路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・03.30】:農業基本計画 国民の食生活を守る施策に

2025-03-30 05:00:50 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①・03.30】:農業基本計画 国民の食生活を守る施策に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.30】:農業基本計画 国民の食生活を守る施策に

 国民が安心して食生活を送るためには、食料安全保障体制を強化する必要がある。価格の高騰が長引く「令和の米騒動」は、その重要性を改めて気づかせるものだと言えよう。 

 新たな農業の基本計画では、生産基盤の強化につながる具体策を詰めていかねばならない。

 農林水産省は今後5年間の農政の指針となる「食料・農業・農村基本計画」をまとめた。近く閣議決定する。海外市場を開拓し、構造転換を集中的に図る方針だ。

 食品産業の海外収益を2030年に3兆円へとほぼ倍増させ、農林水産物・食品の輸出額も1・5兆円から5兆円へと増やす。

 カロリーベースの食料自給率は、30年度までに45%とし、これまでの数値目標を踏襲した。

 だが、この目標は2000年に設定して以来、一度も実現していない。23年度の実績も38%にとどまった。実効性のある対策に取り組まねば、目標や計画は、かけ声倒れに終わってしまうだろう。

 基本計画で、生産基盤の強化策の柱と位置づけたのが輸出促進である。人口減少で縮小する国内市場だけに頼っていては生産基盤も弱くなるばかりで、食料の安定供給が脅かされる。海外市場に着目したのは妥当である。

 とはいえ、生産を支える農業の担い手不足は深刻だ。高齢化も著しく、今後20年で急減すると推計される。新たな就農者を増やすためにも、「稼げる農業」へと転換していくことが欠かせない。

 戦略の核となるコメは、30年の輸出額を24年の7倍近い約900億円、輸出量も約8倍の35万トンへと増やすことを目指すという。

 地球温暖化や災害の激甚化など食料安保を脅かすリスクは増えている。不測の事態が起きたとしても、その場合は、輸出分を国内に回せば、コメを確保できる。

 だが、目標実現へのハードルは高い。米国や人件費の安い新興・途上国と比べ、日本のコメはコスト競争力が劣るためだ。

 農水省は、全国30か所のモデル産地で、収量が多い品種への切り替えや先端技術を活用するスマート農業の普及を進めるという。コメの輸出戦略が成功すれば、他の農産物でも参考になる。資金支援などの施策も練ってほしい。

 供給力を高めるため、実質的に続いているとされるコメの減反政策の見直しも検討すべきだ。

 海外での和食人気も生かしたい。日本貿易振興機構(ジェトロ)などと連携し、需要をつかみ市場を開拓していくことが大切だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・03.28》:コメの価格高騰 そもそも量は十分なのか

2025-03-29 09:31:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

《社説①・03.28》:コメの価格高騰 そもそも量は十分なのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・03.28》:コメの価格高騰 そもそも量は十分なのか 

 コメの価格高騰が止まらない。

 政府は対策として備蓄米の放出を決定。ブレンド米の形でスーパーの店頭にも並び始めたようだ。だが専門家の間では、価格抑制の効果は限定的との見方が広がっている。

 農林水産省によると、今月10~16日に全国のスーパーで販売された5キロ当たりの平均価格は4172円。2千円台だった昨年前半の倍以上にまで上昇した。

 燃料や肥料といった生産コストも上がっており、生産者の収入面などを考えると従来の価格が低すぎたとの見方もある。しかし、ここまでの値上がりとなると価格転嫁だけでは説明できない。

 流通現場で続くコメ不足の原因について農水省は、投機筋などによる在庫の囲い込みがあると分析している。だがこれも、それだけが原因とは考えにくい。

 備蓄米の放出は、投機的要因による流通の目詰まり解消を狙った政策だ。コメの量が全体として足りていれば、放出に伴う値下がりを予想して投機筋は売りを強めるはず。そうなっていない現状をどう受けとめるべきか。

 ここにきて、生産現場などから「そもそも量が足りないのではないか」との見方が出ている。見過ごせない指摘である。事実なら政策の土台に関わるからだ。

 農水省は昨年秋以降、十分な収穫量があるとの見方を示してきた。実態把握に問題はないか。原因分析がずれていれば対策の効果は期待できない。調査について点検が必要ではないか。

