【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・教員の処遇改善に向け、政府が通常国会に提出する教員給与特別措置法(給特法)改正案などの関連法案の概要が判明】 2025年02月04日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:教員の「残業代」、基本給の10%まで引き上げ…長時間労働の是正へ計画策定も義務づけ
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・教員の処遇改善に向け、政府が通常国会に提出する教員給与特別措置法(給特法)改正案などの関連法案の概要が判明】 2025年02月04日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・01.31】:教員の働き方 業務の効率化をいかに図るか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.31】:教員の働き方 業務の効率化をいかに図るか
教員の給与を上げても長時間労働が変わらない限り、なり手不足は解消されないだろう。業務の削減や簡素化を進め、教育現場を魅力ある職場に変えていかねばならない。
公立小中高校の教員給与が来年度から引き上げられる。これまで「残業代」の代わりに基本給の4%を一律支給してきた教職調整額を段階的に引き上げ、2030年度までに10%とする予定だ。
教職調整額は1972年施行の法律で4%と定められた。これは当時、月約8時間だった教員の平均残業時間に基づいている。
だが現状は、中学校教員の77%、小学校教員の65%が、国の定める残業時間の上限「月45時間」を超えている。教員の採用倍率は今年度、小中高校ともに過去最低だった。長時間労働が要因の一つだと指摘されている。
労働の実態に合わない給与の規定を改めるのは当然だ。だが、より重要なのは、教育現場で常態化している長時間労働をいかに緩和するかであろう。
国は給与の引き上げにあたり、残業の平均時間を29年度までに現状より3割少ない「月30時間」まで減らす目標を掲げた。この達成に向け、実効性ある対策を展開していくことが重要だ。
長時間の会議や煩雑な書類の作成などは、現場の運用で削減できるはずだ。校長のリーダーシップが求められる。保護者対応に経験豊富な教員OBらを活用することなども有効だろう。
神戸市は26年秋までに、市立中学での部活動を終了し、民間団体などを運営主体とした地域のクラブ活動に移行する方針だ。
中学校教員にとって、部活動は特に負担が大きいとされる。地域や学校の実情を踏まえ、外部人材の登用などを進めていきたい。
国は来年度、教職員の定数を5800人増やす。教科ごとに専門の教員が教える、小学5、6年生対象の「教科担任制」を4年生にまで広げることや、中学で生徒指導を担う教員を増やすためだ。
教員の負担を減らすことで、子供と向き合ったり、教材の研究に充てたりする時間を確保し、質の高い教育につなげたい。
社会の変化に伴い、学校で教えるべき内容が増えている。授業時間に対して、教える分量が多すぎるとの指摘もある。学習指導要領に詰め込みすぎがあるなら、国が見直すことも必要だろう。
教員は子供の成長を支える大事な仕事である。それを教員が実感できる環境作りが大切だ。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月31日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大
過度のデジタル化は教育に悪影響があるとしてIT先進国には教科書を紙に戻す動きがある。
日本でも学校現場の懸念は根強い。それにもかかわらず、国はなぜ今、デジタルへの傾斜を強めようとしているのか、理解に苦しむ。
文部科学省は中央教育審議会の作業部会に、現在は「代替教材」とされるデジタル教科書を正式な教科書に位置づけることを盛り込んだ論点を示した。2026年度までに制度を改正し、30年度から使用することを目指している。
デジタル教科書は現在、小5~中3の英語と算数・数学の一部に導入され、紙と併用されている。これを正式な教科書に変更すれば、紙とデジタルが教科書として併存することになり、いずれも無償給与や検定の対象となる。
作業部会では、紙のみ、デジタルのみの教科書のほか、両者を組み合わせたタイプの導入も検討している。どれを使うかは教育委員会が選ぶ形を想定している。
どれを選択するかで、子供の教育内容に差が生じかねない。全国一律で一定水準の教育を受けられる環境を維持してきた義務教育の大転換だと言えよう。
