路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《なるほドリ・12.18》:温室ガス削減目標、なぜ議論? 5年ごと見直し義務 来年2月が提出期限=回答・山口智

2024-12-18 02:00:50 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《なるほドリ・12.18》:温室ガス削減目標、なぜ議論? 5年ごと見直し義務 来年2月が提出期限=回答・山口智

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《なるほドリ・12.18》:温室ガス削減目標、なぜ議論? 5年ごと見直し義務 来年2月が提出期限=回答・山口智

 なるほドリ 政府が今度、温室効果(おんしつこうか)ガスの新しい削減目標(さくげんもくひょう)を決めるんだって?

 

環境、経済産業両省の審議会の合同会合=東京都港区で6月、大野友嘉子撮影

環境、経済産業両省の審議会の合同会合=東京都港区で6月、大野友嘉子撮影

 記者 現在ある目標は「2030年度までに13年度の実績より46%減らす」です。

 環境省(かんきょうしょう)と経済産業省は6月から有識者会合を開き、35年以降を期限とする目標について議論していて、新たな目標案が年内にも公表される予定です。

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ】  2024年12月18日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.11】:排出量取引 企業のCO2削減を促したい

2024-12-11 05:00:40 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説②・12.11】:排出量取引 企業のCO2削減を促したい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.11】:排出量取引 企業のCO2削減を促したい

 脱炭素を加速させていくために、企業による二酸化炭素(CO2)削減の取り組みが一段と重要になっている。政府が導入する排出量取引制度で後押ししていきたい。

 政府は、企業の脱炭素化を促すため、国内でのCO2排出量が年間10万トン以上の企業に、排出量取引への参加を義務づけることを決めた。鉄鋼や石油、自動車、化学などの分野で、計300~400社の参加を見込んでいる。

 2026年度に企業ごとに排出枠を割り当て、27年度から本格的な取引を始める予定だ。

 温室効果ガスの大半はCO2である。その排出量のうち、4割強は発電所などエネルギー転換部門が占め、産業部門の3割弱、運輸部門の約2割が続く。

 22年度の排出量は約11億トンだった。政府は、35年度に13年度比で60%削減し、5億トン半ばまでに抑える新たな目標を掲げる方向だ。それを達成するには、主要な産業部門で脱炭素を加速させていくことが不可欠である。

 排出量取引の具体的な仕組みとしては、まず最初に政府が1社ごとに「排出枠」を無償で割り当てる。それを受けて企業側は、生産活動に伴うCO2排出量の枠の上限に届かずに余った場合、他社に売ることができるようにする。

 一方、枠を超える量のCO2を排出した企業は、その超過分を解消するために、他社から枠を買わなければならない。枠を超過したまま放置すれば、負担金などが課されることになる。

 これにより、企業はCO2の排出量を減らすほどに利益が上がるようになるため、脱炭素化の後押しとなることが期待されよう。

 今後の詳細な制度設計で、最大の焦点となるのは、各企業に割り当てる排出枠の大きさだ。

 主要な3部門のうち、産業部門の排出量は、鉄鋼業が約4割、化学工業が2割弱だ。排出量の過半をこの2業界が占めている。

 枠の設定が緩いと、企業の脱炭素への取り組みが進展しない可能性がある。一方、厳しすぎれば、日本企業のコストが増大し、国際競争力が低下しかねない。

 排出量取引は、欧州連合(EU)や韓国が導入済みだ。韓国では当初、多くの企業が枠の設定が厳しすぎるとして、異議を申し立てる例が続出したという。こうした事態は避けねばならない。

 日本は、脱炭素技術の研究開発や工場の新設を行った企業に枠を追加するなどして、前向きな取り組みを引き出すことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《気候変動》:委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか

2024-12-09 05:30:30 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《気候変動》:委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《気候変動》:委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか 

 日本の新たな温室効果ガス排出削減目標の議論の進め方や政府が示した目標案に異論が相次いでいる。削減目標は今後10年、15年の気候変動対策の根拠となるものだが、有識者の声や科学的知見を軽視したまま、環境、経済産業両省の案が「規定路線」として決まりかねない事態になっているのだ。

