路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・03.03】:デジタル教科書/利点と課題 幅広く検証を

2025-03-03 06:00:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・03.03】:デジタル教科書/利点と課題 幅広く検証を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.03】:デジタル教科書/利点と課題 幅広く検証を 

 社会のデジタル化が進む中、学校の教科書も姿を変えそうだ。

 文部科学相の諮問機関である中央教育審議会の作業部会は、タブレット端末などで読むデジタル教科書を、現行の代替教材としての位置付けから、正式な教科書に「格上げ」する案をまとめた。次期学習指導要領が小学校で全面実施される見込みの2030年度から使用するのが望ましいとした。

 実現すれば、紙、デジタル、紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド」の3形式から、各教育委員会が選ぶ。教科ごとに使い分けることも想定している。小中高校のどの学年や教科でデジタル教科書を導入するかは、これから議論する。

 文科省はデジタルの利点と課題を幅広く検証し、子どもの発達段階を踏まえて教科書作成に反映させる必要がある。何より重要なのは、児童生徒が授業内容を理解し、学びを深めることだ。教育現場でデジタル教科書を効果的に使うための実効ある支援態勢が欠かせない。

 デジタル教科書には、文字の拡大や音声の読み上げ、動画の再生といった機能がある。ペンで線を引くことや、図表の切り貼りも可能だ。現在、紙の教科書と併用する代替教材として小学5年~中学3年の英語と算数・数学で導入されている。

 実践例も積み上がりつつある。例えば、英語のネーティブ・スピーカーが話す音声を聞かせるときに再生速度を調整したり、算数・数学で図形やグラフを自由に動かしながら考えさせたりしている。「一人一人に合った学習がしやすくなった」と効果を語る教員もいる。

 一方、子どもが授業と関係ない操作に集中してしまう、といったデメリットが報告されている。紙の教科書の方が一覧性に優れているとの意見は根強い。2010年代からデジタル化を進めてきたスウェーデンでは紙の教科書に戻る自治体が出てきている。課題の克服には海外の事例も参考になろう。

 兵庫県内の小中学校でデジタル教材を積極的に活用している教員たちからは、校内の通信環境の改善が欠かせないとの声が上がる。一度に多くの子どもが使うと端末が動かなくなるケースは少なくないという。国の支援によるハード面の整備に加え、教科書会社にはデータの軽量化といった工夫が求められる。

 正式な教科書になれば、検定や小中学校での無償配布の対象となる。外部のウェブサイトなどと接続が可能なデジタル教科書の検定については、範囲や方法を今後詰める。

 紙とデジタルの良さをうまく使い分けながら、教員は指導力に一層の磨きをかけてもらいたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.15】:デジタル教科書 紙との選択制は教育格差生む

2025-02-17 05:00:40 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・02.15】:デジタル教科書 紙との選択制は教育格差生む

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.15】:デジタル教科書 紙との選択制は教育格差生む

 教科書は紙とデジタルのどちらを使うのか。現在の紙中心をやめ、自治体に選択を委ねるのは義務教育の地方への丸投げに他ならない。国の責任放棄は容認できない。 

 文部科学省の中央教育審議会の作業部会が、現在は「代替教材」とされるデジタル教科書を、検定や無償配布の対象となる「正式な教科書」にすることを柱とする中間報告書をまとめた。

 2026年度までに制度を改正し、30年度からの使用を目指す。紙のみ、デジタルのみ、その両者を組み合わせたタイプを導入し、どれを使うかを自治体に選ばせる「選択制」を想定している。

 義務教育はこれまで、国が全国一律に一定水準の教育を受けられる環境を維持してきた。選択制の導入は、その大転換である。

 審議会の下部組織である一作業部会で決める問題ではない。政治の場を含め、義務教育はどうあるべきか、幅広く議論すべきだ。

 デジタルは動画や音声を活用できる利点があるが、深い思考や記憶の定着には紙の方が優れているという研究報告が相次いでいる。地域によって使う教科書のタイプが異なれば、学力の格差を始め、様々な混乱が生じかねない。

 デジタル先進国のスウェーデンは最近、紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に転換した。デジタルだけでは子供の集中力が続かず、考えが深まらないなどの弊害が確認されたためだ。

 問題のある政策に、日本が今から突き進むべきではない。

 文科省は、子供一人ひとりの学力や学習の進度、特性などに応じた「個別最適な学び」を充実させるには端末の活用が重要だ、としている。部会では「教員も変わらなければ」という意見も出た。

