路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【女優・吉永小百合さん】:「本土が知らんぷりすべきではない」、

2024-12-22 00:02:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【女優・吉永小百合さん】:「本土が知らんぷりすべきではない」、沖縄への思い語る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【女優・吉永小百合さん】:「本土が知らんぷりすべきではない」、沖縄への思い語る

  来年1月5日に宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで朗読コンサートを開く俳優の吉永小百合さんが28日までに、東京都内で沖縄タイムスと琉球新報の共同インタビューに応じた。沖縄に集中する米軍基地の在り方について「本土が知らんぷりすべきではない。沖縄の痛みを引き受けなければいけない」と訴えた。俳優として第一線で活動しつつ、全国各地で長年続けている詩の朗読などを通して反戦・反核や反原発を発言していることに関し「人にどう思われようと、自分の思ったことを伝えることが大事だ」と胸の内を語った。(27面に特集)  

 沖縄タイムス、琉球新報の共同インタビューの前に写真撮影に応じる吉永小百合さん=17日、都内のホテル(小笠原大介通信員撮影)

 2年前に来県し、普天間飛行場や名護市辺野古の埋め立て海域などを見て回ったという吉永さんは「辺野古のような美しい海がどんどん無残な形にされていくのは悲しい。なんとかできないものかという思いが募った」と振り返った。

 県民投票や各種選挙で「辺野古反対」の民意が示されても基地建設が強行される現状に「なぜ沖縄に70%の基地がなければいけないのか。日本人として、不公平な状況をどう考えるのか、みんなで話し合わなければいけない」と指摘。「もし、どうしても基地がなければいけないのなら他県が引き受け、それが嫌なら沖縄にもつらい思いをさせてはいけない」と語った。

 6月23日の慰霊の日に行われる沖縄全戦没者追悼式で朗読される「平和の詩」について「毎年感動する。子どもたちがしっかり未来を見つめて詩を書き、発表しているのはとても素晴らしい」と話した。

 反原発を訴え続けていることの理由を聞かれ「やはり怖いから」とし、2011年の東日本大震災に伴う福島第1原発事故が起きた中で「原発は持つべきではない」と強調。核兵器禁止条約への日本の参加も求めた。

 10月末の首里城火災は「当日朝のニュースで知り、とにかく驚いた。焼けて崩れ落ちる様子はつらかった」と述べつつ、「沖縄の方たちが何としても再建するという思いを持っている。私もできる限りサポートしたいし、早い再建を願っている」と語った。

 元稿:沖縄タイムス+プラス 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・沖縄県・米軍普天間基地の辺野古移設問題】 2019年12月29日  17:26:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・07.08】:なぜこうまで米軍にひれ伏すのか

2024-12-22 00:00:00 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・07.08】:なぜこうまで米軍にひれ伏すのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・07.08】:なぜこうまで米軍にひれ伏すのか 

 いま東京、大阪のミニシアターで「骨を掘る男」という変わったタイトルの映画が上映されている。6月23日の慰霊の日を前に、私はその男、具志堅隆松さん(70)を沖縄に訪ねた。ポスター画像

(C)Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

 自らを「ガマフヤー」と呼ぶ具志堅さんは、かつての戦争で県民や兵隊20万人が亡くなった沖縄で、いまも壕(ガマ)に眠る遺骨を掘り(フヤー)続けている。案内していただいた南部の平和創造の森近くの壕をはじめ、これまで400体の遺骨を掘り出したという。

 「NO WAR」と書かれた帽子につけたランプの明かりが頼りの手作業。遺骨の近くに散らばるキセルとカンザシ、乳歯は、祖父と嫁、孫を想像させる。あごの骨が砕けた遺骨は小銃で自害した兵士のものか。

 だが、その具志堅さんが怒りで震えてくるようなことがいま起きつつある。

 海底が軟弱地盤で底なし沼のような辺野古新基地の埋め立てに、国などは沖縄南部の土を使う計画だという。沖縄県民が最後に追い詰められた南部は、いまも3000体の遺骨が眠っているといわれている。戦争に散った遺骨を、また戦争のための基地に運ぶのか。具志堅さんたちの怒りは治まらない。

 そんななか、またしてもこの1年で計5件の少女を含めた沖縄の女性に対する米兵の性犯罪が明らかになった。だが驚くことに政府と外務省は事件を知っていながら、沖縄県(県民)には県議選と沖縄慰霊の日がすむまでひた隠しにしていた。県民の反米軍感情の高まりを恐れたに決まっている。

 女性の生涯消えない傷に思いを寄せることもなく、なぜこうまで米軍にひれ伏すのか。いざというときに「私たちの国は二度と戦争をしない」と言えるのか。慰霊式での高校生の詩が浮かぶ。

 大切な人は突然 誰かが始めた争いで 夏の初めにいなくなった 泣く我が子を殺すしかなかった 一家で死ぬしかなかった- 

 また誰かが争いを始めようとしていないか。しっかりと目を見開いておきたい。

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 ■「骨を掘る男」の作品トップへ

 沖縄戦の戦没者の遺骨を40年以上にわたって収集し続けてきた具志堅隆松さんを追ったドキュメンタリー。

 沖縄本島には激戦地だった南部を中心に、住民の人々や旧日本軍兵士、さらには米軍兵士、朝鮮半島や台湾出身者たちの遺骨が、現在も3000柱近く眠っていると言われる。28歳から遺骨収集を続け、これまでに約400柱を探し出したという70歳の具志堅さんは、砕けて散乱した小さな骨や茶碗のひとかけら、手榴弾の破片、火炎放射の跡など、拾い集めた断片をもとに、その遺骨が兵士のものか民間人のものか、そしてどのような最期を遂げたのかを推察し、思いを馳せ、弔う。
 
 自身も沖縄戦で大叔母を亡くした映画作家・奥間勝也監督が具志堅さんの遺骨収集に同行して大叔母の生きた痕跡を追い、沖縄戦のアーカイブ映像を交えながら、沖縄の歴史と現在を映し出す。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年07月08日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米安保】:知らなきゃよかった…日本の空は「実はアメリカのもの」だった

2024-12-21 23:54:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米安保】:知らなきゃよかった…日本の空は「実はアメリカのもの」だった ■エリート官僚も見て見ぬふりの真実

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米安保】:知らなきゃよかった…日本の空は「実はアメリカのもの」だった ■エリート官僚も見て見ぬふりの真実 

 みなさんは、東京都の西部――たとえば世田谷区や中野区、杉並区、練馬区、武蔵野市などの上空が、「日本のものではない」ということをご存じですか?  「なにをバカなことを……」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。 しかし、これらは複数の公文書によって裏付けられた、疑いようのない事実なのです。

 北朝鮮ミサイルの脅威が迫るいまこそ、考えておきたい「日本の空」の真実とは?『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏による論考。

 ◆とんでもない歪みの正体

 おかしい。不思議だ。どう考えても普通の国ではない。みなさんは、ご自分が暮らす「戦後日本」という国について、そう思ったことはないでしょうか。

 おそらくどんな人でも、一度はそう思ったことがあるはずです。アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済大国であり、治安のよさや文化水準の高さなど、誇るべき点もたしかに多い私たちの国、日本。しかしその根っこには、どう隠そうとしても隠しきれない、とんでもない歪みが存在しています。

 たとえば私が本を書くたびに触れている「横田空域」の問題です。下の図1のように、じつは日本の首都圏の上空は米軍に支配されていて、日本の航空機は米軍の許可がないとそこを飛ぶことができません。いちいち許可をとるわけにはいかないので、JALやANAの定期便はこの巨大な山脈のような空域を避けて、非常に不自然なルートを飛ぶことを強いられているのです。

        図1 首都圏の上空に広がる「横田空域」

 図を見るとわかるように、とくに空域の南側は羽田空港や成田空港に着陸する航空機が密集し、非常に危険な状態になっています。また緊急時、たとえば前方に落雷や雹の危険がある積乱雲があって、そこを避けて飛びたいときでも、管制官から、「横田空域には入らず、そのまま飛べ」と指示されてしまう。

 6年前に、はじめてこの問題を本で紹介したときは、信じてくれない人も多かったのですが、その後、新聞やテレビでも取り上げられるようになり、「横田空域」について知る人の数もかなり増えてきました。それでもくどいようですが、私は今回もまた、この問題から話を始めることにします。

 なぜならそれは、数十万人程度の人たちが知っていればそれでいい、という問題ではない。少なくとも数千万単位の日本人が、常識として知っていなければならないことだと思うからです。

 ◆エリート官僚もよくわかっていない「横田空域」

 もちろんこの「横田空域」のような奇怪なものが存在するのは、世界を見まわしてみても日本だけです。では、どうして日本だけがそんなことになっているのでしょう。

 私が7年前にこの事実を知ったときに驚いたのは、日本のエリート官僚と呼ばれる人たちがこの問題について、ほとんど何も知識を持っていないということでした。

 まず、多くの官僚たちが「横田空域」の存在そのものを知らない。ごくまれに知っている人がいても、なぜそんなものが首都圏上空に存在するかについては、もちろんまったくわかっていない。これほど巨大な存在について、国家の中枢にいる人たちが何も知らないのです。日本を普通の独立国と呼ぶことは、とてもできないでしょう。

 「いったい、いつからこんなものがあるのか」「いったい、なぜ、こんなものがあるのか」

 その答えを本当の意味で知るためには、今回上梓した『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』を最後まで読んでいただく必要があります。じつは私自身、上のふたつの疑問について、歴史的背景も含めて完全に理解できたのは、わずか1年前のことなのです。

 ◆世田谷区、中野区、杉並区の上空も「横田空域」

 まず、たしかな事実からご紹介しましょう。横田空域は、東京都の西部(福生市ほか)にある米軍・横田基地が管理する空域です。

 もう一度、図1を見てください。大きいですね。いちばん高いところで7000メートル、まさにヒマラヤ山脈のような巨大な米軍専用空域が、日本の空を東西まっぷたつに分断しているのです。

