【社説②・03.31】:ラピダス稼働へ 地域と歩み最先端目指せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.31】:ラピダス稼働へ 地域と歩み最先端目指せ
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月31日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・03.31】:ラピダス稼働へ 地域と歩み最先端目指せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.31】:ラピダス稼働へ 地域と歩み最先端目指せ
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月31日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季・03.31】:「半導体特需」とならぬよう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季・03.31】:「半導体特需」とならぬよう
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 2025年03月31日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・02.12】:ラピダス支援法 政府はリスク管理を徹底せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.12】:ラピダス支援法 政府はリスク管理を徹底せよ
先端半導体を巡る国家間の競争は激しく、政府が踏み込んだ資金支援策を行う必要性は高い。だが、先端技術に対する需要の変化は速い。
政府は事業のリスク管理も徹底しなければならない。
政府は、半導体産業や人工知能(AI)分野の支援を大幅に強化するため、情報処理促進法と特別会計法の改正案を閣議決定した。政府による出資や債務保証、税優遇などをできるようにする。
次世代半導体の国産化を目指すラピダスなどの企業や、データセンターの事業などには、2030年度までに10兆円以上の公的支援を行うことを想定している。
米欧や中国などは半導体産業に巨額の資金支援を行っている。日本も中長期的な展望の下で、資金を投じていくことが大切だ。
ラピダスは、半導体戦略の中核に位置づけられている。今春から北海道千歳市で、回路の線幅が2ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の最先端品の試作品生産を始める。27年から量産する計画だ。
政府はこれまで1兆円近くを投じてきたが、さらに4兆円程度の資金が必要とされている。
最先端品は台湾積体電路製造(TSMC)が圧倒的な競争力を誇り、年内に2ナノ製品の量産を始めるとみられている。
一方、国産メーカーは、これまで40ナノ製品までしか手がけていない。事業リスクの高さを懸念する民間からは、十分な資金を呼び込めていないのが実情だ。
このため、政府が全面的に支援する姿勢を明確にし、出資にまで踏み込むことにした。25年度に1000億円程度を出資する予定だ。民間からも1000億円程度の出資を見込んでいるという。
国が事業リスクを正面から負って民間企業に巨額の出資を行うのは異例である。損失が生じた場合には国民負担になるからだ。官の存在が大きくなれば、民間との間で責任の所在が不明確になり、失敗のリスクも高まりかねない。
そうした事態を防ぐには、民間の自律性を確保しながら、政府が事業リスクを適切に管理する仕組みが不可欠になる。外部からチェックする手法も検討すべきだ。
一方、中国の新興AI企業「ディープシーク」が開発した生成AIが、最先端半導体を大量に使わずに高性能を実現したとして衝撃を与えた。高価な半導体の需要が想定ほど伸びないとの見方が広がり株式市場を揺さぶった。
環境変化には、官民とも柔軟に対応することが重要になろう。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年02月12日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①・02.04】:対日投資審査 技術流出を着実に防止せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.04】:対日投資審査 技術流出を着実に防止せよ
安全保障にかかわる重要技術を巡って、国家間の競争が激化している。政府は、日本企業に対する海外からの投資の審査を強化し、技術流出を防ぐことが不可欠だ。
日本企業への海外からの出資については現在、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、国が審査する仕組みになっている。国内技術の流出などで、国の安全が脅かされる事態を防ぐためだ。
2020年施行の改正外為法では、安全保障面で重要な原子力やエネルギー、通信、金融などの上場企業の株式を1%以上取得する際には、事前の届け出を義務づけた。それまでの「10%以上」から引き下げて対策を強化した。
