★5日の衆院予算委員会で、防衛大学出身で国民民主党の1年生議員、元航空自衛官(3等空尉)・橋本幹彦が質問に立ち、矛先を予算委理事会と同委員長・安住淳(立憲民主党)に向けた。制服組と呼ばれる現役自衛官を国会答弁に呼ぶよう求めたが「戦後1度も答弁に立った例はない」として、同委理事会が認めなかった。橋本は「委員部(衆院の防衛担当)が安住委員長にどのように耳打ちしたかわからないが、制服組が国会に立つことを阻む根拠、法的制約はない」「慣行が議論の土台をゆがめてきた」などと、議会があしき慣例に縛られていると指摘した。

 ★この発言に安住は審議を止めて理事を集め協議。そして委員会に先立つ理事会で「国民民主も合意した上で決まったこと」とし、「制服組の答弁は長い慣例だけでなく、先の大戦のことも踏まえて、文民統制の観点からやってきたわけで、偏った考えで判断していない。今後もこの判断を続ける」「行き過ぎた批判、誹謗(ひぼう)中傷は看過できない。戦後長いルールの中で重く積み上げてきたもので、防衛省の組織として責任を持ってここで答弁していることを、否定するようなことは許されない」と一喝した。

 ★立憲内からは「衆院安全保障委員長、防衛副大臣の経験が生かされた。よくぞ言った」と称賛を浴びたものの「安住劇場か」と冷ややかな声もある。政界関係者は「自民党安倍派や日本維新の会が言いそうなことだが国民民主が言い出したのは意外」とし、1年前のことを振り返る。24年3月6日の参院予算委員会では自衛官による靖国神社への集団参拝について、防衛省人事教育局長・三貝哲(当時)は「自衛官が制服を着用して私的に参拝することに問題はなく、事務次官通達に違反しない。自衛官は自衛隊法などにより常時、制服を着用しなければならない」と答弁した。「橋本はこれを言いたかったのではないか。だがそれは文民統制ではなく自衛官の理屈だ。将来は防衛相に統合幕僚長を推す議員が出かねない。安住は『文民統制の観点』としたが、これこそ『国政の立脚点』というべきだったろう」。(K)※敬称略