【僭越ながら論 17.12.08】:安倍晋三の「真摯」「丁寧」って何なんだ?
『漂流日本の羅針盤』: 【僭越ながら論 17.12.08】:安倍晋三の「真摯」「丁寧」って何なんだ?
政治が信頼を失って久しい。官僚に対する信頼も、無きに等しい状況だ。テレビドラマでは面白おかしく「忖度」を材料に使い、今年の流行語大賞でも「忖度」が大賞をとった。 原因となった森友・加計の両学園問題は、政府・自民党の抵抗にあって解明が進まぬ事態となっている。
森友・加計疑惑の中心にいるのは、安倍晋三首相本人と昭恵夫人。この国の最高権力者に疑いの目が向けられているというのに、産経や読売といった御用マスコミは徹底して首相を擁護し、疑惑解明に力を入れる他紙を攻撃してきた。
そうした中、内閣から独立した機関である「会計検査院」が、森友学園問題に関する検査結果を公表。腰の引けた検査報告だったが、土地価格の過大な値引きに根拠が乏しいことを指摘した。「真摯」「丁寧」を連発してきた安倍首相や政府・自民党に求められているのは、疑惑を晴らすための努力のはずだが……。
■会計検査院―「8億円値引きの根拠ない」
大阪府豊中市の国有地が、学校法人「森友学園」にごみの撤去費分として約8億円値引きされて売却された問題で、参議院から検査要請を受けていた会計検査院が先月、検査結果を公表した。検査の内容は、国有地の売却等に関する次の事項である。
- 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯
- 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性
- 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況
検査結果は117ページにわたる報告書(⇒「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」)にまとめられているが、その中から主要な検査意見を抜粋した。
要は、“森友側との協議記録など重要な文書が廃棄されており、8億円値引きの根拠もない”――ということ。「適正」を繰り返してきた安倍晋三首相や財務省の責任が問われる事態だ。しかし首相は、安倍昭恵夫人など関係者の国会喚問、参考人招致については「国会がお決めになること」として事実上の拒否。政府・自民党も再調査を否定しており、真相は藪の中となる可能性が高い。
ならば、産廃撤去費を差し引いた適正な土地の売却価格はどの程度のものだったのか?土地価格を試算したとされる会計検査院に関連文書を開示請求したが、同院の情報公開窓口は「始まる前になんですが、おそらく不開示になると思いますよ」と腰が引けたコメント。“文書はあるが、開示しない”という方針である。関係文書やデータは破棄され、政府の役人は口をつぐむ。自民党も首相も再調査拒否。国を挙げての隠蔽と言うしかない。
■失われた「信頼」 まかり通る「隠蔽」
安倍首相は、森友や加計の問題で世論が沸騰するたび、「真摯な対応」「丁寧な説明」を繰り返してきた。しかし、首相の説明に根拠はなく、「私や妻は潔白」という訴えを続けるばかりだ。つまり、説明ではなく言い訳。国民に「忖度」しろと言っているに等しい。政治や行政に「信頼」の二文字を求めることは、不可能になったということだろう。安倍にとっての「真摯」や「丁寧」が、辞書にある意味と違っているのは確かだ。
教育がらみの疑惑に対し、国を挙げての隠蔽がまかり通る世の中を、子供たちはどう見ているのか……。
元稿:HUNTER 主要ニュース 【僭越ながら論】 2017年12月08日 09:55:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。