路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【金口木舌・12.12】:階級闘争とは

2024-12-12 04:00:40 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【金口木舌・12.12】:階級闘争とは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.12】:階級闘争とは 

 話の内容がふに落ちた。米国で今、起きているのは政治上の「左右の対立ではない。階級闘争なんだ」。先月の米大統領選のドナルド・トランプ氏の勝因を識者が語っていた

 ▼こんな例えがある。米国を10人の人口とすると全資産の7割を1人が握る。富が一局集中し、物価などが高騰する中、貧富間の闘争が起きているという。頼みの民主党が企業と結びつく政党に転換しては、労働者は行き場を失うだろう

 ▼あまりの格差に絶望した人がトランプ氏を選んだと識者はみる。民主党支持層とされたヒスパニック男性の5割がトランプ氏に投票との分析もある。今の米国を病気に例えれば、トランプ再選は国の「病状」を示すとの指摘に合点がいく

 ▼日本に目を転じる。非正規雇用で所得が上がらず不安を抱く人も増えた。物価も上昇の一途。税金も低所得者ほど負担が重い逆進性が進む。国内事情は米国と「同病相哀れむ」といったところか

 ▼衆院選でも既存政党は退潮し、所得向上を掲げる政党が議席を増やした。人が将来に希望を見いだせない国への荒療治だろう。ただ見誤れば大病の恐れもある。手当てはしっかりと。

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年12月12日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:生活困窮者支援法案を了承 政府、今国会提出へ

2024-01-31 10:00:30 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【自民党】:生活困窮者支援法案を了承 政府、今国会提出へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:生活困窮者支援法案を了承 政府、今国会提出へ

 自民党は31日、厚生労働部会を開き、生活困窮者自立支援法などの改正案を審査し、了承した。改正案は、子どもの貧困や、住居確保の対策を強化する内容。生活保護世帯の子どもが高校卒業後に就職し独立する際、新生活の準備資金として一時金を支給する。政府は今国会に改正案を提出する。

 東京・永田町の自民党本部

 東京・永田町の自民党本部

 改正案は住居対策に関し、困窮世帯が家賃補助として受給できる「住居確保給付金」を、より安い住まいへの転居資金として活用できるよう見直す。生活保護受給者が家賃として受け取る「住宅扶助」は、自治体が家主に直接支払うことを原則とする。
 
 受給者らが利用する無料・低額宿泊所を自治体に無届けで運営する事業者への罰則を設ける。(共同通信)

  元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・自民党・厚生労働部会・生活困窮者自立支援法などの改正案を審査し、了承】  2024年01月31日  10:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.14】:ピント外れのこども家庭庁「こどもまんなか」政策 “10兆円”の行方は

2023-08-14 08:01:50 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.14】:ピント外れのこども家庭庁「こどもまんなか」政策 “10兆円”の行方は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・08.14】:ピント外れのこども家庭庁「こどもまんなか」政策 “10兆円”の行方は 

 三重テレビのニューススタジオ。先日のゲストは「こども食堂・太陽の家」代表の対馬あさみさんだった。7人に1人の子どもがおなかをすかしているいまの社会。だけど太陽の家は食堂だけではない。1人親家庭の悩み、保育園問題、コロナ離職、介護、いじめ、不登校…。子どもも大人も本音をぶつけあう。

 「だけど、それってみんな『こども家庭庁』がやるべきことじゃないの?」。コメントで思わず、私の最近の思いが口をついて出た。

 昨年、年間予算5兆円でスタートした「こども家庭庁」。これに加えて岸田政権は少子化対策に本年度5兆円の特別会計を組むことにした。

 だけどこども家庭庁が打ち出した「こどもまんなか」政策は、サッカー少年を応援する「Jリーグとのコラボ」だったり、子育て中の家庭を若者が訪問する「家族留学」。さらには博物館、美術館のこども優先レーンだという。一体これらのどこが、いじめや不登校、ワンオペ育児に悩むこどもや家庭のための施策なのか。

 5兆円もの少子化対策では、特別会計(特会)が亡霊のごとく現れた。特会は国会の審議を経る一般会計と違って、ノーチェックの便利なお財布。かつては道路やハコモノにバラまかれ、「母屋(一般会計)がおかゆをすすっているのに、離れ(特会)ではすき焼きを食っている」と批判されて縮小したものが復活してきたのだ。