 ここで「米軍基地は沖縄だけの問題でしょう?」と思っている首都圏のみなさんに、少し当事者意識をもっていただくため、横田空域の詳しい境界線を載せておきます(図2)。

         図2 東京都心部(23 区内)の「横田空域」の境界線

 東京の場合、横田空域の境界は駅でいうと、上板橋駅、江古田駅、沼袋駅、中野駅、代田橋駅、等々力駅のほぼ上空を南北に走っています。高級住宅地といわれる世田谷区、杉並区、練馬区、武蔵野市などは、ほぼ全域がこの横田空域内にあるのです。

 この境界線の内側上空でなら、米軍はどんな軍事演習をすることも可能ですし、日本政府からその許可を得る必要もありません。2020年(米会計年度)から横田基地に配備されることが決まっているオスプレイは、すでにこの空域内で頻繁に低空飛行訓練を行っているのです(富士演習場~厚木基地ルートなど/オスプレイの危険性については『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』第2章で詳述しています)。

 むやみに驚かすつもりはありませんが、もしこの空域内でオスプレイが墜落して死者が出ても、事故の原因が日本側に公表されることはありませんし、正当な補償がなされることもありません。

 そのことは、いまから40年前(1977年9月27日)に同じ横田空域内で起きた、横浜市緑区(現・青葉区)での米軍ファントム機・墜落事件の例を見れば、明らかです。

 このときは「死者2名、重軽傷者6名、家屋全焼1棟、損壊3棟」という大事故だったにもかかわらず、パラシュートで脱出した米兵2名は、現場へ急行した自衛隊機によって厚木基地に運ばれ、その後、いつのまにかアメリカへ帰国。裁判で事故の調査報告書の公表を求めた被害者たちには、「日付も作成者の名前もない報告書の要旨」が示されただけでした。

 ◆いまも中国・四国地方を覆う岩国空域

 こうした米軍が支配する空域の例は、日本国内にあとふたつあります。中国・四国地方にある「岩国空域」と、2010年まで沖縄にあった「嘉手納空域」です。

                   図3 「岩国空域」

 上の図が、これまであまり取り上げられることのなかった「岩国空域」です。「横田空域」と同じくこの「岩国空域」もまた、山口県、愛媛県、広島県、島根県の4県にまたがり、日本海上空から四国上空までを覆う、巨大な米軍管理空域です。

 この空域内の松山空港に向かう民間機は、米軍・岩国基地の管制官の指示どおり飛ばなければなりませんし、空域のすぐ西側にある大分空港へ向かう民間機も、高度制限など大きな制約を受けています。

 岩国空域に関して印象に残っているのは、2016年にオバマ大統領(当時)が広島を訪問したときのワンシーンです。アメリカ大統領による初めての「歴史的な」広島訪問に際して、オバマ大統領は中部国際空港から大統領専用機で米軍・岩国基地に移動したあと、この岩国空域を通って、海兵隊の軍用ヘリで原爆ドームへ向かったのです。

 車で行けばわずか40キロ、たった1時間で行ける距離をわざわざ軍用機で、しかも4機のオスプレイに先導されるかたちで移動した。さらに同行する大統領付きの武官は「フットボール」と呼ばれる核兵器の「発射キット」を携行していました。

 アメリカ大統領とは、すなわち核兵器を世界戦略の中心に据えた世界最強の米軍の最高司令官であり、彼は日本の上空を事実上自由に、自国の軍用機を引き連れて移動することができる──皮肉にも、そうした歪んだ現実世界の姿をまざまざと見せつけた、ノーベル平和賞受賞大統領の広島訪問となりました。

 ◆見せかけにすぎない「独立」と「安保改定」

 「日本の空」がすべて戦後70年以上経ったいまでも、完全に米軍に支配されているということは、じつは日本の法律の条文に、はっきり書かれている「事実」です。

 下は1952年、占領終結と同時に、新たに制定された日本の国内法(航空法特例法)の条文です。そこにはまさに、身もフタもない真実が書かれているのです。

 航空法特例法 第3項
 「前項の航空機〔=米軍機と国連軍機〕(略)については、航空法第6章の規定は(略)適用しない」

 ここで重要なのは、右の条文で「適用しない」とされている「航空法第6章」とは、航空機の安全な運行について定めた法律だということです。つまり、「離着陸する場所」「飛行禁止区域」「最低高度」「制限速度」「飛行計画の通報と承認」など、航空機が安全に運行するための43ヵ条(第57~99条)もの条文が、すべて米軍機には適用されないことになっているのです。

 要するに、もともと米軍機は日本の上空において、どれだけ危険な飛行をしてもいい、それは合法だということなのです。この条文のもとで米軍は、1952年に占領が終わったあとも変わらず日本の上空で、なんの制約も受けずに飛ぶ権利を持ち続けました。

 そして、それから60年以上たった現在に至るまで、この条文はひと文字も変更されていません。そのことだけを見ても1952年の「独立」や、1960年の「安保改定」が、いかに見せかけだけのものだったかがわかるのです。

知ってはいけない

***

本稿は、『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の第1章を再構成したものです。同書の特設サイトでは、第1章のほか、「はじめに」「あとがき」「追記」、各章のまとめとしてのわかりやすい四コマまんが(計9本/商業目的以外であればマンガの使用・拡散は自由です)を無料で公開していますので、ぜひご覧ください。

 ◆矢部 宏治

 1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に累計17万部を突破した『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)など、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J.M.ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日米安保・在日米軍】  2017年09月05日  09:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【日米・「ウラの掟」】:③日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」

2024-12-21 23:53:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米・「ウラの掟」】:③日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米・「ウラの掟」】:③日本人が「知ってはいけない」、日本とアメリカの「本当の関係」…日本の戦後史最大の「謎と闇」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 ■【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」  

 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。

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  photo by gettyimages(KODANSHA)

 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

 *本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。

 ◆日米両国の「本当の関係」とは?

 ◆マッカーサーの迷い

 ◆「6・23メモ」の謎

 ■矢部 宏治 

 【関連記事】

 

  元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日本政府と米国との密約「ウラの掟」・日米地位協定・担当:矢部 宏治】  2024年05月27日  06:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米・「ウラの掟」】:②首都・東京が、じつは米軍支配の激しい「世界でも例のない場所」だった…日本はなぜこんなに歪んでしまったのか?

2024-12-21 23:53:20 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米・「ウラの掟」】:②首都・東京が、じつは米軍支配の激しい「世界でも例のない場所」だった…日本はなぜこんなに歪んでしまったのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米・「ウラの掟」】:②首都・東京が、じつは米軍支配の激しい「世界でも例のない場所」だった…日本はなぜこんなに歪んでしまったのか?

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 ■ 【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」  

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  photo by gettyimages(KODANSHA)

 ◆はじめに

 ◆事実か、それとも「特大の妄想」か

 ■矢部 宏治

 【関連記事】

  元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日本政府と米国との密約「ウラの掟」・日米地位協定・担当:矢部 宏治】  2024年05月15日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米・「ウラの掟」】:①「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

2024-12-21 23:53:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米・「ウラの掟」】:①「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米・「ウラの掟」】:①「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。

『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。

 

 おかしい。

 不思議だ。

 どう考えても普通の国ではない。

 みなさんは、ご自分が暮らす「戦後日本」という国について、そう思ったことはないでしょうか。

 おそらくどんな人でも、一度はそう思ったことがあるはずです。アメリカ、中国に次ぐ世界第三位の経済大国であり、治安のよさや文化水準の高さなど、誇るべき点もたしかに多い私たちの国、日本。しかしその根っこには、どう隠そうとしても隠しきれない、とんでもない歪みが存在しています。

 たとえば私が本を書くたびに触れている「横田空域」の問題です。

 じつは日本の首都圏の上空は米軍に支配されていて、日本の航空機は米軍の許可がないとそこを飛ぶことができません。いちいち許可をとるわけにはいかないので、JALやANAの定期便はこの巨大な山脈のような空域を避けて、非常に不自然なルートを飛ぶことを強いられているのです。

 とくに空域の南側は羽田空港や成田空港に着陸する航空機が密集し、非常に危険な状態になっています。

 また緊急時、たとえば前方に落雷や雹の危険がある積乱雲があって、そこを避けて飛びたいときでも、管制官から、

 「横田空域には入らず、そのまま飛べ」

 と指示されてしまう。

 6年前に、はじめてこの問題を本で紹介したときは、信じてくれない人も多かったのですが、その後、新聞やテレビでも取り上げられるようになり、「横田空域」について知る人の数もかなり増えてきました。

 それでもくどいようですが、私は今回もまた、この問題から話を始めることにします。

 なぜならそれは、数十万人程度の人たちが知っていればそれでいい、という問題ではない。少なくとも数千万単位の日本人が、常識として知っていなければならないことだと思うからです。

  ◆エリート官僚もよくわかっていない「横田空域」

 もちろんこの「横田空域」のような奇怪なものが存在するのは、世界を見まわしてみても日本だけです。

 では、どうして日本だけがそんなことになっているのでしょう。

 私が7年前にこの事実を知ったときに驚いたのは、日本のエリート官僚と呼ばれる人たちがこの問題について、ほとんど何も知識を持っていないということでした。

 まず、多くの官僚たちが「横田空域」の存在そのものを知らない。ごくまれに知っている人がいても、なぜそんなものが首都圏上空に存在するかについては、もちろんまったくわかっていない。

 これほど巨大な存在について、国家の中枢にいる人たちが何も知らないのです。

 日本を普通の独立国と呼ぶことは、とてもできないでしょう。

 「いったい、いつからこんなものがあるのか」

 「いったい、なぜ、こんなものがあるのか」

 その答えを本当の意味で知るためには、この本を最後まで読んでいただく必要があります。じつは私自身、右のふたつの疑問について、歴史的背景も含めて完全に理解できたのは、わずか1年前のことなのです。