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/08/20241208k0000m040149000p/9.webp?1" type="image/webp" />次期温室効果ガス排出削減目標に関する環境、経済産業両省の審議会の合同会合。6月に初会合が開かれた=東京都港区で2024年6月28日午前9時56分、大野友嘉子撮影</picture>
次期温室効果ガス排出削減目標に関する環境、経済産業両省の審議会の合同会合。6月に初会合が開かれた=東京都港区で2024年6月28日午前9時56分、大野友嘉子撮影

 ◆「非常に雑な議論」委員から異論噴出

 「『きたんのないご意見を』という言葉は(政府の)パフォーマンスに過ぎないのでは」「非常に雑な議論をしているというのが実感だ」

 11月25日、削減目標や実現の具体策を議論する両省の審議会の合同会合で、委員から異論や不満の声が噴出した。太陽光発電システムの販売・リース事業などを展開するハチドリソーラー(東京)代表取締役の池田将太さんは「この進め方で本当に正しい方向性の政策が作れるのか、疑問を感じている」と訴えた。

 各国は、2035年以降を期限とする次期削減目標を来年2月までに国連に提出することが求められており、国内では今年6月、両省の合同会合で議論が始まった。これまでに6回開催され、経済団体や若者団体、自治体などが意見を述べ、有識者委員がコメントしたり質問をしたりするという形式で進められてきた。

 ◆意見書読み上げ「控えさせて」

 池田さんが強く異論を唱えたのには理由がある。仕事の都合で前回10月の会合を欠席した際、発言の代わりに事前に「意見書」を提出したが、環境省から会合での読み上げを「控えさせていただきたい」と言われ、結果として意見が黙殺された形になった。… 

 ■この記事は有料記事です。残り2199文字(全文2835文字)

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 環境・科学 【特集・気候変動・日本の新たな温室効果ガス排出削減目標の議論の進め方】  2024年12月09日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.08》:脱炭素と排出量取引 実効性の高い制度設計に

2024-12-09 02:05:50 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説①・12.08》:脱炭素と排出量取引 実効性の高い制度設計に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.08》:脱炭素と排出量取引 実効性の高い制度設計に

 脱炭素社会の実現に向けて、企業に行動変容を促す実効性の高い制度にしなければならない。

 政府が2026年度に本格導入する排出量取引の大枠を決めた。1年間に排出できる二酸化炭素(CO2)の上限を企業ごとに定める。超過した分は、下回った他社から買い取って相殺する仕組みだ。取引で穴埋めできなければ、国に負担金を支払う。

2年連続で統計開始以来「最も暑い夏」となるなど、日本でも地球温暖化の脅威が高まる。歯止めをかけるには、排出量取引に参加する大企業の脱炭素の取り組みがカギを握る=静岡市葵区で2024年7月7日、宮間俊樹撮影

 排出を減らせなければコストがかさみ、抑えられれば余った分の売却益を見込める。脱炭素技術の開発を促す効果が期待される。

 年間排出量10万トン以上の企業に参加を義務づける。電力会社や鉄鋼、自動車など300~400社が対象となる見通しで、国内全体の排出量の6割程度がカバーされるという。先行して導入した欧州や韓国を参考にした。

 排出量を売買する市場は、すでに東京証券取引所に開設されている。だが、参加するかどうかや、排出上限の設定は企業に委ねられている。超過分の買い取り義務もなく、削減を後押しする仕組みとしては限界がある。

 強制力を持つ制度になれば、削減効果は高まる。ただし、課題も少なくない。

 まず企業ごとの上限を公平・透明な形でどう設定するかが問題だ。厳し過ぎれば、排出量の取引価格が高騰し、業績を圧迫する。半面、甘過ぎれば、脱炭素への投資が停滞しかねない。

 政府は鉄鋼や自動車などを念頭に「輸出競争力の確保に配慮する」と説明する。だが、企業の事情を優先するあまり、削減が進まないようでは本末転倒だ。

 これまで積極的に取り組んだ企業ほど追加削減の余地が乏しいという点も考慮する必要がある。

 韓国では15年の導入当初、「特定企業が優遇されている」との不満が噴出し、訴訟が起きた。教訓とすべきである。

 公平性を保つには、各企業のこれまでの排出実績の把握が必須となるが、評価方法は確立されていない。環境整備が急がれる。

 削減コストが製品価格に転嫁されれば、消費者の負担となる。国民の理解を得る努力も不可欠だ。

 政府は50年の排出量実質ゼロを国際公約に掲げる。それにつながる制度とすることが求められる。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月08日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《記者の目・12.06》:COP29を取材して 温暖化対策、日本は責任を=山口智(くらし科学環境部)