 こども家庭庁と特会で合わせて10兆円。民間の寄付に頼るこども食堂にとって、仰ぎ見る金額ではないか。

 ちなみに取材させてもらった日のこども食堂のメニューは、安くて栄養満点、チンジャオロースと具材たっぷりいろいろおにぎりでした。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年08月14日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【こども家庭庁】:「もっと困窮した家庭を救え!」、主催の写真コンクールが大炎上

2023-08-12 07:05:50 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【こども家庭庁】:「もっと困窮した家庭を救え!」、主催の写真コンクールが大炎上

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【こども家庭庁】:「もっと困窮した家庭を救え!」、主催の写真コンクールが大炎上

《こんなことやる時間どこにあるんですか?》

《写真スタジオがやることでしょ》

《これやる前にもっとするべきことあるはずですよね》

《コンテストの目的っていったい何ですか?》

 「"やっぱり、家族っていいね。"こどもや家族を思うあたたかい気持ちを写真にしてご応募ください」という文言とともに、こども家庭庁が3日にツイッターで公開した「令和5年度 こどもまんなか『家族の日』写真コンクール」の募集案内が大炎上している。"安心して子供を産み育てることができる社会づくりの機運を高めることを目的"として、こども家庭庁は写真コンクール(募集期間8月1日~9月4日)を企画した。

<picture>(こども家庭庁HPから)</picture>

    (こども家庭庁HPから)

 ネットが反応したのは、そこにサンプルとして掲載されていた写真。にこやかに写真に収まる子供とおばあさんのまぶしすぎる笑顔に、SNSを中心に「被写体に罪はまったくないが、もっと困窮している家庭を救うのがこども家庭庁の仕事なのでは?」と疑問を呈する声が多く上がっている。実際、世の中には、社会的に困窮している家庭がたくさんあり、こども家庭庁がわざわざ職員と税金を使って写真コンテストをやる必要があるのか疑わしい。

 募集作品のテーマを見ても、「家族の団らん、パパの育児、三世代家族の様子、親子で一緒に楽しみながら何かに取り組んでいる日常の様子」「出産を控え家族で準備している様子、子育て家族の絆やあたたかさ・ほほえましさを表している様子」「ワークライフバランスの取組(定時退社し子育てイベントへの参加など)」といった、"幸せな子育て写真"を望んでいることが見て取れる。そこからは、「過酷な育児」といった子育てのリアルな様子を汲み取ろうとする行政としての姿勢は見えてこない。

 ■大胆過ぎる個人情報の取り扱いにも批判

 さらに問題なのは、こども家庭庁の個人情報の取り扱いだ。募集要項では、"子育てを支える家族や地域の大切さに関する「写真」を全国から募集し、優秀な作品について表彰します"としているが、「応募者は、応募に当たり、こども家庭庁が管理するウェブサイトやその他広報物において、応募作品が使用されることについて承諾したものとします」とある。「入賞作品の発表では、こども家庭庁ホームページに、作品のタイトル、お住まいの都道府県、実名を掲載します。匿名、アカウント名等による発表はいたしません」ということは、"実名・顔出し"で幼い子どもがいることを世間に知らしめろ、と言っているも同然だ。

 今回の「こどもまんなか『家族の日』写真コンクール」の企画意図と目的をこども家庭庁に聞いた。

 「子供や家族、地域の繋がりといった、子育てを取り巻くいろんな環境や楽しそうにしている様子、子供自身が一生懸命何かに取り組んでいたり、地域で支える様子など、温かい素敵な写真を応募していただき、その様子を発信することで、ちょっとほっこりした気持ちになっていただければと。それで、子供、子育てを支えることが素敵だなって思っていただくのが目的です」(こども家庭庁少子化対策室地域連携係)

 以下は筆者がこども家庭庁にぶつけた質問とそれに対する回答だ。

 Q.虐待や貧困、困窮している家庭のサポートなど、こども家庭庁が率先してすべきことが他にもあるのでは?

 A.「当然、それは重要なことでありますので、他の部局で色々支援を行っております」

 Q.SNSを中心に非難の声が上がっていることに関しては?