学びの中核にある教科書の形式をどうするのかという判断を地方に丸投げするに等しく、国の責任放棄ではないのか。
教科書のデジタル移行が進んだスウェーデンは一昨年、学習への悪影響があるとして、紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に 舵 を切った。子供の成績が落ち、集中力が続かないといった傾向もみられたためだ。
日本も同じ状況に陥らないか心配だ。スウェーデンの警鐘を重く受け止めなければならない。
深い思考や記憶の定着には、デジタルより紙の方が優れているという研究報告が各国で相次いでいる。小中学校長を対象にした読売新聞の調査では、95%が紙との併用を望み、デジタルのみの利用に懸念を示す声が圧倒的だった。
紙の教科書による授業に特段の支障がないのに、なぜ現場の声を無視して、効果がはっきりしないデジタルへの転換を急ぐのか。
教科書は紙を基本とし、デジタルは動画や音声を活用できる特性を生かすという、これまで通りの代替教材にとどめるべきだ。
コロナ禍でデジタル化の遅れが鮮明になり、国はそれを挽回したいのかもしれないが、強引に推し進めた保険証のデジタル移行は、国民の強い反発を招いた。同じ 轍 を踏むべきではない。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月24日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・01.19】:中学部活の見直し 地域移行、実情踏まえ柔軟に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.19】:中学部活の見直し 地域移行、実情踏まえ柔軟に
教員の多忙化や少子化の中で、中学生の健全な成長に向け、クラブ活動をどう続けるのかが問われている。
公立中学校の部活を地域の団体に委ねる「地域移行」を進める国の方針を受け、京都、滋賀でも具体化の動きが強まっている。
京都市教育委員会は2028年度をめどに、地域指導者のもとで実施する「エリア制地域クラブ活動」と、文化芸術活動やレクリエーション的なスポーツを主に教職員が見守る「放課後活動」の2本立てに切り替える方針をまとめた。
京滋の他自治体でも、休日の部活を中心に民間委託や複数校の合同練習などさまざまな試行が行われている。
部活の地域移行は、教員の働き方改革の一環として、23年度から31年度にかけ段階的に進める方針である。
京都市教委が市立中教員を対象に昨年実施したアンケートでは、約75%が部活動の指導を負担と感じていた。長時間労働が常態化している学校職場の環境改善や、少子化で部活の存続が厳しい地方実態などを踏まえれば、部活の見直しは必要だ。
ただ、中学の部活は豊かな人間関係の構築や個性の伸長、健康づくりといった意義も大きい。こうした教育的効果を継承できるよう、国や自治体は、地域や保護者の十分な理解と協力を得なければならない。
地域移行は当初、25年度を目標としていたが、受け皿不足など課題が多く、実質的に期間が延長された経緯がある。
移行後の実施主体に想定されているのは、保護者や元教員らでつくる地域団体、総合型スポーツクラブ、芸術文化団体などである。京滋では既に、大学の運動クラブやバスケットボールのプロチームから指導者の派遣を受けている例もある。
試行中の民間委託は、指導方針や練習内容を地域の指導者と学校の間で共有しながら進められているとみられるが、完全実施後も、学校や行政による活動への関与は一定残す必要があるのではないか。
生徒や保護者からは教育的な側面が薄れたり、行き過ぎた指導が行われたりしないかといった不安が聞かれる。民間に丸投げするのでなく、生徒が安心して参加できるよう、活動の安全と質を担保する仕組みが欠かせない。
原則保護者負担とされる指導費についても、各家庭の実情を踏まえた助成が要る。
最大の課題は地域格差だろう。都市部以外では、教員に代わる指導者の確保が厳しいとの声が少なくない。指導者の育成や掘り起こしを進める一方、義務教育の機会均等の観点から、学校が運営主体となる選択肢も検討すべきだ。国や自治体の財政支援が求められよう。
一律対応でなく、地域の実情に応じて柔軟に進めてほしい。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月19日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・01.14】: 教員の職場環境 着実な人手確保が必要
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.14】:教員の職場環境 着実な人手確保が必要
