路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【HUNTER】:「2000万円問題」で問われる政治家への公費支出

2019-06-30 08:16:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【HUNTER】:「2000万円問題」で問われる政治家への公費支出

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:「2000万円問題」で問われる政治家への公費支出 

 「2000万円問題」で社会不安が増大するなか、与党の都合で予算委員会が開かれないというふざけた国会――。そこには、多額の税金で養われている国会議員が700人以上いる。 
 彼らをえらぶ選挙が行われる度、吹っ飛んでいく莫大な費用。内訳をみると、ポスターの掲示板、投・開票所の確保、アルバイトも含めた選管関係の人件費、広報費などの他、一般にはあまり知られていない「公費負担」に関する支出がある。

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 ■参院比例 ― 候補1人に最大約700万円の公費負担

 国政選挙の公費負担が適用されるのは、衆議院小選挙区、参議院選挙区、参議院比例区のみ。衆院比例区は小選挙との重複立候補がある上、政党を選ぶ選挙であるため公費負担は適用されない。

 選挙用自動車の運用方法や、印刷物の枚数などで総額が変わるが、上限いっぱいだと衆議院の小選挙区で約330万円を、参議院の選挙区なら約400万円を、参院比例区では700万円近くの費用を国が負担することになる。全国の有権者を対象に選挙戦を展開するため、もっともカネがかかる参院比例区の公費負担内容をまとめた。

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 この他、新聞広告代(5回まで。上限なし)、選挙葉書郵送料などが公費で支払われるため、候補者一人あたりにかかる費用はさらに膨らむことになる。

 選挙が近づくと、こうした公費負担金を目当てに「選挙ブローカー」と呼ばれる人たちが現れる。選挙カーの調達や運転手・ウグイス嬢の手配、ポスターや看板、チラシ制作などを一手に引き受ける専門の業者がいて、高額な委託費を請求してくる場合もある。

 衆参同日選挙にでもなれば、ポスターや選挙ビラに使う“紙”が不足して価格が暴騰するし、ポスター掲示用の事務用品(ワッポンと呼ばれる接着テープ)なども市場から無くなるほどの状態となる。それを見越して、買い占めに走る業者もいるほどだ。

 既に選挙運動用自動車が不足したり、運転手やウグイス嬢が見つからないといった地域もあるという。想定されている公示日(7月4日)の一ヶ月前になっても参院選の日程が決まっていない上、ダブル選の可能性がゼロではないことから人の確保が難しくなっているという。

 ■問われる「費用対効果」
 総務省の報告などから推計すると、衆議院や参議院の選挙にかかる費用は公費負担金を含めて500~600億円。共産党を除く国政政党にはこの他、年間300億円以上の政党交付金が支給されている。さらに、下にまとめたように国会議員一人にかかる年間経費は、グリーン車乗り放題のJR特殊乗車券や議員会館、議員宿舎の維持管理費などを合わせ、一人当たり8,000万円前後。衆参の定数は713人(衆:465人 参:248人)となっているため、単純計算で約570億円以上の支出となる。今国会は、与党の都合で長期間「予算委員会」が開かれておらず、“費用対効果”に疑問符が付く状況だ。

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 ■「2,000万円」に泣く庶民
 そうした中、金融庁が「人生100年時代、2,000万円が不足」との報告書を出したことで、大騒ぎとなった。安倍首相が一期目で退陣に追い込まれたのは、「消えた年金問題」発覚で参院選敗北を喫したことが原因。官邸や与党が大慌てするのは、その時のトラウマがあるからに他ならない。

 首相が自民党幹事長を務めていた2004年の年金制度改革は、「100年安心」がうたい文句だった。今回の報告書は、政府が年金制度の破綻を認めたとも受け取れることから、野党は一斉に反発。国民民主党の玉木雄一郎代表は7日の党会合で「100年安心は崩れた」と主張し、立憲民主党の福山哲郎幹事長も同日の党参院議員総会で「いつから2,000万円ないと老後が迎えられなくなったのか。安倍晋三首相に予算委員会で国民の不安に答えてもらわないといけない」と発言している。「悪夢」を想起した与党議員が、うろたえだしたのは言うまでもない。ダブル選見送り論が、急速に強まった。

 庶民が2,000万円に泣く一方で、無能な政治家たちに多額の公費支出――。やっぱり、この国はどうかしている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 行政・社会 【行政ニュース】  2019年06月13日  09:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【社説①】:米中の覇権争い 共存の道はあるはずだ

