路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張①・12.17】:英国のTPP加盟 地政学上の意義も大きい

2024-12-17 05:03:55 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【主張①・12.17】:英国のTPP加盟 地政学上の意義も大きい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.17】:英国のTPP加盟 地政学上の意義も大きい 

 英国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟を認める議定書が発効した。2018年に日本など11カ国で発足した後、初めての新規加盟である。

 これにより環太平洋地域だけだったTPP加盟国は欧州にも広がった。トランプ米政権が発足すれば、米国のみならず世界的に保護主義が強まる懸念がある。自由で公正な経済圏を世界に広げる意義は大きく、英国加盟の発効を歓迎したい。

英国の加盟を承認したTPP閣僚級会合で記念写真に納まる各国の閣僚ら=2023年7月、ニュージーランド・オークランド(共同)

 英国を含むTPP12カ国の経済規模は世界の国内総生産(GDP)の15%に当たる。欧州連合(EU)を離脱した英国にとって、TPP諸国を含むインド太平洋地域との連携強化は成長を後押しする基盤となろう。

 日英2国間には既に経済連携協定(EPA)があり、英国のTPP加盟が日本に及ぼす経済効果は限定的とみられるが、経済にとどまらない地政学上の重要性にも目を向けるべきだ。

 経済、軍事の覇権を追求する中国やロシアなどの専制主義国と対峙(たいじ)する上で、距離的に離れたインド太平洋地域と欧州のシーパワーである英国が経済的に結びつきを強めることは安全保障の観点からも意味がある。TPPには元来、不公正な貿易慣行をやめない中国とは異なる通商秩序を構築する狙いがあったことも想起しておきたい。

 英国に続く新規加盟国の拡大も課題である。11月末には中米コスタリカとの加盟交渉を始めることが決まった。ほかにも台湾やウクライナ、インドネシアなどが加盟を申請している。

 TPPによる高水準の関税撤廃や先進的ルールを世界標準にするためにも加盟国の輪を広げることは重要だ。やっかいなのは中国も加盟を申請していることである。認めれば台湾加盟の道は閉ざされかねない。

 もっとも、中国は国有企業の優遇などさまざまな面でTPPの水準を満たしておらず、加盟を認めるわけにはいかない。他の加盟国が中国の経済力への期待から安易に容認に傾くことがないよう、日英などは各国への働きかけを強めるべきだ。

 TPPは最近、ルール見直しの一環で経済的威圧や市場歪曲(わいきょく)的な慣行への対応なども検討している。これらは中国が批判されることの多い問題だ。日本は議論を主導したい。この点でも自由や民主の価値観を共有する英国との連携は重要だ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・11.17》:米国の保護主義 分断と停滞を回避せねば

2024-11-19 09:31:15 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

《社説②・11.17》:米国の保護主義 分断と停滞を回避せねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・11.17》:米国の保護主義 分断と停滞を回避せねば 

 米大統領に返り咲くトランプ氏が大幅な関税引き上げを主張し、各国が保護主義の拡大に警戒を強めている。

 ペルーでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開かれ、自由貿易促進への賛同が相次いだ。

 行き過ぎた保護主義は、世界経済に深刻な分断をもたらし、景気減速を招く恐れがある。歯止めをかけなければならない。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は、米国への全輸入品に10~20%、中国からは60%の関税を課す方針を示す。高いハードルを設けて他国製品の流入を防ぎ、自国産業を保護するという。

 1期目にも中国への制裁関税を発動し、報復関税の応酬となった。再び「貿易戦争」に発展する事態は避けられないだろう。

 中国が対抗措置を取れば、両国間の貿易が一時的に7割減るとの試算もある。行き場を失った中国製品が米国外の市場に押し寄せ、摩擦が連鎖しかねない。

 各国の対米貿易が縮小すれば、世界経済は停滞する。特に不動産不況が長引く中国の経済はさらに減速し、影響は世界に波及する。米国も無縁ではいられない。

 1930年代には大恐慌で主要国が保護主義に走り、経済のブロック化が進んだ。ナショナリズムが台頭し、第2次世界大戦の引き金となった。保護主義がたどった歴史を繰り返してはならない。

 戦後は欧米を中心に保護主義を否定し、自由貿易体制を築いてきた。それが、貿易ルールの策定や紛争の解決を担う世界貿易機関(WTO)設立につながった。

 だが、米国がトランプ政権1期目に、最終審に当たる上級委員会の委員補充に反対して以降、WTOは機能不全に陥った。現在のバイデン政権も中国製品への関税を強化し、保護主義に傾斜した。

