧が迅速に進むよう、市町村と国、県が連携し支援に全力を挙げてもらいたい。

 今回の豪雨被害で認識させられたのは、これまでと異なる気象状況から起きる、大規模な自然災害の脅威だ。

 9日未明から明け方に線状降水帯が発生し、東村で観測史上最大の24時間雨量を記録した。数年に一度程度の大雨で発表する「記録的短時間大雨情報」が9、10の2日間で計18回も出された。

 温暖化の影響により、こうした集中豪雨が近年各地で頻発している。猛烈な雨が局所的に降り続き、土砂災害や、河川が一気に増水して大規模な水害をもたらす。2018年の西日本豪雨のような災害は沖縄も無縁ではない。

 県の災害対応には課題が突きつけられた。県が災害対策本部を設置したのは11日午前だった。与論町への災害救助法適用を決めた鹿児島県では、9日に災害対策本部体制に移行していた。大雨の特別警報の発表という違いがあったとはいえ、沖縄県の危機管理に緩みがなかったか。

 氾濫した比地川は土砂が堆積し、浚渫(しゅんせつ)の要望が以前からあった。同様の要請が出ている県管理の河川は多数ある。改修が間に合わないとしても、大雨時に増水の恐れがある危険性を住民に周知しておく必要がある。行政の防災態勢について点検が必要だ。

 断水や道路の寸断など山間部の住民生活を支えるインフラに大きな被害が生じた状況は、地震や豪雨に見舞われた石川県能登地域の被災地と重なる。広い地域に集落が点在し、過疎に伴う人員不足など特有の課題がある。山間地や離島の暮らしを守る消防力の確保やインフラ対策に、県民全体で向き合いたい。

 幸いにも今回の豪雨被害で人的被害がなかったことは特筆すべきだ。浸水が1メートルの高さを超えた国頭村比地区では、住民らが協力して役場への避難や車を高台に移動するよう呼びかけたという。

 近隣から駆け付けた多くのボランティアを含め、沖縄のコミュニティーが持つ「共助」の力を再認識したい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.14》:神城地震10年 活断層の存在を意識して

2024-11-16 09:31:35 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

《社説①・11.14》:神城地震10年 活断層の存在を意識して

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.14》:神城地震10年 活断層の存在を意識して

 白馬村と小谷村を中心に住宅の倒壊が相次いだ2014年の神城断層地震から、今月22日で10年になる。

 最大震度は6弱。計46人の重軽傷者を出した。住民同士が助け合って救助活動し、死者はなかった。

 小谷村から松本市などを通り、諏訪湖付近を経由して山梨県南部へと延びる「糸魚川―静岡構造線(糸静線)断層帯」の最北部にある活断層、神城断層がずれ動いた直下型の地震だった。

 活断層を原因とする地震は、その真上付近の地域に集中的に被害をもたらす。1995年の阪神大震災や2016年の熊本地震、そして今年1月に発生した能登半島地震がそうだ。

 糸静線には、全国的にも地震発生確率の高い活断層が走る。同じような被害は県内の多くの地域でいつ起きてもおかしくない状況にあると言える。地下に潜む危険を改めて意識し、地域や家庭での備えを確認しておきたい。

 33棟が全壊するなど大きな被害が出た地区の一つ、白馬村堀之内地区では当時、助けが必要な高齢者らの自宅を載せた「災害時住民支え合いマップ」を使い、倒壊した家屋から迅速に救助した。

 住民による共助が力を発揮して死者を出さなかった経緯は「白馬の奇跡」と呼ばれ、後の地域防災のモデルともなった。

 能登半島地震でも見られたように、中山間地では道路の寸断などで支援の到達に時間がかかることも想定される。住民の防災組織がどれだけ具体的に備えを進められるかは、対策の鍵を握る。

 ただ、高齢化が著しいと救助に対応できる人が限られ、助け合いが難しい地域も少なくない。複数の地区に広げて協力関係を構築するなど、住民の活動を支える行政の役割も重要になる。