2024-12-09 02:03:20 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《記者の目・12.06》:COP29を取材して 温暖化対策、日本は責任を=山口智(くらし科学環境部)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《記者の目・12.06》:COP29を取材して 温暖化対策、日本は責任を=山口智(くらし科学環境部)

 アゼルバイジャンの首都バクーで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、地球温暖化対策で途上国を支援する「気候資金」の新たな目標に合意して閉幕した。現地取材で目に付いたのは、対策強化に後ろ向きな日本の姿勢だ。国内では温室効果ガスの新たな削減目標の策定に向けて議論が大詰めだが、国際的な共通目標を達成するには不十分な素案が示されている。対策を否定するような先進国の動きもある中、日本は責任ある削減目標を掲げてほしい。

 

COP29の会議終盤の夜に、交渉が行われている会議室の近くで議長国提案の合意文書案に反対の意を示す環境活動家ら=アゼルバイジャン・バクーで2024年11月、山口智撮影

COP29の会議終盤の夜に、交渉が行われている会議室の近くで議長国提案の合意文書案に反対の意を示す環境活動家ら=アゼルバイジャン・バクーで2024年11月、山口智撮影

 合意した資金目標は、先進国主導で2035年までに年3000億ドル(約45兆円)を支援する内容。現行目標の3倍に増額したものの、対策に必要とされる金額よりも低い額で決着した。採択直後には「あまりにも低すぎる。受け入れられない」(インド)、「これはジョークか」(ナイジェリア)など失望の声が相次ぎ、それに賛同する拍手や指笛がわき起こり、先進国との溝が浮き彫りになった。

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】  2024年12月06日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.02》:温室ガスの削減目標 脱炭素への野心が足りぬ

2024-12-03 02:04:50 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説①・12.02》:温室ガスの削減目標 脱炭素への野心が足りぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.02》:温室ガスの削減目標 脱炭素への野心が足りぬ

 地球温暖化は人類が直面する最大の環境問題である。日本は先進国として、実効性の高い対策を進める責務がある。

 環境、経済産業の両省が温室効果ガスの新たな削減目標案を公表した。2035年度に13年度比で60%減らす。現在掲げている30年度46%減の延長線にある。この削減ペースを維持すれば、国際約束としている50年の排出量実質ゼロを達成できるという。

 
各地で深刻化している地球温暖化。酷暑の中、設置されたミストを浴びながら水分補給をする中学生=静岡市葵区で2024年7月7日、宮間俊樹撮影

 パリ協定に基づき、各国は来年2月までに35年の削減目標を提出することになっている。今回の案は、脱炭素社会実現までの道筋を示すことで、企業の対策強化や市民の意識改革を図る狙いもある。

 ただ、この目標では不十分といわざるを得ない。

 国際社会は、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を1・5度までに抑えることを目指している。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などの分析では、35年には世界全体で13年比66%減とすることが必要だ。

 対策を強化しなければ、今世紀末の気温は3・1度上昇すると、国連環境計画(UNEP)が予測した。今年は最も暑い1年となる見通しで、自然災害も激甚化している。

 1・5度目標の達成は遠のくばかりで、削減ペースの加速は喫緊の課題だ。とりわけ温室効果ガスを大量排出してきた先進国には積極的な貢献が求められている。 

 日本は再生可能エネルギーの普及を進め、国際社会から批判の強い石炭火力発電への依存度を下げなければならない。

 温暖化対策は、経済を底上げし、次世代によりよい環境を残すための投資と位置づけるべきだ。

 これまでも省エネ効果の大きな青色発光ダイオード(LED)など日本発の技術が世界の対策に貢献してきた。最近では、軽量で曲がることから設置場所の制約が少ない「ペロブスカイト太陽電池」が国際的に注目を集める。

 アジア・太平洋地域には、経済成長に伴い排出量が急増している国が多い。日本が培った技術や排出削減を促す資金の提供などの支援も強化したい。

 新たな技術開発を促し、国際競争力も高める。そのためには野心的な目標の設定が不可欠だ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月02日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・12.02】:排出量取引の導入 競争力低下避ける設計に

2024-12-02 05:01:50 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張①・12.02】:排出量取引の導入 競争力低下避ける設計に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.02】:排出量取引の導入 競争力低下避ける設計に 