2019-06-30 06:10:55 | 【中国・共産党・香港・台湾・一帯一路、「国家の安全」、個人の権利を抑圧する統治】

【社説①】:米中の覇権争い 共存の道はあるはずだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:米中の覇権争い 共存の道はあるはずだ 

 米中両国の貿易戦争はひとまず小康状態に入った。大国同士がいがみ合えば世界が迷惑する。両国は衝突を避けて共存の道を歩んでほしい。

 世界中が胸をなで下ろしたことだろう。トランプ米大統領と習近平中国国家主席による交渉が決裂に至らず、国際経済により深刻なショックを与える事態を当面は回避できたことを歓迎したい。再開される貿易協議では、双方が歩み寄ってほしい。

 ◆ハイテクめぐる対立

 大阪で開かれた二十カ国・地域首脳会議(G20サミット)も、この米中対立の影に覆われた。議長役の安倍晋三首相が「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならない」と訴えれば、各国首脳からも懸念の声が相次いだ。

 それでも首脳宣言には「保護主義と闘う」との文言は盛り込めず、力強いメッセージを発信できなかった。二〇〇八年に起きたリーマン・ショックへの危機対応として発足したG20サミットは、曲がり角にきている。

 中国は建国百周年の四九年までに「製造強国」の先頭に立つべく、最先端技術の振興を国を挙げて進めている。

 これに対し、米国は中国のハイテクたたきに躍起だ。人工知能(AI)や第五世代(5G)移動通信システムが米国の安全保障に関わり、世界の覇権の行方を左右するからだ。通商問題を超えて覇権争いに発展した米中対立は「新冷戦」とさえ呼ばれる。長期化は避けられない。

 一九八〇年代、衰退したソ連に代わって日の出の勢いの日本を米国は警戒し、日本たたきに出た。ナンバー2が力をつけて自分を脅かすようになるのを米国は許さない。今は中国が標的である。

 中国が経済的な発展を遂げれば、責任あるステークホルダー(利害関係者)として米国主導の国際秩序の中に取り込める-。米国が〇一年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟を後押ししたのには、こんな期待があった。

 ところが中国の急速な軍備増強や膨張主義的な海洋進出をみて、米国で警戒論が台頭。今では期待を裏切られたという反感が党派を問わず政界に充満する。

 関税引き上げで他国を脅すトランプ流に冷ややかな米議会も、こと中国に限ってはもろ手を挙げて賛成だ。

 トランプ政権が華為技術(ファーウェイ)排除に同調するよう日本はじめ同盟国に求めたのは、米国をとるのか中国をとるのか、と二者択一を迫ったに等しい。これに中国も対抗措置に出れば、IT産業の国際市場は分断され、サプライチェーン(供給網)も寸断される。

 関税の報復合戦による保護貿易の横行と、ブロック経済化に伴う経済分断が第二次大戦に行き着いた教訓を忘れてはならない。

 ただ、トランプ氏も二十九日の会見で、米企業に華為技術との取引を認める意向を示し、姿勢をやや軟化させた。

 一方、中国は通商交渉で折り合えば米国も矛を収める、と甘く見ていたふしがある。対米交渉担当者の劉鶴副首相が「米国の姿勢がこれほど厳しいとは思わなかった」と漏らしたとも伝えられる。

 ◆衝突を避けるためには

 世界第二の経済大国にのし上がったとはいえ、経済発展を続けて国民全般に富が行き渡らないと、共産党独裁体制の正統性が揺らぐ。その経済成長を維持するには対米関係の安定が不可欠-。これが中国側の一般認識といわれる。

 「太平洋は中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と太平洋の米中二分論を唱えて鼻息の荒かった習氏。最近は「太平洋は中・米とその他の国も受け入れることができる」と発言を微妙に変えた。

 八九年の天安門事件を国際社会から指弾された中国は、爪を隠して力を蓄えようとした〓小平氏の韜光養晦(とうこうようかい)路線に踏み出した。習氏もこれを教訓にトーンダウンさせたようだ。

 ただし、習政権が進める大国路線を見直さない限り、米国との衝突軌道を外れることはできない。

 全面対決を避けるため、米中双方に求められるのは自制と理性だ。強硬論に引きずられれば、引くに引けない立場に追い込まれる。相手の意図を誤解しないように意思疎通にも努めてほしい。

◆主体性問われる日本

 翻って両大国の狭間(はざま)にある日本。米国主導による戦後の国際秩序を米国自身が否定する挙に出ている。日本は米国に同調しているだけでは立ちゆかない。主体性をどう出していくのか、国の針路に関わる。

