路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政界地獄耳・11.08】:戦勝国になりかねない北朝鮮のウクライナ派兵

2024-11-16 07:40:00 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【政界地獄耳・11.08】:戦勝国になりかねない北朝鮮のウクライナ派兵

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.08】:戦勝国になりかねない北朝鮮のウクライナ派兵

 ★5日、ウクライナのゼレンスキー大統領は北朝鮮兵とウクライナ軍が初めて交戦したと明らかにしたが、同日、米紙ニューヨーク・タイムズも米国とウクライナの高官の話として北朝鮮兵士がロシア西部クルスク州で戦うウクライナ軍と交戦したと報じた。北朝鮮特殊部隊1500人が派兵されたとされるうち、ロシアの第810独立海軍歩兵旅団に40人程度参加し全滅したという情報もある。先月29日、韓国の国会情報委員会国政監査では「派兵された北朝鮮軍はロシア軍事用語の教育を受けているが意思疎通に困難をきたしている」という報告もある。6日、韓国大統領室は「ウクライナとロシアに派兵された北朝鮮軍との間で本格的な戦闘はまだ始まっていない」と情報を否定した。

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        ウクライナ ゼレンスキー大統領(日テレNEWS NNN)

 ★北朝鮮軍のウクライナ派兵情報をいち早く世界に示したのは韓国政府だった。韓国にとっては北朝鮮がロシアへの派兵で韓国の安全保障の脅威は高まる。その兵のレベルがいかほどかに強い興味があるのは当然だろう。ただ交戦を認めれば“対処”しなくてはならず、総合的な情報を必要としている時期だろう。興味深いのはロシアも米国もこの問題に関して沈黙を守っていることだ。

 ★ゼレンスキーから見れば、北朝鮮軍の参戦は西側に脅威を伝える材料となるだろうから喧伝(けんでん)したい情報となる。米ロ韓はその情報を確認することで事態の新局面を迎え、どんな対応をすべきか、これによって東アジアの安全保障が不安定になり、何らかの影響はないかと脅威のリスクの分析を始めるだろう。だがこの北朝鮮兵派兵・参戦情報のタイミングにはいささか政治的な匂いがする。米大統領選挙の日程と極めて密接なことだ。早々にトランプの再選が決まったが、新大統領の存在を無視してこの軍事行動は発動されなかったのではないか。次期大統領ドナルド・トランプはかねて「戦争を終わらせる」としているが、そのシナリオに組み込まれているならば北朝鮮は戦勝国になりかねない。(K)※敬称略

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません4。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年11月08日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.08】:北朝鮮のロシア派兵 侵略への加担は許されぬ

2024-11-09 07:00:40 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【社説・11.08】:北朝鮮のロシア派兵 侵略への加担は許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.08】:北朝鮮のロシア派兵 侵略への加担は許されぬ 

 ロシアによるウクライナ侵攻をさらに長引かせかねない事態であり、許し難い。

 ロシア西部クルスク州で、北朝鮮が派遣した兵とウクライナ軍が初めて交戦したと、米有力紙が報じた。ウクライナ軍が越境攻撃をしている地域で、北朝鮮兵はロシア軍部隊と戦闘に参加し、死者も出したとしている。

 北朝鮮は派兵を否定せず、「国際法上の規範に符合する行動だ」と表明した。今年6月にロシアと締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づく正当な軍事協力だという主張だ。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻は武力で他国の領土を奪おうとする国際法違反だと、国連決議で断じられている。

 派兵は侵攻に加担する行為である。日本を含む先進7カ国(G7)の外相らが声明で指摘したように、十分に国際法違反になり得る行為だと、まず自覚すべきだろう。

 北朝鮮とロシアの軍事協力がこれ以上深まれば、朝鮮半島情勢にも影響を与えかねない。東アジアの緊張が高まるのは必至で、国際社会を挙げて速やかに対処すべきだ。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は声明で「世界の不安定化の新たなページを開く」と述べた。28カ月と長期に及ぶ紛争が「国際化」しつつあるとの認識だろう。

 部隊の参戦はアジアの国まで交戦の当事者となったことを意味する。韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は、ウクライナへの直接の兵器支援を「排除しない」とし、これまでの欧米への武器供与という間接支援からの転換に踏み込んだ。

 派兵は12千人に上るとされ、北朝鮮の海外派兵は過去最大となる。ただ、ロシア語を使えず、現地の地理に詳しくない北朝鮮兵の戦力は未知数だ。多くの犠牲者が出るのは避けられない。

 それでも金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記にとっては見返りが大事なのだろう。北朝鮮は米本土まで届く長距離ミサイルや核弾頭の開発で技術支援を求めたとされる。先月に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は新型で高度は過去最高、飛行時間も最長だった。7回目の核実験も準備しているもようだ。体制維持のため、米国を意識して軍備増強する路線は変わりそうにない。

 ロシアは自軍の死傷者が数十万人に上り、兵員不足に直面している。北朝鮮からこれまでの弾薬に加え、兵力の提供を受けることは、世論の懸念が強い動員にそう踏み切れないプーチン大統領にとって助けになるに違いない。

 日米韓を軸に、ロ朝に影響力のある中国を巻き込み、対応策を模索すべきだ。

 国際社会の局面も変わった。米国では大統領選に勝ったトランプ前大統領が来年1月、再び就任する。ウクライナ侵攻に対して首脳外交による停戦仲介を公言しており、仮にプーチン氏に譲歩した停戦案を示す事態になれば法の支配は揺らぐ。

 尹大統領はトランプ氏との電話協議で、さっそく北朝鮮の派兵を議題にした。日韓は協調の枠組みを維持するよう繰り返し説く必要がある。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・11.02】:北の派兵 侵略への加担は許されぬ

2024-11-02 05:01:20 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【主張②・11.02】:北の派兵 侵略への加担は許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・11.02】:北の派兵 侵略への加担は許されぬ

 ウクライナ侵略を続けるロシアと、これを支持してきた北朝鮮の軍事協力が一段と進んでいる。

 米国のブリンケン国務長官は、ロシアに派遣された北朝鮮軍の将兵について「数日以内にウクライナ軍との戦闘に投入される」との見通しを示した。

 最大8千人の北朝鮮軍が、ウクライナが一部を占領する露西部のクルスク州に展開しているという。北朝鮮軍の部隊がウクライナ領に侵入してくることも懸念されている。

ロシア入りした北朝鮮軍がロシア製の装備を受け取る様子を撮影したとする動画の一部=ウクライナ政府機関「戦略コミュニケーションセンター」のSNSから

 これは北朝鮮が第二の侵略国になることを意味するもので断じて容認できない。

 北朝鮮は直ちに派兵と武器弾薬の対露輸出を停止すべきだ。国際社会は危機感をもち、一層の圧力をかける必要がある。

 日本の山崎和之国連大使が国連安全保障理事会の緊急会合で「北朝鮮がロシアによる侵略の共犯者になることはウクライナ情勢をさらに悪化させる」と非難したのは当然だ。

 北朝鮮は10月31日、新型と称する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を日本海に向けて発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下させた。通常よりも高角度のロフテッド軌道をとり、飛翔(ひしょう)時間も高度も過去最高だった。技術向上の裏にはロシアの協力があったとみられている。

