路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER・03.06】:陸自難聴訴訟に優生法弁護団長合流へ |難病ALS公表、「筋力に衰え」自覚

2025-03-06 07:04:00 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【HUNTER・03.06】:陸自難聴訴訟に優生法弁護団長合流へ |難病ALS公表、「筋力に衰え」自覚

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.06】:陸自難聴訴訟に優生法弁護団長合流へ |難病ALS公表、「筋力に衰え」自覚 

 騒音業務で難聴になった現職自衛官が国を訴えた裁判で、旧優生保護法をめぐる裁判の全国弁護団長などを務めた札幌の弁護士が訴訟に協力する可能性が出てきた。同弁護士は昨年、全身の筋力が衰えていく難病の宣告を受けたところで、今回の裁判について「自分も障碍者になった身として他人事ではない」と積極的な協力を申し出ている。

             ◆   ◆   ◆

 本サイト既報の通り、裁判は現職の陸上自衛官が実名・顔出しで提起。長年にわたる射撃訓練などで難聴になった責任を国に問う趣旨で、札幌の北部方面総監部に勤務する中村俊太郎1等陸尉(50)が昨年7月に訴えを起こした。審理にあたる札幌地方裁判所(小野瀬昭裁判長)では2月20日午前に2度目の口頭弁論を迎えており、被告の国が安全配慮義務違反などを否定して訴えの棄却を求め続けている。

 報道でこの裁判を知り、原告側へ協力する考えを表明したのは、地元の札幌を含む全国各地で提起された「優生保護法違憲訴訟」で全国弁護団長を務めた西村武彦弁護士(札幌弁護士会)。20日の裁判を傍聴した西村弁護士は、弁論後に原告と面会して訴訟への協力を申し出た。同弁護士は障碍者問題に精通し、自衛官の難聴問題でも過去に公務災害認定を勝ち取った実績を持つ。海外の軍隊の健康管理などについても詳しく、そうした情報の提供などで原告に力を貸すことができるといい、申し出を受けた原告代理人は「大ベテランからのお声かけは大変ありがたい」と、強力な助っ人の登場に意を強くしている。

 西村弁護士は昨年8月、発症率が10万人に1~2人という指定難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の確定診断を受け、今年に入ってから親しい福祉関係者や同業者などに罹患を公表した。ALSは全身の筋力が徐々に衰えていく病気で、原因はわかっておらず根治法も確立されていない。進行速度には個人差があるものの、歩行を含むあらゆる運動が困難になっていくことに加え、自発呼吸も難しくなるため気管切開を余儀なくされ、最終的には身体を動かすことも声を発することもできなくなる。腕の筋力低下を自覚したのを機に専門医の診断を受けたという西村弁護士は現在、箸の使用や爪切りなどが不自由になっている状態で、今後は「年内か1年後には車椅子生活に、2027年ごろには気管切開で声を失うことになるのでは」という。今回の難聴裁判については、自身が障碍を持つ立場になったのみならず、これまでの実績を活かすことができる可能性があることから事案に関心を寄せ、「記録を読んだり情報提供なりで力を貸せるのでは」と協力を申し出た。1995年の弁護士登録以来、30年間にわたって「24時間365日障碍者の相談に乗ります」と当事者救済に尽力してきた弁護士は、身体の動く限り支援活動を続ける考えのようだ。

 全自衛官の6~7割ほどが経験するといわれる公務災害としての難聴をめぐる裁判、次回弁論は5月15日午前に札幌地裁で開かれる。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【裁判・騒音業務で難聴になった現職自衛官が国を訴えた裁判】  2025年03月06日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日米共同世論調査】:日本の防衛力強化、アメリカで72%賛成

2025-01-20 00:10:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【日米共同世論調査】:日本の防衛力強化、アメリカで72%賛成

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米共同世論調査】:日本の防衛力強化、アメリカで72%賛成

 読売新聞社と米ギャラップ社が実施した日米共同世論調査で、米国側で日本の防衛力強化に賛成する人が7割を超え、共和党支持者では保護貿易を求める声が多数を占めた。トランプ新政権が世論の後押しを受け、日本への圧力を強める可能性がある。(ワシントン支局 阿部真司、世論調査部 原新)

 今回の調査では、米国の72%が日本の防衛力強化に賛成すると答え、前回22年調査から7ポイント増加した。ロシアのウクライナ侵略や中国の活発な軍事活動などが影響したとみられる。支持政党別でみても、民主党支持層72%、共和党支持層65%が賛成し、党派に関係なく日本の防衛力強化に期待する声が強まっている。

