路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【石破首相】:人口減克服へ「若い人や女性に選ばれる地方を作る」…男女間の賃金格差是正など訴え

2024-11-30 21:10:30 | 【超高齢化・過疎・孤立・認知症・サ高住問題・人口急減・消滅可能性自治体】

【石破首相】:人口減克服へ「若い人や女性に選ばれる地方を作る」…男女間の賃金格差是正など訴え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相】:人口減克服へ「若い人や女性に選ばれる地方を作る」…男女間の賃金格差是正など訴え

 石破首相は30日、鳥取市で開かれた「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演し、人口減少の克服に向け、「若者や女性に選ばれる地方づくり」の重要性を訴えた。男女間の賃金格差是正や、多様な正社員制度の導入を目指し、看板政策の地方創生を強力に推し進める考えも示した。

 ■単身世帯、2050年に27都道府県で4割超…高齢者の生活支える医療・介護の体制作り急務

「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影
「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影

 首相は講演で、少子化と人口減少が進む背景として、若者や女性が都市部に流出する「社会減」と、出生数が減少する「自然減」が絡み合っていると説明した。その上で、「若い人や女性に選ばれる地方を作ることが、新しい地方創生の核心だ」と述べ、若年層や女性にとって魅力ある働き方や職場を地方で実現する必要性を強調した。 

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 具体策としては、〈1〉賃金格差の是正〈2〉正規雇用化の推進〈3〉結婚や出産を機に女性の正規雇用率が下がる「L字カーブ」の解消〈4〉男性の育児休業取得推進――を打ち出した。

 男女間の賃金格差を巡っては、従業員に格差はないという経営層の「無意識の思い込み」が要因の一つだと指摘し、経済界に「本当に男女の賃金格差はないのか、検証しよう」と呼びかけた。

「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影
「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」で講演する石破首相(30日、鳥取市で)=大久保忠司撮影

 正規雇用の拡大に向け、多様な働き方の実現も訴えた。「短時間正社員制度」の導入を挙げ、「働く時間の長さが正規雇用の条件みたいに言われるが、色々な事情で短時間の就労を希望する人の思いを実現したい」と語った。

 初代地方創生相を務めた首相は、地方創生関連の交付金を当初予算ベースで倍増する目標を掲げており、産業界や金融機関、労働団体、報道機関を加えた「産官学金労言」に対し、総力を挙げて地方創生に取り組むよう求めた。

 首相が就任後、地元の鳥取に入るのは初めて。フォーラムは、人口減少に警鐘を鳴らす民間有識者らのグループ「人口戦略会議」のメンバーや鳥取県などでつくる実行委員会が主催した。

 ■あわせて読みたい

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・石破政権・「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」・人口急減に向けた対策】  2024年11月30日  21:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・11.30】:石破首相の所信 伯仲国会を熟議につなげよ

2024-11-30 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・11.30:石破首相の所信 伯仲国会を熟議につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:石破首相の所信 伯仲国会を熟議につなげよ

 臨時国会が開会した。先の衆院選で厳しい国民の審判を受け、30年ぶりに「少数与党」に転落した第2次石破茂政権が初の本格的な論戦に臨む。

 石破氏はきのうの所信表明演説で冒頭、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯(しんし)に政策を協議し、より良い成案を得ること」と述べた。言論人出身で、戦後まもなく首相に就いた石橋湛山の施政方針をベースとした。

 言葉通り、与野党の開かれた熟議で、国内外の難局を乗り切る立法府の新たな形を示してもらいたい。

 これまで自民、公明両党の政権は、党内の事前審査で議案を了承した後、国会では野党の異論を軽んじ、数の力による強引な採決を常態化させていた。

 緊張感を欠いた政治が、裏金事件など一連の不祥事の根底にある。与野党伯仲の国会で、機能不全を改めねばならない。

 野党が衆院の予算委員長などのポストを押さえる中、合意を形成する民主政治が問われる。

 だが、所得税をめぐる「103万円の壁」など、自公が国民民主党を加えて進める協議は、従来の密室での数合わせと重なってみえる。躍進したとはいえ、衆院の約5%にとどまる国民民主の意見を最優先し、不透明な妥協に走るべきではない。

 石破氏は選挙結果を「政治資金問題や改革姿勢に対する叱責(しっせき)だった」とし、政治活動費の廃止や政治資金を監査する第三者機関設置を進めるとした。

 一方で、自民の金権体質の根元にある企業・団体献金には触れなかった。政策をゆがめ、不祥事を誘発してきた献金の禁止は、世論調査でも7割の国民が支持している。踏み込まねば、改革の本気度が疑われる。

 裏金事件では、参院の政治倫理審査会に自民党の関係議員全員が一転、出席する意向を示している。来夏の参院選を見越した通過儀礼にしてはなるまい。実態解明に向けた自民の再調査も改めて求めたい。

 経済対策では、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や「103万円の壁」の引き上げなどに言及した。

 だが、「規模ありき」で14兆円近くに膨らんだ一般会計補正予算案は、電気・ガス代の補助再開など緊急性や効果に疑問が尽きない。財源は6兆円超の国債頼みで後世の負担が増す。十分な審議が要る。

 日米地位協定の改定を持論とする石破氏は、自衛隊による在日米軍施設の共同使用を進め「駐留に伴う諸問題の解決に取り組む」と触れた。実現への道筋を与野党で探ってほしい。

 野党は、重くなった責任を自覚する必要がある。

 国民民主のように減税を求めながら「財源は与党で」といった態度は慎むべきだ。野党第1党の立憲民主党は、特に真価が試されよう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.30》:首相所信表明 民意に背かぬ政権運営を

2024-11-30 09:31:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・11.30》:首相所信表明 民意に背かぬ政権運営を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.30》:首相所信表明 民意に背かぬ政権運営を 

 石破茂首相が所信表明演説に臨んだ。政策面の独自色を抑える一方で、野党への配慮を強くにじませた。

 衆院選で自民、公明両党は少数与党に転落し、法案や予算案の成立には野党の協力が欠かせない。政権の苦境を色濃く映し出す。

 冒頭で政権運営の基本方針に触れ、「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に、謙虚に取り組む」と低姿勢に徹した。

 経済対策では、国民民主党の主張を取り込み、年収103万円を超えると所得税が生じる「年収の壁」引き上げを明言した。

 看板政策の地方創生は、自治体への交付金倍増を前倒しすると説明。持論の日米地位協定改定を見据え、自衛隊による在日米軍施設の共同使用を進めると訴えた。

 一部に「石破カラー」はにじんだが、外交安保を含めた基本政策は前政権を踏襲した印象だ。自民党総裁選で唱えたアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想は引き続き封印した。

 防衛力の抜本的な強化を訴えたが、判断を先送りしてきた防衛増税の開始時期に言及しなかった。年収の壁引き上げによる税収減を補う財源にも触れていない。

 野党との摩擦回避を優先したのだろうが、難題を後回しにするのは無責任だ。代表質問や予算委員会で踏み込んだ説明を求める。

 首相が言及した「幅広い合意形成」は、2024年度補正予算案の審議で真価が問われる。

 与党と国民民主は事前の協議で経済対策に合意し、予算案成立への協力を確認した。だが、規模ありきの巨額予算は政策効果や緊急性に乏しい事業も目立つ。立憲民主党の野田佳彦代表は減額修正を求める方針を示している。

 他党の意見を聞くという首相の言葉が本物なら、妥当性について国会の場で議論を重ね、必要なら修正も視野に入れるべきだ。野党も、実現を目指す政策については財源を曖昧にせず、責任ある説明で合意形成を図る必要がある。

 政治資金規正法再改定などの政治改革は、「年内に結論を示す必要がある」とした。立民などが求める企業・団体献金の禁止には触れていない。野党の主張に正面から向き合わず、小手先の対応でしのぐことは許されない。

 衆院選で有権者が求めたのは「政治とカネ」を巡る不信感を拭うことであり、与野党伯仲の国会で緊張感のある議論を重ねることだ。首相はその民意に背かずに、政権を運営する責務がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.30》:クルド人ヘイト 許さぬ姿勢、社会が示す

2024-11-30 09:31:20 | 【ヘイトスピーチ(「憎悪にもとづく発言」、主に、人種・国籍・思想・性別・障...

