路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【主張①・11.21】:香港民主派に実刑 人権弾圧を強く非難する

2024-11-21 05:01:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【主張①・11.21】:香港民主派に実刑 人権弾圧を強く非難する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.21】:香港民主派に実刑 人権弾圧を強く非難する

 香港の高度な自治を認めた「一国二制度」の「死」を追い打ちするような弾圧だ。

 香港立法会(議会)選挙へ向けた予備選をめぐり、「政権転覆を共謀した」として、香港国家安全維持法(国安法)違反で民主派が起訴された裁判で、香港高等法院(高裁)は、45人に禁錮10年~4年2月の有罪判決を言い渡した。

香港国家安全維持法違反で民主派が起訴された事件の公判を傍聴するため裁判所の前に並ぶ人と警戒する警察官=19日、香港(共同)

45人は、民主派が立法会選挙に先駆けて実施した予備選を主導したり、出馬したりした。これらは正当な政治活動であるにもかかわらず、判決は国家政権転覆共謀罪にあたると決めつけ実刑を科すもので到底容認できない。

 自由や民主を希求する香港市民に対する見せしめ効果も狙ったのだろう。1997年の返還から50年間は「一国二制度」によって強権支配から免れるはずだった香港は約束を反故(ほご)にされ、今や中国の一地方になってしまったともいえる。

 香港は中国共産党政権の思うがままだ。国安法に関連する裁判は香港行政府が指名する裁判官が審理する。市民を守ってきた司法の独立はもはやない。

 国安法の取り締まり対象は香港市民にとどまらない。香港民主派へ及んだ弾圧の魔の手は、日本人を含む外国人にまで及ぶ恐れもある。

 林芳正官房長官は会見で「一国二制度への信頼を損なう事態が続き、今般の判決を含め重大な懸念を強めている」と語った。その上で、中国政府と香港当局に対し、香港市民の権利や自由を尊重するよう求めた。

 米国務省は声明で「司法の独立を守り、政治的見解を平和的に表明する人を黙らせるための国安法の使用を止め、香港の活力と成功に重要だった開放性の回復を求める」と批判し、45人の無条件即時釈放を求めた。国安法を推進した香港当局者のビザを制限する制裁も科した。

 英外務省も「(国安法が)香港の人々の権利と自由を侵食している」と非難した。

 中国外務省は各国の批判に「内政干渉」と反発し「香港の法制度を中傷、破壊することに断固反対する」としている。だが、香港を破壊しているのは中国共産党政権が主導した国安法のほうである。沈黙を強いられる香港の人々に代わって、日本や国際社会は弾圧の撤回を求め続けていくべきだ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.19】:日中首脳会談 対話重ね信頼醸成図れ

2024-11-21 04:03:20 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・11.19】:日中首脳会談 対話重ね信頼醸成図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.19】:日中首脳会談 対話重ね信頼醸成図れ 

 石破茂首相が訪問先の南米ペルーで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。
 日中両国の共通利益を拡大する戦略的互恵関係の推進や、首脳レベルを含む相互往来に取り組む方針で一致した。
 中国が日本周辺で軍事活動を活発化させるなど、両国間の懸案は山積している。だからこそ両首脳が対話を重ねて意思疎通を図ることが欠かせない。
 米国第一主義を掲げるトランプ前大統領の返り咲きが決まった。米中対立はさらに激化することが予想され、国際情勢の先行きは不透明感を増している。
 こうした時こそ日中は関係の改善を図り、東アジアの安定に尽力することが求められる。
 会談で首相は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に伴って中国が停止した日本産水産物の輸入再開を早期に実現するよう要求した。
 習氏は輸入規制を段階的に緩和する9月の日中合意を着実に履行するとしたが、具体的な時期は示さなかったという。
 道内産のホタテなど日本の水産物は打撃を受けている。中国は早期に再開するべきだ。
 首相は中国軍機の領空侵犯や沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海情勢など、中国の活動を「極めて憂慮している」と伝えた。
 また、中国で拘束された邦人の早期釈放や、中国・深圳での男児刺殺事件を踏まえた邦人の安全確保も要請した。習氏は「日本人を含む全ての外国人の安全を確保する」とした。
 中国としてはトランプ氏の就任に備えて対日関係を安定化させたいのが本音だろう。しかし中国の威圧的な振る舞いには不信感が増すばかりだ。誠実な対応を見せない限り、関係改善は程遠いと言わざるを得ない。
 首相は米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領との3カ国首脳会談にも臨んだ。経済や安全保障分野の協力強化に向けて調整を担う事務局を開設することで合意した。
 中国や、軍事協力を進める北朝鮮とロシアに対峙(たいじ)することが念頭にある。多国間協力の枠組みに否定的なトランプ氏が復権する前に、連携を揺るぎないものにする狙いがあろう。
 日米韓が連携を深めることは大事だが、対立を激化させない取り組みが必要である。
 首相は帰国前に訪米してトランプ氏との会談を模索していたが、見送られた。来年1月の就任前は各国要人と会わない方針を決めたためだという。
 会談を急がず、野党とも議論しつつ従属的ではない日米関係のあり方を練り直したい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.19》:日中首脳会談 信頼を築く足掛かりに

