路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を

2024-12-29 06:10:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を 

 長時間労働や業務過多など、現場が抱える課題がひずみとなって表れたと捉えるべきだろう。教育環境の抜本的な改善を図らなければ問題は解決しない。

 全国の公立の小中高校と特別支援学校で、2023年度に精神疾患を理由に休職した教員が7千人を超え、3年連続で過去最多となったことが分かった。

 文部科学省によると、主な要因として「児童生徒への指導に関すること」「職場の対人関係」などが挙げられるという。

 休職者は若い年齢層に多い。年代別では30代が最多で、各年代の在職者数に占める割合では20代が最も高い。23年度に採用後1年未満で退職した教員は過去最多の788人に上った。3人に1人が精神疾患を理由としている。

 希望を胸に教職に就きながら、子どもの成長に立ち会うやりがいを見いだせないまま、心を病んで辞めていく。そうした現場で次代を担う子どもたちが学んでいる現状を、深く憂慮せざるを得ない。

 教員を取り巻く課題として、業務の多さとそれに伴う長時間労働、残業が反映されない給与の仕組みなどが指摘される。

 23年度の月平均残業時間で、特に中学校では国が定める上限45時間を超えた教員が4割を超えた。専門家には「地域や家庭が担うべき役割も引き受け、限界を迎えている」と危惧する声もある。働き方改革は急務である。

 政府は対策に乗り出し、26年度以降、公立中学校の1学級当たりの上限人数を、現在の40人から35人に順次引き下げることを決めた。小学校と同水準にし、教員の負担軽減を図る。

 今後5年間で平均残業時間を3割減らし、月30時間程度に抑える目標も掲げた。理不尽な苦情も寄せる保護者対応に、校長OBを当たらせることも検討する。

 教員に残業代の代わりに支給する「教職調整額」は、1972年に定めた「基本給の4%」を2025年度から段階的に引き上げ、30年度に10%へ増額する。

 課題の根底には教員のなり手不足がある。25日の中教審では、多様な人材を教職に呼び込むため、専門性を持つ社会人に特別免許を与える制度の検討も諮問された。

 県内では12月1日時点で公立校では70人の欠員が生じた。小学校教員の採用数は過去5年、いずれも募集人数を割り込んでいる。

 県教委は採用試験の柔軟化に踏み切り、大学3年生を対象に試験を早める特別選考を実施した。25年度採用に向けて今年11月に初の追加募集をしたほか、26年度採用では従来の7月に加え、5月にも採用試験を行う。

 国や地方自治体は現場の声を丁寧にくみ、着実に教員の処遇改善や確保策を進めてもらいたい。教育現場の危機的状況を共有し、社会で支える態勢も考えたい。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  06:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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《余録・12.28》:日本の学校給食は…

2024-12-29 02:03:30 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《余録・12.28》:日本の学校給食は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.28》:日本の学校給食は…

  日本の学校給食は、山形県鶴岡市が発祥の地とされる。1889(明治22)年、寺に作られた小学校に弁当を持参できない貧しい家庭の子どもたちのため、住職が寄付を募り食事を提供した。僧侶たちが托鉢(たくはつ)で資金集めに協力したこともあったという

学校給食発祥の地、山形県鶴岡市。防災給食として非常食を食べる試みも=同市の市立大山小で2024年9月9日午後0時23分、長南里香撮影

 ▲発足時から「無償」と深い関係があった学校給食を巡る動きだ。立憲民主党など野党3党は全国の公立小中学校の給食を来春から国費負担で無償化する法案を国会に提出した。実現には5000億円近い財源が必要とみられている

 ▲子育て支援の拡充や子どもの貧困対策が課題となる中、給食無償化は自治体が主導して広がってきた。国によると、昨年9月時点で全体の約3割にあたる547自治体がすでに小中校で完全無償化を実施している。子どもの多い世帯を対象にするなど条件つきの実施を含めれば、さらに増える

