路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【政界地獄耳・02.19】:“前科”あり法相が職員全体に月餅配り 止めきれなかったお粗末法務省

2025-02-25 07:40:20 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【政界地獄耳・02.19】:“前科”あり法相が職員全体に月餅配り 止めきれなかったお粗末法務省

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・02.19】:“前科”あり法相が職員全体に月餅配り 止めきれなかったお粗末法務省 

 ★法相・鈴木馨祐は絵にかいたようなエリートだ。東大卒業後、財務省入省。その後自民党から出馬し当選6回。なかなか入閣できない先輩が多い中、石破内閣で法相に初入閣した。自民党政治資金規正法改正案提出者として政治とカネに取り組んでいた次世代のホープが入閣に浮かれたか、1月下旬に法務省職員全体に選挙区(現在は衆院比例南関東)・横浜の中国菓子、月餅3個入りの菓子折りを配布したと週刊現代がスクープ。包装には法務省の赤れんが棟の絵が描かれていた。公選法は選挙区内の有権者に対する物品の寄付を禁じており、職員には有権者もいた可能性は当然ある。

 ★18日、閣議後の会見で法相は「国会が始まるタイミングで職員への慰労や激励の趣旨で差し入れた」「私費での購入だった」「差し入れということに尽きる。詳細を答えるのは差し控える」とトホホな言い訳をした。だから正しいと法務省は言うのだろうか。法相には“前科”がある。政治とカネで大揺れの昨年6月12日。自民党政治資金規正法改正案提出者として臨んだ5月の衆院政治改革特別委員会で計66万円としていた自身が代表の党支部の21年政治資金収支報告書の記載漏れを訂正、参院政治改革特別委員会で計282万円だったと認め「陣中見舞いなどの寄付で企業・団体に関するものが全て漏れていた」と説明していた。野党議員は言う。「本人か事務所が陣中見舞いでモノやカネが動く体質なのだろう。エリートでもこんなことも平気でやるのかと驚いたが、法務大臣ともなると順法精神すら備わっていないのかと疑いたくなる」。

 ★それにしても全省に配布となれば省内への準備もある。自民党議員が言う。「法務大臣秘書官室は何をやっていたのか。初入閣で無知な大臣に法と秩序を教えるという意味では他省庁より厳しい秘書官室といわれているが、大臣の意向が強く止めきれなかったのか。お粗末な話だ」とあきれながら、「法相はベテラン議員の指定席にすべき」とつぶやいた。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年02月19日  07:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②・02.17】:拘禁刑の導入 立ち直りの支援で再犯を防げ

2025-02-17 05:00:55 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説②・02.17】:拘禁刑の導入 立ち直りの支援で再犯を防げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.17】:拘禁刑の導入 立ち直りの支援で再犯を防げ

 明治期から続いてきた刑罰の形が大きく変わろうとしている。刑務所の体制を強化し、受刑者たちの更生を支援できるようにする必要がある。

 現行の懲役刑と禁錮刑を廃止して、「拘禁刑」に一元化する新しい刑罰が導入される。6月以降に発生する犯罪に適用される。

 受刑者は現在、罪の重さや犯歴に応じた刑務所に振り分けられ、刑務作業を中心とする生活を送っている。新しい拘禁刑制度では、作業は義務ではなくなり、一人ひとりの特性に合わせた矯正プログラムを受けることになる。

 受刑者に対する「懲らしめ」を目的としてきた刑罰が、社会復帰に向けた「立ち直り」に軸足を移すことになる。

 薬物依存や性犯罪の受刑者には医学や心理学のプログラムが強化される。若者には教育や職業訓練を受けさせ、また、身体機能が低下した高齢者にはリハビリを重視するなどの処遇が想定される。

 背景には、刑務所の入所者に占める再犯者の比率の高さがある。2023年に刑務所に入った1万4000人のうち、入所が2回目以上という人は5割を超え、5回目以上が2割に達している。

 出所しても住居や仕事が見つからず、生活に困って罪を犯し、刑務所に戻ってくる人が目立つ。刑務所にいる間から、社会復帰に備えて対人スキルを身につけさせ、出所後の受け入れ先を探しておくなどの支援が不可欠だ。

 懸念されるのは、刑務所職員の負担の重さだ。どの受刑者に、どういったサポートが必要か、職員が見極めるのは容易ではない。

 各刑務所は、職員の増員や適正配置に加え、福祉サービスに精通した社会福祉士や自治体と連携することが重要になる。

 一方、刑務所が受刑者の立ち直りを重んじるあまり、受刑者が自分の犯した罪の重さに向き合わなくなるようでは本末転倒だ。

 国は、刑務所職員らが受刑者と個別に面会し、自分の起こした犯罪や被害者らの気持ちについて、どのように感じているか対話する取り組みをすでに始めている。

 刑務所や少年院の職員が、被害者や遺族の心情を聞き取り、受刑者たちに伝える「心情等伝達制度」も23年12月に始まった。遺族らの申し込みを受け、これまで110件余りの伝達が行われた。

 自分が起こした事件で心身を傷つけられた被害者の言葉は、重く響くはずだ。職員は、被害者や遺族の心情を丁寧に聞き取り、受刑者の内省を深めさせてほしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【こちら特報部・01.23】:クルド人ヘイトに使われる20年前の「出稼ぎ報告書」が犯したタブー 「重大な人権侵害」と法務省は批判を浴びた