 米国は自由貿易の恩恵を享受してきたからこそ、世界1位の経済大国になった。自国を優先し、国際協調を主導する責務を放棄するのは無責任だ。

 米国を含めて日本、中国など21カ国・地域でつくるAPECも、貿易や投資の自由化を進める立場を堅持してきた。議長国ペルーのボルアルテ大統領は首脳会議で、「分断ではなく協力と理解が必要だ」とくぎを刺した。

 トランプ氏は1期目の就任直後に環太平洋連携協定(TPP)から離脱した。次期政権でも多国間の枠組みに背を向けるだろう。日本を含む関係国は、保護主義が米国の利益を損なうことを説き、再考を迫らなければならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月17日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.19】:【APEC会議】:自由貿易へ試される結束

2024-11-19 05:02:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説・11.19】:【APEC会議】:自由貿易へ試される結束

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.19】:【APEC会議】:自由貿易へ試される結束

 自由貿易の重要性が改めて強調されるのは、警戒感の裏返しでもある。足並みをそろえて困難に立ち向かえるか、結束が試される。
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、「効率的な多国間協力が一段と重要だ」とする宣言を採択した。
 貿易・投資、気候変動を含む環境など「前例のない激しい変化」が起きていると危機感をあらわにした。世界が向き合うべき課題であり、その解消に取り組む決意を打ち出したように見える。同時に、トランプ次期米大統領へのけん制が含まれているのは間違いない。
 国際社会はトランプ氏の大統領返り咲きに身構えている。トランプ氏は保護主義や「米国第一主義」を掲げてきた。関税の大幅引き上げや、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱に踏み切ろうとしている。
 関税引き上げは、米国への全輸入品に10~20%、中国には60%を課すと主張する。中国との対決姿勢は鮮明だ。世界トップの経済大国が高関税政策を取り入れると、貿易が停滞することは避けられない。
 関税の報復合戦に発展すれば世界の景気が減速する懸念が強まる。米国では高関税に伴うインフレが想定され、その解消へ各国に新たな要求を突き付けるかもしれない。
 中国の習近平国家主席は会議で、自由貿易体制を維持するために力を合わせるべきだと訴えた。米中貿易戦争が再燃すれば中国経済の減速がさらに広がり、社会の不安定化を招きかねない。習氏は欧州や新興・途上国を巻き込んだ国際協調に主導的役割を果たすことをもくろみ、トランプ氏に対抗する国際世論の構築を目指すとみられる。
 先の石破茂首相との会談で習氏は、日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の包括的な推進を確認した。また、東京電力福島第1原発処理水放出を巡る日本産水産物の輸入再開を着実に履行することを申し合わせた。日中には懸案も多く、関係の安定化へ対話を重ねる意義は大きい。こうした動きも対米圧力の一助としたい思惑もあるはずだ。
 首脳宣言は、急激な変化の分野として貿易・投資などの他に、食料・エネルギー安全保障を挙げた。新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻で、供給網が分断されたことが背景にある。中東情勢の緊迫化も加わり、小麦や石油の供給網の寸断や価格高騰が一段と意識されるようになっている。
 経済安全保障の強化に向けた友好国連携が重視されるようになっている。こうした動きには、中国が産業に必要な重要鉱物の輸出制限などの経済的威圧を強めたことを受け、中国への依存度を減らした新たな供給網をつくろうとした経緯があったことを忘れてはならない。
 首相は、自由で開かれた貿易・投資環境を維持、強化する重要性を強調した。首脳宣言も確認した。実効性を高める取り組みや努力が求められる。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月19日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:BRICS拡大 途上国は中露に躍らされるな

2023-06-09 05:00:55 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説①】:BRICS拡大 途上国は中露に躍らされるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:BRICS拡大 途上国は中露に躍らされるな

 国際秩序を踏みにじる中国やロシアのような強権国家が世界の安定した発展に貢献できるとは思えない。途上国は、中露への加担が何をもたらすのかを熟考すべきだ。 

 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成する新興5か国(BRICS)が、南アで外相会議を開き、8月の首脳会議までに加盟国拡大の指針をまとめることを決めた。

 拡大の構想は昨年、中国が提案し、中東やアフリカなどの20か国以上が加盟に意欲を示しているという。今回の外相会議にはサウジアラビアやイラン、インドネシアなど13の非加盟国が招かれた。

 BRICSの人口の合計は、全世界の4割に達している。世界の国内総生産(GDP)の合計に占める割合も3割弱で、先進7か国(G7)の4割に迫る勢いだ。米欧日と新興国との、パワーバランスの変化を象徴している。