 ▲政府も是非を検討しているが、アレルギーなどで給食を利用できない子どもとの不公平や、費用を抑えようと質が低下することを懸念する見方もある。少数与党政権に野党はさまざまな施策を要求しているだけに、優先順位が問われよう

 ▲学校給食を巡っては戦後の食糧難時代、日本を支援する国際NGOからの「ララ物資」が再開を後押ししたといういきさつがある。海外に移住した日系人らが支援の中心だった

 ▲共助に支えられた経験も持つ給食への公助をどう考えるか。憲法は「義務教育は、これを無償とする」と定めている。その意味を改めて考える時であろう。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2024年12月28日  02:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ

2024-12-27 09:31:55 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ 

 学校現場は余力を失って疲弊し、閉塞(へいそく)感を強めている。裁量をわずかに広げるだけでは足りない。上意下達の縛りを根本から見直すことが不可欠だ。

 小中学校、高校の学習指導要領である。2030年度以降の導入に向けた改定を、阿部俊子・文部科学相が中央教育審議会に諮問した。学校現場の裁量を拡大し、教育課程を柔軟に編成できる仕組みの検討を求めている。

 授業1こまの時間を5分短くして、空いた時間を個別の学習や教科を横断した学びに振り向ける、といったことを想定しているという。また、各学年で学ぶ内容の区分を弾力化し、子どもが理解度に応じて授業を受けられるようにすることも挙げた。

 不登校の小中学生が35万人近くに上り、過去最多を更新し続けているほか、日本語の指導が必要な外国籍の子も増えている。学校教育の課題として文科省は第一に、学ぶ意義を見いだせず、主体的に学びに向かうことができない子どもが多いことを指摘した。

 子どもたちの実態に向き合って教育のあり方を見直していくことは何より重要だ。であればこそ、学校現場がその主体でなければならない。中央で決めた範囲に裁量を限定すれば、現場の自主性をむしろ不必要に制約する。

 学習指導要領は、学校教育の最低限の基準を大枠で示すものだ。法的拘束力を持つことを最高裁は判決で認めているが、あくまで大綱的な基準としてである。

 にもかかわらず、絶対的な基準のように現場を縛り、学校教育を窮屈にしてきた。そのことにあらためて目を向け、実際に教育を担うのは教員と学校であることを根幹に据えて、指導要領の位置づけを明確にし直すべきだ。

 2000年代以降、指導要領が改定されるたびに、教える内容は増えてきた。教員の多忙さに拍車がかかり、創意工夫を生む余裕が失われている。現行の要領が掲げる「子どもの主体的な学び」も、型通りに対話や討論を取り入れるだけになりがちだ。

 学校に余裕を生まなければ、教育の充実はおぼつかない。中教審は、現場の実情を踏まえ、指導要領で示す学習内容や年間の総授業時間を減らすことに踏み込んで議論する必要がある。

 学校は文科省の下部組織ではない。政府の役割は、学校の自主性を最大限確保して、その取り組みを下支えすることにある。学校現場から声を上げ、地域が後押ししていくことが欠かせない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・12.25》:教員の処遇改善 「調整額」頼みの見直しを

2024-12-27 09:31:20 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《社説②・12.25》:教員の処遇改善 「調整額」頼みの見直しを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.25》:教員の処遇改善 「調整額」頼みの見直しを 

 残業代を出す代わりに公立学校の教員給与に一律で上乗せ支給している「教職調整額」について、政府が来年度から、基本給の4%としている現在の水準を段階的に引き上げ、2030年度に10%にすると決めた。

 “ブラック職場”と揶揄(やゆ)する声もある教職の魅力向上と担い手確保に向け、中教審が「10%以上」への引き上げを答申し、文部科学省と財務省とが調整していた。

 それでも実際の残業代に見合う水準にはほど遠い。来年度予算案を審議する国会で制度の是非を含めた議論が求められる。

 今の教職調整額が定められたのは半世紀も前である。

 教員の仕事は自発性に委ねられる面が大きく、勤務時間を把握しにくい「特殊性」があるとして、月8時間ほどだった当時の残業時間を基に一律4%という数字が決められた。以来、一度も改められてこなかった。

