路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・02.21】:エネルギー計画/国民の声無視する決定だ

2025-02-21 06:01:00 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①・02.21】:エネルギー計画/国民の声無視する決定だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.21】:エネルギー計画/国民の声無視する決定だ 

 中長期的な国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」を政府が約3年ぶりに改定し、閣議決定した。東京電力福島第1原発事故の反省から記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現を削除し、建て替え要件を緩和した。同じ電力会社であれば、別の原発の立地場所で建設できるようになる。原発回帰を明確にした内容で、極めて大きな政策転換である。

 昨年12月に経済産業省が示した計画原案に対しては「事故の教訓をないがしろにする」などの批判が相次いだ。武藤容治経産相も「特に(原発)立地県で懸念があるのは事実」と認めた。にもかかわらず、政府は「真摯(しんし)に受け止める」との文言を追加したのみで、骨格は原案を維持した。原発に不安を抱く国民の声を無視する決定と言わざるを得ない。

 計画が示す柱の一つは、2040年度の発電量全体に占める電源別の割合である。23年度実績で8・5%の原発は2割程度に引き上げる。

 これを実現するには30基以上の原発が必要になる。だが福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準は非常に厳しく、再稼働した原発は14基にとどまる。建て替えなどを進めるとしても地元同意が欠かせず、稼働の倍増が可能か疑わしい。

 原発を巡っては使用済み核燃料の再処理や高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分などのめどが立たず、福島第1原発の廃炉も見通せていない。問題が山積する中でなぜ原発に回帰するのか、政府は国民に丁寧な説明をするべきだ。

 基本計画に合わせ政府は新たな地球温暖化対策計画も閣議決定した。温室効果ガスの排出削減目標を「35年度に13年度比60%減、40年度に同73%減」とした。35年度の数値は、国際枠組み「パリ協定」で定めた気温上昇を1・5度以内に抑える目標に必要な水準を6ポイント下回る。

 十分な目標を出せないのは、火力発電の割合が高いためだとされる。23年度は68・6%、基本計画では40年度も3~4割程度を占める。しかも二酸化炭素の排出が多い石炭火力の割合は明示していない。これで国際社会の理解を得るのは難しい。

 原発や火力への依存を減らすには再生可能エネルギーの拡大が急務となる。基本計画では、23年度に22・9%だった再エネを40年度には4~5割程度に増やすとした。さらなる引き上げに向け、洋上風力発電や折り曲げ可能なペロブスカイト太陽電池などの活用が期待される。

 物価高によるコスト増など再エネにも課題があるのは確かだが、次世代の成長分野でもある。脱炭素と経済の両立に向け、政府には技術革新などを後押ししてもらいたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・01.14】:原発の核廃棄物 地層処分施設の展望開け 道知事は「概要調査」の容認を

2025-01-15 05:03:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【主張①・01.14】:原発の核廃棄物 地層処分施設の展望開け 道知事は「概要調査」の容認を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・01.14】:原発の核廃棄物 地層処分施設の展望開け 道知事は「概要調査」の容認を 

 脱炭素の国際潮流に日本が足並みをそろえるには原発の持続可能な活用が必要だ。そのためには原子力発電に伴う高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分が欠かせない。

 世界の主要な原発保有国で地層処分施設の建設や候補地探しが進んでいる。日本では原子力発電環境整備機構(NUMO)による3段階のプロセス中、第2段階の「概要調査」の扉の前に到着した状態だ。

 令和2年から行われてきた北海道寿都町と神恵内村に関する第1段階の「文献調査」報告書が昨秋まとまり、北海道の鈴木直道知事と両町村長に提出された。概要調査の対象になり得るエリアが2町村内に存在することが示されている。

原発の高レベル放射性廃棄物の最終処分場を巡り、原子力発電環境整備機構の山口彰理事長(左)から文献調査の報告書を受け取る北海道の鈴木直道知事=北海道庁

 ◆核抜きの条例は古い

 概要調査では、音波や電磁波などを用いる物理探査で地下の地質構造を把握する。その主眼は第3段階の「精密調査」に進めるかどうかの見極めだ。地層処分施設の建設には直結しないので、鈴木知事にはぜひとも概要調査の実施に同意してもらいたい。

 海外の例に照らすと地層処分の最適地を選ぶには、10地点ほどの文献調査地の存在が望ましい。日本での文献調査は昨年6月に受け入れた佐賀県玄海町を含めた3地点のみである。

 北海道の両町村で国内初の概要調査が始まれば、地層処分に関する全国的な関心の高まりが期待される。文献調査を志向しながら、ためらっていた市町村長がいれば、その背中を押すことになるはずだ。

 概要調査に進んでも地質構造が不適と分かれば精密調査には進めない。処分地選びから外される。また、適していても当該首長は精密調査の受け入れを拒めるルールになっている。

 現況では、さらなる文献調査地点の出現が必要であるにもかかわらず、鈴木知事が概要調査の受け入れに難色を示しているのは困ったことだ。同氏が正式に反対を表明すれば、地層処分の候補地探しは、玄海町を残すのみとなり、振り出し状態に戻ってしまう。

 鈴木氏が難色を示すよりどころは「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」だが、条文の説得力が希薄化していることを指摘しておきたい。