 ◆世田谷区、中野区、杉並区の上空も「横田空域」

 まず、たしかな事実からご紹介しましょう。

 横田空域は、東京都の西部(福生市ほか)にある米軍・横田基地が管理する空域です。

 いちばん高いところで7000メートル、まさにヒマラヤ山脈のような巨大な米軍専用空域が、日本の空を東西まっぷたつに分断しているのです。

 ここで「米軍基地は沖縄だけの問題でしょう?」と思っている首都圏のみなさんに、少し当事者意識をもっていただくため、横田空域の詳しい境界線を載せておきます(書籍版に掲載)。

 東京の場合、横田空域の境界は駅でいうと、上板橋駅、江古田駅、沼袋駅、中野駅、代田橋駅、等々力駅のほぼ上空を南北に走っています。高級住宅地といわれる世田谷区、杉並区、練馬区、武蔵野市などは、ほぼ全域がこの横田空域内にあるのです。

 この境界線の内側上空でなら、米軍はどんな軍事演習をすることも可能ですし、日本政府からその許可を得る必要もありません。2020年(米会計年度)から横田基地に配備されることが決まっているオスプレイは、すでにこの空域内で頻繁に低空飛行訓練を行っているのです(富士演習場~厚木基地ルートなど/オスプレイの危険性については『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』第2章で詳述します)。

 むやみに驚かすつもりはありませんが、もしこの空域内でオスプレイが墜落して死者が出ても、事故の原因が日本側に公表されることはありませんし、正当な補償がなされることもありません。

 そのことは、いまから40年前(1977年9月27日)に同じ横田空域内で起きた、横浜市緑区(現・青葉区)での米軍ファントム機・墜落事件の例を見れば、明らかです。

 このときは「死者二名、重軽傷者六名、家屋全焼一棟、損壊三棟」という大事故だったにもかかわらず、パラシュートで脱出した米兵2名は、現場へ急行した自衛隊機によって厚木基地に運ばれ、その後、いつのまにかアメリカへ帰国。裁判で事故の調査報告書の公表を求めた被害者たちには、「日付も作成者の名前もない報告書の要旨」が示されただけでした。

 こうした米軍が支配する空域の例は、日本国内にあとふたつあります。中国・四国地方にある「岩国空域」と、2010年まで沖縄にあった「嘉手納空域」です。

 ◆巨大な空域に国内法の根拠はない

 「横田空域」と「岩国空域」という、米軍が管理するこのふたつの巨大な空域に関して、私たち日本人が、もっとも注目すべきポイントがあります。

 それは空域の大きさではありません。

 私たちが本当に注目しなければならないのは、

 「この横田と岩国にある巨大な米軍の管理空域について、国内法の根拠はなにもない」

という驚くべき事実なのです(「日米地位協定の考え方 増補版」)。

 「自国の首都圏上空を含む巨大な空域が、外国軍に支配(管理)されていて、じつはそのことについての国内法の根拠が何もない」

 いったいなぜ、そんな状況が放置されているのでしょうか。

 さらに連載記事<なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」>では、日本を縛る「日米の密約」の正体について、詳しく解説します。

 本記事の抜粋元『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)では、私たちの未来を脅かす「9つの掟」の正体、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」など、日本と米国の知られざる関係について解説しています。ぜひ、お手に取ってみてください。
 
 ■矢部 宏治 KOJI YABE
 
 1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に累計17万部を突破した『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)など、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J.M.ロバーツ著『図説 世界の歴史』(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

 元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・日本政府と米国との密約「ウラの掟」・日米地位協定・担当:矢部 宏治】  2023年11月09日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察③】:なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

2024-12-21 23:52:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【考察③】:なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察③】:なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。 

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 ◆はじめに

 それほどしょっちゅうではないのですが、私がテレビやラジオに出演して話をすると、すぐにネット上で、

 「また陰謀論か」
 「妄想もいいかげんにしろ」
 「どうしてそんな偏った物の見方しかできないんだ」

 などと批判されることが、よくあります。

 あまりいい気持ちはしませんが、だからといって腹は立ちません。

 自分が調べて本に書いている内容について、いちばん「本当か?」と驚いているのは、じつは私自身だからです。

 「これが自分の妄想なら、どんなに幸せだろう」

 いつもそう思っているのです。

 ◆事実か、それとも「特大の妄想」か

 けれども本書をお読みになればわかるとおり、残念ながらそれらはすべて、複数の公文書によって裏付けられた、疑いようのない事実ばかりなのです。

 ひとつ、簡単な例をあげましょう。

 以前、田原総一朗さんのラジオ番組(文化放送「田原総一朗 オフレコ!」)に出演し、米軍基地問題について話したとき、こんなことがありました。ラジオを聞いていたリスナーのひとりから、放送終了後すぐ、大手ネット書店の「読者投稿欄」に次のような書き込みがされたのです。

 ★☆☆☆☆〔星1つ〕 UFO博士か?

 なんだか、UFOを見たとか言って騒いでいる妄想ですね。先ほど、ご本人が出演したラジオ番組を聞きましたが(略)なぜ、米軍に〔日本から〕出て行って欲しいというのかも全く理解できないし、〔米軍〕基地を勝手にどこでも作れるという特大の妄想が正しいのなら、(略)東京のど真ん中に米軍基地がないのが不思議〔なのでは〕?

 もし私の本を読まずにラジオだけを聞いていたら、こう思われるのは、まったく当然の話だと思います。私自身、たった七年前にはこのリスナーとほとんど同じようなことを考えていたので、こうして文句をいいたくなる人の気持ちはとてもよくわかるのです。

 けれども、私がこれまでに書いた本を一冊でも読んだことのある人なら、東京のまさしく「ど真ん中」である六本木と南麻布に、それぞれ非常に重要な米軍基地(「六本木ヘリポート」と「ニューサンノー米軍センター」)があることをみなさんよくご存じだと思います。

 そしてこのあと詳しく見ていくように、日本の首都・東京が、じつは沖縄と並ぶほど米軍支配の激しい、世界でも例のない場所だということも。

 さらにもうひとつ、アメリカが米軍基地を日本じゅう「どこにでも作れる」というのも、残念ながら私の脳が生みだした「特大の妄想」などではありません。

 なぜなら、外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月)のなかに、

 ○ アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。
 ○ 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

 という見解が、明確に書かれているからです。

 つまり、日米安全保障条約を結んでいる以上、日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に「NO」ということはできない。

 そう日本の外務省がはっきりと認めているのです。

 ◆北方領土問題が解決できない理由

 さらにこの話にはもっとひどい続きがあって、この極秘マニュアルによれば、そうした法的権利をアメリカが持っている以上、たとえば日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉には、次のような大原則が存在するというのです。

 ○ だから北方領土の交渉をするときも、返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。*註1

 こんな条件をロシアが呑むはずないことは、小学生でもわかるでしょう。

 そしてこの極秘マニュアルにこうした具体的な記述があるということは、ほぼ間違いなく日米のあいだに、この問題について文書で合意した非公開議事録(事実上の密約)があることを意味しています。

 したがって、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。ロシアとの平和条約が結ばれる可能性もまた、ゼロなのです。

 たとえ日本の首相が何か大きな決断をし、担当部局が頑張って素晴らしい条約案をつくったとしても、最終的にはこの日米合意を根拠として、その案が外務省主流派の手で握り潰されてしまうことは確実です。

 2016年、安倍晋三首相による「北方領土返還交渉」は、大きな注目を集めました。なにしろ、長年の懸案である北方領土問題が、ついに解決に向けて大きく動き出すのではないかと報道されたのですから、人々が期待を抱いたのも当然でしょう。

 ところが、日本での首脳会談(同年12月15日・16日)が近づくにつれ、事前交渉は停滞し、結局なんの成果もあげられませんでした。

 その理由は、まさに先の大原則にあったのです。

 官邸のなかには一時、この北方領土と米軍基地の問題について、アメリカ側と改めて交渉する道を検討した人たちもいたようですが、やはり実現せず、結局11月上旬、モスクワを訪れた元外務次官の谷内正太郎国家安全保障局長から、

 「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」

 という基本方針が、ロシア側に伝えられることになったのです。

 その報告を聞いたプーチン大統領は、11月19日、ペルー・リマでの日ロ首脳会談の席上で、安倍首相に対し、

 「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」

 と述べたことがわかっています(「朝日新聞」2016年12月26日)。

 ほとんどの日本人は知らなかったわけですが、この時点ですでに、1ヵ月後の日本での領土返還交渉がゼロ回答に終わることは、完全に確定していたのです。

 もしもこのとき、安倍首相が従来の日米合意に逆らって、

 「いや、それは違う。私は今回の日ロ首脳会談で、返還された島には米軍基地を置かないと約束するつもりだ」

 などと返答していたら、彼は、2010年に普天間基地の沖縄県外移設を唱えて失脚した鳩山由紀夫首相(当時)と同じく、すぐに政権の座を追われることになったでしょう。

 ◆「戦後日本」に存在する「ウラの掟」

 私たちが暮らす「戦後日本」という国には、国民はもちろん、首相でさえもよくわかっていないそうした「ウラの掟」が数多く存在し、社会全体の構造を大きく歪めてしまっています。

 そして残念なことに、そういう掟のほとんどは、じつは日米両政府のあいだではなく、米軍と日本のエリート官僚のあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としているのです。

 私が本書を執筆したのは、そうした「ウラの掟」の全体像を、

 「高校生にもわかるように、また外国の人にもわかるように、短く簡単に書いてほしい」

 という依頼を出版社から受けたからでした。

 また、『知ってはいけない』というタイトルをつけたのは、おそらくほとんどの読者にとって、そうした事実を知らないほうが、あと10年ほどは心穏やかに暮らしていけるはずだと思ったからです。

 なので大変失礼ですが、もうかなりご高齢で、しかもご自分の人生と日本の現状にほぼ満足しているという方は、この本を読まないほうがいいかもしれません。

 けれども若い学生のみなさんや、現役世代の社会人の方々は、そうはいきません。みなさんが生きている間に、日本は必ず大きな社会変動を経験することになるからです。

 私がこれからこの本で明らかにするような9つのウラの掟(全9章)と、その歪みがもたらす日本の「法治国家崩壊状態」は、いま沖縄から本土へ、そして行政の末端から政権の中枢へと、猛烈な勢いで広がり始めています。

