路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《24色のペン・01.08》:食べ物の向こう側にいる人たち=田中理知

2025-01-09 06:00:05 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

《24色のペン・01.08》:食べ物の向こう側にいる人たち=田中理知

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《24色のペン・01.08》:食べ物の向こう側にいる人たち=田中理知 

 段ボール箱の中に、白米やカップ麺、レトルトカレー、コーヒーにスナック菓子などを丁寧に詰め込んでいく。これで、年末年始を温かく過ごせるかな。そんなことを考えながら、小さな鏡餅も入れた。封をする前に、1枚のメッセージカードを添えた。「一人じゃないよ」

 昨年12月、日本で暮らす難民12世帯に食料などを送るボランティアに参加した。名古屋市内で開かれ、40人が集まった。その中には7人の難民の姿もあった。

 私の班のメンバーは学生や会社員、定年退職した人など年齢も肩書もさまざま。「メッシと呼んで」。アフリカ出身の若い難民男性は、自身のニックネームをそう紹介した。由来を尋ねると、少し照れくさそうに、ファンだというサッカー男子アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手の名前を挙げた。

 テーブルいっぱいに並んだ食料の中から、各班3世帯分の食料を選んで箱詰めしていく。必要な物を、必要な人に届ける。単純なようで、これが案外難しい。家族構成や、宗教的な理由やアレルギーで食べられないものはないかなど、担当する難民世帯の情報と食品表示を見比べながら、ああでもない、こうでもないと作業していたら、あっという間に3時間が過ぎた。

 メッシさんは最初こそ緊張した様子だったが、困っているメンバーを見かけるとさっと手を貸していた。作業が一息ついた頃、…

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【北海道】:外国人の第2の故郷になれるのか 技能実習生ら6万人超え 共生する社会の実現は?

2025-01-01 04:05:20 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【北海道】:外国人の第2の故郷になれるのか 技能実習生ら6万人超え 共生する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【北海道】:外国人の第2の故郷になれるのか 技能実習生ら6万人超え 共生する

 北海道で外国人が増加の一途をたどっている。

 人手不足を背景に食品製造業や建設業など幅広い分野で主に技能実習生を受け入れ、昨年夏に初めて6万人を超え、今年も過去最多を更新する見通しだ。

 技能実習制度は待遇の悪さなどから人権侵害の温床と批判され、国は新制度「育成就労」を創設。2027年度の制度開始に向けた運用の検討が今年、本格化する。

 国際社会で人材獲得競争が激化する中、道内も外国人との共生に向けた具体策が求められている。

日本語教室で会話を楽しむミャンマー人の技能実習生たち=2024年9月、増毛町

日本語教室で会話を楽しむミャンマー人の技能実習生たち=2024年9月、増毛町

 住民基本台帳によると、24年1月1日時点の道内の日本人は503万9100人で、10年間で40万1979人減少。生産年齢人口(15~64歳)は285万8828人で、48万6500人減少した。
 
...、
 
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 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・北海道・北海道で外国人が増加の一途をたどっている】  2025年01月01日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・12.17】:外国人の労災 「使い捨て」は許されぬ

2024-12-18 07:19:40 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②・12.17】:外国人の労災 「使い捨て」は許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.17】:外国人の労災 「使い捨て」は許されぬ

 日本で働く外国人労働者の労働災害が増えている。昨年の死傷者は過去最多水準に達し、雇用者が労災を隠すケースも後を絶たない。労災防止の徹底に加え、人権の擁護に努めるべきは当然だ。
 