 露朝両国は6月、有事の際の相互軍事援助を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだ。軍事同盟下の提携は急速に進み、北朝鮮はロシアに砲弾や弾道ミサイルを供給した。60万人超とされるロシア兵の死傷者を補うため、軍の派遣にも踏み切った。

 ロシアからの見返りが北朝鮮が切望していた高度な核・ミサイル技術の提供なのだろう。

 北朝鮮の金正恩総書記は、朝鮮半島有事の際に、ロシア軍の加勢も望んでいると思われる。露朝軍事協力の脅威は、日米韓とウクライナを含む欧州に及ぶことになる。

 日本にとっては、台湾有事など南西方面での有事に直面する場合でも、北朝鮮に加え北方におけるロシアの脅威にも備える必要が高まった。石破茂政権はこの厳しい現実を国民に説明すべきだ。

 北朝鮮が通算7回目の核実験に踏み切るとの観測もある。一層の警戒が欠かせない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.01】:北ICBM発射 世界を敵に回す危険な挑発だ

2024-11-01 05:00:20 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【社説①・11.01】:北ICBM発射 世界を敵に回す危険な挑発だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.01】:北ICBM発射 世界を敵に回す危険な挑発だ

 北朝鮮がロシアへの派兵に続き、米国全土を攻撃できるミサイルの発射実験を行った。欧州とアジア太平洋の両地域の安定を脅かす暴挙である。断じて容認できない。 

 ミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)級で、日本海に向けて少なくとも1発発射された。過去最長の約86分間飛行し、到達高度もこれまでで最も高い7000キロ・メートル超だった。

 高角度の「ロフテッド軌道」で打ち上げられたと推定される。通常の軌道で飛んだ場合、米全域が射程内に収まるとみられる。

 11月5日に大統領選の投開票を控える米国に対し、ミサイル開発の進展を誇示し、揺さぶりをかける狙いがあるのだろう。

 さらに深刻なのは、北朝鮮が2017年以来7回目となる核実験を、米大統領選前後に行う可能性が指摘されていることだ。韓国政府は、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場で内部の準備をほぼ終えたとの見方を示している。

 米本土攻撃を想定したICBM搭載の核弾頭に加え、在韓・在日米軍基地攻撃を念頭に置いた短・中距離ミサイル用の低出力の戦術核兵器の開発も進めている。日米韓にとって重大な脅威となる。

 北朝鮮の核開発や弾道ミサイル発射を巡っては、日米などが国連安全保障理事会決議に基づき、繰り返し制裁を科してきた。

 にもかかわらず、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は「核武力強化路線を絶対に変えない」と主張している。ロシアが北朝鮮を擁護してきたからにほかならない。

 しかも、北朝鮮制裁の履行状況を調べる安保理の専門家パネルは今年、ロシアが任期延長決議案に拒否権を行使したため廃止されてしまった。6月には、露朝いずれかが武力侵攻を受けた際に軍事援助を行うとした条約を結んだ。

 ロシアはウクライナ侵略で、核使用の可能性をほのめかしている。北朝鮮は公然と核開発を進める一方で、ロシアに派兵し、侵略に加担しようとしている。

 今年のノーベル平和賞に「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」が選ばれたように、核兵器が人類に与える危険性を国際社会に強く訴えることが求められる中で、核による威圧をやめない露朝の異様さが際立っている。

 北朝鮮を支え、ロシアとも密接な関係にある中国の行動が問われる。中国が露朝の暴走を傍観し、事実上容認する態度を取るようでは、中国自身の国際的な信頼が大きく損なわれることになろう。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・10.24】:「北朝鮮派兵」の深刻事態なのに…日本は選挙中の政治空白

2024-10-29 07:40:20 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【政界地獄耳・10.24】:「北朝鮮派兵」の深刻事態なのに…日本は選挙中の政治空白

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・10.24】:「北朝鮮派兵」の深刻事態なのに…日本は選挙中の政治空白 

 ★選挙中の政治空白とはこういう時に使う言葉かも知れない。与野党の多くの候補者が安全保障とか、周辺国との緊張関係について有権者にその危機を問うているが、あなたたちは朝鮮半島で起きている出来事を立ち止まって考えているのか。首相・石破茂のアジア版NATO創設などもってのほかだが、アジアは極めて繊細な細工が施されている複雑な外交が必要な地域。対話の枠組みすら構築できないのに、アジア版NATOといった軍事同盟からスタートできるはずがない。何しろ朝鮮半島では極めて深刻な事態が進んでいる。

ロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金総書記

 画像説明,ロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金総書記は6月19日、北朝鮮・平壌で会い、互いに笑顔を見せた

北朝鮮の軍隊(資料写真)

画像説明,北朝鮮の軍隊(資料写真)

 ★22日、英国国防相・ジョン・ヒーリーは北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻に協力するため、兵士を派遣したとの情報について「数百人の戦闘部隊の移動が始まったのはほぼ確実だ。衝撃的であり絶望的な状況だ」「北朝鮮は既にロシアに大量の武器を送っている。両国の軍事協力は、欧州とインド太平洋地域の安全保障に深刻な影響を及ぼす」とした。加えてこの問題はNATOで協議すべきことだと。同日、韓国大統領室がウクライナに対する攻撃用兵器提供の可能性に言及し「北朝鮮軍のロシア派兵」と説明したが、米ホワイトハウスは「派兵を確認できていない」と慎重な物言いを崩さない。13日の段階でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「北朝鮮がロシアに兵器だけでなく兵力まで支援している」と演説し、事態は拡大した。

 ★同盟国・米国の背中を押すためか韓国高官はロ朝軍事同盟への対抗措置として、ウクライナへの攻撃用兵器供与まで検討する可能性を示唆し始めた。アジア版NATOがなくとも、今ある同盟関係で米韓が北朝鮮、その背後のロシアや中国と正面から対峙(たいじ)することはないにしろ、日本は自動的に巻き込まれるだろう。選挙で思考停止になっている候補者に言っておくが今の状態で石破のNATO構想が実現したら、即座にアジアは全面戦争に突入だ。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません4。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年10月24日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・10.27》:北朝鮮の対露「派兵」 戦況激化招く危険な加担

2024-10-27 02:05:50 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

《社説①・10.27》:北朝鮮の対露「派兵」 戦況激化招く危険な加担

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・10.27》:北朝鮮の対露「派兵」 戦況激化招く危険な加担

 国際秩序を踏みにじる侵略に手を貸す行為である。断じて許されない。

 韓国の情報機関である国家情報院によると、北朝鮮の特殊部隊3000人がウラジオストクなどのロシア軍基地に入った。派兵規模は年末までに1万人に達する見込みだという。米国のオースティン国防長官も「ロシアに北朝鮮軍がいる証拠がある」と語った。

事実上の同盟関係を復活させる条約の署名式で握手を交わすロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記=平壌で6月19日、AP