 今後、その被害にあう人の数が次第に増え、国民の間に大きな不満が蓄積された結果、「戦後日本」というこれまで長くつづいた国のかたちを、否応なく変えざるをえない日が必ずやってきます。 

 そのとき、自分と家族を守るため、また混乱のなか、それでも価値ある人生を生きるため、さらには無用な争いを避け、多くの人と協力して新しくフェアな社会をいちからつくっていくために、ぜひこの本を読んでみてください。

 そしてこれまで明らかにされてこなかった「日米間の隠された法的関係」についての、全体像に触れていただければと思います。

 ◆「リアル陰謀論」

 本というのは不思議なもので、書き手としては、自分が大切だと思ったことをいろいろと並べて書いているわけですが、読者の方の興味というのは、かなり特定の問題にピンポイントで集中することが多い。

 そうした読者からの反応を聞いてはじめて、

 「ああ、自分が書いた本の核心はここにあったのか」

 と気づかされることが多いのです。

 私がこれまでに書いた本でいうと、第一章でお話しした「横田空域」と、本章で扱う「日米合同委員会」の問題が、圧倒的にみなさんの関心をひくようです。

 しかし、よく考えてみるとそれも当然の話で、もしも私が数年前に誰かから、 

 「日本の超エリート官僚というのはね、実は月に二度ほど、都内にある米軍基地などで在日米軍のトップたちと秘密の会議をしているんだ。それで、そこで決まったことは国会に報告する義務も、外部に公表する義務もなく、事実上ノーチェックで実行することができる。つまりその秘密会議は、日本の国会よりも憲法よりも、上位の存在というわけさ」

 などといわれたら、確実に、

 「コイツはおかしいから、つきあうのはやめよう」

 と思ったはずです。

 「これが陰謀論者というやつか」

 とも思ったことでしょう。

 けれどもそういう「リアル陰謀論」とでもいうべき世界が本当に実在することが、いまでは広く認知されるようになりました。

 それが日米合同委員会です。

 ◆米軍の「リモコン装置」

 日米合同委員会というのは、その研究の第一人者であるジャーナリストの吉田敏浩氏の表現を借りれば、

 「米軍が「戦後日本」において、占領期の特権をそのまま持ち続けるためのリモコン装置」

 ということになります。

 占領時代、米軍の権力はまさにオールマイティ。日本の国内法など、何も関係なく行動することができました。どこでも基地にして、いつでも軍事演習をして、たとえ日本人を殺したりケガをさせても罪に問われない。

そうした圧倒的な特権を、日本が独立したあとも、「見かけ」だけを改善するかたちで以前と変わらず持ち続けたい──そうしたアメリカの軍部の要望を実現するために、「戦後日本」に残されたリモコン装置が日米合同委員会だというわけです。

 この組織のトップに位置する本会議には、日本側6人、アメリカ側7人が出席します。月にだいたい2回、隔週木曜日の午前11時から、日本側代表が議長のときは外務省の施設内で、アメリカ側代表が議長のときは米軍基地内の会議室で開かれています。

 おそらく横田基地からなのでしょう。木曜日の午前11時前に、軍用ヘリで六本木にある米軍基地(「六本木ヘリポート」)に降り立ち、そこから会議室がある南麻布の米軍施設(「ニューサンノー米軍センター」)に続々と到着する米軍関係者の姿を、2016年12月6日に放映された「報道ステーション」が捉えていました。

 ◆日米合同委員会に激怒していた駐日首席公使

 この日米合同委員会でもっともおかしなことは、本会議と30以上の分科会の、日本側メンバーがすべて各省のエリート官僚であるのに対し、アメリカ側メンバーは、たった一人をのぞいて全員が軍人だということです。

 アメリカ側で、たった一人だけ軍人でない人物というのは、アメリカ大使館の公使、つまり外交官なのですが、おもしろいことにその公使が、日米合同委員会という組織について、激しく批判している例が過去に何度もあるのです。

 有名なのは、沖縄返還交渉を担当したスナイダーという駐日首席公使ですが、彼は、米軍の軍人たちが日本の官僚と直接協議して指示を与えるという、日米合同委員会のありかたは、

 「きわめて異常なものです」

 と上司の駐日大使に報告しています。

 それは当たり前で、どんな国でも、相手国の政府と最初に話し合うのは大使や公使といった外交官に決まっている。そして、そこで決定した内容を軍人に伝える。それが「シヴィリアン・コントロール(文民統制)」と呼ばれる民主国家の原則です。

 ですから、スナイダーが次のように激怒しているのは当然なのです。

 「本来なら、ほかのすべての国のように、米軍に関する問題は、まず駐留国〔=日本〕の官僚と、アメリカ大使館の外交官によって処理されなければなりません」
「ところが日本における日米合同委員会がそうなっていないのは、ようするに日本では、アメリカ大使館がまだ存在しない占領中にできあがった、米軍と日本の官僚とのあいだの異常な直接的関係が、いまだに続いているということなのです」(「アメリカ外交文書(Foreign Relations of the United States)」(以下、FRUS)1972年4月6日)

 ◆日本という「半分主権国家」

 このように当のアメリカの外交官にさえ、「占領中にできあがった異常な関係」といわれてしまう、この米軍と日本のエリート官僚の協議機関、日米合同委員会とは、いったいなぜ生まれたのでしょう。

 詳しくは本書の後半でお話ししますが、歴史をさかのぼれば、もともと占領が終わる2年前、1950年初頭の段階で、アメリカの軍部は日本を独立させることに絶対反対の立場をとっていました。すでにソ連や中国とのあいだで冷戦が始まりつつあったからです。

しかし、それでもアメリカ政府がどうしても日本を独立させるというなら、それは、
「在日米軍の法的地位は変えない半分平和条約を結ぶ」(陸軍次官ヴォーヒーズ)

 あるいは、

 「政治と経済については、日本とのあいだに「正常化協定」を結ぶが、軍事面では占領体制をそのまま継続する」(軍部を説得するためのバターワース極東担当国務次官補の案)

 というかたちでなければならない、と考えていたのです(「アメリカ外交文書(FRUS)」1950年1月18日)。

 この上のふたつの米軍の基本方針を、もう一度じっくりと読んでみてください。

 私は7年前から、沖縄と本土でいくつもの米軍基地の取材をしてきましたが、調べれば調べるほど、いまの日本の現実をあらわす言葉として、これほど的確な表現はないと思います。

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 つまり「戦後日本」という国は、

 「在日米軍の法的地位は変えず」
 「軍事面での占領体制がそのまま継続した」
 「半分主権国家」

 として国際社会に復帰したということです。

 その「本当の姿」を日本国民に隠しながら、しかもその体制を長く続けていくための政治的装置が、1952年に発足した日米合同委員会なのです。

 ですからそこで合意された内容は、国会の承認も必要としないし、公開する必要もない。ときには憲法の規定を超えることもある。その点について日米間の合意が存在することは、すでにアメリカ側の公文書(→72ページ「安保法体系の構造」の日米合同委員会の項を参照)によって明らかにされているのです。

 ◆「対米従属」の根幹

 こうして日米合同委員会の研究が進んだことで、「日本の対米従属」という戦後最大の問題についても、そのメカニズムが、かなり解明されることになりました。

 もちろん「軍事」の世界だけでなく、「政治」の世界にも「経済」の世界にも、アメリカ優位の状況は存在します。

 しかし「政治」と「経済」の世界における対米従属は、さきほどの軍部の方針を見てもわかるように、

 「あくまで法的関係は正常化されたうえでの上下関係」であって、
 「占領体制が法的に継続した軍事面での関係」

 とは、まったくレベルが違う話なのです。

 私たち日本人がこれから克服しなければならない最大の課題である「対米従属」の根幹には、軍事面での法的な従属関係がある。

 つまり、「アメリカへの従属」というよりも、それは「米軍への従属」であり、しかもその本質は精神的なものではなく、法的にガッチリと押さえこまれているものだということです。

 そこのところを、はっきりとおさえておく必要があるのです。

 私自身、いろいろ調べた末にこの日米合同委員会の存在にたどりついたとき、

 「ああ、これだったのか」

 と目からウロコが落ちるような気持ちがしました。それまで見えなかった日米関係の本質が、はっきり理解できるようになったからです。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【戦後の日米関係・担当:矢部 宏治】  2023年07月29日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察②】:なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」

2024-12-21 23:52:20 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【考察②】:なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察②】:なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」

 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。

 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。

 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。

 ◆はじめに

 それほどしょっちゅうではないのですが、私がテレビやラジオに出演して話をすると、すぐにネット上で、

 「また陰謀論か」
 「妄想もいいかげんにしろ」
 「どうしてそんな偏った物の見方しかできないんだ」

 などと批判されることが、よくあります。

 あまりいい気持ちはしませんが、だからといって腹は立ちません。

 自分が調べて本に書いている内容について、いちばん「本当か?」と驚いているのは、じつは私自身だからです。

 「これが自分の妄想なら、どんなに幸せだろう」

 いつもそう思っているのです。

 ◆事実か、それとも「特大の妄想」か

 けれども本書をお読みになればわかるとおり、残念ながらそれらはすべて、複数の公文書によって裏付けられた、疑いようのない事実ばかりなのです。

 ひとつ、簡単な例をあげましょう。

 以前、田原総一朗さんのラジオ番組(文化放送「田原総一朗 オフレコ!」)に出演し、米軍基地問題について話したとき、こんなことがありました。ラジオを聞いていたリスナーのひとりから、放送終了後すぐ、大手ネット書店の「読者投稿欄」に次のような書き込みがされたのです。

 ★☆☆☆☆〔星1つ〕 UFO博士か?