 トランプ次期大統領は新政権の主要人事を決め、来年1月20日の就任に向け着々と準備を進めている。フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅には国内外の要人が「トランプ詣で」を重ねており、トランプ氏は求心力の高まりを背景に「米国第一」の政策を進める構えだ。

 今月6日に行われた米NBCニュースのインタビューでは、北大西洋条約機構(NATO)を巡り、「彼らは我々を利用している」と不満を述べ、米国の脱退の可能性について、「もし彼らが(防衛費を)負担すれば残る」と語り、欧州の同盟国に防衛費増を迫った。

 同盟国である日本については今のところ、「非常に重視している」(16日の記者会見で)との考えを示しているが、かつては在日米軍の駐留経費の大幅な負担増を要求したこともある。気まぐれな言動への不安は根強く、日本政府関係者は「いつ何を言い出すか分からない」と身構える。

 自らを「タリフマン(関税の男)」と称するトランプ氏は、早くも中国のほか、メキシコ、カナダに新たな関税を課すと表明し、保護主義的な通商政策を進める構えを示している。

 強気の背景にあるとみられるのが、支持層の後押しだ。世論調査で自由貿易と保護貿易のどちらが望ましいかを聞くと、自由貿易49%、保護貿易46%と割れたが、トランプ氏の共和党支持層に限れば、69%が保護貿易が望ましいと回答した。

 トランプ氏は大統領選で、日本を含む全ての国からの輸入品に追加の関税を課すと主張していた。日本にも関税で揺さぶりをかけ、一方的な外交交渉を持ちかけてくる可能性がある。

 ◆トランプ氏に「不安」な人ほど、経済関係悪化を懸念

 調査では、日本側でトランプ氏を不安視する人ほど、日米の経済関係の先行きを懸念する傾向が見られた。

 

 トランプ氏に対して、「不安の方が大きい」と回答した人のうち、今後の日米の経済関係について、「悪くなっていく」(全体33%)とした人は43%で、「変わらない」(同48%)の46%と 拮抗きっこう 。「良くなっていく」(同11%)は4%にとどまり、経済の悪化を懸念していることがうかがえた。

 ただ、米国のリーダーシップを期待する意識は強い。トランプ新政権がアメリカ第一主義と国際協調のどちらを重視するべきかについて、「不安」層は「国際協調」(全体61%)が69%、「アメリカ第一主義」(同21%)は18%だった。

 早稲田大の中林美恵子教授(米国政治)は、「選挙中の発言や、腹心を固めた閣僚などの人事が、日本の世論に影響している。ただ、これまで築いた両国の関係が大きく変わるとは考えにくい。譲歩を前提とせず、積極的に利害の一致点を探る姿勢が政府に求められる」と指摘する。

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 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【選挙・日米共同世論調査】  2024年12月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.18】:日英防衛相会談 海洋国家として連携深めたい

2025-01-19 05:00:45 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①・01.18】:日英防衛相会談 海洋国家として連携深めたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.18】:日英防衛相会談 海洋国家として連携深めたい

 ともに海洋国家の日英両国が、自由な航行や海上交通路の安全を守るために連携する意義は大きい。具体的な協力を積み重ねて、関係を深化させることが重要だ。 

 中谷防衛相が英国を訪問し、ヒーリー国防相と会談した。

 両氏は、英海軍の空母打撃群が今年、日本に寄港することを踏まえ、自衛隊と共同訓練を実施することなどで合意した。中谷氏は、その際に自衛隊による空母などの警護を検討していると伝えた。

 自衛隊が平時に他国軍の艦艇などを守る「武器等防護」は、10年前に成立した安全保障関連法で可能となったもので、これまで米国と豪州にだけ実施してきた。

 英国にも適用すれば、日英が同盟に準ずる関係であると内外に示すことになるだろう。

 英国は近年、安全保障や経済でアジアへの関与を強めている。空母打撃群の日本への寄港は、2021年以来2回目だ。先月には、日本や豪州、マレーシアなど11か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟した。

 英国は欧州連合(EU)からの離脱後、成長著しいアジアを重要な協力相手とみなしているようだ。米国のトランプ次期大統領が関税の引き上げを示唆する中、英国が自由貿易を推進する体制に加わることは時宜に 適 かな っている。

 空母の派遣は、強引な海洋進出を続けている中国を 牽制 けんせい するという点でも効果的と言える。

 防衛相会談ではまた、日英伊3か国で共同開発する次期戦闘機について、35年の配備に向けた工程を確認した。中谷氏は、ステルス性能を持った機体の設計を担うことになっている英BAEシステムズの工場を視察した。