 A.「厳しいご意見があるのは承知しております。いろんなご意見があるなかで、それを踏まえ、発信の方法などは内部で検討していきます」

 Q.個人情報の取り扱いについてどう考えているのか。


 A.「写真は公表はしますが、勝手に載せるわけではないので……」

 今回のコンクールの審査員には、戦場カメラマンの渡部陽一氏の名前も上がっている。審査員の選考基準についても聞いてみると、「お答えできません」の一点張り。事業予算についても、「現時点ではお答えできません。今調査しているところです」との説明だった。つまり、予算を決めずに見切り発車したということのなのだろうか。こども家庭庁は現時点で写真コンクールの企画を取りやめる予定はないとしている。(取材・文=中西美穂/ジャーナリスト)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・こども家庭庁が3日にツイッターで公開した「令和5年度 こどもまんなか『家族の日』写真コンクール」の募集案内が大炎上】  2023年08月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・02.13】:心もいっぱいになるこども食堂 夜はゲイバー、月に1度開店

2023-03-13 08:01:10 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・02.13】:心もいっぱいになるこども食堂 夜はゲイバー、月に1度開店

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・02.13】:心もいっぱいになるこども食堂 夜はゲイバー、月に1度開店 

 年に7、8回出演している三重テレビの報道情報番組、「Mieライブ」の先日の特集は1月末、津市にオープンしたこども食堂だった。オーナーの花井幸介さん(34)が月末の日曜日に開き、初回のメニューは野菜と肉のカレーにつくね、近所の和菓子屋さん差し入れのみたらし団子。定員40人。こどもは無料で大人は300円。おなかいっぱい食べてもらって、たった1つの条件は必ずみんなとおしゃべりして遊んで帰ること。

 そんな条件をつけたのには訳がある。店は普段の夜はゲイバー。花井さんはLGBT、性的少数者だ。友だちにも言い出せないまま隠し通して中学を卒業。家を出て、一時はホームレス生活も経験した。やっと心を許せる仲間に出会って夜の町を転々としていた10年前、父親が末期がんという知らせが飛び込んできた。

 駆けつけた花井さんに父は「気がついていたよ。お前の人生。思い通りに生きなさい」。だからおなかがいっぱいになると同時に、こどもも大人も何でも言いあえて心もいっぱいになるこども食堂を作りたかった-。

 国会ではそのLGBTをめぐって首相秘書官がオフレコをいいことに、耳をふさぎたくなる差別発言。一方で子育て支援の議論では、かつて女性議員が議場に響く甲高い声で、聞くに耐えない下劣なヤジを飛ばしていたことが改めて報道されている。そんなときにオープンした、夜はゲイバーのこども食堂。

 小さなテレビ局が取り上げた、小さなこども食堂がLGBTや子育て、そうしたテーマに、いつの日か私たちが見たいと願っているほのかな光を放ってくれているような気がする。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2023年02月13日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 格差をなくす処方箋は

2022-12-13 06:51:50 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【社説①】:週のはじめに考える 格差をなくす処方箋は

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 格差をなくす処方箋は 

 ビートルズのメンバーで、二〇〇一年に亡くなったジョージ・ハリスンの邸宅がロンドン郊外にあります。その前で写真を撮り、念のためビートルズに詳しい音楽専門家に見てもらうと「これは警備員の詰め所ではないか。ジョージの家の全景は上空からしか撮影できない」。その豪邸ぶりにあらためて驚いた記憶があります。
ソース画像を表示
 「タックスマン」。ジョージが一九六六年に発表した名曲です。当時、英国の労働党政権は富裕層に極めて高い税金を課していました。ジョージはあまりに高い税金を嘆く曲を作ったのです。歌詞には皮肉を込めて当時のウィルソン首相の名前も出てきます。
 この曲は傑作アルバム「リボルバー」に収められていますが、聴くたびに「あれだけすごい豪邸に住んでぜいたくしていたのだから税金が高くても我慢しろよ、ジョージ」と言いたくもなります。

