路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説①・12.16》:認知症の基本計画 理念実現の道筋示さねば

2024-12-17 02:05:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

《社説①・12.16》:認知症の基本計画 理念実現の道筋示さねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.16》:認知症の基本計画 理念実現の道筋示さねば

 認知症になっても安心して自分らしく暮らせる。そうした社会の実現に向けた一歩にしたい。

 政府が「認知症施策推進基本計画」を閣議決定した。今後5年間に取り組む施策の指針となるもので、1月に施行された認知症基本法に基づいて策定された。

基本計画案をまとめた認知症施策推進関係者会議。認知症当事者が出席した=東京都千代田区で9月2日、手塚耕一郎撮影

 特筆されるのは、計画が「新しい認知症観」の考え方を打ち出したことだ。認知症の人も「希望を持って暮らし続けることができる」というメッセージである。

 「痴呆」から呼び名が変わって20年たつものの、「認知症になったら何もできなくなる」といった固定観念は根強い。

 このため、当事者が受診を避けて発見が遅れたり、知られたくないとの思いから社会的に孤立したりしているとの指摘もある。

 国の推計によると、認知症と、その前段階である軽度認知障害の人は、2040年には65歳以上の人の3人に1人を占める。誰でも当事者になる可能性がある。

 今回の計画は、施策を進める上で、認知症の人や家族が参画することを明確にした。

 これまでも当事者の意見は聞いていたが、今後は具体策の企画・立案から、その効果の評価まで、プロセス全体に主体的に関わることになる。

 自治体は施策を進めるための推進計画を策定する。だが、地域によって人員や財政規模は異なる。対策にも格差が生じかねない。国には自治体任せにせず、支援することが求められる。

 医療や介護の体制もかぎを握る。認知症の人の介護が重荷になって、家族が介護離職を迫られるケースは少なくない。当事者と家族の暮らしを守るためには、認知症ケアの知見を持った人材の育成と適切な配置が欠かせない。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月16日  02:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.16】:認知症の基本計画 京滋も当事者中心に立案を

2024-12-16 16:00:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説①・12.16:認知症の基本計画 京滋も当事者中心に立案を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.16】:認知症の基本計画 京滋も当事者中心に立案を 

 認知症になっても希望を持って暮らしていく―「新しい認知症観」が大きく掲げられた。

 今後の認知症施策の指針となる基本計画を政府が閣議決定した。今年1月施行の認知症基本法に基づき初めて策定された。

 計画をまとめる政府の会議には認知症の人らが参画した。当事者を「支える対象」とのみ見なすのでなく、対話し、その経験に学び、共に政策を立案する先例としたことを評価したい。

 基本計画を踏まえ、これから京都府や滋賀県など全国の自治体で地域の実情に応じた計画づくりが始まる。認知症当事者も委員になってもらい、「何もできない人」「介護される人」といった思い込みを取り払って、一緒に作り上げてほしい。

 政府会議で委員を務めた認知症当事者の藤田和子さんは「予防は大事なのだけれど、認知症にならないにはどうしたらいいか、そういう議論ばかりを展開させて国民に示していくのは間違いだと思うのです」と発言した。恐れるのではなく「誰が認知症になっても暮らしていける社会」への変革を投げかけた。

 京都は、草分けの全国組織「認知症の人と家族の会」が本部を置き、20年近く前に「本人会議」が発足するなど、当事者中心の運動を先導してきた。

 基本計画では重点目標に「本人の意思尊重」を据える。安心して暮らせる環境作りに向け、当事者同士で悩みを話し合うピアサポート活動などを一層広め、社会参加や就労などへの支援体制を拡充したい。

 認知症の高齢者は2022年の443万人から、40年に584万人に増えると見込まれる。若年性の発症を含めた支える仕組みの見直しは急務である。

 同会は先週、外出したまま行方不明の人が多いとして、警察庁と厚生労働省に、捜索態勢の全国統一対応や若年性認知症にも対策を広げるよう緊急要望した。戻る場所を見つけられなくなった人の気持ち、帰らない家族を待つ人の心情は痛ましい。

 外出の抑制ではなく、安全な環境と社会での見守りの再構築を急がねばならない。

 意思決定への支援を巡っては、今の成年後見制度では本人の自己決定が必要以上に制限される例があり、法制審議会に見直しが諮問されている。安全や保護を目指す制度が、本人の思いに反する権利侵害につながらないよう、幅広い視点からの点検が欠かせない。

 不足が著しい介護職の待遇改善や育成、多様な介護家族への支援といった行政施策も一段と踏み込むべきだ。

 国は、場当たりな介護保険の負担増や給付削減で現場を振り回すことを慎んでもらいたい。

 「徘徊(はいかい)」といった表現は、認知症の人が無目的に行動していると誤解を与えるとの指摘もある。新しい認知症観をさらに磨き上げ、社会で共有したい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月16日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.16》:サ高住での不正 背後の構造的問題に目を

2024-12-16 09:31:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

《社説①・12.16》:サ高住での不正 背後の構造的問題に目を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.16》:サ高住での不正 背後の構造的問題に目を 

