路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【2027・横浜花博】:「誰がいつ望んだ?」大阪万博の次は「横浜花博」市の予算は1年で7倍、市議も危惧する「赤字に税金投入の可能性も」

2024-04-30 07:20:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【2027・横浜花博】:「誰がいつ望んだ?」大阪万博の次は「横浜花博」市の予算は1年で7倍、市議も危惧する「赤字に税金投入の可能性も」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2027・横浜花博】:「誰がいつ望んだ?」大阪万博の次は「横浜花博」市の予算は1年で7倍、市議も危惧する「赤字に税金投入の可能性も」

 会場建設費の総額が、資材価格や人件費の高騰により、当初想定の1.9倍となる最大2350億円まで膨らみ、問題視されている「2025大阪・関西万博」。  

 吉村洋文大阪府知事は「万博は国家事業」と言い切り、批判をかわそうとしているが、2027年3~9月に「米軍上瀬谷通信施設跡地(神奈川県横浜市瀬谷区・旭区)」で開催される「2027横浜国際園芸博覧会(花博)」でも、同様の問題が持ちあがっている。  <button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-1gjvus9-0 cZwVg" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">横浜花博PRの公式アンバサダーには、芦田愛菜が就任している(写真・時事通信)</button>

横浜花博PRの公式アンバサダーには、芦田愛菜が就任している(写真・時事通信)

 花博は、万博協会で会長を務める経団連会長の十倉雅和氏が代表理事(会長)になった『公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会』が運営組織となり、園芸文化の普及や花と緑のあふれる暮らし、地域・経済の創造や社会的な課題解決への貢献を目的に、国際園芸家協会(AIPH)の認定を受けて開催される、国際的な博覧会だ。  

 日本では1990年に大阪で、アジア初となる最高クラスの「A1」で実施されて以来、2度めの開催となる。協会は、有料来場者数を1000万人以上と見込んでいる。  

 同協会のホームページによると、会場建設費として320億円が計上され、財源は国が3分の1、神奈川県と横浜市が3分の1、民間が3分の1を負担する。また、博覧会運営費は360億円を予定している。この財源は、入場料と営業権利などで賄うとある。

 「しかしこの『会場建設費』が、大阪万博と同じように当初予算から大幅に増えています。当初予算は240億円でしたが、2021年4月20日の『横浜市議会建築・都市整備・道路委員会』で、80億円増額の320億円になる試算が報告されたのです。  

 内訳は、電子チケットや入退場管理など情報通信基盤に30億円、屋根付きの休憩所の設置、感染症や暑さ対策に10億円、セキュリティー整備に10億円、さらに物価変動などを勘案した工事費の上振れで30億円が増えたということです。大阪万博とまったく同じ経緯です」(週刊誌記者)  しかも今後、さらに増額される可能性が高いというのだ。市議会などで花博問題を指摘してきた、横浜市議会議員の井上さくら氏に聞いた。

 「まず指摘したいのは、花博協会の事業発注書が非公開のため、国民が発注内容を見られないことです。協会は『公文書ではない』という理由で情報公開請求制度の対象外にしています。そのため、私たち市議会議員も、協会ホームページの『入札情報』を見るしか方法はありません。まさにブラックボックスなのです」  

 たとえば「公式マスコットキャラクター策定支援業務」。地球儀を模したようなマスコットはすでに完成しているが、契約文書に「マスコットおよびその愛称にかかる知的財産権の確認及び申請手続き等の業務、選考委員・デザイナーとの契約に関する業務については、別途業務委託を行う」とあり、概算や支出の根拠などは書かれていないことから費用の膨張が心配される。

 「そして、横浜市は市独自の予算として『機運醸成』や『広報』を組んでいます。これらのほかに、会場建設費や協会への負担金など、市は総額で令和5年度に約7億4000万円の予算を組みました。これが、令和6年度には約51億円と、わずか1年で7倍にも膨れ上がっているのです。  

 人件費や材料費は上昇していますし、イベントなので小さな予算から始まり、徐々に額が大きくなるということがあるかと思います。ですが、これは税金です。市民からも『おかしい』という意見が出ています。さらに今後も、この額で収まらない可能性が高いのです」(井上氏)  

 井上氏は「最終的に、花博は赤字になると思います。そのときの方策は、何ひとつ決まっていません。最終的には税金を投入することになるのではないでしょうか」と危惧する。  

 SNSにも《誰がいつのぞんだのでしょうね。イベント 税金でやることは こんなことかな?》《東京五輪もどんどん予算が増えて5倍になった。万博も増加中。横浜花博も増えている。そもそも、やる必要あるか?》《要するに現在進行形で予算が膨張中の大阪万博と同じ未来を辿るって事なんだよね》など、批判の声があがっていた。 

 この国は、何度同じことが起きても、学ぼうとしないのか……。

 元稿:光文社 朝刊 FLASH 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・神奈川県横浜市・2027・横浜花博】  2024年04月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:ジワり広がる嫌悪感…宮澤博行氏が議員辞職も《そこ?》…「裏金」より「女性問題」が裏目にの深刻

2024-04-30 07:15:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【自民党】:ジワり広がる嫌悪感…宮澤博行氏が議員辞職も《そこ?》…「裏金」より「女性問題」が裏目にの深刻

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:ジワり広がる嫌悪感…宮澤博行氏が議員辞職も《そこ?》…「裏金」より「女性問題」が裏目にの深刻

 「週刊文春」で女性問題が報じられて、25日に衆院議員を辞職した自民党の宮澤博行前防衛副大臣(49)。取材陣に「不祥事があったことは自覚をしております」と認めて謝罪した。宮澤氏は妻子をもちながら28歳の女性と金銭援助を伴う同居生活をしていたと報じられた。