 同省の調査で2024年産の収穫量は前年より増え、作況は「平年並み」。一方、生産や流通の現場では「政府が言うほど取れていない」との声が聞かれる。ずれの要因に考えられるのが、近年の高温による品質の変化である。

 高温にさらされると米粒の肥大化が進む一方、中身がスカスカになり精米時に砕けやすくなる。結果として、収穫量に比べて市場に出回る量が減ってしまう。

 主食用米の収穫量は、無作為抽出した田んぼで稲を刈り取り玄米をふるいにかけて把握する。

 ふるいの下に落ちた低品質米は「ふるい下米」と呼ばれ、米菓などの加工用に使われる。高温による肥大化でふるいの下に落ちる量が減り、主食用米を買う加工業者が増えて高騰の一因になった可能性も指摘されている。

 地球温暖化が、想定以上の影響を及ぼし始めているとみるべきだろう。実態に合わせ調査手法も見直していかねばならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月28日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.20】:備蓄米放出/安定確保へ農政見直しを

2025-02-21 06:00:50 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①・02.20】:備蓄米放出/安定確保へ農政見直しを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.20】:備蓄米放出/安定確保へ農政見直しを 

 焼け石に水にならないかを懸念する。コメの「流通円滑化」対策として政府が決めた、備蓄米放出だ。

 外国人観光客による需要増や南海トラフ地震臨時情報による買いだめで「令和のコメ騒動」とも呼ばれた昨年夏、政府は「秋になれば新米が出回り価格が落ち着く」として放出に否定的だった。ところが2024年産米の生産量は前年から18万トン増えたにもかかわらず、農林水産省が公表する全国スーパーの売り値は昨年から9割値上がりしている。

 生産量が増えたのに、全国農業協同組合連合会(JA全農)などが集めたコメは前年から21万トン減った点には首をかしげる。さらなる値上がりを狙った事業者の売り惜しみを疑わざるを得ない。

 政府はまず15万トンを放出し、3月下旬には店頭に並ぶ見込みだ。流通状況を見ながら2回目を実施し、最大で合計21万トンを放出する。

 しかし高値で買い取られれば市場価格の値下がりは期待できない。価格動向を厳しく注視するとともに、コメの流通に目詰まりが起きていないかも精査する必要がある。

 政府は現在、91万トンのコメを備蓄している。著しい不作などの緊急時用だったが、「流通円滑化」を目的とした放出は初となる。今年1月末に農水相の諮問機関が承認した。

 今回の放出では、購入業者には1年以内に同じ量を買い戻す条件を付けた。コメの値崩れを防ぐ目的というが、もし今年も異常気象による不作などでコメ価格の上昇が始まれば、買い戻しが拍車をかける可能性が高い。収穫状況を踏まえた柔軟な対応を求める。

 留意すべきは、備蓄米放出は一時しのぎの策に過ぎない点だ。

 政府は長年、コメ価格の下落食い止めを農業政策の中軸に据えてきた。減反は18年度に廃止したが、その後も稲作から大豆や野菜に転作する農家には奨励金を出している。

 その結果、生産量は減り続け、今回のような価格変動が生じやすくなった。稲作農家の農業所得は時給換算で10円にとどまる。平均年齢は71歳に達し後継者の確保も急がれる。

 昨年改正された食料・農業・農村基本法は、食料安全保障を柱の一つに掲げた。大凶作でもないのに主食が店頭から姿を消したり、急騰したりする事態は、まさに食の安全保障に関わるといえる。

 コメの安定供給に向け生産増を奨励し、値崩れしないように輸出も強化するのも一案だ。国内で不足すれば輸出分をシフトして賄える。

 消費者が安定した価格で主食を確保し、農家がコメ作りを持続できる収益を得られるよう、政策全体を見直すべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.06】:備蓄米の放出 広い視野で戦略が要る

2025-02-11 16:00:10 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②・02.06】:備蓄米の放出 広い視野で戦略が要る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.06】:備蓄米の放出 広い視野で戦略が要る

 米価の高騰が家計を直撃する中、政府は備蓄米の運用の見直しへ動き出した。

 農林水産省は備蓄米放出に向けた新制度を発表した。著しい不作に限っていた方針を転換し、「円滑な流通に支障が生じる場合」にも放出を認めるとした。1年以内に同量を買い戻すことを条件に、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者に売り渡す。

