路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【HUNTER】:普天間基地の「馬毛島移設」という妙案

2019-05-31 23:56:30 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【HUNTER】:普天間基地の「馬毛島移設」という妙案

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:普天間基地の「馬毛島移設」という妙案 

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設する工事が泥沼化している。
 理由は二つ――。一つは「沖縄の民意」が、移設反対であること。沖縄県知事選、県民投票、衆院沖縄3区補選と、昨年から続いた3回の投票で、辺野古移設は退けられた。
 もうひとつは文字通りの“泥沼化”である。安倍政権は埋め立て工事を強行しているが、未着工の北東部・大浦湾側は「マヨネーズ並み」と言われる軟弱地盤であることが判明。工費も工期も延び、沖縄県は「完成までに2兆5,000億円が必要。完成までに13年」と、試算している。
 県民の反対を押し切り、巨額な予算を投じて辺野古に新基地を建設する必要があるのか――。政府や自民党は、そうした声に対し「代案を示せ」と切り返す。しかし、代案はある。

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 ■翁長前知事も認めていた普天間の「馬毛島移設」
 辺野古移設の是非が問われるようになって22年。きっかけは、1996年4月に橋本龍太郎首相(当時、以下同)がモンデール駐日米大使と合意し、人口密集地にあって危険な普天間基地(下の写真)の移設を決めたことだった。「5年ないし7年後の全面返還」が合意事項で、移設先候補地のなかから最終的に名護市辺野古のキャンプ・シュワブ隣接地が選ばれた。

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 賛否が割れるなか、米軍が引き起こした事件などが県民を刺激して基地移設反対運動が激化。2013年に仲井真弘多沖縄県知事(当時)が、県民を裏切って辺野古沿岸部の埋め立て申請を承認したことで、「新基地反対」の民意が定着した。14年と18年の知事選では、故・翁長雄志氏、玉城デニー氏と新基地反対派が大勝したが、米国追随の安倍政権は昨年から沖縄の意思を無視して埋め立て工事を本格化させている(下は、昨年2月の工事の様子)。

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 22年の歳月が罪深いのは、普天間基地の危険性と騒音が除去されないまま、いたずらに時を過ぎさせたことである。普天間基地には、オスプレイやヘリコプターなど58機が常駐。その騒音も凄いが、それ以上なのが戦闘機などの外来機で、爆音をとどろかせる離着陸が、18年度だけで1,756回に及んだという。

この状態で長く待たされ、さらに辺野古基地完成までに13年。しかも、その頃にはキャンプ・シュワブなどの米海兵隊はグアムなどに移転し、実戦部隊は2,000人規模の第31海兵遠征隊のみとなる。「民意」を無視し、巨費を投じて完成させた辺野古基地に、利用する実戦部隊がいないという悲惨な状況となるのだ。

 ならば、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP:タッチアンドゴー)候補地として名前があがっている「馬毛島」を、新たな移転地とする案はどうだろうか。

 馬毛島は、鹿児島県種子島の西方12キロに浮かぶ無人島。しかも、島の大半を所有するタストン・エアポート(東京都世田谷区)が、民間の国際貨物空港にするつもりで“滑走路”を整備している下の写真)。

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 米軍使用に耐えられる滑走路の敷設、港湾整備などに諸費用はかかるものの、数千億~数兆円が見込まれる辺野古基地の費用に比べると、遙かに安く、しかも早い。普天間早期移設という本来目的にも適っている。16年7月には、翁長雄志知事(当時)が馬毛島を視察し、「可能性のひとつ。辺野古が唯一の解決策という国の主張は外してもらいたい」と、述べている。

 問題となるのは、島の買収交渉を巡って防衛省との間にバトルを繰り広げているタストン社の意向だが、関係者の話では、同社の代表で親会社「立石建設」の会長でもある立石勲氏は馬毛島を普天間の移設先にすることに抵抗はないという。

 今年1月に防衛省とタストン社の前代表(立石氏の子息)との間で結ばれた仮契約の金額は160億円。同社の負債が240億円あることから代表に復帰した勲氏が本契約に待ったをかけたが、辺野古移設の現実と、普天間の早期移設というそもそも論に戻れば、売却価格への拘泥は小さな問題でしかない。

 「辺野古」と「馬毛島」は、「ポスト安倍」の声も出始めた菅義偉官房長官にとって腕の見せ所。「始めたらやめない公共工事」という枷を外せば、女房役に終わらない政治家であることを、国民に見せつけることにもなる。(伊藤 博敏)

 【伊藤 博敏

 ジャーナリスト。福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科を卒業後、編集プロダクション勤務を経てフリーに。圧倒的取材力を武器に経済事件や政治の裏に斬り込み、数多くの週刊誌、月刊誌、ウェブニュースサイトなどに寄稿。主な著書に『許永中「追跡15年」全データ』(小学館文庫)、『「カネ儲け」至上主義が陥った「罠」』(講談社+α文庫)、『黒幕』(小学館)など。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年05月31日  09:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【社説①】:日米安保体制 一体化の度が過ぎる