 飯山市のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に暮らしていた70代男性が、預金8千万円余を元所長らに横領されたとして運営会社などを提訴した。

 男性は2017~21年に入居。認知症で意思疎通が難しく、近くに親族もおらず、複数の預金口座の通帳などを施設に預けていた。

 運営会社は請求棄却を求めて争う方針だが、元所長は横領をおおむね認めているという。県は立ち入り検査を行う方針だ。

 この問題の背後に、支援や介護の必要な高齢者の住まいを巡る国の政策の貧弱さがある。構造的な課題にも目を凝らしたい。

 高齢になって自宅での暮らしが難しくなった時、住み替え先の候補として挙がるのが、サ高住と有料老人ホームだ。

 サ高住はおおむね60歳以上向けの民間の賃貸住宅。バリアフリー構造で、「安否確認」と「生活相談」を提供する。基本的には自立や要介護度の低い人が対象だ。

 有料老人ホームも多くは民間の運営で、サービスや費用は個々に異なる。介護付き有料ホームもあるが、要介護度が重くなると退去を求められる施設もある。

 中重度の要介護者の「終(つい)のすみか」として本来想定されるのは、特別養護老人ホームだ。介護保険施設で職員の配置も手厚い。

 だが入所待機者が多い上、厚生労働省は15年度に入所を「要介護3以上」に限った。介護保険財政の抑制のため、要介護度の低い人は在宅へ―との方針だ。

 ところが地域の在宅介護の基盤は細っている。サービスの公定価格である介護報酬は低めに抑えられ、現場は低賃金による人手不足に苦しんでいる。今春には訪問介護の基本報酬が切り下げられ、事業者の撤退に拍車がかかった。

 在宅では暮らせず、特養には入りたくても入れない。サ高住や有料ホームが、そうした要介護者の“受け皿”となっている側面がある。やむを得ず施設側が認知症の入居者らの財産管理をするケースも少なくない。

 施設側の財産管理を外部がチェックする仕組みはない。認知症や身寄りのない高齢者の財産管理や意思決定支援として成年後見制度があるが、周知は進んでいない。

 今回、問題が発覚したのは市地域包括支援センターの的確な対処によるところが大きい。日常的に高齢者と関わるケアワーカーや支援センター、行政の対応が鍵になる。現場の人手不足の解消とサービス基盤の立て直しが急がれる。厚労省の責任は重い。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月16日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・12.15】:認知症基本計画 本人参加できる街を作れ

2024-12-15 05:03:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【主張②・12.15】:認知症基本計画 本人参加できる街を作れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.15】:認知症基本計画 本人参加できる街を作れ 

 政府は、今後の認知症施策の指針となる「基本計画」を閣議決定した。

 「誰もが認知症になり得る」として、認知症の人の意思の尊重を掲げ、社会参加の機会の確保や、意思決定の支援など推進すべき12の施策を挙げた。

 これからが正念場だ。理念を掲げても、実現の方策が不十分なら絵に描いた餅でしかない。理念を体現したサービスや地域社会を作っていくことに全力を挙げてほしい。

 認知症は人によって症状に違いがあるが、何よりも重要なのは、本人の意向をしっかりくみ取る努力をすることである。本人の意向と家族の希望が異なることもある。各自治体の担当者らは親身になって認知症の人と対話しなければいけない。

 都道府県や市町村は、基本計画を基に推進計画を作成することが求められている。認知症の人が抱える課題や不都合を把握し、地元の介護事業者やNPO法人、企業、ボランティアグループなどと協力して真剣に解決策を考えてもらいたい。

 地域によって進捗(しんちょく)に差が出る可能性がある。厚生労働省は、認知症の人が全国のどこに住んでいても、住み慣れた土地で周囲とつながり、希望を持って暮らしていけるよう、自治体を支援しなければならない。

 認知症と、その予備軍とされる軽度認知障害(MCI)の高齢者は、令和4年の約1千万人から22年には約1200万人に増えて、高齢者の3・3人に1人を占める見通しだ。

 介護保険などの公的サービスだけでは到底行き届くまい。認知症の人と家族が不安なく暮らせる街づくりが急務である。

 一部の自治体では、認知症の当事者が体験や要望を語り合う「本人ミーティング」が始まっている。意思を表明する後押しになるだろう。

 当事者の声を生かし、居場所や社会参加の機会を作っていくことが重要だ。介護事業者の中には、本人の希望を聞き、地元飲食店で野菜の下ごしらえを手伝ったり、保育所などで読み聞かせをしたりする機会を作っているところもある。やりがいや達成感につながるはずだ。

 取り組みの裾野を広げ、認知症の人が当たり前に参加できる多様な場を作ることで周囲の人にも理解が進む。誰にとっても住みやすい街になるだろう。 

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.13】:新しい認知症観 支え合う社会の出発点に

2024-12-13 06:05:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説・12.13】:新しい認知症観 支え合う社会の出発点に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.13】:新しい認知症観 支え合う社会の出発点に 