 投機目的などで在庫を抱え込む業者らに、市場放出を促す狙いがある。米価の上昇が物価高の主因とされ、当初否定していた方針の見直しに追い込まれた形だ。

 流通構造が変化する中、当面の対策として選択肢を広げるのは妥当だろう。高値が続くと、消費者のコメ離れを助長しかねない。ただ、発動して米価が下がりすぎれば、農家は大きな影響を受ける。流通の実態を十分把握した上で、需給を見極めることが求められよう。

 発端は昨夏、店頭でコメが品薄になったことだ。前年の猛暑による高温障害で流通量が減り、南海トラフ地震の臨時情報での買いだめも重なって集荷競争が起きた。

 新米が出回り始めた秋以降も値は下がらず、出荷団体と卸売業者間の「相対取引価格」は、過去最高値を記録。今も店頭では前年比で1・5~2倍になっている。

 問題は、昨年は不作でもないのに価格が高止まりしていることだ。

 2024年度産米の収穫量は前年より18万トン増えたのに、主要な業者の集荷量は同17万トン(昨年11月)も減った。農水省は、誰がどこにどれだけ確保しているのか、分からないという。

 近年は温暖化の影響で品質が低下し、主食米が減っている上、訪日外国人の伸びが外食需要を押し上げる。世界の紛争などで不安定性も高まっており、ちょっとしたきっかけでコメの品薄や不足が起きる可能性は今後もある。

 日本の農政は食生活の変化や人口減を受け、「コメは余っている」という認識を前提としてきた。補助金で別の作物へ転作を奨励し、実質的にコメの減反を迫るなど、作りたい農家の意欲をそぐいびつな政策を続けている。

 食料安全保障の強化を見据え、コメ増産も選択肢ではないか。補助金支出ではなく、国が一定買い取り、困窮家庭へ回したり、災害時に活用したりする機動的な政策も可能だろう。前例にとらわれがちな農政の枠を超え、幅広い視野から国家戦略を考えるべき時だ。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月06日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.06】:備蓄米制度 価格安定へ放出判断を迅速に

2025-02-06 05:00:55 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②・02.06】:備蓄米制度 価格安定へ放出判断を迅速に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.06】:備蓄米制度 価格安定へ放出判断を迅速に

 主食であるコメの価格高騰が長引き、家計を苦しめている。政府は、備蓄米を効果的に放出し、早期に価格の安定を図ってもらいたい。 

 農林水産省は、備蓄米を放出する際の運用方針を見直した。これまでは凶作時などに限定していたが、円滑な流通に支障が出た場合でも放出できるようにした。

 1年以内の買い戻しを条件に、全国農業協同組合連合会(JA全農)などに売り渡す。具体的な放出の時期や規模は未定という。

 昨夏以降、コメの値上がりが鮮明になった。だが、農水省は、凶作ではなく需給は 逼迫 ひっぱく していないとして、備蓄米を放出する状況にはないと説明してきた。

 国民負担の重さを考えれば、放出ルールの柔軟化は当然で、むしろ遅すぎたと言える。政府は、迅速に放出時期を見極めて、国民負担を和らげることが大切だ。

 国の備蓄米制度が出来たのは、歴史的な凶作となった1990年代の「平成の米騒動」がきっかけだ。10年に1度の凶作や2年連続の不作に対応できるように、100万トン程度を備蓄している。

 主食用米の年間消費量は700万トン程度で、備蓄米による価格抑制の余地は大きい。

 農水省が備蓄米の活用をためらっていたのは、長年のコメ農政も背景にあるのではないか。

 政府は、生産者の所得安定を目的に、1970年代から実施した減反政策で過剰生産を抑制し、価格が下がりすぎないよう腐心してきた。2018年に減反制度を廃止したが、今も転作に補助金を出し、生産を調整している。

 生産者に配慮するあまり、価格の下落ばかりを恐れ、消費者目線を欠いたと言わざるを得ない。

 24年産米の生産量は増えたが、農水省の予測とは異なり、高値は収まっていない。価格高騰を受け、外食や卸売、小売業者などが、早めに在庫を確保する動きが広がったためだと指摘される。

