路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・11.30】:サイバー防御 攻撃の兆候を素早く把握せよ

2024-11-30 05:00:55 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説①・11.30】:サイバー防御 攻撃の兆候を素早く把握せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.30】:サイバー防御 攻撃の兆候を素早く把握せよ

 政府機関や重要な社会インフラへのサイバー攻撃が相次いでいる。大規模な被害を防ぐには、攻撃の兆候を素早く把握することが大切だ。 

 重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ、「能動的サイバー防御」の導入を検討してきた政府の有識者会議が、提言をまとめた。

 サイバー空間を平時から国が監視し、攻撃の兆候を探知した場合、相手のシステムに侵入して無力化する必要がある、と指摘した。

 また、電力、通信、金融など15業種の「基幹インフラ事業者」には、サイバー攻撃があった場合、政府への速やかな報告を義務化することも求めた。

 日本のサイバー空間の防御能力は低いと言わざるを得ない。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は昨年来、何度もサイバー攻撃を受け、職員の個人情報が流出した。昨年は名古屋港のシステムがサイバー攻撃で機能停止に陥った。

 日本はこれまで、専守防衛の原則に基づき、サイバー攻撃を受けてからの対処にとどまってきた。だが、脅威の増大を踏まえれば、攻撃の兆候を早期に把握し、防御措置をとらなければならない。

 その実現のためには、国が事業者から通信情報を受け取る必要がある。ただ、現在は憲法が定める「通信の秘密」に基づき、事業者は原則、情報を提供できない。

 この点について、有識者会議は「通信の秘密は、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける」と提言に明記した。プライバシー侵害への懸念を 払拭 ふっしょく するため、制度全体の運用を監督する第三者機関の設置も提案した。

 サイバー空間の脅威を取り除くのは国の責務だ。その責務に関する具体的な措置について、幅広い理解を得るには、第三者機関を独立性の高い組織としたい。

 制度設計だけでなく、実際に運用する体制が重要となるが、政府内の調整には不安が残る。

 提言は、防御を担うのは「まずは警察」とし、「必要がある場合に自衛隊が加わる」と記した。

 近年、サイバー犯罪やインフラ攻撃への備えを強化している警察当局は、サイバー対策全体を仕切ろうとしているようだが、縄張り争いになっては困る。

 サイバー攻撃は、最初の段階では国内を狙った犯罪なのか、軍事的な脅威につながる可能性があるのか、不明だ。同盟国や友好国との情報交換が欠かせない。

 防衛省はもとより、外務省や法務省を含め、政府全体で脅威に対処する体制を築くべきだ。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.23】:日米韓の連携 政権交代しても結束保て

2024-11-23 06:05:50 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説・11.23】:日米韓の連携 政権交代しても結束保て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.23】:日米韓の連携 政権交代しても結束保て 

 日米韓の連携にほころびが生じることがあってはならない。政権が代わっても揺るがない協力枠組みへの強化が求められる。

 石破茂首相とバイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による3カ国首脳会談が南米ペルーで開かれた。

 バイデン氏は「重大な政治的変化」が訪れていると指摘し、3カ国の協力が「恒久的に存続することを期待する」と述べた。

 来年1月、米国で再びトランプ政権が発足することを念頭に置いた発言だ。首脳会談の陰の主役は、この場にいないトランプ氏だった。

 トランプ氏は2国間のディール(取引)を好み、多国間協力に後ろ向きな姿勢を見せている。日米韓の協調関係がトランプ政権になっても継続できるかは不透明だ。

 こうした状況を踏まえ、3首脳は連携枠組みの固定化に向け、安全保障分野などの協力を調整する事務局組織の新設に合意した。

 3カ国のいずれかで政権が交代して外交方針が変わったとしても、協力が後退することのないように歯止めをかける仕組みである。その効果に期待したい。

 2021年に発足したバイデン政権は「格子状」と呼ばれる多国間連携を構築した。覇権主義的な動きを強める中国、核・ミサイル開発を進める北朝鮮、北朝鮮との軍事協力を深めるロシアなどに、友好国と共に対処するためだ。

 米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を始動させ、日米豪印の協力枠組み「クアッド」を閣僚級から首脳級に引き上げた。

