【東京地検】:日大の田中英寿理事長を逮捕 所得税5300万円脱税の疑いで特捜部
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東京地検】:日大の田中英寿理事長を逮捕 所得税5300万円脱税の疑いで特捜部
日本大学付属板橋病院を巡る背任事件で、逮捕、起訴された医療法人前理事長から受け取った現金などを申告せず、所得税約5300万円を脱税したとして、東京地検特捜部は29日、所得税法違反容疑で日大理事長の田中英寿容疑者(74)を逮捕した。国内最大規模の私立大で、学校運営トップが逮捕される異例の事態に発展した。
◆側近の背任罪捜査で1億円超発見
特捜部は10月以降、病院建て替え工事や医療機器の納入などを巡り、日大に計約4億2000万円の損害を負わせたとして、背任罪で田中容疑者の側近だった元理事の井ノ口忠男被告(64)と医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳被告(61)を逮捕、起訴していた。関係先として行った田中容疑者宅の家宅捜索で、1億円を超える現金が見つかった。
関係者によると、井ノ口、籔本両被告は田中容疑者に契約の謝礼などとして「6000万円を渡した」と供述。田中容疑者はこれらの金を税務申告していなかったとみられる。
逮捕容疑では、関係業者らから受け取ったリベート収入を除外するなどし、2018年と20年分の所得税計約5300万円を脱税したとされる。
◆「金は受け取っていない」と否認か
関係者によると、特捜部の調べに田中容疑者は「金は受け取っていない」として、脱税容疑を否認。これまでの複数回の任意の事情聴取にも「不正には関与しておらず、金は一切もらっていない」などと主張していた。
日大側はこれまでの取材に「田中理事長の自宅から1億数千万円が見つかった」と認める一方、「理事長の妻が経営するちゃんこ屋の利益や理事長の役員報酬などの個人的な財産で、税務申告は適切に行っていると聞いている」と説明していた。
田中容疑者は1969年に日大経済学部を卒業後、同大に勤務。理事などを経て2008年に理事長に就任した。日本相撲連盟副会長や日本オリンピック委員会(JOC)副会長なども歴任した。
◆「良識ある教職員は危機感」「入試への影響が不安」
田中容疑者の逮捕に、日大関係者からはあらためて体制の刷新を求める声のほか、大学入試への影響を懸念する声も上がった。
理事の1人は「ようやくの逮捕だが、肝心なのはこれからだ」とし、理事会のメンバーを一新した上で「不備を正す規約改正や理事の多様化、組織改編を進めていかなければ」と訴える。
ある職員は「これまで理事長や取り巻きへの忖度、情実人事が横行していた。今回変わらなければ生き残れないと、良識のある教職員は危機感を持っている」と説明する。
一方、大学入試シーズンを目前に控え「入試や志願者にどう影響するのか不安。アメフト部の悪質タックル問題の傷もまだ癒えない中、どうなるのか」と戸惑いを漏らした。
元理事は「田中容疑者は自ら辞任はしないのでは。今の執行部で早急に対応し、大学として態度を鮮明にして説明責任を果たすべきだ」と強調した。
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【疑惑・東京地検特捜部は、日大の田中英寿理事長(74)を所得税法違反容疑で逮捕】 2021年11月29日 22:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。