路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《主張②・03.30》:中国外務省 会談内容の改竄許されぬ

2025-03-31 05:03:35 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《主張②・03.30》:中国外務省 会談内容の改竄許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《主張②・03.30》:中国外務省 会談内容の改竄許されぬ 

  これでは「戦略的互恵関係」どころか、国家間の通常の信頼関係を築くことも困難なのではないか。

  石破茂首相と中国の王毅共産党政治局員兼外相の21日の会談を巡り、日本政府は、中国外務省の発表内容に事実と異なる記述があるとして抗議した。間違っている箇所の削除を求めたが、中国側は応じていない。

日中外相会談冒頭であいさつする中国の王毅外相(左)=22日、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

  中国外務省はホームページ上の石破首相の発言を改めてもらいたい。それが確認できるまで石破首相や岩屋毅外相は王氏と会談してはならない。

  中国外務省ホームページは王氏と会談した石破首相が「中国側が詳述した立場を尊重する」と述べたと記載している。

  日本側は「そのような発言をした事実はない」とするが、中国外務省報道官は「国家間の交流で互いの立場を尊重するのは正常なことではないだろうか」と開き直った。

  牽強付会(けんきょうふかい)の説である。

  日中両国には在中邦人の拘束や尖閣諸島、台湾を巡る問題などについて、立場や見解に隔たりがある。

  「中国側が詳述した立場を尊重する」との文言が日本の首相の言葉として残れば、日本が中国の言い分に従っている印象を与える。これでは日本の立場と国益が損なわれる。

  会談内容の改竄(かいざん)は自国にとっても不利益だと中国外務省は知るべきだ。各国も中国要人との会談を警戒するだろう。

  中国はトランプ米政権の対中圧力に直面し、日本との関係を改善したいそぶりをみせてきた。その最中に、会談内容を改竄し放置するのは不可解だ。まさか日本側の中国への反発を強め、対日関係をぎくしゃくさせたいわけではあるまい。

  王氏は石破首相との会談で、「歴史問題と台湾問題で交わされた重要な政治的約束を(日本は)確実に果たさなければならない」と迫った。この「政治的約束」という言葉も一方的な牽制(けんせい)といえる。

  戦後80年の年に歴史問題を持ち出し、日本に対して優位を占めたい底意があるのだろう。

  日本政府は習近平中国国家主席の年内訪日を計画しているとされる。

  だが、改竄の削除をはじめ中国側の実際の行動に大幅な改善がない限り、中国との関係強化は難しい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2025年03月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・03.27】:国安条例1年 香港の自由後退を憂う

2025-03-27 16:05:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・03.27】:国安条例1年 香港の自由後退を憂う

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.27】:国安条例1年 香港の自由後退を憂う 

 香港でスパイ活動や国家への反逆行為の防止を掲げた国家安全条例が施行されて1年となった。

 条例違反が適用されたのは民主派ばかりで、市民の抗議活動や言論を徹底的に封じる意図は明らかだ。

 社会統制が強まり、自由で開かれた国際都市としての香港のさらなる変質、後退を危惧する。

 香港での2019年の大規模民主化デモを受け、中国指導部の主導で翌年、香港国家安全維持法(国安法)が施行された。多くの民主活動家が起訴され、メディアなどの言論規制が強められた。

 さらに昨年、香港立法会(議会)は国家機密の窃取など国安法より対象に広げた国家安全条例を可決した。民主派を排除し、親中派だけで提案からわずか11日後の採決だった。独裁色を増す習近平政権の意向が反映された。

 香港政府によると、施行後、条例違反で起訴されたのは香港市民5人。民主化デモのスローガンが印字されたTシャツを着て歩いた男性と、インターネットに「中国共産党は下野せよ」と書き込んだ男性らで、2人は実刑判決を受けた。

 条例が「抑圧の道具」として利用されている実態が、浮き彫りになっている。

 犯罪行為の定義はあいまいだ。国家機密の範囲は政府判断で決められ、恣意(しい)的な解釈で運用されているのは否めない。

 統制強化が進む中、先月、民主派の最大政党、民主党が解散に向けた手続きを始めた。党員が、中国と関係の深い人物から脅しのような警告を受けたという。比較的穏健とされてきた同党ですら活動できなくなっており、議会に民意は届かない。

 社会に広がる萎縮の空気が心配だ。自由な文化空間を象徴していた独立系書店が閉鎖に追い込まれ、民主化問題などに関する世論調査を行ってきた団体も活動停止を余儀なくされた。