<picture>女性問題で辞職を決めた宮澤博行氏(C)日刊ゲンダイ</picture>
 
女性問題で辞職を決めた宮澤博行氏(C)日刊ゲンダイ

 宮澤氏は2023年12月に所属していた清和政策研究会(安倍派)の裏金事件に関して、派閥ぐるみの裏金作りを明かして注目された。当時、取材陣に「私の不記載分は140万円です」「派閥の方から『収支報告書に記載しなくてよい』という指示がございました」などと語り、「(派閥からは)しゃべるな!しゃべるな!これですよ」と、かん口令を敷かれていたことを暴露していた。

 しかし、この時は防衛兼内閣府副大臣を辞任したのみ。そして宮澤氏は、今回の議員辞職は女性問題の報道を受けて、「責任をとり、けじめをとるしかない」としている。一見、潔く議員辞職したふうにみせたが……。

 「この辞職を受けて国民からは日に日に《モヤモヤする》という声が相次いでいる。相手女性は未成年でもないし、家族または当事者の問題です。極めて私的なことに『責任を取ります』と辞職できるのに、裏金問題という国民への"裏切り""犯罪"行為では辞めることはなかった。"裏金"は議員辞職に値する問題だと思っていないことがよくわかります。もちろん、自民党の議員の多くに言えること。自民党議員の中には、余計なことを言うリスクを伴う宮澤氏が女性問題で辞職してほっとしているでしょう。しかし、このタイミングで裏金ではなく女性問題で辞めたことはマイナスに。国民には党に対する嫌悪感がさらに強まった印象です」(政治部担当記者)

 《女性問題(まぁ一応は当人同士の問題)では辞めても裏金(脱税)では辞めないという価値観を露わにしてくれました》

 《裏金では辞職せず女性問題で辞職とは情けなさすぎる。裏金犯罪議員の皆さん。どうぞ自分から議員辞職していって下さいね》

 《女性問題が出るから辞める 裏金問題じゃ辞めるつもりなかったって事#自民党裏金問題》

 《さすが自民党!裏金では辞職しないが女性問題では辞職だってよ!》

 《宮澤議員が辞職するのは結構だけど、女性問題と裏金問題、バランス考えると、裏金問題は、永遠に被選挙権剥奪でもいいくらいじゃないの?》

 《裏金脱税は問題ではなくて、週刊誌に女性問題をリークされたのが辞職の理由なんだと。なんだそれ。かたや吉川赳木原誠二広瀬めぐみが辞めないのは何なん?なにが違うん?》

 また「女性問題」で辞められるなら、他にも辞めるべき議員がいるのではないか、という不満が溢れている。

                        ◇  ◇  ◇

【静岡の"問題政治家"が話題:詳しくは関連記事で】

 宮澤氏は、静岡県を地盤とする自民党「比例東海ブロック」選出だった。同ブロックには、2022年6月に週刊誌で18歳の女子大学生と飲酒したなどと報じられた吉川赳衆議院議員、裏金事件で離党勧告を受けた塩谷立衆議院議員もいる。

 また、21年に参院補選で初当選した山崎真之輔議員(22年の参院選で落選)も週刊誌に女性問題が報じられていた。そして、職業差別発言などで4月に辞職願を提出した川勝平太県知事と静岡県ゆかりの政治家が世間を騒がせている。

 ■関連記事

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース マネー 【トピックスニュース・政局・自民党・衆院議員を辞職した自民党の宮澤博行前防衛副大臣(49)】  2024年04月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【衆院3補選】:「全敗」でも投票率が最低更新で自民党はシメシメ?

2024-04-30 07:15:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【衆院3補選】:「全敗」でも投票率が最低更新で自民党はシメシメ?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【衆院3補選】:「全敗」でも投票率が最低更新で自民党はシメシメ?

 《自民全敗》《裏金全滅》……。SNS上では歓喜と興奮の声で溢れているよう。28日に投開票された衆院の東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙で、いずれも自民が敗北(東京、長崎は不戦敗)を喫したことだ。

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 自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件発覚以降、初めての国政選挙。

 東京15区は江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途氏(自民離党)の辞職に伴うもので、立憲民主党の新人で、元江東区議の酒井菜摘氏(37)が初当選。島根1区は自民の細田博之前衆院議長が死去したためで、立憲の元職で党県連代表の亀井亜紀子氏(58)が自民新人で元中国財務局長の錦織功政氏(55)=公明党推薦=に勝利した。

<picture>島根1区で与野党対決を制した亀井亜紀子氏(C)日刊ゲンダイ</picture>

 島根1区で与野党対決を制した亀井亜紀子氏(C)日刊ゲンダイ

 長崎3区は裏金事件で立件された谷川弥一氏(自民を離党)の辞職に伴うもので、立憲の元職で党県連副代表の山田勝彦氏(44)=社民党推薦=が当選を決めた。

 「自民に対して大きな厳しい目が向けられている」

 3補選全敗を受け、28日夜、党本部でこう語った自民党茂木敏充幹事長(68)。与野党一騎打ちとなった「保守王国」の島根で自民が衆院小選挙区の議席を落とすのは1996年の小選挙区制導入以降で初めて。岸田文雄首相(66)や小渕優子選対委員長(50)など幹部が現地入りし、総力戦を展開したにも関わらず「惨敗」したのは大きいだろう。

<picture>島根1区の情勢は絶望的(岸田首相と自民新人・錦織功政氏)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 島根1区の情勢は絶望的(岸田首相と自民新人・錦織功政氏)/(C)日刊ゲンダイ

 ■森元首相は「(選挙に関心のない有権者は)寝てしまってくれればいい」

 一方で、気になるのが投票率の低さだ。

 投票率は東京15区が40.70%、長崎3区が35.45%、島根1区は54.62%で、いずれも過去最低を更新。ゴールデンウイーク前半の連休中とはいえ、裏金事件で注目を集めた国政選挙の投票率としては低すぎるのではないか。