2025-01-26 07:02:30 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【こちら特報部・01.26】:クルド人ヘイトに使われる20年前の「出稼ぎ報告書」が犯したタブー 「重大な人権侵害」と法務省は批判を浴びた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【こちら特報部・01.26】:クルド人ヘイトに使われる20年前の「出稼ぎ報告書」が犯したタブー 「重大な人権侵害」と法務省は批判を浴びた

 埼玉県川口市などに暮らすクルド人へのヘイトスピーチが問題となる中、法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)の2004年の報告書が、交流サイト(SNS)などで排斥の新たな材料にされている。報告書は、クルド人の来日目的が出稼ぎであることなどを確認するため、職員がトルコのクルド人の集住地域を現地調査してまとめた。ところが、調査手法に問題があり、当初から内容の信ぴょう性も含め批判されてきた、いわくつきの報告書だった。(池尾伸一、森本智之、飯田克志)

◆「入管が『出稼ぎ』と断定する報告書」

法務省が2004年に作成したトルコ出張調査報告書

法務省が2004年に作成したトルコ出張調査報告書

 「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」で、添付資料を含めて約200ページある。昨年11月、産経新聞が「入管が『出稼ぎ』と断定する報告書をまとめていたことが分かった」と報じ、SNSでは「偽装難民」「さっさと強制送還を」などの書き込みが相次いだ。「国会で追及する」と表明する国会議員まで現れた。
 報告書によると、当時は、東京と名古屋の地裁で、トルコ国籍のクルド人を難民と認める判決が続き、訴訟対策のためにまとめられた。世界各国で難民認定されたトルコ国籍者は2022年までの10年で約7万4000人に上り、多くのクルド人も含まれているとみられる。一方、日本では裁判で国が負けて2022年に認定した1人を除き、一貫してクルド人を難民と認めていない。

 ◆迫害から逃げる人の個人情報を迫害側に

ジャンダルマの男性(中央)や入管職員らと撮影された写真(報告書から)

ジャンダルマの男性(中央)や入管職員らと撮影された写真(報告書から)

 2004年6〜7月、職員2人が来日クルド人の主な出身地である南部のガジアンテプ県などの村落を訪ねた。問題はその手法だ。
 2人は「ジャンダルマ」と呼ばれる憲兵や警察官など現地の治安当局の協力の下、一緒に難民申請者の実家などを訪ねた。当局には一部の申請者の名前なども照会。迫害から逃げている人の個人情報を迫害する側に伝えたことになる。
 こうした情報提供は本人や家族への迫害の恐れを高めるとして国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も原則禁じる。全国難民弁護団連絡会議代表の渡辺彰悟弁護士は「これが横行したら、怖くて誰も難民申請できない。入管は難民認定機関としてあるまじきことをした」と批判する。

◆「来日の理由は、私たちが土地や家や田畑から追い出されたことにあります」

 内容にも疑念がある。報告書は、来日理由を問われた複数の人の「お金を稼ぐ」との証言を記載。「出稼ぎ」を印象付けるような書きぶりだが、渡辺氏は「迫害している側を前に『あなたの息子は何のために日本に行ったのか』と問われ、正直に答えられるわけがない」とあきれる。
 実際、報告書で「金を稼ぐ。他に何がある」と述べた、ある村長は後に知人への手紙で「来日の理由は、私たちが土地や家や田畑から追い出されたことにあります」と記していたことがクルド人を支援する弁護団の調査で判明した。
 報告書では村人と治安当局者を並べて記念写真を撮り、「村人はいずれも笑顔で警察署長と握手しており緊張感はみじんも感じられなかった」と迫害がないことを強調するような記述も複数ある。これについても住人の一人が後日、弁護団に当日の状況を証言した。

◆演出や強要の疑いがある「笑顔」

法務省が2004年に作成したトルコ出張調査報告書

法務省が2004年に作成したトルコ出張調査報告書

 「ジャンダルマが笑うように指示した。私は笑わなかった。銃を持っている人と一緒に立って楽しい人はいない。子どもたちを撮るときは日本人が笑顔を見せるように言った」。友好ムードの裏には演出や強要の疑いがあるのだ。
 報告書は直後から批判にさらされた。UNHCR駐日地域事務所(当時)は2005年、「出身国当局とのいかなる情報の共有も控えなければならない」とする意見を公表。日本弁護士連合会も同年、「新たな迫害を生む恐れがあり、重大な人権侵害」と法相あての警告文を出した。

 ◆「このままだと大変なことになる」

 現実に報告書は難民申請者を危険にさらした。名前などを漏えいされたクルド人の男性(53)は直後からトルコの警察に呼び出され、「日本人から難民申請したと聞いた。なぜ申請したのか」と連日深夜に及ぶ取り調べを受けた。
現地調査により、トルコ警察から取り調べを受け、一家で逃げることを余儀なくされたクルド人の男性=埼玉県内で

現地調査により、トルコ警察から取り調べを受け、一家で逃げることを余儀なくされたクルド人の男性=埼玉県内で

 男性は日本で難民申請をした経験があった。トルコの警察から反政府組織との関係を疑われ、殴られたり、電気ショックを与えられたりするなど、激しい暴行を受け、日本に逃れたためだ。申請は認められず、2003年にやむなく帰国していた。
 男性によると、警察内部のクルド人の知人から...、
 