2019-05-31 06:10:40 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説①】:日米安保体制 一体化の度が過ぎる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日米安保体制 一体化の度が過ぎる 

 トランプ米大統領の四日間にわたる日本訪問。安倍晋三首相は日米「同盟」関係の緊密さをアピールしたが、自衛隊と米軍の軍事的一体化の度が過ぎれば、専守防衛の憲法九条を逸脱する。

 大統領の日本での最後の日程は海上自衛隊横須賀基地(神奈川県横須賀市)に停泊中のヘリコプター搭載型護衛艦「かが」を、首相とともに視察することだった。

 海自や米海軍の隊員ら約五百人を前に訓示した大統領は「日米両国の軍隊は、世界中で一緒に訓練し、活動している」と述べた。まるで自衛隊があらゆる地域に派遣され、米軍と一緒に戦っているかのような口ぶりだ。

 トランプ氏の目に、自衛隊がそう映ったとしても無理はない。

 歴代内閣は、戦争放棄と戦力不保持の憲法九条の下、専守防衛に徹し、節度ある防衛力整備に努めてきたが、安倍内閣は、違憲とされてきた「集団的自衛権の行使」を一転可能としたり、専守防衛逸脱の恐れありとして保有してこなかった航空母艦や長距離巡航ミサイルを持とうとしているからだ。

 「かが」は全長二百四十八メートル。通常はヘリコプターを載せる「いずも」型の二番艦だが、政府は昨年、「いずも」型を改修し、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bを運用する方針を閣議決定した。

 米空母ロナルド・レーガン(全長三百三十三メートル)や、中国の遼寧(同三百五メートル)などと比べれば小型だが、事実上の空母化である。

 専守防衛の逸脱が指摘される状況での「かが」乗艦には、中国けん制の狙いに加え、事実上の空母化や、一機百億円以上という高額な米国製戦闘機の大量購入を既成事実化する意図もあるのだろう。

 不安定さが残る東アジア情勢を考えれば、日米安全保障条約に基づいて米軍がこの地域に警察力として展開することは当面認めざるを得ないとしても、自衛隊が憲法を逸脱してまで米軍と軍事的に一体化していいわけはない。

 安倍内閣は米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入も進めるが、配備候補地である秋田、山口両県の地元住民から、強力な電磁波による健康被害や攻撃対象になることを心配する声が上がる。沖縄県民の過重な米軍基地負担も深刻だ。

 高額な米国製武器の大量購入によるのではなく、専守防衛という日本の国家戦略への国際理解を求め、また基地負担に苦しむ住民の思いに応えてこそ、真に緊密な関係と言えるのではないか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:EU懐疑派 伸長すれど「出口」なし

2019-05-31 06:10:36 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:EU懐疑派 伸長すれど「出口」なし

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:EU懐疑派 伸長すれど「出口」なし 

 欧州議会選で欧州連合(EU)懐疑派が伸長した。しかし、EU不信をあおる懐疑派の主張からは、将来へのビジョンは全く見えない。EU離脱で立ち往生する英国の轍(てつ)を踏んではなるまい。

 欧州議会は、閣僚理事会と共同での立法権や欧州委員らの承認権を持つ。定数七五一で、加盟全二十八カ国ごとに選挙を実施した。

 親EUの中道右派、中道左派の二大勢力の合計議席が初めて半数を割り込む一方で、緑の党や新興リベラルなどが躍進し、親EU派が議会の主導権を握る状況に変わりはない。

 しかし、欧州議会でEU懐疑派が三割を超えるのは初めてだ。フランスの極右「国民連合」、イタリアの極右「同盟」はともに国内第一党に躍進。ドイツでは反移民・反EUの右派「ドイツのための選択肢」が票を伸ばした。

 EU離脱を決めながらも実現できないままの英国も、今回の選挙に参加した。新造の離脱党が英国配分議席の約三割を獲得し、メイ首相の与党、保守党に20ポイント以上の差をつけた。

 「人々の勝利」「権力を取り戻す」「欧州は変わらなければならない」。勝利宣言したEU懐疑派の文句は威勢がいい。

 しかし、三年前を思い起こしてほしい。当時、英国独立党党首だったファラージ離脱党党首らが移民の脅威などをあおり、国民投票では離脱支持が多数を占めた。

 しかし、離脱の手順、紛争再燃の恐れもある英領北アイルランドの国境管理など入り口の問題にすら解決策が見いだせず、三月末だった離脱期限を十月末まで延期。メイ首相は退陣表明に追い込まれた。展望もなく、「合意なき離脱」が国際社会に不安を広げる。

 EUへの不満として、「民主主義の赤字」が指摘される。同質な「欧州国民」なくして民意は存在しないという。官僚らが決定するEUではなく、主権国家である加盟国のほうに正当性がある、とのEU懐疑派の主張だ。