 これでは“本番”の総選挙でどうなるか分からない。「派閥パーティーのキックバックを始めた人物」との声が出ていた森喜朗元首相(86)は2000年6月の総選挙の遊説中、会見で「(選挙に関心のない有権者は)寝てしまってくれればいい」と発言。低投票率が組織票を持つ自民に有利に働くーーとの見方を示していた通り、今回は自民全敗だったものの、それでも組織票を持つ自民はしぶといのだ。

 「保守大国という意味では大打撃だが、本部の受け止めは中打撃。ある意味折り込み済みだった」

 28日のフジテレビ系「Mr.サンデー」で、同局政治部デスクはこう解説。これが事実であれば、今の自民は“お家芸”の「死んだふり」をしているだけ。「裏金事件でもこの低投票率なら、のど元過ぎればシメシメ……」などと考えているかもしれない。とにかく自民は狡猾なのだ。

 《だれに投票しても同じ》《政治は変わらない》《自民は嫌いだが野党もだらしない》

 SNS上では、こんなステレオタイプの冷めた意見も見られるが、その結果が裏金事件を生み、大増税を招いたことを忘れてはならないだろう。裏金議員らを本当の意味で“罰する”ことができるのは有権者なのだ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・衆院の東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙】  2024年04月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.29】:島根1区補選で自民敗北 改革求める民意受け止めよ

2024-04-30 07:01:45 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説・04.29】:島根1区補選で自民敗北 改革求める民意受け止めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.29】:島根1区補選で自民敗北 改革求める民意受け止めよ 

 政治資金パーティーを悪用した裏金事件の実態解明と、政治資金の透明化に対する自民党の後ろ向きな姿勢が駄目出しされたと言えよう。

 きのう投開票された衆院島根1区の補欠選挙で、立憲民主党元職の亀井亜紀子氏が、自民党新人の錦織功政氏との直接対決を制した。「自民王国」と呼ばれてきた島根県の小選挙区で、自民党が敗北したのは初めてだ。

 「政治とカネ」問題を巡る逆風を受け、同時に行われた衆院東京15区、長崎3区の補選に自民党は候補者を擁立できず不戦敗している。3補選で全敗を喫した結果に岸田政権は真摯(しんし)に向き合い、信頼回復に向けて政治改革に取り組まなければならない。

 島根1区補選は細田博之前衆院議長の死去に伴う。細田氏は裏金事件を起こした安倍派の前身派閥で会長を務め、高額献金被害の訴えが相次いだ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との接点も問題視された。自民党政治の暗部が問われた選挙でもある。

 衆院選挙制度が小選挙区制に移行後も、自民党では選挙戦の多くを派閥が主導した。通常なら弔い選挙になるはずが、安倍派は裏金事件で解散に追い込まれた。逆風の中、「細田隠し」の選挙戦に終始するしかなかった。

 亀井氏に先行を許す中、岸田文雄首相をはじめ党幹部が相次ぎ選挙区入りしたが、形勢は転換できなかった。裏金事件が党支持層に生じさせた深刻なひび割れが浮き彫りになったのではないか。

 加えて、自民党は政治資金規正法改正の独自案を持たぬまま告示を迎えた。公明党、野党の猛反発を受け、慌てて取りまとめるなど迷走。その内容も資金の透明化を阻む抜け道を温存するものだった。

 そんな姿勢を有権者は「改革への熱気が感じられない」と判断したのだろう。家計を苦しめる物価高への対応や少子化対策の財源問題も批判票につながったとみられる。

 政治改革を求める民意は示された。自民党は衆参両院の政治改革特別委員会などを通じて野党と協議し、後半国会で規正法の改正を実現することが求められる。

 不正が起きた際の議員の責任の取らせ方、パーティー収入や政策活動費の透明化、企業献金の存廃など、他党が示す見直しの論点は出そろっている。「政治活動の自由」を口実に背を向けることは許されない。改革の出発点が裏金事件の実態解明にあることも忘れてはならない。

 通常国会は6月23日に会期末を迎える。首相が衆院解散・総選挙に踏み切る可能性も指摘される。水面下では9月の自民党総裁選に向けた動きが活発化しそうだ。

 内閣支持率の低迷にあえぐ首相だが、有力な「ポスト岸田」がいない中、政局の主導権は手放していない。現時点では補選敗北の責任を問う声も高まっていない。

 首相は政治の信頼回復へ、リーダーシップを発揮するべきだ。お茶を濁すような規正法改正ではさらに国民の離反を招く。政権延命が最優先と見透かされるだけだ。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月29日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・04.29】:「政治とカネ」選挙

2024-04-30 07:01:40 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【天風録・04.29】:「政治とカネ」選挙

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・04.29】:「政治とカネ」選挙

 35年前の今月スタートした消費税。生きていれば、100歳になっていた竹下登氏が導入した。「政界のおしん」と呼ばれたほどの忍耐強さや野党を含む人脈の広さで、多くの異論を粘り強く説得した

 ▲大平正芳氏や中曽根康弘氏ですら、やり遂げられなかった大仕事である。ところが、1カ月もしないうちに退陣表明に追い込まれる。内閣支持率がリクルート事件で急降下したのだ。カネを巡って高まった政治不信という強い逆風に吹き飛ばされた

 ▲そんな記憶がよみがえったのは、派閥の裏金事件で自民党に再び逆風が吹いているからだろう。きのう投開票された全国三つの衆院補選のうち、二つは不戦敗を強いられた

 ▲候補を立てられたのは島根1区だけ。竹下氏を生んだ島根県は「自民王国」と呼ばれる厚い支持基盤を誇ってきた。前衆院議長の弔い合戦でもあり、余裕の戦いのはずだったのに、逆風はここでも強く、議席を失った

 ▲地方を大事にしつつ、野党を含む異論への目配りを忘れない―。そんな竹下流の政治は、どこに行ったのか。数頼みの手法が幅を利かし、東京一極集中は加速する一方。変わらないのは、政治とカネの問題だけだとしたら情けない。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年04月29日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.28】:円安加速 暮らし守る政策が急務だ