 日米韓の協力枠組みも、この「格子」の一つだ。昨年8月の首脳会談では「日米韓パートナーシップの新時代」を宣言し、首脳や閣僚が毎年定期的に会談することで一致している。トランプ政権も継承すべきだ。

 トランプ政権に移行する米国と日韓の関係は、新たな事務局組織だけで発展するわけではない。日本はトランプ政権と新たな関係を築かなければならない。

 石破首相は今回の外遊に合わせ、トランプ氏と面会する機会を探っていたが果たせなかった。引き続き早期の会談を求めると同時に、トランプ氏の人脈を通じて関係構築を進めたい。

 トランプ政権は、日韓両国に米軍駐留経費の大幅な負担増を迫る恐れがある。米国の関税引き上げ、米中対立の影響といった点でも日韓の利害は一致する。

 トランプ政権に3カ国協力をはじめ国際協調の必要性を説く上で、日韓の連携は重い意味を持つ。

 トランプ氏はかつての大統領時代のように、独断で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記とのディールに乗り出す可能性がある。

 トランプ氏に慎重な対応を促すためにも、日韓の協力強化は欠かせない。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月23日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・08.07】:遠回りしているようで国家戦略の近道になる問題提起こそ必要

2024-08-14 07:40:10 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【政界地獄耳・08.07】:遠回りしているようで国家戦略の近道になる問題提起こそ必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・08.07】:遠回りしているようで国家戦略の近道になる問題提起こそ必要 

 ★5日、前立憲民主党衆院議員・山内康一がフェイスブックに「最近はやりの経済安全保障に関する論文集を読んでいて感じるのは、この著者たちは中国の脅威は強く感じているけれど、気候変動とか格差が招く社会の分断とかの脅威はまったく感じていないんだろうなぁということです。いろんな脅威がある中で、軍事的な安全保障ばかりにお金をかけて、気候変動による災害激甚化や干ばつによる食料危機、格差がつくり出す社会の分断といった問題にお金をかけないと、その方がより多くの人命の損失につながるかもしれません」と記している。

 ★学者の弱点は大局観に欠け、専門性に特化するあまり、局部的な事象から全体を見ようとする。全体の中の各論は立派でも、各論をつなぎ合わせるだけでは全体像は見えにくい。本来、そこをつなぐのが政治の仕事である。「経済安全保障とは何か」と問われれば「半導体や蓄電池」と答えるのが模範解答だが、それは22年に政府が「特定重要物資」を半導体や蓄電池、永久磁石、重要鉱物、工作機械・産業用ロボット、航空機部品、クラウドプログラム、天然ガス、船舶部品、抗菌性物質製剤(抗菌薬)、肥料と閣議決定したからだ。いずれも供給が切れると経済活動や日常生活に支障をきたすものというのが定義だ。

 ★国民が日常生活に支障をきたさずに生きていくための多くの努力はさまざまな分野で行われている。だが、それを声高に言わないのが安全保障というものだ。「安全」とは維持することが前提となる。毎日、水が飲める、電気が通る、食べたいものが手に入る、食べられる。たしかに物理的には閣議決定のような代物が大切だろう。だが山内の言う、その根源や根本に目を向ければ、まだまだ議論すべきこと、実現すべきことは大いにありそうだ。遠回りしているようで、それが国家戦略としても国民生活にとっても近道になるのではないか。そんな提案が総裁選、代表選を目前にする自民党や立憲民主党から出てこないのが残念だ。(K)※敬称略 

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年08月07日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・07.01】:「集団的自衛権」容認10年 戦争する国にせぬ覚悟

2024-07-02 07:16:50 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説・07.01】:「集団的自衛権」容認10年 戦争する国にせぬ覚悟

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・07.01】:「集団的自衛権」容認10年 戦争する国にせぬ覚悟 

 2014年7月1日、第2次安倍内閣が「集団的自衛権の行使」の容認を閣議決定してから10年=写真は、安倍晋三首相による閣議決定後の記者会見。
 

 この間、他国同士の戦争への参加を可能にした安全保障関連法の成立が強行され、防衛予算の増額も続く。戦後日本の「平和国家の歩み」を踏み外した起点を、決して忘れるわけにはいかない。

 集団的自衛権は、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、密接な関係にある外国への攻撃を実力で阻止する権利を指す。
 