 加盟国とEUは本来、対立するものではない。各国が領土や秩序の保全、EUが金融政策などの権限を持つ一方で、産業、環境、エネルギーなど地域の安定に関わる権限の多くは各国とEUが共有する。このバランスを具体的に考えていくことが、EUへの不満解消につながるのではないか。

 欧州議会選は各国の政治動向にも影響する。離脱の夢を振りまいた英国は苦闘している。EU懐疑を乗り越える欧州の良識を望む。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「最初と最後に(高倉)健さんの歌があって、立ち回りがあれば、途中はどうでもいい」。

2019-05-31 06:10:32 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【筆洗】:「最初と最後に(高倉)健さんの歌があって、立ち回りがあれば、途中はどうでもいい」。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「最初と最後に(高倉)健さんの歌があって、立ち回りがあれば、途中はどうでもいい」。

 「網走番外地」シリーズを担当するにあたってその監督は映画会社の幹部からそう言われたそうである▼監督は憤慨した。当然である。途中はどうでもいいなら映画は成立しない。だが、映画館で健さんの映画を見て、おえらいさんの言葉は真実だと思った。映画の冒頭は大拍手だが、途中では客の何人かは居眠りをする。そう思っているとラスト近く、健さんの立ち回りになると起きだして、「待ってました」と声をかける。こんな魅力ある俳優はどこにもいない▼「駅 STATION」「冬の華」など健さん映画監督の降旗康男さんが亡くなった。八十四歳。「途中はどうでもいい」ではなく、ずっと見ていたい健さんと物語を描いた監督である▼「怒鳴ったりする姿を見たことがない」。健さんが降旗さんについてこんなことを書いていた。ただ仕事をきちんと見ている。監督に認められたいと俳優もスタッフも必死になって自分から走り回る。そういう現場だったそうだ▼「キハ(気動車)の笛には泣かされるもんな。わけもないけど、聞いてて涙が出てくるんだわ」。「鉄道員(ぽっぽや)」にそんなセリフがあった▼丁寧で誠実な仕事と作品に、長く険しい坂を着実に進んでいく「キハ」を連想する。今、駅に入っていった。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年05月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:小学生ら殺傷 惨事繰り返さぬために

2019-05-31 06:10:20 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説①】:小学生ら殺傷 惨事繰り返さぬために

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:小学生ら殺傷 惨事繰り返さぬために 

 スクールバスのバス停で小六女児らが犠牲となった殺傷事件は、安全対策の難しさをあらためて突きつける。それでも諦めるわけにはいかない。子どもが安心できる社会の構築は大人の責務だ。

 事件の動機は不明だが、何らかの負の感情を子どもという弱者の命を奪うことに向けた犯行は卑劣で許し難い。何が起きたのかの全容と、できる限りの背景の解明を望む。

 痛ましい事件が起きて、守りを堅くする。学校はその繰り返しに追われてきた。

 二〇〇一年の大阪教育大付属池田小児童殺傷事件を機に、校門の施錠や、防犯カメラ設置など不審者対策が進んだ。〇五年、栃木県今市市(現日光市)で下校途中だった小一女児が犠牲となる事件が起き、地域の人の見守り活動など、通学路の安全対策が積み重ねられてきた。

 しかし、一七年に千葉県松戸市で小三女児が殺害された事件では、その見守り活動をしていた保護者会長が逮捕された。さらに今回、惨事の現場となったスクールバスは、通学路の安全対策の一つの究極の形ともみなされてきただけに、衝撃も大きい。

 どこまで尽くしても完璧とはならない、安全対策の難しさがあらためて浮き彫りとなっている。犠牲となった児童らが通う川崎市のカリタス小学校は私立だが、地方で学校の統廃合が進む中、公立でもスクールバスは今後広がる可能性がある。乗降時の見守りや、緊急事態への対応について、議論を進める必要がある。

 ただ学校や通学路などを要塞(ようさい)のようにして地域や社会との接点をなくしてしまうことは、長期的な視点で子どもたちの心を育み、安定させることにはつながらないだろう。そこが悩ましい。

 池田小児童殺傷事件の遺族の一人は講演で、学校の安全対策とともに、犯罪者を生まない社会づくりの必要性をこう訴えている。「命の大切さが次の世代に伝えられるよう(子どもたちを)導いてほしい」。米国では昨年、高校での銃乱射事件などをきっかけに、高校生たちが銃の規制強化を求め、デモを行うなどの運動を始めた。

 子どもたちが命の大切さや社会正義を信じることができる社会を維持する。そのためにできることを議論し、実行する。それが大人に課せられた使命だ。今回のように、事件という形で困難が訪れたとしても。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:強制不妊は違憲 人生踏みにじる罪深さ

2019-05-31 06:10:16 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【社説②】:強制不妊は違憲 人生踏みにじる罪深さ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:強制不妊は違憲 人生踏みにじる罪深さ 

 障害を理由に不妊手術を強制された-。非人道的な旧優生保護法を仙台地裁は「違憲」と認めつつ、原告の賠償の求めは退けた。無念だろう。人生を踏みにじられた人には誠実な救済を急ぐべきだ。