公立小中学校の教員の給与改善や負担軽減に関する政府の新たな方針が決まった。
【社説・01.13】:学習指導要領/教育現場にもっと余裕を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.13】:学習指導要領/教育現場にもっと余裕を
2030年代の学校教育の在り方についての議論が始まった。画一的な授業から脱し、多様な個性や背景を持つ子どもたちの成長を促す取り組みを着実に進めてほしい。
阿部俊子文部科学相は、小中高校で教える内容や教育目標の基準となる学習指導要領の改定を、有識者らでつくる中央教育審議会に諮問した。指導要領はほぼ10年ごとに見直されており、中教審は26年度中の答申を目指す。新しい指導要領に基づく授業は30年度以降、小学校から順次始まる見通しだ。
諮問は「多様性を包摂する教育」を強調する。現在の指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の方向性を維持しながら、学校の裁量拡大による教育課程の柔軟化、デジタル時代に合わせた教育、教員の負担軽減-の検討を求めている。
例えば教育課程の柔軟化では、1こまの授業時間を5分短縮して浮いた時間を個別学習や探究活動に振り向けたり、学年の枠を超えて過去につまずいた分野の授業を受けられたりすることなどを想定する。
学校現場の自由度を高め、教員の創意工夫を後押しする狙いは妥当といえる。しかし、子どもの多様性に対応しつつ主体的な学びを進めるには、全体の学習内容や授業数を見直し、教員の配置拡充に踏み込むなどして、現場に余裕を持たせることが不可欠だ。
指導要領は改定のたびに内容が膨らみ、「終わらせるだけで精いっぱい」との声が上がる。教員の持ちこま数を減らし、児童生徒に向き合う時間を増やすことが教育の質向上につながるとの指摘は多い。だが、学力低下の批判を恐れる文科省は、このたびの諮問で「(総授業数は)現在以上に増加させない」とするにとどめた。
不登校の小中学生は、23年度に過去最多の34万人超となった。発達障害の可能性がある児童生徒や、外国にルーツを持つ子など、丁寧な支援が要るケースは増えている。そうした中で、文科省は生成人工知能(AI)の発達を踏まえ、情報モラルの育成なども現場に要請している。
十分な対策を取らなければ、教員の負担は軽くならないばかりか、学力格差が広がることにもなりかねない。中教審には、疲弊する学校現場と問題意識を共有しながら、改善への道筋を探ってもらいたい。
国際的な調査では、日本の子どもの学力は世界トップクラスだが、自己肯定感が低く、自律的に学習に取り組む意欲が乏しいとの結果が出ている。次代の「生きる力」を育むために、長期的な視野で教育の在り方を議論し、先進国でも低い教育への財政支出を増やす必要がある。
元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月13日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.11》:神戸市の部活地域移行 先行例の知見広く共有を
神戸市教育委員会が市立中学校の部活動を2026年8月末で終了し、全面的に地域クラブに移行すると発表した。
少子化や教員の負担増に対応するため、文部科学省が進めている部活動改革の一環だ。平日、休日を問わず、完全移行に踏み切る先行例として注目される。
市教委の審査を通ったスポーツ・文化芸術団体やNPO法人などが、クラブの運営に当たる仕組みだ。保護者らが新たに団体を発足させることも可能で、活動内容は市教委や学校に報告する。
16日からは「KOBE◆KATSU(コベカツ)」という専用のホームページで、活動を引き受ける団体の募集が始まる。届け出の際には、責任者や会計担当者、指導者ら1団体当たり3人以上の登録が必要となる。
市教委によると、市内の生徒数は23年度で約3万4000人、部活動数は971部に及ぶ。これだけの生徒の活動を支えるには相当な数の人材が必要となる。
地域クラブに移っても、多くの場合、引き続き学校施設を使えるが、指導や運営に携わる人をどれだけ確保できるかが課題だ。教員も兼業許可を得て指導に当たることができるものの、地域住民の協力が欠かせない。
民間運営となるだけに、安全管理や指導者の質の担保は大切だ。家庭の費用負担が重くなることも予想される。経済事情で生徒が活動機会を奪われないよう、行政も支援しなければならない。
部活動改革を巡っては各地で試行錯誤が続いている。神戸市のように積極的に推進するのは静岡市だ。全面移行を当初予定の30年8月から前倒しするという。一方、熊本市は受け皿となる団体の確保が見通せず、部活動を継続する。