 政府は、国連憲章で認められた集団的自衛権は有しているが、その行使は「憲法9条のもとで許される実力の行使を超え、許されない」との解釈を堅持してきた。
 
 これは、主に自民党が担ってきた歴代内閣が、国会や政府内での長年の議論を通じて確立し、踏襲してきた憲法解釈である。
 
 この解釈を一内閣の独断で根底から覆したのが安倍内閣だ。1959年の最高裁による砂川判決を根拠に「集団的自衛権の合憲性は砂川判決で担保されている」として憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認に踏み切った。

 ◆専守防衛と法秩序壊す

 この解釈変更の問題点を主に二つの観点から批判したい。第一は専守防衛という戦後日本の防衛政策を根幹から変えたことだ。
 
 国内外に多大な犠牲を強いた戦争への反省から、戦後日本は憲法9条で戦争放棄と戦力不保持を誓った。その後、日米安全保障条約で米軍の日本駐留を認め、自衛隊を保有するに至ったが、他国に軍事的脅威を与えない「平和国家の道」を変わらず歩んできた。
 
 攻撃を受けたときに初めて防衛力を用いる専守防衛、他国領域を直接攻撃する敵基地攻撃能力の不保持、国際紛争を助長しないため武器を輸出しない武器禁輸原則、防衛費をおおむね国内総生産(GDP)比1%程度に抑える節度ある防衛力整備などである。
 
 しかし、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定と、行使を法的に可能にする安保法成立が強行された後、戦後日本の防衛政策は根幹から変質していく。
 
 敵基地攻撃能力の保有が容認され、他国領域を直接攻撃できる長距離巡航ミサイルの整備が進む。防衛費も関連予算を含めてGDP比2%に倍増させる方針へと大きくかじを切り、殺傷能力を持つ戦闘機の輸出も解禁された。
 
 集団的自衛権の行使容認が「アリの一穴」となり、9条の平和主義という堤防を決壊させた形だ。
 
 解釈変更がもたらしたもう一つの問題点が憲法秩序の破壊だ。
 
 国権の最高機関であり、唯一の立法府である国会が定め、その後定着した憲法の解釈を、時の政権が都合よく変更できるなら、国民が憲法を通じて権力を律する立憲主義や法秩序は崩壊する。
 
 そもそも、安倍内閣が行使容認の根拠にした砂川判決は駐留米軍に関する判例である。固有の「自衛権」を持つと明示しているが、個別的自衛権を指すことは明白であり、集団的自衛権を巡って争われたものではない。この判決から集団的自衛権の行使容認を導き出すのは牽強(けんきょう)付会が過ぎる。
 
 この閣議決定後、政権は法解釈を恣意(しい)的に変更し続けた。
 
 例えば、東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長。
 
 検察庁法は検事総長以外の定年を63歳と定めていたが、安倍内閣は法解釈の変更で定年延長を決めた。政権中枢に近いとされた黒川氏を検事総長に就けるため、と指摘された。
 
 後継の菅義偉内閣は政権に批判的な学者を排除するため、法解釈を事実上変更して、日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を拒否した。
 
 岸田文雄内閣も政府の憲法解釈を事実上変更して、敵基地攻撃能力の保有に踏み切った。
 
 政権の都合で憲法や法律の解釈を変更する頻度が増えたのも、集団的自衛権を巡る閣議決定が法秩序を破壊し、解釈変更のハードルを下げたからにほかならない。

 ◆平和主義により磨きを

 本紙は10年前の7月1日、通常は紙面の中程にある社説を1面に掲載し、行使容認の閣議決定に反対する旨を主張した。本紙の毅然(きぜん)とした姿勢を示すためで、今もこの覚悟に変わりはない。
 
 日本を再び「戦争する国」にしないためには、戦後日本の平和主義と憲法秩序を取り戻さなければなるまい。憲法で誓った平和主義を国家戦略に位置付け、より磨きをかける。戦火がやまない世界を生き抜く唯一の道だと信じる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年07月01日  07:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 「ぐうたらの日」だけど

2024-06-04 07:34:50 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説①】:週のはじめに考える 「ぐうたらの日」だけど