 しかし、学校現場には依然として、過度のデジタル化を懸念する声が根強い。教員への十分な研修もせずに、道具にすぎない端末に合わせて指導法を変えろと言うのであれば、本末転倒である。

 そもそも高校入試は大半が紙と鉛筆で行われる。大学入試では、50万人近い受験生の学力を一律に測るテストが実施され、生徒はそれに向けた勉強をしている。

 デジタルを使って個別最適な教育を目指す、という作業部会の目標は、こうした現実とかけ離れているのではないか。

 今後も補助教材としてデジタルの有用性を生かすことが先決だろう。理念先行で現場に浸透せず、学力低下を招いた「ゆとり教育」の教訓を忘れてはならない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.07】:高校無償化 大局的な視点で議論を

2025-02-11 16:00:20 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説②・02.07】:高校無償化 大局的な視点で議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.07】:高校無償化 大局的な視点で議論を 

 誰のため、何を目指し、どんな影響があるのか。継続する財源はあるのか。党利党略でなく、大局的な視点での議論を求めたい。

 高校の授業料無償化を巡る協議が、自民、公明両党と日本維新の会で続いている。

 所得制限のない高校授業料の無償化を看板政策に掲げる維新が、2025年度の予算案を賛成する条件として実現を求める。

 与党は段階的に実質無償化となる所得制限の撤廃案を提示したが、維新がこだわるのは私立高も含めた早期の「完全無償化」だ。子どもの希望や能力に応じ、進学先を選択できる機会が広がると主張する。物価高が続く中、家計の負担軽減にもつながるという。

 経済格差を埋める無償化は、国が一定進めてきた。公立高に子が通う年収910万円未満の世帯を対象とし、授業料に相当する年11万8800円を支援。私立高(全日制)も同額で、さらに年収590万円未満の世帯に39万6千円を上限に助成する。所得制限による対象外は3割弱という。

 完全無償化で新たに恩恵を受けるのは高所得者層であり、高額な私学授業料を賄う予算がかさむ。

 浮いた費用を塾代に回し、教育格差が拡大するとの懸念もある。私立の中には同族経営や企業の系列などもあり、一律に公費投入を増やすのが妥当なのか。

 維新の吉村洋文代表が知事を務める大阪府や、東京都が独自に始めた完全無償化は、その余波が広がっている。大阪では私立高を第1希望とする志願者が過去20年で初めて3割を超え、府立高の約半数が定員割れに陥った。東京でも都立高の志願者が減っている。

 同じ無償ならばと、特色ある教育や施設環境を整えた私立への希望者が増えたようだ。私立は大阪市や京都市など都市部に集中しており、地方から生徒が流出し、過疎に拍車をかける恐れがある。公立高の再編や中学受験の過熱にもつながりかねない。

 全国で完全無償化を実施するには年約6千億円が必要とされるが、恒久財源を確保する見通しも立っていない。

 今夏の参院選に向けた党の実績づくりで拙速に進めるようなら、将来に禍根を残すだろう。

 維新は立憲民主、国民民主の3党で公立小中学校の給食費を無償化する法案を出している。年5千億円近くを要する。限られた財源の中、子どもの貧困や格差の是正を目指すなら、まずこちらの実現を最優先にしてはどうか。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月07日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ

2025-02-04 05:00:20 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ 

 教員の処遇改善に向け、政府が通常国会に提出する教員給与特別措置法(給特法)改正案などの関連法案の概要が判明した。残業代の代わりに公立学校の教員の給与に上乗せして支給している「教職調整額」を段階的に基本給の10%まで引き上げる。一方で、教員の残業時間削減に向けた実施計画の策定と公表を教育委員会に義務づけることも盛り込んだ。

首相官邸
首相官邸

 政府は関連法案を2月上旬にも閣議決定する。改正案の概要は、基本給の4%を支給している教職調整額を2026年から毎年1%ずつ引き上げ、31年に10%へ増額することを明記した。学級担任への手当も加算する。教員の処遇を改善し、人材確保につなげる狙いがある。

 長時間労働を是正するため、教育委員会に対し、教員の業務を管理する「業務量管理・健康確保措置実施計画」の策定も義務づける。計画には、業務量や残業時間の削減のほか、教員の健康を確保する具体的な対応策を定める。計画は公表した上で、地方自治体の首長と教育委員会で構成する「総合教育会議」に実施状況を報告する。