  ■有料記事です。残り 1411/3184 文字
 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・埼玉県川口市などに暮らすクルド人へのヘイトスピーチが問題となる】  2025年01月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【主張②・12.28】:最高検の検証 未来に資する深き反省を

2024-12-28 05:03:40 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【主張②・12.28】:最高検の検証 未来に資する深き反省を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.28】:最高検の検証 未来に資する深き反省を

 静岡県一家4人殺害事件で袴田巌さんの再審無罪が確定したことを受け、最高検と静岡県警が当時の捜査やその後の裁判に関する検証結果を公表した。

 最高検の報告書は冒頭で「無罪の結論を否定するものではない」「検察は袴田さんを犯人視していない」と記しながら、再審無罪判決への反論に終始した印象が強い。

最高検が入る建物=2017年、東京都千代田区

 静岡地裁判決が犯行着衣とした衣類などを捜査機関が捏造(ねつぞう)したと認定したことについて最高検は「明らかな事実誤認を前提とした認定」と批判した。

 捏造をうかがわせる、またはなかったことを明らかにする具体的な事実や証言も得られなかったとして判断を留保した静岡県警の検証より、明らかに踏み込む強い否定だった。

 最高検は、苛烈な取り調べについての県警の問題は多岐にわたると批判しながら、「検察官がこうした実態を十分に把握していたとは言えない」などと、自らを従的な立場に置いた。

 再審手続きの長期化についても、約27年を要した第1次請求審では審理の頻度が少なかったことなどを指摘し、裁判所側に一義的な責任があるとの認識を示唆した。

 大阪地検の証拠改竄(かいざん)事件の反省を受け、平成23年に定めた「検察の理念」はその基本姿勢について、こう示している。

 「有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない」

 「我々(われわれ)が目指すのは、事案の真相に見合った、国民の良識にかなう、相応の処分、相応の科刑の実現である」

 今回の最高検の検証結果は自らの面子(めんつ)に偏重した自己弁護としか読めず、「理念」にかなう検証姿勢ともいえない。

 今後の対応策についても、今年1月に最高検に設けた再審担当サポート室の体制強化や、高検にも同様の組織を設置するなどの課題を掲げたが、それはあくまで検察内部の問題だ。

 急ぐべきは、証拠開示のルールを明文化し、再審開始の適否を決める請求審と再審公判を統合するなど、再審への門扉を広げる法整備である。

 法曹界を挙げてこの問題に取り組まなくてはならない。法務検察は事件への重く深く真摯(しんし)な反省を胸に、法整備をリードすべきである。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・12.21】:【再審見直しへ】:迅速な救済の責務がある

2024-12-21 05:05:50 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説・12.21】:【再審見直しへ】:迅速な救済の責務がある

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.21】:【再審見直しへ】:迅速な救済の責務がある

 刑事司法制度の大きな転換点となる。冤罪(えんざい)被害者の早期救済へ制度を整える必要がある。
 刑事裁判をやり直す再審に関する刑事訴訟法の規定の見直しに向けた議論が本格化する見通しとなった。法務省は来春にも法制審議会に諮問し検討する方向で調整している。
 裁判のやり直しは確定判決の証拠に偽造が判明したり、無罪を言い渡すべき明らかな証拠が発見されたりした場合などに行われる。だが、再審無罪が確定した袴田巌さんが司法に翻弄(ほんろう)されたことなど、制度の問題点が顕在化した。
 刑訴法は再審手続きの規定が不明確だと問題視されるが、1948年に制定されて以降、再審に関する規定は見直されていない。日弁連などは法改正の必要性を訴えてきた。
 証拠開示のルールの明文化は重要な論点だ。再審開始決定に対する検察側の不服申し立てを制限するかどうかなど、審理の長期化を防ぐ方策も焦点となる。
 1966年の静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田さんが再審無罪を勝ち取るには、逮捕から58年を要した。80年の死刑確定の翌年に行った第1次再審請求は、最高裁の棄却まで27年かかった。
 第2次請求で静岡地裁が2014年に再審開始を決め、死刑執行を停止し釈放された。しかし、検察の即時抗告に高裁は再審を認めなかった。弁護側の特別抗告で最高裁が審理を差し戻し、23年に高裁で再審が決定するという経緯をたどっている。最初の再審開始決定から無罪確定まででも10年になる。
 第2次再審請求の審理では、裁判所は積極的に証拠開示を勧告した。みそタンクから見つかった犯行時の着衣とされた衣類のカラー写真や、取り調べの録音テープなどの証拠が開示された。血痕の赤みや取り調べ状況は論点となり、無罪へとつながる有力な材料となった。
 当初から開示されていれば、審理の流れは変わっていた可能性がある。だが、再審には証拠開示の手続きが定まっていない。審理の進行は裁判所に委ねられ、裁判官によって向き合い方が変わることになる。見直しを求める意見は根強い。
 審理の長期化を是正する必要性は繰り返し求められてきた。検察の抗告も長引く要因とされる。開始決定への異議申し立ては再審公判で行うようにして時間短縮につなげるべきだとの主張がある。
 1986年の福井市中3女子生徒殺害事件で懲役7年が確定し、服役した前川彰司さんも再審が開始される。13年前に1度は再審が決まったが、異議審で取り消されていた。捜査報告書など新たな証拠の開示が大きかった。
 検察には再審制度の見直しに慎重な姿勢があるようだ。三審制の下で確定した判決がたびたび覆るようでは刑事司法の安定性が損なわれると危惧する声があるという。だが、迅速な救済を放置することは許されない。司法改革を制度の安定と信頼へとつなげることが重要だ。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政界地獄耳・12.13】:上司からの性的暴行、女性検事の涙の訴え 法相はどう対応するのか