 農水省の対応が後手に回った結果、流通関係者の不安を招き、品不足に拍車をかけた面もある。

 農水省は、JAなどの大手集荷業者や大規模な卸業者以外にも、在庫状況の調査範囲を広げるという。備蓄米の放出に加え、必要以上に在庫を抱える動きを防ぐ正確な情報発信も重要になる。

 今回の価格高騰は、猛暑による不作や訪日客の需要増などによって、過度な価格変動が生じるリスクが増えていることも浮き彫りにした。コメの生産基盤を強化する策を考える契機ともすべきだ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.05】:食品ロス 工夫次第で削減の余地はある

2025-01-05 05:00:40 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②・01.05】:食品ロス 工夫次第で削減の余地はある

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.05】:食品ロス 工夫次第で削減の余地はある

 まだ食べられる食品が廃棄される「食品ロス」の削減は、食料自給率が低い日本社会の大きな課題である。削減に向け、国や企業は、知恵を絞らなければならない。 

 政府が食品ロスの新たな削減目標を公表した。2000年度に547万トンだった食品製造業や外食産業などの事業系ロスを、30年度までに6割減らすという。

 当初は半減を目指していたが、22年度に236万トンと目標を前倒しで達成した。このため、さらに1割厳しい目標を設定した。

 食品業界には、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、小売店に納品できないという商慣行がある。この慣行を見直し、加工食品の賞味期限を延長したことなどが功を奏したのだろう。

 今後はAI(人工知能)を使った需要予測なども活用し、供給の適正化にも努める必要がある。

 それでもなお、食品製造業のロスは年117万トン、外食産業は60万トンにも上っている。削減の努力を怠ってはならない。

 新たな目標達成には、さらに17万トンの削減が必要になるが、できることはまだまだ多いはずだ。

 食品製造事業者などから規格外の商品を無償で譲り受け、福祉施設などに提供する「フードバンク」の活用も一案だ。

 政府は、食品の安全管理などフードバンクの質を担保するための認証制度作りを進めている。

 事業者側に根強い「どこに寄付すれば良いか分からない」という声や、食中毒などの事故に対応できる体制を整え、食品の寄付を促していくことが重要だ。

 家庭の事情や物価の高騰で、食事を十分に取れない子供は少なくない。無料か低額で食事を提供する「子ども食堂」は、全国で1万か所を超えた。だが、食品の寄付は年間1万トン程度で、支援物資の不足に悩む運営団体も多い。

 事業者などからの大口寄付が増えれば、ロスの削減と生活困窮者の支援が両立できる。学校給食での活用などについても制度化を検討してはどうか。

 外食産業のロスを減らすには、消費者が食べ残さないことはもちろん、店側も「小盛り」などの注文に柔軟に対応すべきだ。

 一方、家庭での食品ロスは22年度236万トンとなっている。

 豆腐や納豆など安価な食品を買いすぎたり、家庭内で料理を作りすぎたりして余って捨てるケースが多い。一人ひとりが「買いすぎない」「作りすぎない」という意識を持つことが大切だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【小社会・12.28】:餅つきの日に

2024-12-28 05:05:40 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【小社会・12.28】:餅つきの日に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.28】:餅つきの日に

 きょうは餅つきを予定しているご家庭もあるだろう。「八」は末広がりで縁起がいいとされ、28日に正月の鏡餅や雑煮の餅を作る風習が全国にある。いまは出来合いを買う方が大半かもしれないが。

 〈餅を搗(つ)く夫婦の阿吽(あうん)佳(よ)かりけり〉高野孝子。ついた後は家族総出で丸めていく。一家の一年の平和を実感し、迎える新年にも願いがこもる作業である。

 民俗学者の新谷尚紀さんによると、江戸末期には庶民が広く雑煮で正月三が日を祝うようになった。「屠蘇(とそ)はともかく、雑煮だけはなんとしても準備するのが正月の迎え方の基本だった」という(著書「日本の『行事』と『食』のしきたり」)。

 昔は餅はもちろん白米もぜいたくな食べ物で、正月など限られた日にしか口にできなかった。もち米を含めコメは特別な存在で、いただく感謝の念も、飽食の現代人よりはるかに強かったに違いない。