 中国とは摩擦をできるだけ減らし、安定した関係を築くことが必要だ。習氏の来春の訪日を相互に実りあるものにせねばならない。

 ※〓は登におおざと

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:織田作之助の『夫婦善哉(めおとぜんざい)』の中に描かれる大阪、法善寺横丁の・・・

2019-06-30 06:10:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・G7サミット・G20】

【筆洗】:織田作之助の『夫婦善哉(めおとぜんざい)』の中に描かれる大阪、法善寺横丁のぜんざい屋さん。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:織田作之助の『夫婦善哉(めおとぜんざい)』の中に描かれる大阪、法善寺横丁のぜんざい屋さん。

 注文すると一杯ではなく二杯ずつ運んでくる。それで「夫婦善哉」というのだが、商売上手の大阪人の知恵らしい▼小説にこんな説明がある。「一杯山盛にするより、ちょっとずつ二杯にする方が沢山(ぎょうさん)はいってるように見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」「一人より女夫(めおと)の方がええいうことでっしゃろ」(『夫婦善哉』)▼明治十六年開業というお店は現在も営業しているそうだ。せっかくG20サミットで大阪にいらっしゃったのなら、お二人にもぜひ、寄っていただきたかった。米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席である▼米中の貿易摩擦によって世界経済の下振れリスクは高くなっており、その兆しもある。米中という二杯の椀(わん)。それが仲良くそろっていなければ自由貿易体制の屋台骨は大きく揺らぐ▼その両首脳。昨日の会談では貿易交渉を再開することで合意し、米国は中国の輸出品に対し追加関税を見送ることにした。G20での両国に対する厳しい視線を気にしたか。関係改善の糸口のようなものが見えてきた▼「善哉」の語源は諸説あるが、仏教語で「善き哉(かな)」(素晴らしい)という意味の梵語(ぼんご)を漢訳したものという。大阪の地での両国の歩み寄りにホッとするものの、鍋に小豆が入った程度で「善哉」にはまだ遠い。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年06月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:6月29日(土)

2019-06-30 06:10:45 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【首相の一日】:6月29日(土)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:6月29日(土) 

 【午前】8時41分、宿泊先の大阪市住之江区のホテル「ハイアットリージェンシー大阪」から同区の国際展示場「インテックス大阪」。9時13分、南アフリカのラマポーザ大統領と会談。10時13分、女性のエンパワーメントに関する首脳特別イベント。37分、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の第3セッション。11時58分、ブラジルのボルソナロ大統領と会談。

 【午後】0時24分、第3セッション。33分、第4セッション。2時、閉会セッション。50分、G20大阪サミットの議長国記者会見。3時22分、ハイアットリージェンシー大阪。4時49分、大阪市中央区のいずみホール。5時5分、ロシアのプーチン大統領と共に「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」の閉会式に出席し、あいさつ。昭恵夫人同席。45分、同区のホテルニューオータニ大阪。56分、プーチン大統領と首脳会談少人数会合。7時32分、署名式、文書交換式、共同記者発表。55分、プーチン大統領と首脳会談拡大会合兼夕食会。9時2分、プーチン大統領を見送り。40分、ハイアットリージェンシー大阪。宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年06月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日米首脳会談 安保の誤解は正さねば

2019-06-30 06:10:40 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・在沖米軍・オスプレー・普天間移設、米兵の犯罪】

【社説①】:日米首脳会談 安保の誤解は正さねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日米首脳会談 安保の誤解は正さねば 

 トランプ米大統領が日米安全保障条約の破棄に言及したという。「あまりに一方的だ」との理由だそうだが、日米安保は米国だけが義務を負う片務条約では決してない。事実誤認は正す必要がある。

 米ブルームバーグ通信が報じたトランプ氏の発言は、近しい人物との私的な会話で述べたという。

 トランプ氏の理屈はこうだ。

 日米安保条約は、日本が武力攻撃を受けたとき、米国には日本を防衛する義務を定めているが、米国が攻撃されても、日本には米国を守る義務はない。だから「あまりに一方的だ」と。

 菅義偉官房長官は「米大統領府から『米政府の立場と相いれないものである』と確認した」と、記者会見で述べたが、条約破棄に直接言及したか否かを別にしても、トランプ氏が安保条約を不公平と感じているのは確かなようだ。

 トランプ氏の発言は、日米貿易交渉を有利に運ぶため、安保条約に言及し、日本側に譲歩を迫ることが真の狙いなのかもしれない。

 とはいえ現職大統領の発言だ。安倍晋三首相がきのうの首脳会談で、報道の真偽を問うことはなかったが、それでよかったのか。

 一九六〇年改定の日米安保条約は米国に日本防衛義務を、日本には米軍への基地提供義務を課す。

 米軍の日本駐留費用は条約上、米政府が全額負担することになっているが、日本政府は支払い義務のある土地の借料などに加え、本来支払う必要のない費用含めて、約六千億円を毎年負担している。