 略称「核抜き条例」の条文にはHLWの「処分方法が十分確立されておらず」「受け入れ難い」と記されているが、公布は平成12年なので四半世紀前の技術を批判したものだ。その後、地層処分技術は格段の進歩を遂げているので、技術を不十分とするのは当たらない。しかも研究が進めば受け入れると解釈できる文言も含まれている。

 さらに指摘するなら、HLWは北海道内の原発でも発生しているではないか。概要調査への反対は、この道産HLWを他地域へ押しつけることを意味するが、それでよいのか。

 繰り返すが、概要調査に進むことが最終処分施設の立地に直結することはあり得ない。他により適した地質条件を備えた候補地が出現すれば北海道内に誘致しようとしても、その望みはかなわない。地下300メートル以深の岩盤中にトンネル網を構築する地層処分施設は、国内で1カ所に限定されているからだ。

 フィンランドでは世界に先駆け、昨年からHLWの地層処分施設の試験操業が始まっている。それに続くスウェーデンでは地層処分地が決定しており、「ハイテク技術が集まる工業地域」との位置づけだ。

 ◆鈴木知事の熟慮を望む

 国が知事や両町村長に概要調査の受け入れ可否を正式に打診するまでには所定の手続きにかなりの日数を要する見通しだ。その間に鈴木氏には熟慮を重ねて再考してもらいたい。知事の強権で概要調査の実施を拒否すれば、寿都町と神恵内村で積み上げられた前向きの民意の芽を摘むことになるが、それでよいのか。

 地層処分施設の建設は、国のエネルギー政策の根幹に関わる重要課題であることを忘れないでもらいたい。地層処分施設の建設の遅れは、各原発の使用済み燃料プールの満杯を招き、発電停止を余儀なくされる。

 これでは国が目指す25年後のカーボンニュートラルの実現は不可能だ。脱炭素と経済成長を連動させる「グリーントランスフォーメーション(GX)」も絵に描いた餅になる。

 北海道知事には地域と国全体の将来を構想する力量が鋭く問われている。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2025年01月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【読売新聞調査】:運転40年超の原発は世界の4割、日本は上限ルール影響し2割

2025-01-10 05:00:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【読売新聞調査】:運転40年超の原発は世界の4割、日本は上限ルール影響し2割

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【読売新聞調査】:運転40年超の原発は世界の4割、日本は上限ルール影響し2割

 世界の原子力発電所のうち、40年を超えて運転する原子炉が2025年に4割の173基に達する見通しであることが、読売新聞の集計でわかった。日本は2割で、専門家は背景として、東京電力福島第一原発事故後に全ての原発が停止し、運転期間の上限を原則40年とする「40年ルール」ができたことや厳格な安全対策を求める新規制基準を挙げる。日本と異なり、多くの国が原発の長期運転に頼る姿が浮き彫りになった。

40年を超えて運転する原子炉は2025年に世界の4割に上る
40年を超えて運転する原子炉は2025年に世界の4割に上る

 多くの国で40年超運転は、綿密な点検をしながら安全に実施されている。一方、日本では11年の福島第一原発事故を受け、翌12年に原子炉等規制法が改正され、40年超運転が制限された。

 読売新聞は国際原子力機関(IAEA)や日本原子力産業協会などの公表資料を基に、25年に運転開始から40年超となる世界の原発を集計した。その結果、25年に存続する計431基(1月9日時点)のうち、40年超の原子炉は173基(40%)を占めた。24年比では23%増となり、増加数は32基と過去最高だった。世界一の原発利用国の米国は、運転中の94基のうち64基(68%)が40年超になり、24年時点から7基(12%)増える。 

 日本は計33基のうち、25年に運転が40年を超える稼働中の原発は、高浜3、4号機(福井県)、川内2号機(鹿児島県)の計3基。既に40年超運転の原子炉を含めても21%の7基となっている。事故後に福島第一、第二原発の計10基のほか、全国の11基の廃炉が決まり、うち7基が40年未満だった。

  根井寿規ねいひさのり ・政策研究大学院大名誉教授(原子力安全政策)は、原子炉等規制法に基づく40年ルールと新規制基準の影響を指摘し、「耐震工事や防潮堤建設で多額のコストがかかり、採算が取れないと判断した事業者が多かった」と話す。

 ◆ 40年ルール =民主党政権下の2012年、与野党合意で決まった原子炉等規制法の規定。原子力規制委員会が認める場合は1回に限り、20年延長できる。40年超運転が認められるには、事業者が原子炉容器を超音波などで詳細に検査する「特別点検」を実施し、規制委の安全審査に合格しなければならない。

 

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 科学・IT 【世界の原子力発電所のうち、40年を超えて運転する原子炉が2025年に4割の173基に達する見通し】  2025年01月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・12.09】:島根原発再稼働|勢い増す原子力ムラ

2025-01-03 06:16:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【HUNTER・12.09】:島根原発再稼働|勢い増す原子力ムラ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.09】:島根原発再稼働|勢い増す原子力ムラ

 2011年の東日本大震災発生に伴って起きた東京電力福島第一第一原子力発電所の事故からもうじき14年。原発を取り巻く状況は大きく変わり、放射性物質をまき散らす過酷事故に対する恐れや、原発そのものへの忌避感は薄れる一方だ。シーベルトやベクレルという放射性物質に関する用語も、死語になった感さえある。

