路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・01.16】:医師の偏り 「直美」が映す規制の必要

2025-01-17 16:00:40 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説①・01.16:医師の偏り 「直美」が映す規制の必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.16】:医師の偏り 「直美」が映す規制の必要

 勤務医の不足が深刻化する中、医師になって間もない若手が美容医療に直行する「直美(ちょくび)」が、象徴的に問題となっている。

 厚生労働省は医師の偏在を是正する対策をまとめたが、検討課題だった踏み込んだ規制案は棚上げが目につく。

 24日に召集される通常国会には、医療法改正案が提出される見込みだが、実効性のある取り組みを与野党で検討すべきだ。

 全国の医師数は医学部新卒で毎年4千人前後増えているが、偏在が著しくなっている。患者対応の難しさや不規則さなどから外科、救急、小児などの診療科を避けたり、地方の病院勤務を敬遠したりする医師の傾向が背景にある。

 京都、滋賀では京都市や大津市の医師数が多いの対し、丹後や甲賀などの医療圏は足りない。

 一方、休日対応や宿直がなく、医療機関が自由に料金を設定できる保険外診療で、高収益を得やすいとされる美容外科の診療所は2千を超え、2023年までの3年間で4割増となっている。特に医学部を卒業し、2年間の臨床研修を終えて間もなく美容医療に進む若手の参入が目立つとされ、施術トラブルも急増している。

 対策では、診療所が多い都市部などで、開業希望者に地域で不足する救急医療や在宅医療といった機能を担うよう、都道府県が要請できる。従わない場合、理由の説明を求めた上で勧告や公表を検討するという。

 臨床研修後に3年以上の病院勤務経験があることを保険医療の要件とし、直美などを抑制したい考えだ。美容医療は保険外だが、傷の治療などで保険診療を行うこともあるためである。だが、手ぬるいとの指摘も聞かれる。

 美容クリニックなどには別途、年1回の安全管理状況の報告を求める方針も厚労省は示す。

 いずれも従来の是正策の枠内にとどまる。外科や救急の勤務医を増やす具体策も乏しい。地域や診療科ごとに必要な勤務医数を見込み、計画的に配置する方策も考えるべきではないか。

 政府の審議会でも、営利主体の自由診療への規制や、府県の権限強化などが課題に上がったが、医師の選択を制限するとして日本医師会などが反発し、見送られた。

 医師の養成には多額の税が投じられ、保険診療は国民の負担が支えている。公共インフラとしての地域医療を立て直す抜本策について、国民目線の開かれた議論を求めたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月16日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.12】:医師の偏在対策 踏み込み不足が否めない 

2025-01-12 07:00:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・01.12】:医師の偏在対策 踏み込み不足が否めない 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.12】:医師の偏在対策 踏み込み不足が否めない  

 適切な人材を確保し、全国どこでも不安なく医療を受けられる環境を整えてほしい。

 医師偏在を是正する総合対策を厚生労働省がまとめた。医師が不足がちな地域で勤務する際の経済的な支援や、医療機関が多い地域での開業規制、医師を求める医療機関への仲介支援などが盛り込まれた。厚労省は通常国会で関連法案を成立させ、2026年度の実施を目指すという。

 国民皆保険制度の下、日本は良質で安価な医療を実現してきた。将来、高齢化が進んでも制度を維持することが欠かせない。その鍵を握る医師の適材適所の配置に、政府は真剣に取り組む必要がある。

 日本の医師は現在34万人。世界で見ればまだ少ないとはいえ、医学部の定員増もあって40年前と比べて倍増している。本格的な人口減少時代を迎え、数年先には逆に医師過剰が想定されることを踏まえれば、絶対数不足と言うより偏在と見た方がいいだろう。

 厚労省の資料を見ても、東京などの大都市に医師が集中しているわけではない。人口当たりで比較すると、医師の割合が最多なのは過疎化の進む徳島県であり、最少は首都圏にある埼玉県である。

 小児科医は鳥取県が全国最多の一方で、同じ中国地方の山口県が最少。外科医は岡山県が最多だ。偏在には地域の事情もある一方で、診療科による事情もある。それぞれを是正していくことが求められていよう。