 学校運営の円滑化を図るため、教員間の総合的な調整を行う「主務教諭」を新たな職位として創設する。中堅教員が対象で、若手教員への支援や学校内外の関係者との調整に当たる。

 教員の業務は、勤務時間内外の区別が難しいため、残業代は労働基準法の適用外となっている。現行の4%の規定は、給特法が規定された1971年当時の平均残業時間が月8時間程度だったことに基づいて算出された。

 文部科学省が2022年度に実施した勤務実態調査では、教員の平均残業時間は小学校で月41時間、中学校で月58時間に上っており、財務省と文科省が25年度予算案の編成過程で教職調整額の引き上げに向けた調整を行っていた。

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 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・教員の処遇改善に向け、政府が通常国会に提出する教員給与特別措置法(給特法)改正案などの関連法案の概要が判明】  2025年02月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.31】:教員の働き方 業務の効率化をいかに図るか

2025-01-31 05:00:55 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説②・01.31】:教員の働き方 業務の効率化をいかに図るか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.31】:教員の働き方 業務の効率化をいかに図るか

 教員の給与を上げても長時間労働が変わらない限り、なり手不足は解消されないだろう。業務の削減や簡素化を進め、教育現場を魅力ある職場に変えていかねばならない。

 公立小中高校の教員給与が来年度から引き上げられる。これまで「残業代」の代わりに基本給の4%を一律支給してきた教職調整額を段階的に引き上げ、2030年度までに10%とする予定だ。

 教職調整額は1972年施行の法律で4%と定められた。これは当時、月約8時間だった教員の平均残業時間に基づいている。

 だが現状は、中学校教員の77%、小学校教員の65%が、国の定める残業時間の上限「月45時間」を超えている。教員の採用倍率は今年度、小中高校ともに過去最低だった。長時間労働が要因の一つだと指摘されている。

 労働の実態に合わない給与の規定を改めるのは当然だ。だが、より重要なのは、教育現場で常態化している長時間労働をいかに緩和するかであろう。

 国は給与の引き上げにあたり、残業の平均時間を29年度までに現状より3割少ない「月30時間」まで減らす目標を掲げた。この達成に向け、実効性ある対策を展開していくことが重要だ。

 長時間の会議や煩雑な書類の作成などは、現場の運用で削減できるはずだ。校長のリーダーシップが求められる。保護者対応に経験豊富な教員OBらを活用することなども有効だろう。

 神戸市は26年秋までに、市立中学での部活動を終了し、民間団体などを運営主体とした地域のクラブ活動に移行する方針だ。

 中学校教員にとって、部活動は特に負担が大きいとされる。地域や学校の実情を踏まえ、外部人材の登用などを進めていきたい。

 国は来年度、教職員の定数を5800人増やす。教科ごとに専門の教員が教える、小学5、6年生対象の「教科担任制」を4年生にまで広げることや、中学で生徒指導を担う教員を増やすためだ。

 教員の負担を減らすことで、子供と向き合ったり、教材の研究に充てたりする時間を確保し、質の高い教育につなげたい。

 社会の変化に伴い、学校で教えるべき内容が増えている。授業時間に対して、教える分量が多すぎるとの指摘もある。学習指導要領に詰め込みすぎがあるなら、国が見直すことも必要だろう。

 教員は子供の成長を支える大事な仕事である。それを教員が実感できる環境作りが大切だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大

2025-01-24 05:00:55 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大

 過度のデジタル化は教育に悪影響があるとしてIT先進国には教科書を紙に戻す動きがある。 

 日本でも学校現場の懸念は根強い。それにもかかわらず、国はなぜ今、デジタルへの傾斜を強めようとしているのか、理解に苦しむ。

 文部科学省は中央教育審議会の作業部会に、現在は「代替教材」とされるデジタル教科書を正式な教科書に位置づけることを盛り込んだ論点を示した。2026年度までに制度を改正し、30年度から使用することを目指している。

 デジタル教科書は現在、小5~中3の英語と算数・数学の一部に導入され、紙と併用されている。これを正式な教科書に変更すれば、紙とデジタルが教科書として併存することになり、いずれも無償給与や検定の対象となる。