 国家の罪と呼んでもいいほどだ。一九四八年に施行された同法は、超党派の議員による議員立法だった。「不良な子孫の出生を防ぐ」目的で、遺伝性疾患や精神障害の人に本人の同意がなくても不妊手術ができる内容だった。

 手術を受けた障害者らは約二万五千人、このうち実に約一万六千五百人は本人の同意がなかった。被害の賠償を求め、東京、静岡など計七つの地裁で起こされている裁判でもある。

 法の根にある優生思想により、子どもを産み育てたいという希望は踏みにじられた。幸福追求権も無視されたのだ。だから、仙台地裁が「幸福の可能性を一方的に奪い去り、個人の尊厳を踏みにじるもので、誠に悲惨」と述べ、同法を「違憲」としたのは当然だ。

 だが、原告の求めを退けたのは納得いかない。損害賠償の請求権が消える除斥期間(二十年)を既に経過したという。不妊手術からも、法改正の九六年からも…。だが、原告にその期間に訴訟を起こすことは現実的にできたのか。

 あまりに杓子定規(しゃくしじょうぎ)な考え方ではないか。苦しんでいる人に寄り添わない判決は、冷酷である。確かに国会は今年、救済法をつくり、政府が一人三百二十万円の一時金を支給するとした。「おわび」の首相の談話も発表された。

 それでおしまいならば、障害者だけが大きな犠牲を背負うことになる。最も重い責任は、非人道的な法をつくった立法府、問題を知りつつ放置してきた行政にあるはずである。例えば旧厚生省は四九年の通知で、公益目的があり、「憲法の精神に背くものではない」とも見解を示していた。

 行政の責任が明確化されず、司法から追及されないのはおかしい。政府自身、責任をもっと自覚すべきであろう。このままでは真の救済にも謝罪にも遠い。被害者が求める賠償額とも開きがある。手術後に体調不良に苦しんだり、結婚の機会を奪われた人もいる。被害は時間を経ても積み重なっていると考えるべきだ。

 手術の資料などは廃棄されたり、証言できる家族が死亡している実態もある。早く被害の全体像を明確にし、血の通う救済に全力を挙げねば個人の尊厳は回復されない。

  元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:時刻には特有のイメージがある。そう書いても伝わらぬか。こういうことである。

2019-05-31 06:10:12 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【筆洗】:時刻には特有のイメージがある。そう書いても伝わらぬか。こういうことである。 

  『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:時刻には特有のイメージがある。そう書いても伝わらぬか。こういうことである。

 たとえば「午後七時」なら家族のにぎやかな夕食を思い浮かべ、「午前一時」なら静けさの中、かすかに聞こえるラジオの深夜放送を想像する。無論、人によって異なるだろうが、その時刻の持つ印象や感触のようなものがある▼「午前七時四十分」を想像してみる。朝の光。すがすがしい空気。通学や通勤の時間帯でもある。「いってらっしゃい」「いってきます」。さて今日はどんな一日になるんだろう。悲しいイメージは浮かばぬ。そういう時刻である▼「午前七時四十分」。悲劇はその時刻に起きた。川崎市でのやりきれぬ事件である。小学校に向かうスクールバスのバス停にいた児童らを男が次々と包丁で刺した▼小学六年生の女の子と、その子とは別の児童の父親一人が亡くなったほか、児童ら十七人がけがを負った▼襲われた子どもたちはそれぞれの家庭で、「いってらっしゃい」「いってきます」を終えて、バス停にいたのだろう。普段ならきっと明るい「午前七時四十分」。それが踏みにじられた▼刺した男も死亡している。何があったのか分からぬ。分かっている残酷な事実は亡くなったその二人には「いってらっしゃい」「いってきます」の朝の時刻も、「おかえり」「ただいま」の夕焼けの時刻も来ないことである。たまらぬ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年05月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私設・論説室から】「林住期」の森をいでて

2019-05-31 06:10:08 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【私設・論説室から】「林住期」の森をいでて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】「林住期」の森をいでて 

 インドには人生を四季に分ける考え方がある。生きる知恵を身に付ける「学生(がくしょう)期」、家庭を持ち社会参加する「家住期」、得た財産や家族を捨て森で修業をする「林住期」、定住せず巡礼の旅を続ける「遊行期」だ。

 五十代で仕事をやめ世界中を旅する女性がいる。金井重(しげ)さん(91)だ。初めて会ったのは二十年前、一人旅がスタイルで訪問国は既に百を超えていた。好奇心の赴くままの旅の話に魅了され、紹介記事を書いた。当時「今、林住期にいる」と語っていた。その後、どんな旅を続けているのか気になっていた。

 久しぶりに会うとそのスタイルが変わっていた。「足元を見つめ直す気持ちが強まった」と国内に関心が向いていた。訪問先で感じたことを歌集「町姥(まちんば)のうた」にした。東北の被災地で「三陸をことこと走る鉄道の客は被災者静かに座せり」と詠んだ。沖縄、尖閣諸島の歌まである。困難を抱えた人や場所にそっと寄り添う歌が並ぶ。そこには森を出て巡礼を続ける遊行期の姿があった。