 総合対策には過疎地で働く医師への経済的支援や、地元での一定期間の勤務を義務付ける「地域枠」確保など既視感のある内容が多い。診療科の偏在対策に具体性がないことには物足りなさを感じる。

 勤務医の残業時間を規制する「医師の働き方改革」が昨年始まった。手術を減らし、救急患者の受け入れを制限する病院も現れている。この総合対策で果たして十分な改善ができるのだろうか。

 日本は医師が少ないとされる一方で、病院や病床は世界有数の多さである。限られた医師を多くの病院が奪い合う構図が、医師偏在の原因になってきたと指摘されている。

 脳神経外科や循環器内科は高度で専門的な医療を行うために複数の医師がチームを組んで24時間体制で対応する。そんな診療科を持ち、救急救命も担う大病院が、同じ医療圏内に多数存在する地域も少なくない。病院同士が役割分担することや、病床数の見直しを進めなくては、大幅な状況改善など望み薄だろう。

 医師偏在は04年の新臨床研修制度開始後にとりわけ顕在化した。ただ、研修医自らが勤務先を選べる仕組みは評価できる。救急や外科などの激務の勤務医が敬遠されて人材不足なのは理解するが、だからといって医師の自由意思を縛るような手法はできるだけ避けるべきだろう。

 総合対策には偏在について「国、地方自治体、医療関係者、保険者等全ての関係者が協働して取り組む」と記されている。それはその通りだ。全ての関係者が当事者として向き合い、さまざまな角度から議論を尽くしてほしい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月12日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《香山リカのココロの万華鏡・01.07》:気軽に始めていい /東京

2025-01-07 02:02:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

《香山リカのココロの万華鏡・01.07》:気軽に始めていい /東京

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《香山リカのココロの万華鏡・01.07》:気軽に始めていい /東京

 ある雑誌の企画で、離島での医療に取り組むドクターたちとオンラインの座談会で話す機会があった。1人は三重県、もう1人は熊本県の離島の診療所で働いていた。

 まだ30代と若い2人が話していた言葉で印象的だったのが、「ここでこそ自分のやりたい医療ができる」というものだった。生活は不便だし、ほかに医療機関がないので全てを自分の所でまずやらなければならないし、相当な苦労があるはずだ。それでも、「島の人たちと助け合い、地域おこしにも参加しながら、医者として人として豊かな生活ができる」と2人は目を輝かせた。

 その座談会には「へき地での医療に取り組んでいる」ということで私にも声がかかったのだが、なんだかとても恥ずかしくなった。そもそも私に「自分のやりたい医療」などという理想はあっただろうか。それを求めて今の診療所に来たわけではなく、「なんとなく面白そうだし、これまでと別の生活がしてみたい」というごく軽い気持ちで飛び込んだ、という方が近い。

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《月議・01.06》:自分らしさを刻む旅=下桐実雅子

2025-01-07 02:01:30 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

《月議・01.06》:自分らしさを刻む旅=下桐実雅子

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《月議・01.06》:自分らしさを刻む旅=下桐実雅子

  <getsu-gi>

 男性が62%、女性が49%――。

 生涯でがんになる確率だ。高齢になるほど高くなるが、若くして発症する人もいる。

 名古屋市の加藤那津さんは31歳の時、早期の乳がんと診断された。治療でがんを追い出したが、4年後の2013年に再発した。

 同じ年、米俳優のアンジェリーナ・ジョリーさんが「がん予防のために乳房を切除した」と告白して話題を呼んだ。母と祖母をがんで亡くし、本人も乳がんや卵巣がんになりやすい遺伝子の変異を持っていた。このため、発症前に切除を決断したのだった。

 加藤さんにも若年で乳がんになった親類がいた。主治医に相談し、検査を受けると、同じ遺伝子に生まれつきの変異が見つかった。

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<picture>連載 月議</picture>

連載 月議

毎日新聞朝刊2面に毎週月曜に掲載するコラム。2024年4月から下桐実雅子記者が担当します。

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【社説②・01.04】:医師の偏在対策 実効性ある開業規制が要る

2025-01-04 05:00:40 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説②・01.04】:医師の偏在対策 実効性ある開業規制が要る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.04】:医師の偏在対策 実効性ある開業規制が要る