 人口750万人の香港で、19年から5年間で約30万人が海外へ移住したとされる。言論の自由や権利が制約された香港を見限っての流出に他なるまい。

 条例は外国人への適用の懸念から経済活動にも影を落とす。外国企業離れの加速が指摘される。

 投資やビジネスの結節点となり、国際金融センターとしての発展は、高度な自治を認める「一国二制度」があってこそだった。自由への締め付けは、香港の活力を奪うばかりである。 

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月27日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・03.21】:中国全人代/大国の責務今こそ自覚を

2025-03-22 06:00:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・03.21】:中国全人代/大国の責務今こそ自覚を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.21】:中国全人代/大国の責務今こそ自覚を 

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が、政府活動報告や2025年予算を採択・承認して閉幕した。トランプ米大統領が関税引き上げなど対中強硬路線を貫く中、25年の経済成長目標を3年連続で5・0%前後と設定し、米国に対峙(たいじ)する姿勢を示した。

 13年に就任した習近平国家主席は3期目の任期の折り返しを迎える。全人代では政策についての議論が少なく、閉幕後の首相会見も昨年に続き開かなかった。習氏への権力集中を改めてアピールする場となった感が否めない。

 米国第一主義を掲げるトランプ政権は、国際秩序に挑発的な言動を繰り返す。ロシアは、国連常任理事国としての責任を無視するかのようにウクライナ侵攻を止めない。

 中国は25年の国防費を前年から7・2%増やし日本の防衛費の4倍超としたほか、米軍に対抗して軍備のハイテク化も推し進める。米中ロの覇権争いがさらに過熱しないか危惧する。

 内政を安定させて国内需要を高め、世界経済の活性化と国際社会の平和に貢献する大国の責務を、中国は今こそ自覚してもらいたい。

 24年の中国の経済成長率は政府目標の5・0%を達成した。しかし地方政府による巨額の不動産開発が各地で頓挫し、日本のバブル崩壊と同様に消費不振に陥っているのが実情だ。国内でさばき切れない鉄鋼や電気自動車で輸出攻勢をかけた結果、価格急落など世界市場にも影響を及ぼしている。

 日本人学校に通学途中の小学生が犠牲になるなど無差別殺傷事件が相次ぐのは、景気低迷で社会全体の閉塞(へいそく)感が高まっている証しといえる。全人代では暴力犯罪を「厳しく処罰する」と強調したが、対症療法に過ぎない。農村と都市部で広がる一方の経済格差を解消し、若者の働き口を増やすなど、内需の拡大にも結びつくような国民生活の安定策を講じるべきだ。

 全人代に合わせて会見した王毅外相は、日中関係が「改善と発展の前向きな勢い」を示していると述べた。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に対する強硬な姿勢を一部見直すなど、最近になって日本との距離を縮めようとしているのはトランプ政権への対抗策の一環だろう。

 一方で王氏は台湾について「必ず統一する」とし、「面倒を起こせば日本に問題をもたらす」と日本が関与しないよう警告した。力で台湾を抑え込もうとすればアジアの安全保障にとどまらず、法の支配に基づく国際秩序が揺さぶられる。台湾問題は日本として重大な関心事であると改めて強調しておきたい。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・03.12》:中国全人代閉幕 協調語るなら強権改めよ

2025-03-16 09:31:10 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説②・03.12》:中国全人代閉幕 協調語るなら強権改めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・03.12》:中国全人代閉幕 協調語るなら強権改めよ 

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。

 習近平指導部は、今年の国内総生産(GDP)成長率目標を前年と同じ「5%前後」に

設定すると表明。外交政策では「一国主義や保護主義に反対する」として、国際協調を重視する方針を打ち出している。

 「米国第一」を掲げて各国と亀裂を深める米トランプ政権に対抗し、世界で求心力を高める意図を鮮明にした。

 それならば、世界第2位の経済大国として景気を確実に回復させるとともに、自らの強権的な手法を改めなければならない。

 不動産不況が続き、個人消費は伸び悩む。トランプ政権の対中関税で貿易摩擦が激化すれば、外需頼みの成長も見込めない。

 昨年は海外から中国への直接投資が8年ぶりの低水準となった。外資企業は中国市場の成長力に悲観的な見方を強めている。対策として積極的な財政出動で内需拡大を図る方針を示したが、昨年来の補助金支給による消費刺激策だけでは需要の先食いに終わる。

 中国では若者の高失業率が社会問題化する。市民が消費をためらうのは、将来不安が拭えないからではないか。脆弱(ぜいじゃく)とされる社会保障制度の拡充や格差是正にも本腰を入れるべきだ。