 ことしはコメも餅も高騰した。都会を中心に店頭からコメが消える「令和の米騒動」もあった。国内のコメ消費量は減り続けているが、近年これほどコメの大切さを再認識させられた年はあったろうか。

 「外人学者は、日本人の米作りは、農業ではなく、園芸だなどという」。食物史研究者の大塚滋さんがかつて著書で紹介していた。それだけ手間暇をかけて育てられるというわけだ。ぺったん、ぺったん。この年末の餅にはコメや農家の皆さんへの思いもこもるだろう。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.26】:酪農家の苦境 国は危機感持ち対応を

2024-12-27 04:05:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①・12.26】:酪農家の苦境 国は危機感持ち対応を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.26】:酪農家の苦境 国は危機感持ち対応を 

 生乳を指定団体に出荷する全国の酪農家戸数が10月で前年同月比5.7%減の9960戸となり、統計を取り始めた2005年以降、初めて1万戸を割った。全国の酪農団体などでつくる中央酪農会議が集計した。
 
 5年間で4分の1近くが減った形だ。道内は4.4%減の4338戸だった。
 
 22年以降乳価は引き上げられたものの、円安などの影響による飼料価格や光熱費の高止まりで所得が減少している。
 状況の改善が見通せず、赤字経営でなくても見切りをつける酪農家が少なくないという。
 戸数減が緩やかな北海道の役割は一層大きくなりそうだが、調査では道内に多い大規模経営ほど苦境にあるのが心配だ。
 酪農家に支払われる加工乳の補給金単価が来年度も引き上げられることになった。だがコスト増の実態に見合った水準ではないとの声は根強い。
 政府は危機感を持ち、抜本的な対策を講じる必要がある。
 中央酪農会議のアンケートによると、経営状況が赤字と答えた酪農家の割合は6割近くに達した。飼料価格高騰のほか、副収入となる子牛の市場価格が飼料高による需要減で低迷し、収入減に拍車を掛けている。
 政府は飼料価格の高騰分を穴埋めする特例措置や特別制度などの対策を取ってきたが、戸数減を止められなかった。制度の大胆な見直しが不可欠だ。
 国が推進してきた規模拡大とコロナ禍での生産調整に翻弄(ほんろう)され、借金がかさんでいる生産者は多い。離農したくてもできないとの切実な声もある。
 運送業や酪農ヘルパーなどを含めた生乳生産のインフラは、一度壊れたら再生は難しい。
 政府には生産コストを適正に価格に転嫁できる仕組みづくりを急ぐことが求められる。
 栄養素が多く、輸入が8割を占める濃厚飼料の国産化をさらに進める契機としたい。
 濃厚飼料の原料となる子実コーン(子実トウモロコシ)は、耕作放棄地の活用などで国内生産の余地が大きいとされる。
 道内では輪作に取り入れる動きもある。コスト削減や安定的な需要確保に向けた支援策を検討すべきではないか。
 
 政府は今後10年間の政策の方向性を示す「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」の改定作業を進めている。
 
 家族経営の酪農家も地域を支える大切な存在だ。経営規模や地域の実情に合った支援のあり方を模索してもらいたい。酪農家の労働負担軽減をさらに後押しすることも欠かせない。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【金口木舌・12.27】:土に生きる

2024-12-27 04:00:40 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【金口木舌・12.27】:土に生きる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.27】:土に生きる 

 年を追うごとに夏は苛酷さを増す。趣味のベランダ園芸で何年も育てた鉢が高温にやられる一方、ブーゲンビリアやハナキリン、ガジュマルなど地のものの強さは別格だ

 ▼鉢いじりの季節を迎え、土に生きる植物の一生を思う冬。本島中部では中城村の「中城島にんじん」の旬入り宣言があり、山芋スーブも相次いだ。サトウキビはあちこちで収穫を待って花穂を揺らす

 ▼島ニンジンも山芋も夏の高温、少雨・大雨などの異常気象にさらされ減産や株重量の減少が起きている。土の中で悪運を乗り切ってくれた植物に、生産者のたゆまぬ努力に感謝する

 ▼中城村の在来種を継ぐ黄色い島ニンジン。土の匂いとさわやかな甘みはチムシンジにも、食卓の普段使いにも。翻って趣味を突き詰めた男たちの山芋スーブ。審査会に並ぶ土まみれの岩塊のごとき大量の山芋。誰がどう皮をむく