2024-12-20 07:40:10 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【政界地獄耳・12.13】:上司からの性的暴行、女性検事の涙の訴え 法相はどう対応するのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.13】:上司からの性的暴行、女性検事の涙の訴え 法相はどう対応するのか 

 ★大阪地方検察庁元検事正・北川健太郎被告が、部下だった女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている裁判は、元検事正が勝算があるとしたのか、初公判で「公訴事実を認め、争うことはしません。被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい」という姿勢から一転、10日、弁護人が会見で「同意があると思っていた」「抗拒(こうきょ)不能だったか疑わしい」と無罪を主張したのはマイナスに働くのではないか。今年多くの国民が朝ドラ「虎に翼」(NHK総合)で学んだ司法界の女性の壁はいまだ厚く、まして大阪検察庁トップの巻き起こした事件の説明としてもあまりにもお粗末だ。

北川健太郎被告

 ★11日、被害を訴える女性検事は会見で涙ながらに「元検事正自身が犯した準強制性交等の罪について、否認に転じ、無罪を主張していることを絶句し泣き崩れました」から始まり、「信頼していた女性副検事から裏切られ、検察職員らからセカンドレイプの被害まで受け、信頼していた検察組織から心無い対応をされ続け、検事総長らから疎まれることもなかった」と続く。「性犯罪事件においてどのように主張すれば逮捕や起訴を免れやすいか、無罪判決を得やすいかを熟知した検察のトップにいた元検事正が、世にまん延する『同意があったと思っていた』などという姑息(こそく)な主張をして無罪を争うことが私だけでなく、今まさに性犯罪被害で苦しんでいる方を、どれほどの恐怖や絶望に陥れ、被害申告することを恐れさせているか、そして、今後さらに多くの性犯罪者に『同意があったと思っていた』と主張させて、性犯罪の撲滅を阻害し、むしろ助長させることになる」。

 ★ほかにも耳を覆いたくなる話が続いた。また検察内部の隠蔽(いんぺい)工作や被告弁護士への情報漏えいまで、ありとあらゆる方向から攻め立てられていることを率直に話した。多くの国民はこの証言に怒りを覚えたと思うが、政治は何ができるのか。法相はどう対応するのか。裁判のゆくえだけでなく、司法や検察の在り方が問われているのではないか。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月13日  08:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【スクープ】:キラキラネームも受理へ 戸籍の読み仮名新制度、法務省が審査基準案

2024-12-17 05:15:50 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【スクープ】:キラキラネームも受理へ 戸籍の読み仮名新制度、法務省が審査基準案

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【スクープ】:キラキラネームも受理へ 戸籍の読み仮名新制度、法務省が審査基準案 

 2025年5月にスタートする戸籍の氏名に読み仮名を記す新制度を巡り、どういう読み方であれば認められるかについて、法務省が全国の自治体に示した審査基準案が関係者への取材で判明した。「社会を混乱させる」「社会通念上相当でない」という読み方でない限りは届け出を受理してよいとしている。漢字本来の読み方とは異なっていても、一定の関連性を説明できれば受理されるとみられ、いわゆる「キラキラネーム」も広く許容されそうだ。

法務省=本橋和夫撮影

 現行の戸籍には氏名の読み仮名が記載されていない。政府は行政手続きのデジタル化のため、2023年に戸籍法を改正し、読み仮名について、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」を戸籍に記載するとの規定を設けた。カタカナで表記される。

 新制度は25年5月26日から始まり、新生児や日本国籍の取得者が、各地の市区町村による審査の対象となる。

 ただ、市区町村側からは一般に認められる読み方について「早く基準を示してほしい」とする要望があり、法務省は16日に全国の市区町村向けに説明会を開き、審査基準案を示した。

 審査基準案によると、一般の読み方として認められないケースは、「社会を混乱させる」「社会通念上相当とはいえない」読み方だとし、具体的には、漢字と反対の意味になる▽漢字の意味や読み方との関連性をおよそ認めることができない▽子の利益に反する――場合が該当するとした。

 これらに当たらない読み仮名であれば、市区町村は届け出を受理してよいとしている。判断に迷った場合は、各地の法務局が市区町村の相談に乗るという。 

戸籍の読み仮名のイメージ

 一方、審査基準案は、一般の読み方として認められるケースにも言及しており、音読み、訓読みの一部を当てている=「心愛(ココア)」「桜良(サラ)」▽2字以上の漢字に訓読みを当てている=「飛鳥(アスカ)」「乙女(オトメ)」▽直接読まない「置き字」を含んでいる=「蒼空(ソラ)」「結夢(ユメ)」――の3項目を例示した。

 奇抜な読み仮名については、届け出人に読み方の理由や、漢字との関連性の説明を求めることも想定している。

 新制度が始まると、全国の市区町村は住民票に基づき、読み仮名を郵送で通知する。間違いがあっても届け出れば変更できる。既に戸籍がある人は、これまでその読み仮名を使ってきたことが分かる身分証を示せば原則認められる。

 通知の読み仮名で合っていれば、届け出をしなくても1年が過ぎると、そのまま戸籍に記載される。

 鈴木馨祐法相は13日の閣議後記者会見で「市区町村に情報共有をしっかり行って不安の解消に取り組み、新制度の円滑な実施に万全を尽くす」と述べた。【三上健太郎】

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・法務省・2025年5月にスタートする戸籍の氏名に読み仮名を記す新制度】  2024年12月17日  05:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・12.15】:週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは

2024-12-16 07:28:50 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説①・12.15】:週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.15】:週のはじめに考える 「ばい菌」の正体とは 

 街を「ばい菌」から守るパトロール-。死刑囚だった袴田巌さんの風変わりな散歩の日課です。事件から58年ぶりに再審無罪となったものの、既に88歳。長く死の恐怖と直面したゆえの拘禁症状が今も続いているのです。
 
 強盗殺人犯のぬれぎぬを着せられた人生はあまりに残酷です。幻覚や妄想、興奮、混迷が次々と現れる拘禁症状もまた残酷です。

 ◆拘禁症状は残虐な刑罰

 国家は袴田さんの人生ばかりか、精神をも破壊したに等しいといえます。拘禁症状の恐ろしさについては、医師で作家の加賀乙彦氏が名著「死刑囚の記録」(中公新書)で描いています。
 <死刑囚は、死について考えないようにすることも、気ばらしに身を投じることもできない。そこで死刑囚は、ノイローゼになることによって死を忘れるのである>
 加賀氏は1950年代に東京拘置所で精神科の医官として勤務し、死刑囚の精神状態をつぶさに記しました。
 <死刑の苦痛の最たるものは、刑執行前に独房のなかで感じるものなのである。彼らは拘禁ノイローゼになってやっと耐えるほどのひどい恐怖と精神の苦痛を強いられている。これが、残虐な刑罰でなくて何であろう>
 11月に「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が、政府や国会への提言をまとめました。
 学者や国会議員、経済団体代表、元検事総長、元警察庁長官、日弁連、犯罪被害者遺族らが委員を務める懇話会です。
 死刑制度について「現状のまま放置できない」とし、検討のため会議体を設けるよう求めました。結論が出るまでの間は死刑執行の停止も検討すべきだとも…。
 「これまでの死刑論議は存置派と廃止派が意見をぶつけ合うだけだった。今回はどれだけ理解し合えるか」と井田座長は記者会見で意義を語りました。
 世論調査では常に死刑制度を支持する結果が出ます。しかし、民意に存在する「迷い」がどれだけ反映されているのかは疑問です。
 神ならぬ人が行う裁判ゆえ、誤判の危うさは常に伴います。袴田さんのように確定死刑囚が再審で無罪になった例は、戦後計5件もあります。

 ◆感情論は歯止めなくす

 もし死刑執行されていたら…。取り返しがつきません。究極の人権侵害です。国家でさえ償えない制度でもあるのです。
 世界196カ国のうち死刑がないのは144カ国。7割超にのぼります。韓国でも死刑執行を停止し、米国も連邦レベルでは執行停止を宣言しています。
 人権意識は時代とともに進化します。あたかも復讐(ふくしゅう)劇のように死刑執行を続けるのは、普遍的な人権保障の原則と折り合うでしょうか。人は罪と向き合い反省し、更生できますが、命を奪えば贖罪(しょくざい)の機会をも奪います。
 死刑制度は犯罪抑止の効果を持つと信じられていますが、実は科学的な証明はありません。被害者感情や処罰感情が死刑制度の根拠となるという人もいます。でも本当にそうでしょうか。
 作家の平野啓一郎氏が「死刑について」(岩波書店)で興味深い視点を与えています。日本の「人権教育の失敗」なのだと-。
 相手の気持ちになって考えようと学校で教えられますが、これは感情教育です。
 <人権をこのように感情面だけで捉えてしまうことは危険です。なぜなら、共感できない相手に対しては、差別も暴力も、何の歯止めもなくなってしまうからです>
 平野氏はそう説きます。「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひどいことをした人間は殺してもよいという例外規定を設けているとも。
 <例外規定を設けているかぎり、何らかの事情があれば人を殺しても仕方がないという思想は社会からなくならないでしょう>

 ◆被害者にもっとケアを

 被害者感情は十分に理解しますが、刑罰とは切り分けて考えた方がいいかもしれません。被害者側へのケアや生活支援は政府がもっと力を注ぐべき事柄です。
 死刑制度をどうするか。この難問には懇話会が提言したように、まず会議を設けて話し合うのが近道だと考えます。同時に再審の法規定も見直し、何としても冤罪(えんざい)を防がねばなりません。
 それにしても袴田さんが街をパトロールして見張っている「ばい菌」の正体とは何でしょう。
 
 憎悪、偏見、差別、暴力…。社会に潜む悪徳かもしれません。「ばい菌」にさらされている人はいないか。そんな目で街を守る袴田さんを国家が死刑台に送ろうとしたことは大きな過ちなのです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月15日  07:40:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《質問なるほドリ・12.14》:死刑制度、見直されるの? 有識者ら問題点提示 国に存廃検討求める=回答・三上健太郎

2024-12-14 02:07:00 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

《質問なるほドリ・12.14》:死刑制度、見直されるの? 有識者ら問題点提示 国に存廃検討求める=回答・三上健太郎

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《質問なるほドリ・12.14》:死刑制度、見直されるの? 有識者ら問題点提示 国に存廃検討求める=回答・三上健太郎

 なるほドリ 1966年に静岡県(しずおかけん)で一家4人が殺害された事件で、死刑囚(しけいしゅう)の無罪が確定したんだって?