 それは世を捨てた旅ではなく、社会の最前線に立ちその変化を見守ることだ。そう気づいた。人がより良く生きるにはその変化に目を向ける。長い旅路から得た実感のようだ。別れ際にその方法を尋ねた。

 「現場で出会う人と一緒に悩むこと。あなたと私の違いはあなたの若さね」。家住期の自分へ宿題をもらった気がした。 (鈴木 穣) 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2019年05月29日 06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER】:永田町が注目する「NHKから国民を守る党」と維新・足立議員のバトル

2019-05-30 23:55:50 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER】:永田町が注目する「NHKから国民を守る党」と維新・足立議員のバトル

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:永田町が注目する「NHKから国民を守る党」と維新・足立議員のバトル 

 今、永田町で話題になっているのが政治団体「NHKから国民を守る党」(以下「N国」)の存在。4月に行われた統一地方選挙の後半戦で首都圏や関西を中心に47人を擁立し、26人も当選させたのだから当然だろう。NHK本社のある渋谷区でも区議会議員が誕生しており、現職13人から3倍増となる躍進ぶりだ。同党は、夏の参院選で国政進出を目指すという。
 そのN国と、こちらも何かと話題の日本維新の会・足立康史衆院議員との間にバトルが勃発し、関係者の注目を集めている。(右の画像は「NHKから国民を守る党」のHPより)

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 ■躍進したN国

 N国の主張は、「NHKに金を払わない、受信料を払わない人を応援する」というわかりやすいもの。NHKの集金活動に悩む人に対して、「NHK撃退シール」なるものを配るといった活動も展開している。ワンイシューがうけたのか、反NHKの主張が共感を集めたのか、4月の統一地方選挙後半戦では同党の候補者が大量に当選。これまで黙殺してきた大手メディアも、報道せざるを得ない事態となった。

 首都圏を見ると、N国の候補者が当選して「日本維新の会」の候補者が落選している地域もあるほど。維新の会を離党して、N国に移動した議員もいたのだという。維新が強固な地盤を誇る大阪は別として、首都圏ではN国が確実に勢力を拡大している状況だ。

 ■バトル勃発
 こうした現状に危機感を持ったは、日本維新の会の足立康史衆院議員。5月14日の衆議院総務委員会で、「“NHKから国民を守る党”という、よくわかんないグループがですね、いま東京などの地方議会で議席を獲得しています」「国民に促して、『受信料を払うな』という運動をしている政治集団ですね。私はこれ、大変問題がある。違法行為を促すね、視聴者に違法行為を促すような活動をしているこのNHKから国民を守る党。これ総務省、どうとらえていますか?」と問題提起。さらに踏み込んで、「この集団は何もよくわかっていない国民に違法行為を促しています。これもうユーチューブに出てますから。私はNHKから国民を守る党から国民を守るためにね、しっかりとこの国会で広く国民のみなさまに支持されるような放送と通信の大融合時代を作っていくために、しっかりと働いていくことをお誓いをしたいと思います」と宣戦布告した。

 N国の支持者は一定数いるようで、足立氏のSNSには、「それだけNHKには不満を持ってる人が多いんだから、法律を何とかしろ」などと反論の投稿が次々に――。しかし、「炎上は意図的」と豪語するほどケンカ上手の足立氏は意に介さず、ツイッターでN国批判を続けている(下は、足立氏のツイッター投稿)。

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 足立氏とのバトルで益々注目を集めるN国だが、参院選の比例区に候補者を立てるには、比例と選挙区を合わせ10名以上の候補者を立てなければならない。そのために選挙区に7名、比例で立花氏を含め3名を立候補させるというのだが、選挙にはとにかくカネがかかる。

 比例区の供託金は1人600万円、選挙区は1人300万円かかる。最低でも3,900万円が必要になるが、N国は統一地方選挙で公認候補として立候補し当選した人に一定額を寄附させ、参院選の資金に充てるつもりのようだ。他人の選挙費用を貢がせる手法もどうかと思っていたら、案の定、その寄附の徴収を巡って内輪もめが起き、拒否した数名が除名されている。

 N国躍進の報道番組を見ていたある野党関係者は、ため息交じりにこうつぶやいた。
「安倍政権の批判では当選できないのに、NHKの悪口を言っただけで当選する地方議員がいるってことだよね。どうなってるのかな、この国は……」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【社会ニュース】  2019年05月29日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【政界地獄耳】:自民と府民のこれから

2019-05-30 23:55:00 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳】:自民と府民のこれから

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:自民と府民のこれから 

 ★大阪政界に地殻変動だ。先月の大阪の府知事と大阪市長のダブル選挙、衆議院大阪12区の補欠選挙などで敗北したことを受け、新たに就任した自民党大阪府連会長の衆院議員・渡嘉敷奈緒美は争点だった維新の会が推進する、いわゆる「大阪都構想」に対して「住民投票に賛成する。選挙結果が民意を示しており、政治家は民意が示されたら柔軟に対応することが必要だ」とした。