 BRICSでは、中国の国力が突出して大きい。加盟を希望する国は、中国の経済援助や、BRICSが主導する金融機関からの融資を期待しているのだろう。

 「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国や途上国が、国益を求めてBRICSに接近する動きを止めることはできない。

 問題は、中露がBRICSで強調する「米欧への対抗軸」や「世界の多極化」は、中露の利益が最優先される国際秩序を意味し、自由や法の支配といった普遍的価値の軽視につながることだ。

 加盟を検討している新興国・途上国は、自由で民主的な社会や国民生活の安定を守るためには、現行の国際秩序が不可欠であることを認識してもらいたい。

 BRICSを拡大する速度や規模を巡っては、前のめりな中露と慎重なインドの間で温度差があるとも指摘されている。

 「グローバル・サウス」の盟主を自任するインドは、米欧と中露のどちらにも傾斜しない中立的な外交姿勢をとる。ウクライナ侵略を巡る対露制裁は控える一方、日米豪との協力の枠組み「クアッド」には参加している。

 BRICS拡大を通じて中国が影響力を増大させ、主導権を握る事態を、インドは望むまい。拡大は一筋縄ではいかないだろう。

 岸田首相は5月のG7広島サミットにインドとブラジルの首脳も招待し、グローバル・サウスとの連携強化を確認した。日本は各国に普遍的価値の重要性を説きながら、経済や技術分野などで協力を深めることが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:IPEF会合 供給網強化を連携の第一歩に

2023-05-31 05:00:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説②】:IPEF会合 供給網強化を連携の第一歩に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:IPEF会合 供給網強化を連携の第一歩に

 インド太平洋地域における経済活動のルール作りに、米国が関与することは重要だ。サプライチェーン(供給網)の強化策をてこに、米国主導の経済圏を発展させたい。

 米国が提唱し、14か国が参加する経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合が開かれ、供給網に関して協力することで実質合意した。昨年5月の発足以降、初の成果となる。

 半導体や鉱物などの重要物資が不足した際に各国が融通しあう協定を締結することを目指す。多国間で供給網についての協定をまとめるのは初めてだという。

 コロナ禍では、半導体の調達難が自動車などの生産を滞らせ、また、マスクや消毒液などの医療物資が足りなくなった。感染症の拡大や紛争などに備え、供給網の強化で協力するのは理にかなう。

 IPEFは日米韓、豪州、インドなどのほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)からも7か国が加わっている。

 米国が、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した後、中国がこの地域で影響力を拡大しつつある。そうした状況下で、米国がアジア経済への関与を続けるために創設したのがIPEFだ。

 供給網、貿易、クリーンな経済、公正な経済という4分野でルール作りを進めるという。

 ただ、TPPと違い関税撤廃は含まれていない。米国への輸出を増やしたいアジアの国にとっては利点が少ないとの見方がある。

 まず、供給網についての協力で合意したのは、多くの国から賛同を得やすい分野だからだろう。連携を深める一歩としてほしい。

 合意には、重要物資の中国依存度を下げる狙いがある。中国は、市場の支配力を武器に、対立する国への物資の輸出を禁じる「経済的威圧」を繰り返している。

 特に、太陽光パネルや電気自動車(EV)の蓄電池に不可欠な鉱物資源で、高いシェア(占有率)を持つことが懸念されている。中国に頼らない供給網を構築する具体策を詰めてもらいたい。

 一方、ASEANには、中国と経済的関係が深く、過度に中国を刺激したくないという国も多い。日本は脱炭素の支援など「実利」を提供しながら、米国との橋渡し役を務めることが大切になる。

 中国は地域包括的経済連携(RCEP)に加わり、TPPにも加盟申請している。それを強く 牽制けんせい するためには、米国のTPP復帰こそが必要だと、日本は米国に説き続けるべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【インド太平洋経済枠組み(IPEF)】:日本や米国など14カ国の新経済圏構想、サプライチェーン強化へ

2023-05-28 00:44:30 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【インド太平洋経済枠組み(IPEF)】:日本や米国など14カ国の新経済圏構想、サプライチェーン強化へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【インド太平洋経済枠組み(IPEF)】:日本や米国など14カ国の新経済圏構想、サプライチェーン強化へ 

 日本や米国など14カ国は27日、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合を開いた。サプライチェーン(供給網)強化に向けた交渉で実質妥結する見通し。マスクや医薬品、半導体といった重要物資の供給が滞らないよう相互協力の仕組みをつくる。昨年5月の発足から約1年で、初の成果となる。