 改善傾向にあるとはいえ、残業が国が上限とする月45時間を上回る教員は22年の調査で、小学校で6割、中学校で7割を超える。時代に応じた見直しは当然だ。

 考えねばならないのは、この制度が教員の過重な負担を放置してきた側面である。残業代を支払わないため、時間外労働に歯止めがかかりにくくなる。

 情報通信技術といった新分野の指導、不登校や発達障害への対応などと業務は増えてきた。教材研究、授業準備に時間をかけようと思えば定時で収めるのは難しい。そこからはみ出た努力に社会は甘えてきたと言える。

 小学校での教科担任制の拡充、部活動の地域移行、スクールカウンセラーの増員など国も負担の軽減を進めている。中学校も26年度以降、1学級の人数を40人から35人へ順次引き下げることが決まった。今後5年間で残業時間を月30時間程度にする目標も掲げる。

 一方で精神疾患で休職する教員が過去最多を更新し、講師の確保もままならずに欠員が増えている。お金にまつわる処遇面をいじるだけでは根本的な解決にならないのは明らかだ。

 多様化する教育ニーズをこの先も学校が引き受けるのだとすれば、不要不急の業務の見直しとともに、より大胆に教員を増やすことが不可欠になる。

 子どもの成長にしっかり向き合いたいというのが、真面目に取り組む多くの教員の思いだろう。それに応えるための財源を確保するよう、社会全体で声を上げていく必要がある。 

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:学習指導要領改定 負担減図り多様な学びを

2024-12-27 04:00:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・12.27】:学習指導要領改定 負担減図り多様な学びを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:学習指導要領改定 負担減図り多様な学びを 

 多様な子どもに対応しつつ、教員の負担解消への目配せが必要だ。阿部俊子文部科学相が小中高校で学ぶ内容や授業数を定める学習指導要領の改定を中教審に諮問した。

 1こまの授業時間を5分短縮し、余剰時間を個別学習に充てることなどを想定している。学ぶ意義を見いだせない子どもや不登校の増加などを踏まえ、画一的な教育から脱した「多様性を包摂する教育の実現」を目指す。学校現場の裁量を拡大し、教育課程の柔軟化を図る狙いがある。

 教育現場の負担に配慮し、年間の総授業数は「現状以上に増加させない」とした。教員の負担軽減を図りながら新たな学習指導要領を実施することが求められる。

 中教審は2026年度中に改定内容を答申する方針で議論を進める。次期指導要領の全面実施は、小学校が30年度、中学校が31年度、高校は32年度以降になる見通しだ。

 学ぶ意義を見いだせない児童・生徒への対応が必要なのは間違いない。各学校にはそれぞれの特色があり、カリキュラムの編成で学校の裁量が増えれば、子どもが興味を示す分野から学習範囲を広げることもできる。

 「小学校45分」「中学校50分」と規定されている1こまの授業時間を5分短縮し、浮いた時間を個別学習や探究的な学びに振り向ける。具体的な内容は各学校に委ねられるが、子ども自身が学びたいことを深掘りすることで、一つの分野から興味の範囲が広がることも期待できよう。

 今回の指導要領改定の背景にあるのは、不登校など学校現場が抱える危機感である。

 23年度の県内の小中高校の不登校者数は前年度比1387人増の8240人で、小中は過去最多。小学校の千人当たりの不登校者数は32.7人で、全国平均の21.4人を大きく上回りワーストだった。

 不登校の原因はさまざまだが、「勉強についていけない」というのも理由の一つに挙げられる。学校には授業の内容が簡単すぎるという子も、つまづく生徒もいる。習熟度に合わせた丁寧な指導で学ぶ意欲を引き出すことができれば、学校に来る楽しみをつくり出せるかもしれない。

 多様な子どもたちへの配慮はもちろん重要だが、教員への負担の解消にも配慮しなければならない。

 県高校障害児学校教職員組合(高教組)が実施したアンケートで、「長時間勤務の改善」が進んでいないとした回答が53.8%に上った。教員の負担軽減が課題となる中、諮問では年間の総授業数は「現在以上に増加させない」としたが、新制度導入で教員の負担が大幅に増えるなら働き方改革と逆行する。