 騒音や事故、米兵の犯罪など米軍基地の存在は周辺住民にとっては重い負担だ。日米安保条約体制は双務的であり、トランプ氏の発言に代表される「安保ただ乗り」論は当たらない。条約を巡る誤解は正していかねばなるまい。

 さらにトランプ氏の発言で聞き捨てならないのは「沖縄の巨大な基地の移設」は「米国からのある種の土地収奪だ」として経済的補償を求める考えを示したことだ。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)を念頭に置いているのだろうが、この場所は戦前、集落が点在する農村地帯であり、住民を収容している間に、まさに米軍が収奪した土地である。歴史的経緯を無視することは許されない。

 東アジアの現状を考えれば安保条約を破棄して米軍が日本から全面撤退することも、日本が憲法改正で集団的自衛権の行使を認め、米国とともに戦う国になることも現実的でない。それをトランプ氏に説くことも首相の仕事である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:日中関係改善 「永遠の隣国」というなら

2019-06-30 06:10:35 | 【中国・共産党・香港・台湾・一帯一路、「国家の安全」、個人の権利を抑圧する統治】

【社説②】:日中関係改善 「永遠の隣国」というなら

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日中関係改善 「永遠の隣国」というなら 

 安倍晋三首相は二十七日、大阪市で中国の習近平国家主席と会談した。「永遠の隣国」として協力する考えで一致したというが、大切なのは外交成果の演出でなく、隣国としての真の信頼構築だ。

 首脳会談で、安倍首相は「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と述べ、習氏が来春にも国賓として訪日することで合意した。

 確かに、二〇一二年の日本政府による尖閣国有化によって長く凍(い)てついた日中関係は、昨年の李克強首相の訪日や安倍首相の七年ぶりの公式訪中で首脳往来が実現するまでに雰囲気が回復した。

 だが、首脳間の真の信頼関係醸成が、両国関係を前向きに動かす力になったとは言い難い。

 中国は一七年、習氏が進める「一帯一路」構想に日本が協力を示したことで歩み寄り姿勢に転じた。訪日した習氏には、米中貿易摩擦の悪影響を抑えるため日本の協力を得たいとの思惑が強い。

 日本の対中接近には、北朝鮮による日本人拉致問題で中国の協力が不可欠との事情も横たわる。

 今回の首脳会談では「永遠の隣国」を将来の日中関係のキーワードとし、ハイレベルの相互往来を強化する考えが示された。

 そもそも地政学的に隣国の日中間で、あえて「永遠の隣国」を唱えるならば、粘り強く緊密な意思疎通を図り、真の信頼構築へとつなげるものでなければならない。

 歴史を振り返れば、一九七二年の北京での国交正常化交渉で、田中角栄首相と周恩来首相は戦後処理の問題などで激しく応酬。その後、田中首相一行と面会した毛沢東主席は「ケンカはすみましたか。互いに言うべきことを主張しケンカしてこそ仲良くなれるものです」と言ったという。

 半世紀近く前の毛氏の発言は、今の日中関係で欠けている点をついているとも言えそうだ。

 外交的な蜜月ぶりを演出するよりも、両国首脳にとって耳が痛くとも、日中間の懸案解決や国際正義を守るため、率直に意見交換することが重要だ。

 その意味で、安倍首相が習氏との会談で、香港での「逃亡犯条例」反対デモについて、「一国二制度」を守り、人権や法の支配を保障すべきだと指摘したのは評価できる。

 尖閣周辺での中国公船の日本領海侵入はやまず、歴史認識も常にトゲとなる。難問解決はこれからが正念場。建設的な意見の応酬という「ケンカ」を通じ、「永遠の隣国」をめざしてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:<羽あらば飛んで行きたや里の春>。家族が暮らすふるさとはすぐそこにあるのに、

2019-06-30 06:10:30 | 【人権・生存権・人種差別の軽視・被差別部落・国の強制隔離政策・ハンセン病患者】

【筆洗】:<羽あらば飛んで行きたや里の春>。家族が暮らすふるさとはすぐそこにあるのに、翼でもないと、土は踏めないだろう。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:<羽あらば飛んで行きたや里の春>。家族が暮らすふるさとはすぐそこにあるのに、翼でもないと、土は踏めないだろう。