 福島第一の事故以前、54基あった原発は21基が廃炉となり残りは33基。停止していた国内各地の原発は原子力規制委員会の審査を経て13基が次々に再稼働を許され、さらに4基が動き出す予定となっていた。7日、そのうちの1基である中国電力島根原発2号機が再稼働した。国内にある原発の中で、県庁所在地にある唯一の核施設である。

 ■衰退した反原発 — 原子力ムラのターゲットは「子供

 島根2号機が再稼働する7日、現地を訪れた。2018年に取材した玄海原発の再稼働では、機動隊まで動員された物々しい警備の中、大勢の反原発派が集まったものだったが(*下の写真)、島根原発のゲート前でそうした状況は一切なかった。

 訪れた時間が再稼働(午後3時)前の午前中だったからなのか、警備員以外の人がいない。11時頃、取材の帰りに原発の敷地内にゾロゾロと入っていく報道関係者の姿を認めただけだった(*下の写真)。時間の経過が招いた“様変わり”だ。

 ただし警戒は厳重。原発に通じる道には数メートルおきにズラリと監視カメラが設置されており、正面はもちろん侵入口はすべて塞がれた状態となっている。

 国民の反原発感情が薄れるに従い、原子力ムラの勢いは増してきた。それを分かっていたつもりだったが、島根原発のそばにある原発の啓発施設「島根原子力館」(*下の写真)を訪ねて驚いた。

 将来を見据えての戦略的な動きだろう。中国電力=原子力ムラは「子供」をターゲットに、原発への親近感を持たせるような活動を展開しているのだ。島根原子力館は、毎月のように子供向けのイベントを開催しており、情報周知のために「リッキーフレンドクラブ」という名称のEメール会員まで募集している。2号機の再稼働当日も、大勢の親子連れが同館に集まり、2回の展示室で行われていた「クリスマスこどもまつり わんわん大サーカス」という催し物に歓声を上げていた。福島第一の事故から数年間の間には、絶対になかった光景だ。隔世の感を禁じ得ない。

 ■松江市街地から8.5キロに原発

 「10年ひと昔」という言葉があるが、原発事故の記憶がこうも早く薄れるものなのか。そもそも松江原発は前述したように県庁所在地にある唯一の核施設。いったん過酷事故が起きれば、被害は甚大なものとなる。同原発の30キロ内人口は、日本原電の東海第二、中部電力の浜岡に次いで3位となる約45万人。松江の中心地からは10キロも離れていない。下は、明治維新前までは国宝・松江城の域内にあった場所に建つ島根県庁。この辺りは、まさに県と県都の中心地なのである。

 松江城周辺を歩いていて見つけたのが、堀のそばの塀にあった掲示版だ。今、これを見て危機感を抱く人は少ないかもしれない。報道も淡々と島根2号機の再稼働を伝えるだけで、批判的な記事を発信する大手メディアは皆無に近い。

 ■原発の新増設を主張する国民民主党

 政治もフクシマを忘れたかのように、原発推進を主張する輩が増えた。安倍晋三政権以来、原発再稼働が進み、ついには野党の中から原発のリプレース(建て替え)や新増設を公約に掲げる党が出てきた。「手取りを増やす」「103万円の壁」で衆議院の議席を4倍の28まで増やした国民民主党である。

 国民民主党の最大の支持団体は旧同盟系の民間労組。電力会社の社員が組織する全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)もその一つだ。旧民主党時代から参議院における電力総連の組織内候補は、関西電力労組と東京電力労組のそれぞれの出身者が議席を有する仕組みとなっており、現在は東電労組から竹詰仁氏、関電労組から浜野喜史氏が参議院議員としての議席を得て活動している。

 二人の国会活動は、まさに原発推進を主目的としているのが明白。竹詰氏のホームページにある活動報告は組合対応ばかりだ(*下は同氏のHPより

 浜野氏もエネルギー関連の活動が多く、原発推進の姿勢が顕著だ。先月、原子力規制委員会は、新規制基準に照らし原子炉直下に活断層がある可能性が否定できないとして再稼働を不合格としたが、浜野氏は今年7月に圧力とも思える主張をX(旧ツイッター)にポストしていた(*下は浜野氏のXへの投稿)。

 政局のキャスティングボードを握って「ゆ党化」に前のめりとなる国民民主党は、政権入りを果たしたのも同然の状態だ。もともと原発推進の自民、公明と共に、公約通りの新設、増設を言い出すのは時間の問題だろう。無責任なのは、同党が衆院選にあたって公表した政策集の中に、核ゴミの最終処分場整備についての責任ある記述が見当たらないことだ。政策集の「原子力政策」には、こうある。

原子力に関する規制機関の審査体制の充実・強化や審査プロセスの合理化・効率化等を図り、適合性審査の長期化を解消します。データセンターや半導体工場の新規建設による電力需要の大幅増加も見据え、将来に渡る電力の安定供給を実現する必要があります。そのため、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、浮体式原子力発電など次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)、使用済燃料の処理・処分に関する革新的技術の研究開発、新たな発電・送電・蓄電技術や核融合技術の研究開発等を進め、経済安全保障の確保とカーボン・ニュートラルの両立を支える技術の確立、国内サプライチェーンの確保、国際競争力の強化、人材の維持・向上を図ります。