 なんだか、UFOを見たとか言って騒いでいる妄想ですね。先ほど、ご本人が出演したラジオ番組を聞きましたが(略)なぜ、米軍に〔日本から〕出て行って欲しいというのかも全く理解できないし、〔米軍〕基地を勝手にどこでも作れるという特大の妄想が正しいのなら、(略)東京のど真ん中に米軍基地がないのが不思議〔なのでは〕?

 もし私の本を読まずにラジオだけを聞いていたら、こう思われるのは、まったく当然の話だと思います。私自身、たった7年前にはこのリスナーとほとんど同じようなことを考えていたので、こうして文句をいいたくなる人の気持ちはとてもよくわかるのです。

 けれども、私がこれまでに書いた本を一冊でも読んだことのある人なら、東京のまさしく「ど真ん中」である六本木と南麻布に、それぞれ非常に重要な米軍基地(「六本木ヘリポート」と「ニューサンノー米軍センター」)があることをみなさんよくご存じだと思います。

 そしてこのあと詳しく見ていくように、日本の首都・東京が、じつは沖縄と並ぶほど米軍支配の激しい、世界でも例のない場所だということも。

PHOTO by iStock

 さらにもうひとつ、アメリカが米軍基地を日本じゅう「どこにでも作れる」というのも、残念ながら私の脳が生みだした「特大の妄想」などではありません。

 なぜなら、外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月)のなかに、

 ○ アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。
 ○ 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

 という見解が、明確に書かれているからです。

 つまり、日米安全保障条約を結んでいる以上、日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に「NO」ということはできない。

 そう日本の外務省がはっきりと認めているのです。

 ◆北方領土問題が解決できない理由

 さらにこの話にはもっとひどい続きがあって、この極秘マニュアルによれば、そうした法的権利をアメリカが持っている以上、たとえば日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉には、次のような大原則が存在するというのです。

 ○ だから北方領土の交渉をするときも、返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。*註1

 こんな条件をロシアが呑むはずないことは、小学生でもわかるでしょう。

 そしてこの極秘マニュアルにこうした具体的な記述があるということは、ほぼ間違いなく日米のあいだに、この問題について文書で合意した非公開議事録(事実上の密約)があることを意味しています。

 したがって、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。ロシアとの平和条約が結ばれる可能性もまた、ゼロなのです。

 たとえ日本の首相が何か大きな決断をし、担当部局が頑張って素晴らしい条約案をつくったとしても、最終的にはこの日米合意を根拠として、その案が外務省主流派の手で握り潰されてしまうことは確実です。

 2016年、安倍晋三首相による「北方領土返還交渉」は、大きな注目を集めました。なにしろ、長年の懸案である北方領土問題が、ついに解決に向けて大きく動き出すのではないかと報道されたのですから、人々が期待を抱いたのも当然でしょう。

 ところが、日本での首脳会談(同年12月15日・16日)が近づくにつれ、事前交渉は停滞し、結局なんの成果もあげられませんでした。

 その理由は、まさに先の大原則にあったのです。

 官邸のなかには一時、この北方領土と米軍基地の問題について、アメリカ側と改めて交渉する道を検討した人たちもいたようですが、やはり実現せず、結局11月上旬、モスクワを訪れた元外務次官の谷内正太郎国家安全保障局長から、

 「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」

 という基本方針が、ロシア側に伝えられることになったのです。

 その報告を聞いたプーチン大統領は、11月19日、ペルー・リマでの日ロ首脳会談の席上で、安倍首相に対し、

 「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」

 と述べたことがわかっています(「朝日新聞」2016年12月26日)。

 ほとんどの日本人は知らなかったわけですが、この時点ですでに、一ヵ月後の日本での領土返還交渉がゼロ回答に終わることは、完全に確定していたのです。

 もしもこのとき、安倍首相が従来の日米合意に逆らって、

 「いや、それは違う。私は今回の日ロ首脳会談で、返還された島には米軍基地を置かないと約束するつもりだ」

 などと返答していたら、彼は、2010年に普天間基地の沖縄県外移設を唱えて失脚した鳩山由紀夫首相(当時)と同じく、すぐに政権の座を追われることになったでしょう。

 ◆「戦後日本」に存在する「ウラの掟」

 私たちが暮らす「戦後日本」という国には、国民はもちろん、首相でさえもよくわかっていないそうした「ウラの掟」が数多く存在し、社会全体の構造を大きく歪めてしまっています。

 そして残念なことに、そういう掟のほとんどは、じつは日米両政府のあいだではなく、米軍と日本のエリート官僚のあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としているのです。

 私が本書を執筆したのは、そうした「ウラの掟」の全体像を、

 「高校生にもわかるように、また外国の人にもわかるように、短く簡単に書いてほしい」

 という依頼を出版社から受けたからでした。

 また、『知ってはいけない』というタイトルをつけたのは、おそらくほとんどの読者にとって、そうした事実を知らないほうが、あと10年ほどは心穏やかに暮らしていけるはずだと思ったからです。

 なので大変失礼ですが、もうかなりご高齢で、しかもご自分の人生と日本の現状にほぼ満足しているという方は、この本を読まないほうがいいかもしれません。

 けれども若い学生のみなさんや、現役世代の社会人の方々は、そうはいきません。みなさんが生きている間に、日本は必ず大きな社会変動を経験することになるからです。

 私がこれからこの本で明らかにするような9つのウラの掟(全9章)と、その歪みがもたらす日本の「法治国家崩壊状態」は、いま沖縄から本土へ、そして行政の末端から政権の中枢へと、猛烈な勢いで広がり始めています。

 今後、その被害にあう人の数が次第に増え、国民の間に大きな不満が蓄積された結果、「戦後日本」というこれまで長くつづいた国のかたちを、否応なく変えざるをえない日が必ずやってきます。 

 そのとき、自分と家族を守るため、また混乱のなか、それでも価値ある人生を生きるため、さらには無用な争いを避け、多くの人と協力して新しくフェアな社会をいちからつくっていくために、ぜひこの本を読んでみてください。

 そしてこれまで明らかにされてこなかった「日米間の隠された法的関係」についての、全体像に触れていただければと思います。

 さらに<「戦後日本」のヤバすぎる現実…「東京上空」に存在する「奇妙な空域」の「衝撃的な正体」>では、「米軍が支配する日本の上空」の問題について、詳しく解説します。

 (本書の内容をひとりでも多くの方に知っていただくため、漫画家の、ぼうごなつこさんにお願いして、各章のまとめを扉ページのウラに四コマ・マンガとして描いてもらいました。全部読んでも三分しかかかりませんので、まずはマンガから九章分通して読んでいただいてもけっこうです。商業目的以外でのこのマンガの使用・拡散は、次のサイトから自由に行ってください。〔アドレス→ https://goo.gl/EZij2e〕)

 *註1 原文は次の通り。「このような考え方からすれば、例えば北方領土の返還の条件として「返還後の北方領土には施設・区域〔=米軍基地〕を設けないZとの法的義務をあらかじめ一般的に日本側が負うようなことをソ連側と約することは、安保条約・地位協定上問題があるということになる」(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月/『日米地位協定の考え方・増補版──外務省機密文書』所収 2004年 高文研)

 本記事の抜粋元『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)では、私たちの未来を脅かす「9つの掟」の正体、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」など、日本と米国の知られざる関係について解説しています。ぜひ、お手に取ってみてください。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【戦後の日米関係・担当:矢部 宏治】  2023年11月09日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察①】:じつは「日本」は「完全な属国」であるという「衝撃の事実」…日本が米国と交わした「ヤバすぎる3つの密約」

2024-12-21 23:52:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【考察①】:じつは「日本」は「完全な属国」であるという「衝撃の事実」…日本が米国と交わした「ヤバすぎる3つの密約」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察①】:じつは「日本」は「完全な属国」であるという「衝撃の事実」…日本が米国と交わした「ヤバすぎる3つの密約」

 日本に存在する「ウラの掟」。  

 photo by gettyimages(KODANSHA)

 ◆大きな歪みの根底

 ■矢部 宏治

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【戦後の日米関係・担当:矢部 宏治】  2023年12月16日  06:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【シリーズ検証・日米地位協定】:①ー② ヘリ落ちようが 犯罪起こそうが…  ■世界に例ない米軍特権

2024-12-21 23:51:40 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【シリーズ検証・日米地位協定】:①ー②  ヘリ落ちようが 犯罪起こそうが…  ■世界に例ない米軍特権

【シリーズ検証・日米地位協定】:①ー②  ヘリ落ちようが 犯罪起こそうが…  ■世界に例ない米軍特権

日本の全土に基地を置き、危険な飛行を繰り返し、犯罪や交通事故でも簡単に逮捕されない―。そうした米軍の特権を定めた日米地位協定について、米軍専用基地の7割が集中する沖縄県に加え、今年7月に全国知事会が提言をまとめるなど、改定を求める声が高まっています。世界でも例のない米軍特権を定めた日米地位協定を検証します。

◆日米地位協定に定められた米軍の特権

2条 日本全土で基地の使用が認められる。自衛隊基地の使用も

3条 提供された基地の排他的管理権を有し、自由に出入りできる

4条 基地の返還の際、米側は原状回復・補償の義務を負わない

5条 民間空港・港湾、高速道路に出入りできる。利用料は免除

6条 航空管制の優先権を与える

7条 日本政府の公共事業、役務を優先的に利用できる

8条 日本の気象情報を提供する

9条 旅券なしで出入国できる

10条 日本の運転免許証なしで運転できる

11条 関税・税関検査を免除

12条 物品税、通行税、揮発油税、電気ガス税を免除

    日本が基地従業員の調達を肩代わり

13条 租税・公課を免除

14条 身分証明を有する指定契約者は免税などの特権を得る

17条 「公務中」の事件・事故で第1次裁判権を有する

18条 被害者の補償は「公務中」で75%支払、「公務外」は示談

24条 基地の費用を分担。日本政府の拡大解釈で「思いやり予算」の根拠に

25条 日米合同委員会の設置

◆地位協定とは

 米国は第2次世界大戦以来、地球規模での軍事作戦を可能にするため、平時でも海外に兵力を常駐させる「前方展開戦略」をとっています。米国防総省によれば、現在517の海外基地を有し、165カ国に米兵が駐留しています。