 作業部会では、紙のみ、デジタルのみの教科書のほか、両者を組み合わせたタイプの導入も検討している。どれを使うかは教育委員会が選ぶ形を想定している。

 どれを選択するかで、子供の教育内容に差が生じかねない。全国一律で一定水準の教育を受けられる環境を維持してきた義務教育の大転換だと言えよう。

 学びの中核にある教科書の形式をどうするのかという判断を地方に丸投げするに等しく、国の責任放棄ではないのか。

 教科書のデジタル移行が進んだスウェーデンは一昨年、学習への悪影響があるとして、紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に 舵 かじ を切った。子供の成績が落ち、集中力が続かないといった傾向もみられたためだ。

 日本も同じ状況に陥らないか心配だ。スウェーデンの警鐘を重く受け止めなければならない。

 深い思考や記憶の定着には、デジタルより紙の方が優れているという研究報告が各国で相次いでいる。小中学校長を対象にした読売新聞の調査では、95%が紙との併用を望み、デジタルのみの利用に懸念を示す声が圧倒的だった。

 紙の教科書による授業に特段の支障がないのに、なぜ現場の声を無視して、効果がはっきりしないデジタルへの転換を急ぐのか。

 教科書は紙を基本とし、デジタルは動画や音声を活用できる特性を生かすという、これまで通りの代替教材にとどめるべきだ。

 コロナ禍でデジタル化の遅れが鮮明になり、国はそれを挽回したいのかもしれないが、強引に推し進めた保険証のデジタル移行は、国民の強い反発を招いた。同じ 轍 てつ を踏むべきではない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.19】:中学部活の見直し 地域移行、実情踏まえ柔軟に

2025-01-19 16:00:30 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・01.19:中学部活の見直し 地域移行、実情踏まえ柔軟に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.19】:中学部活の見直し 地域移行、実情踏まえ柔軟に

 教員の多忙化や少子化の中で、中学生の健全な成長に向け、クラブ活動をどう続けるのかが問われている。

 公立中学校の部活を地域の団体に委ねる「地域移行」を進める国の方針を受け、京都、滋賀でも具体化の動きが強まっている。

 京都市教育委員会は2028年度をめどに、地域指導者のもとで実施する「エリア制地域クラブ活動」と、文化芸術活動やレクリエーション的なスポーツを主に教職員が見守る「放課後活動」の2本立てに切り替える方針をまとめた。

 京滋の他自治体でも、休日の部活を中心に民間委託や複数校の合同練習などさまざまな試行が行われている。

 部活の地域移行は、教員の働き方改革の一環として、23年度から31年度にかけ段階的に進める方針である。

 京都市教委が市立中教員を対象に昨年実施したアンケートでは、約75%が部活動の指導を負担と感じていた。長時間労働が常態化している学校職場の環境改善や、少子化で部活の存続が厳しい地方実態などを踏まえれば、部活の見直しは必要だ。

 ただ、中学の部活は豊かな人間関係の構築や個性の伸長、健康づくりといった意義も大きい。こうした教育的効果を継承できるよう、国や自治体は、地域や保護者の十分な理解と協力を得なければならない。

 地域移行は当初、25年度を目標としていたが、受け皿不足など課題が多く、実質的に期間が延長された経緯がある。

 移行後の実施主体に想定されているのは、保護者や元教員らでつくる地域団体、総合型スポーツクラブ、芸術文化団体などである。京滋では既に、大学の運動クラブやバスケットボールのプロチームから指導者の派遣を受けている例もある。

 試行中の民間委託は、指導方針や練習内容を地域の指導者と学校の間で共有しながら進められているとみられるが、完全実施後も、学校や行政による活動への関与は一定残す必要があるのではないか。

 生徒や保護者からは教育的な側面が薄れたり、行き過ぎた指導が行われたりしないかといった不安が聞かれる。民間に丸投げするのでなく、生徒が安心して参加できるよう、活動の安全と質を担保する仕組みが欠かせない。

 原則保護者負担とされる指導費についても、各家庭の実情を踏まえた助成が要る。

 最大の課題は地域格差だろう。都市部以外では、教員に代わる指導者の確保が厳しいとの声が少なくない。指導者の育成や掘り起こしを進める一方、義務教育の機会均等の観点から、学校が運営主体となる選択肢も検討すべきだ。国や自治体の財政支援が求められよう。

 一律対応でなく、地域の実情に応じて柔軟に進めてほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月19日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.14】:教員の職場環境 着実な人手確保が必要

2025-01-14 04:05:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説②・01.14】: 教員の職場環境 着実な人手確保が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.14】:教員の職場環境 着実な人手確保が必要