また、放射性廃棄物の処理や使用済燃料の再処理、原子力施設の廃止措置などのバックエンド対策については、国の責任において着実な前進を図るとともに、使用済燃料の処理・処分に関する革新的技術の研究開発を進めます。

 原発のリプレース(建替え)や新増設を推奨する一方で、核ゴミ処分については「国の責任」――つまり政府与党の責任であると言っているに等しい。103万円の壁をなくせと叫びながら、「財源は政府与党が考えろ」とうそぶく姿勢と同じことだ。無責任と言うしかない。

 原子力政策でこの国が最優先すべきは、高レベル放射性廃棄物である「使用済核燃料」=核ゴミの最終処分場整備だろう。原発の再稼働が進むのに比例して、核のゴミも貯まり続ける。使用済核燃料を保管する燃料プールが一杯なっていく現状から、ついには各電力会社が、半永久的な措置が懸念される「乾式貯蔵」に踏み切るケースが増えている(*下の画像参照)。

 福島第一原発の事故から13年と10カ月。島根県の県庁所在地である松江市にある島根原発2号機が再稼働を果たした。原発の敷地内では「3号機」の建設が進んでおり、廃炉となった1号機に代わって同機が運転を開始するのは2030年頃になる見込みだという(*下の画像参照)。

 島根3号機の他、電源開発の大間、東京電力の東通でも新設が進む状況だ。一方で、核ゴミ処分場の整備は一向に進まないというのが現実だ。そうした中で原発の再稼働だけでなく、新増設まで言い出す神経は理解できない。日本人にとっては「喉元過ぎれば」ということなのか。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・中国電力=原子力ムラ・福島第一の事故以前、54基あった原発は21基が廃炉となり残りは33基・停止していた国内各地の原発、そのうちの1基である中国電力島根原発2号機が再稼働した】  2024年12月09日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【経産省】:原発周辺への企業進出促す「GX2040ビジョン」…電気代や税軽減、自治体には脱炭素電源の開発促す

2024-12-26 06:40:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【経産省】:原発周辺への企業進出促す「GX2040ビジョン」…電気代や税軽減、自治体には脱炭素電源の開発促す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経産省】:原発周辺への企業進出促す「GX2040ビジョン」…電気代や税軽減、自治体には脱炭素電源の開発促す 

 経済産業省は、原子力や再生可能エネルギーなど脱炭素電源の周辺に進出する企業や工場に、電気料金や税負担の軽減措置を導入する方針だ。企業進出を後押しして雇用・税収増による地域経済の活性化を図り、投資を呼び込みたい自治体での脱炭素電源の開発を促す。地元の同意による原子力発電所の再稼働にもつなげたい考えだ。

 政府が初めて策定する脱炭素化と産業政策の戦略「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」に盛り込む。26日にGX実行会議(議長・石破首相)を開いて公表する方針だ。

 支援の対象は、原発や洋上風力など脱炭素電源を使った人工知能(AI)・ロボット技術の活用のほか、大規模な半導体工場といった雇用や中小企業への波及効果が高い進出企業とする方向。脱炭素につながる電気を使う契約などを電力会社と結ぶことを求める。

 今後、負担軽減策の具体化を進める方針で、財源として企業の脱炭素投資を促す「GX経済移行債」の活用も検討する。 

 政府が脱炭素電源の整備を急ぐのは、産業競争力を左右するからだ。世界的なIT大手や半導体メーカーなどは脱炭素電源の確保を進出の条件としている。電源周辺の産業集積を図ることで、送配電網の整備コストも削減できる。

 負担軽減策により、自治体は脱炭素電源を売りに企業誘致を進め、雇用の拡大や中小企業からの部品調達など広範囲に経済効果を得ることが期待される。

 経産省は17日に公表した「エネルギー基本計画」の原案で、原子力と再生エネを脱炭素電源として「最大限活用する」と明記した。基本計画とGXビジョンを柱に、脱炭素電源の確保と産業集積を加速させる。

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 経済 【企業・産業・経産省・原子力や再生可能エネルギーなど脱炭素電源の周辺に進出する企業や工場に、電気料金や税負担の軽減措置を導入する方針】  2024年12月26日  06:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:日本は「ガラパゴス」 原発政策転換で問われる「国民的議論」

2024-12-25 05:30:20 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【政府】:日本は「ガラパゴス」 原発政策転換で問われる「国民的議論」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:日本は「ガラパゴス」 原発政策転換で問われる「国民的議論」 

 「原発の依存度を可能な限り低減させる」――。2011年の東京電力福島第1原発事故以降、政府が掲げてきた方針が、エネルギー基本計画(エネ基)の改定案から削除される。有識者で構成する経済産業省の審議会が25日に了承し、25年3月末までに閣議決定される見通しだ。エネルギー政策の大転換は社会の理解を得られているのか。関係者からは「国民的議論」を求める声が出ている。

 

討論型世論調査のために小グループに分かれて行われた討論=東京都内で2012年8月4日午後3時43分、梅村直承撮影

討論型世論調査のために小グループに分かれて行われた討論=東京都内で2012年8月4日午後3時43分、梅村直承撮影

 ◆「議論がない」政府審議会

 「審議会なんてのはあらかじめ発言することを決めて、それを読んでいるだけ。あれは議論じゃないんですよ」

 24年5月からエネ基の改定案が話し合われてきた経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」。この審議会での議論のあり方を痛烈に批判するのは、環境省OBで環境政策対話研究所の柳下正治代表理事だ。