 米国や欧州連合(EU)は、中国製品が政府の補助金の下支えで過剰生産され、不当な安値で輸出されていると警戒する。内需の不振を補うため海外市場での不公正な通商政策を押し通すなら、米国の保護主義を批判できない。

 景気低迷の中でも軍拡路線は継続する。全人代で承認した予算の国防費は4年連続で伸び率が7%を超えた。具体的な装備の調達目標などには触れず、各国が懸念する不透明感を拭えていない。

 全人代に合わせて記者会見した王毅外相は、トランプ政権について「強権や覇権に断固反対する」とし、「大国は大国の責任を果たすべきだ」と非難した。

 それでいて中国は台湾を武力統一する可能性も排除せず、周辺で軍事演習を重ねて威圧を強める。南シナ海では領有権を争うフィリピンと衝突を繰り返す。

 力で現状変更を試みる覇権主義的な行動は、中国こそ自制すべきだ。ウクライナ戦争を巡ってロシアをいさめることなく、国際法を無視した侵攻を許容してきた姿勢にも問題がある。

 国際協調を口にして信頼を得ようとするなら、大国としての責任を果たしてもらいたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月12日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・03.07】:中国の全人代 強気の目標に潜むほころび

2025-03-07 05:00:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・03.07】:中国の全人代 強気の目標に潜むほころび

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.07】:中国の全人代 強気の目標に潜むほころび

 米国のトランプ政権からの圧力をかわしつつ、経済と軍事の両面で足場固めを急ぎ、国際的な影響力の向上を図る、というのが中国の習近平政権の戦略なのだろう。 

 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)で、李強首相が政府活動報告を行った。今年の国内総生産(GDP)の成長率目標を「5%前後」とし、3年連続で据え置いた。

 長引く不動産不況に加え、トランプ政権が1か月半に2度、計20%の追加関税を発動するなど米側の圧力が強まる中で、強気の目標設定と言える。

 米国との貿易摩擦が激化すれば、中国経済を 牽引 けんいん してきた外需が深刻な打撃を受けるのは避けられない。こうした状況下で、李氏は内需拡大を最重要視し、消費を喚起していく姿勢を強調した。

 償還までの期間が長い超長期特別国債の規模を拡大し、一部を自動車や家電などの買い替え支援にあてる方針という。

 だが、景気の停滞で、消費者の節約志向は高まっている。治安も悪化し、各地で無差別殺傷事件が起きている。

 経済の発展と社会の安定の両立という目標を達成するには、目先の景気刺激策だけでなく、医療や年金など社会保障制度を充実させることが不可欠ではないか。

 しかし、軍事予算案には過去最高の約36兆7600億円が計上され、成長率目標を上回る前年比7・2%増の伸び率となった。人工知能(AI)などを利用した「新たな質の戦闘力」を強化する。

 一方、中国軍内では汚職が 蔓延 まんえん し、高官の摘発が相次いでいる。軍拡路線の内部で一体何が起きているのか。日本周辺の安全保障環境に影響を与える中国軍の動向に引き続き注視が欠かせない。

 活動報告では、中国外交の成果として「真の多国間主義を堅持し、地球規模の課題への対応と地域紛争の解決に役割を果たした」と主張した。中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」を通じ、対外協力を推進する方針も示した。

 「米国第一」を掲げ、新興・途上国への経済援助の停止を表明したトランプ政権との違いを際立たせ、国際社会における求心力を高めようとする狙いは明らかだ。

 報告では、米国を念頭に「覇権主義・強権政治」に反対すると明記した。だが、中国が台湾を軍事的に威嚇していることや、ウクライナを侵略するロシアを非難しないことについても、多くの国が強権的だと受け止めている。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月07日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月07日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.03】:中国の人口減少 少子高齢化にどう向き合うか

2025-02-03 05:00:55 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・02.03】:中国の人口減少 少子高齢化にどう向き合うか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.03】:中国の人口減少 少子高齢化にどう向き合うか

 日本や韓国に続き、中国も本格的な人口減少時代に突入した。少子化を食い止め、社会や経済の活力を維持するにはどうすべきか。各国に共通する重い課題である。 

 中国本土の総人口が2024年末時点で14億828万人となり、前年から139万人減った。中国の人口は22年に減少に転じていたが、3年連続の減少は1949年の建国以来、初めてだ。

 出生数は、前年比では52万人増の954万人となり、8年ぶりに増加した。縁起が良いとされる 辰 たつ 年だったことが影響したとみられる。しかし、出生数自体は3年連続で1000万人を下回った。少子化の流れは続いている。