 北朝鮮とロシアは6月、有事の際の相互軍事支援をうたった条約を結び、冷戦時代の同盟関係を事実上復活させた。

 ウクライナでは、北朝鮮製の砲弾やミサイルなどの使用が確認されている。派兵が事実とすれば、協力のレベルは一段と上がったことになる。

 背景にあるのはロシア軍の兵員不足だ。2022年の侵攻開始以降に出た戦死者や重傷者は25万人を超えるとの分析もある。

 ウクライナの最前線に北朝鮮軍兵士が投入されれば、形勢がロシア有利に傾きかねない。戦況が激化し、犠牲者が増えることが懸念される。

 北東アジアの安全保障に及ぼす影響も甚大だ。北朝鮮には、この機に乗じてさらなる軍事力増強を図ろうという思惑があるとも指摘されている。

 ミサイルの実戦使用で得られるデータは今後の開発に有用だ。兵士の練度を上げることもできる。派兵の見返りに、ロシアから高度な軍事技術の提供を受ける可能性もある。

 国連による対北朝鮮制裁が完全な機能不全に陥る恐れも高まっている。

 ロシアは一昨年、国連安全保障理事会での追加制裁決議案に拒否権を発動し、今春には制裁の履行状況を監視してきた安保理の専門家組織を廃止に追い込んだ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月27日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【北朝鮮】:韓国を憲法で「敵国」と明確化…緊張悪化に識者「もう後戻りできない」と指摘

2024-10-23 07:05:50 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【北朝鮮】:韓国を憲法で「敵国」と明確化…緊張悪化に識者「もう後戻りできない」と指摘

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北朝鮮】:韓国を憲法で「敵国」と明確化…緊張悪化に識者「もう後戻りできない」と指摘

 「他国であり、明確な敵国だ」──。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は17日、視察に訪れた朝鮮人民軍第2団の指揮所で韓国のことを「敵国」と名指しし、「(韓国が主権を侵害すれば)物理的力をためらいなく使用する」と警告を発した。

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 「悪縁を断絶」という(朝鮮人民軍の指揮所を訪れた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=朝鮮中央通信=共同)

 この言葉が示すように今年に入ってからの北朝鮮は、さまざまな面で韓国との決別を意味するかのような動きを続けてきた。

「今年1月。金正恩が韓国を“第1の敵国”と位置づけてから、対韓国の姿勢は顕著です。2月には南北統一の象徴でもあった『統一駅』の名をタダの『駅』に変更していたことが判明。そのほか、国歌からは、朝鮮半島全体を意味する『三千里』という歌詞を『この世に』などと変更しています」(外信部担当記者)

 それらの動きに合わせるかのように、北朝鮮は今月開かれた最高人民会議で、ある重大な決定を下している。半島問題に詳しいジャーナリストの高英起氏が解説する。

 「7、8の両日に開かれた最高人民会議の場で憲法で韓国のことを『敵対国家』と明確に規定。15日には、敵対国家に対する措置として韓国と北朝鮮をつなぐ鉄道と道路を爆破。このことについて金正恩は『ソウルとの悪縁を絶ち、同族意識と統一という非現実的な認識を払いのけた』と発言するなど、韓国との決別の意志を改めて強調しています」

 韓国との決別──。こうした金正恩の発言の真意について高氏は「彼は元々統一をする気はなかったんです」とこう続ける。

 「両国は事実上の別国家として歩んできましたが、統一に引っ張られてしまうと核・ミサイル問題、人権問題で妥協しなければならない。それは金正恩体制の弱体化、崩壊につながりかねない。米朝会談の失敗で韓国や西側との関係改善は難しいと悟った。ならば、完全に決別し、ロシア、中国との関係を深め、政治経済ブロックとして生き残る道を選んだのでしょう」

 今回、北朝鮮が憲法において韓国を「敵国」と明確化したことによって、両国の関係は「もう後戻りすることはできない」と高氏は指摘する。

 両国間の緊張状態の悪化は決して日本にとっても無関係ではない……。

 ■関連記事

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・アジア・北朝鮮】  2024年10月23日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・10.23】:北朝鮮の派兵 ロシアに人命を差し出す危険

2024-10-23 05:01:55 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【社説①・10.23】:北朝鮮の派兵 ロシアに人命を差し出す危険

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・10.23】:北朝鮮の派兵 ロシアに人命を差し出す危険

 北朝鮮がロシアのウクライナ侵略に加担し、大規模派兵を進めている。ウクライナの戦況のみならず、東アジアの安全保障環境にも影響を及ぼす重大な事態である。 

 韓国の情報機関・国家情報院によると、北朝鮮は約1万2000人の派兵を決定し、特殊部隊1500人が露極東で戦線投入に向けた訓練を受けた。近くウクライナ軍に一部を占領された露西部クルスク州に向かうという。

 北朝鮮の派兵は、金正恩総書記が6月にプーチン露大統領と結んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づくとみられる。露朝はどちらかが武力侵攻を受けた場合、全ての手段で軍事援助を提供すると明記している。

 そもそもロシアはウクライナを侵略している。にもかかわらず、侵略を受けた場合の条項を適用することは道理に合わない。北朝鮮も事実上、侵略の当事者になったとのそしりは免れない。

 ロシア軍は1日の死傷者が1200人を超すような消耗戦を展開し、兵力不足が深刻化している。プーチン氏は2年前に30万人を動員したが、世論の反発に遭い、追加招集を行っていない。

 武器や弾薬に加え、兵士まで北朝鮮に頼ることは、ロシアの苦境の表れと言える。

 北朝鮮からの兵力補充で、侵略が長期化する恐れがある。米欧はウクライナに武器や資金を供与しているが、兵力は送っていない。北朝鮮兵士の動向や戦局への影響を注視する必要がある。

 露朝の軍事協力の深化によって、東アジアの緊張がいっそう高まるのは避けられない。

 北朝鮮は派兵の見返りとして、ロシアに原油や食料の供与を求めているとみられる。人民の生活向上ではなく、金総書記の独裁体制の強化に使われるのだろう。

 ロシアが核弾頭の小型化や弾道ミサイルの精度向上、原子力潜水艦に関する軍事技術を北朝鮮に移転する可能性もある。そうなれば日本や韓国の安全は脅かされ、地域情勢は一気に深刻化する。

 露朝条約に基づけば、最悪のシナリオとして、北朝鮮が韓国に侵攻し、ロシアが派兵する事態にもなりかねない。北朝鮮はロシア参戦の可能性をちらつかせ、朝鮮有事の際に米国が介入するのを防ぐ狙いがあるのではないか。

 人命を消耗品のように使い捨てにするロシアの侵略行為は許し難い。そのロシアに国民の命を差し出し、体制維持を図る北朝鮮もまた異様である。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・05.12】:崖っぷち岸田首相「なんとしても私の手で」北朝鮮拉致問題は進展?最後の日朝首脳会談から20年

2024-06-10 07:45:10 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【中山知子の取材備忘録・05.12】:崖っぷち岸田首相「なんとしても私の手で」北朝鮮拉致問題は進展?最後の日朝首脳会談から20年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・05.12】:崖っぷち岸田首相「なんとしても私の手で」北朝鮮拉致問題は進展?最後の日朝首脳会談から20年