 公立小中学校の教員の給与改善や負担軽減に関する政府の新たな方針が決まった。

 残業代の代わりに給与に一律で上乗せされる「教職調整額」を現行の基本給4%から段階的に引き上げ、2030年度に10%とする。中学校の1学級の上限人数は26年度以降、現行の40人から35人に順次引き下げる。
 
 文部科学省は当初、調整額について25年度からの13%増額を求めたが、財務省が残業の削減を条件づける独自案を掲げて対抗する異例の展開となった。
 決着はしたが、内容は依然不十分だ。職場環境の悪化は病気による欠員や志望者減少に直結し、さらに教員の負担が増す悪循環が続く。政府には教職員数の着実な確保と働き方改革の不断の取り組みが求められる。
 折衝では財務省が中学校35人学級を認めたことから、文科省が調整額で譲歩した。
 35人学級は小学校で先行し、25年度に完了する。これに続く形で中学校は26年度から中1で導入し、3年かけて進める。
 ただ道内を含む地方では少子化の影響などで既に35人以下の学校が多い。それでもいじめや不登校、デジタル化の対応などで業務は増え、30人学級を求める声も根強い。政府の方針に現場からは「負担軽減の恩恵は薄い」と不満の声が上がる。
 文科省は小学5、6年で導入済みの教科担任制を25年度から3年まで広げることも求めたが結局、4年までにとどまった。
 政府の25年度予算案では教職員定数が児童生徒の自然減に伴い約9千人減り、今回の増員分を加えても実質減となった。少子化を理由に教員を機械的に減らせば、増えた業務に対応できまい。政府は実態に即した教員の定数を考えねばならない。
 文科省の調査では、残業時間が月45時間を超えた教員は減少傾向にあるものの23年度は中学校で4割を占める。精神疾患で休職する教員は3年連続で過去最多を更新し7千人に達した。
 こうした事情は教職の不人気も招く。ベテランの大量退職で採用数が増えたことも追い打ちとなり、23年度の公立学校教職採用試験の倍率は小中高校とも過去最低だった。教育の質の低下も懸念される。
 
 働き方改革に向け両省は、保護者からの電話対応や部活動を外部に任せ、教育委員会ごとに業務管理計画を策定するなどして、5年間で平均残業時間を30時間程度にする目標を掲げた。
 
 現場の努力には限界がある。文科省は膨らみ続けた授業時間の精査など抜本的な見直しを責任を持って行う必要がある。 
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月14日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・01.13】:学習指導要領/教育現場にもっと余裕を

2025-01-13 06:00:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・01.13:学習指導要領/教育現場にもっと余裕を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.13】:学習指導要領/教育現場にもっと余裕を 

 2030年代の学校教育の在り方についての議論が始まった。画一的な授業から脱し、多様な個性や背景を持つ子どもたちの成長を促す取り組みを着実に進めてほしい。

 阿部俊子文部科学相は、小中高校で教える内容や教育目標の基準となる学習指導要領の改定を、有識者らでつくる中央教育審議会に諮問した。指導要領はほぼ10年ごとに見直されており、中教審は26年度中の答申を目指す。新しい指導要領に基づく授業は30年度以降、小学校から順次始まる見通しだ。

 諮問は「多様性を包摂する教育」を強調する。現在の指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の方向性を維持しながら、学校の裁量拡大による教育課程の柔軟化、デジタル時代に合わせた教育、教員の負担軽減-の検討を求めている。

 例えば教育課程の柔軟化では、1こまの授業時間を5分短縮して浮いた時間を個別学習や探究活動に振り向けたり、学年の枠を超えて過去につまずいた分野の授業を受けられたりすることなどを想定する。

 学校現場の自由度を高め、教員の創意工夫を後押しする狙いは妥当といえる。しかし、子どもの多様性に対応しつつ主体的な学びを進めるには、全体の学習内容や授業数を見直し、教員の配置拡充に踏み込むなどして、現場に余裕を持たせることが不可欠だ。

 指導要領は改定のたびに内容が膨らみ、「終わらせるだけで精いっぱい」との声が上がる。教員の持ちこま数を減らし、児童生徒に向き合う時間を増やすことが教育の質向上につながるとの指摘は多い。だが、学力低下の批判を恐れる文科省は、このたびの諮問で「(総授業数は)現在以上に増加させない」とするにとどめた。