 都市部に医師が集中しているのに、多くの地方が医師不足に陥っている状況が一向に解消されずにいるのは問題だ。 

 診療所が多い地域での開業に一定の規制を設けるのは選択肢となるだろう。

 厚生労働省が、人口や医師数、高齢化による医療ニーズなどを踏まえて医師の充足度を地域別に数値化したところ、東京の都心部は、医師不足に悩む岩手沿岸部に比べて7倍に上った。

 全国の医師数は34万人余りと、過去10年で4万人増えたが、偏在は深刻だ。病院の勤務医が足りない一方、都会の開業医は余っている、という指摘もある。

 政府は、医師の偏在を是正するための対策をまとめた。通常国会で法改正し、2026年度からの実施を目指している。

 対策の柱は、医師不足の地域で働く医師の手当増額や、医師を派遣する医療機関への経済的な支援を強化するとともに、都市部での開業規制を導入することだ。

 具体的には、診療所が多い地域で新たに開業する医師に対し、訪問診療や夜間・休日の救急対応など、その地域に不足している診療分野を手がけるよう、都道府県が要請できる仕組みを設ける。

 要請に応じない場合、医療機関名の公表や、保険診療を行うために必要な「保険医療機関」への指定期間を短縮することができるようにするという。

 住んでいる地域によって必要な医療が受けられないような事態は避けなければならない。医師にも働く場を選択する自由があるとはいえ、その社会的責任の重さを考えれば、一定の開業規制を設けるのは理解できる。

 対策を議論した有識者会議では、医師が要請に応じない場合は保険医療機関への指定を許可しない、といった厳しい措置も一時検討されていた。だが、日本医師会が「職業選択の自由」などを理由に反発したため、見送られた。

 政府はこれまで、医師の偏在解消に向けて様々な対策を講じてきたが、効果が上がっているとは言い難い。今回の規制も実効性に乏しかった場合には、さらなる措置に踏み切るべきだろう。

 誰もが一度は地方勤務を経験するような仕組みも含めて、多角的な対策が必要ではないか。

 医師の偏在を巡っては、外科や救急など時間外勤務が多い分野のなり手が不足している問題もあるが、十分な解決策は示されなかった。診療科の偏在解消にも引き続き取り組まねばならない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《なるほドリ・12.30》:口唇口蓋裂の女性が患者を支援しているの?

2024-12-30 02:02:20 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

《なるほドリ・12.30》:口唇口蓋裂の女性が患者を支援しているの? ■NPO設立し交流会 悩み相談や専門医紹介=回答・芝村侑美

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《なるほドリ・12.30》:口唇口蓋裂の女性が患者を支援しているの? NPO設立し交流会 悩み相談や専門医紹介=回答・芝村侑美

 なるほドリ 唇(くちびる)などに重い疾患(しっかん)があった女性が、当事者や親をサポートするための活動をしているというニュースを見たよ。

 
  • 生まれたばかりの頃の小林栄美香さん=小林さん提供
生まれたばかりの頃の小林栄美香さん=小林さん提供

 記者 重度(じゅうど)の口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)で生まれた、大阪市の小林栄美香さん(30)のことですね。20回以上の手術を乗り越えて、NPO法人「笑みだち会」(https://emidachikai.org/)を設立し、支援(しえん)活動をしています。

 Q 「口唇口蓋裂」という病名なんだね。、

 ■この記事は、有料記事です。残り567文字(全文788文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ】  2024年12月30日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:高額療養 月5万9000円増 平均区分の所得高い層 段階実施 近く決定

2024-12-24 04:01:10 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【政府】:高額療養 月5万9000円増 平均区分の所得高い層 段階実施 近く決定

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:高額療養 月5万9000円増 平均区分の所得高い層 段階実施 近く決定

 医療費が高くなった時の支払いを抑える「高額療養費制度」見直しの全容が23日、分かった。

高額療養制度の見直しイメージ

高額療養制度の見直しイメージ

 自己負担の上限月額を2025年8月から段階的に引き上げ、平均的な年収区分「約370万~770万円」のうち、所得が高い層は27年8月に最大で約5万9千円増の約13万9千円とする。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・医療費が高くなった時の支払いを抑える「高額療養費制度」見直しの全容】  2024年12月24日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.19】:高額療養費制度 負担増でも趣旨損なうな