 ★この府連の会議でも一騒動あった。府連会長・左藤章が辞任するための新会長選任が渡嘉敷選出ありきだったようで密室の談合の批判が出た。府連関係者が言う。「渡嘉敷ありきがどうのというより、維新に敗北したという事実と、もうこれ以上官邸に逆らえないという複雑な空気が会議にあった。国会議員たちは官邸や首相・安倍晋三と何とか手打ちをしてうまくやっていきたいというムード。だが統一地方選挙でも苦戦を強いられ、維新にやられた自民党地方議員の気持ちはそう簡単には収まらないという雰囲気だった」。

 ★確かに大阪府連と官邸の関係は維新と官邸が蜜月で、府連の存在意義が問われることが続いた。そのため、首相が維新でなく自民党府連と共にあるという位置づけが希薄だったのも事実。大阪府連市町村議員連盟総務会長で貝塚市会議員・田中がくは会議での発言を自身のフェイスブックで「統一地方選の後半戦を戦っている我々に12区の補選で、安倍総理が来るからと動員のファクスがあった。ふざけてるのかと思いましたし、安倍総理が吉本に出るとこの会議に出席されている中に喜んでいた国会議員が居てましたが、選挙を戦っている仲間や党員の皆さんはかなり怒ってました。そんな時間があるなら、八尾市の市長選挙や同志の応援をするべきでは無かったのか、統一地方選挙、後半戦の結果は、多くの同志のバッチが無くなりました」と記している。民意に従ったのか忖度(そんたく)したのか。自民党の急務は府民の信頼回復だ。(K)※敬称略 

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2019年05月14日  08:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日米首脳会談 米中との間合いを測れ

2019-05-29 06:10:56 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:日米首脳会談 米中との間合いを測れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日米首脳会談 米中との間合いを測れ 

 日米関係は盤石だ、と世界に発信することはできた。トランプ米大統領の訪日の成果である。ただし、安倍首相は米国一辺倒にならずに、中国とも関係改善を進めてほしい。日本の役割である。

 トランプ氏が掲げる「米国第一主義」によって、米国主導の国際秩序は大きく揺らいでいる。アジアでも米国のプレゼンス(存在)が薄れたという懸念が強い。

 トランプ氏の訪日にはそんな不安を払拭(ふっしょく)し、米国がアジアに引き続き関与していく意思を示す狙いが米政府にはあった。

 両首脳が「日米蜜月」をたたえ合ったように、トランプ氏は首相がイラン訪問を検討していることに理解を示した。

 北朝鮮による拉致問題でも解決に向けて協力を約束し、金正恩朝鮮労働党委員長と無条件で会談したいとする首相を支持した。

 一方で、北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射を国連安保理決議違反だとする首相に対し、トランプ氏は「気にしていない」と問題視しない姿勢を見せた。

 膠着(こうちゃく)する核問題打開へ正恩氏との三度目のトップ会談実現に支障を来したくないという考えがトランプ氏にはあるのだろうが、日米の足並みがそろわないのは気掛かりだ。

 首相は会談後の共同会見で「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて協力を強化、拡大していくことで一致した」と表明した。

 この構想を推進するため、インド太平洋地域のインフラ整備に日米で最大七百億ドル(約七兆七千億円)を投じる計画だ。中国が掲げる経済圏構想の「一帯一路」に対抗する意味合いが強い。

 「アジア太平洋」という地域概念をインド洋まで広げたのも、中国のインド洋進出を見据えたものだろう。米軍は昨年、在日米軍を傘下に置く「太平洋軍」を「インド太平洋軍」に改名した。

 日本が中国への対応で米国と歩調を合わせるのはいい。だが、貿易をめぐって中国と対立を深める米国と一緒になって対抗姿勢を見せるだけではバランスを欠く。

 尖閣問題を契機に険悪化した日中関係は改善基調にある。六月に大阪で開かれる二十カ国・地域(G20)首脳会議には習近平国家主席も出席を予定している。

 米中の狭間(はざま)にあってこの両大国とどんな間合いをとっていくかは、日本外交の最大の課題と言っていい。首相は平衡感覚のある外交を進めてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:日米首脳会談 なぜ選挙のあとなのか

2019-05-29 06:10:52 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:日米首脳会談 なぜ選挙のあとなのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日米首脳会談 なぜ選挙のあとなのか 

 あまりに露骨、横柄な物言いではないだろうか。日米の貿易交渉妥結は参院選挙後までずれ込む見通しという。人々の暮らしを大きく左右する交渉である。選挙の材料に使ってはならないはずだ。