2024-11-20 09:31:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説①・11.19》:日中首脳会談 信頼を築く足掛かりに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.19》:日中首脳会談 信頼を築く足掛かりに 

 良好な外交関係に発展させる契機にしなければならない。

 石破茂首相が訪問先のペルーで、中国の習近平国家主席と初会談した。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、中国が全面停止してきた日本産水産物の輸入再開を着実に履行すると申し合わせた。

 輸入再開を巡っては、日中両政府が9月、中国が国際原子力機関(IAEA)の枠組みの下で海水などの監視活動に参加し、輸入規制を段階的に緩和することで合意している。習氏が輸入再開に言及したことで、具体的な手続きが加速していく可能性がある。

 会談では、日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の推進や、建設的で安定的な関係を構築する方向性も確認。今後も会談を重ねることでも合意した。

 一定の成果があった背景に、トランプ米次期大統領就任に備える思惑が中国にあったとみられる。

 トランプ氏は大統領選で、米国への全輸入品に10~20%、中国からの輸入品には60%の関税を課すと主張した。国務長官には対中強硬派のマルコ・ルビオ上院議員を指名することも明らかにしている。米中対立が激化するのは必至で、国内経済の停滞が続く中国にとって影響は大きい。

 中国には日本を含めた多面的な外交を展開し、トランプ次期政権の保護主義や単独主義に反対する国際的な機運を高めたい思惑があるのだろう。

 会談はアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に合わせて実施された。習氏が出席する数少ない国際会議である。毎回、日本側が習氏との会談を模索するが、今回は「中国側から打診があった」という。日本を引き寄せたいという意向は明白だ。

 習氏は今回、韓国の尹錫悦大統領ともリマで2年ぶりに対面で会談し、安定した関係発展を確認した。中国は米国との連携を強める尹政権と関係が悪化していた。

 バイデン米政権が展開してきた同盟国による対中包囲網を突破したい思惑も透ける。

 石破政権には外交手腕をアピールする機会にしたい狙いがあるだろう。習氏と信頼を築いて、中国とトランプ次期政権の仲介役を目指すべきだ。

 ただ、台湾などを巡る中国の覇権主義的な行動は激しくなる一方だ。対米戦略では石破首相が模索したトランプ氏との会談が見送られた。石破政権が米中の思惑に翻弄(ほんろう)され、役割を見いだせない事態に陥る懸念も拭えない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.19》:首相が習氏と初会談 対話重ねて地域に安定を

2024-11-20 02:04:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説②・11.19》:首相が習氏と初会談 対話重ねて地域に安定を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.19》:首相が習氏と初会談 対話重ねて地域に安定を 

 国際情勢が不透明さを増す中、日中両国首脳には、対話を重ね、東アジアの安定につなげる外交努力が求められている。

 石破茂首相は、中国の習近平国家主席とペルーで初めて会談した。日本の首相と習氏が会うのは1年ぶりだ。

首脳会談を前に握手する石破茂首相(左)と中国の習近平国家主席=ペルー・リマで11月15日(代表撮影・共同)

<picture>日中首脳会談を行う石破茂首相(左端)と中国の習近平国家主席(右端)=ペルー・リマで11月15日(代表撮影・共同)</picture>

日中首脳会談を行う石破茂首相(左端)と中国の習近平国家主席(右端)=ペルー・リマで11月15日(代表撮影・共同)

 両国共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を推進することを確認した。首相は意見の相違はあるとしつつも「会談を重ねることで一致をみた」と強調した。

 関係改善の取り組み継続で足並みをそろえた背景には、「米国第一」を掲げるトランプ前大統領の復権がある。米中対立の激化が予想され、中国には日本との関係を安定させたい思惑もうかがえる。

 日中は多くの懸案を抱える。

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡っては、今年9月に両国が合意した日本産水産物の輸入再開を着実に実施することになった。だが、習氏は時期を明示しなかった。