 国連によれば、中国の人口は今世紀末には6億3300万人へと半減する見通しだという。

 中国は、人口が国力を左右するとの考えから、国家主導で人口をコントロールしようとしてきた。建国当初は出産を奨励したが、人口爆発への懸念が高まると、1979年に「一人っ子政策」を導入し、人口抑制へと 舵 かじ を切った。

 しかし、2000年代に入り、今度は少子化による労働力不足や経済成長への影響を指摘する声が強まった。非人道的な産児制限が横行し、人口の男女比が男性に偏るなどの問題も生じた。

 このため、16年に一人っ子政策を緩和して2人目の出産を認め、21年には3人目を持つことも可能となった。だが、今のところ出生数増加にはつながっていない。

 育児や教育に多額の費用がかかり、「1人で精いっぱい」という人が多いからだろう。

 これに対し、中国の習近平国家主席は「若者の結婚や恋愛、出産観に対する指導」を強めるよう指示した。昨年秋には、産休・育休制度の改善や託児サービスの充実などの対策を打ち出した。

 しかし、国主導で非婚化や晩婚化の流れを止めるのは容易ではない。価値観の多様化に加え、近年は経済成長の鈍化や格差拡大などから将来に希望を持てず、結婚をあきらめる人も少なくない。

 日韓も同じような深刻な状況に直面している。高齢化が同時に進んでいる点も変わらない。

 ただ、中国は日本を上回るスピードで人口減が進むとみられ、急激な変化が世界経済にも影響を与える可能性がある。医療・介護などの社会保障制度はなお 脆弱 ぜいじゃく で、少子高齢化が社会の不安定化につながらないかも気になる点だ。

 日中韓は知恵を出し合い、打開策を探っていくべきだ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響

2025-01-31 02:01:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.31》:中国経済の減速 懸念される世界への影響

 中国経済の低迷が長引き、回復の兆しが見えない。米国との貿易戦争が再燃する可能性もあり、世界への影響が懸念される。

 2024年の国内総生産(GDP)の成長率は、物価変動を除いた実質で5・0%となった。政府目標の5%前後には届いたが、23年の5・2%から減速した。

建設が止まった状態の巨大ビル=中国・遼寧省瀋陽市で2025年1月12日、松倉佑輔撮影

 物価の影響を反映し、生活実感に近いとされる名目GDPの伸びは4・2%にとどまった。デフレに陥るリスクが高まっている。

 景気減速の主な要因は、不動産不況の長期化と消費の伸び悩みだ。24年の不動産開発投資は前年比10・6%減で3年連続のマイナスとなった。国民の節約志向が強まり、消費者物価指数の上昇率は0・2%とほぼ横ばいだ。

 一方、24年の輸出総額は前年比5・9%増で、貿易黒字は過去最高を記録した。内需の不振を輸出でカバーする構図となっている。

 米欧は、中国企業が政府の補助金で電気自動車(EV)などの価格競争力を高め、輸出攻勢をかけていると批判している。

 トランプ米大統領は中国製品に高関税を課す構えで、頼みの綱の輸出に対する逆風が強まりそうだ。中国が報復関税などで応じれば、1期目のような貿易戦争に発展することは避けられない。

 問われているのは、中国が輸出依存から脱却し、内需主導の成長モデルを確立できるかである。

 習近平指導部は今年の経済運営で内需拡大を重要課題と掲げ、金融緩和と財政出動の方針を示す。

 既に自動車や家電製品の買い替え補助をはじめとする景気刺激策を実施しているが、消費低迷の背景にある国民の不安を解消するものとは言えない。

 不動産不況を克服する道筋を示すとともに、格差の是正や社会保障の拡充といった構造的な問題に取り組む必要がある。いずれも痛みを伴うが、持続的な成長を目指すならば先送りはできない。

 中国の24年末の総人口は14億828万人で、建国以来初めて3年連続の減少となった。16年まで続いた「一人っ子政策」の影響に加え、景気の停滞も少子化に拍車をかけるとみられている。

 習指導部は難題に背を向けるのではなく、実効性のある政策で経済を立て直すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月31日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.29》:「東風が西風を圧倒している」…

2025-01-29 02:05:30 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

《余録・01.29》:「東風が西風を圧倒している」…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.29》:「東風が西風を圧倒している」…

 「東風が西風を圧倒している」。中国の毛沢東主席が1957年にソ連を訪れた際、モスクワの中国人留学生に語った言葉だ。ソ連が人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げを成功させた直後だった