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 「ぐうたらの日」だけど

 元日の能登半島地震で始まった今年も、もはや6月です。国民の祝日が一日もないくせに夏休みはまだ遠く、子どもは学校、大人は仕事で粛々と過ぎる月ですね。

 この6月を「いちばんきらい」と嘆く小学生がいます。名作漫画「ドラえもん」の野比のび太さん。当然、それを聞いたドラえもんが秘密の道具を出します。
 
 「日本標準カレンダー」です。一年のどの日も祝日に変えられる優れもの。そこでのび太さんは、6月2日を新しい祝日「ぐうたら感謝の日」と定めました。決して働いてはならない日です。これは「ドラえもん」14巻(てんとう虫コミックス)にあるお話です。
 
 だから今日はこの欄もぐうたら-とは参りません。読者とともに考えたいことがあるからです。

 ◆自衛隊誕生と国会決議

 1954年6月2日。参議院で「防衛2法」が可決・成立して、陸海空の自衛隊が誕生することになりました。第2次世界大戦での大敗からまだ9年で、再軍備には強い反対の意見が上がりますが、当時の吉田茂首相ら政府・与党はそれを押し切り、70年後の現在は世界で有数の軍事力を持つに至る自衛隊を発足させたのです。
 
 ですが。参議院では防衛2法の可決に続き「自衛隊の海外出動を為(な)さざることに関する決議」が、与党も含めてほぼ全会一致で可決されました。こんな内容です。
 
 本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈(しれつ)なる平和愛好精神に照(てら)し、海外出動はこれを行わないことを、茲(ここ)に更(あらた)めて確認する。
 
 当時の国会議員は戦争の惨禍を身をもって知る人たちで、戦前のように外国を侵略する軍隊を持つことは認めませんでした。
 決議の提案者の中に、鶴見祐輔議員がいます=写真。社会学者の鶴見和子さん、哲学者の鶴見俊輔さん(いずれも故人)の父親で、防衛2法には賛成の立場でした。けれども、決議案の趣旨の説明で鶴見議員はこう訴えます。
 
 「我が国が再び、戦前のごとき武装国家となる危険すら全然ないとは申せない(中略)故に自衛隊出発の初めに当(あた)り、その内容と使途を慎重に検討して、我々が過去において犯したるごとき過ちを繰返(くりかえ)さないようにすることは国民に対し、我々の担う厳粛なる義務であると思うのであります」
 
 軍備の拡大を懸念する一方で、国民に対して国会議員が負うべき重い責務の自覚を示す言葉です。今の議員にも聞かせたいですが、決議とは裏腹に、自衛隊はやがて海外にも派遣され始めます。
 
 さらには戦争を知らない世代の政治家が、軍拡の歯止めを次々になくします。最たる例が、武器の輸出ルールの大転換です。
 
 2014年。安倍晋三内閣は、それまでの「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」と改め、輸出を認めました。「武器→防衛装備」「輸出→移転」という言い換えは、戦時中の「撤退→転進」というごまかしみたいです。
 
 そして今年。岸田文雄内閣は、殺傷能力のある武器の輸出までも容認しました。この措置に賛成の人々からは「ウクライナの戦争を見ろ、現実を見ろ」「軍需産業を育てなければ自国を守れないのが現実だ」という声が聞かれます。

 ◆私たちが見るべき現実

 しかし、21世紀の世界に生きる私たちが、ウクライナでの戦争に見るべき「現実」の一つは「戦時には原発さえ攻撃される」という冷徹な事実ではないでしょうか。
 
 もし将来、日本が他国と戦争を始め、相手国の放ったミサイルが日本の各地の原発に落ちたら…。仮に戦いに勝てても、狭い国土は収拾不能な惨状に陥り「国勝って山河なし」となりかねません。
 
 さて、先に紹介した鶴見議員は当時、こんなことも訴えました。「原爆と水爆との時代において、戦争は時代錯誤である」と。この一言を伝えたく、今日6月2日にこの記事を書いたのです。
 
 現代は世界各国が「気候変動」という共通の大敵を抱えるのに、まるで生産性のない戦争などしている場合でしょうか。戦闘により地球の温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を大量に排出したり大気や土を汚染したりするのは、まさに時代錯誤です。人類と地球全体への犯罪でしょう。
 