2024-04-30 07:01:35 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説・04.28】:円安加速 暮らし守る政策が急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.28】:円安加速 暮らし守る政策が急務だ 

 歴史的な円安に歯止めがかからない。きのうニューヨーク外国為替市場で1ドル=158円台にまで値下がりした。実に34年ぶりの水準である。

 円安は石油や食料などの輸入コストを押し上げる。ただでさえ物価高に賃上げが追い付かず、圧迫されている家計には手痛い追い打ちだ。

 政府・日銀は手をこまねいているようだが、無策のまま放置して良い段階ではない。

 国民の暮らしを痛めつける過度な円安を和らげることが急務だ。一時しのぎとしても政府は円買い為替介入を急ぐ時ではないか。同時に日銀と足並みをそろえ、中長期的な手だても尽くす必要がある。

 円安の背景には、日米の政策金利差がある。米国の5・25~55%に対し、日本ではマイナス金利を解除した後も001%と低い。運用に有利なドルを買い、円を売る動きが、34年ぶりの水準を招いた。

 政府は2022年秋、計9兆円にも及ぶ円買いドル売りの為替介入に踏み切った。140円台への突入を受けての措置だった。

 円安の水準では今回の方がはるかに深刻だ。だが、鈴木俊一財務相は介入をにおわすけん制を繰り返すばかり。市場にも見透かされているようだ。口先だけで乗り切れない局面と自覚し、速やかな円買いで是正せねばなるまい。

 物価高を巡る、日銀の植田和男総裁の認識にも違和感を覚える。おととい、急速な円安について「基調的な物価上昇率に対して大きな影響は与えていない」と発言。影響は無視できる範囲だとした。

 データと大所的な視点に基づいた、学者出身者らしい見方なのだろうか。消費者の心情とは隔たりがある。

 何しろ実質賃金は最新の2月まで23カ月連続でマイナスだ。今年の春闘では、大企業を中心に大幅なベアが実現したが、中堅・中小企業までは十分に波及していない。

 稼ぎが増えても物価高で消える。米国産牛肉の値上がりが象徴的だ。財布を出すたびに、円安の負の側面を連想する国民も多かろう。

 政府の円買い介入は、本質的な解決策とはなり得まい。「一時しのぎ」と見る経済関係者は多い。為替を動かすための金融政策は、国際的には「禁じ手」でもある。

 しかし、政府が何より優先すべきなのは国民の生活だ。年金生活者や困窮する人たちは物価高で大きな影響を受ける。暮らしを守るための政策をためらうべきではない。

 政府は家庭の電気・ガス代を抑えるために支給している補助金を、5月使用分までで終える方針でいる。円安の進行や世帯年収などによっては延長するのも一考だろう。

 日銀も国民生活を圧迫する物価高をこのまま放置するならば、「物価の番人」とは呼べまい。追加利上げのタイミングも含め、中長期的な対策を模索してほしい。

 円安で輸出や観光産業が潤うのは歓迎だ。だが、その陰で家庭や中小企業が苦しむ状況は改めねばならない。政府・日銀は国民目線を忘れずに円安と向き合う必要がある。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月28日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・04.28】:円安のゴールデンウイーク

2024-04-30 07:01:30 | 【金融・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【天風録・04.28】:円安のゴールデンウイーク

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・04.28】:円安のゴールデンウイーク

 トリスを飲んでハワイへ行こう―。1961年のウイスキー会社によるハワイ旅行の懸賞は大きな話題に。3年後、海外渡航が自由化されて当選者はついに夢の旅行へ。ところが実際に旅立ったのは4人だけ

 ▲大半は旅行代金額の40万円を受け取ったそうだ。今の物価に換算して400万円余り。ハワイより現金を選んだのも無理はない。現在ならどうだろうか。やはり海外を選ばぬ人は多いだろう。何しろ円安が進んでいる

 ▲きのう始まったゴールデンウイーク。コロナ禍という憂いが消えたこともあり、駅のほか空港も混雑していた。海外へと繰り出す家族連れも多いようだ。ことしの人気はアジアなどの近場という。ハワイや欧米への旅行は円安が二の足を踏ませるらしい

 ▲それでもハワイへ行く人の姿をテレビニュースで見た。ある家族のスーツケースは食料でぎっしり。高くつく外食を控え、自炊するために。工夫しながらの旅行も楽しそうではあるが…

 ▲きのう広島市中心部は外国人観光客が目立った。海の向こうに黄金週間はあるまいが、円安で日本を旅先に選んだか。グルメや観光を楽しんでもらおう。話しかければ、こちらも海外旅行気分が味わえるかも。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年04月28日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.27】:国の指示権拡充 地方分権に逆行、見過ごせぬ

2024-04-30 07:01:25 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説・04.27】:国の指示権拡充 地方分権に逆行、見過ごせぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.27】:国の指示権拡充 地方分権に逆行、見過ごせぬ 

 地方分権を逆行させる危うさをはらんだ法案だ。

 政府が今国会に提出した地方自治法改正案は、災害や未知の感染症など非常時に、国が自治体に対して対応を指示できる規定を新設する。

 現行は感染症法や災害対策基本法など個別の法律に規定があれば指示できる。違法な事務処理をした場合にも地方自治法に基づき可能だ。だが、これらの法の想定を超える事態に対応するためとして指示権を拡充する内容である。

 国の指示が行使されるのはまれだ。なぜなら2000年の地方分権改革で、国と地方の関係は「上下・主従」から転換し、「対等」と位置付けたからだ。具体的には、国が指揮監督する機関委任事務を廃止し、国が本来は担うべき事務を地方に任せる「法定受託事務」と、自治体が責任を持つ「自治事務」を定めた。