 こうした取り組みの土台となるのは、住民一人一人の危機意識である。全国で地震が相次いで、関心は高まっているが、被災時のことを具体的にイメージできている人は多くはないだろう。

 神城地震の被災地は、経験を伝える活動に力を入れている。白馬村では先日、村公民館が、断層の動きによって大きく隆起した田んぼなど地震の爪痕をたどるツアーを行った。白馬中学校の生徒たちも、当時を知る人から話を聞いて考える学習を進めている。

 防災庁設置を目指す国は今後、避難所の指針改定など防災強化に力を注ぐ構えだ。効果的なものとしていくためにも、地域での地道な積み重ねが重要になる。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月14日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌・11.16】:共助の大切さ 北部豪雨から1週間

2024-11-16 04:00:10 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【金口木舌・11.16】:共助の大切さ 北部豪雨から1週間

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.16】:共助の大切さ 北部豪雨から1週間 

 北部地域を車で回った。泥水が乾き、土ぼこりが舞う。過酷な環境の中で懸命な作業を続ける作業員、ボランティアの姿。自宅に戻れない住民もいる。頭が下がる思いがした

 ▼甚大な被害を及ぼした北部豪雨から1週間を迎えた。橋の欄干に突き刺さる流木、畑の土砂崩れ。どこを取材しても被害の大きさに驚かされる。台風も近づいている。「次の雨が怖い」と語る農家の言葉に切迫感が漂った

 ▼「国頭村制施行百周年記念誌」によると、1826年の大雨で七つの集落で洪水が起こった。自然災害と隣り合わせの歴史。今回、被害の大きかった比地地区では、過去にも大雨による比地川の氾濫が度々起きていた

 ▼家屋の多くが浸水したが、雨中の助け合いで奇跡的に犠牲者はゼロ。住民の1人は「氾濫の歴史を年配の方から聞いていた。幼い頃からの経験が体に染み付いているかも」と話す。地域の声かけ、つながりが命を守った

 ▼安価で食事を提供した地域の飲食店。県内各地から人的、物的な支援が被災地へと届けられた。温かな支援は被災者を大きく勇気づけただろう。災害への備え、共助の大切さに気付かされた。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年11月16日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日報抄・11.13】:日本で初めて天気予報が発表されたのは1884(明治17)年である。

2024-11-13 06:00:10 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【日報抄・11.13】:日本で初めて天気予報が発表されたのは1884(明治17)年である。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日報抄・11.13】:日本で初めて天気予報が発表されたのは1884(明治17)年である。 

 この3年前には新潟地方気象台の前身である測候所が開設されるなど、各地で気象観測の体制が整備された

 ▼当時は科学的な知見や観測技術が発展途上で、予報の精度も低かったようだ。「『測候所』と3度唱えれば生水に当たらない」。予報があまり当たらないことを揶揄(やゆ)して、こう陰口をたたかれることもあったらしい

 ▼そんな風潮も視野に入れてのことだっただろう。中央気象台の職員だった馬場信倫は、こんな論考を発表している。「時の気変の異例に会い、これを認識すること能(あた)わざる時は、予報したがいてまた不中を来たすことあるべし」

 ▼気象現象のすべてを解明することは困難で、解析するのが難しいケースでは予報が外れることもある-。おおよそ、このように言いたかったのだろう。100年以上が経過した現在にも通じる考え方かもしれない

 ▼気象庁の先月の発表によると、局地的な豪雨をもたらす線状降水帯の予測について、ことしの的中率は1割程度だった。81回出したうち、実際に発生したのは8回。5月から府県単位で発表する運用を始め、25%程度の的中率を想定していたが届かなかった

 ▼今月も沖縄県などで発生した。予測は2022年に始まり、当初から正確な見通しを示すのは簡単でないとされていた。精度向上を追求してもらいたいと同時に、私たちも天気予報と上手につき合って、防災や暮らしに役立てたい。冬の訪れも近い。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【日報抄】  2024年11月13日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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