 交渉で米国の標的ははっきりしている。巨額の貿易赤字削減を念頭に日本に対し、農産物の輸入増、自動車の対米輸出規制、円安阻止を狙った為替条項の導入を求めている。

 日本は牛肉など農産物の輸入関税について、少なくとも環太平洋連携協定(TPP)で認められたレベルまで引き下げざるを得ないだろう。その場合、政府は国内農家の暮らしを守る対策を行う必要がある。犠牲になる人々を救済してこその自由貿易だ。

 最大の焦点は自動車問題だ。トランプ米大統領は車の輸入増加を「安全保障上の脅威だ」と主張。その上で、関税の大幅な引き上げをちらつかせ、日本側に譲歩を迫る戦略だ。

 この安全保障問題への関連づけについては疑問を持つ人も多いはずだ。トヨタ自動車は「安全保障上の脅威ではない」と異例の反論を行ったがその通りだろう。

 自動車産業は、完成車輸出が主役だった一九八〇年代と違い、すでにグローバル化している。日本メーカーは米国に工場進出し現地の雇用に貢献している。部品の輸出入は日本と米国、中国などを還流し、お互いの利害は切り離せない状況にある。

 貿易の循環を断ち切る関税引き上げを含む規制強化は、世界経済に不利益しかもたらさない。大統領は、時代に逆行した貿易規制が結果的に自国経済をも傷つける現実を理解すべきだ。

 さらに指摘したいのは、貿易交渉の妥結時期と参院選挙が深く関連しているようにみえる点だ。交渉の行方は農家や自動車産業で生きる人々の生活に影響する。あえて選挙直後に合意を図るのなら、不誠実ではないのか。

 大統領は原則として貿易交渉を二国間で行うことを好む。力の差を見せつけ分かりやすい貿易上の成果を狙う手法だ。

 貿易の最大の目的は、お互いの足りない部分をモノやサービスの移動により補完。その上で双方が生活の質を上げることだ。

 大統領のやり方は人類が培ってきた貿易の機能を無視している。ならばここは妥結時期にこだわらずに交渉し、自由貿易の灯を守り続けるのが筋だろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【筆洗】:「天才バカボン」などの赤塚不二夫さんは昭和四十年代、スタッフと編集者による・・・

2019-05-29 06:10:48 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【筆洗】:「天才バカボン」などの赤塚不二夫さんは昭和四十年代、スタッフと編集者による合議制でアイデアを出し合って描いていたそうだ。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「天才バカボン」などの赤塚不二夫さんは昭和四十年代、スタッフと編集者による合議制でアイデアを出し合って描いていたそうだ。

 漫画界に新風をとその結束は固かった▼赤塚さんは締め切りを守る人だったが、なぜか入稿は締め切りギリギリになっていたそうだ。遅らせたのは編集者。斬新な内容で編集長に見せたら描き直しを求められるかもしれぬ。そのため、直したら間に合わない時間まで原稿を手元に置いておいた▼編集者の熱や配慮が作品の新しさの秘密だろうが、こっちはどうも怪しき時間稼ぎか。日米間の貿易協定交渉である。日米首脳会談では議論を加速させることで一致したそうだが、発表は八月になるらしい▼ひっかかるのはトランプ米大統領の「参院選まで待つ」というツイート。日本にとっては厳しい内容になりそうな新協定である。その批判を政府・与党が警戒し、公表を参院選後の八月にしてもらうということだとすれば、それはずるい時間稼ぎである▼交渉の方向性が見えているのなら国民に一刻も早く説明し理解を求める。それが筋である。交渉中を装い、選挙後までは黙っている。それは結婚式の後に実は多額の借金があると、お相手に告白するようなやり方だろう▼大統領への厚遇も参院選後まで待ってもらうためではあるまいな。「シェー!」で「レレレ」で「サンセイのハンタイなのだ」。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年05月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:巨大IT規制 不公平は消費者が正す

2019-05-29 06:10:40 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説①】:巨大IT規制 不公平は消費者が正す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:巨大IT規制 不公平は消費者が正す

 独占禁止法で巨大IT企業を規制する動きが出ている。底流に富やネット情報独占への不信がある。現行規制が追いついていないなら変えねばならない。

 政府が規制対象として念頭に置いているのは、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と呼ばれる米国の巨大IT企業や国内の楽天、ヤフーなどだ。いずれもネット空間の取引で大きな収入を得ている。

 公正取引委員会はIT五社(グーグル、アマゾン、ヤフー、アップル、楽天)との取引業者や利用者を対象に調査を実施。九割超の業者が、五社のうちの一社との取引について「規約を一方的に変更された」と回答した。

 ◆優越的地位の乱用か

 その数値は最も低いケースでも約五割だった。一方、取引業者の約八~九割が各IT大手との取引を続けざるを得ないとした。

 公取委は現行の取引実態が、独禁法で規定されている強い立場にある企業による「優越的地位の乱用」にあたるか見極めている。この乱用規制は日本や韓国などに限られた独特のルールだ。違反すると排除措置命令や課徴金を課すといった罰則がある。適用すれば世界に先駆けた実効性の高い対策となるはずだ。