同時に海外投資家の「日本株離れ」を起こさぬよう、経営に参加しない純投資であれば、事前届け出を免除する仕組みを設けた。
だが、この規定が「抜け穴」になる問題が指摘されている。課題があれば、法律を不断に見直していかなければならない。
実際に問題視されたのは、21年に中国IT大手テンセントの子会社が、携帯電話事業を展開する楽天に出資したケースである。
テンセント側は、純投資だと主張したが、中国への個人情報の流出などが危惧された。
このため、新たに外為法の政省令を今春にも改正する。外国政府に情報を渡す恐れがあると判断した企業や個人を「特定外国投資家」に分類し、例外なく事前の届け出を義務化するという。
特定外国投資家としては、外国政府の法令などにより、情報開示などの協力義務を負う企業や個人などが想定されている。
中国は国家情報法で、政府の情報収集に協力することを義務づけていることから、中国の企業を念頭に置いているとされる。
人工知能(AI)やドローン、量子などの技術開発に、各国はしのぎを削っている。米欧と足並みをそろえ、技術流出の抑止策を講じていくことが大切だ。
中国側は、別の国の法人を 迂回 して出資することも考えられる。日本は審査体制を拡充して、そうした迂回投資の発見にも力を入れていく必要がある。
今回の新規制は、上場していない中小企業は対象外となる。だが、中国企業が、優れた技術を持つ日本の中小企業に目をつけ、盛んに買収しているのではないかとの懸念が高まっている。
国益を守る観点から官民が連携して、中小企業の技術を守るための方策も考えてもらいたい。
元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年02月04日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②・01.16】:半導体の国支援 丸抱え脱却の道筋示せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.16】:半導体の国支援 丸抱え脱却の道筋示せ
特定企業への際限のない国の支援が許されるわけではない。自立への道を国民に示すべきだ。
先端半導体の国産化に向け、政府が後押しを強めている。昨年11月に決めた経済対策で、AI・半導体産業の基盤強化策として2030年度までの7年間で10兆円以上を支援する枠組みを示した。
ラピダスのIIM-1完成予想図
ラピダスとIBMによる2nm GAAウエハーの試作品
中核となるのが、高性能半導体の量産を目指すラピダスで、1千億円を出資するため、来年度予算案に計上した。2027年の量産開始に向け設備調達費などに充てるとしている。
補助金や税の優遇などですでに9200億円の助成を決めている。先端半導体の量産には5兆円が必要ともいわれ、金融機関からのラピダス融資には政府保証を付ける支援も決まっている。
ラピダスは、半導体の製造や装置開発で実績を積んだ経営者に対し、トヨタ自動車やNTTなどが出資して22年に発足した。
丸抱えともいえる政府支援は、ロボットや車の自動運転などで、今後の需要増が見込める次世代半導体を国産化し、国際的な産業競争力を高める狙いという。
ラピダスが巨大工場の建設を進める北海道千歳市では雇用増や賃金水準の上昇がみられる。台湾の半導体メーカーが進出した熊本県とともに、地域経済の底上げと雇用創出につながることへの期待がある。
一方で、先端分野の製品の量産に本当にこぎ着けられるのか。試作すら始まっていない製品の買い手に見通しはあるのか。未知数な要素が多いのは否めない。
政府支援には財源が不確かな面も大きい。
トヨタなどが追加出資を表明するものの、総額は1千億円程度にとどまり、金融機関はさらに及び腰とされる。
民間企業として自立する道筋を描けないままでは、投資意欲が鈍いのも当然だろう。
特定企業の事業リスクを国が全て背負うのでは、責任の所在があいまいになったり、世界的な開発競争に臨機応変に動けなかったりする懸念も指摘される。経済産業省は、外部有識者の評価によって達成状況を確かめつつ進めるとしているが、機能するのか。
日本は政府主導で半導体産業の再編を試みながら失敗を繰り返し、巨額の国民負担を生じさせた過去がある。その二の舞いを演じてはなるまい。
国支援の向こうにある展望を早急に示してほしい。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月16日 16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説①・12.03》:適正評価基準案 監視の懸念残したまま
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.03》:適正評価基準案 監視の懸念残したまま
経済安全保障の名の下、民間企業や大学の研究者、技術者らが広く、政府による監視の対象にされかねない。重大な懸念が置き去りにされたままだ。
重要経済安保情報保護・活用法に基づき、機密情報を扱う資格を認定するセキュリティー・クリアランス(適性評価)である。政府が運用の基準案を公表した。