 とりわけ疑問なのが、自治事務を含めて個別法で定めなくても指示ができるようになる点だ。国に白紙のまま強権を与えるようなもので、地方自治体の自主・自律への配慮を求めた地方自治法の趣旨に反するのではないか。

 きっかけは新型コロナウイルス対策で国と地方の意見が一部で食い違い、連携に問題があったためと説明する。緊急事態宣言を出すタイミングや飲食店への休業要請などで確かに混乱したが、初の事態で想定や準備が不足していたのが主な原因だろう。国に指示権限がなかったからではない。対応を検証し、緊急時の広域連携を模索する方がよほど効果がある。

 そもそも非常時ほど、現場を熟知し、情報も多い地方自治体がより適切な判断を下せるはずだ。国が誤った指示を出すこともある。コロナ禍では学校の一斉休校をはじめ実態とずれた要請があり、国民に大きな混乱を生んだ。

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故を思い返しても、非常時に国の一元的な指示が必要な場面が出てくるのは理解できる。しかし、個別法で対応するのが本筋だろう。想定される危機を事前に国会で議論し尽くせば、国民の安全を守る実効性の高い備えができよう。

 改正案で指示は「重大な影響を及ぼす事態」に出すとしたが、曖昧に過ぎる。自治体や日弁連から、乱用や国の不当な介入を危ぶむ指摘があるのは当然だろう。

 しかも「事態」の具体例を示すのが困難と説明するが、なぜなのか。災害や感染症を超える緊急事態というなら、日本周辺での有事が容易に想像できる。インフラや公共施設の使用や人員の動員の指示を想定しているのではと、疑念が拭えない。沖縄県の米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、安全保障を盾に強権を振りかざしてきた国の対応を見れば、なおさらである。

 歯止めを求める声を受け、改正案は指示に閣議決定が必要としたが、機能するとは思えない。全国知事会が求めた国と自治体との事前協議も、努力義務のままで不十分だ。危うさを十分に議論したとはいえず、このまま改正案を成立させては禍根が残る。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月27日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・04.27】:二つのパリ五輪

2024-04-30 07:01:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【天風録・04.27】:二つのパリ五輪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・04.27】:二つのパリ五輪

 心には希望、かかとには翼―。昔の英国映画、「炎のランナー」のせりふを思い返す。1924年のパリ五輪で躍動した英陸上選手団を回想する言葉だ。合宿練習で海辺を駆ける若者たちのバックに、美しい旋律のテーマ曲が流れる場面は映画史に残る

 ▲五輪イヤーのたびDVDで見る。実在の金メダリスト2人が主人公。ユダヤ系のハロルドは差別と闘うために100メートルに挑み、宣教師ランナーのエリックは信仰のために400メートルを走る

 ▲何のためにスポーツで競うのか、この名作から考えさせられる。その年の五輪は第1次世界大戦で敗れたドイツや社会主義国のソ連を排した一方、国の威信を争う空気が強まったらしい

 ▲100年ぶりのパリ五輪まで3カ月。代表争いは過熱する。ただ夢の舞台は課題山積のようだ。ウクライナの戦争を巡ってロシアなどの選手の扱いが定まらず、呼び物のセーヌ川の開会式もテロのリスクにさらされる

 ▲東京であれこれ汚名も残した五輪。花の都ではせめて五輪停戦を成し遂げて、希望と平和の翼を取り戻してほしい。あのハロルドやエリックが栄光をつかんだ往時のメイン競技場は今なお現役で、ホッケー会場に使われると聞く。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年04月27日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.26】:共同親権法案 生煮え議論では不安残る

2024-04-30 07:01:15 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【社説・04.26】:共同親権法案 生煮え議論では不安残る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.26】:共同親権法案 生煮え議論では不安残る 

 子どもの幸せを最優先に、慎重かつ丁寧な議論が重ねられていると言えるだろうか。

 離婚後の共同親権を導入する民法改正案が衆院で可決された。今後、参院で審議され、早ければ2026年の実施を目指すという。

 日本では婚姻中は共同親権、離婚後は両親のいずれかが親権を持つ。離婚した後も両親が協力して、未成年の子の世話や教育、財産管理に責任を負うことが望ましいのはその通りだ。意に反して一方の親とつながりを断たれることは、子どもにとっても不幸である。国際社会は大半が共同親権であり、法案の趣旨自体はうなずける。

 最大の課題は、ドメスティックバイオレンス(DV)や子への虐待で離婚に至ったような場合の対応だろう。共同親権にすることで、接触や被害が断ち切れなくなるのでは本末転倒になる。そもそも離婚に至った両親が、良好な関係を維持しているケースの方がまれだろう。

 共同親権か単独親権かで父母が対立した場合は、家庭裁判所が決める。だが、少ない人員で実態をどこまでつかめるか。DVの証拠がない場合や、逆に虚偽のDV申告も考えられる。与野党は「父母双方の真意によるものか確認する措置を検討する」という付則を設けることで折り合ったが、それで対策が十分とはとても言えまい。

 緊急手術といった「急迫時の事情」や「日常の行為」は共同親権の場合でも一方の親の判断だけで対応は可能とされている。だが、その範囲は極めて曖昧だ。

 衆院の審議では子どもが海外に修学旅行をする際のパスポート取得も議論になった。日常の教育の一環と判断するのが自然なのに、政府は共同親権の場合は両親の同意が要るとした。父母の関係がこじれてパスポートが取得できなければ、子どもは修学旅行にさえ行けないことになる。

 課題は家庭内だけに収まらない。緊急とまではいえない慢性疾患の手術はどうなのか。共同親権の場合は両親の同意が必要で、一方の親だけの同意で手術をすれば後々トラブルになる恐れがある。

 第三者からすれば、目の前の子の親が婚姻中なのか、共同親権なのか、単独親権なのかは分からない。医師がトラブルを恐れ、子への医療行為に及び腰になられても困る。

 授業料などを軽減する就学支援金の対応にも首をひねりたくなる。盛山正仁文科相は「保護者の収入に応じて受給資格を確定する。共同親権なら父母の収入で判定する」とした。これでは経済的に厳しいケースが多いひとり親家庭が、共同親権を選択することで支援金を受けられなくなってしまわないか。