 不登校の小中学生は、23年度に過去最多の34万人超となった。発達障害の可能性がある児童生徒や、外国にルーツを持つ子など、丁寧な支援が要るケースは増えている。そうした中で、文科省は生成人工知能(AI)の発達を踏まえ、情報モラルの育成なども現場に要請している。

 十分な対策を取らなければ、教員の負担は軽くならないばかりか、学力格差が広がることにもなりかねない。中教審には、疲弊する学校現場と問題意識を共有しながら、改善への道筋を探ってもらいたい。

 国際的な調査では、日本の子どもの学力は世界トップクラスだが、自己肯定感が低く、自律的に学習に取り組む意欲が乏しいとの結果が出ている。次代の「生きる力」を育むために、長期的な視野で教育の在り方を議論し、先進国でも低い教育への財政支出を増やす必要がある。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月13日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を

2025-01-11 02:01:40 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を

 神戸市教育委員会が市立中学校の部活動を2026年8月末で終了し、全面的に地域クラブに移行すると発表した。

 少子化や教員の負担増に対応するため、文部科学省が進めている部活動改革の一環だ。平日、休日を問わず、完全移行に踏み切る先行例として注目される。 

 市教委の審査を通ったスポーツ・文化芸術団体やNPO法人などが、クラブの運営に当たる仕組みだ。保護者らが新たに団体を発足させることも可能で、活動内容は市教委や学校に報告する。

神戸市の市立中学校での部活動は、2026年9月から地域クラブに全面移行する=神戸市灘区の市立烏帽子中学校のバスケットボール部で2023年1月26日、隈元悠太撮影

 16日からは「KOBE◆KATSU(コベカツ)」という専用のホームページで、活動を引き受ける団体の募集が始まる。届け出の際には、責任者や会計担当者、指導者ら1団体当たり3人以上の登録が必要となる。

 市教委によると、市内の生徒数は23年度で約3万4000人、部活動数は971部に及ぶ。これだけの生徒の活動を支えるには相当な数の人材が必要となる。

 地域クラブに移っても、多くの場合、引き続き学校施設を使えるが、指導や運営に携わる人をどれだけ確保できるかが課題だ。教員も兼業許可を得て指導に当たることができるものの、地域住民の協力が欠かせない。

 民間運営となるだけに、安全管理や指導者の質の担保は大切だ。家庭の費用負担が重くなることも予想される。経済事情で生徒が活動機会を奪われないよう、行政も支援しなければならない。

 部活動改革を巡っては各地で試行錯誤が続いている。神戸市のように積極的に推進するのは静岡市だ。全面移行を当初予定の30年8月から前倒しするという。一方、熊本市は受け皿となる団体の確保が見通せず、部活動を継続する。

 それぞれの地域の実情に応じた取り組みが必要だ。神戸市など先行例の知見を広く共有し、実現可能な方法を模索すべきだ。

 引き受け先がなく、子どもたちの行き場が失われるようなことがあってはならない。地域社会と学校が連携して活動を支える態勢作りが求められている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.08】:学習指導要領 学校裁量を増やすよう

2025-01-08 16:05:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説②・01.08:学習指導要領 学校裁量を増やすよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.08】:学習指導要領 学校裁量を増やすよう 

 学校現場が主体性や工夫を真に生かせられるよう、踏み込んだ議論を求めたい。

 小中高校で学ぶ内容や授業時間数を定める学習指導要領の改定を、阿部俊子文部科学相が中教審に諮問した。2026年度中に答申し、新しい指導要領に基づく授業は30年度以降となる。

 多様な子どもに対応できるよう、学校現場の裁量を広げ、教育課程の柔軟化の検討を求めた。1こまの授業時間を5分短縮して生じた余剰時間を、個別学習や探究的な学びに充てることなどを想定しているという。各年ごとで学ぶ内容区分を弾力化し、それぞれの理解度に応じた授業を受けられることも視野に入れる。

 画一的な教育から脱し、各学校の課題に即した対応を取れるかが問われる。

 日本の子どもは国際的に学力は高いものの、自律的に学ぶ意欲が低いと指摘される。不登校の小中学生が過去最多に上り、日本語指導が必要な子も増加、発達障害の可能性のある子も一定数いる。それぞれの主体的な学びを育む場が求められている。

 ただ、新たな枠にはめて裁量が限定的では困る。柔軟に余裕を生むには従来授業の見直しが欠かせない。学力低下への懸念もあるだろう。

 近年の要領改定を巡っては「ゆとり教育」での学力低下批判を受けて以降、教科書のページ数や年間標準授業数が増加してきた。前回は小学校高学年で英語が教科化。教員と子どもへの過度な負担が指摘されてきた。