《社説②・11.30》:クルド人ヘイト 許さぬ姿勢、社会が示す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.30》:クルド人ヘイト 許さぬ姿勢、社会が示す 

 少数者への差別をあおり、排斥する言動が激化し、状況は深刻さを増している。一地域の問題として見過ごすわけにいかない。

 埼玉県の川口市や隣の蕨市に暮らすクルド人へのヘイト(憎悪)行為である。地域外から押しかけた団体、個人が「日本から出て行け」などと叫ぶデモを繰り返し、脅迫や嫌がらせの電話、落書きも相次いでいる。

 インターネットにも誹謗(ひぼう)中傷の書き込みがあふれる。中でも悪質なのが、写真や動画を無断で撮ってSNSに投稿し、デマをまき散らす行為だ。

 子どもまで標的にされている。店内で女の子を隠し撮りした動画が、万引の常習者であるかのような虚偽の説明を付けて投稿され、拡散された事例もある。

 さいたま地裁は先週、クルド人に対するヘイトのデモを禁止する仮処分命令を出した。神奈川県の男性がSNSで告知したデモについて、在日クルド人の団体が差し止めを申し立てていた。

 仮処分は、排斥デモを繰り返してきた男性に、団体の事務所周辺で演説やビラの配布を禁じたが、それでデモが収まったわけではない。禁止命令後、別の保守系グループがその区域内でデモを行い、男性が区域の外で行った街宣にも十数人が集まったという。

 川口や蕨には1990年代ごろからクルド人が住むようになり、現在は2千人以上が暮らす。難民と認められず、在留資格がないまま、仮放免の状態に置かれている人が少なくない。

 ヘイト行為が目立つようになったのは昨年からだ。夏に、クルド人同士のもめごとから病院に双方の親族らが集まる騒ぎがあり、一部のメディアが「暴動」などと報じたほか、動画が拡散して、敵視する言動を勢いづけた。

 2016年に制定されたヘイトスピーチ解消法は、差別の禁止規定を置かず、排斥を止める力になっていない。在日朝鮮・韓国人へのヘイトに対し、川崎市が刑事罰を含む差別禁止条例を定めたことで、攻撃の矛先が川口周辺のクルド人に向かった面がある。

 敵意をむき出しにするヘイトの言動は、それにさらされる人の尊厳を傷つける暴力だ。差別や排外主義がはびこれば、民主主義の根幹である人権の保障が揺らぐ。

 当事者の問題とせず、社会全体で立ち向かわなくてはならない。政府、各自治体は、ヘイトを許さない姿勢を明確に示すとともに、差別を防ぐ条例や法のあり方を議論する必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.30】:児童虐待/サインに気付き深刻化防げ

2024-11-30 07:58:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説・11.30】:児童虐待/サインに気付き深刻化防げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:児童虐待/サインに気付き深刻化防げ   

 児童虐待が減る兆しが見えない。周囲の大人が危機感を高め、子どもを守る必要がある。

 県内の児童相談所が2023年度に児童虐待の相談を受けて対応した件数は1908件で、過去4番目に多かった。前年度から348件減少したものの、ここ数年は高止まりの状態にある。

 子どもの前で配偶者らに暴力を振るう心理的虐待が対応件数の7割を占める。身体的虐待や性的虐待、育児放棄もなくならない。

 児相や市町村などが虐待を把握したにもかかわらず、最悪の事態に陥ることは避けなければならない。ただ全国で起きた虐待死では、公的機関の対応の不備が深刻化を招いた事例が少なくない。

 こども家庭庁の専門委員会の検証によると、過去の似たケースで問題がなかったため今回も大丈夫と判断したり、親子関係以外の加害者の存在を見過ごしたりした結果、子どもを守れなかった。

 加害者の状態や家庭の状況によって虐待のリスクは変わる。児相などは変化を的確に捉え、リスクを取り除くことが重要だ。

 22年度に把握された心中を除く全国の虐待死56人のうち、0歳児は4割超に上った。経済的困窮や病気などの問題を抱える中で妊娠し、適切な行政支援を受けられず孤立するなどして、虐待に至ったとみられる。問題の背景の一つとして、望まない妊娠が多いことも看過できない。

 虐待防止へ出産前からの支援の充実が求められる中、本年度から「こども家庭センター」の設置が市町村の努力義務となった。従来の母子保健と児童福祉の両部門を一体的に運用し、子育て期まで切れ目なく支援する組織だ。

 県内の設置状況は5月時点で29市町村にとどまる。未設置の市町村には、母子保健と児童福祉を統括する人材の確保など、一朝一夕の対応が難しい課題がある。

 センターの設置は急務だが、既存の体制でも支援を充実できる部分はあるはずだ。未設置の市町村には、センターの準備と並行し、妊産婦らの孤立を防ぐ取り組みを強化することが求められる。

 専門委員会の検証によると、死亡事例の中で虐待の通報がなかったケースは6割に上った。虐待の多くは、外部の目が届きにくい家庭内で行われている。

 虐待が疑われるサインは、子どもが体格や季節に合わない服を着ている、表情が硬いなどさまざまだ。住民らは、地域の子どもに不自然な点があれば迷わず、児相の相談ダイヤル「189」や市町村、警察などに連絡してほしい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  07:57:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.29】:与野党伯仲の国会/国民の負託に応える議論を

2024-11-30 07:58:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.29】:与野党伯仲の国会/国民の負託に応える議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.29】:与野党伯仲の国会/国民の負託に応える議論を 

 臨時国会が開幕した。石破茂首相が10月に就任し、与党が過半数割れした衆院選後の特別国会は、わずか4日間で閉じられた。与野党伯仲の国会でようやく本格論戦が始まる。国内外に山積している課題の解決策を導き出し、国民の負託に応えてほしい。

 物価高対策や成長戦略を盛り込んだ政府の経済対策の財源を裏付ける、2024年度補正予算案の審議が最大の焦点になる。経済対策の策定には自民、公明の両党に加え、衆院選で躍進した野党の国民民主党が関わり、年収103万円の壁の引き上げ、ガソリン減税の検討などが明記された。

 少数与党で補正予算案の成立が見通せず、「部分連合」の手法で予算案の骨格がつくられた形だ。しかし、論戦の主舞台となる予算委員会の委員長ポストが立憲民主党に渡っており、与党が強引に審議を進め、成立させることはできない状況だ。

 これまでの自公政権では党内の事前審査で了承を得てから法案が国会に提出され、国会での議論は形骸化していた。少数与党では、野党の理解を得られなければ法案成立は見通せない。政府・与党はこれまでのような国会軽視の姿勢を改め、野党の合意を得るため国民に見える形で丁寧に議論する努力を惜しんではならない。

 「政治とカネ」の問題を巡っては、政治資金規正法の再改正などが議論される。既に始まっている与野党協議では、政党から党幹部に渡される使途公開不要の政策活動費は廃止の方向性で一致しているものの、企業・団体献金の禁止については自民などが反対するなど意見の隔たりが大きい。

 歳費とは別に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開についても結論が先送りされてきた。与野党の協議がまとまらないことを理由に、課題を放置しておくことは許されない。

 先の衆院選の結果を見れば、国民がこれまでの審議や各党の対応に納得していないのは明らかだ。与野党ともに強い危機感を抱き、政治改革を前に進めるべきだ。

 野党の役割も大きく変わる。予算委員長を含め17ある衆院常任委員長ポストのうち七つは野党に配分された。政府・与党に「反対」を唱えるだけでは、国民の期待に応えたとはいえない。政府・与党の法案などに賛同できないのであれば対案などを示すのが筋だ。

 政党と議員がその責務を全うし国会の存在意義を高めなければ、政治の信頼回復は成し得ないことを肝に銘じてもらいたい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  07:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.28】:不登校の増加/選択肢増やし最適の支援を

2024-11-30 07:58:30 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説・11.28】:不登校の増加/選択肢増やし最適の支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:不登校の増加/選択肢増やし最適の支援を 

 一人一人に合った、最適の支援を提供できるようにしていくことが大切だ。

 県内の小中学校で2023年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒が前年度から792人増の4338人となり、初めて4千人を超えた。文部科学省の問題行動・不登校調査などによると、千人当たりの割合は33.6人で、19年度の16.4人から倍増している。

 近年は保護者などの間に、学校に行きたがらない子どもを無理に登校させない方がいいとの考えが広まるなど、不登校の子どもを取り巻く環境は変化している。そうした事情を考慮しても、増加のペースは極めて深刻だ。

 不登校の長期化は、学校への復帰を難しくする。学業の遅れなどで、進路選択の幅が狭まりかねないなどのリスクも軽視できない。子ども、家族と学校が話し合って、登校再開を目指してみるという場合には、全力でそれを支えることが重要だ。

 登校が難しいという場合も当然あるだろう。復帰を目指すかそうでないかで線引きをするのではなく、子ども一人一人の状況に合わせ、ケース・バイ・ケースで対応していく必要がある。