 20年前の2004年5月22日、北朝鮮の平壌にいた。小泉純一郎首相(当時)の2度目の北朝鮮訪問に同行取材するため前日に平壌に入りし、22日の首脳会談取材に備えた。現地に到着してプレスセンターが置かれた高麗ホテルに荷物を置き、同行した社でいくつかのグループに分けられ、それぞれに北朝鮮側の担当者が同行した状態でバスに乗り、平壌市内の「表の顔」を見て回ったりした。

日朝首脳会談
開催国 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国

 2002年9月、第1回会談

 制服姿の女子学生が歩いていたり、結婚式を挙げているカップルがいたり…。自由行動はできず、先方の決めたルートや予定に従って移動し、食事の場所も同様だった。ただ02年9月17日の最初の小泉訪朝に日帰り同行取材した際は、空港からのバス移動中に街並みを見るのが精いっぱいで、日本と変わらない初夏の日差しのもとで、高層のビルが並び立つどこか機械的な街の雰囲気は、いろんな意味で新鮮に映った。

 しかし、この国のどこかに日本人を含む多くの拉致被害者がいるのだと考えると、表向きは平和そうに見せるショーウインドー都市の「裏の顔」に思いをはせざるを得なかった。

 最初の訪朝は拉致被害者のうちの5人の帰国につながったが、2度目の小泉訪朝では被害者の帰国は実現できず、安否不明の10人について早急の「再調査」を求めて金正日総書記(当時)の了解を得ただけで、被害者家族8人のうち5人が帰国したにとどまった(その後3人も帰国)。当時の拉致被害者家族会からの「最悪の結果」と批判を受けた小泉氏は「すべての責任は私にある。批判は甘んじて受ける」と述べたが、結果的にその後、日朝首脳会談は開かれることはなかった。小泉氏とともに訪朝もした安倍晋三元首相の時代にも新しい流れには至らず、小泉訪朝後には北朝鮮の指導者が替わり、現在の金正恩朝鮮労働党総書記はミサイル発射を繰り返し国際社会の批判にさらされ、直接対話できるような状況ではない事態に陥った。

平壌市内中心部には市民の姿もみられた(02年9月撮影)
平壌市内中心部には市民の姿もみられた(02年9月撮影)

 最後の首相訪朝からまもなく20年。岸田文雄首相は最近、「私自身の手で拉致問題を解決するという強い決意のもと、全力で取り組む」と繰り返し、日朝首脳会談に意欲をみせ続けている。北朝鮮側が今年1月の能登半島地震の際に金総書記の異例のお見舞いメッセージを送ったり、正恩氏の妹・与正氏が岸田首相の訪朝の可能性に触れたり、はねつけたり。一方、首相はこれまで、さまざまなルートを通じて北朝鮮側に働きかけを続けていることを認めており、政界関係者によると「すわ訪朝か」と想定させるようなタイミングもあったという。そんな経緯もあり「外交の岸田」を自任する首相の訪朝説は、ずっとくすぶり続けている。

北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める国民大集会に出席し、あいさつする岸田文雄首相(2024年5月11日撮影)

北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める国民大集会に出席し、あいさつする岸田文雄首相(2024年5月11日撮影)

 5月11日、東京都内で開かれた北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」では、被害者家族会の即時一括帰国を要請する家族会の声に、岸田首相は「日朝首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベル協議を進める。早期実現に向けた働きかけを一層強めたい」と述べ、この場でも「なんとしても私自身の手で、拉致問題を解決するという強い決意のもとで全力で取り組む」と訴えた。

 昨年11月の同集会でも、首相は「早期の会談実現へ向けて、働きかけを一層強めていく」とほぼ同じフレーズを口にしていたが、家族会が今年2月にまとめた新たな活動方針では、被害者の親世代の家族が存命の間に即時帰国が実現するなら、人道支援、独自制裁解除に反対しないとし、岸田首相には新たなプレッシャーがかかる形となった。

 裏金問題や政治姿勢への国民の批判で、支持率がほとんど上向かず崖っぷちに立たされている岸田首相にとって、外交、特に日朝関係進展による局面打開は「反転攻勢への大きな足掛かり」(関係者)ともいわれている。真偽は別にして首相訪朝説が飛び交うのも、そんな背景が影響しているようだ。ただ、外交は相手あってのもので自分の意向だけではどうにもならない。またミサイル発射などで非難を浴びる北朝鮮側と会談するのは、相当の準備や覚悟、シミュレーションも必要。今回ばかりは「やってます感」「外交の岸田」アピールだけではすまないジレンマの中で、首相は依然さまざまな可能性を探っているとの指摘がある。

 最後の日朝首脳会談からまもなく20年。北朝鮮をめぐり積み重なってきた問題に関しては、首相の「次の一手」に大きな関心が注がれている。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2024年05月12日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・03.06】:“ほぼトラ”前提に新世界秩序構築が各国のテーマ 作れるか日朝新時代

2024-03-13 07:40:20 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【政界地獄耳・03.06】:“ほぼトラ”前提に新世界秩序構築が各国のテーマ 作れるか日朝新時代

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・03.06】:“ほぼトラ”前提に新世界秩序構築が各国のテーマ 作れるか日朝新時代 

 ★22年11月に離任したロシアの駐日大使・ミハイル・ガルージンが外務次官(旧ソ連圏担当)に転出。その間は臨時代理大使として公使参事官・ゲンナーディー・オヴェチコが務めていたが、新駐日大使・ニコライ・ノズドレフが着任した。ガルージンも務めたロシア外務省第3アジア局長を歴任した日本通。日ロ漁業交渉の担当者で日本語も堪能。新日ロ関係の足がかりとなるかが注目される。

<picture>新たに着任したロシアのノズドレフ駐日大使=モスクワで2018年5月、大前仁撮影</picture>
新たに着任したロシアのノズドレフ駐日大使=モスクワで2018年5月、大前仁撮影

  ★4日、首相・岸田文雄は北朝鮮による拉致被害者の家族会と首相官邸で面会した。首相は「皆様の差し迫った思いを強く感じる。日朝間の明るい未来を描くため私自身主体的に動かなければならない」と改めて日朝首脳会談の早期実現に自信を見せた。1月5日、能登半島地震に対して北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が「岸田文雄閣下。日本で不幸にも、年初から地震によって多くの人命被害と物的な損失を受けたという知らせに接し、遺族と被災者に深い同情とお見舞いの意を表します」とした異例のお見舞い電報を送った。以来、両国で水面下の積極外交が進んでいるようだが、コリア国際研究所・朴斗鎮(パク・トゥジン)は2月14日の韓国とキューバとの国交正常化が拍車をかけたと指摘する。これで韓国が国交のない国はシリアと北朝鮮だけとなった。キューバを押さえたのなら、日本を揺さぶると考えたか。2月25日、家族会は「被害者の親世代が存命のうちに全被害者の一括帰国が実現するなら、日本独自の制裁解除に反対しない」とシグナルを発信した。