 インド太平洋地域で覇権を強める中国を念頭に、供給網などでの依存を脱却する狙いがある。脱炭素化の推進に向けて、水素活用の協力枠組みも立ち上げる。先進国や新興国が、技術開発や情報共有を通じて、得意な分野を補い合う。

 日本からは西村康稔経済産業相が出席。

 IPEFは「貿易」「供給網」「クリーン経済」「公正な経済」の4分野で協議を進めている。今回は交渉が比較的早く進んだ供給網に焦点を当てて先行的に妥結。IPEFを主導する米国は、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて、IPEF会合を開き、その他の分野を含めた全体的な合意を目指す。

 供給網の強化では、参加国政府で早期に情報を共有し、調整を通じて物品の確保を助け合う。強靱(きょうじん)な供給網をつくることで、生産性や持続可能性、公平性を高める。日本は各国への研修を通じた協力も行う。

 IPEFは昨年9月の閣僚会合で交渉入りを宣言し、首席交渉官会合を重ねてきた。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・日本や米国など14カ国は27日、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合】  2023年05月28日  00:44:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:英国TPP加盟 緊張緩和につなげたい

2023-04-08 07:06:40 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説②】:英国TPP加盟 緊張緩和につなげたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:英国TPP加盟 緊張緩和につなげたい

 英国が環太平洋連携協定(TPP)に参加することが決まった。自由貿易圏の拡大に直結する動きで意義は大きい。米中対立が先鋭化する中、英国の加盟を緊張緩和につなげる起点としたい。

 TPPに参加する日本を含む十一カ国は三月三十一日、英国加盟で合意した。今夏に関係閣僚が協定に署名し各国の国内手続き完了後に正式加盟となる段取りだ。
 
 TPPの最大の特徴は域内関税の100%撤廃を目指す点にある。国内産業への補助金の制限や知的財産をめぐる強力な保護策なども加え、域内貿易の完全自由化を図る取り組みだ。
 
 貿易の自由化は輸出入の拡大で消費を刺激して経済成長を促す。欧州連合(EU)離脱の影響に苦慮する英国がアジア太平洋に注目し、TPPをテコに経済の再活性化を目指したことは理解できる。
 ただ英国が加入しても参加国の国内総生産(GDP)総額が世界経済に占める割合は15%にすぎない。その理由は米中が参加していないことに尽きる。
 中国は加盟を申請しているが、その道のりは険しい。TPPに入るには域内ルールを厳格に守る必要がある。知的財産権の扱いや国営企業への補助金などを巡り自国の正当性を強く主張する中国が、ルールの厳守を約束して加盟する可能性は今のところ低い。
 しかし中国との交渉が二〇一七年に離脱した米国を刺激し、米国復帰に道を開く契機となる可能性は否定できない。国内経済の停滞に直面する中国が一定の譲歩に踏み切る展開もあり得るだろう。
 TPP加盟国の米中に対する立場には隔たりがある。英国を含めた十二カ国は意見を集約した上で米中に粘り強く参加を促し、TPPを緊張緩和に向けた舞台として活用すべきだ。
 日本は半導体分野の輸出規制に乗り出すなど、TPPが掲げる自由貿易の精神に反する姿勢が目立つ。経済のブロック化は確実に国益を損なう愚策だ。官民を問わず、この歴史の教訓を肝に銘じてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年04月05日  07:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:英TPP加盟へ 高レベルの自由貿易広げたい

2023-04-07 05:00:10 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説②】:英TPP加盟へ 高レベルの自由貿易広げたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:英TPP加盟へ 高レベルの自由貿易広げたい

 環太平洋経済連携協定(TPP)に英国が加わることになった。サプライチェーン(供給網)の分断が進む中、日本と英国は協調して自由貿易の推進を図ってほしい。 

 TPPに参加する日豪などの11か国は、オンラインで閣僚会合を開き、英国の加盟を認めることで合意した。7月の閣僚級会合で協定に署名し、各国の手続きを経て正式に加入が決まる見通しだ。

 TPPが2018年12月に発効して以来、新たな国が参加するのは初めてとなる。

 英国は欧州連合(EU)を離脱したため、EU域外の国との連携を重視しているという事情はあるものの、TPPによる自由な経済圏がアジア太平洋地域から欧州へと広がる意義は大きい。