 学校では、休みがちな子どもを別教室で受け入れる「サポートルーム」などの取り組みが広がっている。不登校の子どもの受け皿となるフリースクールは県内にもいくつかある。また、県教委はインターネット上の仮想空間「メタバース」を用いて、教員と不登校の子どもらが交流する機会を設ける試みをしている。

 子ども、家族と学校との接点が弱ければ、復帰の糸口がつかめないということにもなりかねない。ノウハウの蓄積を含めた対応を強化し、それぞれの子どもに合った学校や教員とのつながり方を提示できるようにすることが、各教委や学校には求められる。

 不登校の子どもの支援と並行して進めなければならないのは、学校に行きたくないという子どもを増やさないための取り組みだ。不登校は、中学校進学時や学年の変わり目など、環境が変化する時期に増える傾向がある。県教委はこれを踏まえ、小学6年生を対象に学校生活の不安を把握する調査を行うなど、不登校の兆候に対する早期対応を進める考えだ。

 不登校は、子どもが自身の抱える不安に対処しようとしている方法の一つと考えるべきだろう。その不安に学校も一緒に向き合うことで、学校が自身の味方になってくれる存在であると感じてもらえるようにしていくのが肝要だ。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.27】:教育に新聞を/脳を使い考える力育てよう

2024-11-30 07:58:20 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説・11.27】:教育に新聞を/脳を使い考える力育てよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.27】:教育に新聞を/脳を使い考える力育てよう 

 皆さんに少し考えていただきたい。文字、音声、映像の三つを、脳に入ってくる情報量の多さの順に並べると、どうなるだろう。

 言語脳科学が専門の酒井邦嘉東京大大学院教授によると、映像、音声、文字の順になる。ただ音声は聞き逃すと内容を理解する機会を失い、映像は一方的に大量の情報が流れ込み、意味の解釈などが二の次になってしまいがちだ。

 一方、文字は伝えられる内容に限りがある半面、人間の脳が情報の足りない分を想像力で補おうとする。想像力を働かせて行間を読み解くことで、書き手の意図を考える力などが育つ。酒井氏は、新聞の教育効果は高いという。

 福島民友新聞社主催の講演会で酒井氏が警鐘を鳴らしたのは、人工知能(AI)の台頭や、タブレット端末などを使ったデジタル教育の浸透だ。自ら考えることなくAIなどに頼れば想像力や文章力が失われ、学力が低下する。

 今月はNIE(Newspaper in Education=教育に新聞を)月間だ。デジタルの活用が進む時代だからこそ、学校と家庭は、子どもたちが新聞を読む機会をつくる必要がある。

 酒井氏によると、日本語に限らず文章には構造的な曖昧さがある。講演会で例示された「みにくいアヒルの子」の場合、アヒルの子がみにくい、あるいはみにくいアヒルが産んだ子どもーの二つの解釈が成り立つ。どちらも間違いではないが、後者ではアンデルセンの物語とは異なるものとなる。

 本来ならば文章を読み、間違ったら修正することを繰り返して解釈の仕方を覚えるのだが、活字離れが叫ばれて久しい。情報量が極端に少ない交流サイト(SNS)ではメッセージに込められた意図を十分読み解かぬまま、短絡的なやりとりが交わされるため、トラブルに陥りやすくなる。

 新聞には記事だけでなく、専門家の解説や小説などが掲載されている。子どもたちは、さまざまな文章に触れ、言葉の使い方や解釈の奥深さを学んでほしい。

 京都市で今夏開かれたNIE全国大会では、対話がキーワードの一つになった。パネル討論で京都教育大付桃山中の神崎友子教諭は「どんなにAIやロボットが発達しても、他者との共生が欠かせない。対話によって自分の考えが明確化され、問題を多角的に捉えられるようになる」と語った。

 自分の考えを話すことは、記憶力や思考力を駆使して文章を創る行為だ。子どもたちは、創造力を養うための出発点である疑問や課題を新聞から見つけてほしい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.26】:現行の健康保険証/廃止ありきでいいか疑問だ

2024-11-30 07:58:10 | 【医療・診療報酬・病気・地域・オンライン診療・マイナ保険証・薬価・医療過誤】

【社説・11.26】:現行の健康保険証/廃止ありきでいいか疑問だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.26】:現行の健康保険証/廃止ありきでいいか疑問だ

 国民の不安や不信感はいまだ解消されていない。廃止に突き進むのではなく、理解醸成と現場の混乱を招かないために十分な時間を確保することが重要だ。

 マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」への移行に伴う、現行の健康保険証の廃止期限が12月2日に迫っている。発行済みの保険証は最長1年間は使用できるが、期限以降は新規に発行されない。

 健康保険証の廃止はマイナカード取得の事実上の義務化だが、10月末時点でカードを取得したのは国民全体の7割程度にとどまる。厚生労働省によると、カード保有者のマイナ保険証の登録は8割に上るものの利用率は低調だ。本県の利用率は2割に届いていない。

 背景には情報漏えいなどへの不安があるようだ。カードのICチップに病歴などの情報は記録されていないため、カードを紛失しても医療関連の情報漏えいの可能性は低いが、保有者の半数は常に携行していない。マイナンバーと保険証のひも付けミスが相次いだことも国民の不信感につながっているとみられる。

 マイナ保険証は医師が薬の処方歴や特定健診の結果を見て、治療に生かせるなどの利点がある。こうした安全性や利便性について理解を得られていないことが、利用率低迷の要因なのは明らかだ。政府は現行の健康保険証の使用期間を延長するなどして、国民の理解を得る取り組みを強化すべきだ。

 マイナ保険証をめぐっては、通信障害などのトラブルが懸念されている。全国保険医団体連合会が実施した調査では全国の約1万3000の医療機関のうち、7割の医療機関でカードを端末で読み取れない、表示された情報が文字化けしたーなどを経験している。多くの医療機関は、患者が持ち合わせた現行の健康保険証で医療保険の資格などを確認したという。

 通信障害などが長時間続けば、現場の混乱は避けられない。トラブル発生時などを見据え、9割近くの医療機関が健康保険証の存続を求めている。政府は複数のトラブルが同時に発生することなどを想定し、医療行為に支障を来さないよう対策を講じる必要がある。

 マイナカードに運転免許証機能を持たせた「マイナ免許証」が来年3月に導入される。こちらは導入後も従来の運転免許証が使え、両方を持つことも可能だ。一部の外国で現地での運転に従来の免許証が必要なことが考慮された。運転免許証は可能で、なぜ健康保険証ではできないのか。政府には国民が納得できる説明を求めたい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月26日  08:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・11.26】:「いつかは本気出す石破」を国民はいつまで待つか

2024-11-30 07:40:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政界地獄耳・11.26】:「いつかは本気出す石破」を国民はいつまで待つか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.26】:「いつかは本気出す石破」を国民はいつまで待つか 

 ★23、24の両日、毎日新聞などが行った世論調査の石破内閣の支持率は、10月3日実施の前回調査(46%)より15ポイント減の31%になった。それでも国民は石破には歴代首相の中では極めて優しく接している。「辞任する必要はない」が43%で、「辞任すべきだ」(24%)を大きく上回った。国民も石破内閣の評価を思いあぐねているのではないか。ネットには外交マナーができていない、おにぎりの食べ方が…といった話題がおびただしく氾濫しているが、国会議事堂の議員食堂や国会内のコンビニで議員が好んで買い求める食事は、すし、カレーライス、おにぎりが圧倒的に多い。時間なく会議と会議の合間に資料を眺めながら、すぐに食べられることが重宝されている理由だろう。

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 キリスト教カルヴァン派のクリスチャンである石破茂首相。信仰が彼の政治手腕にどう作用するか(写真・JMPA)(東洋経済オンライン)

 ★好き嫌いが箸の上げ下げにまで言及されるのがいいのかどうかはわからないが、複雑な政治状況で首相になった石破に対して「まだ仕事をする状況に至っていない」「今後本来の石破らしさが発揮されるはず」などの淡い期待石破を切り捨ててはいけないという衝動につながるのか。先の総裁選挙に出馬した9人の候補者の中で英語が話せないのは石破だけだという指摘がある。一方、専門家たちは石破の強みはキリスト教プロテスタント・カルヴァン主義という。これは次期米大統領・ドナルド・トランプと同じ。今後はこれもネットの話題になりそうだ。

 ★ただ、石破は総裁選の時に発言していた政策で進み始めたのは防災庁の設置ぐらいで、アジア版NATO構想も東京と平壌に連絡事務所を設置する構想も封印している。無論、あまりに粗削りすぎて党内議論の手前の話だが、このまま消え去る運命なのかもしれない。「石破は英語ができるうんぬんでなく外交そのものの経験が薄い。党内でも仲がいい議員が少ないんだから各国首脳とのコミュニケーション、信頼関係など言うに及ばずだ。党内も霞が関も先が思いやられると思っているが、国民がどこまで『いつかは本気出す』石破を待ってくれるか」(ベテラン議員)。我慢の限界は近い。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません4。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年11月26日  07:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・11.28】:ドイツのEU離脱を求める政党の登場(3) 