 在留邦人の安全確保も喫緊の課題だ。深圳では9月に日本人男児刺殺事件が起きた。スパイ行為に関与したとされる邦人は拘束されたままだ。情報開示は不十分で、日本側の不信を招いている。 

 安全保障上の緊張も続く。沖縄県・尖閣諸島周辺では中国海警局の公船による領海侵入が相次ぐ。長崎県沖では中国軍機の領空侵犯が発生した。

 中国は台湾を包囲する形で軍事演習を実施した。首相は台湾海峡の平和と安定の重要性を訴えたが、習氏は従来の立場を繰り返したという。

 会談で「首脳を含むあらゆるレベルで意思疎通を強化」することで合意した。一連の対話を課題解決の糸口としなければならない。

 日中両国ともに、トランプ次期政権への対応を迫られている。トランプ氏は自国産業保護のため、中国には60%、日本を含むすべての国に10~20%の関税を課す構えだ。自由貿易の重要性について認識を共有する必要がある。

 米国との同盟が外交の基軸である日本に対し、中国は米国主導の国際秩序に挑戦する姿勢を見せる。だが、日中は経済面で切っても切れない関係にある。「日米同盟」を堅持しつつ「日中協商」を実現する外交力が試されている。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.19】:日中首脳会談 共通利益拡大の一歩に

2024-11-19 07:35:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・11.19】:日中首脳会談 共通利益拡大の一歩に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.19】:日中首脳会談 共通利益拡大の一歩に 

 石破茂首相は15日(日本時間16日)、訪問先の南米ペルーの首都リマで中国の習近平国家主席と初の首脳会談に臨んだ。「戦略的互恵関係」の推進では一致したものの、尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、アステラス製薬の社員ら日本人の拘束問題については習主席から前向きな発言はなかった。だが、首相は「非常にかみ合った意見交換ができた」と語っており、首脳同士を含む日中間の対話を積み重ね、課題と懸案を一つずつ減らしていく第一歩としてほしい。
 
 「戦略的互恵関係」は、大局的で未来志向の関係構築を目指すもので、冷え込んでいた日中関係の改善を模索する中、2006年に当時の両国首脳が確認した。以後の関係停滞で棚上げ状態となっていたが、岸田文雄前首相が昨年11月の習主席との会談で再び進めることで一致していた。
 
 今回、その推進を再確認したのを受け、日中は共通利益拡大の道を探り、着実に関係を安定させることが重要だ。

 日中両政府は既に9月、東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた中国の水産物禁輸を緩和することで合意しているが、両首脳が合意の着実な実施を確認したのは一つの成果だ。再開時期は明言しなかったというが、主席自身が合意実施に言及した事実は重い。
 
 また、会談では、広東省深圳で起きた日本人学校の児童刺殺事件などについて、習氏が「日本人を含む在中国の外国人の安全を確保する」と述べた。治安悪化を防ぐのは当然だが、事件についての情報公開が不十分なのは問題だ。引き続き説明を求めたい。
 
 安保面では、不安解消の糸口は見えなかった。首相は尖閣諸島を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動活発化について「極めて憂慮している」と伝え、台湾海峡の平和と安定の重要性を指摘したが、習主席から緊張緩和に向けた前向きな発言はなかった。
 
 1972年の日中国交正常化に尽力した当時の日本の首相は田中角栄氏。正常化と、それに伴う平和友好条約を貫く精神は「不戦の誓い」である。若手政治家時代に田中氏の薫陶を受けた首相には、日中最大の共通利益が「不戦」であることを胸に刻んでほしい。
 
 ただ、両国の国際社会における地位も当時とは様変わりしている。どう関係を紡いでいくか、手腕に注目したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  07:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.18】:中国の治安悪化 社会の不満に目向けよ

2024-11-19 07:34:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・11.18】:中国の治安悪化 社会の不満に目向けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.18】:中国の治安悪化 社会の不満に目向けよ

 日本人はじめ、多くの外国人が「中国には安心して行けない」と感じ始めているのではないか。特に、広東省深圳(しんせん)市で9月、日本人学校の男児が刺され死亡した事件の衝撃は大きかったが、以後も、中国各地で学校や子どもに絡む無差別刺傷事件が相次いでいる。

 中国メディアによると、10月上旬から下旬にかけ、広東省広州市で児童ら3人が学校前で切りつけられる▽浙江省寧波(ニンポー)市で登校中の母子が刃物を持った男に襲われ負傷▽北京市の小学校の校門付近で刃物を持った男が通行人を切りつけ5人が負傷-と似通った事件が続発している。
 