 IT大手による個人情報の収集も問題だ。スマートフォンを使うと、ひんぱんに利用者の好みに合う広告が優先的に画面に現れる。集めた個人情報を駆使した広告手法の典型例だ。

 フェイスブックでは昨年八千七百万人の個人情報の不正利用が発覚。グーグルは昨年、情報流出の可能性があったにもかかわらず約半年間公表を遅らせた。

 IT大手の最大の武器は蓄積された膨大な情報であり、巨額収入を得る基盤になっている。調査では約75%の利用者が、IT企業による個人情報や利用した際のデータ収集について「懸念がある」と回答している。

 ◆税の公平な徴収を

 どうやって個人情報を集めているかも不透明だ。不公正な情報独占につながっているならば、独禁法に強制的な開示義務の規定を設けるべきだろう。

 独禁法を活用した対策は現実的で政府の本気度が伝わる。しかし、取引手法やデータ収集に法の網をかけただけでは問題の核心を突いたとはいえない。

 ここで改めて指摘したいのは、規制の核心部の一つは、税の公平な徴収ということだ。巨大IT企業に対する不満の最大の温床だからだ。

 国際展開する企業への課税は原則として、進出国に工場や支店などの拠点があって利益を上げた場合に対象となる。

 だがIT企業の取引は、ネット空間で国境を自由に行き来するため必ずしも拠点は必要ない。複雑な手法を駆使して税率の低い国に利益を移すケースも多い。このため税の徴収には常に困難が付きまとう。

 独禁法による規制を軌道に乗せた上で、経営の透明化を促し課税強化につなげる必要がある。その際、必要不可欠なのが国を超えた連携だ。

 英国を含む欧州連合(EU)では課税強化に積極的で連携が図りやすい。問題はIT大手を多数抱え規制に消極的な米国だ。

 かぎを握るのは利用者の国際的な意識の共有である。米国でも消費者の不満は他国と共通しているはずだ。多くの利用者は有権者でもあり、その意志は政治と行政を動かす力を持つ。日本発の規制のうねりを起こし、国際世論を刺激してもいいだろう。

 国境を越えてビジネスを展開しているIT企業の経営者たちは、自国の公共性への意識がやや薄い印象を受ける。この姿勢が節税意欲に拍車を掛けているのではないだろうか。

 ただ経営者たちも教育を受け、道路や電力など社会基盤を使ってきたはずだ。税や個人情報をめぐる不信や情報漏えい事故を各国で生んでいる以上、公共性の欠如は許されない。

 ◆市民の意志が変える

 今、各国の利用者が連帯すればルールを変え巨大IT企業を動かせるはずだ。利用者は直接の支払いがない場合でも広告を通じた利益獲得の原動力であり、IT産業の消費者といえる。

 米国では消費者運動が自動車排ガス規制基準を実現。それは自動車産業発展にもつながった。ごみや温室効果ガス削減に向け、世界的に広がったマイバッグ運動も消費者が主役だ。

 IT大手は存在に見合うだけのコストを払うべきだ。それを促すための独禁法の活用は評価できる提案だ。だが大きな突破口になるかは、その内容を丹念に吟味しつつ後押しする利用者の強い意志にかかっている。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年05月27日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【筆洗】:「おまえさんはいいよ、コウモリなんてハイカラなものをさしているから。

2019-05-29 06:10:36 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【筆洗】:「おまえさんはいいよ、コウモリなんてハイカラなものをさしているから。オテントウサマをさえぎってますよ。あたしをごらんなさい。まともに照りつけている」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「おまえさんはいいよ、コウモリなんてハイカラなものをさしているから。オテントウサマをさえぎってますよ。あたしをごらんなさい。まともに照りつけている」

 ▼落語の「船徳」にそんな場面がある。暑い盛り、七月の四万六千日様に浅草観音をお参りしようという男性の二人連れ。一人はコウモリ傘を日傘に使っている▼勘当された若旦那が船頭になる「船徳」は初代の三遊亭円遊が人情噺(ばなし)の「お初徳兵衛浮名の桟橋」を明治期に滑稽な内容に改作した。今でこそ男性の日傘はあまり見かけぬが、当時は珍しいことではなかった様子が想像できる。それ以前の江戸時代には幕府が一時期、男性の日傘使用を禁じていたというからお上が目くじらを立てるほどに広まっていたのだろう▼時代は変わり、環境省が熱中症対策として男性の日傘使用を呼びかけている。日傘を使えば、帽子の人よりも汗の量を17%抑えることができたそうでその効用に目を付けた▼実際に使う勇気がなく、ひとまず日傘をさしていると想像してビジネス街を歩く。この雑踏で大勢の男性が日傘を使えば、傘がぶつかり、ストレスが高くなりそうだが、人通りの少ない場所などでは問題なく使えるだろう▼男性も悪目立ちすると日傘をためらう場合ではないかもしれぬ。四万六千日様はまだまだ先なのに既に暑い盛りを思わせる最近の容赦なき夏である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年05月27日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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