2024-12-19 06:05:30 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・12.19】:高額療養費制度 負担増でも趣旨損なうな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:高額療養費制度 負担増でも趣旨損なうな 

 医療費の自己負担を抑える高額療養費制度について、厚生労働省は見直しを検討している。負担額の上限を引き上げる見通しだ。

 高額療養費制度は、誰もがためらわずに必要な医療を受けるためのセーフティーネットである。その趣旨を損なってはならない。

 1973年の制度創設から何度も見直されているが、今回は大きな改正となる。

 現行は世帯年収に応じ、70歳未満で5通り、70歳以上で6通りの上限額が設定されている。医療機関や薬局への1カ月の支払いが上限額を超えた場合、申請すれば超過額が払い戻される。

 70歳未満の平均的な年収区分(370万~770万円)では、月100万円の医療費に対する上限額は8万7430円となっている。

 厚労省案は平均的な年収区分の上限額を10%、8千円程度引き上げる方向で、与党と調整して決定する。

 住民税非課税の低所得世帯の引き上げは2・7%にとどめ、年収が多い世帯の上げ幅を最大15%とする。

 70歳以上で年収370万円を下回る人の外来受診は、自己負担額をさらに低くする特例がある。厚労省はこの見直しも進めている。

 実施するのは2025年夏以降で、26年度に年収区分を細分化する方針のようだ。

 高齢化が進み、医療費の総額は膨らんでいる。患者の支払いを増やして公的医療保険からの給付を抑え、現役世代の保険料負担を軽減するのが見直しの目的だ。

 政府が昨年12月に閣議決定した「こども未来戦略」で、少子化対策の財源の一つとして高額療養費制度の上限額見直しを挙げた経緯もある。

 世帯収入に応じて負担を分かち合う措置はやむを得ないだろう。

 ただし自己負担の増額を心配する患者が受診を控え、命に関わるようなことになってはならない。特に低所得世帯には配慮が必要だ。

 医療の発達とともに、高額な医薬品の普及が制度の重しになっていることも議論を呼んでいる。

 高額療養費1件当たりの平均額は、16年度の4万1767円から21年度は4万5923円に増え、支給総額の規模は2兆5600億円から2兆8500億円に伸びた。

 14年にがん免疫治療薬「オプジーボ」が、最近ではアルツハイマー病の症状の進行を遅らせる新薬「レカネマブ」や「ドナネマブ」が保険適用された。

 こうした薬は患者に恩恵をもたらす。一方で医療保険財政を圧迫しているという意見もある。

 患者や家族は、効果がある新しい治療法を待ち望んでいる。所得にかかわらず、適切な医療を選択できることが大前提だ。医療保険の持続性を高めるためにも、負担のバランスが取れた制度設計に工夫を凝らしたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.17】:美容医療の被害 施術の安全性をどう確保する

2024-12-18 05:00:40 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説②・12.17】:美容医療の被害 施術の安全性をどう確保する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.17】:美容医療の被害 施術の安全性をどう確保する

 二重まぶたの形成や脱毛など美容医療の需要が高まっている。しかし、十分な安全対策を講じていない医療機関も少なくない。健康被害を防ぐ仕組みが必要だ。 

 美容医療は、レーザーで脱毛処理を行うといった手軽なものから、全身麻酔をかけて行う脂肪吸引のような外科手術まで多岐にわたる。美容外科クリニックは昨年10月時点で全国に2016施設あり、3年間で4割増えた。

 普及の背景にはSNSで美容医療の情報が広がり、若者を中心に抵抗感が薄れたことがあるのだろう。最近は脱毛クリニックの倒産も起きている。美容医療ブームで競争が激化したためのようだ。

 一方、安全性や質を保つ対策は心もとない。全国の相談窓口に寄せられる健康被害の相談は、この5年で倍増した。

 脱毛によるやけどのほか、美容クリニックで脂肪吸引の手術を受けた人が、傷口から出血が止まらなくなり、他の病院に運び込まれるケースも起きている。

 国の調査では、美容医療を手がける医療機関の2割以上がスタッフへの技術研修を怠っていた。施術のトラブルに対応するための研修もマニュアルもない医療機関は3割以上あった。