 しかし諮問は、年間の授業数について、「現在以上に増加させない」との表現にとどまった。

 生成人工知能(AI)などに対応する情報モラルやメディアリテラシーの教育強化も新たに打ち出され、現場の重荷は増えるばかりだ。

 学習内容の精査や時間数の減少も、学校の事情に応じて柔軟であるべきではないか。最低基準としている学習指導要領の在り方も問われている。

 諮問では、教員の資質向上や人材確保策の検討も求めた。教員課程を取らなかった人が大学院で教員免許を取得できる仕組みなどを考える。

 月平均残業時間が国指針の上限45時間を超えた教諭は、中学校で4割超、過労死ラインの80時間超も8%いるなど、長時間労働が深刻となっている。

 教員の多すぎる業務の精査が必要だろう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月08日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経抄・01.05】:混迷の時代の教育は

2025-01-05 05:03:30 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【産経抄・01.05】:混迷の時代の教育は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・01.05】:混迷の時代の教育は 

 最近、子供の話題についていけない―。出版社の講談社が、書店などで「煩悩(ぼんのう)ブックフェア」と題したコーナーを設け、冒頭のような悩みに応じた本を紹介していた。足を止めた人もいるだろう。

生成AIを活用した授業=東京都江戸川区の都立小岩高

 ▼仏教の108の煩悩は除夜の鐘が払ってくれるが、こちらは身近なテーマで解決のヒントとなる本や漫画を挙げていた。悩み多い小欄はつい何冊も買い込んだが、寝正月で読み切れず。

 ▼同フェアでは「やる気だけでは通用しない年次になった」など仕事のほか、教育に関する悩みや迷いも目立った。子供たちがSNS(交流サイト)でつながるネット時代に学校の先生たちの悩みもつきないだろう。

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 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】  2025年01月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を

2024-12-29 06:10:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を 

 長時間労働や業務過多など、現場が抱える課題がひずみとなって表れたと捉えるべきだろう。教育環境の抜本的な改善を図らなければ問題は解決しない。

 全国の公立の小中高校と特別支援学校で、2023年度に精神疾患を理由に休職した教員が7千人を超え、3年連続で過去最多となったことが分かった。

 文部科学省によると、主な要因として「児童生徒への指導に関すること」「職場の対人関係」などが挙げられるという。

 休職者は若い年齢層に多い。年代別では30代が最多で、各年代の在職者数に占める割合では20代が最も高い。23年度に採用後1年未満で退職した教員は過去最多の788人に上った。3人に1人が精神疾患を理由としている。

 希望を胸に教職に就きながら、子どもの成長に立ち会うやりがいを見いだせないまま、心を病んで辞めていく。そうした現場で次代を担う子どもたちが学んでいる現状を、深く憂慮せざるを得ない。

 教員を取り巻く課題として、業務の多さとそれに伴う長時間労働、残業が反映されない給与の仕組みなどが指摘される。

 23年度の月平均残業時間で、特に中学校では国が定める上限45時間を超えた教員が4割を超えた。専門家には「地域や家庭が担うべき役割も引き受け、限界を迎えている」と危惧する声もある。働き方改革は急務である。

 政府は対策に乗り出し、26年度以降、公立中学校の1学級当たりの上限人数を、現在の40人から35人に順次引き下げることを決めた。小学校と同水準にし、教員の負担軽減を図る。

 今後5年間で平均残業時間を3割減らし、月30時間程度に抑える目標も掲げた。理不尽な苦情も寄せる保護者対応に、校長OBを当たらせることも検討する。

 教員に残業代の代わりに支給する「教職調整額」は、1972年に定めた「基本給の4%」を2025年度から段階的に引き上げ、30年度に10%へ増額する。

 課題の根底には教員のなり手不足がある。25日の中教審では、多様な人材を教職に呼び込むため、専門性を持つ社会人に特別免許を与える制度の検討も諮問された。

 県内では12月1日時点で公立校では70人の欠員が生じた。小学校教員の採用数は過去5年、いずれも募集人数を割り込んでいる。

 県教委は採用試験の柔軟化に踏み切り、大学3年生を対象に試験を早める特別選考を実施した。25年度採用に向けて今年11月に初の追加募集をしたほか、26年度採用では従来の7月に加え、5月にも採用試験を行う。