 さらに、16日には江蘇省無錫(むしゃく)市の高等専門学校で男が刃物で無差別に切りつけ、8人が死亡、20人近くが負傷する事件が起きた。
 
 深圳市での事件が起きる前の6月には、江蘇省蘇州(そしゅう)で日本人母子らが中国人の男に切りつけられる事件も起きている。
 
 深圳の事件に関して、中国当局は、前科のある者による「個別の事案」と説明したのみで、今も動機などの詳細を明らかにしていない。「日本人を狙った犯行」という不確かな見方が広がったのも、情報公開に消極的な当局の姿勢に原因がある。10月に起きた一連の事件では、それぞれ容疑者が拘束されているものの、捜査当局の発表内容はやはり限定的で、治安悪化の現状が社会で十分共有されているとは言い難い。
 
 一連の事件の背景として、格差の拡大に景気低迷が追い打ちをかけ、人々の不満が強まっている社会状況を指摘する声もある。日中関係筋によると、6月の蘇州での事件に関しても、容疑者の男の「社会に対する不満」が動機とみて捜査していると中国側が日本政府に伝えたという。
 
 習近平(しゅうきんぺい)政権には早急に治安悪化を収束させるよう求めたいが、根本の問題は、経済成長に取り残され、希望を持てない人たちの格差への不満の高まりだ。大都市の住宅価格は若年夫婦の平均的年収の数十倍に達し、格差の大きさを示すジニ係数は2000年以降、「騒乱が起きる警戒ライン」の0・4を超えているとされる。
 
 高所得者層へのさらなる課税など再分配の強化が急務だが、言論を統制し権力集中を図る習政権の強権体制がもたらす息苦しさが、庶民の社会への不満をいや増していることも指摘しておきたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月18日  07:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:日中首脳会談 対話重ね相互理解深めよ

2024-11-19 07:00:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説・11.17】:日中首脳会談 対話重ね相互理解深めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:日中首脳会談 対話重ね相互理解深めよ 

 石破茂首相は日本時間のきのう、南米ペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初会談した。戦略的互恵関係の包括的な推進と、建設的かつ安定的な関係を構築する方向性を確認した。約35分間と短かったが、まずは両トップが対面し意見交換した意義を認めたい。

 米国の次期大統領に決まったトランプ氏は対中強硬姿勢を鮮明にし、関税を大幅に引き上げる考えを示している。国務長官には強硬派のマルコ・ルビオ上院議員を起用すると発表した。

 世界の大国である米中の関係が悪化すれば、各国に不安が広がる。双方と関係が深い日本は日中間の関係改善に加え、米中両国を取り持つ役割で国際社会の期待に応えるべきだ。今回の会談をその第一歩にしたい。習氏と今後も会談を重ねる方針で一致したことは、一定の成果だろう。

 戦略的互恵関係とは、日中両国がアジアと世界に対して厳粛な責任を負うとの認識の下、アジアと世界に共に貢献する中で、互いに共通の利益を拡大していくという考え方である。最大の共通利益の一つは無用な衝突、特に軍事衝突を避けることに違いない。

 そのためには、さまざまな形で相互に理解を深める努力が不可欠だろう。会談で申し合わせた通り、外相の相互往来や閣僚級の「日中ハイレベル人的・文化交流対話」「日中ハイレベル経済対話」を確実に実現してほしい。

 日中関係は冷え込みが続いていた。中国は日本の領海や領空への侵犯を繰り返し、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、日本産水産物の輸入を全面停止した。日本も南西諸島のミサイル配備など防衛力を強化してきた。両国間で不信が増幅し、悪循環に陥っている面があった。

 今回の会談で石破首相は、中国の活発な軍事活動に対する懸念を伝え、日本人学校の児童の刺殺事件などを受けて邦人の安全確保を求めた。互いに言うべきことを言える関係が重要である。

 中国は、日本との関係を悪化させたくない状況だろう。国内経済の不振は深刻で、デフレの懸念が強まっている。トランプ氏が米大統領に就任すれば、輸出の環境もさらに悪化すると思われる。

 習氏は「中日関係は改善と発展という重要な段階にある」と述べた。9月に合意した日本産水産物の輸入再開も「きちんと実施する」と確認した。関係改善の好機と受け止めたい。

 とはいえ、習氏は中国共産党総書記として3期目入りを決めた2年前の党大会で台湾統一を目標に掲げ「武力行使の放棄は約束しない」と明言。今年10月には台湾を包囲する海空域で軍事演習をした。危機が近くにある状況に変わりはない。

