路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説②】:富士登山の規制 安全に名峰を楽しめるよう

2024-05-05 05:01:20 | 【観光資源の活用と環境整備・オーバーツーリズム(観光公害)・インバウンド

【社説②】:富士登山の規制 安全に名峰を楽しめるよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:富士登山の規制 安全に名峰を楽しめるよう

 富士山の荘厳な姿は、古くから人々を引きつけてきた。多くの人が一度は山頂に立ちたいと願っている。安全で快適な登山ができるよう、十分な対策が必要だ。 

 山梨県は富士山の開山日にあたる7月1日から、山梨県側の登山道の利用者を1日4000人に制限することを決めた。混雑の緩和が目的で、1人2000円の「通行料」も徴収するという。

世界遺産 富士山―信仰の対象と芸術の源泉
日本
富士山

 5合目の登山道入り口付近にゲートを設置し、上限に達したら通行を禁止する。通行料は、ゲートの維持・管理や登山客の安全対策に充てるという。

 富士山の昨夏の登山者数は約22万人で、コロナ禍前の水準に戻った。登山道が混雑し、無理な追い越しなどのマナー違反もある。

 山の魅力を維持し、事故の危険性を減らすには、一定の規制もやむを得ない。通行料は、安全で快適な登山の確保に必要なコストだと考えるべきだろう。

 山小屋に泊まらず、夜通し山頂を目指す「弾丸登山」が問題視されている。低体温症や高山病のリスクが高いからだ。そのため、ゲートは午後4時から翌日午前3時まで閉鎖するという。危険な登山の抑止にもつながるはずだ。

 山梨県側の登山道は、利用者が最も多く、全体の約6割を占めている。現場が混乱しないよう、規制の周知徹底を図る必要がある。近年急増している外国人向けの広報にも力を入れるべきだ。

 一方、静岡県側の三つのルートでは、登山者数は制限せず、通行料も徴収しない。代わりに、登山日程をスマートフォンなどから事前登録してもらい、登山者数を把握して、弾丸登山を防ぐシステムを実験的に導入する。

 登山道につながる道が複数あり、登山者全員から料金を集めるのが難しいためだという。ただ、今後は通行料の支払いを避けようと、静岡県側のルートに登山者が集中する可能性もある。

 当面は、導入する事前登録システムのデータを分析し、混雑状況を把握することが重要だ。場合によっては、規制の導入も検討しなければならないだろう。

 登山者一人ひとりの意識も大切だ。待望の登山を果たしても、体調不良やトラブルに見舞われては元も子もない。万全の準備と無理のない計画を心がけたい。

 多くの観光客が集中する「オーバーツーリズム」(観光公害)は、各地で問題になっている。観光地の環境をどう守っていくか。社会全体で考えねばならない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:②訪日外国人減少 安心できる旅行の環境作ろう

2018-11-05 06:05:20 | 【観光資源の活用と環境整備・オーバーツーリズム(観光公害)・インバウンド

【社説】:②訪日外国人減少 安心できる旅行の環境作ろう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:②訪日外国人減少 安心できる旅行の環境作ろう

 台風や地震など自然災害の多い日本へ、外国人旅行者に安心して来てもらう。そのために、官民で知恵を絞りたい。

 9月に日本を訪れた外国人旅行者が、5年8か月ぶりにマイナスとなった。

 関西空港を一時閉鎖に追い込んだ台風21号や、最大震度7を記録した北海道地震などが響いた。

 大切なのは、訪日客の減少を長引かせないことだ。災害発生時の外国人に対する支援充実や、風評被害の払拭(ふっしょく)など、きめ細かい対策が求められる。

 政府は2020年に訪日客を4000万人にする目標を掲げる。18年は初めて3000万人を突破するかどうかが注目されており、災害による低迷は痛手である。

 客足を戻すには、災害時の教訓を生かすことが欠かせない。

 台風21号など一連の災害では、被災状況さえ把握できず、身動きが取れない訪日客が目立った。

 北海道地震で困ったことを訪日客に尋ねたところ、大規模停電でスマートフォンを充電できなかったことが上位を占めた。被災時に希望する対応は、スマホの充電ポイントの提供がトップだった。

 スマホは今や、情報通信に決済機能を兼ね備えたライフラインである。観光庁は全国の主な観光案内所に、非常用電源の設置費を補助することを決めた。生活の利便性を維持するため、民間事業者も対応を強化してもらいたい。

 母国語のマニュアルを配布してほしいとの要望も多かった。

 大阪北部地震の後、大阪府は英語と中国語の災害対応パンフレットを作り、空港や主要な駅に置いている。こうした取り組みを全国に広げることが重要だ。

 人気の観光地を抱える自治体が地域防災計画を策定する際には、訪日客の存在も考慮すべきだ。公共交通機関や宿泊施設に対し、災害を想定した多言語表示や従業員教育を促す必要がある。

 北海道地震では、札幌市の避難所に大勢の外国人が押し寄せ、増設した避難所も次々と満杯になった。全国の観光地にとって、他山の石となるのではないか。

 災害時に母国の領事館に駆け込む人も多かったが、情報不足で十分な手助けを受けられない例が相次いだ。政府や自治体が、大使館や領事館と避難態勢について情報交換しておくことが大切だ。

 風評被害も払拭したい。今も北海道旅行に二の足を踏む外国人は少なくない。平穏な日常を取り戻した姿を、SNSなどで世界に発信する取り組みも有効だろう。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年11月05日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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