 外科や救急の医師は不足しているのに、若手医師が美容医療に流れることも問題になっている。十分な臨床経験を積まず、技術不足の人もいるのではないか。

 こうした状況を放置すれば、被害はますます増えるだろう。

 厚生労働省の有識者検討会は先月、報告書をまとめ、美容医療を行う医療機関に対し、安全管理の状況を年に1回報告させる仕組みの導入を提案した。

 具体的には、専門医の配置状況や、合併症や後遺症などが起きた場合に患者が相談できる連絡先などを報告させる。行政がその情報を公表することも求めた。

 美容医療は、全額を自己負担する自由診療だ。国が効果や安全性を審査して認めた保険診療と違って、行政の管理が行き届かない面がある。そのためトラブルが起きても顕在化しにくい。

 美容医療を行う医療機関の人員体制や安全対策などを、行政が把握できるようにすることが欠かせない。医療機関に報告義務を課すのは重要な検討課題と言える。

 中には、医療資格がない従業員が診察や施術をしているところもあるという。法令違反の疑いを把握した場合、保健所は立ち入り検査し、しっかり指導すべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.18】:美容医療 安全確保策の構築急務

2024-12-18 04:03:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説①・12.18】:美容医療 安全確保策の構築急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.18】:美容医療 安全確保策の構築急務 

 美容医療を巡るトラブルが増えている。自由診療のため公的な監督の目が届きにくいことが背景にある。高額な契約を結ばされ、施術後に顔面まひを発症するなど深刻な例も相次ぐ。
 
 こうした事態を受けて、厚生労働省が設置した専門家の検討会は、美容医療が安全に提供されるための対応策をまとめた。医療機関が安全管理の実施状況などを年1回、都道府県に報告することなどを盛り込んだ。
 
 医療機関の問題点は多岐にわたり、安全最優先の体制の構築が急がれる。患者も医師にリスクを含めて十分な説明を求めることなどを心掛けてほしい。
 美容医療は近年、顔のしわを目立たなくするヒアルロン酸注射や太ももの脂肪吸引など治療の幅が拡大し、心理的ハードルも下がり需要が高まった。美容外科の診療所は昨年2千を超えて3年間で4割増となった。同時にトラブルの相談も増えた。
 検討会の調査では、医療機関の5割強が施術を行う医師について専門の資格などの要件を設けていなかった。患者に誰から施術を受けたか聞くと、医師のほか「受付スタッフ」や「分からない」などの回答もあった。
 診療内容や体制、費用がチェックされる保険診療と違い、自由診療は医療機関が料金を設定でき、収益を上げやすい。
 ただ、傷病を治療する一般の医療と同様、美容医療にも合併症や後遺症のリスクがある。医療機関が経営を優先し、患者を軽視するような土壌があるのなら変えていく必要がある。
 検討会は医師法違反などが疑われる医療機関への保健所の検査が可能か、法的根拠を含め明確にすることも求めた。厚労省は対策を進める方針だ。実効性の高い内容にしてもらいたい。
 医療機関側の自助努力も求められる。
 検討会は関係する学会に、標準的な治療内容や問題発生時の対応などの指針の策定を求めた。美容医療は患者が前向きな人生を歩む契機にもなり得る。その価値を確かなものにするためにも、患者に寄り添う姿勢を忘れてはなるまい。
 近年、臨床研修を終えた若手医師が直後に美容クリニックで働く「直美(ちょくび)」の増加が目立つ。
 
 大学病院より残業が少なく負担が軽い上、高収入が望めることが背景にある。厚労省の調査では産科や小児科などの診療所は減っており、特定の診療科の医師が不足する「偏在」に拍車をかけているとも指摘される。
 
 若手にも選ばれるよう、医師不足が深刻な診療科での働き方改革や待遇改善も欠かせない。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月18日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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《松尾貴史のちょっと違和感・12.15》:肺塞栓症の手術 眠れず身動きできぬ3時間

2024-12-17 02:03:10 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

《松尾貴史のちょっと違和感・12.15》:肺塞栓症の手術 眠れず身動きできぬ3時間

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《松尾貴史のちょっと違和感・12.15》:肺塞栓症の手術 眠れず身動きできぬ3時間