 一分、一秒でも早くロシアに、またイスラエルにも軍をひかせ、さらには、あらゆる「次の諍(いさか)いの火種」を消す-そのための知恵や行動が必要になります。
 
 のび太さんが設けた休日を無にするようですが、戦乱をなくす、そんな理想を実現させるために、私たちは決して「ぐうたら」などしてはいられないようです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年06月02日  06:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説・05.04》:閣議決定の罪 国会の迂回は正当性欠く

2024-05-04 09:30:55 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

《社説・05.04》:閣議決定の罪 国会の迂回は正当性欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説・05.04》:閣議決定の罪 国会の迂回は正当性欠く 

 1967年4月21日の衆院決算委員会議事録から引く。

 社会党の華山親義氏「憲法の平和思想は国際的な平和の保持によって日本の平和を維持していくのが精神だ。日本で開発、製造された武器が外国に行くのは絶対にやめていただきたい」

 佐藤栄作首相「防衛的な武器を輸出してくれと頼まれれば断ることはない」

 議論になっていたのは、東大が開発したペンシルロケットをユーゴスラビアなどに輸出したことが実質的に武器輸出に当たるのではないか、との疑惑だ。

 佐藤首相はロケットは武器ではないとの認識を示す一方、武器輸出に対する野党の反発を受け止めて、指針の表明に至る。

 (1)共産圏諸国(2)国連決議による武器禁輸国(3)紛争当事国―。これらへの武器輸出を認めない。いわゆる「武器輸出三原則」である。

 ■議論が生みだした

 76年には輸送機やヘリコプターなどの輸出促進に政府が前向きな姿勢を示したことに、野党が反発。三木武夫首相が事態収拾のため、三原則の対象以外の地域でも「武器輸出を慎む」とした政府統一見解を明らかにした。

 この方針は例外規定を増やしながらも、40年近くにわたって「平和国家の象徴」として、維持されることになる。

 注視する必要があるのは、立場を異にする政府と野党が国会で議論を深め、問題点を掘り下げる中で政府が方針を明らかにした、という点である。

 政府が輸出を幅広く認める方向へかじを切ったのは2014年4月。安倍晋三内閣による「防衛装備移転三原則」の閣議決定だ。

 「平和貢献や日本の安全保障に資する場合」は輸出を認める、と従来方針を大転換した。それなのに諮ったのは自民、公明両党のプロジェクトチームだけだ。

 国会の議論の中から生まれた武器禁輸を、与党了承だけで変更する「迂回(うかい)ルート」である。国会軽視はこの後さらに深まり、自民党政権は閣議決定に頼る手法を常態化させていく。

 ■相次いだ方針転換

 安保政策の根本的な転換といえる集団的自衛権行使の容認、東京高検検事長の定年延長、死去した安倍氏の国葬実施―。岸田文雄政権は22年12月には国家安全保障戦略など安保関連の新3文書を閣議決定し、攻撃兵器は持たないとする専守防衛の原則も覆す。敵基地攻撃能力の保有の明記である。

 23年12月には防衛装備移転三原則も改定し、かろうじて食い止められてきた殺傷兵器の輸出解禁を閣議決定。英国やイタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出は、いったんは先送りされたものの、今年3月に閣議で決めた。

 戦闘機輸出の歯止め策に挙げたのは、戦闘機を輸出する際は「与党」の事前審査を経て「閣議決定」するという手順だ。「国会」の姿はここにも見えない。

 憲法65条は「行政権は、内閣に属する」と定める。閣議決定は政府内における最高の意思決定であるものの、法律ではない。国会を縛ることはできないし、憲法や法律の枠内である必要がある。

 憲法学者には、安保政策の根幹を解釈変更した集団的自衛権行使の容認は、9条の違反との指摘が根強い。この解釈変更を土台に進められた敵基地攻撃能力の保有や武器輸出も同様である。

■民主政治のプロセス

 武器輸出については、かつて国会が政府に「足かせ」をはめようとしたことがある。

 1981年に国内の商社が砲身の半製品を輸出承認なしに韓国に輸出したことが判明したため、野党が武器輸出禁止法を制定するよう求めた。当時の政府指針の三原則を法制化し、罰則の強化が必要との主張だった。

 政府は武器輸出を求める産業界に配慮して法制化を嫌い、代わりに国会決議がなされている。「憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ(中略)武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもって実効ある措置を講ずべきだ」という内容だった。殺傷能力のある武器輸出の解禁はこの国会決議にも矛盾している。

