路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:子どもの難病 海外の薬を手に入りやすく

2023-05-11 05:00:35 | 【先端医療・ゲノム医療・難病・IPS細胞の活用・再生医療・抗癌治療他】

【社説①】:子どもの難病 海外の薬を手に入りやすく

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:子どもの難病 海外の薬を手に入りやすく

 欧米で使われている薬が日本ですぐ使えずに、患者が命を落とすような状況は見過ごせない。国は、早急に問題を解決する必要がある。

 海外の薬が日本で使えるまでに時間がかかる事態は「ドラッグラグ」と呼ばれ、問題になっている。患者が少ない、難病の子どもの病気で特に深刻だといわれる。

 とりわけ小児がんは近年、遺伝子解析の技術が進歩して新薬が続々と登場している欧米と、日本との格差が顕著になっている。

 欧米で2015年に承認された神経芽腫の新薬「ユニツキシン」の場合、日本での承認は6年後の21年にずれ込んだ。

 薬の承認には治験による有効性や安全性の確認が必要だが、ユニツキシンでは、製薬会社が複数の国で行った国際共同治験の参加国に日本は選ばれなかった。

 このため日本では、やむなく医師が独自に治験を行った。人手や資金が不足する中で結果を出すのに時間がかかり、20年まで申請できなかった。その間に亡くなった患者もいる。残念でならない。こうした例は珍しくない。

 なぜ日本が治験の参加国に選ばれないのか、背景を探る必要がある。多数の病院に患者が分散していて被験者を集めにくいうえ、外国語のできるスタッフが少ないことも要因だと指摘されている。

 国は、医学界や製薬業界と連携し、打開策を検討してほしい。

 そもそも子どもの薬の開発は、製薬会社にとって手を出しにくい分野だ。患者数が少なく、大人用と用法用量に違いがあるなど特有の配慮が必要で、コストに見合う利益が見込めないためだ。それは世界共通の悩みだった。

 にもかかわらず欧米で新薬が続出しているのは、制度を改革したことが理由だ。日本でも制度を整えることが解決のカギになる。

 欧米では、企業が大人の薬の治験を行う場合、併せて子どもの治験も実施することを義務づけている。加えて、企業の利益になる制度も設けているのが特徴だ。

 米国では、患者が少ない子どもの薬を手がけた企業には、別の薬の承認を目指す際、優先的に審査を受けられる権利が与えられ、期間を短縮できる。こうした制度もあり、17年以降、小児がんの新薬34種類が開発された。

 厚生労働省は、研究班を設けて子どもの薬に関する海外の制度を調べ、日本で導入する場合の課題などを分析しているという。どのような仕組みが効果的か見極め、実現につなげてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【土記】:ヒトゲノム完全解読=青野由利

2022-05-07 02:05:20 | 【先端医療・ゲノム医療・難病・IPS細胞の活用・再生医療・抗癌治療他】

【土記】:ヒトゲノム完全解読=青野由利

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【土記】:ヒトゲノム完全解読=青野由利 

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 その人は小柄で目立たず、控えめに座っていた。

 1999年12月、英ロンドンで開かれた記者会見「ヒト染色体22番の全塩基配列解読」。招かれていたのはノーベル化学賞を2回受賞した生化学者、フレデリック・サンガーさんだ。

 

2003年にヒトゲノムの解読が完了し、記念のCD-ROMを受け取る当時の小泉純一郎首相=首相官邸で、宮本明登撮影

2003年にヒトゲノムの解読が完了し、記念のCD-ROMを受け取る当時の小泉純一郎首相=首相官邸で、宮本明登撮影

 90年に始まった国際プロジェクト「ヒトゲノム計画」のゴールは30億に上るヒトのDNAの遺伝暗号文字の並び、すなわち塩基配列をすべて書き下すことだった。

 この配列決定法を70年代に開発したのがサンガーさんだ。、残り755文字(全文975文字)

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【土記】  2022年05月07日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:広がる遺伝情報の利用 差別生まぬルールが必要

2022-04-26 02:04:40 | 【先端医療・ゲノム医療・難病・IPS細胞の活用・再生医療・抗癌治療他】

《社説②》:広がる遺伝情報の利用 差別生まぬルールが必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:広がる遺伝情報の利用 差別生まぬルールが必要

 がんや難病の患者の遺伝情報を使い、一人一人の体質や病状に応じた診断、治療を提供する「ゲノム医療」が広がっている。

 遺伝情報は、医療の高度化に欠かせない。病気の原因となる遺伝子が分かれば、新たな治療法の開発につながる。遺伝子の特徴から個々の患者に効果のある薬を見つけることも可能だ。

 がん治療では、遺伝情報を調べる検査が保険適用になった。さらに、国は2019年から、がんや難病の患者約10万人分の遺伝情報を網羅的に調べる「全ゲノム解析等実行計画」を進めている。

 しかし、課題も多い。病気の診断や治療以外の目的で使われると、患者や家族が差別される恐れがあるからだ。

 日本医学会と日本医師会は今月、差別を防ぐルール作りを求める声明を発表した。がんなどの患者団体も同様の要望を出した。

 これまでも、がん患者の家族が「がん家系」などの偏見から結婚に反対されることがあった。生命保険の加入審査項目に遺伝にかかわる記載があり、金融庁が約款からの削除を求めたこともあった。

 「究極の個人情報」である遺伝情報が広く使われるようになれば、患者が就職や結婚などで深刻な差別を受けかねない。

 問題は、患者本人だけにとどまらない。遺伝性の病気と分かると、血縁関係にある家族のリスクが高いことも判明し、差別の連鎖につながる恐れがある。 

 遺伝情報の取り扱いには慎重を期さなければならない。欧米や中国、韓国、豪州などは、遺伝情報による差別を禁止し、医療以外での利用を規制する法律を定めているが、日本にはない。

 昨年、議員立法を目指す動きがあったものの、研究やビジネスにブレーキをかけかねないと懸念する声があり、法案提出は見送られた。保険業界に求められていた自主ルール作りも進んでいない。

 日本医学会などは「国民が安心してゲノム医療を受けるためには社会環境の整備が必要だ」と訴えている。

 ゲノム医療を推進するのであれば、国はまず患者や家族の不安払拭(ふっしょく)に努めなければならない。差別を生まないルールを作ることが不可欠だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月25日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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