 ★来年には「ほぼトラ」で米トランプ大統領が就任することを前提に、どんな世界になるのかの新世界秩序構築が各国のテーマになるはず。内政で手柄が欲しい岸田政権は、今なら日朝会談に飛びついてくるという北朝鮮の情勢分析のまま、しっぽを振っていまいか。トランプが在韓・在日米軍撤退を言い出したら、東アジアの秩序は崩壊する。それより前に日朝新時代を作ることはできるか。このタイミングでのロシア駐日大使着任は興味深い。(K)※敬称略

政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年03月06日  06:57:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:いい男だ。1987年、石川県の寺越友枝さんは息子の武志さん…

2024-03-05 07:52:30 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【筆洗】:いい男だ。1987年、石川県の寺越友枝さんは息子の武志さん…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:いい男だ。1987年、石川県の寺越友枝さんは息子の武志さん…

 いい男だ。1987年、石川県の寺越友枝さんは息子の武志さんと北朝鮮で24年ぶりに再会した際、そう思ったという

 ▼息子は13歳の時、志賀町から叔父2人と漁に出て日本海で行方不明に。87年に叔父の1人から届いた手紙で生存が分かり実現した、平壌での面会である

 ▼記憶の中の息子はクリクリの丸刈りの中学生で、野球のバットが当たってできた傷が額にある。現れた中年男性に傷を見つけ確信し、涙を流してからまじまじと眺めて抱いた冒頭の感想。自著で「親が言うのはおかしいかもしれませんが」と断り、ほれぼれしたと明かしている。母親らしい感慨とも思える

 ▼友枝さんが92歳で亡くなった。訪朝は66回。武志さんの一時帰国も2002年に実現した。遭難し北朝鮮に助けられたと拉致を否定する息子を信じるとして拉致被害者の家族会を離れたが、葛藤はあった

 ▼訪朝時にこっそり真相を尋ねると黙りこむ息子。異国で一定の地位と家庭を得ている。連れ戻したいが、自分が「拉致だ。返せ」と言えばどうなるか。思いをのみこみ、通えば会える。監視がつき、全て本音で語りあえないとしても

 ▼家族会を離れる前、横田めぐみさんの母早紀江さんがこう言ったという。「友枝さんが決めていいんですよ。信じる道を。武志さんの母親は一人だけですから」。息子のために耐え、愛情を注いだ母。安らかにと祈る。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年03月01日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・02.23】:チャンスなのか罠なのか 北朝鮮との「新しい未来」は開けるか

2024-02-29 07:40:10 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【政界地獄耳・02.23】:チャンスなのか罠なのか 北朝鮮との「新しい未来」は開けるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・02.23】:チャンスなのか罠なのか 北朝鮮との「新しい未来」は開けるか 

 ★来週の政倫審開催で揺れる国会だが、水面下で北朝鮮とのハイレベル協議が急速に進み始めた。発端は今月9日の衆院予算委員会。前外務副大臣・山田賢司の質問だ。首相・岸田文雄が施政方針演説で北朝鮮の拉致被害者について「最重要課題」と位置付けたことを受け、「今までの協議とどう違うのか」と問いただした。首相は「私直轄のハイレベル協議は私自身が主体的に動いてトップ同士の関係を構築」と説明した。山田は首相に「一刻の猶予もない」と畳みかけると、首相は「諸懸案解決に向け、(朝鮮労働党総書記)金正恩(キム・ジョンウン)との首脳会談実現すべく進めている」と自信を見せた。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

 ★ここまでの答弁では、いつもながらの答弁の印象はぬぐえないが、15日、北朝鮮の朝鮮中央通信が反応。金正恩の妹で党中央委員会宣伝・扇動副部長、金与正(キム・ヨジョン)が個人の見解としながらも「日本が政治的決断を下せば両国は新しい未来を共に開ける」「日本が北朝鮮の正当防衛権に言いがかりをつけたり、拉致問題を障害物にしなければ首相が平壌を訪問する日が来る可能性もある」と、極めて示唆的なアドバルーンを揚げた。

 ★おおかた、さまざまな水面下の動きを表面化させるために両国が仕掛けた部分はあるだろうが、官邸も外務省もこのシグナルを重要視している。ことに首相が投げかけたボールに談話という形を取りながら答えた部分に1つの回答がありそうだ。首相も答弁の中で拉致に対しての怒りを抑えて答弁しており、事態が首相の人気取りだけではなく長期的なやりとりの中で生まれた発言であることがうかがえる。元衆院副議長・衛藤征士郎が会長を務める超党派の日朝国交正常化推進議連も動きだし、首相訪朝を後押ししたい考えだ。北朝鮮はロシアと蜜月が伝えられ、強力な後ろ盾を得て外交に自信を持っているが、チャンスなのか罠(わな)なのか、協議が進むことを願いたい。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年02月23日  08:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:平和統一の放棄 南北分断の固定を憂う

2024-02-28 07:18:50 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【社説①】:平和統一の放棄 南北分断の固定を憂う

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:平和統一の放棄 南北分断の固定を憂う 

 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が、韓国を「もはや同族関係ではない。敵対的な二つの国家」と宣言し、緊張が高まっている。

 祖父の金日成(キムイルソン)主席、父の金正日(キムジョンイル)総書記から引き継いだ平和統一路線を転換すれば、東アジアの不安定化は避けられず、日本人拉致問題の解決も遠のく。南北が再び交渉の席に戻ることを求めたい。

 正恩氏は1月、日本の国会に相当する最高人民会議で、海上の境界線である北方限界線(NLL)に言及し「(韓国が)0・001ミリメートルでも侵犯するなら、戦争挑発とみなす」と述べた。
 
 NLLに近い延坪島(ヨンピョンド)には2010年、北朝鮮から約170発の砲弾が撃ち込まれ、4人が死亡した。1月には周辺海域で砲撃の応酬もあり住民の不安は募る。
 さらに正恩氏は2月中旬、新型地対艦ミサイルの発射実験を指導し「国境線水域での軍事的態勢を強化する」と重ねて主張した。
 
 正恩氏が挑発を繰り返すのは、4月10日投開票の韓国総選挙を前にした尹錫悦(ユンソンニョル)政権への揺さぶりや、11月の米大統領選でトランプ氏が返り咲くことに備えるため、との指摘がある。
 
 また、経済的に豊かで自由な韓国への北朝鮮国民の憧れが、体制維持の最大リスクになると認識した正恩氏が、意図的に「敵対的な二つの国家」をつくり出そうとしているとの見方もできる。
 
 正恩氏が昨年9月、軍事協力を通じてロシアのプーチン大統領と急接近し、自らの核・ミサイル開発に自信を深めていることも背景にあるのだろう。
 
 米国務省元高官、ロバート・カーリン氏ら専門家は「正恩氏は戦争の決断をした」と分析。19年の米朝首脳会談の決裂後、北朝鮮は対米正常化を断念し、中国やロシアなど権威主義勢力に依存して体制維持を図る方針に転じたと指摘し、1950年の朝鮮戦争勃発と同様「最も危険」と警告した。
 
 東アジアには、権威勢力と民主主義陣営との対立とは異なる独自の歴史と交流がある。民族の悲願である平和統一の理想を捨て、分断が固定化されてはならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月27日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【外交】:「金正恩総書記がゴキゲンないまこそ、この固い扉をこじ開ける…!」岸田文雄首相が全力を注ぐ22年ぶり電撃訪朝計画「驚愕の条件」

2024-02-23 08:04:20 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【外交】:「金正恩総書記がゴキゲンないまこそ、この固い扉をこじ開ける…!」岸田文雄首相が全力を注ぐ22年ぶり電撃訪朝計画「驚愕の条件」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【外交】:「金正恩総書記がゴキゲンないまこそ、この固い扉をこじ開ける…!」岸田文雄首相が全力を注ぐ22年ぶり電撃訪朝計画「驚愕の条件」

 「条件は整った。あとはゴーサインを待つだけだ」―。支持率が下がる一方でも、岸田総理が不敵な笑みを浮かべているのは、一発逆転の秘策があるからだ。訪朝作戦の裏側を緊急リポートする。

【写真】文在寅の「引退後の姿」がヤバすぎる…衝撃ショットを見る!