 衆院は「急迫時の事情」「日常の行為」が何かを示すガイドライン制定を求めた付帯決議もした。議論が生煮えだったことの証左と言えよう。これでは法案が子どもの利益最優先をうたったところで、不安を拡大するだけになりかねない。参院でも踏み込んだ議論が進まなければ、今国会成立にこだわるべきではない。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・04.26】:金色の鍵

2024-04-30 07:01:10 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・サミット(G20、G7)】

【天風録・04.26】:金色の鍵

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・04.26】:金色の鍵

 米紙にもついに「もしトラ」が登場した。もしもトランプ氏が米大統領に返り咲いたら、型破りな姿勢に振り回される日本の不安を詰め込んだ言葉だと伝えている。当選の確度に応じて「ほぼトラ」「まじトラ」「確トラ」の言葉が出回る

 ▲「ほぼトラ」への備えであろう。自民党の麻生太郎副総裁が訪米して、トランプ氏と会談した。「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う蜜月関係を築いた安倍晋三元首相の盟友を、トランプ氏は手厚くもてなしたという

 ▲麻生氏に限らず、秋の大統領選をにらみ各国要人の「トランプ詣で」が続く。ただ、岸田文雄首相は2週間前に国賓待遇でバイデン大統領の歓待を受けたばかり。「ジョー」「フミオ」の関係にひびが入らねばいいが

 ▲トランプ氏は麻生氏に記念品として金色の鍵を、ホワイトハウスが描かれた木箱に入れて贈った。大統領官邸のあるじ気取りである。鍵を贈る行為は中世欧州の城郭都市の間で始まったらしい。信頼の証しを意味する

 ▲米国第一主義は「鍵の穴から天を覗(のぞ)く」振る舞いといえる。トランプ氏が復権を果たしたとして、金色の鍵で国際協調の場に連れ出せるか。安倍氏なき対トランプ戦略が問われよう。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年04月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・04.25】:自民の政治資金改正案 骨抜きの「連座制」を見直せ

2024-04-30 07:01:05 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【社説・04.25】:自民の政治資金改正案 骨抜きの「連座制」を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.25】:自民の政治資金改正案 骨抜きの「連座制」を見直せ

 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民党がようやく政治資金規正法改正の独自案をまとめた。

 最大の焦点は、会計責任者が処罰された時に国会議員本人が責任を取る「連座制」にある。しかし、自民案は議員に責任を逃れる余地を残し、実効性に疑問符が付く。

 他党が早々と改革案を示す中、重い腰を上げた末の「後出し」だけに失望も大きい。裏金事件で国民の政治不信を招いたという自覚に、著しく欠けると言わざるを得ない。

 連座制は公選法の規定にあり、選挙で陣営幹部に一定の罪があれば議員が当選しても無効になる。「ザル法」と批判され続けてきた規正法を本気で改めるなら、失職の恐れを抑止力にするほかはない。

 自民案は政治資金収支報告書の提出時に議員による「確認書」の添付を義務付ける。議員には失職につながる公民権停止の罰則を設けたが、肝心の適用要件が甘過ぎる。

 具体的には会計責任者が収支報告書の不記載などで処罰され、かつ議員が必要な確認を怠ったまま確認書を添付した場合に限った。これでは政治資金の透明化には程遠い。

 なぜなら今回の裏金事件に自民案を適用しても、大半の議員が「連座制」の対象にはならないからだ。

 裏金をつくった80人以上の議員のうち、会計責任者が処罰されたケースはごくわずかだ。仮に会計責任者が処罰されても、議員が「確認はしたが不正は知らなかった」と言い逃れる可能性もある。

 きのうの国会論戦で、野党から「抜け道だらけ」「なんちゃって連座制」などと批判が出たのも当然だろう。防戦一方だった岸田文雄首相は認識を改めるべきだ。

 会計責任者や秘書が自分だけの意思や判断で裏金をつくる―と思っている国民は少なかろう。政治とカネを巡る不祥事が繰り返される中、「秘書が勝手に…」という釈明は不信にまみれている。

 改正案では議員に当事者責任があると明確にすべきだ。会計責任者を議員に限定するのも一案だろう。不祥事があれば議員が責任を取り、秘書たちが「連座制」に問われるのが本来の筋である。

 自民党内には、会計責任者が意図的に不正を行うケースなどを想定し、導入に慎重な意見もあるという。それこそ議員の監督責任で防ぐべき事態ではないか。自らの収支に目を光らせるのは当然だ。

 民間企業で不正経理などが発覚した場合、社長が「知らなかった」で責任を免れることはまずない。政治資金の取り扱いだけが、国民の感覚とは懸け離れていることを改めて自覚すべきだ。

 こぞって「連座制」の導入を訴える他党の本気度も問われる。特に公明党の責任は重い。きのう始まった与党協議では自民案の抜け穴をふさぐ対策はもちろん、甘い認識をただす役割も求めたい。

 自分が手にし、使ったカネに責任を持つ。それが、一部の議員が言う「政治活動の自由」の妨げにつながるとは到底思えない。国民の疑問に答えない改革など無意味だ。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月25日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録・04.25】:民主主義の合言葉

2024-04-30 07:01:00 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・サミット(G20、G7)】

【天風録・04.25】:民主主義の合言葉

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・04.25】:民主主義の合言葉

  アジア人初のノーベル賞を1913年に受けた3年後、インドの詩人タゴールは初めて日本の土を踏む。倉敷市生まれの詩人、薄田泣菫(すすきだ・きゅうきん)の随筆にある。友人だと称する手合いが〈其辺(そこら)ぢゅうから飛び出し〉てきた、と