 政府が令和8年度の本格導入を目指す排出量取引制度の概要を公表した。

 年間10万トン以上の二酸化炭素(CO2)を排出する大企業の参加を義務付ける。300~400社が対象となり、国内の温室効果ガス排出量の6割近くを占める見通しだ。

写真はイメージ

 導入に当たり、政府は対象企業に対し、1年間に排出できる枠を無償で割り当てる。

 排出が少なく枠が余れば、株式のように売却したり翌年に繰り越したりできる。逆に枠を超えて排出した場合はその分を市場などから購入しなければならない。それでも枠に収まらない場合は一定の負担金を徴収する方向だ。

 排出量取引を導入するのは、CO2排出量の多い企業に脱炭素技術の開発・導入を促し、排出抑制につなげるためだ。すでに欧州連合(EU)や韓国などで始まっているが、日本で導入する際には国際競争力低下を招かない制度設計としなければならない。

 脱炭素技術を導入して製造時にCO2排出を減らすなどした製品はコストが高くなることは免れない。制度を導入していない国に比べ、日本の輸出競争力が低下する要因にもなる。

 もちろん排出を減らして枠を売れば脱炭素の投資負担を軽減できるが、鉄鋼などCO2削減が難しい業種もある。先行する海外事例も踏まえ、日本企業だけが過度に負担を強いられることがないようにすべきだ。

 企業ごとに割り当てる排出枠の公平性も課題となる。脱炭素技術を導入してきた企業ほど排出削減の余地は乏しい。政府は過去の削減努力も勘案して排出枠を調整する方向で検討している。排出を減らそうと投資してきた企業が不利にならないようにする必要がある。

 17年度の温室効果ガス排出量の削減目標について、政府は平成25年度比60%減とする方向で調整している。目標達成に、排出量取引が重要な手段となるのは確かだろう。革新的な脱炭素技術が開発できれば、国際競争力強化にもつながるはずだ。

 そのためには、脱炭素技術の研究開発に積極的に取り組む企業に対し優遇措置を講じることも必要になろう。企業にとって過度な負担になることを避けつつ、着実に脱炭素が進む制度設計とすることが求められる。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.28】:COP29合意 温暖化対策へ結束を保て

2024-11-30 06:05:10 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.28】:COP29合意 温暖化対策へ結束を保て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:COP29合意 温暖化対策へ結束を保て 

 地球温暖化は人類共通の課題である。人命を奪う猛暑や過酷な自然災害が頻発している。相次ぐ紛争や対立を乗り越え、世界が結束しなければ克服できない。

 国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、発展途上国の温暖化対策のため、先進国が2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドル(約46兆円)を支援する目標に合意した。

 年1千億ドルの現行目標の3倍で、世界全体では年1兆3千億ドルに拡大することも目指す。先進国の資金だけで年1兆3千億ドルを求める新興国インドや途上国の一部には強い不満が残った。

 大量の温室効果ガスを排出した責任と経済力に見合う資金を要求する途上国と、負担を軽減したい先進国との溝は埋まっていない。

 それでも、合意に至らずに世界的な気候変動対策が停滞する事態だけは回避できた。この点は評価したい。

 これから問われるのは実行だ。合意した額を先進国の公的資金だけで賄うのは難しいだろう。温室効果ガスの最大排出国である中国や中東産油国などの協力が欠かせない。

 現行目標の1千億ドルが最初に決まった09年以降、この額に初めて達したのは22年だった。早期達成も課題だ。

 COP29で存在感を示したのは、会場にいないトランプ次期米大統領だった。

 トランプ氏は「気候変動はでっち上げ」と根拠のない主張を続け、大統領1期目の20年に米国を温暖化対策の国際枠組みパリ協定から離脱させた。バイデン政権になって復帰したが、来年1月のトランプ政権再スタート後は再離脱が確実視されている。

 トランプ氏の返り咲きにより、温暖化対策に巨額の資金を拠出してきた世界第2の排出国、米国が方針転換する公算が大きくなった。その要素もCOP29における各国の歩み寄りを難しくした。

 トランプ氏は大統領選で化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくれ」と訴えた。エネルギー長官には石油・天然ガス採掘会社のトップを起用する人事を発表している。