 物忘れや徘徊(はいかい)を繰り返す高齢者と介護する家族を描き、高齢化社会へ問題提起した有吉佐和子さんの小説「恍惚(こうこつ)の人」が発刊されたのは1972年だった。認知症という言葉はまだなかった。

 半世紀以上が経過し、日本の人口が減る中で、認知症になる人は増え続けている。みんなで支え合う仕組み作りを急がなくてはならない。

 認知症施策の指針となる基本計画が閣議決定された。1月施行の認知症基本法に基づき、初めて策定した。

 厚生労働省によると、認知症の高齢者は2040年に584万人に上る。前段階の軽度認知障害と合わせると約1200万人で、高齢者の3・3人に1人となる見通しだ。

 認知症は誰もがなり得る。人ごとでない。基本計画は冒頭に「新しい認知症観」の普及を打ち出した。

 認知症になってもできること、やりたいことがある。本人の意思が大切にされ、住み慣れた地域で生きがいや希望を持って、安心して暮らせるという考え方だ。人権の尊重が根底にある。

 まずは、私たち一人一人が自分のこととして認識を新たにしたい。将来への備えにもなるだろう。

 計画策定には認知症の人や家族が議論に加わった。「何も分からなくなってしまう病気」といった偏見や誤解をなくし、共に支え合う社会にしたい。そうした意見を計画に反映させた。

 基本法は地域事情に応じた計画を自治体に求めている。国と自治体は協力し、認知症の人が利用する移動手段や施設のバリアフリー化、相談体制の充実、社会参加の機会創出などに努める。

 福岡市は具体的な取り組みを進めている。昨年9月に認知症フレンドリーセンターを開設した。認知症の人と家族が気軽に立ち寄れる交流や支援の拠点施設で、当事者が企業の商品やサービスの開発に携わったり、支える側に回ったりする機会も提供する。

 市民が理解を深める場所でもある。視野が狭く、案内表示や障害物に気付きにくい特性が疑似体験でき、介護の注意点を学べる。

 当事者の視点はまちづくりに欠かせない。市は認知症の人が分かりやすい表示、床と壁の色分けによる動線やトイレの案内を地下鉄の駅に導入した。にぎやかな構内で混乱しないように、防音材を使って周囲の音もできるだけ小さくしている。

 施設を訪れた人は開設から1年余りで1万人を超えた。市の予想をはるかに上回る数字に、認知症への関心の高さがうかがえる。

 認知症の人が安心して暮らせる社会は、きっと誰にとっても住みやすいはずだ。新しい認知症観を幅広い年齢層の人と共有したい。

 併せて介護や福祉に従事する専門職の待遇を改善し、最前線で支える人を確保しなければならない。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月13日  06:00:00  これは2自で判断下さい。

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【社説②・12.02】:ペットと高齢者 世話が難しくなる時も考えて

2024-12-02 05:00:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説②・12.02】:ペットと高齢者 世話が難しくなる時も考えて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.02】:ペットと高齢者 世話が難しくなる時も考えて

 ペットを飼うことで、生活に安らぎを得る人は多いだろう。ただ、高齢者の場合は、病気などで世話が難しくなるケースもある。そうした事態に備えることも大切だ。 

 一般社団法人ペットフード協会の昨年の調査によると、全国で飼育されている犬は680万匹、猫は900万匹で、ペットを飼っている世帯は全体の1割に上る。

 高齢者に犬や猫を飼う効果を尋ねたところ、「生活が楽しくなった」「心穏やかに過ごせる」との回答が目立ったという。

 犬の飼い主は、飼っていない人に比べて認知症のリスクが40%低いという研究結果もある。犬の散歩で運動する習慣がつくうえ、その際に出会う飼い主同士で会話が生まれやすいためだとされる。

 独り暮らしの高齢者が増えている。かけがえのない家族として愛情を注ぐ人も多いに違いない。

 ただ、高齢化に伴って、体力が衰えたり、病気やケガで入院したりして世話ができなくなることもあるので、注意が必要だ。

 動物愛護管理法は、ペットが寿命を終えるまで適切に飼育するよう求めている。餌やりやトイレといった身の回りの世話に加え、感染症対策や不妊手術など飼い主が果たすべき役割は少なくない。

 日常生活を問題なく送れる健康寿命の平均は、男性が72歳、女性が75歳とされる。一方、犬や猫の平均寿命は15年前後だ。

 ペットも晩年は介護を要することが珍しくない。自分の年齢を踏まえ、面倒を見切れるかどうか、飼う前によく検討してほしい。

 犬や猫を飼うと、餌代や医療費などで1匹あたり250万~150万円程度の費用がかかる。金銭的な負担についても、事前に考えておくことが大事だ。

 高齢になるほど、寿命の長い子犬や子猫を飼い始めるのは難しくなる。そうした場合は、成犬や成猫を迎えることも検討したい。

 飼い主は、自身の入院や死亡といった事態に備えておく必要がある。親族に頼むなど、あらかじめペットを託す先を決めておくべきだ。有料で世話をしてくれる施設や、新たな飼い主を探してくれる団体に相談する方法もあろう。