秘密保護法制を産業・経済の分野に拡大し、国による情報の統制と監視を一段と強化する法だ。先の通常国会で成立し、来年5月までに施行される。
防衛や外交上の機密情報に関する特定秘密保護法の下で、主に公務員が対象だった適性評価の間口が大きく広がる。犯罪歴、飲酒、借金、精神疾患といった機微な個人情報が、身辺調査によって洗い出されるだけではない。
国や国民の安全を害する活動、社会に不安や恐怖を与える活動との関わりが、調査事項として挙げられている。国家機密の保全を理由に素行が探られ、思想・信条の調査につながる恐れがある。
基準案は、基本的な考え方として、プライバシーの保護や、法に明示した項目以外の調査の禁止、評価結果の目的外利用の禁止を掲げた。身辺調査は、対象者本人の同意を前提とする。
しかし、調査や集めた情報の取り扱いが適正に行われているかどうかを、外部から確かめるすべはない。政府から独立した機関が運用を監視し、是正を図る仕組みは設けられていない。
国会の審議で法案が修正され、運用状況を政府が国会に報告し、公表することが定められはした。とはいえ、どこまで明らかにするかは政府に委ねられている。おのずと限界は明らかだ。
調査は、家族や同居人の氏名、生年月日、国籍にも及ぶ。適性評価を受ける本人がそのことを家族らに伝えるのは構わないが、同意は必要とされていない。
調査を担う機関は首相の下に置かれる。当局による秘密裏の情報収集が、また新たな法の後ろ盾を得た形だ。情報が一元的に集約されることで、監視に結びつく危険はいっそう強まる。
何が経済安保上の機密情報にあたるのかは、運用基準案でも明確になっていない。機密の範囲が歯止めなく広がり、主権者の知る権利が損なわれる懸念も大きい。
秘密法制をなし崩しに拡大する危うさについて、審議が尽くされたとは言いがたい法である。施行の先送りを視野に、国会で根本から議論し直すべきだ。
元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月03日 09:31:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:適性評価制度 懸念残した拡大許さぬ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:適性評価制度 懸念残した拡大許さぬ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年03月06日 07:09:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【視点】:適性評価制度の拡大法案 「地上げ屋」化する政府 論説委員兼編集委員・田原牧
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【視点】:適性評価制度の拡大法案 「地上げ屋」化する政府 論説委員兼編集委員・田原牧
まるで「地上げ屋」だ。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【視点】 2024年03月05日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【政府】:高市早苗担当大臣も「まだ分からない」連発なのに…「経済安保情報保護法案」を閣議決定 識者の見方は?
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:高市早苗担当大臣も「まだ分からない」連発なのに…「経済安保情報保護法案」を閣議決定 識者の見方は?
◆重要経済安保情報 国民生活や経済活動にとって重要なインフラや物資のサプライチェーン(供給網)に関し、(1)外部行為から保護する措置や研究(2)脆弱(ぜいじゃく)性や革新的技術(3)保護措置について外国や国際機関から収集した情報-などのうち、公になっておらず、漏えいが国の安全保障に支障を与える恐れのあるもの。指定期間は5年以内だが、30年まで延長でき、さらに内閣の承認があれば60年まで延長できる。
◆鈴木一人(すずき・かずと) 1970年、長野県生まれ。専門は国際政治経済学、科学技術政策論。著書に『宇宙開発と国際政治』(岩波書店)など。政府の「経済安全保障分野におけるセキュリティー・クリアランス制度等に関する有識者会議」の座長代理。
◆三宅弘(みやけ・ひろし) 1953年、福井県生まれ。専門は情報公開法。2010〜18年、内閣府の公文書管理委員会委員。委員長代理も務めた。著書に「知る権利と情報公開の憲法政策論—日本の情報公開法制における知る権利の生成・展開と課題」(日本評論社)など。
【経済安保】:「機密情報の指定基準などは国会で議論すればよい」 議論を尽くさず法案を了承してしまった与党
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経済安保】:「機密情報の指定基準などは国会で議論すればよい」 議論を尽くさず法案を了承してしまった与党