 ここ数年、いわゆる肺塞栓(そくせん)症とつきあっている。心臓と肺の間で酸素のやり取りに滞りがあり、今月3日、症状を改善させるための2回目のカテーテル手術を受けた。前回は8月初頭、同じ日数入院をして右半身の血管を処置していただき、今回は左半身の病変を主に改善してもらった。

 
<picture>松尾貴史さん作</picture>
松尾貴史さん作

 鼠径(そけい)部あたりの血管から管を入れて造影剤を注入、複数の執刀医が映像を見ながら、特殊な材質でできた細いチンアナゴのような先端をスルスルと血管の中に滑り込ませる。血栓ができて狭くなっている部分を「バルーン」と呼ばれるものを使って広げていく。おそらく前回同様、数十カ所を広げてくださったのだろう。

 手術は3時間ほどだった。最初に管を差し込む穴の周囲に部分麻酔を施してもらうだけで、意識はずっと覚醒していた。しかし身動きができない状態での3時間は思いのほか長く感じた。眠ればいいのだが、血管を広げるたび、「息を吸って……、はい止めて。(間、そしてピピピピという電子音)はい、楽になさってくださーい」が数十回あるので、眠る暇はない。医師たちの「何ミリですかね」「これはダメだね」「〇〇番いきましょう」… 

 ■この記事は有料記事です。残り1062文字(全文1548文字)
 
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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【松尾貴史のちょっと違和感】  2024年12月15日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【独自】:高額療養費、月8千円引き上げへ 平均年収、負担上限10%増

2024-12-16 16:33:30 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【独自】:高額療養費、月8千円引き上げへ 平均年収、負担上限10%増

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【独自】:高額療養費、月8千円引き上げへ 平均年収、負担上限10%増

 厚生労働省は、医療費の支払いを一定に抑える「高額療養費制度」で、平均的な年収区分としている約370万~770万円の場合、自己負担の上限月額を約8千円引き上げ、約8万8千円とする方向で調整に入った。上げ幅は10%。関係者が16日、明らかにした。与党と協議し、月内に決定する。

 医療費が膨らむ中、患者の支払いを増やして医療保険からの給付を抑え、主に現役世代が担う保険料負担を軽減する狙い。上げ幅は住民税非課税の場合2・7%、収入が高い区分は最大15%とする。
 
 70歳以上で年収約370万円を下回る人が外来受診すると、自己負担額がさらに低くなる「特例」の上限額は月2千円引き上げる方針。(共同通信)
 
 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・厚労省・医療費の支払いを一定に抑える「高額療養費制度」】  2024年12月16日  16:33:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説・12.15】:災害直後の医療/「支援困難」前提で議論を

2024-12-15 06:00:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・12.15】:災害直後の医療/「支援困難」前提で議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.15】:災害直後の医療/「支援困難」前提で議論を

 阪神・淡路大震災では家屋倒壊などで6434人が命を落とした。その反省から耐震補強や家具の固定などの対策は一定、進んだが、混乱を極めた医療体制の検証は十分とはいえない。2000年に神戸市が教訓などをまとめた「阪神・淡路大震災神戸復興誌」は千ページを超える大部だが、「医療の供給体制」を扱った節はわずか10ページと全体の約1%にとどまる。

 けが人は4万人を超すが、同復興誌によると震災当日の救急搬送は市内で205人に過ぎない。電話の不通や道路事情も影響しただろう。災害直後に地域の医療機関をきちんと機能させるための体制をどう築くか、議論が必要だ。

 神戸市によると、同市の災害時医療体制は災害拠点病院を筆頭に、災害対応病院、各区救護所-と3層構造となっている。市は本年度、災害対応病院をようやく全区で指定した。

 各病院への人的支援は災害派遣医療チーム(DMAT)が担う。だが兵庫県災害医療センターの中山伸一元センター長は「南海トラフ地震直後は、外部からの人的支援を期待するのは難しい」と話す。甚大な被害が想定される太平洋岸に多く派遣される可能性が高いからだ。元日の能登半島地震のように交通網が寸断されれば、被災地は「陸の孤島」と化し、いっそう支援を受けにくくなる。