2024-11-30 07:05:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【HUNTER・11.28】:ドイツのEU離脱を求める政党の登場(3)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・11.28】:ドイツのEU離脱を求める政党の登場(3) 

 心の底に沈み込み、癒やされることのない深い悲しみを「哀しみ」と呼ぶならば、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の綱領からにじみ出てくるものは「哀しみ」ではないか。

 AfDの綱領は次のような言葉で始まる。
「ドイツのために起(た)ち上がる勇気。私たちは臣民ではなく、自由な市民である」

 続いて、綱領は次の3つの文章を掲げる。
「私たちはリベラルであり、かつ保守主義者である」
「私たちはわが国の自由な市民である」
「私たちは民主主義の堅固な支持者である」

 そして、長い間、募る思いを胸に抱え込み、口に出すことをためらってきた人々に「今こそ起ち上がり、行動する時だ」と呼びかける。「正義と法の支配に反すること、立憲国家を破壊するようなことをこれ以上、見過ごすわけにはいかない」「健全な経済諸原則に違背する政治家たちの無責任な行動を見過ごすわけにはいかない」と記し、「だからこそ、私たちは真の政治的選択肢を提示する」と訴えている。

 「立憲国家の破壊」「健全な経済諸原則への違背」とは、何を意味するのか。これは、この政党の生い立ちに深く関わる表現である。「ドイツのための選択肢(AfD)」は2013年、ギリシャ危機のさなかに結成された。でたらめな財政運営を重ね、「国家破綻」の危機に瀕したギリシャを救済するため、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が大規模な金融支援に乗り出した時期である。

 ギリシャは、労働人口の4人に1人が公務員という「役人天国」だった。年金の支給は55歳から。しかも、年金は現役時代の給与の9割を支給するという大盤振る舞い。これでは国家として立ち行かなくなるのは当たり前だ。

 そのギリシャに、EUとIMFは2010年の第一次金融支援で1,100億ユーロ、2012年の第二次金融支援では1,300億ユーロという巨費を投じることを決めた。緊縮財政への転換と経済改革の断行を条件にしたうえでの支援とはいえ、その負担はEU加盟国、とりわけその最大の資金拠出国であるドイツに重くのしかかってくる。

 ドイツは、欧州連合(EU)の前身の欧州共同体(EC)の時代から、巨額の資金を拠出してその運営を支えてきた。少し乱暴に言えば、自動車や鉄鋼製品の輸出でドイツが稼いだ金でフランスなどに潤沢な農業補助金を回し、それらの国々を支えてきたという側面がある。誰も口に出しては言わないが、それは第2次大戦を引き起こしたドイツによる「隠れた戦後賠償」という性格も帯びていた。戦争に敗れ、ホロコーストで断罪されたドイツには、そうした配分に抗弁できるはずもなかった。

 しかも、加盟国による拠出金の負担と補助金配分という受益の割合をどうするかは、EU本部のあるブリュッセルの官僚たちと各国の政治指導者による協議で決められる。主権者である国民には異議を差し挟む機会すらない(ドイツには国民投票の制度がない)。そうした不満が鬱積しているところに、「健全な経済諸原則」を踏み外したギリシャを救済する決定が下されたのだ。

*ベルント・ルッケ

 2013年にAfDを立ち上げた時の創設者の1人は、ハンブルク大学のベルント・ルッケ教授(経済学)である。もともと共通通貨ユーロの導入について「歴史的な過ちである」と批判しており、ギリシャ救済についても「とんでもない災い」と非難した。高級紙フランクフルター・アルゲマイネの元編集者も創設に加わった。

 ドイツにとって、欧州統合は国是とみなされてきた。その国是に「しかるべき見識を持つ人たち」が初めて、公然と反旗を翻した。「我慢に我慢を重ねてきたが、これ以上、負担ばかり押し付けられるのはごめんだ」という声が噴き出したのである。

 そうした憤りを背に船出したAfDは、綱領にも「欧州連合(EU)を中央集権的な連邦国家にする考えに反対する。EUは各国をゆるやかに結びつける経済共同体に戻すべきだ。ヨーロッパ合衆国という構想も拒絶する」と記した。そして、根本的な改革がなされないならば、「ドイツのEUからの離脱、もしくはEUの解体を求める」と宣言した。それは、戦後のドイツと欧州の歩みに真っ向から挑戦するものであり、政治と経済の基盤を根底から揺さぶるものだった。

 欧州統合の推進役を果たしてきたドイツが「統合推進か離脱か」で大揺れになるような事態になれば、その影響はドイツだけにとどまらず欧州全体、さらには世界経済にも及ぶ。とてつもない混乱が広がる恐れがある。

 ドイツでは、主要政党のキリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPD)、緑の党なども欧州統合を進めることでは一致している。このため、たとえAfDが総選挙で躍進し、第一党になったとしても、単独で過半数の議席を確保しない限り、政権を担う可能性はない。EUからのドイツの離脱がすぐに現実的な政治課題になる可能性も極めて小さい。

 とはいえ、ドイツの各種世論調査によれば、来年2月に繰り上げて実施される総選挙で、AfDはメルケル元首相の出身母体であるCDUに次いで第2党になる勢いを見せている。ショルツ首相が率いるSPDをしのぐことは間違いない情勢だ。ドイツのEU離脱というテーマは、いまや「一部の過激派の極端な主張」と言って済ませるわけにはいかない。どの政党も真剣に立ち向かわざるを得なくなるだろう。

 欧州連合(EU)の本部があるブリュッセルでは、欧州委員会や閣僚理事会、欧州議会のスタッフら3万2000人の職員が働いている。加盟27カ国で使われる公用語は24。主要な会議の話し合いと議事録の作成には、それぞれ大勢の通訳が必要になる。EUの運営費は年々、膨らむ。AfDはそこにも鋭い視線を向け、「これらのシステムは非効率で市民の暮らしからかけ離れているにもかかわらず、肥大化している」と批判してやまない。

 AfDの勢力拡大のもう一つの大きな要因は移民・難民政策である。AfDは、2015年の難民危機の際のメルケル首相(当時)の決断(困窮し、庇護を求める人はすべて受け入れるとの政策転換)を「完全な失敗だった」と弾劾する。法的な枠組みもないまま、庇護を求める人も出稼ぎ目的の人も一緒くたにして受け入れてしまった、という。

 その結果、同年末にケルンで集団性暴行事件が起き、ハンブルクやシュツットガルト、ドルトムントなど各地で同じような事件が続発した。移民と難民による犯罪の多発はドイツ社会に深刻な影を落としており、「政策の大転換が必要だ」というAfDの訴えは、ますます説得力を増してきている。

 ただ、どのように転換するかをめぐってはAfD内部でも意見が割れ、創設者の1人のベルント・ルッケら穏健派は離党した。穏健派が離れた後に改訂された現在の綱領は「信仰の自由は無条件で支持する」としながら、「ただし、私たちの法秩序やユダヤ教・キリスト教的な文化基盤に反するイスラム教の礼拝や習慣には断固反対する」という。つまり、アザーン(礼拝の呼びかけ)や公共の場でのヒジャブやニカブの着用は認めない。

 綱領には「イスラム教はドイツに属するものではない。イスラム教徒の数が増え、広がることはわが国にとって危険なことだと考える」という、より直接的な表現もある。それらは、より過激な団体「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者(ペギーダ)」の唱えるスローガンと重なる部分があり、主要政党が警戒の眼差しを向ける理由になっている。

 AfDの綱領でもう一つ注目されるのは「ドイツに国民投票の制度を設けよ」と主張している点だ。ナチス時代の反省から、「扇動的な政治家が民衆をあおり立てて国家の根幹を変えてしまう恐れがある」として、ドイツは国民投票の制度を設けなかった。このため、ユーロの導入にしてもギリシャ救済にしても「一握りの政治エリートたちによって決められてしまった」と、AfDは非難する。

 綱領は「ドイツは政治的な岐路に立っている」とし、「憲法の改正や重要な条約の発効については国民の投票による同意なしに行ってはならない」と唱える。とりわけ、「財政支出をともなう決定については国民投票にかけよ」と言う。ユーロ導入やギリシャ救済が国民の頭越しに決められたことを非難するもので、これも有権者の胸に響く主張だろう。