 嘆きを現在八十二歳の平得壮市(ひらえそういち)さんが詠んでいる。ハンセン病国立療養所の沖縄愛楽園に七十年近く暮らす元患者だ。書きためた俳句と短歌が先日、『飛んで行きたや 沖縄愛楽園より』(コールサック社)として出版された▼園で出会った妻は、二度中絶を強いられたという。その後生まれた二人の子は親せきに託した。一緒に住むことはできなかった。<子ありても共に暮らせぬ哀(かな)しみをこらえつつ妻は死出の旅へ行く>。亡くなった妻の無念も歌になっている▼国の強制隔離政策がもたらした、患者と家族の離別の悲しみである。家族たちは、離れ離れの暮らしを強いられたうえに、いわれなき差別と偏見にさらされることもあった▼元患者の家族五百人以上が、国に謝罪と損害賠償を求めた集団訴訟で、熊本地裁は昨日、国の責任を認め、賠償を命じた。原告側の全面的な勝訴だろう▼家族に患者がいると知られたことで、学校でいじめにあったり、職場でのうわさで仕事を辞めなければならなくなったり。会いたくても会えず、互いに助け合うことも難しかった人たちの歴史が、浮かび上がる▼人知れずこぼす涙がどれほど多かったか。「飛んで行きたや」という無念も。胸に迫る長い苦しみである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年06月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:6月28日(金)

2019-06-30 06:10:25 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【首相の一日】:6月28日(金)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:6月28日(金) 

 【午前】8時5分、宿泊先の大阪市住之江区のホテル「ハイアットリージェンシー大阪」から同区の国際展示場「インテックス大阪」。32分、トランプ米大統領を出迎え。36分、トランプ大統領と会談。9時22分、トランプ大統領、インドのモディ首相と会談。51分、ドイツのメルケル首相と会談。11時6分、英国のメイ首相と会談。29分、20カ国・地域の首脳らを出迎え。

 【午後】0時7分、各国首脳らと写真撮影。9分、インドネシアのジョコ大統領と立ち話。15分、デジタル経済に関する首脳特別イベント。33分、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の第1セッション。2時29分、国連のグテレス事務総長と立ち話。50分、スペインのサンチェス首相と立ち話。3時6分、G20大阪サミットの第2セッション。4時15分、タイのプラユット首相と会談。41分、ハイアットリージェンシー大阪。5時56分、昭恵夫人と共に大阪市中央区の大阪迎賓館。6時1分、昭恵夫人と共に20カ国・地域の首脳らを出迎え。7時42分、各国首脳らと写真撮影。48分、G20大阪サミットの文化行事。8時36分、各国首脳らと夕食会。10時35分、ハイアットリージェンシー大阪。宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年06月29日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす

2019-06-30 06:10:20 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【社説①】:最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす 

 四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。

 「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった。

 鹿児島県大崎町で一九七九年に起きた事件だった。被害者が酒に酔い、側溝に落ちているのを住民が発見した。三日後に遺体が自宅横にある牛小屋で見つかった。原口さんは隣に住み、被害者の義姉にあたる。親族の計四人が殺人容疑などで逮捕され、八一年に最高裁で確定した。

 そもそも本当に殺人なのかも疑われる事件だ。側溝に転落した際の「出血性ショック死の可能性が極めて高い」からだ。新証拠の鑑定はそう記している。この見方は地裁・高裁も支持している。何しろ確定判決時の鑑定は「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度のあいまいさだった。

 では、絞殺という根拠は何か。実は共犯者とされた親族の自白に寄り掛かっている。供述は捜査段階でくるくる変わる。虚偽自白の疑いとみても不思議でない。

 なぜ自白したか。「警察の調べが厳しかったから」だそうだ。しかも知的障害のある人だった。今なら取り調べが適切だったか、捜査側がチェックされたはずだ。

 最高裁は新鑑定を「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。親族の自白は「相互に支え合い信用性は強固」とした。だが、本当に「強固」なのか。過去の冤罪(えんざい)事件では、捜査側が描くストーリーに沿った供述を得るため、強要や誘導があるのはもはや常識である。

 最高裁の判断には大いに違和感を持つ。審理を高裁に差し戻すこともできたはずである。事件の真相に接近するには、そうすべきだった。事故死か他殺かの決着も、再審公判でできたはずだ。再審取り消しは論理自体が強引である。もっと丁寧に真実を追求する姿勢が見えないと、国民の司法に対する信頼さえ損なう。

 「疑わしきは被告人の利益に」は再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:直木賞候補独占 文芸が映す女性の活躍