 TPP参加国の国内総生産(GDP)は、世界3位である日本が突出して大きかった。6位の英国が入ることで、TPPの存在価値が増すことは間違いない。

 TPPは、関税を100%近く撤廃するほか、国有企業への不公正な補助金の制限や知的財産権の保護、データ流通の促進など、高いレベルの自由化ルールを定めている。英国は、これらのルールを受け入れたとみられる。

 米国と中国の対立が激化していることに加え、ロシアのウクライナ侵略で世界の供給網は大きな打撃を受けている。自由貿易体制は揺らいでおり、その推進役であるはずの世界貿易機関(WTO)の機能不全も著しい。

 英国は、自由貿易主義のほか、民主主義や法の支配といった価値観を日本と共有している。日英は連携を深め、供給網の強化や貿易の促進に努めることが重要だ。

 自由貿易体制を守るために、TPP加盟国の拡大も進めたい。

 TPPには、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイが加盟を申請しており、今後は中国の扱いが焦点となる。

 中国は、政府調達で外国企業を実質的に締め出す傾向を強めており、補助金による国有企業の優遇も問題視されている。現状では、高い水準の自由化が求められるTPP参加は難しいとみられる。

 加盟国を広げることが大事だとはいえ、ルールを緩めて加入を認めることはあってはならない。

 一方、もともとTPP交渉を主導した米国は、トランプ前政権時代に離脱した。バイデン政権も自国の雇用を優先する立場は変わらず、復帰の機運は乏しい。日本は英国の協力を得て、改めて米国に復帰を働きかけるべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年04月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【永田町の裏を読む・07.28】:TPPは安倍元首相の外交的功績か、大迷走の残骸か

2022-08-04 06:24:40 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【永田町の裏を読む・07.28】:TPPは安倍元首相の外交的功績か、大迷走の残骸か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【永田町の裏を読む・07.28】:TPPは安倍元首相の外交的功績か、大迷走の残骸か 

 安倍晋三元首相の業績をめぐる言説が飛び交っているが、中にはどうかと思うようなものもある。

 旧知の農林系議員は、24日付の毎日新聞「時代の風」欄でビル・エモット元英エコノミスト編集長が「2017年にトランプ米大統領が離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を蘇生させたのが安倍氏の最大の外交的勝利」と絶賛しているのが気に入らないと怒っている。


 ゴルフで遊んで親密さを売りにしていたのに…(安倍元首相とトランプ前米大統領)/(C)JMPA

 「だってそうでしょう。これくらい安倍の無定見・無責任に国民と農民が翻弄された問題はないのに、それが最大の外交的業績だなんて」と。

 確かに、12年12月の総選挙で自民党は「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」というポスターを張り巡らせて圧勝、第2次安倍政権を発足させた。が、同政権は早くも13年3月には公約を投げ捨ててTPP参加を表明し、国会で追及されると安倍は「私はTPP断固反対と言ったことは一度もない」とまで開き直った。

 転向の理由は簡単で、オバマ政権のTPP推進に「中国包囲網」の狙いが含まれていることが分かったので、何をおいてもそれに馳せ参じたのである。ところが米国はトランプが大統領になると、まさに中国包囲網という考えを嫌ってTPPから一方的に離脱してしまう。

 安倍はトランプとゴルフで遊んだり親密さを売りにしていたのに、肝心なところでは役立たずで、説得に失敗。仕方なく、米国抜きの残り11カ国で新TPPをスタートさせることになるのだが、世界最大の通商国である米国を抜きにしたのでは「環太平洋」にならず、自由貿易協定としての意味はほとんど失せてしまう。他方で中国包囲網という政治的なメッセージも、米国抜きで叫んでも何の迫力も持たない。

 そのありさまを見て中国の習近平主席は20年11月に「TPP参加を前向きに検討する」と表明したが、これはもちろん、日本が到底受けられないことを見越した、からかい交じりの揺さぶりに他ならなかった。

 こうしてTPPは、内政的には安倍の数々の嘘のうち“最初の大嘘”を象徴するものだし、対外面では日本の戦略的思考の大混乱・大迷走の残骸でしかない。ビル・エモットほどの人が、なぜこんな安倍の褒め方をしているのか謎である。

高野孟
著者のコラム一覧

 ■高野孟 ジャーナリスト

 1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース・コラム・「永田町の裏を読む」】  2022年07月28日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:貿易協定と農業 影響の精査を重層的に

2022-01-30 05:05:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説②】:貿易協定と農業 影響の精査を重層的に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:貿易協定と農業 影響の精査を重層的に 