 石破首相は日中首脳会談に先立ち、米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領とも会談し、安全保障分野などでの協力を調整する事務局組織の新設で合意した。独自の対話チャンネルを重層的にしつつ、関係各国と連携するバランス感覚が求められる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.19】:日中首脳会談 課題解決へ対話の継続を

2024-11-19 06:03:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説・11.19】:日中首脳会談 課題解決へ対話の継続を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.19】:日中首脳会談 課題解決へ対話の継続を

 日本は米中二大国とバランスの取れた外交を展開する必要がある。中国首脳との対話を増やし、政府間協議を各レベルで重ねて課題解決に取り組んでほしい。

 石破茂首相が訪問先の南米ペルーで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。日本の首相と習氏の会談は3年連続で、昨年11月の岸田文雄前首相以来だ。

 両首脳は日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の包括的な推進と、建設的かつ安定的な関係を構築する方向性を確認した。この共通認識を歓迎したい。

 今後も首脳会談を続ける方針で一致した。外相の相互往来や閣僚級の「日中ハイレベル人的・文化交流対話」「日中ハイレベル経済対話」の実行も申し合わせた。

 両国間の課題では、日本産水産物の輸出再開に前進があった。東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出したことを受け、中国は輸入停止を続けている。

 9月に再開方針に合意しており、今回は最高指導者の習氏との間で「きちんと実施する」と確認できた。

 再開の具体的な時期は示されなかった。首脳会談を踏まえ、できるだけ早期に双方の高官、実務者が協議して実現を急いでもらいたい。

 日本産牛肉の輸出再開や精米の輸出拡大も、両国間の意思疎通を継続することで合意した。

 今回の首脳会談は日中関係の先行きについて、総じて前向きな成果を打ち出すことができたと評価できる。

 背景の一つは、来年1月に米国で対中強硬姿勢のトランプ政権が再スタートすることだろう。経済不振が続く中国は米国への懸念を強め、日本との関係安定を重視するようになった。

 対米協調路線を加速させた岸田政権を受け継ぐ石破政権が、中国との対話を重視するシグナルを発していることも中国に対日姿勢の変化を促したようだ。

 日中は経済的な結びつきが強く、貿易推進などで相互利益を得る。自国優先のトランプ政権に対し、日中が協力して協調を呼びかける場面も出てくるだろう。

 一方、日中の間には多くの難題が横たわる。

 中国は軍事や経済の力を背景に覇権的な動きを強め、アジアの緊張を高めている。中国艦船が繰り返す日本領海への侵入は看過できない。偶発的衝突を回避するには、ハイレベルを含む対話と協議が欠かせない。

 中国に拘束されている邦人の解放、日本人児童刺殺事件の詳細な説明と再発防止策などは、会談で具体的な進展がなかった。

 戦略的互恵関係を形にするのはこれからだ。長く冷え込んでいた日中関係を安定軌道に乗せるためにも、石破首相は早期の中国訪問を検討すべきだ。習氏との会談を定期化させたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.17】:【日中首脳会談】:懸案解決へ対話を重ねよ

2024-11-19 05:02:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説・11.17】:【日中首脳会談】:懸案解決へ対話を重ねよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:【日中首脳会談】:懸案解決へ対話を重ねよ

 地域の安定を図り、国際協調を進める必要がある。対立を回避するには対話を重ねることが重要だ。
 石破茂首相と中国の習近平国家主席が初めて会談した。日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の包括的な推進を確認した。
 昨年11月に岸田文雄前首相が習氏と会談した際にも同様の確認をしている。石破政権は岸田政権の対中政策を踏襲して関係発展に取り組む方向だ。中国側は、日中関係の安定が根本的な利益にかなうという姿勢を示してきた。
 習氏は、日中関係が改善と発展という重要な段階にあるとの認識を表明した。首相は課題と懸案を減らし、協力と連携を増やすと応じている。山積する課題の解消は簡単ではない。それだけに積極的な対処が求められる。
 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、中国が日本産水産物の輸入再開を着実に履行することを申し合わせた。両政府は先に輸入再開の方針で合意したと発表しているが、再開時期は定まっていない。習氏の発言は前進を期待させるが、具体的な言及はなかったようだ。早急な実施が求められる。
 中国は経済的威圧を強めてきた。各国は中国への依存度を減らして新たな供給網を確立しようと動いている。中国は包囲網とみて反発し、対立は深まっている。
 経済減速が懸念される中国は、関係改善を日本からの投資の呼び込みにつなげたい狙いがある。一方、景気低迷が政権批判につながらないように対日強硬姿勢を取らざるを得ないとの見方もある。これでは関係進展は望めない。
 米国のトランプ次期大統領が保護主義的な政策を打ち出していることに、世界が身構えている。米中関係も先鋭化しかねず、日本への影響も避けられない。国際協調の必要性は高まっている。
 安全保障への警戒感も高まる。領海侵入を繰り返し、中国軍機による領空侵犯も発生している。首相は軍事活動活発化に憂慮を伝え、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。しかし、台湾問題で譲歩しない中国の立場は鮮明だ。
 懸案はこれらにとどまらない。中国では日本人男児刺殺やスパイ容疑での日本人拘束など、在留邦人の安全に関わる問題が相次いだ。習氏は日本人を含む全ての外国人の安全を確保する考えを示した。日本の対中感情を悪化させている背景を顧みる必要がある。
 両首脳は、今後も会談を重ねる方針で一致した。外相の相互往来や閣僚級の対話実施も申し合わせた。意見の相違がある中で、首脳や高官同士の直接対話は意義がある。
 今回の首脳会談は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて1年ぶりに行われた。前回もAPECに伴う会談で、首脳同士での緊密な会談と意思疎通を図ることで一致している。APEC以外でも実施することが関係の緊密化を印象付ける。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経抄・11.19】:天安門事件を目撃した日本人たち