 厚生労働省によると、国内の外国人労働者は2023年10月時点で過去最多の204万人を超え、10年前の2・86倍。一方、労災による外国人の死傷者数は昨年5672人(死者32人)、10年前の3・66倍となり、労災件数は労働者の増加比率を上回る。
 日本人も含めた労働者千人当たりの昨年の労災死傷者数は2・36人だが、外国人に限ると2・77人。さらに在留資格別では製造業や建設業で働く人の多い特定技能で4・31人、同じく技能実習では4・10人と突出している。
 中には、装着が義務付けられている安全帯や防護メガネを「作業効率が悪い」として着けさせず、高所から転落したり、破片で失明したりした労災事例がある。
 雇用者側が労災を隠すために自費診療扱いで病院に行かせたり、病院へ同行して医師に「自転車で転んだ」などと虚偽の説明をするなど、より悪質な例もあった。
 全国の労働基準監督機関が22年に技能実習制度を対象に監督指導した9829件のうち、73%で労働基準法や労働安全衛生法違反が発覚している。由々しき事態と言わざるを得ない。
 外国人の労災防止のため、厚労省は漫画や多言語による教材を制作しているが不十分だ。分かりやすい日本語の使用を職場で徹底したり、労働者を企業に仲介する監理団体に安全説明の通訳派遣を義務付ける必要がある。
 労働安全衛生法違反で指導や改善命令を受けた企業には、外国人の受け入れ制限など制約を科すことも検討されるべきだ。
 労災被害者は治療費や休業補償のほか損害賠償も請求できるが、外国人には言語の壁もあり、容易ではない。雇用者や監理団体がもみ消そうとした例もある。
 こうした圧力を受けた外国人労働者が労働組合や支援団体に相談できる環境の整備も不可欠だ。
 
 27年までに技能実習制度に代わる育成就労制度が導入される。政府は外国人労働者の一層の増加を見込むが、日本が働き先に「選ばれる国」になるには「使い捨て」の発想を根絶し、労働者保護を拡充することが前提となる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月17日  07:45:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:介護職員の不足深刻化、東南アジアで人材獲得を強化…現地での採用活動費に一部補助

2024-12-16 05:00:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【厚労省】:介護職員の不足深刻化、東南アジアで人材獲得を強化…現地での採用活動費に一部補助

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:介護職員の不足深刻化、東南アジアで人材獲得を強化…現地での採用活動費に一部補助

 厚生労働省は来年度、深刻な介護職員の不足を受け、東南アジアで介護人材の獲得を強化する。日本の介護事業者が現地で採用活動を行う経費の一部を補助し、インドネシアでは介護の教育プログラムの創設に着手する。高齢化の進展で介護が必要な高齢者が増えるため、外国人材の受け入れに戦略的に取り組む必要があると判断した。

高齢者のケアにあたるベトナム人介護職員(左)。海外からの介護人材は日本で貴重な存在だ
高齢者のケアにあたるベトナム人介護職員(左)。海外からの介護人材は日本で貴重な存在だ

 出入国在留管理庁によると、介護の仕事に就くために、在留資格「特定技能」で入国した外国人は2万8400人(2023年末時点)で、政府目標の5割強にとどまる。先進国を中心に高齢化が進む中、国際的な福祉人材の獲得競争が起きていることが背景にある。

厚労省の獲得強化策の一つは、特別養護老人ホーム(特養)を運営する法人や介護福祉士を養成する専門学校などを対象にした渡航費の補助だ。ベトナムやミャンマーなど東南アジア各国の日本語学校や「送り出し機関」を訪問し、勉強や研修をしている若者らを対象に、日本の介護現場の魅力や待遇を伝える説明会を開いたり、面接などの採用活動を行ったりする費用に充てられる。

 1法人あたりの補助額は国と都道府県から計100万円。厚労省は来年度、最大約100事業所の参加を見込む。今年度補正予算案に関連経費を盛り込んだ。

 公益財団法人「介護労働安定センター」(東京)の23年度調査によると、特養など6割の介護事業所が職員の不足感を訴える一方、外国人材を受け入れたのは1割だ。厚労省は「外国人材の採用に一歩を踏み出す後押しをしたい」(福祉人材確保対策室)とする。

東南アジアで介護人材獲得を目指す日本の取り組み
東南アジアで介護人材獲得を目指す日本の取り組み

 厚労省の獲得強化策の一つは、特別養護老人ホーム(特養)を運営する法人や介護福祉士を養成する専門学校などを対象にした渡航費の補助だ。ベトナムやミャンマーなど東南アジア各国の日本語学校や「送り出し機関」を訪問し、勉強や研修をしている若者らを対象に、日本の介護現場の魅力や待遇を伝える説明会を開いたり、面接などの採用活動を行ったりする費用に充てられる。

 また、海外への人材送り出しに意欲的なインドネシアでは、来年度から3年をかけ、介護技術の教育プログラム「KAIGO」を策定する。厚労省と国際協力機構から、日本の介護保険制度や高齢者ケアの専門家ら計3人を派遣する準備を進めている。