 学習院大の青井未帆教授(憲法学)は「自民党は与党内で議論すれば足りるという考えで、民主的な政治過程という理解がない」と指摘。「国会で議論することが政策に正当性を与える。議論の過程を議事録に残し、後世で妥当性も検証できる」と強調する。

 政府が繰り返してきた手法はまさに論語の「よらしむべし、知らしむべからず」である。人民は従わせればよく、理由や意図を説明する必要はない、との意味だ。政府はこの対象に「国会」すら含めていないか。

 問われているのは、憲法に基づく国のかたちを放棄するかのような政治のあり方だ。ないがしろにされているのは民意である。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月04日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・05.03】:安保政策の変容 憲法を政権制御の手綱に

2024-05-04 06:05:45 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説・05.03】:安保政策の変容 憲法を政権制御の手綱に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.03】:安保政策の変容 憲法を政権制御の手綱に 

 人権侵害の恐れがある法律なのに、住民には十分な説明がない。

 法律の影響を詳しく知られたくない、というのが行政の本音だろう。福岡県築上町に住む渡辺ひろ子さん(75)はそう考える。

 今年1月、土地利用規制法に基づく区域指定に、築上町にある航空自衛隊築城基地の周辺が追加された。安全保障上重要な施設の周辺の土地利用を規制する措置で、全国では約580カ所が指定されている。

 この法律により、国は区域内の土地所有者の情報や利用実態を調査できる。市民のプライバシー、思想・良心の自由、財産権などが侵害されるとの批判が根強い。

 町議会で議員が町に要望した住民説明会は、結局開かれることがなかった。隣接する行橋市みやこ町も同じだ。

 築上町は広報紙とホームページで指定区域を告知した。それだけでは足りない。区域内に土地を持つ渡辺さんの複数の知人は指定を知らなかったという。

 安保関連施策が、国民を置き去りにしたまま進んでいく。渡辺さんの懸念は膨らむばかりだ。

■形骸化する民主主義

 こうした風潮の起点となったのは2014年だ。当時の安倍晋三政権は、歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使を閣議決定で容認した。この後、日本の安保政策は変容を続ける。

 現在の岸田文雄政権は防衛費の増額、専守防衛の原則に反する疑いが濃厚な反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に踏み切った。

 岸田首相は先月訪米し、日米同盟の強化を宣言した。バイデン大統領との共同声明で、両国を地球規模で協働する「グローバル・パートナー」と位置付けた。

 米議会では、日本は米国と「共にある」と演説した。日本が米国の世界戦略に際限なく引きずり込まれることを危惧する。

 覇権主義的な動きを強める中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の存在は無視できない。それでも、対米公約を最優先し、国会での議論を軽視する首相の姿勢は看過できない。民主主義を形骸化させてはならない。

 戦後日本が築いた平和主義を基軸とする安保政策の原則が、なし崩し的に壊されている今こそ、私たちが使うべきものがある。憲法だ。憲法は為政者の権力を縛るためのものである。憲法記念日のきょう、改めて確認したい。

■国民が声を上げよう

 憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定める。

 憲法学者の小林節慶応大名誉教授は共著の中で「国民が権力に対して、その力を縛るものが憲法です。憲法を守る義務は権力の側に課され、国民は権力者に憲法を守らせる側なのです」と明言している。これが通説である。

 住民団体の代表を務める渡辺さんは、35年前から毎月2日、築城基地前で基地反対の座り込みを続けている。自衛隊の役割の変化を間近で見てきたからこそ、平和憲法の理念から懸け離れた施策を推し進める国に対し、国民が「きちんとノーと言わなければ」と話す。私たちも自戒したい。

 見逃せないのは、憲法改正を目指す自民党が、憲法は国民をも縛ると考えていることだ。

 党のホームページにある「憲法改正ってなぁに?」の4こま漫画で「リーダーも国民もみんなが憲法に従う義務があるんだ」と説明している。到底容認できない。

 岸田首相は、自民党総裁任期の9月までに憲法を改正する目標を立てている。時間的な制約が強まっても、なお「一歩でも二歩でも前進すべく努力を続ける」と意欲を示す。

 大規模災害や武力攻撃を想定した緊急事態条項の新設、憲法に自衛隊を明記することなど、自民党の改憲案には賛否両論ある。慎重に議論する必要がある。

 私たちは改憲論議を否定はしない。ただ、今は現行憲法という手綱を国民が握り、先走る政権を制御すべき時だと考える。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:特定秘密漏洩 情報保全意識の欠如は深刻だ