2019-06-30 06:10:15 | 【学術・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説②】:直木賞候補独占 文芸が映す女性の活躍

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:直木賞候補独占 文芸が映す女性の活躍 

 女性作家の活躍、などと書けば何を今さらと笑われるだろうか。だが、七月に選考会のある直木賞の候補作がすべて女性の作品だったことは、この国の文芸史に残る一つの節目として記憶したい。

 百六十一回を数える今回の直木賞。作品が候補となったのは、朝倉かすみ、大島真寿美、窪美澄、澤田瞳子、原田マハ、柚木麻子の六氏だ。全員が女性なのは、一九三五(昭和十)年に文豪・菊池寛が創設した芥川賞と直木賞の双方の歴史を通じて、初めて。

 特筆されるのは、純文学系の芥川賞が新人賞であるのに対して、大衆小説系の直木賞は中堅以上が主な対象となる点。文壇の重鎮の選考委員たちによる選考では、候補作の評価に加え、作家としての地力や蓄積も重視されるのだ。

 その直木賞の候補を女性が占めたことは、女性作家の個々の創作力の高さとともに、層の厚さも映し出す。遠く平安の時代に「源氏物語」を書いた紫式部が聞けば、後輩たちの活躍を喜ぶだろう。

 平安の王朝期にはまた「枕草子」の清少納言をはじめ「和泉式部日記」「蜻蛉(かげろう)日記」など日記文学の書き手として女性が活躍した。

 だが鎌倉以降は、男性上位の武家社会が発達。文芸では戦記物や戯作文学などが興隆し、男性が中心となった。明治に入ると西洋の影響で新たな文芸創作の模索が始まるが、その主体も男性だった。

 そうした中、男女の平等や、封建的な家制度からの脱却などを求める女性たちは、本来であれば男性と同等に力を発揮しうる文芸に、その主張の場を求めた。文芸誌「青鞜」の平塚らいてう、「女人芸術」の長谷川時雨たちだ。

 林芙美子の「放浪記」など、女性を描く名作の数々も誕生。文芸を創作し、享受する道が女性に大きく開かれた。

 また三六(昭和十一)年には女流文学者会が発足し、ともに手を携えて創作に励み、後進を育てた。努力は実り、戦後は優れた女性作家が次々に登場する。

 八七年、大庭みな子さんや田辺聖子さんらが、女性で初めて芥川賞や直木賞の選考委員に就任したのは、その勢いの象徴となった。やがて「女流作家」という言葉はほぼ死語となり、女流文学者会も二〇〇六年に休会した。

 この国では、女性の活躍を阻む「ガラスの天井」が多くの分野に存在する。だが今回の直木賞は「もはや文芸の世界にはない」と改めて示したといえよう。この流れを他の分野にも広げたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:ワコールの創業者、塚本幸一さんは生前、自らを「生かされた人間」と称していた。

2019-06-30 06:10:10 | 【終戦・敗戦・第二次世界大戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・原水爆禁止

【筆洗】:ワコールの創業者、塚本幸一さんは生前、自らを「生かされた人間」と称していた。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:ワコールの創業者、塚本幸一さんは生前、自らを「生かされた人間」と称していた。

 戦争で所属した小隊五十五人のうち、生き残ったのは塚本さんら三人だけだったという。生と奇跡が、同じ意味に思える世界であったようだ。インパール作戦である▼待ち受けた英国軍の砲火に圧倒された。退却すると、飢えと病気に襲われる。渡ろうとした橋が、積み重なった戦友の遺体であることに気付きがくぜんとしている。読むのが苦しい記述が塚本さんの自伝には数多い。<生き地獄>で<死ねない苦しみ>を感じた、問題は<死に方だけ>だったともある。戦後は生かされた使命を感じて働くが、悪夢に叫び声をあげる夜は十年続いたそうだ▼嘱望された若者も平凡な夢をえがいていた若者もいただろう。三万人以上が命を失い、生き残った者の心に深い傷を残した戦いだった▼補給が厳しいと分かっていながら、インドの山深くに向け侵攻している。反対意見もあったが、勇ましい言葉が勝つ空気の中、軍の上層部が下した命令だろう▼大戦の中でも痛恨の極みの一つであり、記憶をぜったいに風化させてはならない作戦である。今年七十五年を迎えた。関係者が少なくなる中、先週、インパール近郊に平和資料館が開館したと報じられた▼展示された遺品などが物語っていようか。人は過つ。わずか七十五年前の生き地獄であろう。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年06月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:6月27日(木)