 ▼山芋スーブは「おじーのロマン、おばーの不満」という名言を知った。多くは女たちが調理することから。硬い皮はみんなで一緒にむきましょう。「花よりも花を育てる土であれ」との格言もあるようで、いろいろあった年の瀬に土を思う。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】  2024年12月27日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《水説・12.18》:酪農家が泣いている=赤間清広

2024-12-18 02:01:10 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

《水説・12.18》:酪農家が泣いている=赤間清広

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《水説・12.18》:酪農家が泣いている=赤間清広

 <sui-setsu>

 埼玉県西部に位置する小鹿野町。吉田牧場は地域の人々に愛されてきた家族経営の酪農家だ。

 乳牛や肉牛など100頭以上を飼育。そこから採れる新鮮な牛乳は周辺自治体の学校給食を長年、支えてきた。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/18/20241218ddm002070087000p/9.webp?2" type="image/webp" />全国には地域の人々に長年愛されてきた「ご当地牛乳」がある=東京・有楽町で2024年12月2日、赤間清広撮影</picture>
全国には地域の人々に長年愛されてきた「ご当地牛乳」がある=東京・有楽町で2024年12月2日、赤間清広撮影

 ただ、牧場の維持は年々、厳しくなっているという。世界的な資源価格の高騰で餌代や燃料費がかさみ続けているためだ。

 牧場経営は酪農家だけではできない。牛乳を運ぶ運搬車のドライバーや、病気の牛を診察してくれる獣医――。

 経営をあきらめれば、こうした人々の生活まで揺るがしかねない。

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【水説】  2024年12月18日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・11.06】:令和の米騒動 コメ不足は歴代自民党農相と農水族の大罪

2024-11-13 07:40:00 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【政界地獄耳・11.06】:令和の米騒動 コメ不足は歴代自民党農相と農水族の大罪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.06】:令和の米騒動 コメ不足は歴代自民党農相と農水族の大罪 

 ★農相経験者の首相・石破茂は先の総選挙で就任したばかりの農相・小里泰弘を落選させた。空席の農相のポストには元農相・江藤拓が再任の見通しという。国民生活が苦しくコメ不足、コメの値上がりが深刻影響をもたらしているにもかかわらず農相空席だ。有効な手だてなく市場価格高騰甘んじるなど政府無能ぶりを露呈させている。ただ農相が決まってもこの役所は国民食糧事情にさして興味はない。業界団体貿易摩擦にならぬように見張るだけだ。だから農相が誰になろうと国民生活関係はない。

品切れの棚に貼られていた「米購入制限のお知らせ」  品切れの棚に貼られていた「米購入制限のお知らせ」

 ★その原因農水省減反政策などに求めるのは簡単だ。減反廃止すれば、食料自給率60%以上に上がる。減反実施は続くものの、コメ消費確実に増えている。もう一方で農水省消費者見通し極めて甘かったことも拍車をかけた。興味がないから当然だが物価高騰外食産業から生鮮品まで高騰し、当然消費税追い打ちをかける。家庭台所火の車だ。街の定食屋は若者に腹いっぱい食べさせようと、ご飯のお代わり無料をうたうが、それではやっていけない。インバウンドで海外からの観光客のコメの消費も大きい。令和米騒動腹いっぱいコメ食えないレベルだ。農業県でも総選挙でコメ不足の解決を訴えた候補者はあまりいない。だがコメは我が国の食料の根幹で、皇室とコメの関係も切っても切り離せない。ところが政府JAコメコメ農家追い込んできた。歴代自民党農相農水族大罪だ。

 ★国民民主党は「手取りを増やす」と言い、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の見直しを党代表・玉木雄一郎は「恒久的な措置としてやっていきたい」と言う。自民党議員は「恒久的と言い出したら財務省は警戒する。それなら生鮮品などの消費税時限的に下げた方がいい。消費税減税を言い出したら玉木プランはつぶれる」。国民コメ腹いっぱい食べられる日は来るか。(K)※敬称略

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません4。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年11月06日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・07.14】:高温障害多発/影響は農業にとどまらず