 こうした温暖化対策の潮流に逆行する姿勢は、気候変動に懐疑的な他国の指導者を勢いづかせている。「アルゼンチンのトランプ」と呼ばれるミレイ大統領は、COP29の会期序盤に自国の代表団を帰国させた。パリ協定からの離脱の是非を検討しているとの報道もある。

 COP29の議長国、アゼルバイジャンのアリエフ大統領は、化石燃料を「神の恵み」と表現して反発を買った。

 今回の合意形成が難航する中で、日本が交渉力を発揮できなかったのは残念だ。

 日本は温暖化対策に積極的な欧州各国などと連携し、トランプ新政権にパリ協定に踏みとどまるよう働きかけるべきだ。資金協力とともに、日本が果たすべき国際的使命である。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本

2024-11-30 04:05:30 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:COP29の閉幕 ■先進国の責任が問われる日本 

 アゼルバイジャンのバクーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が2日間延長の末、24日幕を閉じました。

 COP29は、「ファイナンス(資金)COP」と呼ばれ、途上国の温暖化対策の資金調達が焦点となりました。先進国から途上国への資金支援で2035年までに少なくとも年間3千億ドル(約46兆円)と、現状の1千億ドルの3倍に増やすことで合意しました。

 ■途上国大きな被害

 気候危機の打開は待ったなしです。

 欧州連合(EU)気象情報機関コペルニクス気候変動サービスは、24年の世界の平均気温が観測史上初めて、年平均で産業革命以前より1・5度以上の上昇が確実だと明らかにしました。後戻りできない限界が近づきつつあります。

 「パリ協定」の1・5度目標を達成するために、途上国への支援が不可欠です。途上国は温室効果ガスの排出が少ないにもかかわらず、気候変動による異常気象などの被害が広がりやすく、対策やエネルギーの脱炭素化を進めるための資金が不足しています。今後、資金援助が実際にどれだけ実行されるかが焦点です。

 COPと同時期にブラジルで中国やインドも参加するG20(主要20カ国)が開かれました。18日に出された首脳宣言は「途上国の低炭素および低排出への移行を支援する必要があることを再確認し、われわれは、途上国に対する低コストの資金調達促進に向けて取り組む」とのべ、COPの議論を後押ししました。

 G20は世界の温室効果ガス排出量の8割を占めます。国連のグテレス事務総長は、COP29の成果に関して、各国政府がこの合意を土台とし、その上に積み上げていくことを訴え、「第一に、COP30に先立ち、約束通り1・5度に沿った新たな国別の温室効果ガス削減目標(NDC)を策定しなければならない。最大の排出国であるG20諸国が主導しなければならない」と呼びかけました。

 ■特大化石賞を受賞

 会議では、途上国や市民社会から先進国への厳しい批判の声が出されました。

 世界の環境NGOが参加する気候行動ネットワーク(CAN)は22日、日本を含む先進国に「気候危機を引き起こした歴史的責任を果たさず、気候変動対策のための資金提供から逃げ続けてきた」として「特大化石賞」を贈りました。

 特に日本の振る舞いは気候危機の打開に逆行するものです。会期中に英独仏など25カ国とEUが発足させた石炭火力発電所の新設に反対する有志連合に、G7では日本と米国だけが参加しませんでした。

 日本は石炭火力発電から早急に脱却し、危険な原発への固執をやめ、省エネルギーと再生可能エネルギーを進めなければなりません。先進国としての責任を踏まえ、新たなNDCでは、35年までに75~80%削減(13年度比)など1・5度目標と整合する野心的目標を掲げるべきです。

 総選挙で新しい政治プロセスが始まったもとで、次期エネルギー基本計画がふさわしいものとなるよう、国会における徹底した議論が求められます。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月28日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.28】:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

2024-11-29 16:05:20 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説①・11.28:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.28】:COP29合意 脱炭素の加速へ結束を

 アゼルバイジャンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が閉幕した。

 発展途上国の地球温暖化対策に先進国が拠出する資金額を巡って紛糾し、会期を2日間延長して、合意にこぎつけた。ただ先進国と途上国の溝は依然深く、対策前進への道程は平たんではない。 

 途上国の脱炭素化や異常気象による被害対応を支援するため、先進国は2009年、年1千億ドル(約15兆円)を拠出することを約束し、目標より2年遅れて22年に達成した。COP29では今後の支援額などの調整が焦点だった。