スマホに映し出された中国製AIアプリ「ディープシーク」の画面=北京で28日、AP
 
スプートニク衛星が展示され、大勢の観客が行列を作ったソ連館=大阪での第5回日本国際見本市で1958年4月
 
 ▲「小さなボールを空中に放り投げただけだ」。過小評価するアイゼンハワー米大統領の発言はむしろ米国民の不安をかき立てた。最大のライバルに科学技術で差をつけられた衝撃が広がった

 ▲そんな歴史が思い浮かぶ。「AI(人工知能)におけるスプートニク」と形容する投資家も現れた。中国の新興企業「ディープシーク」が低コストで開発した生成AI。最先端のチャットGPTに匹敵するという調査結果が伝わり、世界的に半導体などハイテク株が大幅安となった

 ▲AIは軍事力も左右する。米国は関連技術の輸出を規制し、中国の台頭を防ごうとしてきた。簡単に並ばれては米国の技術的優位や巨額の投資で米景気を支えるAI産業の先行きに疑問符がつく

 ▲「科学技術の奇襲」。中国メディアは旧正月前に飛び込んだ「朗報」を喜んだが、中国の技術が先行したわけではない。「天安門事件とは?」と聞くと「現時点ではお答えできない。話題を変えよう」と当局に配慮するAIでもある

 ▲スプートニク・ショックは米国の軍事、宇宙技術開発を促し、「東風が西風を圧倒する」事態は長続きしなかった。トランプ米大統領は米企業に「警鐘とすべきだ」と求めた。今度も逆襲につながるのか。米中競争の激化は必至である。 

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【社説②・01.26】:中国経済減速 本格回復への道筋が見えない

2025-01-26 05:00:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説②・01.26】:中国経済減速 本格回復への道筋が見えない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.26】:中国経済減速 本格回復への道筋が見えない

 停滞が続く中国経済の本格的な回復は、なお見通せない。米国のトランプ新大統領が高関税政策を断行すれば、中国が世界経済にとってのリスク要因にもなるだろう。

 中国の2024年の国内総生産(GDP)は、実質で前年比5・0%増となった。前年の5・2%から減速したものの、政府が目標として掲げてきた「5・0%前後」は辛うじて達成した形だ。

 昨年秋に、政府目標の達成が微妙になり、自動車や家電の買い替え促進や金融緩和といった経済対策を相次いで実施したことが、一定の効果をもたらしたようだ。

 だが、内実は楽観できるものではない。関連産業を含め、GDPの4分の1を占める不動産部門の不況が長期化しているためだ。

 マンションなどの不動産開発投資は10・6%減と、3年連続で前年を下回り、新築不動産の販売面積も10%超、減少した。

 中国では家計資産に占める不動産の割合が大きく、市場が低迷すれば消費にも響く。だが、政府は短期的に痛みが生じる不動産問題の抜本的な処理には及び腰だ。

 少子高齢化が急速に進む中、内需の不足でデフレ傾向が強まり、長期に停滞した点で、日本に似てきたとの指摘も増えている。若者を中心として失業率が高止まりし、節約志向も広がっている。

 習近平政権の言論統制の強化などによる 閉塞 へいそく 感も、経済に悪影響を及ぼしているとみられる。

 中国市場の動向は世界経済に大きな影響を及ぼす。日本も警戒感を高めるべきである。

 一方で、中国政府は、こうした苦境を、海外への輸出を増やすことで乗り切ろうとしている。

 中国では国有企業の存在感が大きく、国の影響が強い金融機関も多い。巨額の不公正な補助金などによる支援で、公平な競争が損なわれているとの批判は根強い。

 特に電気自動車(EV)や太陽光パネルといった脱炭素の産業育成に注力し、過剰に生産した製品を輸出に回している。中国の24年の貿易黒字は約150兆円と、過去最高を更新した。これでは各国との 軋轢 あつれき は強まるばかりだ。

 トランプ新大統領は、貿易赤字を問題視し、中国などに高関税を課す考えを示している。実際に関税を発動すれば、経済に深刻な打撃を与えることは避けられない。内憂外患とも言える状況だ。

 持続的な発展を実現するには、投資や輸出ばかりに頼るのではなく、消費や内需が主導する経済へと転換していく必要があろう。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国際情勢】:習近平氏とトランプ氏電話会談 米中関係巡り意見交換か

2025-01-18 00:58:00 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【国際情勢】:習近平氏とトランプ氏電話会談 米中関係巡り意見交換か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国際情勢】:習近平氏とトランプ氏電話会談 米中関係巡り意見交換か

 中国の習近平国家主席は17日、トランプ次期米大統領と電話会談した。中国国営通信、新華社が伝えた。20日にトランプ氏の大統領就任を控え、両国関係を巡り意見交換したとみられる。トランプ氏は関税引き上げなど対中強硬策を掲げており、中国側は貿易摩擦が強まるとみて警戒を強めている。