 柳下氏は、1992年に国連で採択された「気候変動枠組み条約」の交渉などに関わってきた。「エネルギーや温暖化の話になると、産業界や学会、消費者団体などで意見が違う。それぞれの陣営を超えて、情報や認識の共有を図ろうという動きはない」といい、審議会を経た日本の政策決定プロセスに「限界を感じていた」と振り返る。…

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 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 経済 【金融政策・財政・エネルギー基本計画(エネ基)・政府が掲げてきた原発の依存度を可能な限り低減させる方針を改定案から削除される】  2024年12月25日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.25】:泊再稼働審査 幅広い議論なお必要だ

2024-12-25 04:05:40 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説②・12.25】:泊再稼働審査 幅広い議論なお必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.25】:泊再稼働審査 幅広い議論なお必要だ 

 原子力規制委員会は北海道電力泊原発(後志管内泊村)3号機の再稼働に向けた審査会合で北電の説明をおおむね了承し、11年に及んだ新規制基準の適合性審査を事実上終えた。
 
 北電は電力の安定供給と脱炭素の両立、先端半導体製造を目指すラピダスやデータセンターなど大量の電気を使う顧客の進出で再稼働の必要性が増していると主張する。2027年5~6月の再稼働が目標とされる。
 
 安定供給と脱炭素の両立は欠かせない。だが原発の過酷事故の危険性は東京電力福島第1原発事故で明らかになった。
 北電は核燃料運搬船の専用港を泊村内に新設する方針を打ち出し、審査から切り離した。津波対策の安全確認などを後回しにする手法に地元の不安は根強い。道内の有識者には、泊原発敷地内の断層や隆起の評価について疑問の声がある。
 海外からも注目される食と観光、再生可能エネルギーによる発展の可能性が広がりつつある北海道に原発は必要なのか。道民の多様な声を踏まえ、なお議論を尽くさなければならない。
 審査が長引いた要因には、説明や提出資料などを巡る北電の不手際があった。規制委から地震や津波に関する専門的な人材の不足も指摘された。
 規制委は審査効率化のため、これまでの会合の締めくくりに今後の論点を示し、他の電力大手も北電の応援に入った。
 こうした対応なくして北電は説明終了にこぎ着けることができただろうか。原発を動かす資格は十分かが問われよう。
 新設する方針を示した核燃料運搬船の専用港については、場所を確定して建設を始めるのは再稼働の後になる見込みだ。
 鈴木直道知事は北電による説明が不十分とし、新港や陸上輸送の安全性が再稼働の前提になるとの認識を示している。北電には早期の計画策定と納得のいく説明が求められる。
 北電は再稼働後に電気料金を下げると繰り返すが、具体的な水準は明らかにしていない。
 昨年の本紙世論調査では再稼働容認が増えた。料金が高止まりする中で一定規模の値下げを期待している面があろう。
 
 11年時点で200億~300億円規模としていた安全対策費は5千億円超に膨らんでいる。これに今後造るテロ対策施設の費用は含まれていない。
 
 北電は電気料金を13年から3回値上げした。3号機の再稼働だけで13年の値上げ前の水準に下げるのは難しいとの見方もある。北電はできるだけ早く見通しを示すべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【電力業界】:処分先なく廃炉に支障も 低レベル放射性廃棄物、増加の一途 「核のごみ」同様に埋設必要

2024-12-22 18:20:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【電力業界】:処分先なく廃炉に支障も 低レベル放射性廃棄物、増加の一途 「核のごみ」同様に埋設必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【電力業界】:処分先なく廃炉に支障も 低レベル放射性廃棄物、増加の一途 「核のごみ」同様に埋設必要

 原発の廃炉で生じる大型機器の低レベル放射性廃棄物輸出が電力業界で検討されているのは、原発敷地内の保管場所が逼迫(ひっぱく)し、作業停滞を招く恐れがあるためだ。

解体される浜岡原発2号機のタービン。大部分は産業廃棄物として再利用も可能なクリアランス品になる見通しという(中部電力提供)

解体される浜岡原発2号機のタービン。大部分は産業廃棄物として再利用も可能なクリアランス品になる見通しという(中部電力提供)

 廃炉中の商業用原発は2011年に事故を起こした東京電力福島第1原発を含め11原発24基。

 25日から国内の商業炉としては初めて原子炉などの解体に着手予定の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)では、先行きを案じる声も漏れる。...

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 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 経済 【企業・産業・電力業界】  2024年12月22日  18:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【電力業界】:廃炉に伴う低レベル放射性廃棄物、輸出を検討 国内処分原則と矛盾

2024-12-22 18:19:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【電力業界】:廃炉に伴う低レベル放射性廃棄物、輸出を検討 国内処分原則と矛盾

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【電力業界】:廃炉に伴う低レベル放射性廃棄物、輸出を検討 国内処分原則と矛盾

 原発の廃炉で生じる大型機器の低レベル放射性廃棄物の輸出が電力業界で検討されている。
 
 廃炉廃棄物は各電力会社が処分する決まりだが、国内では高レベル放射性廃棄物(核のごみ)と同様に処分場選定の議論が進んでおらず、海外で処理できれば大幅な負担減になる。
 
 ただ、自国処理の原則に反することになり、実施の是非が議論を呼びそうだ。...
 