 これに伴い、米兵などの要員を「保護」し、受け入れ国の法律に制約されずに軍事作戦に従事できるようにするための枠組み=地位協定(SOFA)がつくられました。米議会によれば、米国は100カ国以上と地位協定を交わしています。

 ■全国知事会の提言(7月27日)要旨

 1 米軍機による低空飛行訓練等で国の責任で騒音測定などを実施。訓練ルートや訓練の時期について事前情報提供を行う

 2 日米地位協定の抜本的な見直し―航空法や環境法令などの国内法の適用、事件・事故時の自治体職員の立ち入りの保障などを明記する

 3 米軍人等による事件・事故に対する具体的・実効的な防止策の提示、継続的な取り組みを進める

 4 施設ごとに必要性や使用状況等を点検、基地の整理・縮小・返還を促進する

 元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 特集・連載 【シリーズ検証・日米地位協定】 2018年10月28日  04:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【シリーズ検証・日米地位協定】:①ヘリ落ちようが 犯罪起こそうが…  ■世界に例ない米軍特権

2024-12-21 23:51:30 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【シリーズ検証・日米地位協定】:①ヘリ落ちようが 犯罪起こそうが…  ■世界に例ない米軍特権

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【シリーズ検証・日米地位協定】:①ヘリ落ちようが 犯罪起こそうが…  ■世界に例ない米軍特権

 日本の全土に基地を置き、危険な飛行を繰り返し、犯罪や交通事故でも簡単に逮捕されない―。そうした米軍の特権を定めた日米地位協定について、米軍専用基地の7割が集中する沖縄県に加え、今年7月に全国知事会が提言をまとめるなど、改定を求める声が高まっています。世界でも例のない米軍特権を定めた日米地位協定を検証します。 

 ◆改定求める声高まる

 沖縄・普天間基地と東京・横田基地に配備されている米軍機オスプレイは航空法で義務付けられている自動回転(オートローテーション)機能を有しておらず、本来なら国内で飛行できません。しかし、同機は日本全土を自由勝手に飛んでいます。

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(写真)米軍CH53E大型輸送ヘリが不時着・炎上した民間牧草地付近に張られた規制線と警備する機動隊=2017年10月12日、沖縄県東村高江

 昨年10月、沖縄県東村の民有牧草地に米軍CH53Eヘリが墜落しました。沖縄県警は現場に規制線を張り、立ち入り禁止に。土地の所有者すら立ち入ることができず、米軍は墜落地点の土壌を勝手に持ち去りました。

 さらに昨年末、同県宜野湾市の普天間第二小学校に米軍ヘリの窓が落下。警察は証拠物品である窓を差し押さえず、米軍に返却。事故検証のために自衛官が基地内に入ると合意したものの、いまだに実現していません。

 こうした日本の主権侵害の背景には、日米地位協定があります。 

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(写真)オスプレイが墜落した現場付近に張られた規制線=2016年12月16日、沖縄県名護市安部

 ◆数々の特権列挙

 日米地位協定は1960年1月に改定された日米安保条約の第6条(基地の供与)に基づくもので、全28条からなります(表)。その内容は次の三つに大別されます。

 (1)基地の提供 米軍は日本全土に基地を置くことができ、「移動」のため日本中の陸海路、空域を使用できる。基地返還の際、原状復帰の費用は日本が負担。さらに日本側は地代など基地の費用負担を分担する。

 (2)基地の管理 米軍は提供された基地を排他的に管理し、火災や環境汚染などが発生しても日本側当局者は許可なしに立ち入れない。米軍は基地内に自由に施設を建設でき、どのような部隊も配備できる。無通告での訓練も可能。

 (3)米軍・軍属の特権的地位 国内で米兵や軍属が犯罪や事故を起こしても、「公務中」であれば米側が第1次裁判権を有する。被害者への補償は「公務外」の場合、示談。多くは泣き寝入り。また、納税や高速道路の利用料免除、旅券なしで出入国可能など、多くの特権が。

図

 ◆処罰もされずに

 日米地位協定に基づく膨大な国内法も整備されています。たとえば、航空機が飛行中に物を落としたら航空法に基づいて処罰されますが、米軍機は航空法特例法により、普天間第二小のような部品の落下事故でも罰せられません。オートローテーション機能がないオスプレイが国内を飛べるのも、同法があるからです。

 また、事故現場の立ち入り規制は、地位協定合意議事録で、米軍の「財産権」が保障されていることを根拠にしています。

 さらに、地位協定は膨大な密約と一体で運用されています。たとえば、「公務外」の事件・事故の場合は日本側が第1次裁判権を有しますが、その場合でも日本側が裁判権を行使しないとの密約が存在しています。

 ◎日本は今も植民地状態 欧州・韓国 主権に関わると改定

 ◆根源は占領特権

 日米地位協定の前身は52年4月に発効した日米行政協定です。同協定は、占領軍として駐留した米軍が日本の独立後も基地を維持することを柱とした旧安保条約に基づき、米側の全面的な裁判権行使や無制限の基地管理権などを定めています。

 いわば米軍の占領特権をそのまま継続するものです。国民の批判をおそれた日本政府は52年2月まで公表せず、国会審議も行われませんでした。

 その行政協定の内容はほぼ、日米地位協定に引き継がれています。地位協定は今日まで一度も改定されていません。ちなみに、米軍機の低空飛行や危険飛行、欠陥機オスプレイの飛行などを「合法化」している航空法特例法も52年9月の公布以降、一度も改定されていません。

 日本の空は今も植民地状態なのです。

 ◆沖縄の基地協定

 さらに、沖縄には日米地位協定を上回る米軍の特権を定めた取り決めが存在します。72年5月15日の本土復帰に際して日米両政府が作成したもので「5・15メモ」と呼ばれています。全面占領下での基地の自由使用を保証したもので、深夜・早朝の飛行訓練などの根拠になっているとみられます。しかも97年3月まで非公表となっていました。

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 ◆低空飛行なくす

 一方、同じ敗戦国でも、ドイツやイタリアの歩みは全く異なっています。ドイツでは、北大西洋条約機構(NATO)地位協定の補足協定(ボン協定)が4度も改定。とくに93年には大幅に改定されました。背景には主権や国民の権利保護を求める国民世論がありました。

 沖縄県が今年3月に公表した現地調査報告書によれば、両国の地位協定と日米地位協定を比較し、(1)国内法の適用が明記されている(2)基地の管理権や緊急時の立ち入り権を有している(3)訓練の実施に関与する―などの違いを指摘しています。(別項)

 93年の大幅改定の結果、ドイツでは米軍機の低空飛行が減少し、現在ではほぼ行われていません。(表)

 イタリアでも、1998年2月に発生した米軍機によるロープウエー切断事故(死者20人)を契機に、米軍の低空飛行の高度制限や時間制限を強化。県の面談に応じたディーニ元首相は「米国の言うことを聞いているお友だちは日本だけだ」と苦言を呈しました。

 また、米韓地位協定は朝鮮戦争休戦中の「戦時」に締結されたことから、日米地位協定以上に主権侵害の度合いが強いものでした。しかし、同協定もこれまで数回にわたって改定されており、基地内の建設は韓国との事前協議を必要とするなど、日本より進んでいる内容も盛り込まれています。

 これらの改定はいずれも、米国との同盟関係の是非ではなく、主権にかかわる問題として提起されています。

   ◆

 このシリーズでは次回から、条文ごとに日米地位協定の問題点を指摘していきます。

 元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 特集・連載 【シリーズ検証・日米地位協定】 2018年10月28日  04:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米安保】:「宗主国なき属国」という最悪の形態 ②

2024-12-21 23:51:20 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米安保】:「宗主国なき属国」という最悪の形態 ②<内田樹氏>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米安保】:「宗主国なき属国」という最悪の形態<内田樹氏>

◆揺らぎつつある日米同盟。日米安保条約の正体

 
 

 日米安保条約改定から60年を迎えようとしている今、日米同盟が大きく揺らぎつつある。  アメリカのトランプ大統領は以前から在日米軍の撤退をちらつかせるなど、日米安保を軽視する姿勢を見せてきた。最近では駐留経費の負担を増やすように要求してきている。「「米軍に駐留してほしければもっとカネを出せ」という態度は、とても同盟国のものとは思えない。 『月刊日本 2020年1月号』では、揺らぎつつあるニチベイ安保について、「日米安保条約の正体」と題した特集を組んでいる。今回はその中から、思想家、内田樹氏の論考を転載・紹介したい。

日米関係イメージ

たわばう / PIXTA(ピクスタ)

 

◆日本は「宗主国なき植民地」になるのか

 
 