2024-07-16 06:01:45 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説・07.14】:高温障害多発/影響は農業にとどまらず

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・07.14】:高温障害多発/影響は農業にとどまらず 

 全国各地で農作物の高温障害が相次いでいる。兵庫県内でも近年、水稲をはじめ丹波黒大豆、ブドウやナシなど影響は広範囲に及ぶ。今夏は、観測史上最も高い平均気温を記録した昨夏に匹敵する猛暑が予想されており、警戒が必要だ。

 農業生産は、気候変動の影響を受けやすい。温暖化は地球規模で進み、高温障害が一過性でないのは明白だ。農家だけで打てる手は限られ、国や都道府県、生産者団体が連携して対応を急がねばならない。

 昨夏の高温障害について農林水産省がまとめたレポートによると、水稲は大半の地域で1等米比率が低下した。リンゴやブドウ、ナシなどの果物をはじめ、花、乳用牛など、幅広い農産物で品質・収量低下、病・虫害に見舞われた。 

 効果のあった対策で、直ちに取り組めるのは遮光資材の活用やかん水管理などだ。各地で積極的に採り入れる必要がある。

 水稲では高温耐性品種の導入・転換も挙がった。主食用米の作付面積に占める耐性品種の割合は14・7%に上り、2019年から4・8ポイント増えた。

 ブランド米の産地では、品種置き換えへの抵抗感も少なくないだろう。しかし全国有数の米どころの新潟県では、暑さに弱いコシヒカリの1等米比率が5%にまで落ち込んでいる。

 気候変動への耐性とともに品質を高める研究も進んでおり、品質や収量の低下が避けられないなら新品種に置き換えるとともに、改めて産地全体でブランドをアピールしてほしい。

 地域を代表する農産物が高温障害で打撃を受けると、その影響は農業にとどまらず、文化や景観、観光などにも及ぶ。

 山形県では今年、サクランボが歴史的な凶作となる見通しで、JA山形中央会は、スプリンクラーなどの暑さ対策の設備導入や、高温に強い品種開発などへの支援を県に緊急要請した。

 兵庫県も山田錦や丹波黒、イチジク、タマネギなど、地域に根差した多くのブランド産物を擁する。丹波黒では暑さに強い新品種の普及に向けた取り組みが始まった。品種改良は一朝一夕には進められないだけに、さらなる高温化を念頭に、備えを固めたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年07月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・05.17】:日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民…

2024-05-20 07:21:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【筆洗・05.17】:日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・05.17】:日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民…

 日本人を「米食民族」と呼ぶことがあるが、むしろ「米食悲願民族」と呼ぶのが正しい。稲作文化に詳しい渡部(わたべ)忠世さんが著書で語っていた。長い歴史で皆が常に米を食べられる時代は最近に限られる。民は長く、もっと食べたいと渇望してきたという

 ▼なるほど米は年貢であり、武士への給料であり、権力の基盤であったが、農家でも白米は特別な日のごちそうだったと聞く。一回でも多く食べたいと願う私たちの祖先は可能な限り田を開いた。山の斜面の棚田は、日本人の米への執着の象徴らしい

 ▼奥能登・輪島の日本海沿いの棚田「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」で田植えが始まった。地震で亀裂が入るなどしたが、1004枚のうち被災を免れたり修復したりした約120枚で植える

日本海を背に白米千枚田で田植えをする田のオーナーや白米千枚田愛耕会のメンバー=石川県輪島市で2024年5月11日午前11時32分、阿部弘賢撮影 © 毎日新聞 提供

 ▼作業をする地元有志団体の代表は田植え開始の式でマイクを握ると、途中で言葉を詰まらせた。寛永期に用水が開かれたという千枚田。今年も何とか伝統をつなぎ、思いがこみ上げたか

 ▼千枚田に限らず奥能登の田の被害は大きいが、今年は無理でも来年はと修復に励む農家がいる。米への執着が絶えぬ人の存在に希望を見出(みいだ)したくなる

 ▼渡部さんの本によると昔、海を望む佐渡の棚田を守る老人は「田植えの日は酒や餅などを供え、田を開いた知る限りの先祖の名を空と海に向かって叫ぶ」と語ったという。奥能登のご先祖様たちも見てくれているだろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2024年05月17日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季・05.04】:畑にある「文化財」