 

死刑制度に関する報告書を受け取る額賀福志郎衆院議長(右)=東京都千代田区で4日、三上健太郎撮影

死刑制度に関する報告書を受け取る額賀福志郎衆院議長(右)=東京都千代田区で4日、三上健太郎撮影

 記者 事件で一度は死刑とされた袴田巌さん(88)に対するやり直しの裁判(再審(さいしん))が開かれ、当初の判決は間違(まちが)っていたとして静岡地裁が9月に無罪を言(い)い渡(わた)しました。死刑囚が再審で無罪になるのはこれで戦後5例目です。死刑は個人の命を絶つ究極の刑罰(けいばつ)です。実行されれば取り返しがつかず、死刑制度のあり方が問われる事態になりました。

 ■この記事は有料記事です。残り1541文字(全文1907文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【質問なるほドリ】  2024年12月14日  02:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・12.11】:車の危険運転 社会常識に沿う法改正を

2024-12-12 06:05:40 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説・12.11】:車の危険運転 社会常識に沿う法改正を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.11】:車の危険運転 社会常識に沿う法改正を

 運転の悪質さに見合った処罰ができる仕組みに変え、悲惨な事故をなくしていかねばならない。

 猛スピードや飲酒運転などの自動車事故を想定した危険運転致死傷罪は、規定が曖昧で適用が狭められているとの批判が根強い。

 法務省の有識者検討会は適用要件の見直しを議論し、報告書をまとめた。数値基準の導入などを提言している。

 危険運転致死傷罪は2001年に刑法に新設され、14年施行の自動車運転処罰法に取り込まれた。1999年、東名高速道路で乗用車が飲酒運転のトラックに追突されて炎上し、女児2人が死亡した事故がきっかけとなった。

 車の死傷事故は不注意などが原因の「過失犯」と捉えてきた考え方を改め、危険で悪質な運転を「故意犯」と位置付けた。法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死傷罪に比べ、危険運転致死傷罪は20年と厳罰化した。

 ただ適用要件はあまりに抽象的だ。飲酒について「正常な運転が困難な状態」、速度について「進行の制御が困難な高速度」としている。

 捜査機関が立証するのは難しく、過失運転致死傷罪にとどまる事例が多い。いったん過失運転で起訴された後、遺族らの署名活動などにより危険運転に訴因変更される事例が相次いでいる状況は見過ごせない。

 大分市内で2021年に起きた事故も当初は過失運転と見なされた。一般道を時速194キロで運転し、右折車と衝突して男性を死亡させた男に対する判決で、大分地裁は法定速度の3倍超を「常軌を逸した高速度」と断じ、危険運転を適用した。

 公判で男はスピードを出す理由について「エンジン音やマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」などと述べた。遺族が「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」と憤るのは当然だ。

 報告書は数値基準を設けるよう明記した。速度については法定速度の「2倍や1・5倍」を例示した。飲酒については、個人差や心身の状況にかかわらず一律の設定が必要として、血中アルコール濃度などを候補とした。

 検討会では一律の基準に慎重な意見もあった。事故の責任の重さは事例によって異なる、との意見は理解できる。

 とはいえ多くの人が納得できる仕組みとなるには、分かりやすい一定の基準は不可欠だろう。基準に達していなくても運転技術の個人差、道路状況などによっては危険な運転となり得る。基準を設けつつ、柔軟に対応できるようにしておくことも必要だ。

 今後は法改正に向け、法制審議会で協議される。社会常識にかなう要件になるよう議論を深めてもらいたい。

 厳罰化だけでは悪質運転による事故は防げない。ドライバーの安全意識の向上など運転教育の充実も、同時に図らなければならない。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月11日  06:00:00  これは2自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【視点・12.11】:「死刑懇話会が提言」 割れる「存廃」国会で議論を 社会部・三宅千智

2024-12-11 06:00:00 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【視点・12.11】:「死刑懇話会が提言」 割れる「存廃」国会で議論を 社会部・三宅千智

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【視点・12.11】:「死刑懇話会が提言」 割れる「存廃」国会で議論を 社会部・三宅千智

 死刑制度のあり方を議論する民間の懇話会が11月13日、現制度と運用について「現状のままに存続させてはならない」とする報告書をまとめた。死刑の存廃や制度のあり方を検討する公的な会議体を国会や内閣に設けるよう、委員の総意として提言した。

 内閣府が5年前に行った世論調査では、「死刑もやむを得ない」は80.8%。私も問われれば「迷いもあるが、被害者や遺族の無念さを思えばやむを得ないのでは」と答えただろう。だが懇話会の取材を通じ、制度の維持と廃止の間で気持ちと考えが揺れた。
 
 「日本の死刑制度について考える懇話会」は、死刑廃止を求める日本弁護士連合会の呼びかけで2月に発足。委員には学者や警察・検察の元トップ、犯罪被害者遺族ら16人が参加した。
 
 制度の存廃については意見が分かれた。双方の考えを深く知りたいと思い、懇話会の座長で刑法が専門の井田良(まこと)中央大大学院教授と、委員の金高雅仁元警察庁長官に取材を申し込んだ。
 
 井田さんは、政治の力で死刑を廃止すべきだと訴える。「日本の裁判は誤った死刑判決が出てしまうおそれを払拭していない」と指摘し、「英国のように、死刑執行後に新たな証拠が出てくるなどして間違いが分かれば、制度は維持できなくなるだろうが、最悪のシナリオだ」と述べた。
 
