【主張②・12.11】:秋篠宮殿下ご帰国 トルコとの絆が強まった
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.11】:秋篠宮殿下ご帰国 トルコとの絆が強まった
秋篠宮皇嗣同妃両殿下が、トルコ公式訪問を終え、帰国された。3日から8日まで6日間にわたる日程で、外交関係樹立100周年記念式典などさまざまな行事に臨まれ、親善の実を挙げられた。
大切なお務めをつつがなく果たされたことを、国民こぞって喜び、感謝を申し上げたい。
ご訪問はトルコ政府の招待による。皇嗣殿下は4日にエルドアン大統領と会談し、天皇陛下からのお言葉として「二国間の友好親善関係の増進を願います」と伝えられたという。
5日には妃殿下とともに、記念式典に臨席された。皇嗣殿下は、「日本とトルコは、一般的な交流にとどまらず、トルコ語の諺である『雨天の友』のように、困難な時に助け合う歴史を重ねてきました」とのお言葉を述べられた。
皇室とトルコの関係は深く、オスマン帝国時代の1887(明治20)年の小松宮彰仁(あきひと)親王の公式訪問に遡(さかのぼ)る。戦後は「オリエントの宮様」と親しまれた三笠宮崇仁(たかひと)親王が何度も訪れ、日本・トルコ協会名誉総裁を務めるなど親善に尽くされた。
皇嗣殿下が指摘されたように、両国は困難な時に助け合ってきた。
1890(同23)年にトルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山県沖で遭難した際に、日本側は全力で救助にあたった。その約100年後、イラン・イラク戦争下の1985(昭和60)年にはテヘランに取り残されていた日本人215人を、トルコ航空機が救出した。東日本大震災ではトルコから援助隊が、昨年のトルコ南東部での地震では日本から援助隊が駆けつけた。
皇嗣殿下は妃殿下とともにエルトゥールル号の展示を視察されたり、日本人救出の航空機乗員や東日本大震災の援助隊隊長らと面会されたりした。三笠宮家が発掘を支援した遺跡にも足を運ばれた。ご様子は連日大きく報じられ、両国民の絆を強めたのは疑いない。
「皇室外交」は気品にあふれ、今回のご訪問のように、相手国の人々の心を打つことがしばしばある。国際親善の意義は極めて大きい。時の首相が外遊先で外交マナーに沿わない態度をとり日本の印象を損なうのとは大きな違いがある。
皇室を戴(いただ)く国のありがたさといえる。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年12月11日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。