自民党は20日の総務会で、国が指定した経済安全保障上の機密情報を扱う人を認定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の導入を盛り込んだ重要経済安全保障情報保護・活用法案を了承した。公明党も同日、了承。週内には与党内手続きを終え、2月末にも閣議決定される見通しだ。機密指定の基準があいまいで、国民の知る権利や企業の営業の自由が侵害される恐れが指摘される法案だが、与党では議論を尽くさないまま、審議の舞台は国会に移る。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・自民党は20日の総務会で、国が指定した経済安全保障上の機密情報を扱う人を認定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の導入を盛り込んだ重要経済安全保障情報保護・活用法案を了承】 2024年02月21日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:適性評価制度 経済情報の安全をどう守るか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:適性評価制度 経済情報の安全をどう守るか
日本の安全保障に関する先端技術などの情報が外国に窃取されたり、流出したりするような事態は防がねばならない。
政府は経済安全保障を強化する観点から、公務員や企業の社員を対象に、機密情報を扱う資格として「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度を設ける方針だ。その創設に向けた法案を近く国会に提出する。
欧米では、サイバーやAI(人工知能)など民間の先端技術を軍事でも活用している。各国は、重要な情報に接することのできる政府職員や民間人を特定し、機微な情報の 漏洩 を防いでいる。
日本は2013年に特定秘密保護法を制定し、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野については機密を保護したが、経済情報を保全する制度はなかった。
新法は、欧米と同様の制度を整えて対象者に守秘義務を課す。実現すれば、日本企業の信頼度は高まり、関係国との情報共有も円滑に進むだろう。
政府は機微な情報を守るため、適性評価制度で公務員や民間人の犯罪歴や経済状況などを調べ、問題がない人に限って資格を与える予定だ。身辺調査をする際には本人の同意を義務付ける。
機微な情報には重要度の高い順に「機密」「極秘」「秘」がある。機密や極秘にあたる情報を扱えるのは、特定秘密保護法で資格が認められた公務員や一部の民間人だ。一方、秘の情報を扱う新法では大半が民間人になるという。
情報漏洩をした人への罰則が、特定秘密保護法の場合は「懲役10年以下」であるのに対し、新法の場合は「懲役5年以下」などと差がついているのは、情報の重要度を反映したものと言えよう。
一方で、新法の策定にあたっては留意すべき点も多い。
政府の身辺調査に対しては、プライバシーが侵害されるのではないか、と不安に感じる人も多いだろう。調査の結果、情報を扱う資格が認められなかった人が職場に居づらくなる恐れもある。
そうした事態に陥らぬよう政府は新法で、不当な扱いを受けた従業員が異議申し立てを行える措置を設ける予定だ。単に法律に明記するだけでなく、企業側の理解を深める努力を続けるべきだ。
また、資格を得た民間人が必要以上に 萎 縮 し、機微にあたらない情報の取材に応じなくなる恐れがある。政府は新法に報道や取材の自由に関する規定を明記する方針だが、国民の知る権利を阻害しないよう十分な配慮が必要だ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年02月07日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:食料安全保障 高まるリスクへの対策を急げ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:食料安全保障 高まるリスクへの対策を急げ
国際的な紛争や温暖化による干ばつの増加などで、食料をいかに安定的に確保するかが世界的な課題となっている。政府は、国際情勢の変化に応じた対策の強化を急ぐべきだ。
農林水産省は食料安全保障の強化のため、農政の方向を示す「食料・農業・農村基本法」を制定から25年ぶりに改正し、また、輸入途絶などの事態に備えた新法も作る。今国会に法案を提出する。
ロシアのウクライナ侵略後、世界で食料危機が起きた。中東情勢の緊迫化では海運に混乱が生じている。地球温暖化による農作物の不作も目立つ。日本の経済力が低下し、世界で食料を買い付ける力が落ちているとの懸念もある。
もともと、日本のカロリーベースの食料自給率は38%と、主要先進国で最低水準だ。食料を巡る環境は激変しており、危機への備えを万全にする必要がある。
基本法の改正では「食料安全保障」を主要課題に据える。その上で新法を制定し、食料の調達が難しくなる場合に備えて、3段階で対応策を取ることを規定する。
まず、コメや小麦など、食生活に重要な品目を指定し、その供給が減る兆候がみられる初期段階では、首相を長とする政府の対策本部を設け、農家や商社などの民間に出荷や生産の促進を求める。