◆三代目という共通点

 「総書記の考え方が、最近ようやくわかってきたんだ。言ってしまえば、彼も私と同じ世襲政治家だ。どこかで父や祖父を超えたい、認められたいという気持ちがあるんだろう。私にはよくわかるんだよ……」

◆煽て倒される金正恩

 そのロシアの窮地を救った重要なプレイヤーが、正恩なのだ。外務省関係者が解説する。  「プーチンからの武器支援の懇願を受けた正恩は、100万発を超えるウクライナ攻撃用の砲弾や、自爆型ドローンをロシアに贈りました。  

 ■週刊現代(講談社)

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・外交・北朝鮮・担当:週刊現代(講談社)編集部】  2024年02月23日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【日本一詳しい北朝鮮分析】:「金与正の遠吠え」が日米韓を走らせた!

2024-02-23 08:04:10 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁】

【日本一詳しい北朝鮮分析】:「金与正の遠吠え」が日米韓を走らせた!

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本一詳しい北朝鮮分析】:「金与正の遠吠え」が日米韓を走らせた!

 朝鮮中央通信は2月15日午後8時に「金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会副部長の談話」を報じた。「談話」は、岸田文雄首相の2月9日の衆院予算委員会での「日朝間の現在の状況を大胆に変えるべき必要性を強く感じる」、「自分自身が朝鮮民主主義人民共和国国務委員長と主動的に関係を結ぶことが極めて重要であり、現在多様な経路を通じて引き続き努力している」との発言に対する反応であった。特に岸田首相が「大胆に変えるべき必要性」を強調したことが注目された。

 金与正党副部長の「談話」は「岸田首相の今回の発言が、過去の束縛から大胆に脱して朝日関係を前進させようとする真意に端を発したものであるなら肯定的なものと評価することができない理由はないと考える」と岸田首相の発言を肯定的に評価した。

 さらに「条件」を付けた上で「両国が近くなることができない理由などないであろうし、首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る」と岸田首相の平壌訪問の可能性にまで言及するというサービスぶりを見せて注目を集めた。問題は「条件」であった。

 ◆談話の主体も、対価もレベルアップ

 北朝鮮は、岸田首相が昨年5月27日に「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」で行った「首脳会談早期実現のため、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」という発言に対し、2日後の同29日に朴(パク)サンギル外務次官が「関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由はない」という談話を発表して驚かせた。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

 今回の金与正談話は、談話を出した主体を外務次官から党副部長に、談話の内容も「両国が会えない理由がない」から「首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る」とレベルアップしたものだ。日本政府に、より魅力的な「成果」を見せつけたと言ってよい。

 金与正氏は単なる「党副部長」というよりは、「最高指導者の妹」である。さらに、金与正党副部長はこれまで対南(韓国)問題や対米問題で談話を発表してきたが、対日問題での公開的な発言はこれが初めてであり、活動領域を日朝関係まで広げた点でも注目された。

 北朝鮮は昨年5月に外務次官の談話を出し、そして、今年1月には、能登半島地震への金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の慰労電を岸田首相に送った。北朝鮮の最高指導者が日本の災害で日本の首相に慰労電を送ることは異例であり、岸田首相を「閣下」と呼称したことも異例であった。

 今回、それに続く金与正談話は、明らかに一定の意図を持って対日攻勢を掛けているとみられた。そのレベルが金正恩党総書記の妹という政権中枢から発されたことには意味があるように見えた。

 ◆「拉致問題は解決済み」、「核・ミサイル容認」が前提条件

 しかし、「平壌訪問」には大きな障壁があるようだ。「談話」は、「すでにすべて解決した拉致問題や、朝日関係改善とは何の縁もない核・ミサイル問題」を持ち出さないことを平壌訪問の前提条件にしており、これでは、日本政府が交渉を進められるはずがない。

 「談話」は「これまで日本が、すでにすべて解決した拉致問題や、朝日関係改善とは何の縁もない核・ミサイル問題を前提として持ち出し続けてきたことによって両国関係が数十年にわたり悪化の一途をたどることとなったということは、誰もが認める事実である」とした。その上で「日本がわが方の正当防衛権に対して不当に食って掛かる悪習を振り払い、すでに解決した拉致問題を両国関係展望の障害物として置くことさえしなければ両国が近くなることができない理由などないであろうし、首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得るであろう」とし、正当防衛権の発動として行ったという核・ミサイル開発に文句を言わず、拉致問題を関係改善の障害物にしなければ、岸田首相の平壌訪問も可能であるとした。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

 つまり、「談話」は、北朝鮮は、拉致問題は解決済みであり、再交渉の対象ではないとし、核・ミサイル開発は北朝鮮の自衛権の問題であり、日朝関係改善とは関係がないと主張している。拉致問題についてこれ以上、言及せず、北朝鮮が核兵器やミサイルを持つことを認めた上で、日朝関係を改善するために平壌へ来るのなら受け入れることもできるという、これまで以上に従来の北朝鮮の原則的な立場に変化がないことを示した。

 「談話」は「首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る」と、何か、北朝鮮側が大きく譲歩でもしたかのような印象を与えながら、そこへたどり着くためには大きな「障壁」があることを明確にしたといえるもので、北朝鮮の「譲歩」にはほど遠い。巧みな宣伝扇動のテクニックだ。

 ◆韓国はすでに疑心暗鬼

 金与正談話の内実は上記のように厳しいものだが、「日本の首相の平壌訪問」というアドバルーンに、韓国では早速、日朝接近だという疑心暗鬼が生まれている。

 韓国紙「中央日報」は2月15日付で「米国・日本に向けた北朝鮮の直接取引の動き…韓国が疎外されてはいけない」という社説を掲載し、「しかし、(韓国)政府はこの過程で韓国が疎外されたり、見通しが立たなくなったりする状況を管理するために積極的に取り組まなければいけない」と、日朝接近で韓国が疎外されてはならないと警戒心を露わにした。同社説は「日帝強制支配(植民地支配)や韓国戦争(朝鮮戦争)など韓国の意志とは関係なく苦痛に耐えなければならなかった教訓を忘れるべきでない。北朝鮮の非核化交渉は米国が行い、経済的補償などは韓国が負担するジュネーブ合意(1994年)や9・19共同声明(2005年)を繰り返してはならない」と主張した。だが、今回の談話を前述の歴史的事案や非核化交渉の過去の事案と比較するのは論理の飛躍であり、冷静な判断とは思えない。日朝はまだ接触すら十分に出来ていない中で、こういう反応が出ること自体が、北朝鮮の思うつぼである。