 先進国側は2・5倍の年2500億ドルを提示したが、途上国側は13倍の規模を要求して対立。最後は、先進国が35年までに少なくとも年3千億ドルを支援することで合意した。

 世界全体では官民合わせて年1兆3千億ドルに支援を拡大し、中国や産油国など経済力のある国にも貢献を促すことも盛り込んだ。

 しかし合意内容に対し、インドが「目の錯覚だ」と強く反対するなど、途上国や新興国の多くが失望を表明。国連のグテレス事務総長も「直面する課題に対処するため、より野心的な成果を期待していた」と不満を表した。

 世界中で気候危機が深刻化する中、肝心の温室効果ガスの排出削減を巡る議論が進まなかったのもきわめて残念だ。

 国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を1・5度以内に抑える目標を掲げる。だが現行の対策では不十分なのは明らかで、目標達成には35年の温室ガス排出を19年比で60%減らす必要があるのに、追加策は乏しい。

 中国に次いで温室ガス排出量が多い米国の動向も懸念される。トランプ次期大統領は温暖化対策に懐疑的で、1期目にはパリ協定から離脱した。今回も再離脱を主張しているが、取り組みへの打撃は計り知れず、各国はとどまるよう働きかけを強めねばならない。

 温室ガス排出削減の機運を高めようとCOP29の会期中、カナダや欧州連合(EU)などは1・5度目標実現へ対策を強める共同宣言を発表。英国など25カ国は石炭火力発電所を新設しないと宣言した。

 だが、いずれにも日本は参加せず、脱炭素化を主導する存在感を示せなかった。トランプ氏の「米国第一主義」に対し、国際協調が重要さを増す時期だからこそ、日本は役割を発揮すべきではなかったか。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.26》:COP29閉幕 危うい温暖化対策の協調

2024-11-26 09:31:45 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説②・11.26》:COP29閉幕 危うい温暖化対策の協調

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.26》:COP29閉幕 危うい温暖化対策の協調 

 途上国と先進国との隔たりを改めて浮き彫りにした会議だった。

 国連気候変動枠組み条約の締約国による第29回会議(COP29)が閉幕した。

 焦点は、気象災害に備えるインフラ整備や再生可能エネルギーの導入など、途上国が進める温暖化対策への資金支援の目標額をどこまで引き上げ、それを誰が負担するのかだった。

 最終的に、先進国主導で2035年までに年3千億ドル(約46兆円)以上を支援する目標設定で落着した。現在の年1千億ドルの3倍に当たるが、途上国側は10倍の1兆ドル規模を求めていた。会期の延長を余儀なくされた上、成果文書を採択した後も批判の声が上がった。薄氷の合意である。

 COPは、気象災害や食糧難といった温暖化の影響を最も受ける途上国が先進国に直言できる場である。決裂させず、その枠組みを守った意味は大きい。

 世界全体の拠出額を官民合わせて年1兆3千億ドル以上にしていく目標も採択されている。大事なのは合意を着実に履行し、さらに踏み込んだ目標に向け、取り組みを進められるかどうかだ。

 9年前に合意した「パリ協定」の実現は厳しさを増している。産業革命前からの平均気温の上昇幅を1・5度に抑えるため、今世紀後半の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すとしているが、上昇傾向に歯止めがかからない。

 それなのに、石油や石炭といった化石燃料の「脱却」で合意した昨年のCOP28に比べ、熱気を欠いた感は否めない。

 開催直前の米大統領選で、温暖化に否定的なトランプ氏の返り咲きが決まった。アルゼンチンは代表団を帰国させ、日本など主だった先進国の首脳も欠席した。

 各国は来年2月までに、35年までの温室効果ガスの新たな排出削減目標を提出する。先進国がそこでどれだけ高い目標を提示できるかが対策の成否を占う鍵になる。これまでの温暖化は、先進国が排出してきた大量の温室効果ガスに起因しているからだ。

 世界第2の経済大国にして最大の排出大国である中国など、新興国や産油国の協力を促すためにも果たすべき役割は重い。

 その責任の一端を担う日本の存在感が薄い。会議中に発足した石炭火力発電所の新設に反対する有志国連合に、米国とともに参加を見送った。先進7カ国ではこの2国のみだ。政府任せにはしておけない。市民も関心を高め、政治を動かしていく必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《斜面・11.25》:みんなのゴール