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 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 経済 【企業・産業・電力業界】  2024年12月22日  18:19:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・12.19】:エネルギー計画 福島の教訓踏まえたのか

2024-12-22 06:10:20 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・12.19】:エネルギー計画 福島の教訓踏まえたのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:エネルギー計画 福島の教訓踏まえたのか 

 原発回帰への方針転換が鮮明になったが、福島の教訓を十分踏まえたか心もとない。前のめりに原発の「最大限活用」を進めるのではなく、安全性確保と立地地域の理解が大前提だと再確認したい。

 政府はエネルギー政策の中長期的な指針「エネルギー基本計画」の改定案を有識者会議で示した。

 最大の特徴は、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、記してきた「原発の依存度を低減する」との文言を削除したことだ。

 岸田文雄前政権が原発の最大限活用に方針転換し、計画の文言と矛盾するとして、自民党内や経済界などが削除を求めていた。

 原発は再生可能エネルギーとともに最大限活用すると明記した。

 40年度の発電量全体に占める原発の割合は2割程度とした。30年度に20~22%としている現行計画と同水準だが、2割程度は事実上、東電柏崎刈羽原発を含む既存原発のフル稼働を意味している。

 一方、再生エネの割合は4~5割程度とした。最大電源に位置付けたものの、現行目標の36~38%から大きな上積みがあったとは言い難い。現行計画にある「最優先で取り組む」の文言も削除した。

 注目されるのは、原発の建て替え要件を緩和し、同じ電力会社なら、廃炉を決めた原発の敷地外でも建設できるようにしたことだ。電力の安定供給と脱炭素化を同時に達成するため、一定規模で原発を維持する狙いがあるだろう。

 政府は、データセンター増設や半導体産業の強化で電力需要が高まっているとしており、安定的な電力供給には、天候に依存する再エネだけではなく、原発が欠かせないとの立場だ。

 しかし、原発は建設コストが高騰し、工期も長期化している。敷地内では使用済みの核燃料が増え続けている。

 新増設は十分な検討と、慎重な判断が不可欠だろう。

 気になるのは、次期計画を検討する有識者会議のメンバーは原発推進派が多いとされることだ。原案に賛同する声が大勢で、大きな論争もなく終わった。

 次期計画は、事故を受けた福島の復興・再生を最重要課題としているものの、地元との話し合いに割かれた時間は短かった。住民不在の懸念は尽きない。

 柏崎刈羽原発の再稼動には「再稼動への理解が進むように政府を挙げて対応する」と明記した。

 新潟日報社が10月に行った調査では、柏崎刈羽原発の再稼動に「反対」など否定的な回答は46・5%で、「賛成」など肯定的な回答の36・2%を上回った。原発の安全性に対する県民の不安や不信が払拭できたと言い切れない。

 原発の利用で生じる高レベル放射性廃棄物は数万年に及ぶ管理を必要とするなど、影響は将来世代に及ぶ。原発を維持するなら、課題の先送りは許されない。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.21】:エネルギー計画/安易な原発回帰は疑問だ

2024-12-21 06:00:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説・12.21】:エネルギー計画/安易な原発回帰は疑問だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.21】:エネルギー計画/安易な原発回帰は疑問だ 

 経済産業省が、中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」の原案を示した。2011年の東京電力福島第1原発事故を教訓にした「可能な限り原発依存度を低減する」の文言が削除され、同一敷地内に限っていた原発建て替えについても、同じ電力会社なら別の敷地での次世代革新炉建設が可能になる。事実上の新設容認に踏み込んだ。

 極めて大きな計画変更にもかかわらず、国民的な合意がなされたとは言い難い。十分な議論がないままの安易な回帰は許されない。

 基本計画はエネルギー政策の方向性を定めるもので、03年に初めて作られた。経産省の有識者会議で議論し、おおむね3年ごとに見直す。

 焦点の一つとなったのは、40年度の発電量全体に占める電源別の割合だ。原発は2割程度、火力発電は3~4割程度とし、再生可能エネルギーは4~5割程度とした。23年度の実績で8・5%の原発と22・9%の再エネを大幅に増やす。

 ただ、原発回帰を実現するには、現時点で14基にとどまる再稼働を、既存原発の大半である30基程度に増やすのが条件となる。再稼働を待つ原発の中には地元同意が得られていないものや、避難計画の策定が遅れているものが含まれる。再稼働が容易ではない中、30基を前提とする計画は現実味に欠ける。

 岸田政権は22年、原発の最大限活用に方針転換する「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」を決定し、60年超運転の道も開いた。経産省が示した原案はその延長線上にある。しかし重大事故を起こした原発に対する国民の不安や不信は、今も払拭されてはいない。

 福島第1原発の廃炉は、溶融核燃料(デブリ)の取り出しなどが難航して先行きが見えない。使用済み核燃料の中間貯蔵や再処理、高レベル放射性廃棄物の最終処分などの見通しも立っていない。原発は綱渡りの状態にあると言わざるを得ない。

 計画では原発建て替え要件も緩和する。だが建設費は高騰しており、電気料金に転嫁される恐れがある。薄くて軽く、折り曲げ可能な次世代太陽電池「ペロブスカイト型」や洋上風力発電の普及に技術力を結集するなど、再エネ拡大への取り組みにより重点を移すべきではないか。