 東アジア中心に日中韓など15カ国が加わる地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効した。

 加盟国の国内総生産(GDP)は合計で世界の3割を占め、最大級の自由貿易協定となる。

 貿易の活発化などで、日本の実質GDPが2・7%押し上げられると政府は試算している。

 その一方で国内農業に与える打撃について「特段ない」と説明する。影響額も算出していない。

 コメや牛肉など重要5品目が関税撤廃・引き下げの対象外になったからだというが、楽観的過ぎないか。中韓からの輸入が多い野菜への打撃を懸念する声もある。

 2018年の環太平洋連携協定(TPP)以降、巨大自由貿易協定が相次ぎ発効した。

 いずれも、工業製品の輸出増と引き換えに農業に犠牲を強いることを忘れるわけにはいかない。

 多くの農産物の輸入関税は今後数年から十数年かけて段階的に下がっていく。政府は諸協定が農業に及ぼす複合的・長期的な影響を精査して結果を公表し、必要があれば対策を練り直すべきだ。

 牛肉の場合、米国、カナダ、オーストラリアの主要輸入先3カ国から輸入された合計量は18年度、前年度に比べて約8%増えた。

 コロナ禍による国内需要の低迷などで、その後は減少傾向にある。しかし特殊要因がなくなれば輸入は再び増えかねない。

 TPP、欧州連合(EU)との経済連携協定(日欧EPA)、日米貿易協定と、政府は過去の協定について農業への影響を試算してきた。だが複数をまとめた試算が手薄なほか、前提に甘さもある。

 今後は、RCEPを含む複数の協定が同時発効した影響を総合的に算定すべきだ。その際、打撃を厳しく見積もらねばならない。

 政府の自由化対策は農家の大規模化や効率化に重きを置くが、そうした政策には問題もある。

 酪農家の設備投資と増産を促す政策は生乳が大量に余る一因となった。中小農家も安心して営農できる環境を整えることが肝要だ。

 自由貿易は世界経済の拡大に寄与してきた。その半面、農業など特定産業の淘汰(とうた)を招きかねない新自由主義的な側面がある。

 食料安全保障を担う農業が弱体化しては困る。新自由主義からの転換を唱える岸田文雄首相は、自由貿易の弊害も直視すべきだ。

 TPPを巡っては英国と中国、台湾などが加盟を申請した。加盟国増は農産物輸入増につながる。拡大路線には懸念が尽きない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:中台のTPP加入申請 対立持ち込まない知恵を

2021-09-28 02:07:35 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

《社説②》:中台のTPP加入申請 対立持ち込まない知恵を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:中台のTPP加入申請 対立持ち込まない知恵を

 台湾が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への加入を申請した。16日に申請した中国は猛反発しており、中台の対立が持ち込まれる懸念がある。

 台湾はかねてTPP入りを熱望し、申請のタイミングを探っていた。手続きで中国に先手を打たれ、対応を急いだようだ。

 自由化が進んだ台湾の方が、加入のハードルは低いとの見方がある。一方で中国は巨大市場という強みを持つ。

 新規加入には全加盟国の承認が必要だが、中台との距離感は国ごとに異なる。判断が割れ、加盟国間の協調が揺らぐような事態は避ける必要がある。

 TPPはデジタル化や人権重視など経済活動を巡る最新の潮流を反映した貿易協定である。加入の是非は、参加を希望する国や地域にルールを順守させ、高い水準の自由化を維持できるかという観点から、公正に判断されるべきだ。

 台湾の蔡英文総統はツイッターに「我々は全てのルールを受け入れる用意がある」と日本語で投稿し、今年の議長国である日本の支持を求めた。

 茂木敏充外相は早々に歓迎の意向を表明したが、日台間には東京電力福島第1原発事故後の農産品輸入禁止といった問題もある。

 中国が自由で透明性の高い市場経済の理念を共有するのであれば、排除すべきではあるまい。

 ただし現状は程遠い。市場経済化の進展を期待されて世界貿易機関(WTO)に加盟したものの、習近平指導部は経済活動を統制する動きを強めている。 

 国有企業の優遇やデジタルデータの囲い込みなど、TPPのルールと整合しない制度が多い。新疆ウイグル自治区での強制労働疑惑も指摘される。

 中国が加入するには、これらの問題を抜本的に改めることが前提となる。

 そもそもTPPは、米国主導の「中国包囲網」という側面があった。その米国が離脱し、中国がアジア太平洋の経済ルールで主導権を握ろうと攻勢をかけている。

 こうした状況が、米国に復帰を促す呼び水となる可能性もある。日本は加盟各国とともに知恵を絞り、自由貿易圏としての価値を高めなければならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年09月27日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:中台TPP申請 理念は共有できるのか