 ◆富裕層の課税逃れ激増

 場所と時代は変わり、日本の国税庁が先月、驚くべき発表をしました。今年六月までの一年間に行った税務調査の結果、富裕層の申告漏れが過去最高の八百三十九億円に上ったというのです。前年度比で72・3%の激増ぶりです。
 多くの富裕層は課税が免除されたり大きく軽減されるタックスヘイブン(租税回避地)に財産を移して課税を逃れようとします。
 国税庁の調査は、日本国内でも富裕層の一部で課税逃れが横行している実態を裏付けています。
 しかも発表額が氷山の一角にすぎないことも想像に難くありません。課税逃れに走る富裕層は税の専門家を雇うなどして節税を巧妙に繰り返しているはずです。
 複雑な確定申告の手続きに苦労している中小事業者や、源泉徴収されて節税のしようもない会社員にとっては別世界の話です。
 怒りを禁じ得ない税関連のニュースはこれだけではありません。十月下旬に開かれた政府税制調査会で、中長期的視点から「消費税の税率を引き上げるべきだ」との意見が相次いだというのです。
 政府の予算の使い方は目に余る野放図ぶりです。中長期的視点とはいえ、消費税増税に言及するのは、政府が無駄遣いしない姿勢を鮮明にしてからにすべきです。
 もちろん無駄遣いを改める姿勢に転換したといっても、消費税を含む増税を簡単に認めるわけにはいきません。増税は国民が納得するまで議論し尽くした上で、慎重に行うべき重大事だからです。
 「家計の値上げ許容度も高まっている」。今年六月、日銀の黒田東彦総裁=写真(上)=がこう発言したことには本当に驚きました。
 ロシアのウクライナ侵攻を背景とする資源高や円安で国内物価は年間を通じて急騰し続けました。年明けには再び値上げのピークがくるとも予測されています。
 富裕層ではない大半の人々は暮らしを守るため部屋の電気をこまめに消したり、入浴回数を減らしたりして懸命に節約しています。黒田総裁は、そうした暮らしの実態を知らないのでしょう。
 黒田総裁に限らず、日本経済をけん引するはずの人々が「民の暮らし」を軽視する傾向が顕著になっています。
 岸田文雄首相=同(左)=は昨年の自民党総裁選で、格差是正を念頭に富裕層への金融所得課税強化を訴えましたが、反発が強く就任後は言及しなくなりました。

 ◆自己責任という身勝手

 企業が利益を還元せずにため込む内部留保も十年連続で増え続けています。大企業の利益の多くは円安による追い風の恩恵にもかかわらず、経営者たちは大胆な賃上げに二の足を踏んでいます。
 この一年で格差は一段と広がったというのが実感です。その深い断層に、権力を握る人々や富裕層の「格差は自己責任の結果」という身勝手な考えが潜んでいるのなら深刻です。
 子どもの未来を育む保育士、高齢者らの世話をする介護士、病人に寄り添う看護師ら、社会貢献の大きさや激務に比べて十分な収入を得られない人が多くいます。
 格差を放置すれば求人がままならず、社会生活を支える体制を維持できません。収入格差の是正は必要不可欠なのです。
 格差是正に最も効果がある処方箋は税制の見直しです。ジョージには悪いのですが、富裕層やもうけた大企業への課税を強化する仕組みに変えればいいのです。
 政府は毎年末、次年度の税制のあり方を決める税制改正大綱を決定します。首相は本気で格差を是正しようとしているのか。来年度の大綱が試金石になります。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年12月11日  06:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:孤独・孤立対策 実態踏まえ支援拡充を

2022-05-08 07:05:45 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【社説】:孤独・孤立対策 実態踏まえ支援拡充を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:孤独・孤立対策 実態踏まえ支援拡充を 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの暮らしを大きく変えた。その負の面が表れたのだろうか。孤独・孤立問題を巡って政府が初めて実施した実態調査で、孤独感が「ある」と答えた人が4割近くに達した。

 世帯年収が低いほど孤独を感じる傾向が目立つ。雇用形態との関連も深く、「失業中」は平均の3倍近く、「派遣社員」も2倍近かった。見過ごせない。

 現行の支援策で十分な対応ができているのか。政府は点検を急がなければならない。

 この問題に、政府が力を入れ始めたのは昨年からだ。コロナ禍による失業や休業で経済的困窮が広がって自殺が増え、児童虐待なども深刻化した。その背景にあるのが、孤独・孤立問題だと考えたためだ。