 「朝鮮日報」も同日、「岸田首相の訪朝とトランプ再選に期待する北朝鮮…韓米日協力に揺さぶり攻勢」と題した記事を掲載し「北朝鮮は日本の岸田文雄首相の平壌訪問というカードを利用し、韓米日三角協力の構図に揺さぶりをかける意図を隠そうとしない」と指摘した。

 これに対し、韓国外務省当局者は、日朝の接触について「北の非核化と韓(朝鮮)半島の平和・安定に助けになる方向で行われなくてはならない」とし「韓国政府は日朝接触を含め北の核や北韓問題について日本側と緊密に意思疎通を行っている」と語り、日朝接触は北朝鮮の非核化に寄与する方向で行わなければならないとした。韓国政府は日朝交渉への評価に言及することを避けながら、日朝交渉は北朝鮮の「非核化」や「半島の平和・安定」に寄与するものでなければならないと注文を付けた。

 韓国の反応は日朝の動きに猜疑心を抱いているように映った。

 ◆米「北朝鮮とのあらゆる外交や対話を支持する」

 米国は韓国と異なった反応を示した。米国務省のジュン・パク副次官補は2月15日、一部の外国メディアとの懇談会で、金与正党副部長の談話に関連し、日朝対話が実現すれば支持する姿勢を示した。記者団に「北朝鮮とのあらゆる外交や対話を支持する。今後を見守るべきだが、拉致問題解決に向けた日本政府の努力を強力に支援する」と語った。

 ジュン・パク副次官補は「何か起きるかもしれないと言うには早過ぎる」とした上で「北朝鮮はこの間、ロシア、中国を除いた他の国との対話・外交に関心がなかった」と指摘した。

 米国家安全保障会議(NSC)のラップフーバー・インド太平洋部長も2月15日のセミナーで「米国だけでなく、同盟国の北朝鮮関与を支持する」と述べ、日朝の接触を支持する姿勢を見せた。

 北朝鮮がこの間、あまりにミサイル開発に邁進し、対話や外交に背を向けていたために、米国自身でなくとも同盟国と対話姿勢を示すのは歓迎すべきだという姿勢であった。

 米国のこの対応は賢明な対応であった。北朝鮮の対日攻勢は日米韓3国連携への牽制であり、くさびと見られる中で、米国が公開的に日本に批判的な、もしくは懐疑的な姿勢を示すことは、日米韓連携にマイナスになり、北朝鮮の思うつぼだ。

 日本の北村滋内閣情報官は2018年7月にベトナムでキム・ソンヘ統一戦線策略室長と秘密接触をしたが、この事実を明らかにしたのは米国のワシントン・ポストであった。これは日本政府が事前に米国に伝えず北朝鮮と秘密接触をしていたことを米国が不快に思い、米メディアに情報をリークしたとされた。

 今回の対応はこうした対応と異なり、日本の拉致問題の特殊性を理解し、日朝交渉を支持する姿勢を見せるとともに、日米韓の連携に影響を与えないように対応したとみられた。不満があれば、日米は水面下でやりとりすれば良いことで、公開的にやり合うことにメリットはない。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

 ◆韓国・キューバ国交樹立の外交打撃を取り繕う効果も

 一方、韓国外務省は2月14日夜(日本時間)、韓国とキューバの国連代表部が米ニューヨークで書簡を交わし、両国が国交を樹立したと発表した。北朝鮮にとってキューバは伝統的な友好国であり、大きな打撃であることは言うまでもない。

 北朝鮮が翌日の2月15日夜に金与正談話を発表したが、このタイミングでの談話発表は、韓国とキューバの国交樹立の外交的打撃を「日本カード」を出して、取り繕うとする意図が反映したものであろう。キューバが韓国との国交樹立で北朝鮮を裏切ったことで、北朝鮮が「背信感」を抱いたことは間違いない。金正恩党総書記は、昨年末の党中央委第8期第9回全員会議(総会)拡大会議でで、「社会主義国の政権党との関係発展に力を入れながら」、「米国と西側の覇権戦略に反旗を翻す反帝・自主的な国々との関係をより一層発展させて、わが国家の支持・連帯の基盤をさらに固めて国際的規模で反帝共同行動、共同闘争を果敢に展開していく」とした。しかし「社会主義国の政権党」であり、「米国と西側の覇権戦略に反旗を翻す反帝・自主的な国々」の中核メンバーであるキューバが経済的な実利のために韓国との国交を結んだのだから、金正恩党総書記の党中央委総会で示した方針に大打撃となるしかない。

 朝鮮中央通信は2月14日に、金正日総書記の誕生日(同16日)を迎え、平壌駐在外交団が同13日に花かごや祝賀書簡を北朝鮮側に伝えたと報じた。朝鮮中央通信はこの行事にロシア大使、ベトナム大使、シリア大使が参加したことを伝えたが、キューバについては言及しなかった。また、朝鮮労働党中央委員会は2月14日に平壌駐在外交団のための宴会を催したが、ここでも外交団長であるロシア大使の発言だけが報じられ、キューバへの言及はなかった。北朝鮮メディアがキューバへの言及を避けているのはキューバが韓国と国交を樹立したことへの不快感の表明とみられた。

 しかし、北朝鮮が急接近しているロシアも、経済的な結びつきの強い中国もすでに韓国との国交を持っており、キューバが韓国と国交を結んだとしても、北朝鮮側がキューバとの国交を断絶するような事態は起きないとの見方が有力だ。しかし、一時的には、キューバとの緊張関係が続くであろう。

 ◆金与正は「個人の見解」を強調したが

 金与正党副部長の「談話」は最後に「今後、岸田首相の内心を見守らなければならないであろう」とした上で「これはあくまでも、私個人の見解であって、私は公式に朝日関係を評価する立場ではない」と付け加えた。

 国営の朝鮮中央通信が「朝鮮労働党中央委員会副部長」の「談話」を伝えたのに、その「談話」の内容が「私個人の見解」であるはずがない。

 金与正党副部長の談話は時々「委任により」という言葉が挿入されることがある。これは金正恩党総書記の「委任」を受けて発表しているという意味だ。「委任により」がない場合は自らの責任で発表したということだが、これも公式のメディアで発表される場合は金正恩党総書記の同意を取っているのは間違いない。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

 今回はそういうスタイルの上にわざわざ「私は公式に朝日関係を評価する立場ではない」とし「私個人の見解」とした。金与正氏はこれまで対米、対南(韓国)に関する談話を発表したが、対日問題で発言をするのは初めてだ。

 北朝鮮の対日外交はこれまでいくつものルートがあった。第一は外務省ルートだ。これも外務省とその傘下団体の対外連絡協会や朝日交流協会、第二は党統一戦線部や、この傘下団体のアジア太平洋委員会だ。第三は公安機関である国家保衛省を通じたラインだ。