 国や地方自治体は現場の声を丁寧にくみ、着実に教員の処遇改善や確保策を進めてもらいたい。教育現場の危機的状況を共有し、社会で支える態勢も考えたい。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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《余録・12.28》:日本の学校給食は…

2024-12-29 02:03:30 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《余録・12.28》:日本の学校給食は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.28》:日本の学校給食は…

  日本の学校給食は、山形県鶴岡市が発祥の地とされる。1889(明治22)年、寺に作られた小学校に弁当を持参できない貧しい家庭の子どもたちのため、住職が寄付を募り食事を提供した。僧侶たちが托鉢(たくはつ)で資金集めに協力したこともあったという

学校給食発祥の地、山形県鶴岡市。防災給食として非常食を食べる試みも=同市の市立大山小で2024年9月9日午後0時23分、長南里香撮影

 ▲発足時から「無償」と深い関係があった学校給食を巡る動きだ。立憲民主党など野党3党は全国の公立小中学校の給食を来春から国費負担で無償化する法案を国会に提出した。実現には5000億円近い財源が必要とみられている

 ▲子育て支援の拡充や子どもの貧困対策が課題となる中、給食無償化は自治体が主導して広がってきた。国によると、昨年9月時点で全体の約3割にあたる547自治体がすでに小中校で完全無償化を実施している。子どもの多い世帯を対象にするなど条件つきの実施を含めれば、さらに増える

 ▲政府も是非を検討しているが、アレルギーなどで給食を利用できない子どもとの不公平や、費用を抑えようと質が低下することを懸念する見方もある。少数与党政権に野党はさまざまな施策を要求しているだけに、優先順位が問われよう

 ▲学校給食を巡っては戦後の食糧難時代、日本を支援する国際NGOからの「ララ物資」が再開を後押ししたといういきさつがある。海外に移住した日系人らが支援の中心だった

 ▲共助に支えられた経験も持つ給食への公助をどう考えるか。憲法は「義務教育は、これを無償とする」と定めている。その意味を改めて考える時であろう。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2024年12月28日  02:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ

2024-12-27 09:31:55 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ 

 学校現場は余力を失って疲弊し、閉塞(へいそく)感を強めている。裁量をわずかに広げるだけでは足りない。上意下達の縛りを根本から見直すことが不可欠だ。

 小中学校、高校の学習指導要領である。2030年度以降の導入に向けた改定を、阿部俊子・文部科学相が中央教育審議会に諮問した。学校現場の裁量を拡大し、教育課程を柔軟に編成できる仕組みの検討を求めている。

 授業1こまの時間を5分短くして、空いた時間を個別の学習や教科を横断した学びに振り向ける、といったことを想定しているという。また、各学年で学ぶ内容の区分を弾力化し、子どもが理解度に応じて授業を受けられるようにすることも挙げた。

 不登校の小中学生が35万人近くに上り、過去最多を更新し続けているほか、日本語の指導が必要な外国籍の子も増えている。学校教育の課題として文科省は第一に、学ぶ意義を見いだせず、主体的に学びに向かうことができない子どもが多いことを指摘した。

 子どもたちの実態に向き合って教育のあり方を見直していくことは何より重要だ。であればこそ、学校現場がその主体でなければならない。中央で決めた範囲に裁量を限定すれば、現場の自主性をむしろ不必要に制約する。

 学習指導要領は、学校教育の最低限の基準を大枠で示すものだ。法的拘束力を持つことを最高裁は判決で認めているが、あくまで大綱的な基準としてである。

 にもかかわらず、絶対的な基準のように現場を縛り、学校教育を窮屈にしてきた。そのことにあらためて目を向け、実際に教育を担うのは教員と学校であることを根幹に据えて、指導要領の位置づけを明確にし直すべきだ。

 2000年代以降、指導要領が改定されるたびに、教える内容は増えてきた。教員の多忙さに拍車がかかり、創意工夫を生む余裕が失われている。現行の要領が掲げる「子どもの主体的な学び」も、型通りに対話や討論を取り入れるだけになりがちだ。

 学校に余裕を生まなければ、教育の充実はおぼつかない。中教審は、現場の実情を踏まえ、指導要領で示す学習内容や年間の総授業時間を減らすことに踏み込んで議論する必要がある。

 学校は文科省の下部組織ではない。政府の役割は、学校の自主性を最大限確保して、その取り組みを下支えすることにある。学校現場から声を上げ、地域が後押ししていくことが欠かせない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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