また、重要品目の供給量が平時より2割以上、減少する段階になった場合には、国が民間に対し、生産や輸入を増やすための計画を作成するよう指示する。
さらに、国民が最低限のカロリーを得るのが困難な場合を最も深刻な段階とし、カロリーが高い食料に生産を転換するよう農家に要請する権限を国に与える。
配給や価格統制、買い占め防止策の実施なども、現行法の範囲内で検討するという。
ただ、そうした措置は、私権を制限する内容も含む。円滑に民間の協力が得られるよう、国は対策の必要性と意義について説明を尽くし、理解を得ねばならない。
畜産に不可欠な飼料も含め、備蓄の拡充や輸入先の多様化など、様々な施策を講じてほしい。
ただし、国が食料の増産を農家に求めても、生産者の側に、その能力がなければ意味がない。農家は高齢化や担い手不足が深刻だ。新法に実効性を持たせるには、農業従事者を増やし、生産基盤を強化することが前提となろう。
ITの活用などで省力化や生産性の向上を図り、農業を若者が就業したくなるような、魅力のある産業にしていくことが重要だ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年02月06日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:適性評価拡大 人権侵害を懸念する
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:適性評価拡大 人権侵害を懸念する
人工知能(AI)や宇宙、サイバーなど経済安全保障分野の機密情報の取り扱いを有資格者に限る適性評価(セキュリティー・クリアランス)制度導入を目指し、有識者会議が提言案をまとめた。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年01月23日 08:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:半導体戦略 海外企業の協力で産業再興を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:半導体戦略 海外企業の協力で産業再興を
経済安全保障の観点から、日本で半導体関連の投資に乗り出す海外企業が増えている。この流れを、日本の半導体産業の再興につなげたい。
岸田首相は、米欧や韓国、台湾から半導体企業や研究機関7社の首脳らを招き、日本への積極的な投資や日本企業との連携を要請した。世界的な半導体企業の幹部が一堂に会するのは異例だ。
日本の半導体関連産業への関心の高まりを示すものと言える。
既に、半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は熊本県で工場を建設している。スマホなどに使われる演算処理用のロジック半導体という先端品の工場だ。今回、TSMCは追加投資の可能性に言及した。
米マイクロン・テクノロジーは日本で新たに最大5000億円を投じると表明した。広島県の工場で、記憶媒体となる次世代メモリーの開発や量産に取り組む。
日本では、国が主導しトヨタ自動車やNTTなどが出資した新会社「ラピダス」が、回路の線幅が微細な最先端半導体の製造を目指している。今回、幹部が来日した米IBMなどは、ラピダスへの協力の拡大を約束した。
韓国のサムスン電子も日本で研究開発拠点の開設を検討する。
海外企業が日本への投資に関心を寄せるのは、半導体の製造装置や部材で優れた技術を有する企業が多いことが一因だろう。
製造装置は東京エレクトロン、部材ではシリコンウェハー大手のSUMCOなどが、世界的に高いシェア(占有率)を持つ。そうした強みを生かし、海外の有力企業と連携を強めることが大切だ。
米中の技術覇権争いなどで、重要物資のサプライチェーン(供給網)強化が求められている。
中でも半導体は、軍需向けも含めて工業製品に欠かせない物資だが、生産能力は台湾や韓国などに集中し、先端半導体に限れば台湾が過半を占めている。中国に生産拠点を持つ企業も多い。
地政学的リスクの高まりで、各社が供給網の分散化を模索し始めた可能性がある。友好関係にある国・地域が協力し、安定的に調達できる体制を作る必要がある。
かつて、日本の半導体は世界で5割のシェアを誇ったが、海外との競争に敗れ、今では先端半導体を製造できる拠点を持たない。
国は、半導体産業の支援のため2兆円の予算を確保した。外資の力を借りて産業の基盤を立て直すとともに、半導体関連の人材育成にも注力しなければならない。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年05月26日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【政局】:高市早苗大臣と岸田総理の「ガチバトル」勃発…「超重要法案」が先送りされてしまった「情けない理由」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:高市早苗大臣と岸田総理の「ガチバトル」勃発…「超重要法案」が先送りされてしまった「情けない理由」