中国の習近平国家主席(左)とトランプ次期米大統領(共同)中国の習近平国家主席(左)とトランプ次期米大統領(共同)

 トランプ氏は習氏を就任式に招待したが、習氏本人の出席は見送られた。中国外務省は17日、韓正国家副主席が習氏の特別代表として就任式に出席すると発表。同省は報道官談話で「米国の新政府と対話を強化し、意見の食い違いを適切にコントロールして協力を切り開く」と表明し、両国関係の安定した発展への意欲を示した。

 習指導部はトランプ氏の就任後、米中対立が激化して低迷している経済がさらに打撃を受けるとみて、新興・途上国「グローバルサウス」や欧州との関係強化を図っている。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・国際情勢・中国・米国】  2024年01月18日 00:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.15】:中国の対外政策 「微笑外交」は見せかけだけか

2025-01-16 05:00:45 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・01.15】:中国の対外政策 「微笑外交」は見せかけだけか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.15】:中国の対外政策 「微笑外交」は見せかけだけか

 好戦的な言動で相手を威圧する「 戦狼 せんろう 外交」を封印したというよりも、中国自身の都合に合わせて態度を使い分けているように見える。 

 中国の習近平政権が周辺国との関係改善を急いでいる。特にオーストラリアやインド、日本など、米国の同盟・友好国への対応の軟化が目立つ。

 対中強硬姿勢を鮮明にしているトランプ次期米政権と、これらの国々が一致して中国に圧力を加える事態にならないよう、布石を打っているのだろう。

 豪政府は昨年12月、中国が豪州産牛肉の一部に課していた輸入規制の撤廃で合意したと発表した。これに先駆け、豪州産ロブスターの中国への輸入制限を解除することでも合意に達していた。

 両国関係は、豪政府が2020年に新型コロナウイルスの発生源の独立した調査を求めたことから険悪化した。中国は豪州産品の輸入を幅広く制限していたが、全面的に解除される。

 中国は、国境問題で対立してきたインドとの間でも、昨年10月に5年ぶりとなる公式首脳会談を行った。19年を最後に途絶えていた国境線を巡る特別代表者同士の対話も再開させた。

 トランプ氏は中国からの輸入品に一律60%の関税をかける考えを示している。中国は国内経済がさらに冷え込む事態を想定し、経済・貿易分野で協力できる国を増やそうとしているとみられる。

 中国が昨秋、コロナ禍で停止した日本人への短期訪中ビザ免除措置を再開したのも、経済交流や投資の拡大を期待してのことだろう。14日には訪中した自民党の森山幹事長らが中国側と6年ぶりの与党交流協議会を開いた。

 習政権は「多国間協調」や「相互利益」を掲げている。中国が本気で対話を重視するのであれば、日本などにとっては2国間の課題を解決する好機となり得る。

 しかし、中国は最近の「微笑外交」の一方で、「国家の安全」の確保などを理由に、力で相手を屈服させようとする横暴な手法を捨ててはいない。

 沖縄の尖閣諸島周辺では中国海警局の船が頻繁に日本領海に侵入している。南シナ海では海警船がフィリピン船に体当たりしたり、放水したりする事案が相次ぐ。台湾周辺では大規模な軍事演習を繰り返している。

 中国が各国の信頼を得て、望ましい国際環境を実現するには、自らの言行不一致を正すことから始めるべきではないか。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・01.13】:中国系ハッカー 能動サイバー防御を急げ

2025-01-15 05:03:45 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【主張①・01.13】:中国系ハッカー 能動サイバー防御を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・01.13】:中国系ハッカー 能動サイバー防御を急げ 

 警察庁が、中国政府の関与が疑われるハッカー集団「ミラーフェース」による対日サイバー攻撃の実態を明らかにした。

 令和元年から昨年までに、この中国系ハッカー集団が日本の安全保障や先端技術に関する情報を狙って210件のサイバー攻撃を仕掛けてきたことが確認された。警察庁サイバー特捜部と全国の警察の捜査によるものだ。

 到底容認できない攻撃である。石破茂政権は中国政府に一切のサイバー攻撃をやめるよう要求すべきだ。攻撃側のサーバーを無力化する「能動的サイバー防御」導入も急がれる。24日召集の通常国会で関連法案を必ず成立させる必要がある。