 一方、火力は全体の割合が減るものの、二酸化炭素を大量に排出する石炭火力の割合は盛り込まれなかった。脱炭素に資するためにも、各国に歩調を合わせ、石炭火力を廃止していく姿勢を示す必要がある。

 原案はパブリックコメント(意見公募)を経て閣議決定される。政府は幅広い層の声に真摯(しんし)に耳を傾け、慎重に検討してもらいたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.20》:エネルギー計画の素案 福島の教訓なぜ生かさぬ

2024-12-21 02:01:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説①・12.20》:エネルギー計画の素案 福島の教訓なぜ生かさぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.20》:エネルギー計画の素案 福島の教訓なぜ生かさぬ

 東京電力福島第1原発事故の教訓は、国のエネルギー政策の根幹をなしてきた。それをなぜ今、覆すのか。疑問を禁じ得ない。

 経済産業省が次期エネルギー基本計画の素案を公表した。事故の反省を踏まえて掲げてきた「原発依存度を可能な限り低減する」との文言を削除した。

経済産業省は次期エネルギー基本計画の素案で原子力を「最大限活用する」方針を打ち出したが、東京電力福島第1原発の廃炉作業は難航し、国民の原発不信も根強い。同原発を視察した石破茂首相(手前左)=福島県大熊町で2024年12月14日午後3時6分、玉城達郎撮影

 その上で、原子力を再生可能エネルギーと並ぶ脱炭素電源と位置付け、原発の建て替えや次世代革新炉の開発を推進し「最大限活用する」方針を打ち出している。

 エネ基は国の中長期のエネルギー戦略を示す指針で、おおむね3年ごとに改定される。安倍晋三政権が2014年の改定時に「エネルギー戦略を白紙から見直す」として、原発依存度の低減を盛り込んだ。その後も現行計画まで維持され、安易な原発回帰に歯止めをかける役割を果たしてきた。

 にもかかわらず、経産省は今回、限られた有識者による議論だけで方針転換を図ろうとしている。

 半導体工場やデータセンターの新増設で電力需要の急増が見込まれる中、素案は「日本の成長機会を失うことがあってはならない」と強調する。

 だが、福島原発の廃炉作業は難航し、今も多くの人が避難生活を余儀なくされている。経済最優先の論理は理解されまい。

 脱炭素と電力の安定供給の両立につながるかも疑わしい。

 素案は40年度の電源構成目標について、原発の比率を現行計画と同水準の2割程度に設定した。ただ、23年度の実績は8・5%にとどまる。安全性への根強い不安を背景に、再稼働に必須の地元同意のハードルは高まっている。

 建て替えに関しては、廃炉原発の敷地内に限る従来の方針を改め、同じ電力会社であればどの原発の敷地内でも認める考えだ。とはいえ、1基当たり1兆円を超える巨額投資が必要なため、電力業界は二の足を踏んでいる。

 経産省は建設コストを電気料金に上乗せし確実に回収できる仕組みを講じる構えだが、消費者の負担は重くなる。発電後の使用済み核燃料(核のごみ)をどう処分するかも未解決だ。

 地震大国の日本で原発を使い続けるリスクをどう考えるか。国民的な議論が欠かせない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月20日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.19】:エネルギー計画 現実を見ない原発回帰

2024-12-19 16:05:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①・12.19:エネルギー計画 現実を見ない原発回帰

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.19】:エネルギー計画 現実を見ない原発回帰 

 国民的な議論を経ないまま、構造的欠陥を抱える原発への回帰は認められない。

 経済産業省が新しいエネルギー基本計画の原案を示した。2011年の東京電力福島第1原発事故を踏まえた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現を削除し、「最大限活用する」と明記した。

 40年度の発電量全体に占める原発の割合を2割程度にする。そのために既存の原発のうち30基程度の再稼働を見通す。

 人工知能(AI)の普及や半導体製造、データセンターの増加で電力需要が急増するとして、経済産業省や経団連などが声を強めていた。

 今も収束が見えない福島事故の教訓に背を向け、脱原発の足場を崩す大転換である。

 老朽原発を抱える関西電力や九州電力などの要望を踏まえ、建て替え要件緩和も明記した。同じ電力会社であれば、廃炉が決まった原発の敷地外でも建設を認める。

 ただ、現在、運転中の原発は11基で、22基は停止中、20基は廃炉作業中だ。定期点検や老朽原発の廃炉を考慮すれば、30基を稼働させるのは、非現実的ではないか。

 「低コストで経済性に優れる」という国の説明も揺らぐ。経産省の試算では、福島事故の廃炉や賠償、使用済み核燃料の再処理事業などで発電コストは大幅上昇が見込まれる。建設費も高騰している。

 安全性や核のごみ処理の問題は、福島事故以後も変わらない。能登半島地震では、複合災害時の避難の難しさが明白になった。

 再生可能エネルギーは4~5割の最大電源に位置付けたが、従来の「最優先で取り組む」との文言を削除した。二酸化炭素(CO2)の回収・貯留など、実用化にほど遠い技術の推進を盛り込む一方、CO2排出が多い石炭火力の縮減ペースを明確にしなかった。