 まず昨年2月、省庁の政策をまとめる調整役として担当相を任命した。昨年末には初めての重点計画をまとめた。

 ただ肝心の実態はよく分かっていなかった。孤独を感じるかどうかは個人差が大きく、定義が曖昧だった。対策も各省庁の施策を束ねただけの印象が拭えない。何が必要かを知るため、全体像の把握が急がれていた。

 調査は16歳以上の全国2万人に昨年12月時点の状況を尋ね、6割近くから有効回答を得た。その結果、孤独だと感じることが「しばしば・常にある」が45%、「時々」は14・5%、「たまに」は17・4%で、合わせて36・4%に上った。

 きっかけはさまざまで、どの世代にも関連した項目がある。多い順に「1人暮らし」「家族との死別」「病気やけがなど心身の重大なトラブル」「転校・転職・離職など(失業を除く)」「いじめなど人間関係による重大なトラブル」だった。

 課題も浮かんだ。一つが若年層対策だ。孤独だと感じることが「しばしば・常にある」の割合が最も高いのは30代の79%、次いで20代の77%だった。高齢者や子どもに比べ、支援が手薄なのではないか。

 必要な人にサポートが届いていない実態もうかがえた。「しばしば・常に孤独を感じる」人のうち、行政やNPOの支援を受けていないとの回答が8割を超えた。気になるのは「我慢できる」「手続きが面倒」「恥ずかしい」などの理由が上がったことだ。行政や社会の発想転換が求められている証しだろう。

 人生の節目で誰にでも起こり得る問題だ。社会環境の変化で孤独を感じざるを得ない状況に至る。それは社会のゆがみともいえよう。そんな時は、自分を守るため、支援を求めたり人に頼ったりすることが必要となる。それなのに自己責任だと批判するのは筋違いでしかない。

 そもそも、核家族や晩婚化などを背景に地域社会でのつながりが希薄になっていた。職場では非正規雇用の割合が高まり、「生きづらさ」や孤独・孤立を感じる人が増えた。それがコロナ禍で顕著に現れたのだろう。

 政府がまとめた重点計画も指摘している。この問題は、当事者の自助努力に委ねられるべきではなく、社会全体で対応しなければならない、と。

 ならば政府は実態調査を踏まえ、さらに支援策を拡充すべきだ。官・民・NPOの連携強化と役割分担を進め、誰一人取り残さぬよう、抜け穴のない態勢を整えていかねばならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月07日  07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:こどもの未来は社会の未来

2022-05-08 05:09:40 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【金口木舌】:こどもの未来は社会の未来

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:こどもの未来は社会の未来

 幼いころ読んだ図鑑に「みんなが大人になるころには宇宙旅行に行けるかもね」と書いていた。この数年で現実になるとは思いもしなかった。かつて夢の道具として描かれた携帯電話は「1人1台」の時代になって久しい

 ▼技術の進歩は子ども時代の「夢」を現実にする、大人たちの挑戦のたまもの。道のりには多くの失敗もあろう
 ▼進歩の裏では課題も浮かぶ。宇宙旅行はまだ一部の大富豪しか行けない「格差社会」進展の象徴でもある。ロケットは大量の温室効果ガスを出し、地球温暖化対策にも逆行する。技術の枠にとどまらない課題も社会に山積している
 ▼きょうは「こどもの日」。今を生きる子どもたちは、どんな未来を想像しているのだろう。胸躍る未来に目を輝かせながら、沖縄と世界に横たわる難題に挑む頼もしさを身に付けてほしい
 ▼足元では子どもの貧困問題にも関心が高まっている。心身の健やかな成長は、平和や欠乏からの自由があってこそ。子どもたちが伸び伸び育ち、才能を開花できるよう、大人が成長を支えたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年05月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:孤独・孤立調査 若年層にも対策が急務

2022-05-04 05:05:30 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【社説①】:孤独・孤立調査 若年層にも対策が急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:孤独・孤立調査 若年層にも対策が急務 