 ペットが増えすぎて面倒を見られなくなる「多頭飼育崩壊」が問題化している。飼い主と連絡がつかず、家には80匹近い猫や排せつ物が放置されていた例もある。

 各自治体は高齢者宅を訪問する介護事業者らと連携し、実態把握に努めてもらいたい。飼い主が相談できる仕組みも欠かせない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【石破首相】:人口減克服へ「若い人や女性に選ばれる地方を作る」…男女間の賃金格差是正など訴え

2024-11-30 21:10:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【石破首相】:人口減克服へ「若い人や女性に選ばれる地方を作る」…男女間の賃金格差是正など訴え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相】:人口減克服へ「若い人や女性に選ばれる地方を作る」…男女間の賃金格差是正など訴え

 石破首相は30日、鳥取市で開かれた「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演し、人口減少の克服に向け、「若者や女性に選ばれる地方づくり」の重要性を訴えた。男女間の賃金格差是正や、多様な正社員制度の導入を目指し、看板政策の地方創生を強力に推し進める考えも示した。

 ■単身世帯、2050年に27都道府県で4割超…高齢者の生活支える医療・介護の体制作り急務

「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影
「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影

 首相は講演で、少子化と人口減少が進む背景として、若者や女性が都市部に流出する「社会減」と、出生数が減少する「自然減」が絡み合っていると説明した。その上で、「若い人や女性に選ばれる地方を作ることが、新しい地方創生の核心だ」と述べ、若年層や女性にとって魅力ある働き方や職場を地方で実現する必要性を強調した。 

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 具体策としては、〈1〉賃金格差の是正〈2〉正規雇用化の推進〈3〉結婚や出産を機に女性の正規雇用率が下がる「L字カーブ」の解消〈4〉男性の育児休業取得推進――を打ち出した。

 男女間の賃金格差を巡っては、従業員に格差はないという経営層の「無意識の思い込み」が要因の一つだと指摘し、経済界に「本当に男女の賃金格差はないのか、検証しよう」と呼びかけた。

「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影
「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影

 正規雇用の拡大に向け、多様な働き方の実現も訴えた。「短時間正社員制度」の導入を挙げ、「働く時間の長さが正規雇用の条件みたいに言われるが、色々な事情で短時間の就労を希望する人の思いを実現したい」と語った。

 初代地方創生相を務めた首相は、地方創生関連の交付金を当初予算ベースで倍増する目標を掲げており、産業界や金融機関、労働団体、報道機関を加えた「産官学金労言」に対し、総力を挙げて地方創生に取り組むよう求めた。

 首相が就任後、地元の鳥取に入るのは初めて。フォーラムは、人口減少に警鐘を鳴らす民間有識者らのグループ「人口戦略会議」のメンバーや鳥取県などでつくる実行委員会が主催した。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・石破政権・「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」・人口急減に向けた対策】  2024年11月30日  21:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・11.27】:高齢者の労災 防止へ法的な取り組みを

2024-11-27 06:05:50 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説・11.27】:高齢者の労災 防止へ法的な取り組みを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.27】:高齢者の労災 防止へ法的な取り組みを

 多くの高齢者が働くようになり、労働災害も増えている。安心して働ける安全な職場環境を速やかに整備しなくてはならない。

 厚生労働省によると、雇用者全体のうち60歳以上の割合は年々増え、2023年には18・7%に上っている。

 一方で労災による死傷者数(休業4日以上)は60歳以上が29・3%にも達し、高齢者が労災に遭いやすい傾向がある。労災発生率も60歳以上は30代に比べ男性が約2倍、女性が約4倍になっている。命に関わる事態であり見過ごせない。

 人手不足が進み、事業者が高齢の働き手に頼っている現状がある。慣れない職場に配置されたことに起因する事故も増えている。

 具体的には男女とも「墜落・転落」「転倒」が多い。工場や建築現場など、危険性が懸念される製造業や建設業に限らない。飲食店のほか社会福祉施設など介護の現場でも、加齢に応じて発生率が高くなる傾向にあるという。高齢になるほどけがは重症化しやすく、休業期間も長くなっている。

 個人差はあるが、加齢とともに筋力やバランス能力など身体機能は低下する。労災増加の大きな要因だ。

 厚労省は20年、働く高齢者の安全確保に関する指針を公表した。

 具体策を例示し、事業者に対策を求めている。通路の段差解消や階段の手すり設置、作業場の照度確保、聞き取りやすい中低音域への警報音の設定などだ。定期的な健康診断の実施や体力チェックの取り組みも挙げている。

 ただ事業者の動きは低調だ。60歳以上が働く事業所は全体の8割近くあるが、高齢労働者の労災対策に取り組んでいるのは2割にとどまる。

 驚くのは指針を知っている事業者が23%しかいないことだ。労災対策に取り組んでいない事業所の半数近くは「自社の60歳以上は健康である」と理由を挙げる。身体機能低下による労災リスクへの理解が進んでいない。