2024-05-05 05:05:40 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【卓上四季・05.04】:畑にある「文化財」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季・05.04】:畑にある「文化財」

 まさかりかぼちゃ、ラワンブキ、キャベツの「札幌大球(たいきゅう)」、タマネギの「札幌黄(き)」、ハッカの「あかまる」、八列トウモロコシ、函館赤カブ。道内各地に長く根づいてきた代表的な伝統作物だ。これらの情報を掲載する「在来品種データベース」のオンライン公開が始まった
 ▼北海道から沖縄まで44都道府県の280種を国立研究開発法人「農研機構」のサイトで紹介する。産地や呼び名、食べ方、流通状況をくわしく解説し、現地で栽培する様子などの写真も添えた。各地の作物を見るうち、知らない土地を旅する気分になる
 ▼在来品種は地域の気候や風土に合わせて人々が改良し、守り育ててきた野菜や雑穀だ。地域の食文化やくらしと深く結びつき、遺伝資源としての価値も高い
 ▼地域の宝なのに、姿を消しつつある品種が少なくない。生産者の高齢化に加え、高収量の新しい品種に押される。まさかりかぼちゃも例外ではない。皮が硬くて長期保存できるため重宝されたが、高度成長期から栽培する農家が減り、風前のともしびに
 ▼道内を含めて全国で現地調査し、今回のデータベースの情報を集めた山形大の江頭(えがしら)宏昌教授は言う。「在来品種は生きた文化財。地域の歴史や文化を伝えるメディアと言えます」
 ▼国内には2千種以上あるとされる。関心を持つ。育てる。味わってみる。できることから始め、先人が残してくれた宝を守りたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2024年05月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:農林水産物輸出 安定的拡大へ販路の多角化を

2024-02-12 05:01:45 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①】:農林水産物輸出 安定的拡大へ販路の多角化を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:農林水産物輸出 安定的拡大へ販路の多角化を

 農林水産物・食品の輸出を安定的に伸ばすには販路を多角化する必要がある。海外のニーズにあった産品づくりに取り組み、輸出拡大に向けた戦略を再び強化したい。 

 2023年の農林水産物・食品の輸出額が、前年比2・9%増の1兆4547億円と、11年続けて過去最高を更新した。多くの国や地域で、コロナ禍からの経済活動の正常化が進んだほか、円安による割安感も追い風になった。

 ただ、伸び率は22年の14・2%増から大幅に鈍化した。中国が、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を受け、昨夏以降、日本からの水産物の輸入を全面的に停止したことが響いている。

 輸出額の大きいホタテが落ち込んだほか、中国の景気低迷で日本酒やウイスキーも減った。特定の国や地域に依存することのリスクを浮き彫りにした形だ。

 一方、中国向けの農林水産物・食品の輸出は、全体で前年より14・6%減少したものの、なお最大の輸出先である。科学的な根拠に基づかない水産物の禁輸措置を早期に解除するよう、政府は粘り強く働きかけねばならない。

 23年の輸出は、香港や米国、韓国、豪州など、中国以外では順調に増えている国・地域が多い。

 海外で和食ブームが続いているほか、訪日観光を機に和食ファンになる外国人も多いという。日本産品を海外に売り込む余地は大きいはずだ。官民が一体となって、多様な国・地域で販売拡大を図ることが大切となる。

 それには、現地の需要に応じた産品を作ることが重要だ。

 23年の輸出で、緑茶は33・3%増えた。粉末の抹茶にすることで栄養を余すところなく取り込める健康食品として認知され、健康志向が高まっている欧米で人気が出たという。ニーズを開拓した成功事例だと言えよう。

 「和牛」として知られる牛肉も、外食需要が持ち直した香港や台湾などで、輸出が大幅に伸びた。

 各地の需要を調べ、効果的な販売促進活動を展開してほしい。

 そのほか、中国はホタテなど日本の水産物を加工して、第三国に輸出する役割も果たしていたため禁輸措置の影響が広がった。

 そのため、政府は、中国で行われていた米国向けのホタテの殻むき作業を、ベトナムなどに移す事業への支援を始めた。

 政府は、農林水産物・食品の輸出のためのサプライチェーン(供給網)についても再点検し、リスクの分散に努めてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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