 10月に再審無罪が確定した袴田巌(はかまたいわお)さん(88)が頭をよぎる。長期間死...、

 ■この記事は会員限定です。残り 582/1163 文字

 ■有料会員に登録する

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【視点】  2024年12月11日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【新刊紹介】:人間の証明 拘留226日と私の生存権 角川歴彦著

2024-12-09 00:03:10 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【新刊紹介】:人間の証明 拘留226日と私の生存権 角川歴彦著

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:人間の証明 拘留226日と私の生存権 角川歴彦著 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【主張①・12.05】:危険運転の要件 法と常識との乖離解消を

2024-12-08 05:03:10 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【主張①・12.05】:危険運転の要件 法と常識との乖離解消を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.05】:危険運転の要件 法と常識との乖離解消を 

 遺族の嘆き、疑問に強く同意する。

 大分市の一般道で令和3年、時速194キロで乗用車を運転して右折車と衝突、会社員を死亡させたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた被告の男に、大分地裁の裁判員裁判は同罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。

令和3年2月、大分市内の一般道で時速約194キロで走行していた乗用車に衝突され、大破した被害者の車。被害者遺族が署名活動を行い、厳罰を求めた(遺族提供)

 争点は、事故時の運転が危険運転の要件とされる「進行の制御が困難な高速度」に当たるかどうかだった。公判では、事故現場の路面状況が詳細に検討され、走行実験の結果やプロドライバーら複数の専門家の証言などから、「常軌を逸した高速度」と認定された。

 法曹界や識者の間には「進路逸脱などの事実がないなかで結論を導いた画期的判決」との声もあった。だが量刑への不満とともに、被害者遺族の感慨は全く違う。「194キロでの運転が危険なのは当たり前。それを、これだけ専門家に語ってもらわないと証明できないのか」

 これが国民常識というものだろう。法定速度60キロの一般道を200キロ近くで走行し、危険でないはずがない。実際に、悲惨な事故が起きている。

 そもそも大分地検は当初、過失致死罪で起訴した。危険運転罪の適用が難しいとの判断だったとみられ、遺族が署名を集めて提出した求めに応じる形で訴因は変更された。検察も含めた司法のありようは、国民常識と大きく乖(かい)離(り)している。

 法務省の有識者検討会は危険運転罪の要件について、高速度と飲酒の数値基準の設定などを盛り込む報告書をまとめた。速度は「最高速度の1・5倍や2倍」とする意見もあった。鈴木馨祐法相は「悪質な運転行為による死傷事案への対応は喫緊の課題だ」と述べた。法制審議会での議論を急いでほしい。

 危険運転罪は東名高速道路で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。

 いわば遺族と国民の怒りが生んだ法律である。怒りの対象は事故そのものと、法のあり方にも向けられた。その後も大事故を契機とする適用対象拡大などの法改正が続いている。それは法が国民の怒りに追いつかない過程ともいえた。常識にかなわぬ法は国民を苦しめるだけだ。法曹界は、この乖離を深刻なものと受け止めてほしい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②・12.06》:被疑者ノート 捜査側に見る権限はない

2024-12-06 09:31:40 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

《社説②・12.06》:被疑者ノート 捜査側に見る権限はない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.06》:被疑者ノート 捜査側に見る権限はない 

 逮捕、勾留された容疑者は、捜査当局に対して圧倒的に弱い立場に置かれる。黙秘を主張しても取り調べは続き、弁護人の立ち会いも認められない。

 不当な取り調べを防ぐために、弁護士が容疑者に渡すのが、日弁連が作った「被疑者ノート」だ。日々の取り調べの内容や状況を容疑者本人が記入し、弁護士が接見した際に確認する。

 北海道警がそのノートを容疑者の手元から一時的に持ち去ったことを札幌地裁が違法と認め、損害賠償を道に命じる判決を出した。当局の立ち会いなく弁護士と面会する接見交通権(秘密交通権)を侵害したと認定した。

 息子を監禁した疑いで2021年に逮捕された女性とその弁護士が起こした裁判だ。女性は嫌疑不十分で不起訴となっている。

 道側は、破損したノートを修繕するためだったと主張したが、判決はその必要を認めなかった。警察に内容を見られたと女性が危惧するのは当然だとして、黙秘権の侵害も認定している。

 接見交通権、黙秘権は、刑事司法手続きに関して手厚い人権保障の規定を置いた憲法に基づく、容疑者の重要な権利だ。捜査当局が一時的にせよノートを預かること自体、不当と言うほかない。

 被疑者ノートをめぐっては、過去にも、警察による権利侵害を認定した判決が出ている。横浜地裁は昨年、署員がノートを検査して、処遇に関する部分を黒塗りにさせたことを違法と断じた。

 20年には名古屋地裁が、英国籍の容疑者が書いたノートを警察署員が見て、英語の部分の黒塗りや破棄を指示したことを、接見交通権の侵害と認定している。捜査当局は、ノートの記述に干渉することはもとより、内容を確かめる権限がそもそもないことを認識しなければならない。

 逮捕、勾留された容疑者は、捜査側と一人で向き合わなければならない状況に置かれる。欧米各国と異なり、取り調べに弁護人の立ち会いは認められず、録音・録画による可視化が義務づけられた事件もごく限られている。