 新型コロナウイルス禍で生活困窮や自殺、ひきこもりなど、孤独・孤立問題が深刻化している。

 政府が2万人を対象にした初の全国実態調査で孤独感が「ある」と答えた人は約4割に上った。

 常に孤独を抱えている人は4・5%で、年代別では30代が7・9%、20代が7・7%と高く、多くの若者が孤独を感じている。

 その中にはオンライン授業ばかりで友人ができず、帰省もままならず孤独感を深めた人もいよう。

 孤独や孤立は、誰にでも起こり得る。心の健康が損なわれ、自殺に至るケースもある。

 これまで高齢者の「孤独死」などが社会問題となってきたが、孤独は若い人も少なからず感じていることに注目したい。

 国や自治体はSOSを迅速にすくい上げ、支援につなげていく仕組みづくりが急務だ。

 調査結果からは失業中や派遣社員など、世帯収入が低い人ほど孤独感のある傾向が見られた。

 だが、「しばしば・常に孤独を感じる」とした人のうち、8割以上が行政やNPOから支援を受けていないと回答した。

 コロナ禍による雇用情勢の悪化で特に女性の非正規労働者やひとり親世帯などに影響が出ている。

 経済的に追い込まれると、心のゆとりが失われ、社会への疎外感を強めることもある。孤独や孤立を招く生活困窮者への対応を急ぎ、必要な支援を届けたい。

 政府は孤独・孤立対策の重点計画を昨年末に取りまとめた。24時間相談体制の整備、地域での交流や居場所づくりを盛り込んだ。

 実態調査の結果を詳細に分析し、さらに政策を充実させ、実効性を高めることが必要である。

 対策は複数の役所にまたがるものが多く、縦割りの弊害をなくし、官民の連携も進めたい。

 菅義偉前政権の下で英国を参考に昨年2月に担当相が置かれ、現在の野田聖子氏で2人目になる。ただ、行動は乏しく、国民への発信力をもっと高めるべきだ。

 今後、高齢者が全人口に占める割合はさらに増える。医療や介護の供給不足、孤立の急増など深刻な課題が突き付けられている。

 従来の見守りや交流の場を強化し、「つながり」の実感できる地域づくりが欠かせない。

 孤独を感じる人は社会とのつながりが途絶えがちだ。福祉の支援や近所付き合いを自ら拒む「セルフネグレクト」(自己放任)の状態に陥っていく人もおり、きちんと目配りすることが大切だ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:ホームレスの平均年齢が過去最高63.6歳 路上生活10年以上が4割で高齢化と長期化浮き彫り

2022-04-26 22:48:30 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【厚労省】:ホームレスの平均年齢が過去最高63.6歳 路上生活10年以上が4割で高齢化と長期化浮き彫り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:ホームレスの平均年齢が過去最高63.6歳 路上生活10年以上が4割で高齢化と長期化浮き彫り 

 厚生労働省が昨年11月に実施したホームレスの全国実態調査で、平均年齢が調査を始めた2003年以来、過去最高の63.6歳となったことが26日、分かった。前回16年調査では61.5歳だった。路上生活が10年以上続いている人が4割を占め、高齢化と長期化が浮き彫りとなった。

 実態調査はほぼ5年に1度実施しており、新型コロナウイルス禍では初めて。東京23区や政令指定都市などで1169人に面接した。

 年代別では70歳以上が前回調査の19.7%から34.4%に増加。60歳以上が7割を占めた。新型コロナの影響で路上生活を始めた人が6.3%いた。

 厚労省は26日、今年1月に実施したホームレスの人数などを把握する全国調査の結果も発表。3448人で03年の調査開始以来、最も少なかった。都道府県別では大阪が最多の966人。次いで東京770人、神奈川536人だった。東京23区と政令市で8割弱を占めた。

 市区町村の担当者が公園や駅などを巡回して、目で見て確認した人数を厚労省に報告した。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・厚労省・昨年11月に実施したホームレスの全国実態調査】  2022年04月26日  22:48:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:炊き出しに集う人達、「まん延防止」解除後も後絶たず 市民団体「生活困窮の実態は変わっていない」

2022-04-10 06:10:20 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【話題】:炊き出しに集う人達、「まん延防止」解除後も後絶たず 市民団体「生活困窮の実態は変わっていない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:炊き出しに集う人達、「まん延防止」解除後も後絶たず 市民団体「生活困窮の実態は変わっていない」 

 新型コロナウイルスの感染第6波後、経済活動が再開される中でも生活困窮者向けの炊き出し現場に来る人は後を絶たない。記者が先月から今月にかけて計4回、東京都渋谷区内の炊き出し現場を訪れたところ、今月上旬にはコロナ禍で過去最多に近づく配食数だった。困窮現場は、先行きに明るさが見えないまま第7波の入り口に立っている。(山下葉月)
鶏肉と野菜のまぜご飯を詰めたパック。受けとる人は後を絶たない=東京都渋谷区で