2024-11-19 05:01:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【産経抄・11.19】:天安門事件を目撃した日本人たち

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・11.19】:天安門事件を目撃した日本人たち 

 1989(平成元)年6月5日付の小紙一面のトップ記事はもちろん、「天安門事件」である。前日の4日未明から、中国・北京の天安門広場に民主化を求めて集まった学生や市民に対して、人民解放軍が無差別に発砲した。AP通信が配信した写真は、血だらけとなった仲間をリヤカーに乗せて病院に急行する学生の姿を捉えていた。

北京市中心部に位置する天安門=3月(三塚聖平撮影)

 ▼文化訪中団の団長だった作家の水上勉さんは広場に近いホテルから、銃撃に倒れる人々の姿を目撃していた。2日後に日本政府の救援機で帰国するが、かなりの心労があったはずだ。帰宅してすぐ心筋梗塞の発作を起こし救急搬送されている。

 ▼「話の肖像画」を読んでいて、夢グループ創業者、石田重廣さん(66)が事件直前に、天安門広場の近くを散策していたと知った。ただ翌々日に、世界に衝撃を与えた惨劇の現場になるとは夢にも思わなかった。「大勢の人たちがわーわー、わーわー騒いでいるのね。いや、すごいなあ、活気があるんだなって」、続きは、

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 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】  2024年11月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【深層NEW】:中国で相次ぐ殺傷事件、社会的弱者の孤立が犯罪行為につながる恐れ…柯隆氏

2024-11-18 23:02:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【深層NEW】:中国で相次ぐ殺傷事件、社会的弱者の孤立が犯罪行為につながる恐れ…柯隆氏

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【深層NEW】:中国で相次ぐ殺傷事件、社会的弱者の孤立が犯罪行為につながる恐れ…柯隆氏

 神田外語大の興梠一郎教授と東京財団政策研究所の柯隆主席研究員が18日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、中国で相次ぐ殺傷事件について議論した。

 ■[深層NEWS]ロシアが急ぐクルスク奪還「トランプ氏当選が大きい」…ジャーナリストの石川一洋氏

 江蘇省で25人が死傷した16日の切りつけ事件では、拘束された元学生の男が実習先での待遇に不満を募らせていたとされる。柯氏は事件の背景について「中国社会にカウンセリングのメカニズムが用意されていない」と指摘し、社会的弱者の孤立が犯罪行為につながる恐れがあるとの見方を示した。

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 国際 【アジア・中国】  2024年11月18日  23:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.17】:日中首脳会談 かみ合ったと喜ぶ関係か

2024-11-17 05:01:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【主張①・11.17】:日中首脳会談 かみ合ったと喜ぶ関係か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.17】:日中首脳会談 かみ合ったと喜ぶ関係か 

 石破茂首相が南米ペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。

 日中両国が戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築する方向性を確認した。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を理由に中国側が全面停止した日本産水産物輸入の再開合意の着実な履行を申し合わせた。

首脳会談を前に握手する石破首相(左)と中国の習近平国家主席(代表撮影)

 石破首相は会談後、記者団に「非常にかみ合った意見交換だった印象だ」と満足そうに語った。習氏と会談を重ねていくことで一致したと明かし、「首脳間を含むあらゆるレベルで意思疎通、往来を図り、懸案を減らしていく」と語った。