 ▲それだけではない。「寝言が韻を踏んでいた」だの「左のポケットに詩が、右には哲学が入っていた」だの、好き勝手なことを口にしたらしい。すぐ尻馬に乗って騒ぐ風潮に、泣菫はちくりと皮肉を効かせたのだろう

 ▲タゴールが「マハトマ」と尊称で呼んだのがガンジーである。非暴力を唱え、インド独立を導いた人。その胸像が広島市では既に据え終わり、長崎市では宙に浮いている

 ▲かの国の申し出から、寄贈の話は長崎もトントン拍子だった。設置先も観光名所「眼鏡橋」で落ち着き、工事に入る。途端、地元から待ったがかかる。趣旨に異論はないが、頭越しで進めるのはおかしい―。民主主義の定着に尽くしたガンジーなら、住民の肩を持つのではないか

 ▲今、総選挙の投票がインドで進んでいる。有権者の数は約10億人に上る。軽々しい風潮やお上の独断で、自分の人生や地域が曲げられぬようにする。民主主義の鉄則は、どこも変わるまい。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2024年04月25日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・僭越ながら「論」・04.30】:長期政権の驕り|高島福岡市長「福岡がなければ九州から人がいなくなる」への反論

2024-04-30 05:30:00 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER・僭越ながら「論」・04.30】:長期政権の驕り|高島福岡市長「福岡がなければ九州から人がいなくなる」への反論

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・僭越ながら「論」・04.30】:長期政権の驕り|高島福岡市長「福岡がなければ九州から人がいなくなる」への反論 

 記事のタイトルを見た瞬間、傲慢さが鼻についた。「福岡がなければ九州から人がいなくなる」――今年2月、高島宗一郎福岡市長が地元紙西日本新聞のインタビューで述べた言葉だ。長く権力の座に座る人間の“驕り”の臭いがする発言だった。

                  ◆   ◆   ◆

 市長はそのインタビューの中で、「アクセルを踏み続け、人口流出から九州を守りたい」とも語っている。“優秀な人材の流出に歯止めをかける”なら理解できないこともないが、「福岡一極集中」を加速させるような主張には不同意である。

 西日本新聞はインタビュー記事の中で、《“独り勝ち”との指摘に、高島氏は『手を緩めれば海外に行ってしまう。福岡がなかったら九州から人がいなくなる』。九州外への人口流出を防ぐ「ダム機能」を果たす考えだ》と書いており、一極集中を容認した格好だ。

 一方で、《だが、都心部のオフィス空室率は供給過剰とされる5%を超す。市内では過去10年で計500社以上を誘致したが、雇用創出効果が大きい本社機能誘致は1割に満たない。東京圏に対しては千~3千人程度の転出超過で、就職や進学を迎える若者を中心に九州外への流出も止まらない》と懸念材料も示す。ただ、何を意図したものか判然としないタイトルにある市長の言葉に、私は嫌悪感を覚えた。

 そもそも、福岡市に人口が集中することで九州の人口減が防げるという発想が間違いだ。九州各地に住み暮らす人たちは、伝来の土地を愛し、未来への希望をみつけようとそれぞれの立場で努力している。それでも出生率は全国的に低下しており、福岡市も同様。この国の最大の課題が“人口減少”なのだ。極端かもしれないが、福岡市だけに人が集まってしまえば、九州の物流や経済は回らなくなるだろう。

 そもそも、「アジアのリーダー都市」「アジアの玄関口」を標榜してきた福岡市がとるべき道は、市を起点に九州各地に人を送り出し、経済波及効果をもたらすような努力をすることではないのか。それが「福岡がなければ九州から人がいなくなる」(高島市長)――これは他の自治体を見下す姿勢に他なるまい。傲慢な態度は、打ち出す施策にも表れている。

 ■唐突に「保健所廃止」

 福岡市は昨年10月、市内7つの区にある保健所をなくし、「福岡市保健所」として一元化する方針を決めた。健康危機管理体制を強化するため、保健所の広域的・専門的機能を一元化するのだという。市が各区の保健所を廃止のする方針を決めたという報道はあったが、市民にとってはまさに唐突、いまでも知らない市民は少なくない。それほど急な話だった。高島市長は何をしようというのか――確認するため市に情報公開請求して入手したのが下の文書である。

 要は、各区に保健福祉サービス分野の仕事だけ残すが、7つの「保健所」は廃止。最も重要であるはずの感染症や難病に関する業務は1か所にまとめるというもの。担当課に説明も聞いたが、要領を得なかった。

 新型コロナウイルスが拡大していく中、感染者あるいは感染の恐れがある人の窓口になったのは「保健所」だった。感染の疑いがあれば、あるいは感染したら、まず保健所に連絡し、指示を受けるというのが決まり。感染拡大にともない、全国各地の保健所はパニック状態となり、電話がつながらない、指示が行き届かない、といった状況に陥った。地域の保健所に勤務する人員が不足し、都道府県に応援を求めるケースが続出した。保健所は、感染症対策の第一線だったということだ。

 その保健所をなくし、1か所にまとめて、いざという時に感染症対策が機能するのか?新たな感染症が発生した時、1箇所で市内全域の住民の電話対応ができるのか?人員は大丈夫なのか?