 戦闘機はこのほか、設計を含め全体調整を三菱重工業、エンジン開発をIHI、電子機器を伊レオナルドがそれぞれ担う予定だ。3か国の技術力を結集し、最先端の戦闘機を開発する必要がある。

 共同開発にはサウジアラビアが参画の意向を示しており、英伊両国は歓迎している。戦闘機の開発費は数兆円に上るため、産油国の加入で経費を抑えたいようだ。

 ただ、サウジは3年前まで隣国イエメンの内戦に軍事介入していた。将来も中東の紛争に関わらないと断言できまい。仮に次期戦闘機が紛争に使われるような事態となれば、日本の平和国家としての信頼が損なわれかねない。

 日英伊は、3か国で戦闘機を開発する、と定めた条約を維持しながら、調整を図るべきだ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月18日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.11】:不足する自衛官 有為な人材確保へ規律を正せ

2025-01-11 05:00:40 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②・01.11】:不足する自衛官 有為な人材確保へ規律を正せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.11】:不足する自衛官 有為な人材確保へ規律を正せ

 日本周辺の安全保障環境が悪化し、大規模な災害も多発している現状を踏まえれば、自衛官のなり手不足を解消することは急務と言える。 

 自衛官の定員割れは深刻だ。約24万7000人の定員に対し、実際の人数は常に2万人前後下回っている。

 こうした状況を改善するため、政府は、自衛官の確保に向けた基本方針をまとめた。

 自衛隊には、最初から任官される自衛官のほか、一部に教育訓練を経てから任官される自衛官候補生の制度がある。基本方針はこの候補生制度を廃止し、当初から任期を限った自衛官として採用する制度に改めることを明記した。

 自衛官候補生の初任給は最近まで15万7100円で、警視庁の警察官(19万3400円)などと比べると見劣りするため、自衛官採用の 足枷 あしかせ になっているとの指摘が出ていた。新たな任期付き自衛官の初任給は22万円超とする。

 また、航空管制や野外演習などの手当を新設する。さらに隊舎内の居室の個室化を進め、主な艦艇ではSNSを使えるようにするという。生活・勤務環境の改善を求める声に応える狙いがある。

 近年、自衛隊の役割は拡大する一方だ。中露や北朝鮮の脅威が高まり、空海域での警戒監視の任務は大幅に増えた。また、災害時には人命救助に限らず、がれきの撤去なども手掛けている。感染した家畜の殺処分も担っている。

 国民の生命・財産を守るため、多様な任務をこなしている自衛官の処遇を改善するのは当然だ。有為な人材を確保し、任務の遂行に支障が生じないようにしたい。

 なり手不足の背景には退職後の生活不安もあるのではないか。

 自衛官の定年は一部の幹部を除き、働き盛りの55~56歳だ。一般企業に比べて早くにリタイアしてもらうのは、自衛隊の精強さを保つためだが、最近は体力のある中高年も増えている。定年の大幅な引き上げは検討課題となろう。

 政府を挙げて、各業界や経済団体に幅広く退職自衛官の再就職を働きかけることも大切だ。自衛官の中には特殊車両や操縦士などの免許を持っている人もいる。そうした技能や知見は、物流や航空などの分野で生かせるだろう。

 もっとも、いくら処遇を改善しても自衛隊の組織風土が堕落していたら、人は集まるまい。ハラスメントや手当の不正受給、機密情報の不適切な取り扱いといった不祥事を一掃し、規律ある組織へと改めていくことが不可欠だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【深層ニュース】:拡大抑止指針に、アメリカの核使用時「意思疎通」…中谷防衛相認める

2025-01-11 00:07:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【深層ニュース】:拡大抑止指針に、アメリカの核使用時「意思疎通」…中谷防衛相認める

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【深層ニュース】:拡大抑止指針に、アメリカの核使用時「意思疎通」…中谷防衛相認める

 中谷防衛相は10日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、日米両政府が昨年末に初めて策定した拡大抑止に関するガイドライン(指針)の中に、有事の際の米国の核使用について日米で意思疎通する内容が盛り込まれていることを認めた。自衛隊と米軍が連絡を取り合う「同盟調整メカニズム」(ACM)を活用して意思疎通するという。

 ■[深層NEWS]ロシアが中距離弾道ミサイルで攻撃、佐藤正久氏「核兵器は現実世界のものに」

 指針は軍事機密が含まれるため、外務省は具体的な内容を公表していない。

  中谷氏は、核使用をめぐる意思疎通の進め方について、「今回まさにガイドラインを通じて、そのやり方を決めた」と明らかにした。ACMについて、「この機関を通じてあらゆる事態に対応できるような協議を進めている」とも語った。