岸田文雄首相と高市早苗経済安全保障担当相の熾烈な権力闘争が、経済安保の強化に向けた議論に影を落としている。米中対立の激化を受け、先端技術の開発や機密情報の保全徹底は待ったなし。にもかかわらず、経済安保分野で日本は大きく出遅れている。
【写真】総理「どうすれば支持率上がります?」麻生氏「これ以上下がりようがねえよ」
象徴的なのは、機密情報を欧米並みに厳しく管理するための新制度創設を盛り込んだ、経済安保推進法改正案の今国会への提出が見送りとなったことだ。 その背景には、高市氏の岸田首相に対する挑発的とも言える姿勢や、4月に統一地方選を控える中、世論を分断しかねない法案を先送りしたい官邸側の意向がある。
経済安保は、政府が暮らしや経済活動に与える脅威を取り除き、医療品やエネルギー、半導体、食料など日常生活に欠かせない重要物資を安定的に供給することを指す。この概念が定着したきっかけは、新型コロナ感染拡大でマスクがドラッグストアなどの店頭から消えたことだ。
2020年春には中国での感染爆発が影響し、中国製マスクの日本への出荷が急減した。日本は大半を中国に依存していたことが仇となり、多くの日本人はマスクの入手が困難となったため、布マスクなどで当座をしのいだ人も多かった。
さらには、サプライチェーンの混乱で半導体や医療機器の調達も滞った。こうしたことから、日本はこれまでさまざまな物資を輸入に頼っていたが、国内生産への回帰が必要との認識が急速に広がった。
政府は22年、経済安全保障推進法を制定した。重要物資の国内生産や備蓄に取り組む企業を支援することで、サプライチェーン強化につなげるのが狙いだ。半導体や肥料、手術に使う抗菌薬などを「重要物資」に指定し、供給体制の拡充を図っている。
サプライチェーン増強の取り組みが進む一方、政府内で議論が紛糾しているのが、機密情報を取り扱う資格である「セキュリティー・クリアランス(SC)」を創設するかどうかという問題だ。SCを導入すれば、当局が民間人の身辺調査を行うことになり、人権侵害にもつながりかねない。そのため、導入に前のめりな高市氏と、慎重な岸田首相の対立が生じているのである。
◆高市大臣「ツイッターで愚痴」連発
高市氏は昨年8月、自民党政調会長を退任し、経済安保相として入閣した。だが内閣改造直後、自身の入閣を巡り「今も辛い気持ちで一杯です」とツイッターに投稿。政調会長を事実上更迭されたことに対する不満を表明したとみられる。
その後も高市氏の放言は止まらなかった。昨年12月、岸田首相が防衛費増額の財源の一部を増税で賄う方針を掲げたことについては、またしてもツイッターで「総理の真意が理解できません」と不満をあらわにした。企業の賃上げマインドを阻害しかねないとして首相を痛烈に批判した形で、閣内不一致との見方が永田町で広がった。
高市氏は投稿の真意を記者団に問われると「一定の覚悟を持って申し上げています」と強調。首相周辺は「辞表を書いてから言え」と非難し、対立はエスカレートしていった。高市氏はさらに「罷免されるならそれはそれで仕方ありません」とまで述べ、首相との関係は完全にこじれた。
高市氏はSC創設を盛り込んだ経済安保推進法改正案の今国会への提出を目指していた。ただ、岸田内閣の支持率が低空飛行を続ける中、政府与党内では今年4月の統一地方選への悪影響を避けるため「体力を削ぐ難しい法案はやりたくない」(自民党幹部)という空気が漂っていた。そこに高市氏と首相周辺との対立がダメ押しとなり、法案提出が先送りになった格好だ。
そもそもSCとはどういう仕組みなのか。日本では聞き慣れない言葉だが、軍事転用可能な先端技術などの情報にアクセスできる民間人を政府が認定する制度のことだ。
中国などの独裁国家への情報漏洩を防ぐのが狙いで、欧米は導入済みだ。日本にSCがないため、欧米の共同研究に参加できない事例が後を絶たず、国際競争力は低下の一途をたどっている。
資格を付与する際には、政府は対象者の借金の有無、海外渡航歴などの報告を求めることになるとみられる。人権侵害につながる懸念もあり、公明党や政府内の一部にも導入に慎重論がある。
安倍内閣(当時)が13年に特定秘密保護法を導入した際には、「国民が処罰される」との誤解が広がり、支持率が大幅に低下した。政府・与党はSCを推し進めることで、特定秘密保護法のときのような事態に陥ることを警戒している。
ただ、そうは言っても、日本が経済安保分野で「先進国入り」するためにもSC導入は待ったなしの課題だ。
高市氏の粘りもあり、政府はSC創設を検討する有識者会議での議論を始めた。岸田首相は「今後1年程度をめどに、可能な限り速やかに検討作業を進めてください」と高市氏に指示を出した。
丁寧な議論を重ねるのは確かに重要だが、支持率を気にして世論に迎合すれば、制度は骨抜きになる危険性をはらむ。米中対立の狭間で揺れる中、経済安保で日本の優位性を高めることができるか。岸田政権の覚悟が問われる。
元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政局・岸田政権・担当:週刊現代編集部】 2023年03月14日 07:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。