 これに対する市側の回答は、「その時に適宜対応する」という程度のもの。事前に十分な備えを行うというわけではないということだ。つまり、行き当たりばったりの組織改悪。福岡市長は、感染症に対する認識が甘いと言わざるを得ない。

 ちなみに、福岡市立こども病院の前身は1980年に設立された「福岡市立子供病院・感染症センター」。同センターは県内唯一の第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関としての指定を受けていたが、高島市政下で決まったこども病院のアイランドシティ移転にともない、いずれの指定も返上している。

 新感染症の所見がある患者、一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症の患者の入院を担当させる医療機関として厚生労働大臣が「特定感染症指定医療機関」に指定した病院は全国に4箇所(千葉、東京、愛知、大阪)で、県内にはない。一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等の患者を入院させる医療機関として県知事が指定する「第1種感染症指定医療機関」は県内古賀市の「独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター」のみで、2床しかないのが実情である。

 ■唐突に大阪・関西万博

 高島市長は昨年8月、2025年に開催予定の大阪・関西万博を生かした地域振興で大阪府などと連携することを発表。今年になって「出展」する方針を決定する。これもまた“唐突”な話だった。下が方針決裁に添付された「大阪・関西万博への出店について(方針)」と題する文書だ。

   地域振興で大阪府などと連携するのは結構だが、出展までする必要があるのだろうか?万博については大きく賛否が分かれており、むしろ「反対」「延期」という意見の方が多い状況だ。不人気の原因は、巨額の会場建設費。当初、建設費は1,250億円とされたが、2020年には1,850億円に増額。昨年10月に再び上振れし、ついに2,350億円にまで上昇している。計画当初の約2倍。これとは別に、国の負担額が約837億円に上ることも判明しており、さらなる増額が懸念されることから批判は強まる一方だ。しかも、工事費が上がるにつれ出展計画を見直す動きが拡大しており、万博の華といわれる各国のパビリオンが減り続ける状況となっている。工事を請負っているゼネコンからは「工事は間に合わない」という声が上がっているのも事実だ。

 そうした中、今年正月に発生した能登半島地震が「万博」の開催意義をさらに薄れさせた。いまだ終わらぬ復旧。復興に向けて不足する建設資材と作業員。いったん万博を延期し、能登半島にすべてを投入すべきとの声が多数だが、大阪府・市――というより日本維新の会――は馬耳東風だ。

 吉村洋文大阪府知事は「被災地支援と万博は二者択一の関係ではない」と発言。維新の馬場伸幸代表は「万博の準備と復興は同時並行でやっていくべき」とうそぶいた。ついには「北陸のみなさんにも新たな夢や希望を持って、明るい将来に歩みを進めてもらえるイベントになるのではないか」(馬場代表)。権力べったりで知られる経団連の十倉雅和会長も、大阪・関西万博が能登の復興につながるとの考えを示した。「復興万博」と言いたいのだろうが、そうはいくまい。東京五輪を東日本大震災からの「復興五輪」と称して誘致し、結局は「人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証し」にすり替えられたことは記憶に新しい。

 問題山積の万博に、福岡市が公金をかけて出展する意味があるとは思えない。しかも唐突な方針発表。保健所廃止も万博出展も、市民の声を聴くことなく、一方的に決めたのは確かだ。かつて高島氏は、福岡市を揺るがしたこども病院移転の方針を決める際、じっくりと市民の声を聴き、第三者委員会まで設置して丁寧に議論を進めた。残念ながら今の高島氏には、市民の声を重くみていた青年市長の頃の面影は、ない。

 高島市長の初当選は2010年。以来、4期連続当選で、選挙のたびに得票を増やしてきた。スピード感のあるコロナ対策は立派なものだったし、市民に希望を与える施策も少なくなかった。しかし、「権不十年」という。就任から14年を経た高島氏に、驕りが生じていると感じているのは筆者だけではあるまい。「福岡がなければ九州から人がいなくなる」は、いただけない。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【僭越ながら「論」・地方行政・福岡県福岡市】  2024年04月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:自民3戦「全敗」 凋落した党勢を立て直せるか

2024-04-30 05:01:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説①】:自民3戦「全敗」 凋落した党勢を立て直せるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:自民3戦「全敗」 凋落した党勢を立て直せるか

 「保守王国」の島根で議席を失い、不戦敗の2選挙区と合わせて3戦全敗。自民党の 凋落ちょうらく ぶりが浮き彫りになった。

 岸田首相は危機的状況をどう立て直すか、政権運営は厳しさを増すだろう。

 衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙で、立憲民主党が全てを制した。

 自民は、細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区を「弔い合戦」と位置づけ、首相や党幹部が次々に現地入りした。だが、細田氏が会長を務めていた安倍派が政治資金規正法違反事件で立件され、同情論は広がらなかったようだ。

 1996年の小選挙区制導入以降、細田氏が議席を守り続けていた島根1区で敗れたことは、自民にとって大きな痛手だ。

 東京15区と長崎3区は自民の元議員が不祥事で辞職したことに伴う選挙で、自民は勝算が見込めないとして候補を立てなかった。

 読売新聞の出口調査で、東京15区の自民支持者は、日本維新の会や諸派の日本保守党など保守系候補に投票する傾向がみられた。

 仮にそうした投票行動が自民不在による消極的な選択だったとしても、今後、自民に支持が戻ってくるとは限らない。不戦敗は自民の足腰を弱めたと言えよう。

 内閣、自民ともに支持率は低迷しているが、首相は政権維持への自信を示している。野党の支持が伸びず、また、自民内に突出したライバルがいないことから、政権が倒れることはない、と楽観視しているとの見方がある。

 だが、今回の選挙結果を受け、政局は流動化しかねない。

 自民内から「岸田首相では次期衆院選を戦えない」との声が強まる可能性がある。公明党の石井幹事長は先月、「総裁選で選ばれた総裁は支持率が高くなる」と述べた。9月の自民党総裁選での首相交代を求めたとみられている。

 政治資金問題を含め、内外の課題について着実に結果を出せなければ、退陣論は強まるだろう。

 今回、立民が3勝できたのは「敵失」のおかげではないか。政策を磨き、地道に支持者を増やさなければ、勢いは続くまい。

 一方、東京15区の選挙戦では、諸派の候補とその陣営関係者が、他候補の街頭演説中に大きな音を出したり、選挙カーを追いかけ回したりするなど、嫌がらせのような行動が問題となった。

 公正な選挙を妨害することは許されない。こうした行動には、公職選挙法の「選挙の自由妨害罪」の適用を検討すべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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