 ドイツのEU離脱は、英国の離脱とは比べようもないほどのインパクトを持つ。「イスラム教徒とどのように向き合うか」という問題も、欧州全体に突き付けられた課題である。そうした重要な政治課題について、これほどドラスティックな転換を唱えたドイツの政党は今までになかった。

*AfDの共同党首

 現在、「ドイツのための選択肢(AfD)」を率いるのはティノ・クルパラ(49)、アリス・ワイデル(45)という2人の共同党首である。クルパラ氏は旧東ドイツ生まれで、塗装工から建設会社のオーナーになった実業家。ワイデル氏は西部ノルトライン・ヴェストファーレン州出身。バイロイト大学で経済学を専攻し、ゴールドマンサックスや中国銀行に勤めた。出身地、経歴とも対照的で、男女の共同党首というのも現代的と言うべきか。

 ドイツの有権者は来年2月の総選挙で、2人が率いるAfDにどのような審判を下すのか。選挙結果は、ドイツだけでなく欧州全体の未来を大きく左右するものになるだろう。

 

長岡 昇(ながおか のぼる)
山形県の地域おこしNPO「ブナの森」代表。市民オンブズマン山形県会議会員。朝日新聞記者として30年余り、主にアジアを取材した。論説委員を務めた後、2009年に早期退職して山形に帰郷、民間人校長として働く。2013年から3年間、山形大学プロジェクト教授。1953年生まれ、山形県朝日町在住。

≪写真≫
◎「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会(オンライン・マガジンPolitical violence at a glance から)→こちら
◎AfDの創設者、ベルント・ルッケ教授(英語版ウィキペディアから)→こちら
◎AfDのティノ・クルパラ(左)、アリス・ワイデル(右)共同党首(独紙ベルリナー・モルゲンポストのサイトから)→こちら

≪参考サイト&文献≫
◎調査報道サイト・ハンター「ドイツの『封印された哀しみ』が噴き出している(2)」→こちら
◎「ドイツのための選択肢(AfD)」の綱領(英訳版)→こちら
◎「ギリシャ問題とユーロ圏の構造強化(内閣府の公式サイトから)→こちら
◎「変調するドイツ政治」(板橋拓己、国際問題No.660 2027年4月)→こちら
◎英語版ウィキペディア「ベルント・ルッケ Bernd Lucke」→こちら
◎「共通農業政策の財政と加盟国の農家経済」(石井圭一・東北大学大学院准教授)→こちら
◎「欧州理事会、閣僚会議、欧州委員会」(宮畑建志)→こちら
◎『超約 ドイツの歴史』(ジェームズ・ホーズ、東京書籍)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース・ヨーロッパ・ドイツ】  2024年11月28日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・11.11】:ドイツの「封印された哀しみ」が噴き出している(2)

2024-11-30 07:05:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【HUNTER・11.11】:ドイツの「封印された哀しみ」が噴き出している(2)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・11.11】:ドイツの「封印された哀しみ」が噴き出している(2) 

 政党の本部といえば、首都の中心部にあるのが相場だ。日本の自民党と立憲民主党の本部は千代田区永田町にある。大阪を拠点とする日本維新の会を除けば、ほかの政党も都心に近いところに本部を構えている。

 ところが、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は違った。ベルリンの郊外、東京でいえば中野区か練馬区のはずれのようなところに党本部がある。最初、ネットで調べた時は「何かの間違いではないか」と首をかしげたが、AfDの公式サイトに載っているのもその住所だった。アポなしで訪ねることにした。

 ベルリンの中心部、ブランデンブルク門の近くにあるホテルから地下鉄と近郊電車を乗り継いで30分ほど。最寄り駅のウィッテナウに着いた。駅前で住所を示して尋ねたが、誰も知らない。9月の州議選で大躍進を遂げてドイツ政界を揺るがした、いま話題の政党なのに。

 住所は「アイヒホルスター通り80番地」と分かっている。近所の住民なら知っているだろうと、片言のドイツ語で尋ね回ったが、これまた誰も知らない。さまよい歩いて30分、ようやく「80番地」にたどり着いた。ごく普通の5階建てのビルだ。党本部はその1階にあった。

 インタホンのベルを押す。誰も出てこない。「みんなで昼食にでも行ったのか」と思い、ビルの玄関先でタバコをふかしながら20分ほど待った。党員か支持者とおぼしき若者が来たら、ドアが開いた。どうやら「いきなり訪ねてきた怪しげな男」を監視カメラで見ていたようだ。

 「日本から来ました。元新聞記者です」と自己紹介すると、仕事をしていた職員が何人か奥のオフィスから出てきた。みんな興味津々といった顔つきだ。日本人が訪ねてきたのは初めてだという(帰国してからさらに調べたところ、都心にもう一つ、議員が陣取る本部があることが分かった)。

 「なんでこんな遠いところに党本部を構えてるんですか。地元の人も誰も知らないので、探すのに苦労しました」と、素朴な疑問をぶつけてみた。すると、1人が「警戒する必要があるからです。左翼からの襲撃や破壊活動に備えなければなりません」と答えた。真顔だった。

 「現在の問題は演説や多数決ではなく、鉄と血によってのみ解決される」と豪語したのはビスマルクである。19世紀の鉄血宰相の言葉を持ち出すまでもなく、ドイツの政治は血なまぐさい。20世紀前半には、ヒトラー率いるナチスが突撃隊という準軍事組織を使って政敵を武力でねじ伏せた。

 ナチスは選挙で第1党になって政権を握り、当時のワイマール憲法の非常大権を使って独裁体制を築き、戦争に突き進んでいった。その苦い歴史を繰り返さないために、戦後つくられた西ドイツの基本法(憲法)は、国民に「自由と民主主義を守るために戦うこと」を義務づけた。戦後の西ドイツは「反ナチス」と「戦う民主主義」を掲げて再出発したのである。

 中央政府には「連邦憲法擁護庁」という情報機関があり、憲法秩序に抵触する恐れのある政党や団体を監視して取り締まる権限が与えられている。極右政党のAfDは監視対象になっており、ナチスを称賛する言動をして罰金を科せられた幹部もいる。2013年の結党時から、主要政党もメディアも厳しい目を向けており、身構えざるを得ないのだろう。

 私が「初めてドイツに来ました。フランクフルトから入り、ミュンヘンを回って」と言うと、「第一印象はどうですか」と尋ねられた。「こざっぱりして、システムがしっかりしていて規律正しい社会だと思う(a decent, well-organized and well-disciplined society)」と率直に答えると、失笑が漏れた。「それは昔のこと」と言うのだ。

 鉄道や地下鉄が定刻通りに運行されていたのは昔のこと。今では遅延は日常茶飯事、突然の運休も珍しくない。街頭にはゴミが散らばっている――延々と愚痴が続いた後、1人が「日本では深夜でも女性が独り歩きできると聞いたが、本当か」と聞いてきた。

 新宿の裏社会を描いて秀逸だった馳星周や大沢在昌の小説を読んで得た知識と、ささやかな実体験をもとに「日本のヤクザと中国人マフィアの抗争が激しい時期は治安も良くなかったが、新宿や池袋の主な盛り場を中国人マフィアが抑えてからは落ち着いている。深夜でも若い女性が平気で歩いている」と答えると、顔を見合わせながらうなずいた。

 ドイツ国内の、とりわけ大都市の治安の悪化はかなり深刻なようだ。彼らが脳裏に思い浮かべたのは、2015年の大晦日にドイツ西部ケルンで起きた「集団性暴行事件」だったのではないか。事件が起きたのはケルン中央駅と大聖堂の間にある広場である。ここに集まった1,000人余りの中東アフリカ系の群衆が新年を祝うお祭り騒ぎの中で、多数の女性に性的暴行を加え、強盗をはたらいた。レイプされた女性までいた。

 一夜明けた2016年元日、ケルン警察は「大晦日はおおむね平穏だった」というプレスリリースを出した。主要メディアは何も報じなかった。大規模な市民の抗議デモが起き、被害届が殺到した。ケルンの警察長官が記者会見を開いて、事件の概要を発表したのは1月4日のことである。それでも、公共放送のZDFはその日夜のニュースで「群衆の背景が不明」として、この事件を報じなかった。

 警察発表の翌5日、ヘンリエッテ・レーカー市長は会見で記者に「女性はどうやって身を守ればいいのか」と問われ、「見知らぬ人々には近づかないこと。腕の長さ以上の距離を保つことは、いつだってできるでしょ」と答え、市民の怒りを増幅した。その後、逮捕された容疑者の中には、難民申請中の者が多数いることが確認された。