 学習指導要領は将来ある子どもたちに最適な教育を提供するための羅針盤だ。目指すべき教育の在り方を明確にして議論を進めると同時に、常態化する教員の長時間労働も改善を図るべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌・12.26】:学校とは何か

2024-12-27 04:00:20 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【金口木舌・12.26】:学校とは何か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.26】:学校とは何か 

 学校が楽しいと感じる子がいれば、つまらない子もいる。先生も同じ。教育に懸けた志がついえてしまう人もいる。つまらないとこぼす人が先生にもいた

 ▼年末の学校に関する記事に考えさせられた。2023年度に全国の小中学校で不登校の子どもは約34万人。一方で高校などを含め約7千人の教員が休職という。子どもも先生も足が遠のく学校とは何か

 ▼県内の小中高校の不登校は8千人超。休職した先生も250人超で増加傾向だ。児童生徒はいじめなどを恐れ、嫌々通学し、先生は多忙極まる職場に嫌気がさしつつ通勤する

 ▼「目の前にある社会システムに従うのは困難だ。だから私は下りる」。精神科医・斎藤環さんとの対談で作家の佐藤優さんが語っている。息苦しさに耐えかねて学校から遠のく人の胸の内には、そんな宣言もひそんでいよう

 ▼コロナ禍では通学せずともネットで教育がどこでも受けられた。通学の苦痛から救われた子もいる。「ここがダメでもあそこがある。家でも」。遠回りかもしれないが、無理やり教室に連れ戻すのではなく、別の選択肢を示すことも解決への一歩となるかもしれない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年12月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.26】:学校図書館 読書の楽しさが伝わる場所に

2024-12-26 05:00:40 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説②・12.26】:学校図書館 読書の楽しさが伝わる場所に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.26】:学校図書館 読書の楽しさが伝わる場所に

 学校の図書館は、子供たちに本の魅力や読書の意義を知ってもらう大事な場所だ。心に残る一冊と出会えるよう、機能を強化する必要がある。 

 学校図書館の本選びや読書指導を担うのは小中高校の司書教諭だが、その8割は図書館業務の時間を確保できていないという。

 図書館では、司書教諭の補助役になる「学校司書」と呼ばれる事務職員がいて、本の貸し出しや蔵書の管理といった実務を担当している。司書教諭は、これら学校司書と協力して学校図書館を運営することになっている。

 だが、司書教諭の多くは学級担任を兼ね、教科指導にも時間を取られる。そのため司書教諭としての仕事が十分にできていない。

 近年、教員の多忙感が指摘されているが、学校の図書館には、子供の「居場所」としての機能もある。司書教諭が学校図書館の重要性に目を向け、充実を図れるような校務の見直しが欠かせない。

 また、学校司書の配置や待遇にも問題がある。公立小中学校では、全体の4割が複数校を兼務している。しかも大半が非正規雇用で、雇い止めも珍しくない。

 一方で、意欲のある学校司書が本棚のレイアウトを工夫するなどし、生徒への貸出数を1年間で10倍に伸ばした高校もある。

 文部科学省は、1校に1人の学校司書の配置を目指している。学校図書館の機能強化に向けて待遇を改め、増員を図ってほしい。

 学校での読書活動に力を入れるかどうかは、自治体の長や校長の考え方によるところが大きい。子供の頃から本に親しみ、自分で考える力を身につけることの大切さをぜひ理解してほしい。

 国は自治体に図書の購入費を配分しているが、使途を特定しない交付金のため、他の政策に使われることも多い。2021年度に交付された220億円のうち、実際に図書の購入に使われたのは126億円にとどまった。

 新しい本の購入が進まず、古い本が廃棄されずに残っている学校も少なくない。

 本を使った探求的な学習の場として、学校図書館の重要性は増している。国は、使途を自治体に任せる現行の支給方式を改め、目的を限定した補助金に変更することも検討するべきではないか。