2019-06-30 06:10:05 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【首相の一日】:6月27日(木)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:6月27日(木) 

 【午前】8時45分、公邸から羽田空港。54分、報道各社のインタビュー。10時8分、昭恵夫人と共に政府専用機で大阪空港。58分、大阪市住之江区の国際展示場「インテックス大阪」。20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の会場を視察。11時34分、同区のホテル「ハイアットリージェンシー大阪」。50分、欧州連合(EU)のトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長と会談。

 【午後】0時44分、セネガルのサル大統領と立ち話。1時52分、インドのモディ首相と会談。2時26分、アルゼンチンのマクリ大統領と会談。3時35分、文化放送の番組収録でアイドルグループ「関ジャニ∞」の村上信五さんのインタビュー。4時41分、エジプトのシシ大統領と会談。5時24分、シンガポールのリー首相と立ち話。52分、オーストラリアのモリソン首相と会談。6時51分、大阪市北区のリーガロイヤルホテル大阪。7時34分、中国の習近平国家主席と会談。8時49分、宴会場「ダイヤモンドルーム」で習主席との安倍晋三首相主催の夕食会。9時55分、習主席を見送り。10時21分、ハイアットリージェンシー大阪。宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年06月28日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:宮森小墜落事故60年 危険な状況は変わらない

2019-06-30 06:01:55 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・在沖米軍・オスプレー・普天間移設、米兵の犯罪】

【社説】:宮森小墜落事故60年 危険な状況は変わらない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:宮森小墜落事故60年 危険な状況は変わらない 

 ミルク給食を待っていた児童たちを突然、ごう音と火の玉が襲った。死者18人、重軽傷者210人を出した石川市(現うるま市)の宮森小学校米軍ジェット機墜落から60年がたった。

 人為的ミスによる事故だったにもかかわらず原因は伏せられ、事故後の賠償も不十分だった。米施政権下の沖縄で、住民の命が軽んじられた象徴的な事故だ。そんな理不尽な戦後史を伝え続けなければならない。
 墜落事故は1959年6月30日に起きた。嘉手納基地所属の米軍ジェット機F100が石川市の住宅地に墜落し、衝撃で跳ね上がった機体が宮森小に突っ込んだ。犠牲者のうち児童は12人だった。パイロットはパラシュートで脱出し、けがはなかった。
 事故後の米軍の対応は不誠実極まりない。米軍は事故原因を「故障による不可抗力」と発表した。しかしその後、米空軍がまとめた事故調査報告書では、事故の「最大の要因は整備ミス」で、人為的な原因だったと結論付けていた。整備不良だったのに整備監督者が飛行を認め、燃料が漏れてエンジン熱で引火した。
 そもそも墜落したF100戦闘機は開発段階から事故を繰り返し、47人のパイロットが死亡する“欠陥機”であった。しかし、事故原因も欠陥機であることも沖縄の人々に説明されることはなかった。事故の概要が分かるのは石川・宮森630会が地道に米軍資料や証言収集に取り組んできたことが大きい。
 60年前のこの事故は決して過ぎた出来事ではない。沖縄が日本に復帰してから今に至るまで米軍機の事故は相次ぎ、悲劇を生む構造は何も変わっていないからだ。
 ことし6月4日、浦添市の中学校に米軍ヘリが羽についているゴムシートを落下させた。2017年12月には普天間第二小学校の運動場に約8キロもある米軍ヘリの窓が落ちた。その前には宜野湾市の保育園の屋根に米軍機の部品が落下している。幸いけが人はなかったが、子どもたちの上に落ちていたらどうなっていたか。
 これだけの事故が繰り返されながら、米軍の対応は60年前と同じだ。事故後も、原因を究明し公表する前に飛行訓練を再開し、学校の上空を飛び交っている。保育園の事故に至っては、部品が米軍の物だとは認めたが、落としてはないと主張している。
 米軍普天間飛行場にMV22オスプレイを配備する際も、防衛省は「事故率は他機種より低い。飛行時間の増加に伴い(事故率は)低下する」と説明してきた。しかし10万時間当たりのクラスA(重大)事故は配備時の12年の1・65から18年には2・85と逆に増えた。16年の名護市安部への墜落事故は記憶に新しい。
 日米両政府は宮森小の悲劇から何も学んでいないのではないか。県民の命は今も危険にさらされ続けている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月30日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:米軍基地を笑う

2019-06-30 06:01:50 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・在沖米軍・オスプレー・普天間移設、米兵の犯罪】