 「かみ合った」と本気で感じたのであれば、石破首相の外交感覚はピントがずれていないだろうか。

 また、首脳間の往来が習氏の国賓としての来日を含むのであれば許されない話だ。習氏はウイグル人などへの深刻な人権弾圧の責任者だからだ。

 石破首相は習氏に対し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、東シナ海情勢や領空侵犯など中国軍の活動に深い憂慮を表明した。深圳での日本人児童殺害を取り上げ、現地日本人の安全確保を求めた。拘束されている日本人の解放も求めた。

 習氏の態度は、ほぼゼロ回答だった。「日本人を含む全外国人の安全を確保する」と述べたが、それは国家として当たり前の話にすぎない。水産物の輸入再開は実現の時期さえ示さなかった。これで「かみ合った」と語るセンスを疑う。

 懸案を抱える中でも共通の利益の拡大を図るのが戦略的互恵関係だという。岸田文雄前首相が昨年の習氏との会談で6年ぶりに復活させた。だが、今の日中はそのような関係を推進できる間柄なのか。

 習氏は、来年登場する米国のトランプ政権を警戒し、日米が協力して中国に厳しい対応を取らないように対日姿勢を一時的に調整しているだけだろう。

 中国共産党政権の首脳は全員、力の信奉者だ。日本が防衛力や経済力、科学力などの国力を高めたり、日米同盟の結束を強めたりすることが、対中発言力を増すことになる。その努力なしに、首脳の往来で握手を重ねても、日本の平和と安全、国益は確保できないと石破首相は肝に銘じてもらいたい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.05】:在日中国人に弾圧 見て見ぬふりはできない

2024-11-05 05:00:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【主張①・11.05】:在日中国人に弾圧 見て見ぬふりはできない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.05】:在日中国人に弾圧 見て見ぬふりはできない 

 日本において中国政府への抗議活動などに加わった在日中国人に対し、中国政府が圧力をかけているとする調査結果を、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が公表した。

 新疆ウイグル、チベット、内モンゴル自治区、香港の出身者を含む中国人への人権弾圧である。HRWによる今年6~8月のインタビューで、中国政府の人権弾圧への抗議や民族文化の紹介などをしたことのある25人のうち16人が中国当局の圧力を証言した。

演説する中国の習近平国家主席=9月29日、北京の人民大会堂(共同)

 中国の警察が中国にいる親類を通じて、日本での活動中止を求めてきた。親戚と電話していると警察が代わり、帰国しないと「家族がどうなっても知らないぞ」と脅された。在日中国大使館で、チベットに戻らないと旅券の更新はできないと言われた人もいた。

 日本は言論の自由が保障された民主主義国だ。どの国の出身者であれ、言論の自由を享受する資格がある。調査結果が事実であれば、在日中国人への圧力は人権侵害である。日本国の主権を侵害するケースがあるかもしれない。

 日本の外務省や警察は実態を調べ、事実を確認すれば中国政府の不当な行為をやめさせなくてはならない。日本が尊ぶ価値を土足で踏み荒らす行為を容認してはならない。

 HRWは「日本政府は中国政府に対し『国境を越えた人権弾圧』を許さないと明確にすべきだ」と訴えた。問題を放置すれば、国際社会での日本の信用にも関わろう。無関心は人権弾圧への間接的な加担になる。

 中国外務省は「国境を越えて弾圧を行ったことはない」とするが、「国境を越えた弾圧」の実態は日本以外の国でも報告されている。

 中国は、公安の出先機関を外国に設け、在外中国人を拘束したり、帰国を強制したりするなどの「海外闇警察」活動を行っていた。明白な主権侵害である「海外闇警察」は、米国やドイツ、オランダなどで摘発され、閉鎖命令を受けている。

 HRWのインタビューに応じた複数の人が「日本の警察は助けてくれないだろう」と考え、日本側に助けを求めなかったことも分かった。日本政府はこれを恥じなくてはならない。日本は、自由の擁護者であり続けるべきだ。 

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・10.22】:中国経済の減速 先行き不透明感が一層増した

2024-10-23 05:01:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・10.22】:中国経済の減速 先行き不透明感が一層増した

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・10.22】:中国経済の減速 先行き不透明感が一層増した

 中国経済の減速が続き先行きの不透明感が増している。世界経済のリスクともなりかねず、警戒が必要だ。 

 中国の2024年7~9月期の国内総生産(GDP)は、実質で前年同期比4・6%増だった。2四半期連続で伸び率を縮小した。

 先進国が主要な指標としている前期比の年率換算では、3・6%前後だった。中国政府は、24年通年の成長率について「5・0%前後」の目標を掲げているが、達成できるかどうか微妙な情勢だ。