それぞれの地域の実情に応じた取り組みが必要だ。神戸市など先行例の知見を広く共有し、実現可能な方法を模索すべきだ。
引き受け先がなく、子どもたちの行き場が失われるようなことがあってはならない。地域社会と学校が連携して活動を支える態勢作りが求められている。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月11日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・01.08】:学習指導要領 学校裁量を増やすよう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.08】:学習指導要領 学校裁量を増やすよう
学校現場が主体性や工夫を真に生かせられるよう、踏み込んだ議論を求めたい。
小中高校で学ぶ内容や授業時間数を定める学習指導要領の改定を、阿部俊子文部科学相が中教審に諮問した。2026年度中に答申し、新しい指導要領に基づく授業は30年度以降となる。
多様な子どもに対応できるよう、学校現場の裁量を広げ、教育課程の柔軟化の検討を求めた。1こまの授業時間を5分短縮して生じた余剰時間を、個別学習や探究的な学びに充てることなどを想定しているという。各年ごとで学ぶ内容区分を弾力化し、それぞれの理解度に応じた授業を受けられることも視野に入れる。
画一的な教育から脱し、各学校の課題に即した対応を取れるかが問われる。
日本の子どもは国際的に学力は高いものの、自律的に学ぶ意欲が低いと指摘される。不登校の小中学生が過去最多に上り、日本語指導が必要な子も増加、発達障害の可能性のある子も一定数いる。それぞれの主体的な学びを育む場が求められている。
ただ、新たな枠にはめて裁量が限定的では困る。柔軟に余裕を生むには従来授業の見直しが欠かせない。学力低下への懸念もあるだろう。
近年の要領改定を巡っては「ゆとり教育」での学力低下批判を受けて以降、教科書のページ数や年間標準授業数が増加してきた。前回は小学校高学年で英語が教科化。教員と子どもへの過度な負担が指摘されてきた。
しかし諮問は、年間の授業数について、「現在以上に増加させない」との表現にとどまった。
生成人工知能(AI)などに対応する情報モラルやメディアリテラシーの教育強化も新たに打ち出され、現場の重荷は増えるばかりだ。
学習内容の精査や時間数の減少も、学校の事情に応じて柔軟であるべきではないか。最低基準としている学習指導要領の在り方も問われている。
諮問では、教員の資質向上や人材確保策の検討も求めた。教員課程を取らなかった人が大学院で教員免許を取得できる仕組みなどを考える。
月平均残業時間が国指針の上限45時間を超えた教諭は、中学校で4割超、過労死ラインの80時間超も8%いるなど、長時間労働が深刻となっている。
教員の多すぎる業務の精査が必要だろう。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月08日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【産経抄・01.05】:混迷の時代の教育は
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・01.05】:混迷の時代の教育は
最近、子供の話題についていけない―。出版社の講談社が、書店などで「煩悩(ぼんのう)ブックフェア」と題したコーナーを設け、冒頭のような悩みに応じた本を紹介していた。足を止めた人もいるだろう。
▼仏教の108の煩悩は除夜の鐘が払ってくれるが、こちらは身近なテーマで解決のヒントとなる本や漫画を挙げていた。悩み多い小欄はつい何冊も買い込んだが、寝正月で読み切れず。
▼同フェアでは「やる気だけでは通用しない年次になった」など仕事のほか、教育に関する悩みや迷いも目立った。子供たちがSNS(交流サイト)でつながるネット時代に学校の先生たちの悩みもつきないだろう。
【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.29】:休職教員の増加 教育環境の抜本的改善を
長時間労働や業務過多など、現場が抱える課題がひずみとなって表れたと捉えるべきだろう。教育環境の抜本的な改善を図らなければ問題は解決しない。
全国の公立の小中高校と特別支援学校で、2023年度に精神疾患を理由に休職した教員が7千人を超え、3年連続で過去最多となったことが分かった。
文部科学省によると、主な要因として「児童生徒への指導に関すること」「職場の対人関係」などが挙げられるという。