 神戸市立医療センター中央市民病院の木原康樹院長は、新型コロナウイルス禍の経験も踏まえ「災害で急増する患者に対応するには、平時には無駄に見えるような備えが必要」と説く。だが現在の医療制度では診察や治療の後に診療報酬が支払われるため、一般病院が有事を想定しスタッフや設備を多めに抱え続けるのは現実的でない。

 本紙連載「焼け跡のドクター」では、発災後から入院患者の避難と被災者の救命で混乱する民間病院の奮闘をたどった。火災で全員避難を強いられた経験から、災害時に病院を継続使用できるかが重要と院長は話す。 

 石破政権は防災庁の設置などを掲げるが、災害医療については踏み込んだ考えを示していない。30年前の震災で医師らが身を削って奔走した経験を、国全体で直視せねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・12.12】:救急車一部有料化 不適切な利用に歯止めを

2024-12-12 05:03:50 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【主張①・12.12】:救急車一部有料化 不適切な利用に歯止めを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.12】:救急車一部有料化 不適切な利用に歯止めを 

 救急車で搬送された人の緊急性が認められなかった場合、病院側が利用者に費用負担を求める運用を茨城県などが始めた。

救急車の需要逼迫は、人命に関わる深刻な問題だ

 救急車が有料の国もあるが、日本では無料で運用されてきた。一部のケースで負担を求める試みは、症状が軽く救急車に乗らずに来院できる人の利用を抑制し、重症患者の救急搬送を妨げないようにするのが狙いである。

 同様の取り組みは、三重県松阪市の3病院で6月に始まった。茨城県や松阪市の試みの行方を見守り、各地に広げることを検討したい。

 県や市町村はまず、症状が深刻なら救急要請を躊躇(ちゅうちょ)してはいけない点を住民に伝えてほしい。迷う場合には電話相談できる窓口が設置されていることも周知する必要がある。

 4月からは医師の時間外労働の規制が始まり、救急医療現場の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。救急を含む地域医療は、地域住民の理解と協力なしには維持できない時代である。

 茨城県で費用徴収を始めたのは200床以上の22病院だ。軽い切り傷や風邪症状など、搬送先で緊急医療の必要性が認められない場合は、病院により1万3200~1100円を支払う。各病院が紹介状のない患者に支払いを求めている「選定療養費」の制度を活用したもので、救急車を運用する消防にお金が入るわけではない。

 119番通報による全国の救急搬送は令和5年で約764万件で、うち半数が軽症者だった。救急車が現場に到着するまでの時間も、利用者を病院に収容するまでの時間も年々延びており、救急医らの間には「このままでは救える命が救えなくなる」との危機感がある。

 救急の患者からは選定療養費を徴収できない決まりだが、厚生労働省は軽症者を除外できるとの判断を示している。

 緊急性のない救急車利用の中には「交通手段がない」として、タクシー代わりに使うケースまであるという。不適切利用を抑制し、本当に必要な人の元へ救急車が駆け付けられるようにしたい。

 自治体と医師会の協力で夜間対応の診療所を設けるところも増えているが、その周知は進んでいるのか。病院への巡回バスの運行やオンライン診療の活用も有効だろう。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《憂楽帳・12.10》:献血を楽しむ

2024-12-10 13:12:30 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

《憂楽帳・12.10》:献血を楽しむ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・12.10》:献血を楽しむ

 自分の血液はまだ役に立つのか。還暦を迎えて気になるようになり、定期的に献血に通っている。職場がある静岡市葵区のビルに、たまたま「献血ルーム・あおば」が入居し利用した。

<picture>「献血ルーム・あおば」の入り口=静岡市葵区で2024年8月22日、小出禎樹撮影</picture>
「献血ルーム・あおば」の入り口=静岡市葵区で2024年8月22日、小出禎樹撮影

 血液型を告げると指先から採血され、ヘモグロビン濃度を測る。400ミリリットルの献血で、男性は1デシリットル当たり13グラム以上、女性は12・5グラム以上が必要で、私は14・8グラムでクリアした。毎回やや緊…

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 元稿:毎日新聞社 東京夕刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【憂楽帳】  2024年12月10日  13:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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