 GDPの4分の1を占めるとされる、不動産市場及び関連産業の深刻な不況が主な要因である。

 新築住宅の在庫がだぶつき、不動産開発投資は減少している。中国では、家計資産に占める不動産の割合が欧米と比べて際立って高く、不動産価格の下落が消費を落ち込ませることも懸念材料だ。

 中国経済は22年、厳格な行動制限で感染拡大を抑え込むゼロコロナ政策により不振だった。その政策を終えた23年の回復が鈍かった上、24年も低迷が続いている。

 景気減速を受け、中国政府は財政出動と金融の緩和策を相次いで打ち出した。当面の景気を、ある程度支える効果は見込めよう。

 だが、中国経済の問題は、不動産や投資、輸出への依存から脱却出来ていないことにある。

 消費主導の経済へと転換を図ることが求められるが、習近平政権は、質の高い発展や製造強国の推進に注力するばかりだ。これでは安定的な成長は難しいだろう。

 国内市場の縮小を受け、中国が国民生活の向上よりも、今後、補助金による過剰な生産を増やし、輸出への傾斜を一層強めれば、日米欧など主要先進国との摩擦の激化は避けられない。

 海外からの投資の減少も景気に悪影響を及ぼしている。

 中国は今夏、邦人社員をスパイ罪で起訴した。先月には10歳の日本人男児が中国人の男に刺され、亡くなった。中国当局が詳細を明かさず、日本側の不安は強い。

 法治国家とは言えぬ中国の姿勢が、投資意欲を冷え込ませることも直視すべきである。

 加えて、中国市場が高い成長を見込みにくくなる中、中国勢との競争が激化し、ホンダや日産自動車などの日本企業が、工場の閉鎖に動く事例が目立っている。

 日本にとっては、生産体制の見直しのほか、経済安全保障上の観点から、サプライチェーン(供給網)の再構築を進めていくことも重要な課題になろう。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・10.17】:中国の軍事演習 武力の威嚇は容認できない

2024-10-20 05:01:25 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・10.17】:中国の軍事演習 武力の威嚇は容認できない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・10.17】:中国の軍事演習 武力の威嚇は容認できない

 武力による威嚇や心理的な揺さぶりを続けることで、台湾を屈服させることができると考えているのであれば、大きな間違いとなろう。

 中国は東アジアの緊張を高める軍事的な威圧をただちにやめるべきだ。

 中国軍が台湾本島を取り囲む形で大規模軍事演習を行った。2022年以降、同様の演習を繰り返している。今年は台湾の頼清徳政権が発足した5月以来となる。

 今回は、前回より台湾本島に近い海空域にも演習区域が設定された。台湾周辺空域では、1日あたりで過去最多となる中国軍機の活動が確認された。

 中国軍の報道官は大規模演習について、「『台湾独立』勢力を震え上がらせ、国家主権と国家の統一を守るための正当で必要な行動だ」と主張した。

 頼総統は中台統一を拒否する立場で、先の演説でも「主権を堅持し、侵犯と 併呑 へいどん を許さない」と述べていた。中国はこの発言を台湾独立の試みとみなし、脅しをかけたのだろう。

 訓練内容として、「重要な港湾と地域の封鎖・制圧」を挙げた。演習地図に、総統府がある台北や、基隆、高雄、台中など港湾や空港を有する6都市を示し、その沖合に演習区域を設定した。

 物資の輸送路を断つ能力を見せつけ、台湾社会の動揺を誘う狙いは明白である。これに対し、台湾軍は警戒・監視態勢を強化する一方、市民は日常生活を続けた。

 中国は、威圧によって台湾の民意を対中融和に動かすことはできまい。かえって警戒感を強めさせることを自覚すべきだ。

 今回の演習には、台湾侵攻の際に米軍の介入を阻止する中国側のシナリオの一端がうかがえる。

 5月の演習時に確認されなかった空母「遼寧」の艦隊を台湾東部沖に配置したことだ。戦闘機などが約140回発着艦した。米軍への対処を想定したとみられる。

 米国と日本は、今回の中国軍の部隊運用を詳細に分析し、必要に応じて防衛計画の見直しを進めることが欠かせない。

 米国や欧州連合(EU)がこの演習への反対を表明し、日本も中国に懸念を伝えたのは当然だ。

 中国は尖閣諸島や台湾周辺だけでなく、南シナ海でもフィリピンなど周辺国に対して挑発行為を繰り返している。

 そうした横暴な振る舞いを続けていれば、国際社会における中国の評判は傷つき、国益を損なう結果を招くだろう。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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