 ■「政治」の最新ニュース

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・防衛省・日米両政府が昨年末に初めて策定した拡大抑止に関するガイドライン(指針)の中に、有事の際の米国の核使用について日米で意思疎通する内容が盛り込まれていることを認めた】  2025年01月11日  00:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【沖縄県】:県内で自衛隊機の部品落下39件 13件は県へ非通知か 開示請求で判明、県内2018~23年度

2025-01-10 04:29:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【沖縄県】:県内で自衛隊機の部品落下39件 13件は県へ非通知か 開示請求で判明、県内2018~23年度

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【沖縄県】:県内で自衛隊機の部品落下39件 13件は県へ非通知か 開示請求で判明、県内2018~23年度

 自衛隊の航空機が2018~23年度、沖縄県内に部品を落とした恐れがある事案が少なくとも39件に上ることが、防衛省と県の公文書で分かった。

(資料写真)航空自衛隊那覇基地(左)と陸上自衛隊那覇駐屯地=2018年撮影

(資料写真)航空自衛隊那覇基地(左)と陸上自衛隊那覇駐屯地=2018年撮影

 自衛隊は部品を落下させた場合は県に通知することになっているが、39件のうち13件について県は把握していない。

 自衛隊が通知していないとみられる。、残り639文字

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社会 【事件・事故・自衛隊の航空機が2018~23年度、沖縄県内に部品を落とした恐れがある事案が少なくとも39件】 2025年01月10日  04:29:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.05】:牛島司令官の句 再掲載 住民犠牲への配慮欠く

2025-01-10 04:01:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説・01.05】:牛島司令官の句 再掲載 住民犠牲への配慮欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.05】:牛島司令官の句 再掲載 住民犠牲への配慮欠く

 いったん取り下げたのに再び掲示することになったのはなぜなのか。背骨がふらつくような対応で信頼は得られない。 

 陸上自衛隊第15旅団のホームページ(HP)に、日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句が再掲載された。

 掲載を巡っては昨年10月末、第32軍と自衛隊の連続性を示したものとして批判を浴びた後、HPのリニューアルを理由に取り下げていた。

 しかし、元日に改めて掲載されたのである。

 15旅団の沿革として臨時第1混成群の初代群長である桑江良逢氏の訓示を記した資料を画像として掲示。その中にこの歌も記されていた。

 資料から抜き出し大きく表示した前回と比べると不鮮明になった。一方、辞世の句であることははっきりと分かる。

 15旅団は掲載についてあくまでも「歴史的事実を示す資料」とし、32軍との連続性や、牛島司令官を礼賛する意図はないと釈明する。

 それであればなぜこの歌の掲載にこだわるのか。除いて掲載する方法もあったはずだ。

 沖縄戦では本島南部への32軍の撤退が、多くの住民犠牲を招いた。

 「秋待たで枯れ行く島の青草は 皇国(みくに)の春に甦(よみがえ)らなむ」とした歌は撤退を決めた牛島司令官が、自死する前に陸軍首脳に向けて打電したとされる。

 掲載は住民犠牲への配慮を著しく欠く上に憲法の精神にも合致しない。

             ■    ■

 15旅団では昨年、那覇駐屯地内の展示施設に牛島司令官の軍服を陳列していたことも判明した。

 施設内で流れるナレーションでは日本軍を「わが軍」とし、スクリーンには牛島司令官の辞世の句も投影されていたのである。

 日本軍との連続性を示しているとの指摘は当然だろう。同施設は現在リニューアル中だという。HPと併せて展示内容も抜本的に見直す必要がある。

 今年は戦後80年の節目に当たる。

 沖縄戦で牛島司令官は「最後まで敢闘し悠久の大義に生くべし」として住民が降伏することを否定。そのためおびただしい犠牲が出たのである。

 15旅団はこうした史実をどう捉えているのか。再掲となれば「意図はない」では済まされない。

 旅団長は会見を開き、再掲の理由と歌の内容についての見解を示すべきだ。

             ■    ■

 陸自では昨年、石垣市で開かれたまつりのパレードに、石垣駐屯地の隊員ら約70人が迷彩服姿で行進したことも問題となった。

 「一撃必墜」などと書かれたのぼり旗を掲げる隊列に、住民から「沖縄戦を想起させる」との声が上がったのである。 

 自衛隊を巡っては、かつての戦争を「大東亜戦争」とするなど各地で認識が問われる事態が起きている。 辞世の句再掲載については、自衛隊の最高指揮官である石破茂首相の説明も求められる。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月05日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.09】:海自と防衛産業 国民裏切る癒着の構