 それだけに、強引な取り調べによる自白の強要や冤罪(えんざい)を防ぐ上で、被疑者ノートは重要な意味を持つ。捜査当局が容疑者の人権を軽んじることは認められない。

 袴田巌さんが再審無罪になった事件で、重大な冤罪を生んだ捜査当局の姿勢が厳しく問われた。容疑者の権利侵害を認定した司法判断を、刑事司法のあり方にあらためて目を向ける機会にしたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月06日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説①・12.06】:死刑制度 存廃議論 今こそ深めたい

2024-12-06 04:03:50 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【社説①・12.06】:死刑制度 存廃議論 今こそ深めたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.06】:死刑制度 存廃議論 今こそ深めたい

 「日本の死刑制度について考える懇話会」が、死刑制度について「放置の許されない数多くの問題を伴っており、現状のまま存続させてはならない」とする報告書を国会に提出した。

 懇話会は死刑制度の廃止を訴える日本弁護士連合会の呼びかけで設置された。死刑存置派、廃止派を問わず幅広い参加を得て、共通の土俵で議論を交わす狙いがあった。学者や国会議員、警察庁長官や検事総長の経験者ら16人で構成される。
 報告書は、国会や内閣の下に死刑制度に関する検討を行う「公的な会議体」を早急に設置することも提言している。
 重大・凶悪事件の犯人に厳罰を求める被害者や遺族の感情は理解できる。だが死刑は人の命を奪う究極の刑罰だ。刑事司法も人が行う以上、冤罪(えんざい)や誤判の恐れはつきまとう。誤って執行されれば取り返しがつかない。
 58年前の事件で死刑囚とされ、先に再審無罪が確定した袴田巌さんのケースは、改めてその危険性を示している。
 今こそ死刑制度の存廃を巡る議論を本格的に始める時だろう。死刑制度はさまざまな問題点が指摘される。政府と国会はこの機に、存廃について国民的な議論を広く喚起すべきだ。

 ■執行停止も検討課題

 報告書は会議体で検討すべき課題を論点ごとに列挙した。
 凶悪犯罪に遭った被害者や遺族の処罰感情について、「それを理解せず死刑を論じても、国民各層に納得してもらえる議論にはならない」とした。
 その上で、これまでの死刑を巡る議論がともすれば犯人側に立つか被害者側に立つのかの問題として論じられがちだったことから、「二項対立の状況からの脱却」を求めた。
 死刑存置論の根底には「他人の生命を奪った以上、自らの命を奪われても仕方ない」との応報思想があると言われる。
 報告書は、その考え方は現代では支持されていないとして「刑罰は犯罪予防と社会秩序の維持に役立つことによって正当化される」と強調する。
 死刑がなければ凶悪犯罪が増えると考える国民も多いとされる。代替刑として、仮釈放の可能性のない終身刑やその要件が厳しい重無期刑の導入の是非も検討課題だと言及した。
 新たな視点を取り入れ、幅広く目配りした報告書と言える。
 報告書も主張しているように、結論が出るまでの間、政府と国会は、議論を行う前提として死刑執行を停止することを真剣に考えるべきだろう。

 ■誤判の恐れが拭えぬ

 1980年代に再審無罪となった免田、財田川、松山、島田の各事件も死刑執行の恐れはあった。死刑執行後に有罪かどうかが争われている事件もある。
 取り調べの全面可視化や弁護士の立ち会いは実現していない。容疑者や被告は、捜査当局に対して圧倒的に弱い立場に置かれたままだ。
 開始のハードルが高い再審は証拠開示の仕組みがないなど不備が指摘されているが、政府は見直しに動こうとしない。
 死刑の判断に関しては犯行動機などを総合考慮し、やむを得ない場合に死刑の選択が許されるとする「永山基準」がある。
 しかし裁判員裁判での死刑判決が控訴審で破棄、減刑されるなど判断が揺れることもある。
 死刑は、生命を絶つ点で他の刑罰と決定的に異なる。
 誤判は絶対にあってはならない。だがその恐れが拭えないのが現実だ。そうした中で、重大な選択が裁判官らの全員一致ではなく、多数決に委ねられてよいのかという指摘もある。多角的な検証が求められよう。

 ■情報公開が不可欠だ

 林芳正官房長官は「死刑制度の廃止は適当ではない」と述べた。背景には、内閣府の5年ごとの世論調査で死刑容認が毎回80%を超えていることがある。
 しかし調査の選択肢が「どんな場合でも死刑は廃止すべきだ」「場合によっては死刑もやむを得ない」と非対称になっており、「やむを得ない」を選びやすいとの批判は根強い。
 日本の死刑は絞首で行われる。その実態がほとんど明らかではない中で国民に是非の判断を聞くのは無理な話だろう。政府は情報公開を進めるべきだ。
 その上で、憲法が「絶対に禁ずる」とする「残虐な刑罰」に死刑が当たらないのかを改めて検証する必要もある。
 最高裁は残虐刑には当たらないと判示するが、残虐の考え方は時代で変わり得るだろう。
 世界は死刑廃止の潮流にある。7割超の国が法律上または事実上死刑を廃止し、経済協力開発機構(OECD)加盟国で残すのは米国、韓国、日本だけだ。韓国は執行停止状態で米国は過半の州が廃止か停止した。
 国連総会は日本や中国、北朝鮮などの存置国に執行停止を求める決議を再三採択している。
 基本的人権の尊重をうたう憲法を持つ民主主義国としての姿勢が国際的に問われている。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月06日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする