路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《なるほドリ・02.03》:世界気温、パリ協定目標超過したの? 昨年、初の1.5度超上昇 単年でなく長期で判断=回答・大場あい

2025-02-03 02:07:00 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《なるほドリ・02.03》:世界気温、パリ協定目標超過したの? 昨年、初の1.5度超上昇 単年でなく長期で判断=回答・大場あい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《なるほドリ・02.03》:世界気温、パリ協定目標超過したの? 昨年、初の1.5度超上昇 単年でなく長期で判断=回答・大場あい 

 なるほドリ 2024年は最も暑い1年だったんだって?

 記者 世界気象機関(WMO)は、日本や欧州連合(おうしゅうれんごう)(EU)などの六つの研究チームのデータを総合的に分析(ぶんせき)し、24年の世界の平均気温は観測史上(かんそくしじょう)最も高く、産業革命前の水準を1・55度上回ったと発表しました。日本も1898年の統計開始以降で最も暑い年でした。

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/02/03/20250203ddm003040098000p/9.webp?1" type="image/webp" />ミストを浴びて涼を取る子どもたち=パリで2024年7月、長澤凜太郎撮影</picture>
ミストを浴びて涼を取る子どもたち=パリで2024年7月、長澤凜太郎撮影

 Q 確か、地球温暖化の被害(ひがい)をできるだけ少なくするために、気温上昇(じょうしょう)を抑(おさ)えようっていう世界共通の目標があったよね。

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ】  2025年02月03日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.23》:トランプ2.0 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する

2025-01-25 02:05:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説①・01.23》:トランプ2.0 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.23》:トランプ2.0 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する 

 地球温暖化に歯止めをかけようとする国際社会の努力に水を差すようなことがあってはならない。

 トランプ米大統領が、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から再び離脱する大統領令に署名した。

パリ協定を採択した国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)=フランス・パリで2015年12月(同条約事務局提供)

 「世界で最もエネルギーコストの安い国」を目指し、バイデン政権時代の政策を転換する。「(化石燃料を)掘って掘って掘りまくれ」と、規制緩和による石油や天然ガスの増産を促す一方で、大規模風力発電や電気自動車(EV)などへの支援策を撤回する。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/23/20250123ddm005070119000p/9.webp?2" type="image/webp" />著名人も多く暮らす高級住宅地パシフィックパリセーズ近くで燃え広がる火災=米西部ロサンゼルスで2025年1月7日、ロイター</picture>
著名人も多く暮らす高級住宅地パシフィックパリセーズ近くで燃え広がる火災=米西部ロサンゼルスで2025年1月7日、ロイター

 各国は温室効果ガス排出量の実質ゼロに向け、来月までに新たな削減対策を国連に提出するよう求められている。米国は昨年、「2035年までに05年比61~66%減」という目標を発表した。その扱いも不透明となった。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月23日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.14】:温室ガス排出/温暖化抑える削減目標に

2025-01-18 06:00:10 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・01.14:温室ガス排出/温暖化抑える削減目標に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.14】:温室ガス排出/温暖化抑える削減目標に 

 石破茂首相が本部長を務める政府の地球温暖化対策推進本部が、温室効果ガスの新たな排出削減目標について「2035年度に13年度比60%減、40年度に同73%減」とする対策計画の改定案を了承した。政府は意見公募の後に閣議決定し、2月中に削減目標を国連に報告する。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の試算によると、産業革命前からの気温上昇を1・5度以内に抑えることを目指す国際枠組み「パリ協定」の目標達成には、35年度に13年度比66%の削減が求められる。日本の削減目標はこれをかなり下回っており、踏み込みが足りないと言わざるを得ない。

 改定案が示された環境省と経済産業省の合同会合では、委員から「低すぎる」との批判があった。脱炭素を目指す企業グループなどからも、より高い目標を求める声が上がる。政府は専門家や国民の意見に耳を傾け、温暖化を抑えられる目標を国際社会に明示しなければならない。

 日本は現在、30年度に13年度比46%減、50年に排出実質ゼロの目標を掲げる。政府は新たな目標がこれに整合すると述べ、排出削減と経済成長を同時に実現する観点から用意した数字だと説明している。

 だが世界気象機関(WMO)は、昨年1~9月の世界平均気温が産業革命前と同程度の気温と比べ1・54度上昇したと発表した。日本の昨年の平均気温も平年値を1・48度上回った。パリ協定の1・5度目標の達成は既に危機的な状況にある。

 日本を含む世界の農作物などに影響が出ているほか、豪雨や山林火災の多発、海面上昇などの被害が各地で発生している。とりわけ途上国の被害が深刻さを増している。二酸化炭素(CO2)など大量の温室効果ガスを排出してきた先進国には、自国の都合を優先せず、野心的な削減に率先して取り組む責務がある。

 日本政府が排出削減目標を上積みできない理由の一つに、発電量全体の中で火力発電の占める割合が高いという点がある。次期エネルギー基本計画の原案では、40年度に火力発電を3~4割程度使うとした。温室ガス排出が特に多い石炭火力の割合は明らかにしなかった。これでは国際社会の理解は得られまい。

 23年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、世界の再生可能エネルギー容量を30年までに3倍にするとの合意があった。ところが基本計画原案では、23年度実績で22・9%の再エネは40年度でも4~5割にとどまる。

 気候危機回避は国を超えた喫緊の課題である。日本は温室ガス削減に寄与するため、再エネの技術革新などに国を挙げて取り組むべきだ。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.11】:温室効果ガス削減目標 排出国の責任を果たさねば

2025-01-11 07:00:55 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・01.11】:温室効果ガス削減目標 排出国の責任を果たさねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.11】:温室効果ガス削減目標 排出国の責任を果たさねば 

 政府は、温室効果ガスの新たな排出削減目標を「2035年度に13年度比60%減」とする地球温暖化対策計画の改定案を了承した。

 60%減は、現在の目標「30年度に46%減」の延長線にある。いわば、上乗せのない数字だ。しかも産業革命以降の気温上昇を15度に抑えるパリ協定の目標達成のため、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が必要とする削減量に届いていない。

 先進国の中で米国に次ぐ世界5位の排出量を抱える国の責任を放棄しているとしか思えない。世界に胸を張れる数値にまで、削減幅を引き上げる必要がある。

 24年は世界各地で記録的猛暑や洪水などの気象災害が多発し、気候変動危機の深刻さを印象付けた。気温上昇が15度を上回った最初の年になりそうだという。

 11月にブラジルである気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に向け、各国に大幅な削減目標の打ち出しが求められるのは当然だ。

 IPCCは、15度目標の達成には35年に19年比で60%減が世界平均で必要と試算する。日本が基準とする13年度比にすると66%減に相当する。政府の目標値は6ポイントも足りないのに、「野心的」と自画自賛する姿勢にあきれる。

 欧州連合(EU)は40年までに1990年比90%減、英国は35年までに同81%減と、はるかに野心的だ。先進国が本気度を示せば、途上国の対策を促すことにもつながる。

 政府の目標値は、経済産業省と環境省の合同会合でまとめた。ベースにあるのは経産省所管の公益財団法人が示した「大幅削減ならコストが多大」とする試算だ。目先のコストにとらわれ目標を低く設定するのは、気候変動危機を軽視するのと同じだ。災害や熱中症に拍車がかかれば国内経済も影響を避けられない。

 60%減は、経団連が昨秋提言した数値から一歩も踏み込んでいない。再生可能エネルギー拡大や電力システム改革を怠れば「企業の競争力にも影響する」と75%削減を求めたリコーなど大手企業グループの意見や、科学者らの声は反映されなかった。

 官僚の筋書き通りの目標値を、政府が型通りの会議で認めるやり方も納得できない。本来は国民生活の実情に即した議論の積み上げが必要だろう。エネルギー確保と消費の在り方も根本から問い直されるべきだ。国民不在の決め方で実効性が伴うと思えない。

 トランプ次期米大統領はパリ協定離脱を準備し、米国に危機回避のリーダー役は期待できない。再エネ普及の鍵を握るペロブスカイト太陽電池などの分野で強みを持つ日本がけん引役を果たすべきだ。

 その観点からも石破茂首相は、この目標値でCOP30に臨めば国際社会や将来世代にどう受け止められるか、よく考えてもらいたい。

 国連への提出期限は2月。政府は今月26日まで意見公募をした後に閣議決定するという。意見募集を形式だけのものとせず、提出を引き延ばしてでも日本のこれからの行動を見直す決断を求める。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【長野県】:山ノ内町、国内外の山岳都市関係者が集う気候変動国際会議開催へ 温暖化の実情や課題を共有 

2025-01-04 11:00:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【長野県】:山ノ内町、国内外の山岳都市関係者が集う気候変動国際会議開催へ 温暖化の実情や課題を共有 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【長野県】:山ノ内町、国内外の山岳都市関係者が集う気候変動国際会議開催へ 温暖化の実情や課題を共有  

 下高井郡山ノ内町が町制施行70周年の節目を迎える2025年度に、国内外の山岳都市に呼びかけ、同町で気候変動を考える会議の開催を構想していることが3日、分かった。地球温暖化による影響が町の基幹産業のスキー観光や農業に出始める中、幅広い関係者で問題意識を共有。町民に脱炭素の取り組みを促し、気候変動対策の強化に向けた機運を高める狙いだ。

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 雪に覆われた山ノ内町。温暖化が進みこの雪景色を後世に伝えられるか、地域に不安が広がっている=2024年12月31日

 開催は秋ごろの方針。スキーリゾートを抱える国内の観光地、自治体、スキー場のほか、町とパートナー協定を結ぶ北海道美唄市(びばいし)などに声をかけ、各地の脱炭素の取り組みを報告し合ったり、今後の対策について意見を交わしたりする想定だ。同町と友好交流を進め、スキーリゾートとして課題を共有している米コロラド州ベイル町とフランスのサン・ジェルヴェ・レ・バン市の関係者も招き、海外の実情も聞く。

 山ノ内町の志賀高原は、1980年に「志賀高原ユネスコ(国連教育科学文化機関)エコパーク」に登録された。「ユネスコスクール」の認定を受け自然と観光の共存などESD(持続可能な開発のための教育)に取り組む町内小中学校の児童生徒も招き、気候変動や脱炭素への学びを深める場にする。

 同町は今後、内容を詰めて25年3月の町議会定例会に関連予算案を提出する方針。アルペンスキー選手として1998年長野冬季五輪に出場した平沢岳町長は、現役時代に練習を重ねた欧州のスキー場が氷河が解けて閉鎖されたことを挙げ、「気候変動は山ノ内の未来を左右する。会議をきっかけに気候変動を加速させないライフスタイルを確立し、環境に配慮したリゾートづくりを進めたい」とする。

                   ◆

 関連記事は以下のリンク(緑色の文字)から読めます。

 元稿:信濃毎日新聞社 主要ニュース 社会 【話題・科学・環境・下高井郡山ノ内町が町制施行70周年の節目を迎える2025年度に、国内外の山岳都市に呼びかけ、同町で気候変動を考える会議の開催を構想】  2025年01月04日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:【温室効果ガス】:信頼得られる削減目標か

2024-12-27 05:05:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・12.27】:【温室効果ガス】:信頼得られる削減目標か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:【温室効果ガス】:信頼得られる削減目標か

 自然災害の激甚化や生態系の喪失を防がなければならない。取り組みの強化と国際協力が不可欠だ。日本の姿勢も問われている。
 政府は地球温暖化対策計画の改定案を大筋でまとめた。新たな温室効果ガスの排出削減目標は2035年度に13年度比60%減、40年度に同73%減とする。
 日本は50年に実質排出ゼロを掲げる。この目標と、13年度の排出量実績とを直線で結んだ場合の各年度の数値という。現在の目標である30年度46%減も同じ線上にある。
 温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えることを目指す。しかし、世界の温室効果ガス排出量は増加傾向に歯止めがかからない。
 既に世界の平均気温は1・1度上回っているとされる。各国が対策を強化しなければ、上昇幅は今世紀末には最大3・1度になるとの予測もある。先送りは許されない。
 各国は来年2月までに、35年の温室効果ガスの削減目標を国連に示すことになっている。日本も国内の手続きを経て提出する。
 日本が1・5度目標を実現するためには、35年度は66%削減が必要との試算もある。このため、より高い野心的な削減目標を求める意見が出ていたが、政府は上積みを見送る意向のようだ。そもそも、現行の削減計画の実現が危ぶまれている。取り組みの加速が不可欠だ。
 計画の改定案では、産業や家庭での省エネルギー性能が高い設備の導入促進を目指す。ほかにも家畜の排せつ物などから出るメタンの削減や、二酸化炭素を吸収する森林の整備などの対策を盛り込んでいる。有効な施策は積極的に取り入れ、着実に進めることが必要だ。
 世界の目標達成には、中国や米国の排出削減が重要となる。しかし、世界2位の排出国である米国は、トランプ次期大統領がパリ協定から離脱する構えを見せる。最多の中国の対応にも影響しかねず、国際的な対策の後退が懸念される。
 11月の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、途上国の対策のための資金目標で合意した。だが、合意額は現行より多いものの、途上国の要求額からは程遠い結果となった。
 これまでの排出責任を問う途上国と、負担を軽減したい先進国との対立が目立った。深刻な影響を受ける小島しょ国や、厳しさを増す自然災害への備えを強化する途上国への支援の拡大は重要だ。協力体制の整備は欠かせない。
 日本の気候も厳しくなっている。今年の平均気温は2年連続で過去最高となることが確実となった。農作物の生育不良が目立ち、大雨の発生頻度が増えている。今年の暑さは温暖化の影響だけではないともされるが、温暖化防止の行動が求められていることは間違いない。
 取り組みが見劣りしては国際的な信頼や発言力にも関わる。対策の遅れにつながらないように各国と協力を深める必要がある。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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《なるほドリ・12.18》:温室ガス削減目標、なぜ議論? 5年ごと見直し義務 来年2月が提出期限=回答・山口智

2024-12-18 02:00:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《なるほドリ・12.18》:温室ガス削減目標、なぜ議論? 5年ごと見直し義務 来年2月が提出期限=回答・山口智

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《なるほドリ・12.18》:温室ガス削減目標、なぜ議論? 5年ごと見直し義務 来年2月が提出期限=回答・山口智

 なるほドリ 政府が今度、温室効果(おんしつこうか)ガスの新しい削減目標(さくげんもくひょう)を決めるんだって?

 

環境、経済産業両省の審議会の合同会合=東京都港区で6月、大野友嘉子撮影

環境、経済産業両省の審議会の合同会合=東京都港区で6月、大野友嘉子撮影

 記者 現在ある目標は「2030年度までに13年度の実績より46%減らす」です。

 環境省(かんきょうしょう)と経済産業省は6月から有識者会合を開き、35年以降を期限とする目標について議論していて、新たな目標案が年内にも公表される予定です。

 ■この記事は、有料記事です。残り658文字(全文832文字)

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ】  2024年12月18日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.11】:排出量取引 企業のCO2削減を促したい

2024-12-11 05:00:40 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説②・12.11】:排出量取引 企業のCO2削減を促したい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.11】:排出量取引 企業のCO2削減を促したい

 脱炭素を加速させていくために、企業による二酸化炭素(CO2)削減の取り組みが一段と重要になっている。政府が導入する排出量取引制度で後押ししていきたい。

 政府は、企業の脱炭素化を促すため、国内でのCO2排出量が年間10万トン以上の企業に、排出量取引への参加を義務づけることを決めた。鉄鋼や石油、自動車、化学などの分野で、計300~400社の参加を見込んでいる。

 2026年度に企業ごとに排出枠を割り当て、27年度から本格的な取引を始める予定だ。

 温室効果ガスの大半はCO2である。その排出量のうち、4割強は発電所などエネルギー転換部門が占め、産業部門の3割弱、運輸部門の約2割が続く。

 22年度の排出量は約11億トンだった。政府は、35年度に13年度比で60%削減し、5億トン半ばまでに抑える新たな目標を掲げる方向だ。それを達成するには、主要な産業部門で脱炭素を加速させていくことが不可欠である。

 排出量取引の具体的な仕組みとしては、まず最初に政府が1社ごとに「排出枠」を無償で割り当てる。それを受けて企業側は、生産活動に伴うCO2排出量の枠の上限に届かずに余った場合、他社に売ることができるようにする。

 一方、枠を超える量のCO2を排出した企業は、その超過分を解消するために、他社から枠を買わなければならない。枠を超過したまま放置すれば、負担金などが課されることになる。

 これにより、企業はCO2の排出量を減らすほどに利益が上がるようになるため、脱炭素化の後押しとなることが期待されよう。

 今後の詳細な制度設計で、最大の焦点となるのは、各企業に割り当てる排出枠の大きさだ。

 主要な3部門のうち、産業部門の排出量は、鉄鋼業が約4割、化学工業が2割弱だ。排出量の過半をこの2業界が占めている。

 枠の設定が緩いと、企業の脱炭素への取り組みが進展しない可能性がある。一方、厳しすぎれば、日本企業のコストが増大し、国際競争力が低下しかねない。

 排出量取引は、欧州連合(EU)や韓国が導入済みだ。韓国では当初、多くの企業が枠の設定が厳しすぎるとして、異議を申し立てる例が続出したという。こうした事態は避けねばならない。

 日本は、脱炭素技術の研究開発や工場の新設を行った企業に枠を追加するなどして、前向きな取り組みを引き出すことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《気候変動》:委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか

2024-12-09 05:30:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《気候変動》:委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《気候変動》:委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか 

 日本の新たな温室効果ガス排出削減目標の議論の進め方や政府が示した目標案に異論が相次いでいる。削減目標は今後10年、15年の気候変動対策の根拠となるものだが、有識者の声や科学的知見を軽視したまま、環境、経済産業両省の案が「規定路線」として決まりかねない事態になっているのだ。

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/08/20241208k0000m040149000p/9.webp?1" type="image/webp" />次期温室効果ガス排出削減目標に関する環境、経済産業両省の審議会の合同会合。6月に初会合が開かれた=東京都港区で2024年6月28日午前9時56分、大野友嘉子撮影</picture>
次期温室効果ガス排出削減目標に関する環境、経済産業両省の審議会の合同会合。6月に初会合が開かれた=東京都港区で2024年6月28日午前9時56分、大野友嘉子撮影

 ◆「非常に雑な議論」委員から異論噴出

 「『きたんのないご意見を』という言葉は(政府の)パフォーマンスに過ぎないのでは」「非常に雑な議論をしているというのが実感だ」

 11月25日、削減目標や実現の具体策を議論する両省の審議会の合同会合で、委員から異論や不満の声が噴出した。太陽光発電システムの販売・リース事業などを展開するハチドリソーラー(東京)代表取締役の池田将太さんは「この進め方で本当に正しい方向性の政策が作れるのか、疑問を感じている」と訴えた。

 各国は、2035年以降を期限とする次期削減目標を来年2月までに国連に提出することが求められており、国内では今年6月、両省の合同会合で議論が始まった。これまでに6回開催され、経済団体や若者団体、自治体などが意見を述べ、有識者委員がコメントしたり質問をしたりするという形式で進められてきた。

 ◆意見書読み上げ「控えさせて」

 池田さんが強く異論を唱えたのには理由がある。仕事の都合で前回10月の会合を欠席した際、発言の代わりに事前に「意見書」を提出したが、環境省から会合での読み上げを「控えさせていただきたい」と言われ、結果として意見が黙殺された形になった。… 

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 環境・科学 【特集・気候変動・日本の新たな温室効果ガス排出削減目標の議論の進め方】  2024年12月09日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.08》:脱炭素と排出量取引 実効性の高い制度設計に

2024-12-09 02:05:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説①・12.08》:脱炭素と排出量取引 実効性の高い制度設計に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.08》:脱炭素と排出量取引 実効性の高い制度設計に

 脱炭素社会の実現に向けて、企業に行動変容を促す実効性の高い制度にしなければならない。

 政府が2026年度に本格導入する排出量取引の大枠を決めた。1年間に排出できる二酸化炭素(CO2)の上限を企業ごとに定める。超過した分は、下回った他社から買い取って相殺する仕組みだ。取引で穴埋めできなければ、国に負担金を支払う。

2年連続で統計開始以来「最も暑い夏」となるなど、日本でも地球温暖化の脅威が高まる。歯止めをかけるには、排出量取引に参加する大企業の脱炭素の取り組みがカギを握る=静岡市葵区で2024年7月7日、宮間俊樹撮影

 排出を減らせなければコストがかさみ、抑えられれば余った分の売却益を見込める。脱炭素技術の開発を促す効果が期待される。

 年間排出量10万トン以上の企業に参加を義務づける。電力会社や鉄鋼、自動車など300~400社が対象となる見通しで、国内全体の排出量の6割程度がカバーされるという。先行して導入した欧州や韓国を参考にした。

 排出量を売買する市場は、すでに東京証券取引所に開設されている。だが、参加するかどうかや、排出上限の設定は企業に委ねられている。超過分の買い取り義務もなく、削減を後押しする仕組みとしては限界がある。

 強制力を持つ制度になれば、削減効果は高まる。ただし、課題も少なくない。

 まず企業ごとの上限を公平・透明な形でどう設定するかが問題だ。厳し過ぎれば、排出量の取引価格が高騰し、業績を圧迫する。半面、甘過ぎれば、脱炭素への投資が停滞しかねない。

 政府は鉄鋼や自動車などを念頭に「輸出競争力の確保に配慮する」と説明する。だが、企業の事情を優先するあまり、削減が進まないようでは本末転倒だ。

 これまで積極的に取り組んだ企業ほど追加削減の余地が乏しいという点も考慮する必要がある。

 韓国では15年の導入当初、「特定企業が優遇されている」との不満が噴出し、訴訟が起きた。教訓とすべきである。

 公平性を保つには、各企業のこれまでの排出実績の把握が必須となるが、評価方法は確立されていない。環境整備が急がれる。

 削減コストが製品価格に転嫁されれば、消費者の負担となる。国民の理解を得る努力も不可欠だ。

 政府は50年の排出量実質ゼロを国際公約に掲げる。それにつながる制度とすることが求められる。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月08日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《記者の目・12.06》:COP29を取材して 温暖化対策、日本は責任を=山口智(くらし科学環境部)

2024-12-09 02:03:20 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《記者の目・12.06》:COP29を取材して 温暖化対策、日本は責任を=山口智(くらし科学環境部)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《記者の目・12.06》:COP29を取材して 温暖化対策、日本は責任を=山口智(くらし科学環境部)

 アゼルバイジャンの首都バクーで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、地球温暖化対策で途上国を支援する「気候資金」の新たな目標に合意して閉幕した。現地取材で目に付いたのは、対策強化に後ろ向きな日本の姿勢だ。国内では温室効果ガスの新たな削減目標の策定に向けて議論が大詰めだが、国際的な共通目標を達成するには不十分な素案が示されている。対策を否定するような先進国の動きもある中、日本は責任ある削減目標を掲げてほしい。

 

COP29の会議終盤の夜に、交渉が行われている会議室の近くで議長国提案の合意文書案に反対の意を示す環境活動家ら=アゼルバイジャン・バクーで2024年11月、山口智撮影

COP29の会議終盤の夜に、交渉が行われている会議室の近くで議長国提案の合意文書案に反対の意を示す環境活動家ら=アゼルバイジャン・バクーで2024年11月、山口智撮影

 合意した資金目標は、先進国主導で2035年までに年3000億ドル(約45兆円)を支援する内容。現行目標の3倍に増額したものの、対策に必要とされる金額よりも低い額で決着した。採択直後には「あまりにも低すぎる。受け入れられない」(インド)、「これはジョークか」(ナイジェリア)など失望の声が相次ぎ、それに賛同する拍手や指笛がわき起こり、先進国との溝が浮き彫りになった。

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】  2024年12月06日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.02》:温室ガスの削減目標 脱炭素への野心が足りぬ

2024-12-03 02:04:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説①・12.02》:温室ガスの削減目標 脱炭素への野心が足りぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.02》:温室ガスの削減目標 脱炭素への野心が足りぬ

 地球温暖化は人類が直面する最大の環境問題である。日本は先進国として、実効性の高い対策を進める責務がある。

 環境、経済産業の両省が温室効果ガスの新たな削減目標案を公表した。2035年度に13年度比で60%減らす。現在掲げている30年度46%減の延長線にある。この削減ペースを維持すれば、国際約束としている50年の排出量実質ゼロを達成できるという。

 
各地で深刻化している地球温暖化。酷暑の中、設置されたミストを浴びながら水分補給をする中学生=静岡市葵区で2024年7月7日、宮間俊樹撮影

 パリ協定に基づき、各国は来年2月までに35年の削減目標を提出することになっている。今回の案は、脱炭素社会実現までの道筋を示すことで、企業の対策強化や市民の意識改革を図る狙いもある。

 ただ、この目標では不十分といわざるを得ない。

 国際社会は、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を1・5度までに抑えることを目指している。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などの分析では、35年には世界全体で13年比66%減とすることが必要だ。

 対策を強化しなければ、今世紀末の気温は3・1度上昇すると、国連環境計画(UNEP)が予測した。今年は最も暑い1年となる見通しで、自然災害も激甚化している。

 1・5度目標の達成は遠のくばかりで、削減ペースの加速は喫緊の課題だ。とりわけ温室効果ガスを大量排出してきた先進国には積極的な貢献が求められている。 

 日本は再生可能エネルギーの普及を進め、国際社会から批判の強い石炭火力発電への依存度を下げなければならない。

 温暖化対策は、経済を底上げし、次世代によりよい環境を残すための投資と位置づけるべきだ。

 これまでも省エネ効果の大きな青色発光ダイオード(LED)など日本発の技術が世界の対策に貢献してきた。最近では、軽量で曲がることから設置場所の制約が少ない「ペロブスカイト太陽電池」が国際的に注目を集める。

 アジア・太平洋地域には、経済成長に伴い排出量が急増している国が多い。日本が培った技術や排出削減を促す資金の提供などの支援も強化したい。

 新たな技術開発を促し、国際競争力も高める。そのためには野心的な目標の設定が不可欠だ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月02日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・12.02】:排出量取引の導入 競争力低下避ける設計に

2024-12-02 05:01:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張①・12.02】:排出量取引の導入 競争力低下避ける設計に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.02】:排出量取引の導入 競争力低下避ける設計に 

 政府が令和8年度の本格導入を目指す排出量取引制度の概要を公表した。

 年間10万トン以上の二酸化炭素(CO2)を排出する大企業の参加を義務付ける。300~400社が対象となり、国内の温室効果ガス排出量の6割近くを占める見通しだ。

写真はイメージ

 導入に当たり、政府は対象企業に対し、1年間に排出できる枠を無償で割り当てる。

 排出が少なく枠が余れば、株式のように売却したり翌年に繰り越したりできる。逆に枠を超えて排出した場合はその分を市場などから購入しなければならない。それでも枠に収まらない場合は一定の負担金を徴収する方向だ。

 排出量取引を導入するのは、CO2排出量の多い企業に脱炭素技術の開発・導入を促し、排出抑制につなげるためだ。すでに欧州連合(EU)や韓国などで始まっているが、日本で導入する際には国際競争力低下を招かない制度設計としなければならない。

 脱炭素技術を導入して製造時にCO2排出を減らすなどした製品はコストが高くなることは免れない。制度を導入していない国に比べ、日本の輸出競争力が低下する要因にもなる。

 もちろん排出を減らして枠を売れば脱炭素の投資負担を軽減できるが、鉄鋼などCO2削減が難しい業種もある。先行する海外事例も踏まえ、日本企業だけが過度に負担を強いられることがないようにすべきだ。

 企業ごとに割り当てる排出枠の公平性も課題となる。脱炭素技術を導入してきた企業ほど排出削減の余地は乏しい。政府は過去の削減努力も勘案して排出枠を調整する方向で検討している。排出を減らそうと投資してきた企業が不利にならないようにする必要がある。

 17年度の温室効果ガス排出量の削減目標について、政府は平成25年度比60%減とする方向で調整している。目標達成に、排出量取引が重要な手段となるのは確かだろう。革新的な脱炭素技術が開発できれば、国際競争力強化にもつながるはずだ。

 そのためには、脱炭素技術の研究開発に積極的に取り組む企業に対し優遇措置を講じることも必要になろう。企業にとって過度な負担になることを避けつつ、着実に脱炭素が進む制度設計とすることが求められる。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.28】:COP29合意 温暖化対策へ結束を保て

2024-11-30 06:05:10 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.28】:COP29合意 温暖化対策へ結束を保て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:COP29合意 温暖化対策へ結束を保て 

 地球温暖化は人類共通の課題である。人命を奪う猛暑や過酷な自然災害が頻発している。相次ぐ紛争や対立を乗り越え、世界が結束しなければ克服できない。

 国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、発展途上国の温暖化対策のため、先進国が2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドル(約46兆円)を支援する目標に合意した。

 年1千億ドルの現行目標の3倍で、世界全体では年1兆3千億ドルに拡大することも目指す。先進国の資金だけで年1兆3千億ドルを求める新興国インドや途上国の一部には強い不満が残った。

 大量の温室効果ガスを排出した責任と経済力に見合う資金を要求する途上国と、負担を軽減したい先進国との溝は埋まっていない。

 それでも、合意に至らずに世界的な気候変動対策が停滞する事態だけは回避できた。この点は評価したい。

 これから問われるのは実行だ。合意した額を先進国の公的資金だけで賄うのは難しいだろう。温室効果ガスの最大排出国である中国や中東産油国などの協力が欠かせない。

 現行目標の1千億ドルが最初に決まった09年以降、この額に初めて達したのは22年だった。早期達成も課題だ。

 COP29で存在感を示したのは、会場にいないトランプ次期米大統領だった。

 トランプ氏は「気候変動はでっち上げ」と根拠のない主張を続け、大統領1期目の20年に米国を温暖化対策の国際枠組みパリ協定から離脱させた。バイデン政権になって復帰したが、来年1月のトランプ政権再スタート後は再離脱が確実視されている。