2021-09-26 07:11:40 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】
【社説①】:中台TPP申請 理念は共有できるのか
 
 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:中台TPP申請 理念は共有できるのか
 
 日本など十一カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)に中国が十六日、台湾が二十二日に加盟を申請した。TPPは高い水準の貿易・投資の自由化を目指す国際的な経済の枠組みである。中国は経済活動への統制を強めており、TPPの理念を共有できるのかどうか疑問がある。
 中国が申請に踏み切った最大の理由は対米戦略であろう。米国のTPP不参加に乗じて、アジア太平洋地域の経済運営やルール作りで主導権を握る狙いがある。
 加盟に意欲を見せていた台湾の加盟阻止に先手を打つ意図もあった。台湾の申請に日本の外相らが「歓迎」の意を示したが、中国政府は「断固反対」を表明した。
 国内的には、習政権が昨年打ち出した「双循環」と呼ばれる成長戦略を推進する意図があろう。これは、内需主導型の成長と世界経済の中国依存度を高めることで、二〇三五年までに国民の所得を倍増させようとの戦略である。
 加盟には、貿易・投資の自由化はもちろん、データ管理や労働条件についてのルール順守や透明性の確保が求められる。台湾当局は申請にあたり「我々は完全に市場主義だ」と強調し、TPPのルールを守ることに自信を見せた。
 一方、中国の実態はどうかと見れば、国有企業への優遇策が強化され、民間企業の自由な活力が損なわれる「国進民退」の弊害が大きくなるばかりである。
 新疆(しんきょう)ウイグル自治区での強制労働に対する国際社会からの批判には「内政干渉」と反発し、国連の調査も受け入れようとしない。
 加盟には全加盟国の承認が必要という高いハードルがある。中国は自国の参加に理解を示すシンガポールが二二年に議長国になるのを、今後の交渉の好機ととらえたかもしれないが、加盟国のオーストラリアやベトナムが中国と経済摩擦や領土紛争を抱えており、加盟交渉は難航が予想される。
 中国が加盟すれば、TPP加盟国の国内総生産(GDP)が世界経済で占める割合は現在の一割から三割に上昇する。TPPの影響力アップを期待する声もあろう。
 しかし、今年の議長国である日本は、中国がTPPのルールを守る国たりえるかどうか、公正な議論を主導してほしい。
 国内産業保護を重視しTPPから離脱した米国は、自由貿易を守るため早期復帰を図るべきだ。
 
 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年09月25日  07:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【筆洗】:仲の悪い者同士であっても、そこに乗り合わせれば、力を合わせ…

2021-09-26 07:11:30 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【筆洗】:仲の悪い者同士であっても、そこに乗り合わせれば、力を合わせ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:仲の悪い者同士であっても、そこに乗り合わせれば、力を合わせ…

 仲の悪い者同士であっても、そこに乗り合わせれば、力を合わせる場になる。古代中国の舟には、そんなイメージがあったのだろう▼「同舟共済」「同舟相救(あいすく)う」といった言葉が、今に伝わっている。反目する春秋戦国時代の呉、越の国の人が助け合うのを例えて、有名な「呉越同舟」の語になった。楚の国も入れて「楚越同舟」というのもあるらしい▼そんな舟が今もあればいいが、目の前にあるのは助け合いを想像するのが難しそうな「同舟」である。仲が良くないはずの中国と台湾が同時期に乗りたいと声を上げたのが、日本などが参加する環太平洋連携協定。TPPという名の大きな船である。「中台同舟」の実現は遠そうに思えるが、ことはどうも荒れ模様だ▼米国の不参加を見て、加盟を申請した中国の一手が呼んだ波乱である。中国包囲網を意識したはずの協定に、もし中国が加わって、主導的な役割を演じることになれば、TPPの性格はもくろみから大きく変わってしまう▼さまざまな流儀が異なる国でもある。とはいえ世界で二番目の経済大国の加盟に期待する声が高まる可能性もあろう。遅れまいと申請を急いだ台湾に対し、中国はすかさず反対の姿勢を示した。対立の場になっているようだ▼米国を呼び戻すのがいいように思えるが、うまくいくだろうか。穏やかでない、相救うはずの協定の行く手である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年09月25日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【TPP】:台湾が加入に意欲 先行中国の妨害警戒 日本産食品禁輸解除も協議へ

2021-09-23 13:55:30 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【TPP】:台湾が加入に意欲 先行中国の妨害警戒 日本産食品禁輸解除も協議へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【TPP】:台湾が加入に意欲 先行中国の妨害警戒 日本産食品禁輸解除も協議へ