2025-01-09 16:05:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①・01.09:海自と防衛産業 国民裏切る癒着の構

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.09】:海自と防衛産業 国民裏切る癒着の構 

 防衛産業との根深い癒着の実態に、政府が急拡大させる防衛費の内実を疑わざるを得ない。

 海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡む川崎重工業の物品提供問題を巡り、防衛省の特別防衛監察で川重が少なくとも約40年前から架空取引で裏金を捻出し、不正に充てていたことが明らかになった。

 乗員側から家電製品などを要望する「おねだり」も常態化していた。その原資は契約金額を膨らませた防衛費であり、許し難い。

 「防衛力増強」に巣くう産業との癒着や、腐敗の構造に徹底したメスを入れなければ、防衛のための増税など国民に理解されまい。

 中間報告によると、川重は取引先企業と結託して養生材などの大量発注を装い、2023年度までの6年間だけで計17億円を捻出。うち約6億円を裏金とし、乗員向けの携帯用ゲーム機や服飾の購入、飲食接待に充てていた。乗員側は靴サイズまでリスト化して要望しており、あぜんとする。

 川重側には現場の関係構築に加え、利益が目立って契約金額が下がらないよう、積算額をかさ増しする目的があったという。

 国内で潜水艦建造・修理は川重と三菱重工業だけに限られる。防衛関連は市場競争が働かず、相次いだ過剰請求や汚職、談合への対策として15年発足の防衛装備庁に調達を一本化したが、架空取引を上乗せした契約が見逃されてきた。なれ合いは現場レベルにとどまるだろうか。三菱重工とも問題契約が見つかった。

 政府は、5年間に総額約43兆円を投じる「防衛力の抜本的強化」を進め、25年度予算案で防衛費は過去最大の8・7兆円と突出した伸びだ。ただ、財源に見込む所得税増税は先送りが続く。

 川重や三菱重工の防衛関連の受注額は23年度に2倍超に増えて急拡大している。

 防衛省は川重を厳重注意し、過剰分の返納を求めるが、それで済む話ではない。膨らむ支出内容の厳正な精査と関係者の処分、実効性ある再発防止策が欠かせない。

 近年の防衛力強化では、高額な戦闘機やミサイルを「爆買い」する一方、約2万人の隊員定員割れを踏まえ、給与引き上げなど処遇改善方針を掲げた。

 だが、事務次官や海自トップの引責辞任を含め大量の処分者を出した特定秘密のずさんな取り扱い、手当の不正受給、パワハラなど不祥事が絶えない。

 国防の足元を見つめ直さねばならない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・01.09》:川重が海自に便宜供与 癒着の構造断ち切る時だ

2025-01-09 02:03:40 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

《社説②・01.09》:川重が海自に便宜供与 癒着の構造断ち切る時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.09》:川重が海自に便宜供与 癒着の構造断ち切る時だ

 自衛隊と防衛産業の長年にわたる癒着の構造が明るみに出た。今こそ悪弊を断ち切る時だ。

川崎重工業神戸工場に係留された海上自衛隊の潜水艦=神戸市中央区で2019年3月18日、峰本浩二撮影

 川崎重工業が海上自衛隊の潜水艦乗組員に物品を提供していた問題を巡り、防衛省は特別防衛監察の中間報告を発表した。

 艦内業務に使用する部品や工具だけでなく、家電やゲーム機、ゴルフ用品、釣り具、腕時計まで贈られていた。 

 川重は神戸工場で潜水艦の定期的な検査をする際、下請け業者との資材などの取引を装い、2023年度までの6年間だけで約17億円の裏金を作っていた。

海上自衛隊の潜水艦乗組員らに物品を提供していた問題について、記者会見の冒頭で謝罪する川崎重工業の橋本康彦社長(右)=東京都港区で2024年12月27日、藤井達也撮影

 それを物品の購入に充てたほか、乗組員との飲食代に使ったという証言もある。架空取引や物品提供は遅くとも40年前から始まっていた。

 業務用の部品などは本来、正規の手続きで入手すべきだが、時間がかかることなどから、早急に対応してくれる川重に依頼していたという。

 より悪質なのは、海自側が私物を含め、要求する物品のリストを作っていたことだ。長期間、組織的に続けられており、順法意識の欠如は明らかだ。

 川重は「要求を断れなかった」と説明しているが、ビジネス上のメリットもあった。

 提供した物品の費用は、潜水艦の点検・修理の原価に含められた。原価を水増しして利益率を少なく見せかけることで、将来の受注額を削られないようにする思惑があったとみられる。