2024-11-26 09:31:25 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

《斜面・11.25》:みんなのゴール

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《斜面・11.25》:みんなのゴール

 果たして合意できるのか。気をもませた国連気候変動枠組み条約の第29回締約国会議がきのう、成果文書を採択して閉幕した。途上国への対策資金の支援額を巡って意見が対立した。会期を延長し、かろうじて国際協調の体裁を守った

 ◆2035年までに先進国主導で今の3倍にあたる年約46兆円以上に引き上げるとの内容だが、…(残り445文字/全文596文字)

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 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【斜面】  2024年11月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.26】:COP29閉幕 先進国は排出責任自覚せよ

2024-11-26 07:00:50 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.26】:COP29閉幕 先進国は排出責任自覚せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:COP29閉幕 先進国は排出責任自覚せよ 

 アゼルバイジャンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、発展途上国に向けた先進国の支援について、2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドル(約46兆円)とする目標で合意した。

 現行の3倍に上るが、途上国側には年1兆ドル超を求める声もあった。国連のグテレス事務総長は「より野心的な成果を期待していた」と不満をにじませた。

 脱化石燃料の取り組みも昨年のCOP28の成果文書の確認にとどまった。産業革命以来の気温上昇を15度に抑えるという目標達成が絶望的になった危機感を反映した成果とはいえず、残念だ。

 途上国への支援金はクリーンエネルギーへの転換や異常気象による被害対応に使われる。背景には、先進国が大量に出した温室効果ガスによって、ほとんど排出しない途上国の貧困層が最初に大きな影響を受けるという不公正さがある。支援の規模が小さいとする途上国の反発は理解できる。大排出国の一つである日本も責任を自覚すべきだ。

 ただ支援金は、先進国にも簡単に出せる額ではない。どこにどんな対策が要るのかをはっきりさせることも重要だろう。支援の総額だけを突き付けられては困る面もある。

 「気候変動はうそだ」と唱え、対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明している米国のトランプ次期大統領の存在が、議論の停滞を招いた点は否めない。

 米国が支援金を出さず、日本や欧州の負担が膨れる可能性もある。トランプ氏にこの問題の重要さを分からせる努力を国際社会は惜しんではならない。支援を確実にするため、中国や中東の産油国にも資金を出させるよう仕組みを見直す必要もある。

 このままでは地球は人が住めない場所になる。既に多くの国で夏の暑さは過酷で、大規模な風水害や干ばつが頻発する。世界の気温が15度上がると豪雨は15倍、干ばつは2倍になるという。対策は待ったなしだ。それなのに各国の足並みはそろわず、強力なリーダーもいない。将来への不安が高まる。

 日本の存在感は薄かった。議論をリードできないばかりか、今年も環境団体から不名誉な「化石賞」を先進7カ国(G7)の一員として贈られた。温暖化対策に後ろ向きな国だと改めて非難された。

 蓄積のある防災技術や、エネルギー効率化、蓄電池などの分野で日本は貢献できるのではないか。最先端技術の開発で、各国が協力する仕組みづくりを主導してほしい。

 もはや経済成長か環境保全かという二者択一ではない。猛暑や災害で経済活動が制限されることによる損失は計り知れぬ。気候変動対策が長期的には経済対策になるという認識を世界で共有すべきだ。

 気になるのは、迫る危機から目をそらし、都合の良い情報だけを信じて楽観する風潮が一部に見られる点だ。われわれには、安心して暮らせる環境を後世に残す責務がある。難問に正面から向き合う姿勢を持ち続けたい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.26】:COP29閉幕/途上国との亀裂を埋めよ

2024-11-26 06:00:30 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説・11.26】:COP29閉幕/途上国との亀裂を埋めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:COP29閉幕/途上国との亀裂を埋めよ 

 アゼルバイジャンで開催されていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が閉幕した。発展途上国の地球温暖化対策のため先進国が支援する資金目標を巡って紛糾し、会期を2日間延長して、2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドル(約46兆4千億円)を支援する目標で合意した。先進国と途上国が対立する中、かろうじて合意を成立させた点は評価したい。

 ただ、新興国や途上国の一部には「目標が低すぎる」などの反発が残ったままだ。国連のグテレス事務総長も「より野心的な成果を期待していた」と不満を表明した。世界で温暖化防止の取り組みが着実に進むよう、先進国は途上国との協議を継続するなど、両者間の亀裂を埋める努力を重ねなければならない。