 警察が事件の発表をためらい、市長がこのような発言をしたのはなぜか。この年、2015年の夏にメルケル首相は「すべての難民を受け入れる」「私たちはやり遂げる」と宣言し、ドイツの難民政策を大転換した。ケルンの市長は当時の政権与党、キリスト教民主同盟(CDU)や緑の党の支援を受ける女性政治家である。「メルケル政権の難民政策を後退させるわけにはいかない」という思いがあった、と見るのが自然だろう。

 前回のコラムで、「ドイツには戦後、トルコ系移民と旧ユーゴスラビアからの難民、中東アフリカ系の難民、ウクライナからの難民と4つの大波があった」と記した。だが、実はドイツにはこの前に、もう一つの「語ることを許されなかった、より大きな移民の波」があった。旧ドイツ東部領土からの移民である。

 第2次大戦後、ドイツは東プロイセンやポンメルンなど広大な領土を失い、ソ連とポーランドに奪われた。土地によっては数百年にわたってドイツ人が住んでいたところもあったが、いっさいお構いなく、ドイツ系の住民は補償もないまま追放された。混住を認めれば、将来、再び紛争の種になる。戦勝国側は「ドイツ人を一掃する」と宣言し、実行したのである。

 ナチス占領下でユダヤ人を東の強制収容所に送り込んだ貨物列車が、今度は追放されたドイツ人を乗せて西へ向かった。荷馬車と徒歩で移動した人々もいた。被追放者の総数は1,200万人とも1,500万人とも言われる。

 移動の途中で、被追放者はポーランド人やユダヤ人、チェコ人らから凄惨な報復を受けた。死者は推定で40万人ないし60万人。戦争によるドイツ本国の破壊と荒廃はすさまじく、旧領土からの移民のことまで手が回らなかったのだろう。その総数も報復による犠牲者の数も、いまだ推計すら定まらない。「旧ドイツ東部領土問題」と呼ばれる。

 戦後のドイツは、多くの国民が飢餓線上をさまよう状況にあった。そこに追放された人々が移り住んだ時、どのような境遇に落ちていくか。彼らは「外国人」として疎外されないよう、自らが被追放者であることを隠し、劣悪な条件の下で生きていくしかなかった。

 公の場で追放の辛苦を語ることもできなかった。戦後、ドイツ人による600万人のユダヤ人虐殺や占領直後のポーランドやウクライナでの蛮行が次々に暴かれ、裁かれていったからだ。「被害者としてのドイツ」を語ることは、「加害者としてのドイツの歴史的な罪を中和することになる」と批判され、沈黙するしかなかった。

 日本のメディアもこの問題を報じたことはほとんどなかったが、ドイツの旅から戻って間もない10月28日の夜、NHKは「映像の世紀 ドイツ さまよえる人々」というドキュメンタリーを流した。ポーランド兵による殺害と暴行、解放されたユダヤ人による報復の数々……。その映像のおぞましさに息をのんだ。

 追放された移民たちが「被追放者連盟」を結成して、公然と語り始めたのは21世紀に入ってからである。その体験と哀しみを語るのに60年余りを要した。そのうえ、主要政党からもメディアからも厳しく批判された。60年たっても、周りは「敵だらけ」だった。

 ドキュメンタリーは、自らも被追放者だった作家ギュンター・グラスの「ドイツの罪や後悔が長く喫緊の課題であったとはいえ、彼らの苦悩について沈黙してはならない。この問題を右翼に任せてはいけない」という言葉を伝え、最後も彼の「歴史は私たちに慰めを与えてはくれない。私たちはその歴史の中を歩き続けるのだ」という言葉で締めくくっている。

 9月のドイツ東部3州での極右政党AfDの躍進は、こうした歴史的な経緯を抜きにして考えることはできない。「統一後も残る東西ドイツの経済格差への不満」という視点だけでは説明できないことが多すぎるのだ。旧西ドイツ地域でも、AfDは着実に支持を広げ続けている。

 東部3州の州議選の結果をよく見ると、チューリンゲン州とザクセン州ではショルツ政権の与党、社会民主党(SPD)が惨敗した。ブランデンブルク州ではメルケル前政権の与党、キリスト教民主同盟(CDU)が第4党に転落した(→グラフ参照)。

 グラフが複雑になるので省略したが、注目されるのはチューリンゲン、ブランデンブルク両州で第3党になった「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」という新しい極左政党である。この政党は、難民政策に関しては「受け入れを制限すべきだ」と訴え、ロシアと戦い続けるウクライナへの武器供与の中止を求めて躍進した。

 移民・難民政策とウクライナ戦争への対応では、極右のAfDと極左のBSWが同じような主張をして票を伸ばした。両党とも若者の支持率が高い点も共通している。つまり、戦後ドイツの政界のメインストリームとも言うべき社会民主党(中道左派)とCDU(中道右派)は、その支持基盤を両側から掘り崩されているのである。来年9月の総選挙でAfDはどこまで支持を伸ばすのか。社会民主党もCDUも戦略を練り直しているところだろう。

 話をAfD党本部でのやり取りに戻す。彼らは、日本の移民・難民政策に強い関心を示した。難民申請をしても条件が極めて厳しく、なかなか難民として認めない日本の制度は「カナダと並んで、お手本(role model)なのです」とまで言う。

 日本で移民と難民の問題を担当しているのは、法務省の外局の出入国在留管理庁である。その所管と名称からして、国際社会の基準から外れている。移民と難民を治安維持の観点から「管理する対象」と捉えているからである。昔ながらの「官尊民卑の感覚」と言える。

 ドイツの場合、連邦移民難民庁は内務社会省の管轄下にあり、移民と難民を「困窮した人たちとどう向き合い、社会にどうやって受け入れていくか」という観点で捉えている。難民の申請受付と認定だけでなく、受け入れ後の語学教育や職業訓練まで総合的にカバーしている。要するに、移民も難民も「われわれと同じ人間」として向き合おうとしており、日本とは根本的に異なる。どちらがまともかは言うまでもない。

 極右政党のAfDは連邦憲法擁護庁の「監視対象」になっていることを意識しており、移民の「排除」を要求してはいない。「受け入れの制限」を求めている。とはいえ、AfDの支持層は、より過激な団体「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者(ペギーダ)」の支持層と重なっており、移民・難民政策をどうするかをめぐっては、党内で激しい議論が続いているようだ。

 AfD党本部での対話は2時間たっても終わらない。そのうち、先方から「党の幹部に会ってみませんか。セットします」と提案された。私は「明日、ベルリンを離れるんです」と言って辞退したが、その日の夜には英語版で100ページ近い党綱領をメールで送ってきてくれた。

 移民・難民問題と並んで、ドイツ政治の重要な課題の一つは「欧州連合(EU)とどう向き合うか」である。帰国してから、AfDの綱領をじっくり読んでみた。綱領には、ドイツ社会の根幹を揺さぶる政策が盛り込まれていた。

長岡 昇:NPO「ブナの森」代表)

長岡 昇(ながおか のぼる)
山形県の地域おこしNPO「ブナの森」代表。市民オンブズマン山形県会議会員。朝日新聞記者として30年余り、主にアジアを取材した。論説委員を務めた後、2009年に早期退職して山形に帰郷、民間人校長として働く。2013年から3年間、山形大学プロジェクト教授。1953年生まれ、山形県朝日町在住。

【追記】
ショルツ連立政権は116日、与党の自由民主党が連立から離脱し、崩壊した。連立の主軸の社会民主党と緑の党が大規模な財政出動による景気刺激策を唱えたのに対し、財政規律を重視する自民党は反対していた。連立の崩壊に伴って、来年月に予定されていた総選挙は前倒しされる見通しだ。

【注】
・「ドイツのための選択肢」(AfD= Alternative für Deutshlandの略称、アーエフデー)
・ナチス(国民社会主義ドイツ労働者党 Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei の略称Nazi の複数形。国家社会主義ドイツ労働者党と訳す専門家もいる)

≪写真&地図≫
◎ベルリン郊外にあるドイツのための選択肢(AfD)の党本部=2024年10月16日、筆者撮影
◎地図 ドイツが第2次大戦後に失った東部領土(英語版ウィキペディアから引用)→こちら
◎グラフ ドイツ東部3州の州議選の得票率(主要3党)=各州の公式サイトのデータを基に作成

