路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説】:②巨大加速器計画 物理学の進歩に貢献できるか

2018-11-28 06:05:50 | 【日本の学術(理学・工学・基礎科学・生命科学・人文・社会科学・教養・教養教...

【社説】:②巨大加速器計画 物理学の進歩に貢献できるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:②巨大加速器計画 物理学の進歩に貢献できるか 

 次世代の加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の建設候補地として、東北地方の北上山地が浮上している。 

 宇宙や物質の根源に迫る研究施設である。素粒子物理学で多くの業績を生んできた日本として、誘致を前向きに検討すべきではないか。

 日米欧の研究者が計画するILCは、宇宙創成直後の高エネルギー状態を再現するための施設だ。全長20キロ・メートルのトンネルを掘り、電子とプラスの電気を持つ陽電子を光速に近い速度で衝突させる。その反応を精密に測定する。

 今の物理理論を超えるノーベル賞級の発見もあり得るだろう。

 岩手、宮城両県にまたがる北上山地が適地とされるのは、地層・地盤が安定しているためだ。

 建設に伴う研究都市の形成や、関連製造業の受注増といった効果が見込まれるという。震災からの復興にも資するとして、地元自治体や自民党は誘致に熱を上げる。期待が高まるのは無理もない。

 研究者の集まりである日本学術会議も、文部科学省から要請された計画評価への回答案で、ILCでの実験の意義は認めている。

 問題は、巨額の費用だ。

 文科省の試算では、建設費は約10年間で約8000億円に上る。実験完了まで約20年の稼働が予定されており、毎年約400億円の運営費を要する。

 北上山地に建設する場合、日本は誘致国として、半額程度を負担する必要があるとされる。

 学術会議は、先にまとめた回答案で「国際費用分担の見通しが得られていない」と指摘した。大規模工事による環境破壊への配慮なども求めている。他分野の研究予算へのしわ寄せを懸念する声もあり、政府の判断は遅れている。

 誘致を前進させるためには、施設建設の意義や費用対効果を説明し、理解を広める必要がある。

 ILCは、欧州合同原子核研究機関(CERN)にある世界最大の加速器を補完する施設だ。

 CERNでは2012年に、万物に質量を与えるヒッグス粒子の存在が確認された。次の課題の一つが、ILCによるヒッグス粒子の詳細な分析である。

 CERNは、次期計画の策定に着手した。そこにILCを盛り込めるかどうかは、日本の出方にかかっている。素粒子研究に力を入れる日本が誘致を見送れば、機運は一気に萎しぼむだろう。

 様々な課題を確実にクリアすることを前提条件に、誘致の意思を明確にすべき段階に来ている。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2018年11月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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1 コメント

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マルテンサイト変態千年グローバル (鉄の道サムライリスペクト)
2024-10-19 01:54:21
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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