 トランプ氏の返り咲きにより、温暖化対策に巨額の資金を拠出してきた世界第2の排出国、米国が方針転換する公算が大きくなった。その要素もCOP29における各国の歩み寄りを難しくした。

 トランプ氏は大統領選で化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくれ」と訴えた。エネルギー長官には石油・天然ガス採掘会社のトップを起用する人事を発表している。

 こうした温暖化対策の潮流に逆行する姿勢は、気候変動に懐疑的な他国の指導者を勢いづかせている。「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれるミレイ大統領は、COP29の会期序盤に自国の代表団を帰国させた。パリ協定からの離脱の是非を検討しているとの報道もある。

 COP29の議長国、アゼルバイジャンのアリエフ大統領は、化石燃料を「神の恵み」と表現して反発を買った。

 今回の合意形成が難航する中で、日本が交渉力を発揮できなかったのは残念だ。

 日本は温暖化対策に積極的な欧州各国などと連携し、トランプ新政権にパリ協定に踏みとどまるよう働きかけるべきだ。資金協力とともに、日本が果たすべき国際的使命である。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本

2024-11-30 04:05:30 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本 

 アゼルバイジャンのバクーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が2日間延長の末、24日幕を閉じました。

 COP29は、「ファイナンス(資金)COP」と呼ばれ、途上国の温暖化対策の資金調達が焦点となりました。先進国から途上国への資金支援で2035年までに少なくとも年間3千億ドル(約46兆円)と、現状の1千億ドルの3倍に増やすことで合意しました。

 ■途上国大きな被害

 気候危機の打開は待ったなしです。

 欧州連合(EU)気象情報機関コペルニクス気候変動サービスは、24年の世界の平均気温が観測史上初めて、年平均で産業革命以前より1・5度以上の上昇が確実だと明らかにしました。後戻りできない限界が近づきつつあります。

 「パリ協定」の1・5度目標を達成するために、途上国への支援が不可欠です。途上国は温室効果ガスの排出が少ないにもかかわらず、気候変動による異常気象などの被害が広がりやすく、対策やエネルギーの脱炭素化を進めるための資金が不足しています。今後、資金援助が実際にどれだけ実行されるかが焦点です。

 COPと同時期にブラジルで中国やインドも参加するG20(主要20カ国)が開かれました。18日に出された首脳宣言は「途上国の低炭素および低排出への移行を支援する必要があることを再確認し、われわれは、途上国に対する低コストの資金調達促進に向けて取り組む」とのべ、COPの議論を後押ししました。

 G20は世界の温室効果ガス排出量の8割を占めます。国連のグテレス事務総長は、COP29の成果に関して、各国政府がこの合意を土台とし、その上に積み上げていくことを訴え、「第一に、COP30に先立ち、約束通り1・5度に沿った新たな国別の温室効果ガス削減目標(NDC)を策定しなければならない。最大の排出国であるG20諸国が主導しなければならない」と呼びかけました。

 ■特大化石賞を受賞

 会議では、途上国や市民社会から先進国への厳しい批判の声が出されました。

 世界の環境NGOが参加する気候行動ネットワーク(CAN)は22日、日本を含む先進国に「気候危機を引き起こした歴史的責任を果たさず、気候変動対策のための資金提供から逃げ続けてきた」として「特大化石賞」を贈りました。

 特に日本の振る舞いは気候危機の打開に逆行するものです。会期中に英独仏など25カ国とEUが発足させた石炭火力発電所の新設に反対する有志連合に、G7では日本と米国だけが参加しませんでした。

 日本は石炭火力発電から早急に脱却し、危険な原発への固執をやめ、省エネルギーと再生可能エネルギーを進めなければなりません。先進国としての責任を踏まえ、新たなNDCでは、35年までに75~80%削減(13年度比)など1・5度目標と整合する野心的目標を掲げるべきです。

 総選挙で新しい政治プロセスが始まったもとで、次期エネルギー基本計画がふさわしいものとなるよう、国会における徹底した議論が求められます。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月28日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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