休職者は若い年齢層に多い。年代別では30代が最多で、各年代の在職者数に占める割合では20代が最も高い。23年度に採用後1年未満で退職した教員は過去最多の788人に上った。3人に1人が精神疾患を理由としている。
希望を胸に教職に就きながら、子どもの成長に立ち会うやりがいを見いだせないまま、心を病んで辞めていく。そうした現場で次代を担う子どもたちが学んでいる現状を、深く憂慮せざるを得ない。
教員を取り巻く課題として、業務の多さとそれに伴う長時間労働、残業が反映されない給与の仕組みなどが指摘される。
23年度の月平均残業時間で、特に中学校では国が定める上限45時間を超えた教員が4割を超えた。専門家には「地域や家庭が担うべき役割も引き受け、限界を迎えている」と危惧する声もある。働き方改革は急務である。
政府は対策に乗り出し、26年度以降、公立中学校の1学級当たりの上限人数を、現在の40人から35人に順次引き下げることを決めた。小学校と同水準にし、教員の負担軽減を図る。
今後5年間で平均残業時間を3割減らし、月30時間程度に抑える目標も掲げた。理不尽な苦情も寄せる保護者対応に、校長OBを当たらせることも検討する。
教員に残業代の代わりに支給する「教職調整額」は、1972年に定めた「基本給の4%」を2025年度から段階的に引き上げ、30年度に10%へ増額する。
課題の根底には教員のなり手不足がある。25日の中教審では、多様な人材を教職に呼び込むため、専門性を持つ社会人に特別免許を与える制度の検討も諮問された。
県内では12月1日時点で公立校では70人の欠員が生じた。小学校教員の採用数は過去5年、いずれも募集人数を割り込んでいる。
県教委は採用試験の柔軟化に踏み切り、大学3年生を対象に試験を早める特別選考を実施した。25年度採用に向けて今年11月に初の追加募集をしたほか、26年度採用では従来の7月に加え、5月にも採用試験を行う。
国や地方自治体は現場の声を丁寧にくみ、着実に教員の処遇改善や確保策を進めてもらいたい。教育現場の危機的状況を共有し、社会で支える態勢も考えたい。
元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月29日 06:00:00 これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。
《余録・12.28》:日本の学校給食は…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.28》:日本の学校給食は…
日本の学校給食は、山形県鶴岡市が発祥の地とされる。1889(明治22)年、寺に作られた小学校に弁当を持参できない貧しい家庭の子どもたちのため、住職が寄付を募り食事を提供した。僧侶たちが托鉢(たくはつ)で資金集めに協力したこともあったという
▲発足時から「無償」と深い関係があった学校給食を巡る動きだ。立憲民主党など野党3党は全国の公立小中学校の給食を来春から国費負担で無償化する法案を国会に提出した。実現には5000億円近い財源が必要とみられている
▲子育て支援の拡充や子どもの貧困対策が課題となる中、給食無償化は自治体が主導して広がってきた。国によると、昨年9月時点で全体の約3割にあたる547自治体がすでに小中校で完全無償化を実施している。子どもの多い世帯を対象にするなど条件つきの実施を含めれば、さらに増える
▲政府も是非を検討しているが、アレルギーなどで給食を利用できない子どもとの不公平や、費用を抑えようと質が低下することを懸念する見方もある。少数与党政権に野党はさまざまな施策を要求しているだけに、優先順位が問われよう
▲学校給食を巡っては戦後の食糧難時代、日本を支援する国際NGOからの「ララ物資」が再開を後押ししたといういきさつがある。海外に移住した日系人らが支援の中心だった
▲共助に支えられた経験も持つ給食への公助をどう考えるか。憲法は「義務教育は、これを無償とする」と定めている。その意味を改めて考える時であろう。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2024年12月28日 02:16:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.27》:学習指導要領 現場の主体性 柱に据えよ
学校現場は余力を失って疲弊し、閉塞(へいそく)感を強めている。裁量をわずかに広げるだけでは足りない。上意下達の縛りを根本から見直すことが不可欠だ。
小中学校、高校の学習指導要領である。2030年度以降の導入に向けた改定を、阿部俊子・文部科学相が中央教育審議会に諮問した。学校現場の裁量を拡大し、教育課程を柔軟に編成できる仕組みの検討を求めている。