―― 日本がアメリカの属国でいたいと思っても、アメリカが一方的にアジアから撤退する可能性もあります。トランプは何度もそうした素振りを見せています。そうなれば、日本は否応なく日米安保のありかたを見直さなければならなくなると思います。 内田:アメリカが日本から軍事的に撤退したとしても、それで日本が主権国家になる保証はありません。むしろ「宗主国なき属国」という最悪の形態になるリスクがある。  今はとりあえず「アメリカの国益増大に奉仕する」という客観的な条件が日本の政治指導者には求められていますけれど、アメリカが去った後は、その条件がなくなる。もはや誰によってもその能力や適性を査定されることのない、世襲化した指導者たちが惰性的に国民の財産を私有化し続ける。アフリカや南米の破綻国家で起きているのと同じことが日本でも起きるかもしれない。 ―― アメリカが日本から撤退しても属国マインドだけ残るとなると、今度はアメリカの属国から中国の属国になってしまう恐れもあるのではないでしょうか。 内田:あり得ます。歴史的に見れば、日本は卑弥呼の時代から徳川時代まで、形式的には中国の属国でした。足利将軍は皇帝から「日本国王」に任じられていたし、徳川将軍は「日本国大君」でした。いずれも中華帝国の辺境自治領の統治者という意味です。  中華思想に基づく華夷秩序では、世界の中心に中華皇帝がおり、そこから同心円的に「王化の光」が広がる。周縁部は光が届かず、禽獣の類である「化外の民」が暮らす場所とされていました。「化外の地」には中華皇帝の実効支配は及びません。そこは形式的には中華帝国の領土なのだけれど、自治が許された。  中国は伝統的に西には強い関心がありますが、東側にはほとんど興味を示しません。7世紀に白村江の戦いによって唐と新羅の連合軍に完敗したあと、日本は唐の侵略に備えて防人の制度を整え、海岸線に水城を築き、国防を整えましたが、待てど暮らせど唐は攻めてこなかった。当時、東アジアで唐に服属していなかったのは日本一国でした。なぜ来なかったのか、理由はわかりません。  明代に中国は南シナ海から東アフリカにいたる7度の大航海をしますが、一度も日本にやってきていません。3日ほどの航海で日本列島に着くんですから、長崎沖あたりに艦隊を並べ、その威容を見せつけても別にいいと思うんですけれど、その手間を惜しんだ。  現在中国政府が進めている「一帯一路構想」もそうです。陸路はかつて張騫や李陵がたどった西域ルートですし、回路は鄭和の大航海のコースそのままです。ですから、南シナ海沿岸は歴訪するけれど、東シナ海を東進するというアイディアはない。  中国が日本列島に関心を寄せた唯一の例外は元寇ですが、これはモンゴル族のしたことです。理由は分かりませんが、どうやら漢民族は東海には関心がないらしい。  日本は卑弥呼の時代から明治維新まで、形式的には中華帝国の冊封を受けていた。全歴史の90%以上を中華帝国の辺境自治国として過ごしてきたということです。さいわい、その間に日本は中国に植民地化されもせず、奴隷化されたこともなく、軍隊が常駐したことも不平等条約を強いられたこともなかった。ですから、この後どこかの時点で日本が中華帝国の辺境に「戻る」ことがあったとしても、それは歴史的に言えば決して「異常事態」ではないということです。

◆韓国・台湾とともに安保条約の見直しを

 
 

―― 日本がアメリカからも中国からも独立する方法は考えられませんか。 内田:日本が近代的な主権国家としてふるまっていられたのは、明治維新から1945年の敗戦までの77年だけです。その特権に与ることができたのはアメリカの南北戦争のおかげだと思います。1853年にペリー艦隊が日本にやってきた時点では、アメリカには日本を植民地化する意図があったと思います。捕鯨船の補給基地としての開港を求めるという手口はのちにアメリカがのちにハワイを併合したときにも使いました。米西戦争では謀略で戦争を仕掛けて、キューバとフィリピンを手に入れました。同じことが日本列島でも行われなかったということは言い切れない。  日本にとって幸運だったのは、幕末の日本の弱体化に乗じてアメリカが日本進出をしようとしたまさにその時に米国内で南北戦争が勃発したことです。そのため、アメリカは国内問題に集中せざるをえなくなった。その間に日本国内の幕府と薩長の対立にイギリスやフランスがそれぞれの帝国主義的下心をもって入り込んできたので、アメリカの入る余地がなくなった。  それに日本人には近代化を急ぐ理由がありました。宗主国である清朝がアヘン戦争から後、あっという間に列強に蚕食されたのを目の当たりにしたからです。中国ほどの大国がこれほど容易に植民地化されてしまったのですから、超高速での近代化以外に日本の生き残る道はないと悟ったのです。  ですから、明治維新から77年間、日本が主権国家であったということの方がむしろ「奇跡」だったと言ってよいと僕は思います。英米仏にロシアを加えた帝国主義列強がおたがいを牽制していたためにできた一種の地政学的「真空地帯」に日本列島はあった。そこで得た「空き時間」の間に、日本人は幕末の動乱を切り抜け、近代国家を作り上げることができた。 ―― とすると、当時と似たようなパワーバランスを回復できれば、日本は独立国家になれるということですね。現在は当時と真逆で、アメリカの没落、中国の台頭という状況にあります。 内田:理論的にはアメリカの没落と中国の勃興という19世紀とは逆の動きによって、東アジアに地政学的な「真空地帯」が生まれる可能性はあり得ます。とはいえ、日本一国だけでは大国の干渉を退けることは困難です。日本と韓国、台湾、香港が「合従」して、東アジア共同体を構築することが最も合理的な解だと僕は思っています。  日本と韓国と台湾と香港の四つの政治単位は民主主義という同一の統治理念を共有していますが、それだけではなく、この四つの社会はいずれも直系家族制です。直系家族制というのは、子のうち1人だけが親の家にとどまり、家産や職業を継承する仕組みですが、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッドによれば、家族形態が同型的であれば、めざす社会のあり方についてのイメージも同型的なものになる。  同じアジアの国ですが、中国は違います。中国は外婚制共同体家族制です。息子たちは全員親元に残って、大家族を作る。この家族制を持つ国は、中国、ロシア、ユーゴスラヴィア、ブルガリア、ハンガリー、ベトナム、キューバなどで、20世に生まれたすべての共産主義国家はこの家族制の社会でした。  秦は共同体家族制、それと対立した東方六国は直系家族制でした。つまり、「合従連衡」は単なる地政学的なオプションだったのではなく、無意識のうちに東方六国は自分たちが求める国家像に共通点があることを認識していたのです。同じことが21世紀に起きても不思議はないと僕は思っています。  ですから、日米安保条約の見直しについても、日本単独ではなく、韓国や台湾と連携しつつ、朝鮮半島から台湾にいたるラインを「中立地帯」とするというかたちでの日米安保条約の見直しは理論的には可能だと僕は思っています。 (12月4日インタビュー、聞き手・構成 中村友哉) うちだたつる●神戸女学院大学名誉教授。Twitterは@levinassien

げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

 HARBOR BUSINESS online 【政治・経済】 2019年12月23日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米安保】:「宗主国なき属国」という最悪の形態 ①

2024-12-21 23:51:10 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【日米安保】:「宗主国なき属国」という最悪の形態 ①<内田樹氏>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米安保】:「宗主国なき属国」という最悪の形態 ① <内田樹氏>

◆揺らぎつつある日米同盟。日米安保条約の正体

 
 

 日米安保条約改定から60年を迎えようとしている今、日米同盟が大きく揺らぎつつある。  アメリカのトランプ大統領は以前から在日米軍の撤退をちらつかせるなど、日米安保を軽視する姿勢を見せてきた。最近では駐留経費の負担を増やすように要求してきている。「「米軍に駐留してほしければもっとカネを出せ」という態度は、とても同盟国のものとは思えない。 『月刊日本 2020年1月号』では、揺らぎつつあるニチベイ安保について、「日米安保条約の正体」と題した特集を組んでいる。今回はその中から、思想家、内田樹氏の論考を転載・紹介したい。

日米関係イメージ

たわばう / PIXTA(ピクスタ)

◆アメリカの自己都合によって作られたシステム

 
 

―― 2020年で日米安保条約改定から60年になります。アメリカから日米同盟を軽視するような発言が聞こえるいま、改めて日米安保のありかたを考える必要があると思います。 内田樹氏(以下、内田):日米安保条約について議論する際には、個々の条文を取り上げて、その適否や有効性を議論してもあまり意味がないと思います。それよりは、どうしてこのような条約が締結され、今に継続するに至ったのか、その歴史的な文脈を見ないと日米安保の本質は見えてきません。  当時の経緯を振り返ると、第二次世界大戦終結後、日本の占領政策を決定する極東委員会は、天皇制の廃止を検討していました。アメリカ国内での世論調査でも昭和天皇を裁判にかけて刑に処すべきだという意見が7割に達していました。しかし、マッカーサーの現場感覚では、ここで天皇を法廷に引き出し、天皇制の存否の議論を始めると、日本統治が難しくなることが分かっていた。すでに東西冷戦が始まっており、朝鮮半島情勢も不安定でしたからアメリカには日本の治安維持のために何万もの軍人や行政官を送り込む余裕はありません。  とはいえ、「アメリカの抱え込む統治コストを削減するために天皇制を維持する」という理屈では国際社会を説得できない。そこで、仮に天皇制を残しても、日本が今後国際社会にとって脅威になる可能性が一切ないことを示すために、戦力も交戦権も持たない国にしたのです。これが憲法9条2項の意味です。天皇制存続と戦争放棄はバーターされていた。  しかし、直近まで東アジア最大の軍事国家であった日本の軍事力が突然ゼロになってしまうと、地政学的な不安定が生じる。なにより日本列島の防衛が不可能になる。ソ連は直前まで北海道に領土的野心を示していましたから、領土喪失のリスクは確かにあった。そこで、日本政府の要請に応えて米軍が駐留するというかたちで米軍駐留を正当化する日米安保条約が成立した。日米安保条約は天皇制維持・9条2項と三点でセットのものです。アメリカのこの時点での国益を最大化するために選択された一種の「不平等条約」です。  アメリカの国益最大化のための条約ですから、日本に米軍を駐留することのコストとベネフィットを按配して、損が多いと判断すれば、米軍は日本から引き上げるでしょう。トランプは「米軍に駐留してほしかったらもっと金を出せ」と言っています。それは今のアメリカは日本に米軍を駐留させる特段の必然性はないという考え方に多くのアメリカ市民が同意しているということを示しています。  そもそも現代は人間ではなくAIが戦争の中心ですから、沖縄の海兵隊のような原始的な兵科の有用性は減じている。  日本国内の日米同盟基軸論者たちも、内心ではアメリカが日本を見捨てるリスクを考え始めていると思います。だからこそ彼らはアメリカにとっての日本の軍事的有用性を必死にアピールしようとしている。特定秘密保護法案や安保法制はどちらも「米軍が日本列島でより活動しやすくする」ための出血サービスです。