 KAIGOは、現地の公的な看護師養成校で学ぶ若者らが対象で、指導教員も養成する。ドイツなどは人材確保に向け、すでにインドネシアで動き出しているという。

 海外からの介護人材は介護福祉士の資格試験に合格すると日本で働き続けることができる。日本大学の塚田典子教授(社会老年学)は「国は資格取得を費用面で後押しし、働きやすい職場作りに力を入れるべきだ。賃上げなどの処遇改善を進め、外国人にも魅力のある業界にする必要がある」と指摘する。

 ◆ 介護職員の不足 =来年、日本の総人口の約5人に1人が75歳以上になり、介護ニーズが急速に高まる。介護職員は2022年度に約215万人いるが、26年度に約25万人、40年度には約57万人が不足すると推計されている。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・厚労省・来年度、深刻な介護職員の不足を受け、東南アジアで介護人材の獲得を強化する】  2024年12月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経抄・11.26】:現場に行けば「難民」の真実が見えてくる

2024-11-26 05:01:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【産経抄・11.26】:現場に行けば「難民」の真実が見えてくる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・11.26】:現場に行けば「難民」の真実が見えてくる 

 埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人が注目されるようになったのは、昨年の夏からだ。市立医療センター周辺で起きたクルド人約100人が関与する暴動事件がきっかけである。

 ▼そもそもどうして遠く離れた日本にやってきたのか。実は20年前に判明していた。当時の法務省入国管理局が難民認定申請者の多いトルコ南部の村を現地調査して、「出稼ぎ」と断定する報告書をまとめていた。

 ▼ところがクルド人側の弁護団が反発して「封印」された、と昨日の小紙がすっぱぬいていた。現在日本で難民申請しているほとんどのクルド人の出身地も、かつて入管関係者が調査した村々と重なる。

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  元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】  2024年11月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.16】:日本語学校 新制度を質の向上に生かせ

2024-11-16 05:00:40 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②・11.16】:日本語学校 新制度を質の向上に生かせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.16】:日本語学校 新制度を質の向上に生かせ

 日本で学び、働くことを目指す外国人留学生は人口減の社会を支える貴重な担い手となる。日本語教育の向上を図る体制を充実させたい。 

 日本で暮らす外国人は今年6月末時点で約359万人となり、過去最多を更新した。外国人留学生も昨年度、約28万人に達し、そのうち約9万1000人が日本語学校で学んでいる。

 卒業生の8割は国内の大学などに進学する。そのまま日本で就職する人も増えている。

 問題は、日本語学校の教育体制や質が十分ではないことだ。授業料収入を増やそうと、定員を大きく上回る学生を受け入れたり、学校に来ないで不法に働くことを黙認したりするところもある。

 これでは学生の学習意欲に応えられないだけでなく、日本語学校全体の信頼も損ねかねない。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省は今年度、日本語教育機関認定法に基づいて教育課程などを審査し、基準を満たす学校を認定する新制度を導入した。学校選びの参考にしてもらうため、情報はインターネットで公開している。

 しかし、全国に約870校ある日本語学校のうち、認定を求めて申請したのは72校にとどまり、10月末に公表された初の認定校は22校だけだった。教育内容の不備のほか、債務超過など経営面の課題が確認された例もあった。

 2029年3月までに認定校にならなければ、留学生の受け入れができなくなる。各学校は早期の認定を目指してほしい。

 認定後は文科省への定期報告が求められる。不法就労防止など生活面の管理も含め、緊張感を持って運営することが欠かせない。

 日本語を教える教員の国家資格「登録日本語教員」も新設された。認定校で教えるには、この資格が必要となる。日本語教員の社会的地位向上や処遇改善を図り、人材確保につなげることが重要だ。

 生徒の授業料以外に運営資金の調達が困難だという日本語学校が多い。国は今後、自治体や企業の協力を得て、認定校に投資してもらう仕組み作りに乗り出す。こうした取り組みを通じて、経営基盤の強化を図る必要がある。

 自治体の役割も大きい。来春、公設の日本語学校を開校する宮城県大崎市は学生募集や就職で県や企業と連携し、地域で活躍する外国人材の育成を目指すという。

 国は33年に留学生を40万人とする目標を掲げている。日本が国際的に選ばれる国になるためにも、教育体制の整備が急務だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:英の不法移民 国際機関と協力し解決図れ

2024-05-19 05:01:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②】:英の不法移民 国際機関と協力し解決図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:英の不法移民 国際機関と協力し解決図れ