授業1こまの時間を5分短くして、空いた時間を個別の学習や教科を横断した学びに振り向ける、といったことを想定しているという。また、各学年で学ぶ内容の区分を弾力化し、子どもが理解度に応じて授業を受けられるようにすることも挙げた。
不登校の小中学生が35万人近くに上り、過去最多を更新し続けているほか、日本語の指導が必要な外国籍の子も増えている。学校教育の課題として文科省は第一に、学ぶ意義を見いだせず、主体的に学びに向かうことができない子どもが多いことを指摘した。
子どもたちの実態に向き合って教育のあり方を見直していくことは何より重要だ。であればこそ、学校現場がその主体でなければならない。中央で決めた範囲に裁量を限定すれば、現場の自主性をむしろ不必要に制約する。
学習指導要領は、学校教育の最低限の基準を大枠で示すものだ。法的拘束力を持つことを最高裁は判決で認めているが、あくまで大綱的な基準としてである。
にもかかわらず、絶対的な基準のように現場を縛り、学校教育を窮屈にしてきた。そのことにあらためて目を向け、実際に教育を担うのは教員と学校であることを根幹に据えて、指導要領の位置づけを明確にし直すべきだ。
2000年代以降、指導要領が改定されるたびに、教える内容は増えてきた。教員の多忙さに拍車がかかり、創意工夫を生む余裕が失われている。現行の要領が掲げる「子どもの主体的な学び」も、型通りに対話や討論を取り入れるだけになりがちだ。
学校に余裕を生まなければ、教育の充実はおぼつかない。中教審は、現場の実情を踏まえ、指導要領で示す学習内容や年間の総授業時間を減らすことに踏み込んで議論する必要がある。
学校は文科省の下部組織ではない。政府の役割は、学校の自主性を最大限確保して、その取り組みを下支えすることにある。学校現場から声を上げ、地域が後押ししていくことが欠かせない。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月27日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説②・12.25》:教員の処遇改善 「調整額」頼みの見直しを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.25》:教員の処遇改善 「調整額」頼みの見直しを
残業代を出す代わりに公立学校の教員給与に一律で上乗せ支給している「教職調整額」について、政府が来年度から、基本給の4%としている現在の水準を段階的に引き上げ、2030年度に10%にすると決めた。
“ブラック職場”と揶揄(やゆ)する声もある教職の魅力向上と担い手確保に向け、中教審が「10%以上」への引き上げを答申し、文部科学省と財務省とが調整していた。
それでも実際の残業代に見合う水準にはほど遠い。来年度予算案を審議する国会で制度の是非を含めた議論が求められる。
今の教職調整額が定められたのは半世紀も前である。
教員の仕事は自発性に委ねられる面が大きく、勤務時間を把握しにくい「特殊性」があるとして、月8時間ほどだった当時の残業時間を基に一律4%という数字が決められた。以来、一度も改められてこなかった。
改善傾向にあるとはいえ、残業が国が上限とする月45時間を上回る教員は22年の調査で、小学校で6割、中学校で7割を超える。時代に応じた見直しは当然だ。
考えねばならないのは、この制度が教員の過重な負担を放置してきた側面である。残業代を支払わないため、時間外労働に歯止めがかかりにくくなる。
情報通信技術といった新分野の指導、不登校や発達障害への対応などと業務は増えてきた。教材研究、授業準備に時間をかけようと思えば定時で収めるのは難しい。そこからはみ出た努力に社会は甘えてきたと言える。
小学校での教科担任制の拡充、部活動の地域移行、スクールカウンセラーの増員など国も負担の軽減を進めている。中学校も26年度以降、1学級の人数を40人から35人へ順次引き下げることが決まった。今後5年間で残業時間を月30時間程度にする目標も掲げる。
一方で精神疾患で休職する教員が過去最多を更新し、講師の確保もままならずに欠員が増えている。お金にまつわる処遇面をいじるだけでは根本的な解決にならないのは明らかだ。
多様化する教育ニーズをこの先も学校が引き受けるのだとすれば、不要不急の業務の見直しとともに、より大胆に教員を増やすことが不可欠になる。
子どもの成長にしっかり向き合いたいというのが、真面目に取り組む多くの教員の思いだろう。それに応えるための財源を確保するよう、社会全体で声を上げていく必要がある。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月25日 09:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説・12.27】:学習指導要領改定 負担減図り多様な学びを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:学習指導要領改定 負担減図り多様な学びを