≪参考サイト&文献≫
◎調査報道サイト・ハンター「ドイツは『第4の大波』に耐えられるか」→こちら
◎「支持を広げるドイツのための選択肢」(川畑大地、みずほリサーチ&テクノロジーズ、2024年9月24日)→こちら
◎極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の公式サイト(ドイツ語だが、日本語や英語への自動翻訳機能付き)→こちら
◎ウィキペディア「ギュンター・グラス」→こちら
◎ウィキペディア「ケルン大晦日集団性暴行事件」→こちら
◎英語版ウィキペディア「2015-2016 New Year’s Eve sexual assaults in Germany」→こちら
◎ウィキペディア「旧ドイツ東部領土」→こちら
◎ウィキペディア「連邦憲法擁護庁」→こちら
◎ドイツ語版ウィキペディア「Bundesamt für Migration und Flüchtlinge (BAMF) 」(ドイツ語だが、英語や日本語への自動翻訳機能付き)→こちら
◎ウィキペディア「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者(ペギーダ)」→こちら
◎「ドイツ移民法・統合法成立の背景と動向」(ハンス・ゲオルク・マーセン、筑波ロー・ジャーナル2号 2007年12月)→こちら
◎『包摂・共生の政治か、排除の政治か』(宮島喬、佐藤成基編、明石書店)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・ヨーロッパ・ドイツ】  2024年11月11日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・11.01】:ドイツは「第4の大波」に耐えられるか(1)

2024-11-30 07:05:10 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【HUNTER・11.01】:ドイツは「第4の大波」に耐えられるか(1)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・11.01】:ドイツは「第4の大波」に耐えられるか(1) 

 新聞記者として長くアジアを担当したので、インドやパキスタン、アフガニスタンから東南アジアまで、この地域の国々はかなり頻繁に訪れた。石油をめぐる連載記事の取材で湾岸の産油国を回ったこともある。だが、「担当地域外」ということで、ヨーロッパの国々を取材する機会はほとんどなかった。

 古稀を過ぎて、体力も気力も徐々に衰えてきた。「まだ余力があるうちに取材の空白域に足を運んでみたい」と思い、かねて訪ねてみたかったドイツに10日間の旅に出た。

 10月上旬、空路、フランクフルトからから入り、中央駅近くのホテルにチェックインした。フランクフルトの繁華街は、中央駅の前に「こぎれいな歌舞伎町」をドスンと置いたような風情だ。駅前から延びる街路にはそれぞれ警察官が配置され、角々には中東系とアフリカ系の若者がたむろしていた。

 中央駅から数ブロック奥に入っただけで、あやしいネオンが光り輝き、辻々には街娼が立っている。小さな紙片を広げてコソコソ売買しているのは麻薬だろう。大都市らしい猥雑さだ。夜遅く、散策を終えて駅前のホテルに戻ったが、明け方までパトカーのサイレンがけたたましく鳴り響き、しばしば眠りを妨げられた。

 翌朝、駅前のカフェに入った。店員の会話に耳を傾けていたら、「タシャクル」という言葉が聞こえてきた。アフガニスタンの共通語ダリ語(ペルシャ語方言)で「ありがとう」の意味だ。「私は日本から来た。あなたたちはアフガンから?」と英語で尋ねると、少し驚いたような表情で「そうです」と答えた。その店員はウズベク人だという。そこで、カウンターにいるもう1人の店員に「あなたはパシュトゥン人か」と問うと、ビンゴだった。

 「なんで分かる」と聞くので、私は「元ジャーナリストで、アフガニスタンには取材で何度も行ったことがある」と答えた。パシュトゥンの若者は、首都カブール北方のパンジシール渓谷の近くで生まれたという。パンジシールと聞いてすぐに思い浮かぶのは、タジク人武装勢力の指導者、マスードである。

 マスードが率いる勢力は1992年に社会主義政権を倒して権力を握ったが、4年後にはパシュトゥン人主体のタリバンに首都を追われた。マスードは拠点のパンジシール渓谷に立てこもってタリバンに抵抗し続けたが、2001年9月、アルカイダのメンバーと見られる男たちに自爆テロで殺害された。

 当時、アフガニスタンを支配していたタリバンとその庇護下にあったアルカイダにとって、親欧米のマスードはアメリカとの戦争を始めるにあたって「障害になる人物」と見られていた。アメリカと手を組み、背後から攻めてくる恐れがあったからだ。

 オサマ・ビン・ラディン率いるアルカイダのメンバーが旅客機を乗っ取り、世界貿易センターと米国防総省に突っ込んだのは、マスード暗殺の2日後、9月11日だった。「アメリカとの聖戦(ジハード)」を始める前に、彼らは「背後の敵」を始末したのである。

 パシュトゥンの若者に「ドイツに来てどのくらいになる?」と尋ねた。「20年以上。タリバン政権になって逃げてきた」という。この感じならアフガン料理の店もあるはず、と思って探したら、すぐ近くにレストラン「カブール」があった。その日の夜、この店で羊肉と細切りニンジン、レーズンの炊き込みご飯「マヒチャ・パラウ」を食べた。懐かしい味がした。

 戦火のアフガニスタンから逃れる人々の流れは、1979年のソ連のアフガン侵攻とその後の内戦、1990年代のタリバン政権成立前後の混乱、そして2001年9・11テロ後のアメリカとの戦争、と絶えることなく続いた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、隣国イランとパキスタンには今なお、合わせて500万人を超えるアフガン難民がいる。

 隣国での苦しい生活から何とか抜け出したいと願うアフガン難民は、より良い暮らしを求めてヨーロッパを目指す。その中で、最も多くのアフガン難民を受け入れてきたのがドイツだ。連邦統計庁のデータによると、国内のアフガン人は2022年時点で42万人を上回る。ドイツでは、帰化した外国人やドイツ生まれで国籍を取得した子どもは統計上、外国人として扱われないので、アフガン系の人口はこれよりかなり多いと見ていい。

 第2次大戦後、ドイツは労働力不足を補うため、トルコやイタリア、スペインなどから大量の移民を受け入れた。彼らは「ガスト・アルバイター(ゲスト労働者)」と呼ばれ、主に鉄鋼業や鉱業、農業部門などで働き、ドイツの戦後復興とその後の経済成長を底支えした。移民・難民のいわば「第1波」で、その数はトルコ人だけで約300万人とされる。

 この移民政策は1973年の石油危機で景気が後退すると打ち切られたが、母国に帰らず、家族を呼び寄せて定住する者が多かった。イタリア人やスペイン人はあまり目立たず、社会に溶け込んでいったが、イスラム教徒のトルコ人は肩を寄せ合い、ドイツの中に「別のもう一つの社会」を形成していった。

 ドイツは「資格社会」である。ほとんどの職業で公的な資格が必要とされ、一定の教育と職業訓練を経て資格を取らなければ、しかるべき職業に就けない。ドイツ語を覚え、ドイツの習慣に合わせるだけでも大変だ。それを乗り越えて、こうした資格を取るのは容易なことではない。多くのトルコ人は低賃金の仕事で糊口をしのぐしかなかった。

 それはドイツ国内でも欧州各国でも広く知られたことだったが、ドイツ国内の「もう一つの社会」の問題にすぎないとして、声高に議論されることはなく、内外のメディアで取り上げられることも極めて少なかった。

 ドイツの憲法である基本法には「政治的迫害を受ける者は庇護権を享有する」という条文がある。ナチス時代の圧政を繰り返さないために設けられた規定だ。これがあるため、「ドイツはずっと、難民に広く門戸を開いてきた」と受けとめられがちだが、必ずしもそうではない。国際的なルールに沿って粛々と難民として受け入れてきた、というのが実情だ。国内のトルコ人問題がトゲのように刺さったままであり、慎重な姿勢を保たざるを得なかったのだろう。

 それでも、「難民鎖国」と批判される日本に比べれば、はるかに多くの移民と難民を受け入れてきた。アフガン難民に限らず、戦火に追われ困窮した人たちはドイツを目指した。1991年以降、旧ユーゴスラビアでの紛争が激しくなると、押し寄せる難民は急増し、翌1992年には40万人を超える難民がドイツに流れ込んだ。移民・難民の「第2の波」である。

 そのピークが過ぎ、落ち着きを取り戻した頃、今度はシリアやイラク、スーダンなど中東アフリカ諸国からものすごい数の難民が押し寄せてきた。欧州連合(EU)には「最初に難民を受け入れた国が責任をもって対処する」というルールがあった。ダブリン規約と呼ばれるもので、特定の国に難民が集中するのを防ぐために定めたものだが、大波に直面したイタリアやギリシャ、オーストリアなどからは「負担に耐えきれない」と悲鳴が上がった。「2015年欧州難民危機」である。

 混乱が深まる中で動いたのがドイツだった。当時のメルケル首相はダブリン規約にこだわることなく、「すべての難民を受け入れる」と宣言した。難民政策を大転換し、門戸を大きく広げたのである。国内から湧き上がった批判を、彼女は「私たちはやり遂げる」「困っている人たちに手を差し伸べたことで謝罪しなければならないというのなら、ドイツは私の国ではない」と一蹴した。その決断は、EUの境界周辺で立ち往生する難民たちを何よりも勇気づけるものだった。2015年から翌年にかけて、ドイツには100万人近くの難民が殺到した(グラフ参照)。