 難民は保護すべきだ、という責任感と、受け入れに伴う負担の間で、深まる苦悩がうかがえる。英国は国際機関や関係国と協力し、問題の解決を図れないだろうか。

 英国で、難民申請するために不法入国した人々をアフリカ中部のルワンダに移送することを可能にする法律が成立した。今年夏にも移送が始まるという。

 ルワンダは、英国に代わって移送者を難民として受け入れる予定だ。その見返りとしてルワンダは、英国から多額の経済援助を受けることになっている。

 英国はこれまで、伝統的に多くの難民を受け入れてきた。だが近年は、アフガニスタンや中東など政情不安の国からの不法入国者が増え、治安の悪化などが問題になっている。2022年の不法入国者は4万5000人に上った。

 密航者は小型ボートで英仏海峡を渡ってくるケースが多い。転覆事故も後を絶たないという。

 スナク英政権は今回の対策について、危険な渡航を思いとどまらせるためだ、と説明している。

 英政府は、不法入国者の収容などに年間8000億円以上の予算を投じており、その負担を軽減する狙いもあるようだ。

 しかしこの英国の対策には、国際社会から、先進国が経済力にものをいわせて途上国に難民を押しつけている、といった批判が出ている。英国、ルワンダ双方の事情を考えれば、そうした受け止めが出るのも仕方あるまい。

 国内でも対策への賛否は割れている。難民や難民認定を求める人を送還・追放してはならないというのが国際難民法の原則だ。

 英最高裁は昨年、ルワンダに移送される人が、難民申請をルワンダで適切に判断してもらえず、迫害の恐れのある出身国に送還される可能性があるとして、移送計画を違法とする判決を下した。

 司法判断を踏まえ英政府はルワンダとの間で、移送者を出身国に送還したり、第三国に追放したりしないと保証する条約を結んだ。英政府は、ルワンダは安全な国だと繰り返し強調している。

 ルワンダでは30年前、民族対立を背景に大虐殺が起こった。今は政治情勢が一定程度安定しているが、多くの難民の人権が守られるか、不安視する声も出ている。

 そもそも難民は、戦乱や政治的弾圧、貧困などが原因で発生する。日本は、そうした難民発生の背景を重視する観点から国連や他の先進国に働きかけるなど、難民問題の解決に力を尽くすべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国民民主党】:玉木代表のX投稿に蓮舫氏が疑問 外国人の犯罪防止対策めぐり…玉木氏は再投稿で持論説明

2024-05-19 00:15:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【国民民主党】:玉木代表のX投稿に蓮舫氏が疑問 外国人の犯罪防止対策めぐり…玉木氏は再投稿で持論説明

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国民民主党】:玉木代表のX投稿に蓮舫氏が疑問 外国人の犯罪防止対策めぐり…玉木氏は再投稿で持論説明 

 国民民主党の玉木雄一郎代表は18日までに自身のX(旧ツイッター)を更新し、群馬県など4県の山あいの住宅で連続して強盗事件が起き、栃木県日光市の住宅で奪われたキャッシュカードで預金を引き出そうとしたベトナム人が、窃盗未遂容疑で逮捕されたことについて持論を投稿した。

国民民主党の玉木雄一郎代表(2024年2月12日撮影)

 同事件では、一緒にいた別のベトナム人が不法残留の疑いで逮捕され、警察は一連の強盗事件と2容疑者との関連を調べている。

 玉木氏は17日、逮捕の一報を伝えるネットニュースを引用し「うちの年老いた親も田舎に住んでいるので心配になる。過疎地域での外国人による犯罪対策を強化すべきだ。不法残留は厳しく取り締まってもらいたい。そもそも、特定技能は事実上の移民につながるので、なし崩しで拡大してはならない」と投稿。過疎地域での外国人による犯罪対策を強化すべきとの持論を記した。

立憲民主党の蓮舫氏(2023年8月21日撮影)

 一方、立憲民主党の蓮舫参院議員は18日、玉木氏の投稿を引用しながら、投稿内容に反論。「外国人であれ日本人であれ犯罪は等しく取り締まるものです。『外国人』と特定し、あえて外国人への警戒心や敵愾心を煽ると同時に、特定技能と外国人犯罪を紐付けての強調。不法残留も厳しく取り締まるのは当然。同時に入管の問題や不法残留につながってしまう待遇改善などの視点が欠如しています」と投稿した。