 雇用主は労働者を守る責任がある。まずは高齢労働者の状況を正しく理解し、事故を減らそうという意識改革が重要だ。人手不足で戦力として活用していくのであればなおさらだ。国は指針を周知し、労災対策に取り組むよう働きかける必要がある。

 国は法的な体制の拡充を検討している。現行の労働安全衛生法は、中高年齢者の労災防止のために「適正な配置」のみを努力義務にしている。これではあまりに曖昧で不十分だ。

 指針で示す具体策などを努力義務として、指針に法的根拠を与える改正を目指している。法整備を実効性ある対策への一歩にしたい。

 国は年金受給年齢を引き上げるなど、高齢者の就労を制度面で促してきた。高齢者の実情に応じた労災防止の仕組みを整えるのは当然である。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.26】:単身高齢者増加 孤立生まない仕組みを

2024-11-26 04:01:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説・11.26】:単身高齢者増加 孤立生まない仕組みを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:単身高齢者増加 孤立生まない仕組みを

 2050年、県内では全世帯の半数近くが1人暮らしで、このうち半数が高齢者-。 

 国立社会保障・人口問題研究所が発表した都道府県別世帯数の将来推計だ。

 50年に全世帯に占める1人暮らしの割合が40%を超えるのは、県内(44・9%)を含む27都道府県とする。また、県内(21%)を含む32道府県で65歳以上の高齢者の1人暮らしが2割超となった。

 単身世帯の増加は未婚の人が増え、少子高齢化が進んでいることが背景にある。

 中でも県内では増え方が急だ。20年から50年の30年間の増加率は31%で全国1位。埼玉(24・1%)、滋賀(23・3%)と続く。

 県内では特に男性の未婚率が高い。離婚率の高さも要因となって、1人暮らしが急増していると推測される。

 1人暮らし高齢者の増加率はさらに抜きんでている。

 50年に14万世帯と推計され、20年からの増加率は86・6%だった。全国平均の2倍近い速さで増えることになる。

 75歳以上の後期高齢者の1人暮らし増加率も高い。

 ライフスタイルの変化もあるが、県民所得や持ち家率が全国一低いという経済的要因も複雑に絡んでいるのではないか。

 高齢になれば医療や介護の必要な人が多くなり、見守りが欠かせない。地域で孤独や孤立を生まないよう支え合う体制の整備が必要だ。

             ■    ■

 1人暮らしの高齢者は、社会との接点が減って孤立しやすい傾向にある。

 特に男性高齢者の増加には留意が必要だ。

 地域にうまく溶け込むことができず、定年退職をきっかけに自宅にこもりきりになるという男性は多い。女性に比べて孤立する傾向が強いとされる。

 県内の自治体では民間と協力してテレビを使った双方向の見守りや、配食サービスなどやさまざまな形で高齢者を支援する取り組みが始まっている。

 従来の自治会や民生委員など地域とのつながりに加え、こうした官民による動きをさらに広げ、県内どこの地域に住んでいても孤立することのないようにしてほしい。

 介護保険のデイサービスやデイケアでも、男性が利用しやすいメニューを取り入れるなど工夫を凝らしたい。

              ■    ■

 生き方は多様になっている。生涯1人暮らしを選択するという人も増えるだろう。それぞれが家族以外に頼れる関係性を築いておくことも重要だ。

 今春、国の孤独・孤立対策推進法が施行され、重点計画が決まった。自治体やNPO法人の活動支援、市民ボランティアの養成などを柱とする。

 日本の社会制度は家族がいることを前提としたものがほとんどだ。

 身寄りのない高齢者の意思決定を専門家が支援する成年後見制度など、個人を支える制度の充実を急ぐべきだ。

 元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.23》:単身世代の増加 緩やかなつながり、地域に

2024-11-24 09:31:45 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

《社説①・11.23》:単身世代の増加 緩やかなつながり、地域に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.23》:単身世代の増加 緩やかなつながり、地域に 

 2050年、長野県は3世帯に1世帯以上が1人暮らしになる。このうち半数以上を、高齢者が占める。

 国立社会保障・人口問題研究所がまとめた都道府県別の世帯数将来推計から見えてくる未来の信州の姿だ。

 単身世帯が増えていく。孤独にさいなまれたり孤立に苦しんだりする人が出ないよう、支え合いの体制を整えていく必要がある。

 この先、結婚や出産をしない人が増え、家族や親族の人数自体が減っていくとみられる。生き方も多様化している。

 家族の枠にとらわれず、それぞれの地域で交流や見守りを促す仕組みづくりが欠かせない。自治体と住民で議論を深めたい。

 50年には人口規模の大きな「団塊ジュニア世代」が後期高齢者になっている。バブル崩壊後の就職氷河期に重なり、リーマン・ショックの影響も受けた世代だ。

 非正規雇用や低い賃金のため、結婚や出産を諦める人が少なくない。この悩みは、今の若年世代にも共通する。

 人間関係が希薄さを増す流れは新型コロナウイルス禍でいっそう深刻になった。孤独・孤立は高齢者に限らず、幅広い年代の現在の課題であることを心に留めたい。

 孤独を好む人もいる。個々の生き方を尊重しつつ、見過ごせないのは、自ら声を上げられずに望まぬ孤立に陥ってしまう人だ。

 地域コミュニティーで孤立しがちな人への声がけや安否確認を、工夫できないか。民生委員や自治組織を中心に、プライバシーに配慮しつつ、顔と顔の見えるつながりを柔軟に編み直したい。