 結果的に税金が無駄に使われていたことになり、看過できない。防衛省が川重に過剰請求分の返還を求めるのは当然だ。全容の解明を急ぎ、関与した乗組員を厳正に処分すべきだ。

 今回の不正は、川重に対する税務当局の調査で初めて判明した。自衛隊、川重の双方でチェック機能が働かなかったことは深刻だ。

 防衛費は増額され、27年度までの5年間で計43兆円が投じられる。より厳格な予算執行が求められている。

 防衛省を巡っては不祥事が相次ぎ、昨年末には幹部のパワハラや特定秘密の不適切な取り扱いなどの処分も同時に発表された。組織の緩みを放置したままでは、国民の信頼は取り戻せない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《今日も惑いて日が暮れる・01.08》:自衛隊に入ろう=吉井理記

2025-01-08 13:12:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

《今日も惑いて日が暮れる・01.08》:自衛隊に入ろう=吉井理記

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《今日も惑いて日が暮れる・01.08》:自衛隊に入ろう=吉井理記

 メディアはゴロ、というか切りの良い数字が好きである。

 ○○から50年、××没後30年、などなど。3年前の2022年は沖縄の「本土復帰」50年の報道が相次いだし、関東大震災から100年の23年もそうだった。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/08/20250108k0000m040211000p/9.webp?1" type="image/webp" />高田渡さん=2002年12月、佐々木泰造撮影</picture>
高田渡さん=2002年12月、佐々木泰造撮影

 今年はといえば、まずは戦後80年だろう。昭和100年、作家・三島由紀夫の生誕100年あたりも思い浮かぶが、僕はここでフォーク歌手・高田渡を挙げておきたい。05年に56歳で亡くなったから、今年は没後20年である。

 「自転車にのって」などの名曲で知られる高田だが、ベテランの読者が思い浮かべるのは1969年の「自衛隊に入ろう」だろう。

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【社説・01.05】:牛島司令官の句 再掲載 住民犠牲への配慮欠く

2025-01-05 04:01:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説・01.05】:牛島司令官の句 再掲載 住民犠牲への配慮欠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.05】:牛島司令官の句 再掲載 住民犠牲への配慮欠く