 鳥取県では県立図書館内に学校図書館を支援するセンターを開設し、司書教諭や学校司書の研修に取り組んでいる。学校図書館の効果的な活用には、地域の公共図書館との連携も求められよう。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《クローズアップ・12.26》:授業5分短縮検討 「余白」活用、期待と不安 多彩な学び/詰め込み疲弊

2024-12-26 02:00:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《クローズアップ・12.26》:授業5分短縮検討 「余白」活用、期待と不安 多彩な学び/詰め込み疲弊

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《クローズアップ・12.26》:授業5分短縮検討 「余白」活用、期待と不安 多彩な学び/詰め込み疲弊

 学習指導要領の改定が中央教育審議会(中教審)に諮問された。目玉となるのが、各教育委員会や学校が編成する教育課程の「柔軟化・弾力化」だ。授業時間の5分短縮が具体策で、導入した小学校では午前中に5コマを集中させる時間割が普通になる可能性もある。

海外出張中の阿部俊子文部科学相に代わり、学習指導要領の改定などの諮問文を中央教育審議会の荒瀬克己会長(左)に手渡した武部新副文科相=東京都千代田区で2024年12月25日午前10時20分、斎藤文太郎撮影

 海外出張中の阿部俊子文部科学相に代わり、学習指導要領の改定などの諮問文を中央教育審議会の荒瀬克己会長(左)に手渡した武部新副文科相=東京都千代田区で2024年12月25日午前10時20分、斎藤文太郎撮影

 先行して取り組む自治体はメリットを強調するが、45分での授業に慣れた現場の教員から不安の声も上がる。実際に短縮するかどうかは学校の裁量に委ねられることになるが、課題もありそうだ。

 文部科学省が参考にしているのが、東京都目黒区立小学校17校で2019年度から始まった試みだ。柔軟な教育課程の実現を目指し、1コマの5分短縮と「余白時間の活用」に取り組んできた。

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《クローズアップ・12.26》:授業5分短縮検討 東京学芸大 現職教員支援センター機構 大森直樹教授の話

2024-12-26 02:00:40 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《クローズアップ・12.26》:授業5分短縮検討 東京学芸大 現職教員支援センター機構 大森直樹教授の話

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《クローズアップ・12.26》:授業5分短縮検討 東京学芸大 現職教員支援センター機構 大森直樹教授の話

 ◆コマ数減、議論置き去り

 諮問の内容には残念なところが多い。年間の標準総授業時数(指導要領改定に合わせて省令で定められる年間の授業数の合計)を「現在よりも増やさない」としたのは良いが、学校現場の実態を踏まえれば、指導要領の内容や標準時数をどれだけ削るかという話を待ったなしで進めなければならない。しかし文科省は何も方向性を示さず、議論を中教審に丸投げした。

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 教員らへの調査では、現在の標準時数が子どもの生活に「合っていない」「やや合っていない」と答えた教員が多かった。週5日制の導入以降、年間の標準時数を1日あたりに換算したコマ数は増加傾向。それに伴い、子どもの負担も増えていると考えられる。

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【政府】:教員の「残業代」、30年度までに段階的引き上げ…基本給の4%から10%に

2024-12-21 05:00:10 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【政府】:教員の「残業代」、30年度までに段階的引き上げ…基本給の4%から10%に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:教員の「残業代」、30年度までに段階的引き上げ…基本給の4%から10%に 

 残業代の代わりとして公立学校の教員の給与に上乗せして支給する「教職調整額」について、政府は、2025年度から段階的に引き上げる方針を固めた。現在は基本給の4%を一律支給しているが、30年度までに10%まで引き上げる。25年度の引き上げ水準については、5%か6%のいずれかとする方向だ。

首相官邸
首相官邸

 25年度の予算編成では、教職調整額の引き上げを巡って財務省と文部科学省の調整が続いてきた。文部科学省は一度に13%へ引き上げるよう要求。一方、財務省は、教員の働き方改革の進展に応じ、段階的に10%まで引き上げることを主張してきた。