 全廃した英国をはじめ、石炭火力からの撤退が続く先進各国に比べ、気候変動対策で後ろ向きの姿勢が際立つ。

 計画の決定過程は恣意的と言わざるを得ない。経産省が主導する有識者会議の委員は、原子力や石炭火力の推進論者が大多数を占める。自民党総裁選で「原発ゼロ」に言及した石破茂首相や、「原発に依存しない社会」を掲げる与党公明党の姿も見えてこない。

 暮らしに直結する問題なのに、市民の意見表明の機会はパブリックコメントなどにとどまった。これで国民の理解を得られるとは思えない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.19》:エネルギー計画 原発提言を堅持すべきだ

2024-12-19 09:31:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

《社説①・12.19》:エネルギー計画 原発提言を堅持すべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.19》:エネルギー計画 原発提言を堅持すべきだ 

 経済産業省が「エネルギー基本計画」の原案を明らかにした。

 2011年の福島第1原発事故以降の計画で明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削除し、原発回帰の姿勢を鮮明にした。

 計画は国のエネルギー政策の中長期的な方向を示す。3年ごとに改定を重ねている。来年2月ごろの閣議決定を目指すという。

 原発依存度の低減は、その危険性があらわとなった福島事故の教訓を踏まえた大方針である。国民的な議論もなく転換に踏み切ることは認められない。堅持するよう改めて政府に求める。

 原案は40年度の電力需要について、データセンターや半導体工場の建設に伴い23年度と比べ約1・2倍に増えると推計。これを賄うため「特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指す」とした。

 40年度の電源構成の想定は、原発を2割程度としたほか、再生可能エネルギーを4~5割、火力を3~4割程度としている。

 うかがえるのは、デジタル化によって増える需要を脱炭素と両立しながらカバーするには再エネを増やすだけでは不十分で、原発が必要だとする論理だ。

 だが、デジタル化にはエネルギー効率が向上して省エネになる面もある。電力需要にどう影響してくるかは不透明とも指摘されている。電気をどんどん使う将来を描くだけでなく、省エネに力を入れる発想が重要ではないか。

 23年度の原発の割合は8・5%。2割とするには30基弱の稼働が必要となるが、福島事故後、再稼働したのは14基にとどまる。周辺住民の不安はなお大きい。

 原案には建て替えの推進も盛り込んだ。同じ原発の敷地内に限定していたのを、同じ電力会社なら別の原発敷地にも建設できるよう要件を緩和するという。

 原発の建設には20年はかかる。地域住民の理解を得ていく過程なども考えると、さらに要するだろう。緊急性の高い脱炭素に役立つとはとても思えない。

 再エネは23年度の22・9%から倍増方針だが、現行計画にある「最優先で取り組む」との文言が消えた。無理筋の原発に力が割かれ、大胆に拡大すべき再エネの取り組みが停滞する恐れもある。

 計画を議論した経産省の調査会は経済界や原発関連の有識者が多く、原発に批判的な人や再エネ重視の人の意見は十分に反映されなかった。もっと幅広い見解を蓄えて、議論をやり直すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.19】:エネ基本計画 「原発依存」は続かない

2024-12-19 07:41:50 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①・12.19】:エネ基本計画 「原発依存」は続かない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.19】:エネ基本計画 「原発依存」は続かない

 第7次エネルギー基本計画の原案から、福島第1原発事故以来の「原発依存度を可能な限り低減する」との表現が消えた。岸田文雄前内閣が「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」で示した「原発の最大限活用」を踏襲した形だが、「脱原発依存」の看板を下ろすのは、福島の教訓を忘れ去るということだ。
 
 国のエネルギー政策の指針となる基本計画は、おおむね3年ごとに改定される。2040年度の電源構成比をどうするかを中心に、議論が進められてきた。
 
 福島の事故後、14年の第4次計画では「福島の復興・再生をエネルギー政策を再構築するための出発点」と位置付け「原発依存度は可能な限り低減させる」と明記した。21年の第6次に至るまで、この方針は守られてきた。ところが前政権は、脱炭素などを名目に原発の「最大限活用」に大転換。新増設の推進にまで踏み込んだ。
 そして今回、人工知能(AI)の急拡大に伴って電力需要の急増が見込まれるとする経済界の提言なども入れ、「脱原発依存」の表現を削除し、脱炭素電源として「最大限活用する」と明記。40年度の発電量に占める割合を2割程度(23年度実績は8・5%)に保つとしている。
 だが、原発回帰は現実的な解決策とは言い難い。まず、安全対策の必要性から新型原発の建設コストは高騰している。経済産業省は新増設の費用を確保するため、電気料金に上乗せできる制度を検討中のようだが、安易に消費者に負担を強いてはなるまい。
 能登半島地震では、避難計画の危うさが露呈したし、何より、核のごみの行き場が見つかる見通しがまるでない。脱炭素の名目も説得力が薄い。原発1基が稼働するには20年かかるため、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が求める「50年に二酸化炭素(CO2)実質ゼロ」には間に合わない可能性が高いからだ。こうした問題を残したまま、原発依存を続けていくのは無責任というほかない。
 
 一方、40年度の電源構成比の目標を4~5割程度に引き上げるとする再生可能エネルギーは、さらに「のびしろ」が見込める。洋上風力や地熱など日本の開発余地は大きい。AIを含め、省エネ化もさらに進展させられるはずだ。
 
 「脱原発依存」こそ原点だ。その方向性を変えるべきではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  07:41:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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