 政府や自治体の役割は大きい。孤独・孤立対策推進法が今春施行された。人材育成をはじめ総合的に施策を展開すべきだ。海外では英国がいち早く取り組んでいる。孤独・孤立対策の担当相を置き、かかりつけ医やボランティアと連携した政策などを進める。

 国内では、神戸市の取り組みが参考になる。21年度から局横断で施策をまとめる会議体を立ち上げ、幅広い年代の孤独・孤立問題に対応する体制を整えている。

 高齢の単身世帯の増加に伴い欠かせないのが、支援や介護を必要とする人たちをケアするネットワークの拡充だ。慢性的に不足している担い手の確保が課題になる。

 認知症や身寄りのない高齢者を弁護士や司法書士、社会福祉士らが後見人となり、意思決定などを支える成年後見制度も鍵となる。より使いやすい制度に変えていく必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月23日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.18】:独居高齢者 支える仕組み再構築を

2024-11-21 04:03:05 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説②・11.18】:独居高齢者 支える仕組み再構築を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.18】:独居高齢者 支える仕組み再構築を 

 1人で暮らす65歳以上の高齢世帯の割合は増え続け、2050年には高齢世帯のほぼ半数に達することが国立社会保障・人口問題研究所が公表した都道府県別の将来推計で分かった。
 独居高齢者は孤立や孤独に陥りがちだ。介護や見守りに加え、元気な人でも病気や事故、災害時には支援が必要となる。
 1人暮らしの増加は、家族の支え合いを前提としてきた社会に変革を迫る。誰も取り残さないセーフティーネットを再構築する必要がある。
 全国の総世帯数は30年をピークに減少に転じ、40~50年には全都道府県で減少に向かう。
 道内も20年の247万世帯から50年には202万世帯となる。うち高齢世帯は団塊ジュニア世代が仲間入りする40年に105万世帯にまで増加した後、減少に向かい、50年には100万世帯と、20年から1万世帯増える程度となる。
 このうち1人暮らしは20年の38万世帯から50年には46万世帯となる。心配なのは、75歳以上の後期高齢者の独居が9万世帯増え30万世帯に達することだ。
 高齢者の見守り役である民生委員はなり手不足が深刻だ。民生委員の高齢化も進んでおり、現在でさえ都市部を中心に希薄な地域社会の互助機能がさらに働かなくなる恐れがある。
 人手不足はあらゆる分野での共通問題であり、解消は難しい。効率化の観点から考えられるのは、住宅や病院、介護施設などを一定地域に集めるいわゆるコンパクトシティー化だ。
 ただ集住を進めれば、農村部から人が離れ、耕作放棄地を生むなど負の側面がある。
 住み慣れた土地で一生を送りたいと望む人々は多い。除雪など生活が困難な冬季間だけ集まって暮らす拠点の整備を提言する専門家もいる。自治体と地域住民がひざを交えてまちの青写真を描き、国が実現を支援することが欠かせない。
 推計では、道内の平均世帯人員は50年には1.78人と、東京都と並んで全国最少になる。
 主な要因は現役世代の未婚化だ。厚生労働省が公表した23年の人口動態統計によると、道内の婚姻数は1万7千組余と、戦後で最も少なかった。シングルの高齢者が珍しくなくなる。
 出生数も低下している。今年は全国で初めて70万人を割る公算が大きい。将来の働き手がさらに減ることを意味する。
 若者の雇用環境を充実させ、結婚や出産を希望する人たちを後押ししなければならない。
 若者政策は将来に向けた高齢者政策につながっている。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・11.20】:増える独居世帯 高齢者の「共助」が必要だ

2024-11-20 05:01:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【主張②・11.20】:増える独居世帯 高齢者の「共助」が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・11.20】:増える独居世帯 高齢者の「共助」が必要だ 

 暮らしをめぐるさまざまな手続きや仕組みを、単身高齢者が増えることを前提に見直していくことが必要であろう。

 医療や介護サービスだけでなく、日々の買い物の支援から財産の管理、認知症になったときの意思決定支援、防犯や災害発生時の手助け、亡くなった後の対応まで、考えるべきはあらゆる分野に及ぶ。

介護付き老人ホームでオンライン観光を楽しむ高齢者ら =大阪市内

 国立社会保障・人口問題研究所が都道府県別の世帯数の将来推計を公表した。国勢調査に基づく5年ごとの推計だ。

 第2次ベビーブームで生まれた世代が全員75歳に到達する令和32(2050)年の日本の世帯数は、30年間で310万減少し、5261万世帯になる。全世帯に占める1人暮らし世帯の割合は38%から44・3%に上昇する。半数に迫る勢いだ。