 両省の調整の結果、条件を設けずに段階的に引き上げて30年度までに10%とすることや、27年度に教員の働き方改革や財源確保の状況を確認することでまとまった。また、教員の長時間勤務の改善や中学校の35人学級化の実現のため、人員の拡充策を講じる方針も決めた。

 教職調整額は、1971年制定の教員給与特別措置法に基づく措置。4%という水準は、66年度に月8時間程度だった平均残業時間に基づいている。

 ■「政治」の最新ニュース

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 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・・財務省・文部科学省・残業代の代わりとして公立学校の教員の給与に上乗せして支給する「教職調整額」】  2024年12月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.13】:教員の処遇改善 負担の軽減が先決では

2024-12-16 07:24:40 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説②・12.13】:教員の処遇改善 負担の軽減が先決では

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.13】:教員の処遇改善 負担の軽減が先決では 

 公立学校教員のなり手不足を緩和するために、基本給に上乗せしている「教職調整額」を増額する処遇改善案を巡り、文部科学、財務両省間で調整が進んでいる。
 
 ただ、調整額の増額が過重労働の原因である残業を減らすために妥当なのか疑問は残る。処遇改善とともに、教員の配置を増やすなど残業を減らすための負担軽減策を講じることが不可欠だ。
 
 教職調整額は、残業代に代わり教員の基本給に4%を上乗せして支払われているが、1972年の給特法施行から変わっていない。
 このため文科省は、学びの多様化や保護者対応の増加など教員の多忙化を受けて、来年度予算の概算要求に、13%への引き上げを盛り込んだ。
 これに対し、財務省は調整額を引き上げる条件として、授業以外の業務を削減して残業時間を減らす▽長期休暇を取得しやすくする-などの改革実現を挙げた。
 改革が進展すれば、翌年度の調整額を増額し、進展しなければ増額を見送る内容で、調整額は5年間で基本給の最大10%に達し、時間外勤務時間も月20時間にまで減ると想定している。
 さらに10%に達した後は調整額制度自体を廃止し、労働基準法に基づいて残業代支払制度に移行することも検討する、という。
 授業だけでなく、部活動や保護者への対応、書類作成などで残業が減らない教員自身に労働の見直しを促し、残業代支払いも将来検討するという財務省の方針は、一見、妥当のようにも思える。
 しかし、改革実現を条件にした調整額の増額案は非現実的だと教育関係団体は強く批判している。
 増え続ける教員の負担自体を減らすための対策を講じなければ、残業時間を表向き減ったように見せかけるため、仕事を自宅に持ち帰る「隠れ残業」が増える可能性もある。教員の配置を増やして学級規模を小さくする定数の改善など、残業を減らす手だてを講じることがまず必要だ。
 
 日本の公立小学校はコロナ禍を機に35人学級の実現に向けた取り組みが始まり、2025年度までに全学年で実現する見込みとなったが、先進国の中では依然、学級の規模は大きい。
 
 政府内の議論にとどまらず教育現場の意見にも耳を傾け、教員の負担軽減と処遇改善に向けて、よりよい方策を検討すべきである。
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月13日  07:28:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.01】:教員の待遇/まず多忙に見合う改善を

2024-12-01 06:00:30 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・12.01】:教員の待遇/まず多忙に見合う改善を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.01】:教員の待遇/まず多忙に見合う改善を 

 教員のなり手不足が深刻だ。授業だけでなく、学校行事や保護者への対応など多忙を極める上に、それに見合う手当が支払われる仕組みになっていない。

 そんな「ブラック職場」のイメージを払拭し、教員不足解消につなげようと、文部科学省は、残業代に当たる「教職調整額」を現在の月給4%相当から3倍超の13%に増やす案をまとめ、2025年度当初予算の概算要求に関連費用を計上した。

 これに対し財務省が示した案は、授業以外の業務削減を進める条件で教職調整額を月給の4%から段階的に10%に増やし、順調に勤務時間が減れば実態に応じ残業代を支払う。勤務実態を明確にして、財源を削る狙いがある。

