【新刊紹介】:わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇 著:泉房穂
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇 著:泉房穂
2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基。当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。その姿勢は、秘書だった泉房穂に大きな影響を与えた。石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。本書第I部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第II部は長女ターニャ、同志の弁護士紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する安冨歩と泉の対談を収録。石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる!
◆石井から泉に受け継がれた、不条理な官僚国家日本への義憤
泉房穂は10歳にして将来は明石市長になると心に決めた。猪突猛進な性格は少年時代から変わらない。だが実際は弁護士になり、国会議員になり、紆余曲折を経た。彼の人生に寄り道をさせたのが、石井紘基との出会いだった。
不正を許さず、弱者に寄り添う。石井には二つの正義があった。それを阻む最大の障壁が「官僚社会主義国家・日本」だった。それは石井が若くして留学したソ連とまるで同じシステムだった。石井は闇を照らして突き崩すことが国会議員である自らの天命と思い定めた。その石井が自宅前で刺殺され、真相が闇に葬られたという不条理への義憤が、政治家・泉の根底にある。
やさしい社会をつくるための政治闘争。泉が市長退任の翌日に上梓した私との共著『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(講談社刊)は、市議会、市役所、業界の「政官業の癒着」に挑んだ奮闘記だ。その姿は石井と重なり合う。
石井の「国会Gメン」の仲間が原口一博、上田清司、河村たかしだった。原口は今、立憲民主党の非主流派に身を置き、上田と河村は立憲と一線を画す。石井が斃(たお)れた後、民主党政権で「官僚社会主義国家・日本」に君臨する財務省と手を握り消費増税を進めた野田佳彦、岡田克也、安住淳が今の立憲を牛耳っている。自民党は裏金事件で壊滅的打撃を受けたのに、石井の天命を受け継ぐ政治家は「野党の隅」に追いやられている。それゆえに泉の国政復帰への期待は根強い。
泉は政権交代への筋書きを書くシナリオライターになると公言している。彼が掲げる「救民内閣」構想は、実現までに5回の選挙に勝ち続ける必要があるという。
国民はそんなに悠長に待てない。「救民内閣」の実現まで5連勝する前に「官僚社会主義国家・日本」は逆襲を浴びせてくるだろう。石井の命を奪ったように……。
石井が不慮の死を遂げたのは61歳のときだった。泉はこの夏、61 歳を迎えた。泉の小さな体の中で石井は生き続けている。天命を受け継ぐのは泉しかない。時代は風雲急を告げている。石井も泉の奮起に期待しているに違いない。
はじめに 石井紘基が突きつける現在形の大問題
出版に寄せて 石井ナターシャ
第I部 官僚社会主義国家・日本の闇
第一章 国の中枢に迫る「終わりなき問い」
第二章 日本社会を根本から変えるには
第II部 “今”を生きる「石井紘基」
第三章 〈石井ターニャ×泉房穂 対談〉事件の背景はなんだったのか?
第四章 〈紀藤正樹×泉房穂 対談〉司法が抱える根深い問題
第五章 〈安冨歩×泉房穂 対談〉「非凡な財政学者」としての石井紘基
おわりに 石井紘基は今も生きている
石井紘基 関連略年表
◆著者略歴◆
泉 房穂 (いずみ ふさほ)弁護士、社会福祉士、前明石市長、元衆議院議員。
1963年、兵庫県明石市二見町生まれ。東京大学教育学部卒業後、テレビ局のディレクター、石井紘基氏の秘書を経て弁護士となり、2003年に衆議院議員に。
その後、社会福祉士の資格も取り、2011年5月から明石市長を3期12年つとめた。
著書に『日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来』(集英社新書)、『社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ』(ライツ社)、『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(聞き手=鮫島浩、講談社)他多数。
出版社 : 集英社 (2024/9/17)
発売日 : 2024/9/17
価格1,045円(税込)