 

台湾政府は23日、環太平洋連携協定(TPP)への加入申請を正式に発表した。記者会見した通商交渉を担当する行政院(内閣)の■振中政務委員は「台湾にとって世界貿易機関(WTO)加盟以来のチャンス。国内法の改正など準備が整ったので申請した」と加入に強い意欲を示した。

台湾に先立ち16日に加入申請した中国は「一つの中国」原則を主張して台湾を自国の領土と見なしており、台湾の加入に反対している。

 ■氏は申請について「台湾の長期的な経済発展のためだ」と強調し、中国の申請と直 接的な関係はないと説明した。一方で「中国が先に加入すると、台湾の加入はリスクにさらされる」と述べ、中国による妨害に警戒感を示した。TPPが中台の駆け引きの場となるのは確実で、加盟各国は対応に苦慮する可能性もある。

 ■氏は今後の加入交渉に関し、2011年の東京電力福島第1原発事故以降続けている福島県など日本産食品の輸入禁止措置の解除を日本側と協議する考えを表明した。■氏は解除を巡り「米国は科学的根拠に基づき撤廃したと思う」と述べ、米国の判断を参考にする意向を示した。

 茂木敏充外相は23日、滞在先のニューヨークで台湾のTPPへの加入申請に「歓迎したい。戦略的観点や国民の理解も踏まえて対応したい」と述べた。台湾は、現在のTPP加盟国が交渉中の段階から参加に関心を示していた。日本政府は貿易自由化などの高水準のルールを受け入れる用意があるかどうかを見極める姿勢だ。(共同)

 ※■は登るの右に郊のツクリ

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・台湾政府・環太平洋連携協定(TPP)への加入申請を正式に発表】  2021年09月23日  13:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[中国TPP申請] 公正な体制構築が前提

2021-09-19 03:05:55 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説】:[中国TPP申請] 公正な体制構築が前提

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[中国TPP申請] 公正な体制構築が前提

 中国が、日本などが参加している環太平洋連携協定(TPP)への加入を正式申請した。アジア太平洋経済圏で主導権を握り、対立する米国に対抗する狙いとみられる。
 中国は経済の対外開放や自由化が日本などに比べて大幅に遅れている。競争をゆがめる国有企業の優遇など是正を迫られる課題が山積し、加入へのハードルは高い。
 実現するには、公正で透明度の高い経済貿易体制を構築することが前提となろう。加盟国は中国に抜本的転換を促す好機と捉え、加入交渉を通じて改革を求めたい。
 TPPは農産品や工業製品の関税削減・撤廃や知的財産の保護などを盛り込んだ要求水準の高い経済連携協定(EPA)である。
 当初は巨大経済圏構想「一帯一路」などで影響力を拡大する中国をけん制する「包囲網」として米国が主導し、12カ国が署名した。しかし、保護主義に走ったトランプ米政権が2017年に離脱し、残る11カ国で協定をまとめ直し18年末に発効した。
 中国のTPP参加について、習近平国家主席は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「積極的に検討する」と表明していた。一層の経済発展と米国へのけん制の意図が透ける。
 この時期に申請した背景には、自国への包囲網の動きが強まっていることへの警戒感もうかがえる。日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」に加え、米英豪3カ国の新たな安全保障の枠組み「オーカス」も構築される中、中国がインド太平洋地域を主導する意志を示す下地づくりとの見方がある。
 ただ、国有企業の優遇、政府による過度な補助金、データの国外持ち出し規制などを続ける中国に対する国際社会の不信は根強い。最近は民間企業への締め付けを強化し、市場経済化に逆行する動きへ懸念が高まっている。
 さらに、中国はTPP加盟国の一部と貿易や安全保障で激しく対立している。加入に必要な全加盟国の承認が得られるか不透明な状況だ。
 加盟国は中国と向き合うと同時に、米国のTPP復帰も目指したい。加盟11カ国の世界の国内総生産(GDP)に占める割合は1割台だが、米国が加われば4割近くになる。中国の加入が実現すれば5割を超す自由貿易経済圏が誕生する。
 米国は対中貿易摩擦の中で知的財産権の保護や国有企業への優遇停止などを求めてきた。復帰すれば多国間で中国に経済の公正化を働き掛けることが可能になる。
 日本は今年、TPPの最高意思決定機関「TPP委員会」議長国である。透明性と公平性を前提に議論を主導していかなければならない。

 元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年09月19日  03:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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