 「ミラーフェース」の手口は、マルウエア(悪意あるソフト)をメールに添付したり、ダウンロードさせるリンクを送信したりして感染させる「標的型メール攻撃」や、外部から内部ネットワークに接続するための仮想専用線(VPN)の脆弱(ぜいじゃく)性に乗じ侵入する「ネットワーク貫通型攻撃」などだ。

 外務省や防衛省、内閣官房、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、シンクタンク、先端技術を持つ民間企業とその関係者、政治家らを攻撃した。安保や先端技術の情報を盗み見ていた恐れがある。

 使われていたマルウエアは、中国の諜報機関である国家安全省とつながりがあるとされた別のハッカー集団のものと類似していた。マルウエアのコードには中国の簡体字があった。攻撃のタイミングが中国側の勤務時間であったり、長期休暇の期間は攻撃がなかったりした。

 これらから、警察庁は「ミラーフェース」には中国政府の関与が疑われると判断した。関与断定へ捜査を続け、断定時は名指しで中国政府を批判する「パブリックアトリビューション」を実施する。

 警察庁が中国政府の関与の疑いを公表した意味合いは極めて大きい。現時点でも十分、外交で取り上げるべき案件だ。まさか、王毅中国共産党政治局員兼外相の来日が近くあるから断定を控えたわけではなかろう。

 過去にも中国系ハッカー集団の対日サイバー攻撃はあった。石破首相と岩屋毅外相は、王氏との会談で、今回の「ミラーフェース」も含め主要議題にしなければならない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2025年01月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・12.31】:マカオ返還25年 香港統治の先例にするな

2024-12-31 05:03:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【主張②・12.31】:マカオ返還25年 香港統治の先例にするな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.31】:マカオ返還25年 香港統治の先例にするな 

 マカオがポルトガルから中国に返還されて25年が過ぎた。習近平国家主席はマカオを訪問し、中国による直接統治を強化すると表明した。マカオには香港同様、「一国二制度」で高度な自治が保障されているはずだ。断じて容認できない。

20日、マカオ返還25年の式典で演説する中国の習近平国家主席(ロイター)

 マカオは人口約68万人で、世界一のカジノの街として知られる。16世紀、当時の明朝からマカオの居住権を獲得して始まったポルトガルの支配は、1999年12月20日の中国への返還で終止符が打たれた。

 カジノに絡んで暴力団と癒着し、治安悪化を放置したポルトガル統治への失望感も手伝い、もともとマカオ住民は中国への帰属意識が強い。〝中国化〟のスピードは香港を上回る。

 今月20日、マカオで開かれた返還25年記念式典に出席した習氏は「国家の主権と安全を何より優先する」と述べ、中国の全面的な統治権を確立しなければならないと強調した。それは同日、マカオ政府トップの行政長官に就任した岑(しん)浩(こう)輝(き)氏の経歴を見ても明らかだ。

 岑氏はマカオ出身ではない。中国広東省生まれである。マカオ行政長官は4人目だが、初めて中国本土出身者がトップに就任したことになる。高度な自治の象徴でもあった「マカオ人によるマカオ統治」の原則の否定にほかならない。懸念されるのは、同じ一国二制度下の香港にもマカオ式が適用されるのではないかということだ。

 5年前の2019年12月にマカオで行われた返還20年記念式典に出席した習氏は「マカオの一国二制度は成功を収めた」とマカオ政府を称賛した。当時、反中デモが続発していた香港が念頭にあったのは明らかだ。

 習政権は半年後の20年6月、香港に国家安全維持法(国安法)を導入し、デモを押さえ込んだ。その後、議会から民主派を排除する選挙制度の見直しも香港政府を通じて強行した。国安法の施行も、議会における民主派排除もマカオで先行して実施されていたものである。

 デモ弾圧後、「愛国者治港」(愛国者による香港統治)を推し進める習政権が将来的に、香港にも中国本土出身者の行政長官を就任させ、中国による直接統治を完成させる恐れがある。マカオや香港でこれ以上の強権統治を許してはならない。国際社会は監視を強化すべきだ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・12.30】:日中外相会談 懸案解決へ具体策を講じよ

2024-12-31 05:00:45 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【社説①・12.30】:日中外相会談 懸案解決へ具体策を講じよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.30】:日中外相会談 懸案解決へ具体策を講じよ

 友好ムードを演出するだけで、懸案が何一つ前進しないのでは、日中間の安定的な関係の構築など望めまい。

 いずれの問題も、解決する責任はまず中国にある。早急に具体策を講じるべきだ。

 岩屋外相が訪中し、中国の王毅外相と会談した。約3時間の会談で両外相は、日中双方の利益を追求する「戦略的互恵関係」の推進を確認したほか、王氏が来年早期に来日し、その際に閣僚級の経済対話を開くことでも一致した。