2024-04-29 05:01:35 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【社説①】:特定秘密漏洩 情報保全意識の欠如は深刻だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:特定秘密漏洩 情報保全意識の欠如は深刻だ

 安全保障上、重要な情報を保護するため、守秘義務を課す制度を民間人に広げようとしているのに、肝心の自衛隊が情報を 漏洩ろうえい しているようでは話にならない。

 木原防衛相によると、海上自衛隊と陸上自衛隊の双方で、機密情報である「特定秘密」の漏洩が計2件あり、関係した自衛官5人を停職や減給の懲戒処分とした。

 海自の場合、2022年6月~23年1月のうち約60日間、護衛艦内で、特定秘密である船舶の航跡情報の作業を、取り扱う資格のない隊員1人に担わせていた。

 当時の艦長らが、その隊員に特定秘密を扱う資格があるかどうかの確認を怠っていたという。

 陸自では23年7月、北海道の演習場での訓練中、部隊指揮官が、特定秘密を知るべき立場にはない隊員15人に対し、特定秘密に指定されている有事での自衛隊の活動内容を漏らした。

 防衛省は、いずれの事案も第三者への漏洩は確認されていないとしている。だが、問題の情報に接した隊員を通じて、将来にわたって拡散のリスクにさらされることを忘れていないか。

 特定秘密が外部に漏れれば、日本の安全保障に著しい支障を与えかねない。同盟国や友好国から提供された情報もあり、その漏洩は日本の信頼を大きく損なうことになるだろう。

 海自、陸自ともに幹部自衛官の行動は軽率極まりない。

 事案を把握した後の防衛省や自衛隊の対応も問題だ。情報漏洩は海自、陸自ともに昨年起きていたのに、公表するまでになぜこれほどの時間がかかったのか。

 一連の不祥事の発生とその後の対応を見る限り、自衛隊の情報管理に関する規律に緩みがあるのは否定できまい。

 海自では20年、1等海佐が元海将のOBに特定秘密を漏らすという事案があった。特定秘密が外部に漏れた初のケースだった。

 これを受け、防衛省は当時、情報保全教育の拡充など再発防止策を徹底すると発表していた。にもかかわらず、不祥事が繰り返されたことにあきれるほかない。

 国会では、経済安全保障分野の重要情報を保護するため、民間企業の従業員らを対象に新たな適性評価制度を創設する法案が審議され、既に衆院を通過している。

 法案が成立すれば、官民を通して重要情報を守る体制が整うことになる。防衛省・自衛隊は、機密保持の模範となるべき存在であることを自覚する必要がある。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:土地利用規制、180カ所追加 第3弾、初めて在日米軍施設も

2024-01-15 04:21:30 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【政府】:土地利用規制、180カ所追加 第3弾、初めて在日米軍施設も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:土地利用規制、180カ所追加 第3弾、初めて在日米軍施設も

 安全保障上重要な施設の周辺や国境離島を対象とする土地利用規制法に基づき、第3弾として指定された区域で15日、規制が始まった。25都道府県の計180カ所が追加され、対象区域は計399カ所となった。今回、在日米軍施設が初めて含まれた。

 四国電力伊方原発=2023年12月、愛媛県伊方町(共同通信社ヘリから)

 四国電力伊方原発=2023年12月、愛媛県伊方町(共同通信社ヘリから)

 内訳は「注視区域」が134カ所、特に重要度が高いとされる「特別注視区域」が46カ所。米軍施設は川上弾薬庫や広弾薬庫など計6カ所。防衛省市ケ谷庁舎や新千歳空港、四国電力伊方原発も加わった。区域は施設敷地の周囲約1キロが含まれる。
 
 指定されると、政府は土地所有者の氏名や国籍などを調査し、施設機能を妨害する行為に中止勧告や罰則付きの命令を出すことができる。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・安全保障上重要な施設の周辺や国境離島を対象とする土地利用規制法】  2024年01月15日  04:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:麻生太郎副総裁が公明幹部を名指しで批判 安保文書巡り「一番動かなかった、がんだった」