 中でも65歳以上の高齢者の1人暮らし世帯の割合はすべての都道府県で上昇し、全国では13・2%から20・6%になる見通しである。特に高知県、徳島県、愛媛県で高い。

 1人暮らしの高齢者が被害に遭う特殊詐欺や犯罪が頻発しており、高齢独居世帯の防犯対策は喫緊の課題である。個人で対処するには限界があり、地域住民らによる自主的なパトロールや連絡網の充実など、地域で協力して防ぐ態勢を整えることが望ましい。

 懸念されるのは、少子化と未婚率の上昇により、兄弟姉妹や配偶者、子供や孫といった手助けをする近親者のいない人が増えることである。

 一方で、働き手となる世代の減少も顕著に進む。政府や自治体が、すべての単身高齢世帯に医療や介護、生活の支援を不足なく届けることは困難になっている。

 この現実を踏まえ、高齢者自らの努力を促したい。支援を受けることを当然とするのではなく、日頃から近隣住民や同じ趣味を持つ仲間とのネットワーク作りを進めることなどにより、困ったときにはお互いに助け合える関係を作っておくことが重要である。

 高齢者らに一定の地域に移り住んでもらう「集住」も真剣に検討すべき時期だろう。中山間地の一部自治体のなかには、生活に支障をきたす雪の深い時期に複数人での同居を試みるところもある。自助、共助の工夫が求められている。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.20】:「無縁遺体」増加 対策を自治体任せでいいのか

2024-11-20 05:00:40 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説②・11.20】:「無縁遺体」増加 対策を自治体任せでいいのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.20】:「無縁遺体」増加 対策を自治体任せでいいのか

 亡くなった後、引き取り手のない「無縁遺体」が増加している。高齢化に伴い、今後も増えていくだろう。どう対応すべきか、社会全体で真剣に向き合う時期である。 

 総務省が昨年公表した初の調査では、2018年4月から21年10月までに、全国で約10万6000人の無縁遺体が確認された。主な自治体を対象に本紙が調べたところ、22年度までの5年間で30%以上も増加している。

 独り暮らしの高齢者が増えているのに加え、親族がいても関係が疎遠で、遺体の引き取りを拒否する場合が多いためだという。人と人とのつながりが薄れている現代を象徴する事態だと言える。

 独りで亡くなった人の遺体は自治体が親族の連絡先を調べ、引き取りの意向を確認する。親族が見つからなかったり、引き取りを拒否されたりすれば、墓地埋葬法などに基づき自治体が火葬する。

 ただ、親族との連絡に手間取ることもあり、自治体の負担は大きい。名古屋市では、無縁遺体が葬儀業者の保冷施設に3年以上も放置されるトラブルがあった。同じような問題は、どこで起きてもおかしくないだろう。

 厚生労働省の実態調査では、無縁遺体の具体的な取り扱いを定めたマニュアルを作っている自治体は、全体の1割にすぎなかった。対応によっては親族から苦情を言われることもあり、自治体の多くが苦心している。

 連絡すべき親族の範囲や探し方、遺体や遺骨を保管する期間といった具体的な手順について、国は自治体任せにせず、統一的な指針を示すことが必要だ。

 まずは国と自治体、医療や介護の関係者、葬儀業者らが情報交換し、課題を洗い出してほしい。

 65歳以上の単身世帯は、20年の時点では全世帯の13%だったが、50年には20%を超えると推計されている。無縁遺体の問題は、ますます深刻化する可能性がある。

 高齢者自身が生前から、自分の死後に葬儀や遺骨の取り扱いをどうするか、相談できる窓口を設けている自治体もある。

 例えば、長野市は「『おひとりさま』あんしんサポート相談室」を開設し、独り暮らしの「終活」を支援している。老後の生活から死後の手続きまで、頼れる親族がいない人の悩みを聞き、アドバイスしているという。

 単身者が増え、人間関係も希薄になった今、人生の終幕をどのように迎えるのか、一人ひとりが早めに考えておくことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.15】:【独居の高齢者】:孤立防ぐ安心の社会を

2024-11-19 05:02:10 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説・11.15】:【独居の高齢者】:孤立防ぐ安心の社会を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:【独居の高齢者】:孤立防ぐ安心の社会を