 ただ教員の仕事が直ちに大きく減らせるとは考えにくい。教員志望者を増やすためにも、まず待遇改善は欠かせない。

 教員給与は都道府県なども負担している。地方財政にも関わる問題だけに、必要な財源の確保に国は力を尽くすべきだ。

 教職調整額は、1972年施行の教員給与特別措置法(給特法)に基づく。公立校教員に残業代を支払わない代わりに、月額給与に4%相当を上乗せする。8時間分に相当するが、当時の残業時間が積算の根拠であり、現状にはそぐわない。

 文科省の2022年度調査では、月45時間の残業時間上限を超える教員は小学校で64・5%、中学校で77・0%に上る。精神疾患による休職も6千人を超え過去最多となった。取り巻く環境の厳しさがうかがえる。

 業務負担軽減のため、文科省は小学校の教科担任を2160人拡充し、中学校には不登校やいじめに対応する教員1380人を配置する案も示した。実現すれば、問題を抱える子どもを含め一人一人と向き合う余裕も生まれるだろう。

 一方で財務省が指摘するように実効性のある業務削減策も求められる。部活動の民間移管や保護者への対応の効率化をさらに進めることが重要だ。働き方改革を促し仕事と生活のバランスを保つ仕組みも必要になる。

 子どもの知性と豊かな心を育むことができる人材を確保するためにも、国は投資を惜しんではならない。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月01日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・11.27】:教育に新聞を/脳を使い考える力育てよう

2024-11-30 07:58:20 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・11.27】:教育に新聞を/脳を使い考える力育てよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.27】:教育に新聞を/脳を使い考える力育てよう 

 皆さんに少し考えていただきたい。文字、音声、映像の三つを、脳に入ってくる情報量の多さの順に並べると、どうなるだろう。

 言語脳科学が専門の酒井邦嘉東京大大学院教授によると、映像、音声、文字の順になる。ただ音声は聞き逃すと内容を理解する機会を失い、映像は一方的に大量の情報が流れ込み、意味の解釈などが二の次になってしまいがちだ。

 一方、文字は伝えられる内容に限りがある半面、人間の脳が情報の足りない分を想像力で補おうとする。想像力を働かせて行間を読み解くことで、書き手の意図を考える力などが育つ。酒井氏は、新聞の教育効果は高いという。

 福島民友新聞社主催の講演会で酒井氏が警鐘を鳴らしたのは、人工知能(AI)の台頭や、タブレット端末などを使ったデジタル教育の浸透だ。自ら考えることなくAIなどに頼れば想像力や文章力が失われ、学力が低下する。

 今月はNIE(Newspaper in Education=教育に新聞を)月間だ。デジタルの活用が進む時代だからこそ、学校と家庭は、子どもたちが新聞を読む機会をつくる必要がある。

 酒井氏によると、日本語に限らず文章には構造的な曖昧さがある。講演会で例示された「みにくいアヒルの子」の場合、アヒルの子がみにくい、あるいはみにくいアヒルが産んだ子どもーの二つの解釈が成り立つ。どちらも間違いではないが、後者ではアンデルセンの物語とは異なるものとなる。

 本来ならば文章を読み、間違ったら修正することを繰り返して解釈の仕方を覚えるのだが、活字離れが叫ばれて久しい。情報量が極端に少ない交流サイト(SNS)ではメッセージに込められた意図を十分読み解かぬまま、短絡的なやりとりが交わされるため、トラブルに陥りやすくなる。

 新聞には記事だけでなく、専門家の解説や小説などが掲載されている。子どもたちは、さまざまな文章に触れ、言葉の使い方や解釈の奥深さを学んでほしい。

 京都市で今夏開かれたNIE全国大会では、対話がキーワードの一つになった。パネル討論で京都教育大付桃山中の神崎友子教諭は「どんなにAIやロボットが発達しても、他者との共生が欠かせない。対話によって自分の考えが明確化され、問題を多角的に捉えられるようになる」と語った。