 いったん取り下げたのに再び掲示することになったのはなぜなのか。背骨がふらつくような対応で信頼は得られない。 

 陸上自衛隊第15旅団のホームページ(HP)に、日本軍第32軍の牛島満司令官の辞世の句が再掲載された。

 掲載を巡っては昨年10月末、第32軍と自衛隊の連続性を示したものとして批判を浴びた後、HPのリニューアルを理由に取り下げていた。

 しかし、元日に改めて掲載されたのである。

 15旅団の沿革として臨時第1混成群の初代群長である桑江良逢氏の訓示を記した資料を画像として掲示。その中にこの歌も記されていた。

 資料から抜き出し大きく表示した前回と比べると不鮮明になった。一方、辞世の句であることははっきりと分かる。

 15旅団は掲載についてあくまでも「歴史的事実を示す資料」とし、32軍との連続性や、牛島司令官を礼賛する意図はないと釈明する。

 それであればなぜこの歌の掲載にこだわるのか。除いて掲載する方法もあったはずだ。

 沖縄戦では本島南部への32軍の撤退が、多くの住民犠牲を招いた。

 「秋待たで枯れ行く島の青草は 皇国(みくに)の春に甦(よみがえ)らなむ」とした歌は撤退を決めた牛島司令官が、自死する前に陸軍首脳に向けて打電したとされる。

 掲載は住民犠牲への配慮を著しく欠く上に憲法の精神にも合致しない。

              ■    ■

 15旅団では昨年、那覇駐屯地内の展示施設に牛島司令官の軍服を陳列していたことも判明した。

 施設内で流れるナレーションでは日本軍を「わが軍」とし、スクリーンには牛島司令官の辞世の句も投影されていたのである。

 日本軍との連続性を示しているとの指摘は当然だろう。同施設は現在リニューアル中だという。HPと併せて展示内容も抜本的に見直す必要がある。

 今年は戦後80年の節目に当たる。

 沖縄戦で牛島司令官は「最後まで敢闘し悠久の大義に生くべし」として住民が降伏することを否定。そのためおびただしい犠牲が出たのである。

 15旅団はこうした史実をどう捉えているのか。再掲となれば「意図はない」では済まされない。

 旅団長は会見を開き、再掲の理由と歌の内容についての見解を示すべきだ。

              ■    ■

 陸自では昨年、石垣市で開かれたまつりのパレードに、石垣駐屯地の隊員ら約70人が迷彩服姿で行進したことも問題となった。

 「一撃必墜」などと書かれたのぼり旗を掲げる隊列に、住民から「沖縄戦を想起させる」との声が上がったのである。 

 自衛隊を巡っては、かつての戦争を「大東亜戦争」とするなど各地で認識が問われる事態が起きている。 辞世の句再掲載については、自衛隊の最高指揮官である石破茂首相の説明も求められる。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月05日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.29】:川重の不正/官と民の癒着を断ち切れ  

2024-12-29 06:00:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説・12.29】:川重の不正/官と民の癒着を断ち切れ  

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.29】:川重の不正/官と民の癒着を断ち切れ   

 閉鎖的な組織は「事なかれ主義」に陥りやすく、不正行為に対する感覚が鈍くなる。

 海上自衛隊の潜水艦修理をめぐる裏金問題で、川崎重工業(神戸市中央区)が発表した特別調査委員会の調査報告は、潜水艦の修理や検査を担当する部署のコンプライアンス(法令順守)を軽視する風土や、会社として自浄作用が機能しなかったことを浮き彫りにした。

 川重は遅くとも約40年前から下請け企業との架空取引で資金を捻出し、潜水艦の乗組員に家電や高級ブランド品などを贈っていた。架空取引の金額は2023年度までの6年間だけで約17億円に上り、一部は裏金としてプールしていた。

 橋本康彦社長は会見で「(担当部署は)人事のローテーションがほとんどなく、中に閉じこもっていた」「残念ながらまったく関知できなかった」と述べ、謝罪した。

 不正を防ぐ仕組みの立て直しと風土改革が求められる。川重は11月1日付で社長直轄の「防衛事業管理本部」を設けた。潜水艦や航空機といった機密性の高い防衛事業のコンプライアンスを一括して監査するという。実効性を高めてほしい。

 組織統制が厳しく問われるのは、海自も同様である。

 あきれたことに、乗組員がリストを川重側に渡し、ゲーム機などを要求していた。約20年前から金額がエスカレートし、飲食費のツケ払いにも充てられたという。調査に「(応じないと)業務がしづらいと感じた」と語った川重社員もいる。乗組員が企業にたかる悪習があったのではないか。 

 川重は、架空取引を含めた修理費を国の原価調査に報告していた。利益が出過ぎて防衛省との契約金額が下がらないように、原価をかさ増しする目的だったという。防衛装備品をめぐる官民の癒着そのものであり、徹底調査が不可欠だ。

 25年度の政府予算案で、防衛費は過去最大の8・7兆円が計上された。膨張する防衛費の積算根拠は果たして信頼に足るのか、国民が疑念を抱くのは当然である。防衛省はこのたびの不正の全容解明を急ぎ、説明責任を果たすとともに、再発防止を徹底しなければならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・12.29】:自衛隊の不祥事 国民の信頼失墜させる愚行だ

2024-12-29 05:00:55 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①・12.29】:自衛隊の不祥事 国民の信頼失墜させる愚行だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.29】:自衛隊の不祥事 国民の信頼失墜させる愚行だ

 高い規範意識と厳格な統治が求められる自衛隊の様々な部署で、不正が横行していた。国民の信頼を裏切る行為は断じて容認できない。 

 自衛隊員の逮捕事実を伏せていた防衛省の閉鎖的な体質も気がかりだ。組織全体の規律を正すことが急務である。

 防衛省が、海上自衛隊の潜水艦の修理契約に絡んで、乗組員が川崎重工業から接待を受けていた問題について、特別防衛監察の中間報告を発表した。

 川重側が接待費に充てるために行っていた下請け企業との架空取引は、2018~23年度の6年間だけでも約17億円に上っていたことがわかった。架空取引は40年近く行われていたという。

 架空取引で捻出した裏金は、乗組員から要望があった炊飯器や冷蔵庫といった備品の購入や、乗組員との飲食に使われていた。

 特別防衛監察では、三菱重工業も海自に、契約にはない備品を納入していたことが判明した。

 自衛隊と防衛産業大手が「癒着」していたら、防衛費の増額に疑いの目が向けられても仕方ない。不正の根絶が不可欠だ。

 防衛省は、安全保障上の機密情報である「特定秘密」に関連した新たな不祥事なども発表した。

 自衛隊員が出向先から戻って特定秘密を扱う場合は、改めて資格を取る必要があるが、それを怠っていた例が約100件あった。特定秘密を巡る不祥事は7月に明らかになったばかりだ。情報保全がずさんすぎる。