鶏肉と野菜のまぜご飯を詰めたパック。受けとる人は後を絶たない=東京都渋谷区で

 訪れたのは、渋谷区内の公園で実施する市民団体「のじれん」の炊き出し。毎週土曜日、ボランティアと路上生活者が一緒に調理している。定番メニューは野菜と鶏肉のまぜご飯。約400グラムずつパックに詰め、バナナや缶のお茶と一緒に渡す。必要に応じ、生活相談なども行う。

 ◆ひとつの傘を2人で使う男女も

 まん延防止等重点措置の解除を政府が決めた直後の3月19日夕、配食準備を始めた頃から雨が降り出した。気温約10度と肌寒さが身に染みるが、集まった人は多い。中には一つの傘を2人で使う夫婦らしき男女の姿もあった。
パックめしをバナナや缶のお茶と一緒に

パックめしをバナナや缶のお茶と一緒に

 のじれんによると、2月下旬ごろから配食数はコロナ禍前と同規模の約100食だったが、今月2日は約160食に達した。一昨年のコロナ第1波で各地の団体が炊き出しを控え、渋谷に流れてきたころの水準という。同日は都庁前の食品配布会でも過去2番目に多い550人が訪れ、困窮している人が高止まりしている状況が続いている。
 3月26日には都内の1週間平均の新規感染者数は6274.9人と第6波以降で最低となっていた。団体は「社会は経済活動再開に向かっているが、毎回新たに訪れる人がいて、生活困窮の実態は変わっていない」とみている。

 ◆「会社がつぶれたような状況に」

 現場に通う中、今年1月から路上で暮らす50代の男性に話を聞いた。10年以上、運送関連の有限会社でドライバーとして働き管理職にも就いたが、コロナ禍の業績悪化で「会社がつぶれたような状況になった」。会社を離れ、小さなスーパーで契約社員として鮮魚をさばき、刺し身を作った。だが、コロナ禍で客足が減っていたこともあり、契約を切られた。
 貯金で暮らしていたが、家賃や生活費を払うことが苦しくなり、今年1月4日、路上生活をするようになったという。

 ◆住まいある人も炊き出しに

 一方、男性のように路上生活に至らずとも、炊き出し現場に通う人も目立っている。のじれんは今年1~2月、のべ386人に聞き取り調査を実施。回答した83人のうち、車中泊やネットカフェ利用者などを含め「ホームレス状態」の人が66.3%(55人)である一方、アパートなど住まいがある人が33.7%(28人)を占めた。こうした人は2014年の調査で1割強だった。コロナ禍で困窮し食事を満足に取れない人が、路上生活者以外にも増えている現状が浮かび上がっている。

 ■のじれんの調査に携わった東洋大の木村正人教授(社会学)の話

 コロナ禍以降に仕事や家を失い、路上生活を送る人が相当数いる一方、家や帰る場所があっても炊き出しを利用せざるを得ない人が増えている。困窮で住所を失った人を公助が取りこぼしているだけではなく、給付金や生活保護の運用が、困窮の実態に追いついていない。民間の支援(共助)や自助努力は、限界がきている。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・医療・新型コロナウイルスの感染拡大に伴う貧困問題】  2022年010日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【国連開発計画報告】:世界の7人に6人「不安」感じる、社会格差が拡大

2022-02-08 14:04:30 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【国連開発計画報告】:世界の7人に6人「不安」感じる、社会格差が拡大

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国連開発計画報告】:世界の7人に6人「不安」感じる、社会格差が拡大

 【ニューヨーク共同】国連開発計画(UNDP)は8日、世界の7人に6人以上が不安を感じながら生活しているとの報告書を発表した。経済成長だけを追い求めてきた結果、社会格差が拡大し、地球環境への負荷も高まっていることが背景にあるとして、人間や環境に配慮した持続可能な開発モデルが必要だと訴えた。

 高所得国であっても10年前より不安を感じる傾向が強まっていると分析。今後の社会発展では気候変動が大きなリスクになり、気温の上昇が原因で死亡する人々は今世紀末までに世界で約4千万人に達する可能性があると予測した。