 自分の考えを話すことは、記憶力や思考力を駆使して文章を創る行為だ。子どもたちは、創造力を養うための出発点である疑問や課題を新聞から見つけてほしい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経抄・11.22】:英語力を問うより先に

2024-11-22 05:01:30 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【産経抄・11.22】:英語力を問うより先に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・11.22】:英語力を問うより先に 

 プロ野球巨人の黄金時代、優勝旅行でハワイに向かう機中の出来事だという。機内食はビーフかチキンか。客室乗務員が尋ねて回った。川上哲治監督は「ビーフ」と答え、王貞治選手が「Me too(私も)」と相づちを打つ。

 ▼あなたは? 長嶋茂雄選手は言ったそうである。「ミー、スリー」。放送作家の高田文夫さんが、小耳にはさんだ話として自著『ご笑納下さい』に書いている。英語の初心者をミスリードする会話には違いない。さりとて、楽しみながら英単語を覚えるには、格好の教材だろう。

 ▼日本の英語力が下がり続けていると聞く。新型コロナウイルス禍により海外との交流が減った、日本人が内向き志向になった―などと、理由はさまざまに語られている。英語教育の低年齢化が進んだことを思えば、どこか腑(ふ)に落ちない話ではある。

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 元稿:産経新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】  2024年11月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.18】:教員給与の増額 子ども本位を最優先に

2024-11-21 04:03:05 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・11.18】:教員給与の増額 子ども本位を最優先に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.18】:教員給与の増額 子ども本位を最優先に 

 公立学校教員の残業代の代わりに給与に上乗せされる「教職調整額」の増額を巡り、文部科学省と財務省が対立している。
 現行の月給4%から、文科省は一気に13%とする方針を示す。財務省は事務作業などの時間の削減を条件とした上で段階的に10%にする案を公表した。
 教員の長時間労働は深刻化する。解消に向け財務省は踏み込んだ形だが、人件費抑制の狙いが鮮明だ。文科省は必要な教育ができなくなると反発する。
 教育は未来の社会への投資でもある。両省は年末の来年度予算編成に向け協議を続けるが、教員の定数や働き方がどうあるべきかは財政面よりも、子ども本位の視点を最優先にして議論を深めることが重要だ。
 教員の仕事は自主的な教材研究を職務にするかなどの線引きが難しいとされる。残業代ではなく定額の教職調整額を支給する制度もこうした事情を受け、1972年施行の教員給与特別措置法に基づき整備された。
 月給4%の比率は当初から変わらない。今の労働実態と乖離(かいり)しており見直しは当然必要だ。
 文科省は「教師の裁量を尊重する仕組みで合理性がある」として制度を維持し、調整額の大幅増と教職員定数改善などを並行して進める考えだ。来年度予算の概算要求にも盛り込んだ。
 それでは働き方改革は進まないと財務省は主張する。教員増よりも業務削減を優先し、その進捗(しんちょく)状況を踏まえ10%に引き上げるとする。その後は調整額を廃止し、残業代を払う制度への移行を検討するという。
 確かに現行制度は残業の拡大を助長すると批判されてきた。
 児童生徒数は減っているが、学校業務は多様化・複雑化している。不登校やいじめの件数に加え、近年は日本語指導が必要な外国籍の子も増えるなど、教員の負担は重くなっている。
 職務の線引きが難しいケースは依然多く、人手を増やさずに業務を減らすのは困難だ。授業時間に影響すれば学びが脅かされる。教員や支援員の増員に向けた財政措置が欠かせない。
 文科省は働き方改革を着実に実施することも重要だ。終業から次の始業まで休息時間を明確にする「勤務間インターバル」を設け、教員のメンタルヘルス対策を充実させるなど多角的に展開してもらいたい。
 現学習指導要領は英語などが増え教育課程が過密化した。教員の負担増や、授業に追いつけぬ子が不登校になる問題も指摘される。教育の質を確保するため、授業数や内容が適切なのかについても検証を求めたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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