◆日本人がベトナム戦争に感じた「やましさ」

 
 

―― 最近ではアメリカから「駐留経費をもっと出せ」などと言われても、安保批判や安保見直しの声があがることはほとんどありません。しかし、60年安保や70年安保の際には日本でも激しい安保闘争が繰り広げられていました。 内田:60年安保の時には、ふたたび日本人が今度は米軍の「二軍」として戦場に送られるのではないかという直接的な恐怖がありました。戦争が終わってからわずか15年ですから、「もう二度と戦争はしたくない」、「アメリカの戦争に巻き込まれるのはごめんだ」という厭戦気分は市民の間に非常に強かった。だからこそ、あれほど多くの人たちがデモに参加したのだと思います。ふだんは政治にかかわりをもたない町の蕎麦屋や魚屋までが「本日休業」の張り紙をして、デモに行った。あれほど多くの市民が参加した政治闘争は、日本近代史上では、後にも先にも60年安保が唯一のものでしょう。  逆に、70年安保闘争時点では、市民の間に「戦場に送られる恐怖」はもうほとんど感じられませんでした。あれは、本質的にはベトナム反戦闘争だったと思います。僕もリアルタイムで70年安保闘争の現場にいたので記憶していますが、運動の駆動力になっていたのは「やましさ」でした。日本は米軍の後方支援基地として戦争に加担し、戦争特需によって大きな利益を得ていました。いわばアジア人民の膏血を絞って経済的利得を手にしていたのです。  一方、ベトナムは最新鋭の武器を持つ世界最強国を相手に本土決戦を行い、アメリカを打ち負かしました。このことも日本人に深い「恥の感覚」をもたらしたと思います。大日本帝国はベトナムよりはるかに強大な軍事力を持ち、数百万人の兵士を擁して、「本土決戦」をむなしく呼号しながら、アメリカに屈服した。それに比べて、日本よりもはるかに国力で劣るベトナムが、日本が戦った当時よりもさらに強大になった米軍に対して一歩も引かず戦い抜いている。そのことにもいても立ってもいられないほどの恥かしさを感じていた。

◆「永続属国体制」の確立

 
 

―― なぜ当時のような安保反対の声がなくなってしまったのでしょうか。 内田:変わったのは小泉政権以降だと思います。小泉政権はアメリカに対して「のれん分け戦略」をとっていました。対米従属を通じての対米自立という自民党の伝統的な対米戦略ですが、小泉政権はそれをさらに徹底させ、誤った政策を含めて、アメリカの全政策を支持するという極端な対米従属を実施した。そうすることによって、アメリカからイーブンパートナーとして信頼され、「これからはお前も独立して、自分の店の主となって、あとは自分の才覚で商いをしなさい」という許諾をいただくというのが「のれん分け戦略」です。  当時のアメリカ大統領はジョージ・W・ブッシュアメリカ史上最も無能な大統領の一人でした。彼は国際社会では評価されず、国内でも支持率が低かったにもかかわらず、小泉首相はその政策のすべてを支持するという荒業により、かつてないほど親密な日米関係を築きました。そして、その信頼関係をベースにして、アメリカと「五分の盃」に持ち込んで、事実上の対米自立を果たすことができるのではないか・・・と考えて、2005年に日本は国連安全保障理事会の常任理事国へ名乗りを上げます。安保理でアメリカと机を並べ、国際社会をリードすることでアメリカからも一目置かれる存在になることを夢見たのです。  でも、結果は惨憺たるものでした。アジアで日本の安保理入りを支持してくれたのは、ブータンとモルディブ、アフガニスタンの3か国だけだったのです。国際社会は日本が常任理事国入りしてもアメリカの票が一票増えるだけだと考えた。アメリカに完全従属することで日本はたしかにアメリカの信頼を獲得したわけですけれど、それとトレードオフで国際社会からの信頼を失った。こうして、政治大国化することで対米自立を果たすという「のれん分け戦略」は無残な失敗に終わりました。この時点でもう日本には対米自立のためのカードがなくなったのです。  その後、2009年に鳩山政権が誕生して、沖縄米軍の基地の県外・国外移転を求めたとたんに、日本の日米同盟基軸論者たちが襲い掛かって、彼を政権の座からひきずり下ろしました。これは別にアメリカが主導したものではないと思います。日本の「対米従属マシーン」が発動したのです。外務省や防衛省、さらには検察までをフル動員し、鳩山・小沢という対米自立論者の政治生命を奪おうとした。  この時点で、日本のエスタブリッシュメントはもう対米自立という国家目標を放棄したのだと僕は思います。もう永遠にアメリカの属国として生きていくという覚悟を固めた。その永続属国体制を前提に、属国内部で出世して、個人的な利益をはかるという方向に目標を下方修正した。  その帰結が現在の安倍政権とそれを取り囲む縁故政治受益者たちの群れです。彼らにはもうアメリカから独立して、国家主権を回復するような壮図はありません。属国体制を永続させ、その中でどれだけ自分が「いい思い」をできるか、それだけを考えている。  さらに深刻なのは、「もう属国のままでいい」というこの堕落した指導者たちを日本の有権者が支持しているということです。有権者たち自身がすでに属国民マインドを深く内面化してしまった。内閣支持の理由の第一は「安倍さんしかいないから」というものですが、それは「ホワイトハウスが安倍政権を信認しているから」という意味です。日本の統治者の最優先の資格は「宗主国の王様に属国の代官として認証されていること」だと有権者自身が信じているのです。

 

(12月4日インタビュー、聞き手・構成 中村友哉) うちだたつる●神戸女学院大学名誉教授。Twitterは@levinassien

げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

 HARBOR BUSINESS online 【政治・経済】 2019年12月23日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説・12.20】:嘉手納 降下訓練が最多 合意順守は日米の責任

2024-12-21 04:01:40 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【社説・12.20】:嘉手納 降下訓練が最多 合意順守は日米の責任

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.20】:嘉手納 降下訓練が最多 合意順守は日米の責任

 嘉手納町や北谷町、県が中谷元防衛相に中止を要請した直後に、米軍は嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を強行した。  

 嘉手納基地での降下訓練は、これで今年9回目。年間最多だった2019年の4回を大きく上回った。もはや訓練は「例外」ではなく完全に「常態化」している。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長代理の當山宏嘉手納町長は「住民の安全と平穏な生活を守る立場から、訓練の中止」を強く求め、玉城デニー知事も「県民の思いを踏みにじるもの」と強く批判した。

 読谷補助飛行場で実施していたパラシュート降下訓練は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、伊江島に移すことが合意された。

 しかし、2007年の日米合同委員会で「自然条件などの制約によって伊江島の使用が困難な例外的な場合、定期的でない、小規模の訓練は嘉手納基地を使用できる」とした合意が交わされた。ただ、この例外規定は地元の了解も得ず、説明もされない「密約」だった。

 具体的な運用は全て米軍の裁量に委ねられているのが現状だ。米軍は伊江島補助飛行場の滑走路の改修工事を理由に挙げるが、完了までに1年近くかかる可能性もある。滑走路の改修を計画的に実施してこなかった責任は米軍にある。

 相次ぐ訓練強行は明らかに日米合意に反している。 政府同士の合意をいとも簡単に覆すことは、住民の信頼をも失うものだ。

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 パラシュート降下訓練を住宅密集地や国道が隣接する嘉手納基地で実施することは危険というほかない。

 米政府監査院(GAO)がまとめた12~22米会計年度の米軍特殊作戦部隊の事故に関する最新報告書で、発生件数が最も多いのはパラシュート降下訓練関連だった。期間内の事故3624件のうち、パラシュート関連が972件に上った。

 事故原因の約86%は「訓練基準の順守失敗」など人為的ミスだった。事故はいつでも起こり得る。

 風に流されて民間地域に兵士や物資が落下すれば、大惨事につながりかねない。

 リスクの高い降下訓練を「例外」を盾に、嘉手納基地で続けることは、地元住民の安全をないがしろにするものだ。

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 戦闘機の深夜早朝の激しい爆音、無人偵察機MQ9の配備、悪臭や環境汚染問題など、嘉手納基地周辺住民の負担は増している。

 伊江島補助飛行場の滑走路の不具合などを理由に米軍の「例外的」との主張を追認している日本政府の責任も問われる。

 日米両政府は、地元の懸念を払拭するためにもSACO合意の原点に立ち返り嘉手納での降下訓練を全面的に中止すべきだ。どうしても訓練が必要というなら伊江島補助飛行場の滑走路改修が完了するまで県外・国外に移転するべきだ。

 例外を常態化することは、許されない。

 元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌・12.21】:条理と不条理

2024-12-21 04:00:40 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【金口木舌・12.21】:条理と不条理

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.21】:条理と不条理 

 「条理」とは物事の筋道や道理を指す。明治時代の布告「裁判事務心得」は成文法がない場合は慣習法、慣習法がない場合は条理に基づき判断することを求めた。法の隙間は条理で埋めたのだ

 ▼米兵事件の被害者遺族が、SACO見舞金を巡り遅延損害金を含む賠償を求めた訴訟で、最高裁は上告を棄却し、遺族側の主張を退けた。しかし、制度で遅延損害金が除外されることについて、三浦守裁判長は「不合理」と意見した

 ▼三浦氏は2009年から1年間、那覇地検の検事正を務めた。当時、米兵によるひき逃げ死亡事件があった。日米地位協定により起訴前の身柄引き渡しを求めることができない上、米兵は供述を拒否し、捜査は難航した

 ▼民主党政権が誕生し、米軍普天間飛行場の代替施設を県外に求めたのもその頃だ。県民の願いと政権の方向性が一致しても、辺野古移設に回帰した

 ▼「現在もなお重要な犯罪行為が繰り返されている沖縄県の住民の負担を真に軽減することは、国政の重要な課題である」。沖縄に横たわる司法、立法、行政の不条理を突く三浦氏の意見に一筋の条理を見る思いがした。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年12月21日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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