 中東やアフリカから押し寄せた「第3の波」。ドイツは難民支援を担当する職員や関係施設の拡充に追われ、中央政府と州政府の予算も膨らんでいった。そこへ、2022年のロシアによるウクライナ侵攻である。戦争が激しくなるにつれて、ウクライナから「第4の波」が押し寄せた。ドイツが受け入れた難民はポーランドに次いで多く、100万人を上回った。

 トルコからの移住者からウクライナ難民まで、人口約8500万人のドイツは約730万人(全体の8%)の外国人を抱えるに至った。欧州諸国の難民支援は手厚い。とりわけドイツは、難民として認定した人だけでなく、難民申請中の人にも住居を提供し、当面の生活費を支給する。申請した本人だけでなく、子どもや家族向けのドイツ語習得プログラムも充実している。

 当然のことながら、移民と難民を支援する予算は膨らむ一方だ。豊かとはいえ、ドイツ経済にかつての勢いはない。国内では少子高齢化と地方の過疎化が進む。「難民ではなく、私たちのために税金を使え」という声が高まるのは避けられないことだった。

 16年にわたってドイツを率いたメルケル元首相は、名宰相として今でも海外では高く評価されているが、ここ数年、国内では風向きが変わってきた。「いくら何でも、ここまで難民を受け入れる必要があったのか」「プーチンとツーカーの仲と言われていたのに、ロシアのウクライナ侵攻を止められなかったではないか」といった厳しい批判にさらされている。

 こうした流れの中で、今年9月にドイツで行われたチューリンゲンの州議会選挙では、反EUと反移民を唱える極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第1党に躍り出た。ザクセン州とブランデンブルク州でも躍進し、第2党になった。反ナチスを国是としてきたドイツで極右勢力がこれほど伸びたのは戦後初めてであり、衝撃的な結果だった。

 多くのメディアは「東西ドイツの統一後も旧東ドイツ地域は経済的に立ち遅れたままだ。経済格差への不満が噴き出した」と分析したが、その底流に「難民政策への不満」があったことは間違いないだろう。旧東ドイツ地域以外でも確実に支持者を増やしているからだ。

 「移民と難民の第4波」が打ち寄せるドイツで、何が起きているのか。ドイツは大波に耐えられるのか。ベルリンにある極右政党AfDの本部を訪れ、彼らの声に耳を傾けてみた。次のコラムで、ドイツ政治の底流を探ってみたい。

 (長岡 昇:NPO「ブナの森」代表)

長岡 昇(ながおか のぼる)
山形県の地域おこしNPO「ブナの森」代表。市民オンブズマン山形県会議会員。朝日新聞記者として30年余り、主にアジアを取材した。論説委員を務めた後、2009年に早期退職して山形に帰郷、民間人校長として働く。2013年から3年間、山形大学プロジェクト教授。1953年生まれ、山形県朝日町在住。

≪写真&グラフ≫
◎難民キャンプの子どもたち(著作権フリーの写真サイトPexelsから)→こちら
◎フランクフルト中央駅の近くにあるアフガン料理店「カブール」→ミュンヘナー通りとモーゼル通りの交差点近く=2024年10月10日、筆者撮影
◎ドイツへの難民申請者数の推移→ドイツ連邦移民難民庁のデータを基に作成

≪参考サイト&文献≫
◎調査報道サイト・ハンター「アフガニスタンの苦悩と誇り」→こちら
◎英語版ウィキペディア「Afghans in Germany」→こちら
◎「ドイツの『難民』問題とアフガン人の位置」(嶋田晴行、立命館国際研究2019年2月)→こちら
◎「ドイツ在住トルコ系移民の社会的統合に向けて」(石川真作、立命館言語文化研究29巻1号)→こちら
◎「ドイツの移民政策—-統合と選別」(前田直子、獨協大学大学院外国語学研究科)→こちら
◎「ドイツはなぜ難民を受け入れるのか」(難民支援協会、2016年8月26日)→こちら
◎ドイツ語版ウィキペディア「Bundesamt für Migration und Flüchtlinge」→こちら
◎『移民・難民・外国人労働者と多文化共生―日本とドイツ/歴史と現状―』→増谷英樹編、有志舎

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・ヨーロッパ・ドイツ】  2024年11月01日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ

2024-11-30 07:00:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ 

 石破茂首相がきのう、少数与党になった衆院選後初めて、所信表明演説に臨んだ。

 真っ先に述べたのは「民主主義のあるべき姿」だった。評価しているという石橋湛山首相の1957年の施政方針演説を引用した上で「可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に謙虚に取り組む」と述べた。

 第2次安倍政権以降、政府に目立った国会軽視の姿勢を改めるつもりなのだろう。問題があったのだから、少数与党内閣として、改善するのは当然である。

 ただ、どんな政策に重点を置き、どうやって道を切り開いていくのか、石破内閣の考えはおぼろげなままだ。とりわけ、少子高齢化と東京一極集中のあおりで疲弊の目立つ地方を活気づける手だては今回も見えてこなかった。地方活性化は、石破氏が力を入れてきただけに不満が残る。

 熱意は伝わってきた。演説では「地方創生の再起動」を強力に進めるため、交付金を当初予算ベースで倍増する考えを改めて示した。地方の農林水産業や、サービス業の高付加価値化に加え、新たに文化芸術・スポーツの振興も試みていく、という。

 地域重視の考えは、防災対策の説明でも感じられた。地理的に不利な条件下にあり、財政的に厳しい地域でも決して見捨てないと強調した。

 激しい地震に襲われ、復旧の途上で豪雨にも見舞われた能登半島が念頭にあるようだ。水道をはじめ、ライフラインの復旧に手間取る事態を繰り返してはならない。

 地方を取り巻く課題は山積みの上、多岐にわたる。女性や若者にとって魅力ある働き方・職場づくりや男女間の賃金格差解消、持続可能な農山漁村など、意気込みだけでは解決は難しい。人々の意識も絡むだけに、政府の粘り強い努力が欠かせない。

 きのうあった地方創生に関する政府の有識者会議でも、性別役割分業の意識が残る点など、課題が指摘された。

 政府は地方創生の「基本的な考え方」を年末までにまとめるという。これまでの政治では反映されることの少なかった若者や女性の意見を踏まえ、多様な生き方のできる社会を地方から実現させる―。その環境づくりができるか。覚悟が問われている。

 地方重視を掲げた演説だったが物足りなさも感じた。例えば年収103万円を超えると所得税が生じる「年収の壁」を引き上げる方針を示した。民意には沿うものの、大穴のあく地方財政への手当てへの言及はなかった。穴埋め策なしでは自治体の不安は募る。

 地方創生の成功例として、宮崎県小林市の紹介動画を演説で取り上げていた。10年近く前に話題となった話だけに、今更という感じは否定できない。新しい事例はなかったのだろうか。

 自民党総裁に選ばれた直後に臨んだ所信表明とは違い、石破氏には熟慮する時間はあったはずだ。地方の創意を引き出し、実現に向け、どう後押しするのか。地域が元気を取り戻すための具体策を早急に示すべきである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【猪口邦子議員宅】: 侵入形跡なし「灯油やガソリン置かず」文京区のマンション火災、2人死亡

2024-11-30 06:59:30 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【猪口邦子議員宅】: 侵入形跡なし「灯油やガソリン置かず」文京区のマンション火災、2人死亡

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【猪口邦子議員宅】: 侵入形跡なし「灯油やガソリン置かず」文京区のマンション火災、2人死亡

 東京都文京区にある自民党の猪口邦子参院議員(72)の自宅マンション火災で、猪口議員が警視庁に「床暖房を使っており、灯油やガソリンは置いていない」と説明をしていることが29日、捜査関係者への取材で分かった。これまでに第三者が侵入した形跡は確認されておらず、現場から目立った油分は確認されていない。警視庁が出火原因を調べている。

火災があった猪口邦子参院議員の自宅マンション(共同=28日撮影)

 

 火災は6階建てマンションの6階で発生し、2人が死亡。いずれも台所近くで見つかった。安否が分かっていない猪口議員の夫で東大名誉教授の孝さん(80)と長女(33)の可能性があるとみて、身元の確認を進めている。玄関などは施錠されていた。

猪口邦子参院議員(共同)

 

 捜査関係者によると、猪口議員は4人暮らし。マンションの防犯カメラ映像から、27日午後5時ごろに孝さんと長女はそれぞれ帰宅していた。出火時に猪口議員と次女は外出していた。(共同)

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【事故・火災・自民党の猪口邦子参院議員(72)の自宅マンション火災】  2024年11月30日 06:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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