 金与正氏は現在、党宣伝扇動部の副部長とみられている。党宣伝扇動部の副部長が対日問題に言及するのは権限外のことであろう。しかし、対南や対米についても、本来は金与正氏の職務権限外である。しかし、金与正氏は対米、対南で談話を出すなどその政策決定に強く関与してきた。現在、党書記局には国際担当書記、対南担当書記がおらず空席だ。これは金与正党副部長の活動を制約しないための措置とも見える。

 かつて、小泉純一郎首相と金正日総書記の首脳会談のために、田中均外務省アジア大洋州局長とミスターXこと、柳京(リュ・ギョン)国家保衛部(当時)副部長が両国の最高指導者に直結する人物として小泉首相の訪朝を準備した。しかし、現在の北朝鮮には対日政策のコントロールタワーとなる責任者が不在の状況だ。北朝鮮が本気で対日交渉を動かそうとすれば、「ミスターX」のような存在が必要になるが、北朝鮮はまだそのような状況ではないと判断しているようだ。金与正氏は今回談話を出したが、そういう対日責任者ではないことを確認したといえる。

 金与正氏の談話は朝鮮中央通信では報じられたが、一般人民が接することのできる党機関紙「労働新聞」や内閣と最高人民会議の機関紙「民主朝鮮」、朝鮮中央放送(ラジオ)、や朝鮮中央テレビでは報道されなかった。

 ◆日本政府は、「留意」するが、拉致問題は解決済みではない

 こうした中で、日本政府はどう対応したのか。林芳正官房長官は2月16日の記者会見で「留意している。評価を含めてそれ以上の詳細は交渉に影響を及ぼす恐れがあるため差し控える」と述べた。だが、北朝鮮が拉致問題を「解決済み」などとしたことに対しては「解決されたとの主張は全く受け入れられない。日朝平壌宣言に基づき拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決する方針に変わりはない」と金与正党副部長の談話内容を批判した。北朝鮮側の狙いを問われたが、コメントを差し控えた。

 拉致は解決済みという北朝鮮を非難すれば、対話への道が途絶えかねない。かといって、「平壌訪問も可能」という誘いに乗れば、拉致問題や核・ミサイル問題への対応が非難される。日本政府としても対応に苦慮するしかない。

 岸田首相は2月9日の衆院予算委員会で、日朝間の秘密接触の有無などには言及せず、日朝首脳会談実現への環境整備について「私が自ら必要な判断を行う。具体的にさまざまな働きかけを行っている。そういった現状だ」と強調した。岸田首相は「具体的にさまざまな働きかけ」が何であるかは明らかにしなかった。しかし、金与正党副部長の「談話」は「現在までわが国家指導部は朝日関係改善のためのいかなる構想も持っておらず、接触にも何の関心もないと知っている」とし、北朝鮮指導部が日朝関係改善の青写真もなく、接触に関心がないとした。これを見ると、日本政府の「さまざまな働きかけ」とは、接触を求めているが、北朝鮮側が応じていないということのように見える。

 ◆「日米韓」で、「日本」が当面の揺さぶり対象

 金正恩党総書記は、昨年末の党中央委総会でも、「わが共和国(北朝鮮)に対する敵視政策を実現する上で最も忠実な手先、『忠犬』となっている南朝鮮の連中と日本の連中をより執拗に引き入れて両者、3者協力の拡大を謀り、反朝鮮共助体制を構築するための米国の策動は安保不安を抱えている南朝鮮の連中の利害関係とマッチして、今年に入って一層ひどく拡大された」と日米韓3者の連携、日韓、米韓の連携を強く非難した。

 米国のバイデン米大統領、日本の岸田首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、昨年8月に米ワシントン近郊の米大統領山荘キャンプデービッドで日米韓3カ国首脳会談を行い、北朝鮮だけでなく、中国に対しても連携を強化するとした。この「キャンプデービッド原則」は、3カ国で政権交代があってもよいように枠組みを提示したといえる。

 北朝鮮はこの「キャンプデービット原則」で示された日米韓3国連携に強い反発を示し、これに対抗しようとしている。北朝鮮にとって韓国は「交戦中の敵国」であり、米国はこの3カ国連携の主導者であると認識している。そうなると当然、日米韓の連携を揺さぶろうとすれば、そのターゲットは日本ということだ。

Photo by gettyimages© 現代ビジネス

 北朝鮮の昨年5月の外務次官談話、今年1月の能登半島地震の見舞い電報、今回の金与正談話という波状的な対日アプローチは日朝関係をめぐる外交攻防であると同時に、日米韓3カ国連携に対する揺さぶりでもあろう。こうしたアプローチは今後も続くとみられる。

 一方、日朝関係については、北朝鮮は昨年5月の外務次官談話で「日本は言葉ではなく、実践行動で問題解決の意志を示さなければならない」と日本へ要求したが、岸田政権は日米韓の軍事的な協力関係強化を図ったが、日朝関係改善への具体的な動きは見せなかった。岸田首相は今年2月9日の衆院予算委員会で「私が自ら必要な判断を行う」、「昨今の日朝関係の現状に照らし、大胆に現状を変えなければならない必要性を強く感じる」と踏み込んだ発言をしたが、何を「大胆に変えなければならない」のかは不明だ。 北朝鮮側は「日朝間の接触に関心がない」としている。接触をしたいのであれば、日本政府の対北朝鮮政策の姿勢が変わったということを「実践行動」で示せということのようだ。

 ◆「希望」掲げ、受け入れられない「条件」提示

 金与正談話は、「私自身が主体的に動いて、トップ同士の関係を構築する」と言う岸田首相に「平壌訪問も可能」という「希望」を提示した。しかし、その「希望」を実現するためには拉致問題や核・ミサイル問題は問題にしないという、日本側としては到底、受け入れ難い「条件」を付けた。

 しかし、日本側としては、北朝鮮が設定した枠組みの抜け穴を探さなくてはならない。あり得るとすれば「前提条件を付けず、あらゆる関心事を協議する」という合意下で首脳会談を行い、結果として日本側は最大の関心事である拉致問題や核・ミサイル問題にも言及するという形になるしかないように見える。当然、北朝鮮側は制裁解除や国交正常化、過去の清算などを持ち出してくるだろう。これに対する何らかの対応も必要になるだろう。

 しかし、現在は、日朝間の水面下の接触も切れた状態だ。敵対国同士であれ、相手が何を考えているかを知る必要がある。日朝は公開的であれ、水面下であれ、何らかの対話ルートを早急に構築するべきだ。その中で、何らかの「抜け穴」を見つけなければならない。

 北朝鮮の金与正党副部長の日朝関係に対する「個人の見解」なる談話が、日本だけでなく、韓国や米国にも波紋を呼んでいる。わずかA4用紙1枚の「個人の見解」がこれほど論議の対象になるのだから、北朝鮮の宣伝扇動技術はたいしたものである。

 ■PERSON

 1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政策・外交・北朝鮮・担当:平井 久志 ジャーナリスト】  2024年02月22日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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