【金口木舌】:米軍基地を笑う

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:米軍基地を笑う 

 沖縄での街頭演説がオスプレイの騒音にかき消され、思わず「ゲラウェイ(あっち行け)」と叫ぶ総理。辺野古に伝わる海水を使った伝説のゆし豆腐の口当たりが「ジャリジャリ」する―

 ▼演芸集団FECのまーちゃんこと小波津正光さん(44)が企画・脚本・演出を務める「基地を笑え! お笑い米軍基地15」のワンシーンだ。本島縦断オール新作ツアーの那覇での初日に足を運んだ。中高年の観客が多い中、若者や家族連れの姿も
 ▼「米軍基地」と「お笑い」は一見、懸け離れているが、小波津さんの芸人フィルターを通すと米軍の事件・事故は全てネタだ。客観的に笑うことで、沖縄の現状や社会全体の危うさなどを分かりやすく伝えている
 ▼県民はこれまでも逆境を笑いに変え、生きる糧にしてきた。沖縄の「チャプリン」と呼ばれた小那覇舞天さん(本名・全孝)は戦後、「ヌチヌグスージサビラ(命のお祝いをしましょう)」と生き延びた人たちを歌と笑いで癒やし、希望を届けた
 ▼小波津さんは毎年新作を生み出し、慰霊の月に県内各地で公演する。今年で15年だが「相変わらずネタに事欠かない。笑えない問題ほど、笑いにしてやる」と芸人魂はパワーアップしている
 ▼今日は名護市民会館で新作ツアーの最終公演。ファンの一人としては悩ましいが、将来、基地を笑わずに済む日が来ることを心から願う。

  元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2019年06月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:ハンセン病家族訴訟 国は控訴せず救済に動け

2019-06-30 06:01:45 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【社説】:ハンセン病家族訴訟 国は控訴せず救済に動け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ハンセン病家族訴訟 国は控訴せず救済に動け 

 ハンセン病元患者の家族が味わわされた深刻な差別に裁判所が光を当てた。

 沖縄在住の250人を含む元患者の家族561人が1人当たり550万円の損害賠償と謝罪を国に求めた訴訟の判決で、熊本地裁が国の責任を認め、計約3億7千万円の支払いを命じたのである。
 元患者の家族による訴訟で賠償を命じた判決は初めてであり、画期的だ。差別を完全になくすための第一歩となることを期待したい。
 ハンセン病は、らい菌という細菌による感染症だ。感染力は極めて弱い。主に皮膚と末梢神経に病変が表れる。治療せずに放置すると、体の一部が変形するなどの障がいが残ることがある。
 1943年に米国で治療薬が開発されて、治る病気となり、今では日常生活の中でハンセン病にかかる可能性はなくなっている。
 国は明治後期から患者を強制的に収容し隔離政策を続けた。48年に成立した旧優生保護法によって不妊手術が患者に強制された。隔離政策を固定化させた53年制定の「らい予防法」は、療養所に入所する人の外出禁止などを盛り込んだ。
 ハンセン病の治療法は早くから確立されていたが、国は96年まで同法を廃止しなかった。遅くとも60年には隔離政策の必要性が消失していたと判決は指摘した。元患者らを虐げ、人権を踏みにじり、いわれのない差別を増大させた国の責任は、限りなく重い。
 元患者本人の訴訟では2001年5月に熊本地裁が隔離政策を違憲とし、約18億2千万円の賠償を国に命じた。国は控訴を断念し謝罪した。だが、その後に創設された補償制度の対象に家族の被害は含まれなかった。
 親族が元患者という理由で村八分にされたり、結婚を拒まれたり、就職を断られたりした事例は数多い。学校でのいじめもあった。
 家族までもが厳しい差別を受けたのは、国がハンセン病を「恐ろしい病気」と喧伝(けんでん)し、隔離政策を続けたからだ。
 国民に誤った認識を植え付けたことで、家族も潜在的な感染者と見なされた。就職や結婚の際に、肉親が元患者であることを隠すケースも少なくなかった。後に事実を知られ、離婚に追い込まれた人もいる。原告の大半が匿名なのは差別を恐れるからだ。
 「隔離政策は患者を対象として実施された。患者家族はその対象に含まれていない」という国の主張は、言葉で言い表せないほどの苦難を味わわされた人々を、二重、三重に傷つけるものだ。
 判決は「違法な隔離政策で家族も差別され、生涯にわたり回復困難な被害を受けた」として、国の責任を認めた。損害賠償請求権の時効が成立したとする国側の主張も退けた。妥当な判断と言えよう。
 これ以上の責任逃れは許されない。国は控訴などせずに、救済に乗り出すべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月29日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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