 会談で王氏は「中日関係が安定すれば、アジアが国際社会で重要な役割を果たせる」と述べた。

 先月には、ペルーでの国際会議に合わせて石破首相と中国の習近平国家主席が初めて会談した。重層的な対話を継続し、日中間の様々な課題を着実に処理していくことが不可欠である。

 だが、懸案は解決に向かうどころか、むしろ悪化している。

 政府は今月、沖縄県の与那国島南方の排他的経済水域(EEZ)内に、中国当局が新たに設置したブイを発見した。ブイには「中国気象局」と表記されていた。

 中国のブイは、昨夏に尖閣沖のEEZ内で、また今年6月には、四国南方にある日本の大陸棚の海域でも見つかっている。日米などの潜水艦の情報収集や、日本周辺の海底ケーブルの調査が狙いではないか、といった見方がある。

 岩屋氏は会談で全てのブイの即時撤去を求めた。これに対し王氏がどう返答したかは、日中双方とも説明していない。そもそも日本政府は、外相会談後まで、新たなブイの存在を公表しなかった。

 日本の海洋権益が脅かされそうになっているのに、日中関係の悪化を懸念して公表をためらっているのだとすれば、ふがいない。

 日本の同意なくEEZ内にブイを設置する行為は、国連海洋法条約に違反している。中国が撤去に応じないのであれば、事前通告をしたうえで日本が撤去することも検討する必要がある。

 岩屋氏は会談で、中国政府による日本産水産物の輸入規制を早期に撤廃するよう改めて求めた。輸入再開の方針は、日中首脳が先月の会談でも確認している。中国政府がいまだに実行していないのは誠実さに欠ける。

 9月に中国・深圳の日本人学校に通う男児が刺殺された事件について、中国政府は今も動機などの説明を拒んでいる。日本人を含め在留外国人の安全は確保している、といった一般論を述べるだけでは、とても信用できない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・12.27】:日中外相会談 「北京詣で」は感心できぬ

2024-12-27 05:03:50 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【主張①・12.27】:日中外相会談 「北京詣で」は感心できぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.27】:日中外相会談 「北京詣で」は感心できぬ 

 経済的苦境に喘(あえ)ぎ、トランプ次期米政権の対中強硬姿勢を懸念する中国が、米国と友好関係にある国々に、実の伴わない秋波を送っている。

 それにうかうかと乗ってしまったのが石破茂政権だ。危惧せざるを得ない。

王毅外相(右)と握手する岩屋外相(代表撮影・共同)

 岩屋毅外相が中国・北京で王毅共産党政治局員兼外相と会談した。戦略的互恵関係の包括的推進を改めて確認し、王氏の来年早期の訪日と、その際の「ハイレベル経済対話」開催で一致した。

 岩屋氏は会談で「課題と懸案を減らし、協力と連携を増やす第一歩としたい」と述べた。北京で開いた「ハイレベル人的・文化交流対話」では、中国人の観光滞在査証(ビザ)について、10年間繰り返し使用できる数次査証の新設を表明した。

 対中認識が甘すぎないか。石破首相は11月の習近平国家主席との首脳会談について「かみ合った」と胸を張った。岩屋氏は首相と同じくらいピントがずれている。

 王氏は会談で「(岩屋)大臣は中日関係を一貫して重視しており、高く評価したい」と述べたが、喜んではいられない。石破政権に中国側は猫なで声で接しても実際の対日行動はほとんど改まっていないからだ。

 岩屋氏が議題にしたように、沖縄・先島諸島と台湾との間の日本の排他的経済水域(EEZ)に新たな中国ブイが見つかった。岩屋氏は抗議し、即時撤去を求めたが不十分だった。日本周辺の他のブイも含め、ごく短期の期限で撤去を求め、応じなければ日本側が撤去、無害化すると通告すべきだった。

 スパイ容疑で捕まった邦人の拘束は解かれず、日本人児童刺殺事件の詳細情報も明かされない。日本産水産物の輸入停止は今も続いている。

 極めて残念だったのは、岩屋氏が、靖国神社の社号標を汚し、中国に逃亡した中国人容疑者の引き渡しを求めなかったことだ。英霊を敬う心が乏しいようでは外相失格である。

 今必要なのは「北京詣で」ではない。トランプ次期政権要人と対中認識・戦略のすり合わせを始めることだ。日本は独自に外交政策を決める独立国だ。ただし、中国の軍事的脅威は大きい。中国との形ばかりの「意思疎通」を喜ぶよりも同盟国との緊密な連携こそ欠かせない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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