 先進国は2009年、20年までに年1千億ドルを途上国側に支援する目標に合意し、2年遅れて22年に達成した。今回の会議では、これに続く目標の決定が焦点になっていた。

 先進国は年2500億ドルの支援額を提示し、合意に至らないまま閉幕日を迎えた。最終的に合意した額は現行目標の3倍で、世界全体では年1兆3千億ドルに拡大させることも求める内容になった。無償供与などの手段を活用しながら資金を拡大する枠組みも設けるとした。

 それでも、途上国側が求めた年数兆ドルという額との隔たりは大きい。支援の内容が、債務増加につながる貸し付けや投資を含んでいた点も反発を招いた。各途上国は豪雨や海面上昇などの異常気象で既に大きな被害を受けており、多額の復旧資金を必要としている。途上国側からみれば失望感の残る合意だったと、先進国側は自覚する必要がある。

 会議では、中国や産油国など経済力のある国に対しても資金拠出を促す点で合意した。先進各国は支援拡大に向けて、中国などとの交渉にも粘り強く取り組んでもらいたい。

 今後の懸念材料の一つは、米国の大統領に就任するトランプ氏の動向だ。産業革命前からの気温上昇を1・5度に収めるという目標を掲げる「パリ協定」からの離脱を公約に掲げている。途上国支援にも後ろ向きになれば、影響は極めて大きい。各国は国際協調の枠組みから外れないよう米国を説得すべきだ。

 日本は浅尾慶一郎環境相が出席したものの、石炭火力発電所を新設しないとする25カ国・欧州連合の宣言などに参加しなかった。存在感を十分に示せなかったのは残念だ。

 各国は来年2月までに、35年の温室効果ガス排出削減目標を国連に提出することになっている。日本政府は、世界をリードする踏み込んだ数値を表明できるかが問われる。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.26】:COP29閉幕 中印の脱途上国が必要だ

2024-11-26 05:01:50 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【主張①・11.26】:COP29閉幕 中印の脱途上国が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.26】:COP29閉幕 中印の脱途上国が必要だ 

 一挙に3倍増、3千億ドル(約46兆4千億円)に跳ね上がることになった。

 アゼルバイジャンの首都バクーで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で決まった、先進国から途上国に提供する気候変動対策資金の額である。

 先進国は2035年までに年額3千億ドルの拠出達成を約束させられたのだ。地球温暖化は先進国が排出した二酸化炭素などの温室効果ガス(GHG)が原因とするのが、途上国の言い分だ。今年は対策資金額の更新年であったのに加え、近年の気象災害の多発が途上国の被害者意識を増大させ、資金要求の大合唱になったのだろう。

 だが現行の資金提供の枠組みには看過できない矛盾が根を張っている。経済大国に成長した中国は世界1位のGHG排出国であるにもかかわらず、国連気候変動枠組み条約では「途上国」の位置づけなのだ。排出量3位のインドも同様だ。

 両国は資金拠出側に加わるべきだが、COP29の成果文書には「途上国の自発的な貢献を奨励する」との無力で遺憾な表現が加えられたのみだった。

 しかも、来年1月には米国でトランプ政権が発足する。トランプ氏は脱炭素に否定的で、パリ協定からの米国の再離脱が懸念される状況だ。米国の去就が今後のCOPの機能に重大な影響を及ぼすのは間違いない。米国が退場すれば、温暖化対策を通じての中国の途上国支配が予見される。トランプ氏には、この点に留意してもらいたい。

 GHGの適切な排出削減で気温上昇と自然災害の抑制を目指すCOPの機能が、不全状態に向かっている。元来、地球温暖化問題の背景には、先進国と途上国の経済格差による南北問題が存在していたのだが、気温抑制に効果がみられないまま、支援資金のみが肥大した結果が現状であるとすれば残念だ。

 閉塞(へいそく)状況の打開には、気温上昇と自然変動の関係にも焦点を当てた科学研究の復活をはじめ、中印など新興国の「脱途上国」を軸とするCOPの制度改革が急務であろう。

 各国は来年2月までに35年までのGHG削減目標を国連に提出しなければならないが、石破茂政権には冷静な対応を求めたい。目標値の積み上げには原発の再稼働が鍵を握る。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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