 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社会 【話題・国連開発計画(UNDP)・世界の7人に6人以上が不安を感じながら生活しているとの報告書を発表】  2022年02月06日  14:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:困窮世帯支援策 実情踏まえて練り直せ

2021-06-08 08:11:35 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【社説①】:困窮世帯支援策 実情踏まえて練り直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:困窮世帯支援策 実情踏まえて練り直せ

 緊急事態宣言の延長に伴い、政府は困窮世帯に最大三十万円を給付する支援策を発表した。支援は歓迎すべきだが、給付条件が実情とはかけ離れ、利用が難しい。条件の緩和など練り直しが必要だ。

 困窮世帯への新支援策は七月以降、三カ月間にわたり、単身世帯で月額六万円、二人世帯で同八万円、三人以上の世帯で同十万円の現金を給付するという内容だ。
 コロナ禍による国民生活の悪化は深刻だ。昨年度の生活保護申請件数(速報値)は前年比で2・3%増と、リーマン・ショックの影響を受けた二〇〇九年度以来、十一年ぶりに増加。昨年の完全失業率(平均2・8%)も、やはり十一年ぶりに前年から悪化した。
 困窮世帯への支援は待ったなしで、新たな支援策は朗報に聞こえた。だが、困窮世帯は困惑を隠さない。給付条件が厳しいためだ。
 最大の問題は国から借金をしていないと申請できない点だ。政府は昨年三月、コロナ禍で収入が減った世帯を対象に特例貸付制度を設けた。休業が対象の「緊急小口資金」と失業などを想定した「総合支援資金」だが、今回の給付はその上限額(計二百万円)まで借りていることを条件としている。
 困窮世帯の稼ぎ手の多くが非正規雇用だ。年収が二百万円以下の世帯も少なくない。貸し付けは返済時に住民税が非課税なら免除されるが、その水準では暮らしがたい。子どもが幼く、将来の支出増が予想されれば、借金を避けようとする。それで給付されないのは理にかなわない。そもそも貸し付けの対象外とされた人もいる。
 ハローワークで求職していることも条件にされた。だが、ワーキングプア状態にある人たちは、平日の昼間にハローワークで仕事を探す余裕がない。多くは民間の職業紹介サービスで仕事を探している。実態に沿っていない条件だ。
 給付対象も小さすぎる。政府は対象を約二十万世帯とするが、これは全世帯数の約0・3%にすぎない。困窮世帯ははるかに多い。総額五百億円という規模も、昨年度の第三次補正予算で「Go To」事業延長に約一兆円が計上された点を考えても乏しすぎる。
 困窮世帯に手を差し伸べる施策は歓迎したい。とはいえ、困窮の現実を理解していなければ、絵に描いた餅になってしまう。政府には実情を精査した上、給付条件の緩和や規模の拡大を求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年06月07日  08:11:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自立支援相談機関】:4~9月の困窮相談、昨年の3倍 コロナ禍で雇用悪化

2020-12-27 17:33:30 | 【貧困問題・絶対的、相対的貧困・ホームレス・飢餓・貧困が及ぼす格差社会】

【自立支援相談機関】:4~9月の困窮相談、昨年の3倍 コロナ禍で雇用悪化

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自立支援相談機関】:4~9月の困窮相談、昨年の3倍 コロナ禍で雇用悪化 

 生活に困っている人を対象とする自治体の「自立相談支援機関」に、本年度の上半期(4~9月)は前年同期の3倍に当たる39万1717件(速報値)の新規相談が寄せられたことが27日、厚生労働省のまとめで分かった。新型コロナウイルス感染拡大による雇用情勢の悪化が影響し、10月以降も例年を大きく上回るペースで推移。年末年始は日雇いの仕事が減り、食費に困ったり、住まいを失ったりする人が増える恐れがある。
 厚労省などが入る東京・霞が関の中央合同庁舎

  厚労省などが入る東京・霞が関の中央合同庁舎

 支援団体によると、リーマン・ショック後は中高年男性の相談が多かったが、コロナ禍では20~40代や非正規雇用の女性、外国人などに「新たな貧困層」が生まれているという。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・自治体の「自立相談支援機関」・生活に困っている人の新規相談件数】  2020年12月27日  17:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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