2023-09-26 00:41:30 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【自民党】:麻生太郎副総裁が公明幹部を名指しで批判 安保文書巡り「一番動かなかった、がんだった」

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:麻生太郎副総裁が公明幹部を名指しで批判 安保文書巡り「一番動かなかった、がんだった」

 自民党の麻生太郎副総裁が福岡市内での講演で、岸田政権が昨年末に閣議決定した反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を含む安全保障関連3文書への対応を巡り、公明党の山口那津男代表ら幹部を名指しで批判したことが25日、分かった。「一番動かなかった、がんだった」と述べた。

麻生太郎氏(2023年3月2日撮影)麻生太郎氏(2023年3月2日撮影)

 講演は24日。麻生氏は「北朝鮮からどんどんミサイルが飛んでくる。だが公明党は専守防衛に反するという理由で反対。現実をよく見てみろ」と指摘。山口氏、石井啓一幹事長、北側一雄副代表や創価学会が「がんだった」とした上で「今は時代が違う。ウクライナみたいに日本が戦場になると言い続け、納得するという形になった」と語った。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・自民党・公明党、岸田政権が昨年末に閣議決定した反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を含む安全保障関連3文書への対応】  2023年09月26日  00:41:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【それでもバカとは戦え・2022.04.09】:寝言を垂れ流す 「安倍晋三」という安全保障上の脅威

2022-07-03 06:18:40 | 【国家安全保障、国家防衛戦略・サイバー攻撃・アメリカの戦略文書】

【それでもバカとは戦え・2022.04.09】:寝言を垂れ流す 「安倍晋三」という安全保障上の脅威

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【それでもバカとは戦え・2022.04.09】:寝言を垂れ流す 「安倍晋三」という安全保障上の脅威

 バカの確信ほど怖いものはない。自民党山口県連などは憲法改正の早期実現をめざす集会を開催(4月3日)。

 安倍晋三は講演で、敵基地攻撃能力について「日本も少しは独自の打撃力を持つべきだと完全に確信をしている」「私は打撃力と言ってきたんですが、基地に限定する必要はないわけであります。向こうの中枢を攻撃するということも含むべきなんだろうとこう思っています」と発言。

<picture>現実を直視すべきは、まずは安倍元首相(=4日、山口市の講演で)/(C)共同通信社</picture>現実を直視すべきは、まずは安倍元首相(=4日、山口市の講演で)/(C)共同通信社

 これは完全に憲法違反、戦時国際法違反にあたる。「脅威」に対抗するため、相手国の中枢を攻撃するのは現在ロシアのプーチンがウクライナに対してやっていることと同じだ。2019年9月、安倍は「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」と発言したが、犬は飼い主に似るらしい。

 安倍は講演で「世界の厳しい現実に向き合う機会」などと寝言を垂れ流していたが、現実を直視すべきは安倍である。

 安倍はウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟していれば、加盟国に対する攻撃は全加盟国に対する攻撃とみなし集団的自衛権を行使する規定が抑止力となったと主張。安倍政権で制定した集団的自衛権の限定行使を認める安全保障関連法が「戦争に巻き込まれる」と批判を受けたことを挙げ「今起こっていることはまったく逆ではないか」と反論した。

 アホか。安倍は時系列すら理解していない。ウクライナとNATOの接近は今回の戦争の一因にもなっているのだ。

 14年、安倍は「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険」が「ない」と判断できない場合に、集団的自衛権の行使に踏み切る可能性に言及した。それ以前の、明白な危険が「ある」場合、つまり「存立危機事態」に武力行使できるという話をひっくり返したわけだ。「ない」ことなど証明できないので、やりたい放題やるということだ。

 官房長官の松野博一は、今回の安倍の発言について「コメントは差し控える」と述べていたが、これでは国際社会に間違ったメッセージを送ることになる。これは危険人物を野放しにしてきた自民党全体の問題だ。

 ※重版決定! 書籍「それでもバカとは戦え」講談社から絶賛発売中

 適菜収

著者のコラム一覧
 ■適菜収 作家

 近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】  2022年04月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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