 世帯の単身化が止まらない。国立社会保障・人口問題研究所が都道府県別世帯数の将来推計を発表した。2050年には、全世帯に占める1人暮らしの割合が27都道府県で40%を超える。
 とりわけ深刻なのは65歳以上の高齢者が1人で暮らす割合だ。地方を中心に32道府県で全世帯の20%を上回る。最も高いのが高知の27・0%で、徳島25・3%、愛媛24・9%と続き、四国の高さが目立つ。
 未婚の人が増え、少子高齢化で同居する家族の人数も減ることが背景にある。
 誰もが1人暮らしになる可能性がある。安心して暮らせる仕組みづくりが急がれる。
 1人暮らしの高齢者は、配偶者や子どもと同居している人と比べて孤立しやすい。認知機能や体力の低下が進めば、家事や行政手続きなど日常生活で困りごとが増える。孤独死につながる恐れも高まりかねない。暮らしを支える見守り活動の重要性が高まっている。
 見守り活動を担うのは主に地域の民生委員らボランティアだ。頼れる人が近くにいない住民にとっては、同じ目線で話せる身近な相談相手であり、存在そのものが安心感につながる。
 しかし課題もある。担い手の確保が難しいことだ。
 厚生労働省によると、22年度末時点で民生委員は約1万3千人が欠員になっている。高齢期も働く人が増えたことや担い手の高齢化が進んだことが大きな理由だ。
 民生委員は見守りが必要な高齢者らを訪ね、必要に応じて行政や福祉サービスに橋渡しする。そのほか交流サロンの開催や配食サービス、災害時要支援者の把握など役割は幅広い。やりがいを感じる一方で、地域課題が複雑化し負担が増している面もある。
 政府は今年9月に高齢化対策の中長期指針「高齢社会対策大綱」を改定し、多様な選定方法を導入して担い手確保を目指す方針を示している。高知県内では民間企業などとの見守り協定の締結も進む。官民一体となり、地域社会の見守り力を高めたい。
 人手を補うために情報通信技術(ICT)を使った新たなサービスも各地で広がっている。カメラ中継やメールでの安否確認など遠隔で見守ることができる。
 中山間地域では過疎高齢化が深刻で、緊急時の対応が困難な場合がある。仁淀川町では3年前に独居高齢者の「孤独焼死」が起きた。近年は高齢者を狙った事件も相次ぐ。さまざまな手段で対策を進めたい。
 一方で社会保障制度の充実も急務だ。しかし、制度を支える現役世代は減り、介護職などサービスの担い手は不足している。医療や介護の体制維持が難しくなっている。
 国は、高齢者が住み慣れた地域で医療や介護を一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の推進を掲げる。取り残される人を出さない手だてを講じていく必要がある。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.15】:コミュニティーの再生 将来見据えて連帯しよう

2024-11-15 07:00:20 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【社説・11.15】:コミュニティーの再生 将来見据えて連帯しよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.15】:コミュニティーの再生 将来見据えて連帯しよう 

 地域の担い手が確実に細っていく。厳しい現実と未来図を改めて突き付けられた。

 国立社会保障・人口問題研究所は、2050年に全世帯に占める1人暮らしの割合が広島、山口など27都道府県で40%を超えるとの推計を発表した。広島の1世帯人数は今から11年後に2を割り込む。

 65歳以上が1人で暮らす割合も、50年には多くの都道府県で20%を上回る。中国地方5県の今の独居高齢者は10人に1人強だが、50年には5人に1人となる計算だ。

 人口減と高齢化は既にさまざまな問題を引き起こしている。家族に頼れなくなれば、地域とのつながりが重要になる。備えを急ぎたい。

 広島市では昨年度、新たな地域運営組織「ひろしまLMO(エルモ)」の取り組みが始まった。小学校区の町内会や社会福祉協議会が、市の呼びかけに応える形で設立。市から毎年最大で600万円が交付され、地域課題を解決するための活動を展開する。

 安佐北区のエルモ大林は、地域まつりを開いたり、住民の交流スペースを開設したりと精力的に活動する。地区内外の企業やNPO法人も加入。耕作放棄地での米作りや森林保全など、活動内容が多岐にわたるのも特徴だ。

 他の地区でも地元の小中学校や高校と連携したり、暮らしの困り事や移動を支援したり、空き家を仲介したりと実情に沿った活動が目立つ。

 中山間地域の雲南市波多地区では、住民主導の取り組みが根付く。10年前に地区内の小売店がなくなったのを受け、地元のまちづくり組織がミニスーパーを開設した。送迎付きの介護予防サービスや交流施設の管理運営を行政から受託し、住民のニーズに応えている。

 大切なのは、多くの団体や組織が運営に参加することだろう。若者や現役世代を含めた幅広い年齢層が交流を深めることで、高齢化や世代交代に対応できる。自治体職員や町内会長の奮闘だけでは早晩限界が訪れよう。多様な人材を引き込み、生かすことは地域での孤立を防ぐことにもつながるはずだ。

 課題もある。広島市でエルモが発足した地区は47。申請中の地区を含めても69と全学区の半数程度にとどまる。もともと町内会や社協の活動が活発だった地域がエルモに移行するケースが多いようだ。

 都市部や住民同士の交流が薄れた地域でどのようにしてコミュニティーを再生していくか。広島市や中国地方にとどまらず、全ての地方に共通する難題だ。先進事例を基に官民一体で知恵を絞りたい。住民の手に余る部分は、行政が積極的に補うべきだろう。

 近年は1人暮らしや高齢世帯を狙う強盗も相次ぐ。災害も頻発する。趣味や交流サイト(SNS)で簡単に他人とつながれる時代だが、緊急時に役立つのは近場のコミュニティーだ。近所は「近助」でもある。将来に備え、今から連帯を強めておきたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月15日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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