 さらに、陸自隊員が、有事の際に自衛隊がとる行動を記した特定秘密文書1件を誤って廃棄していた。隊員は文書を受け取った際、受領を証明する書類を偽造して提出していたこともわかった。

 なぜ書類を偽造したのか。廃棄は本当なのか。防衛省は徹底的に調査する必要がある。

 陸自の警務隊は今年9月、この隊員を有印公文書偽造などの疑いで逮捕した。当時の防衛相には報告していたというが、逮捕の事実は公表しなかった。

 非公表とした判断について、防衛省は「犯罪の組織性が疑われていたためだ」としているが、実態を解明して説明すべきだ。中谷防衛相は、この対応が適切だったかどうか検証してほしい。

 このほか、海自隊員が潜水手当を不正に受給していた問題では、新たに86人を処分した。すでに公表した分と合わせ、処分者は160人に上った。順法精神の欠如には目を覆いたくなる。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:海自と防衛産業の癒着 解明なくして増税なし

2024-12-27 07:00:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説・12.27】:海自と防衛産業の癒着 解明なくして増税なし

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:海自と防衛産業の癒着 解明なくして増税なし 

 海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡んで、川崎重工業が架空取引で裏金を捻出し、隊員接待や物品贈答に充てていた。防衛省の特別防衛監察の中間報告で明らかになった。

 潜水艦の製造・修理は専門性が高く、国内で担えるのは川重と三菱重工業だけ。寡占状態が自衛隊と防衛産業との癒着を生んだのではないか。

 川重だけではない。三菱重工も、川重に比べ少額とみられるが、仕様書にない備品を納入していたことが特別監察で判明した。調査を徹底させ、根深い癒着のうみを出し切らなければならない。

 中間報告によると、川重が繰り返した架空取引は2018年度からの6年間で約17億円に上る。一部をプールして裏金にする一方、架空取引分は経費に加えて計上し、防衛省に報告していたという。

 過剰に払わされた分について、防衛省は川重と三菱重工に返納させる方針だ。隊員向けに使った裏金分まで含めて支払っていたのだから、返却させるのは当然である。

 架空取引で捻出した十数億円については、国税局も経費とは認めず、所得隠しをしていたと判断するようだ。厳しい対応が求められる。

 海自の潜水艦は25隻全て、川重か三菱重工が製造。1年ごとの運用検査や3年に1度の定期検査と、それに伴う修繕作業、臨時の修理も原則、この2社が担っている。

 修繕作業中など、川重社員と潜水艦の乗員が一緒に過ごす時間が長くなっていた。それが長年続き「社員は制服を着ていない自衛官」といった身内意識が双方に芽生えた。こうした環境が「なれ合い」を生み、隊員はけじめを欠き、公務員倫理にもとる行動をとってしまったようだ。

 裏金による具体的な金品提供の詳細は、特別監察で調査を続けている。今のところ、飲食接待のほか、商品券や携帯型ゲーム機、ブランド品の作業着、高額の家電製品などを贈ったとみられている。多岐にわたる金品は、両者の深いなれ合いを象徴している。

 架空取引は一体いつ始まったのかは分かっていない。中間報告は18年度からと判断したが、10年以上も前からの慣行だったとの指摘もある。川重自身も調査中だ。防衛省の発注額は適正だったのか。金品提供は川重か海自か、どちらの主導か。それらを含めて明らかにすべきことは多い。

 自衛隊・防衛省は7月に、特定秘密の不適切運用などで過去最大級となる218人もの大量処分をしたばかり。うち、海自トップの海上幕僚長を含む117人が懲戒処分になった。組織の規律が緩んでいないか。不正を許さぬよう隊員の意識改革や、組織風土の抜本的改善が急がれる。

 折しも政府は5年間で43兆円という防衛費の大幅増に向け、法人税やたばこ税の上乗せを決め、所得税の上乗せを検討している。しかし不祥事が相次ぐのでは、防衛増税など国民は到底納得するまい。

 まずは、防衛産業との癒着の全容解明が不可欠だ。それをせずして、再発防止も望めないし、防衛増税への理解も進むはずはない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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《社説①・12.27》:自衛隊の人員不足 変化に即した対策が必要

2024-12-27 02:03:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

《社説①・12.27》:自衛隊の人員不足 変化に即した対策が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.27》:自衛隊の人員不足 変化に即した対策が必要

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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