多様な子どもに対応しつつ、教員の負担解消への目配せが必要だ。阿部俊子文部科学相が小中高校で学ぶ内容や授業数を定める学習指導要領の改定を中教審に諮問した。
1こまの授業時間を5分短縮し、余剰時間を個別学習に充てることなどを想定している。学ぶ意義を見いだせない子どもや不登校の増加などを踏まえ、画一的な教育から脱した「多様性を包摂する教育の実現」を目指す。学校現場の裁量を拡大し、教育課程の柔軟化を図る狙いがある。
教育現場の負担に配慮し、年間の総授業数は「現状以上に増加させない」とした。教員の負担軽減を図りながら新たな学習指導要領を実施することが求められる。
中教審は2026年度中に改定内容を答申する方針で議論を進める。次期指導要領の全面実施は、小学校が30年度、中学校が31年度、高校は32年度以降になる見通しだ。
学ぶ意義を見いだせない児童・生徒への対応が必要なのは間違いない。各学校にはそれぞれの特色があり、カリキュラムの編成で学校の裁量が増えれば、子どもが興味を示す分野から学習範囲を広げることもできる。
「小学校45分」「中学校50分」と規定されている1こまの授業時間を5分短縮し、浮いた時間を個別学習や探究的な学びに振り向ける。具体的な内容は各学校に委ねられるが、子ども自身が学びたいことを深掘りすることで、一つの分野から興味の範囲が広がることも期待できよう。
今回の指導要領改定の背景にあるのは、不登校など学校現場が抱える危機感である。
23年度の県内の小中高校の不登校者数は前年度比1387人増の8240人で、小中は過去最多。小学校の千人当たりの不登校者数は32.7人で、全国平均の21.4人を大きく上回りワーストだった。
不登校の原因はさまざまだが、「勉強についていけない」というのも理由の一つに挙げられる。学校には授業の内容が簡単すぎるという子も、つまづく生徒もいる。習熟度に合わせた丁寧な指導で学ぶ意欲を引き出すことができれば、学校に来る楽しみをつくり出せるかもしれない。
多様な子どもたちへの配慮はもちろん重要だが、教員への負担の解消にも配慮しなければならない。
県高校障害児学校教職員組合(高教組)が実施したアンケートで、「長時間勤務の改善」が進んでいないとした回答が53.8%に上った。教員の負担軽減が課題となる中、諮問では年間の総授業数は「現在以上に増加させない」としたが、新制度導入で教員の負担が大幅に増えるなら働き方改革と逆行する。
学習指導要領は将来ある子どもたちに最適な教育を提供するための羅針盤だ。目指すべき教育の在り方を明確にして議論を進めると同時に、常態化する教員の長時間労働も改善を図るべきだ。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月27日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金口木舌・12.26】:学校とは何か
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.26】:学校とは何か
学校が楽しいと感じる子がいれば、つまらない子もいる。先生も同じ。教育に懸けた志がついえてしまう人もいる。つまらないとこぼす人が先生にもいた
▼年末の学校に関する記事に考えさせられた。2023年度に全国の小中学校で不登校の子どもは約34万人。一方で高校などを含め約7千人の教員が休職という。子どもも先生も足が遠のく学校とは何か
▼県内の小中高校の不登校は8千人超。休職した先生も250人超で増加傾向だ。児童生徒はいじめなどを恐れ、嫌々通学し、先生は多忙極まる職場に嫌気がさしつつ通勤する
▼「目の前にある社会システムに従うのは困難だ。だから私は下りる」。精神科医・斎藤環さんとの対談で作家の佐藤優さんが語っている。息苦しさに耐えかねて学校から遠のく人の胸の内には、そんな宣言もひそんでいよう
▼コロナ禍では通学せずともネットで教育がどこでも受けられた。通学の苦痛から救われた子もいる。「ここがダメでもあそこがある。家でも」。遠回りかもしれないが、無理やり教室に連れ戻すのではなく、別の選択肢を示すことも解決への一歩となるかもしれない。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年12月26日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。