 これを受け、玉木氏は蓮舫氏のXを引用しながら「現実の問題として、一部自治体で進んでいる捜査・取り調べの多言語対応は過疎地域においてはまだまだですし、また、技能実習制度を育成就労制度に改め本格的に労働者として外国人を受け入れる方向に転換したのに、語学習得支援や子どもの不就学問題対策など『共生』対応は全て自治体に丸投げで、国の責任は曖昧あるいは不十分です」と投稿。その上で、国の対策にも触れながら「歴代自民党政権は、『事実上の移民政策』を移民ではないと強弁しつつ拡大し、その一方で、共生政策について国の責任を回避してきました。こうした状況が続けば、必ず日本社会にも混乱が生じ、かえって外国人に対するヘイト感情が助長されることを懸念します。もちろん、入管の問題や賃金を含めた待遇の問題も改善すべき課題です」「とにかく、安い人手が足りないからという一部経済界の意向で安易に外国人の受け入れを拡大することに私は反対です。国内賃金の下げ圧力にもなります。特定技能2号は家族の帯同も認めているわけですから、受け入れる以上、然るべき体制を、『国の』責任と予算で整えるべきです」とあらためて持論を主張した。

 玉木氏の投稿に対しては、立民の米山隆一衆院議員も18日、「犯罪対策は外国人・日本人に関係なくやるべき事です。犯罪予防の段階で『外国人による犯罪対策』と特定するのは、非常に差別的で人権侵害につながりかねません」と投稿。「私の年老いた母も田舎におり防犯には気をつけていますが、特に『外国人』を対象にした事はありません。一体どうしてしまったのかと思います」と疑問を呈している。 

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・国民民主党】  2024年05月18日  15:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:外国人労働者 共生社会へ官民の責任は重い

2024-04-01 05:01:40 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②】:外国人労働者 共生社会へ官民の責任は重い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:外国人労働者 共生社会へ官民の責任は重い

 多くの産業で人手不足が深刻化し、外国人は貴重な労働力になりつつある。官民が協力して外国人が働きやすい環境を整えていく必要がある。 

 4月からはトラック運転手らの時間外労働が制限され、物流などへの影響が懸念されている。林業も担い手が先細りし、森林管理が行き届かなくなっている。

 このため政府は、外国人労働者を受け入れる在留資格「特定技能」に、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、計16分野とすることを決めた。

 近い将来、バスやタクシー、トラックの運転手や駅員として、外国人が働くことになる。

 人口減少という厳しい現実に対応するため、外国人就労の場を広げていくのはやむを得ない。

 政府は、バスとタクシーの運転手、電車の車掌や駅員などについては、他の分野よりも高い水準の日本語試験を課す方針だ。

 利用客と接する運転手らには、事故や故障など緊急時への対応が求められる。十分にコミュニケーションがとれる日本語能力を就労の条件とするのは当然だ。

 外国人を雇い入れる企業は、交通ルールや運転技術などの研修を拡充するなど、安全管理を徹底しなければならない。

 特定技能は2019年、人手不足が顕著な分野で、一定の技能がある外国人を受け入れるための制度として発足した。昨年末時点で20万人が働いている。企業が外国人を正規に雇い入れる仕組みとして、定着しつつある。

 一方、途上国への貢献を名目とした技能実習制度には、人権侵害との批判があり、政府は廃止を決めている。代わりに、本人の意向で転職ができる「育成就労」を創設する方針だ。

 今後は、育成就労で入国した外国人が、円滑に特定技能に移行できるようにすることが大切だ。

 どのような在留資格であれ、企業が外国人を安い労働力と捉えていては、有為な人材は獲得できない。処遇の改善や福利厚生の拡充に努めてもらいたい。

 政府は24年度からの5年間で、最大82万人の特定技能の外国人を受け入れるという。

 今後は、外国人との共生をどう進めるかが課題となる。外国人労働者が日本社会に溶け込めずに孤立したり、犯罪に手を染めたりすることは現状でも起きている。

 政府と自治体、企業は、日本で暮らすために必要なルールを周知するとともに、日本語教育の機会を増やしていくべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年03月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:仮放免者の住居 生存権支える施策こそ

2024-02-28 07:18:40 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②】:仮放免者の住居 生存権支える施策こそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:仮放免者の住居 生存権支える施策こそ

 日本の在留資格がなく入管施設に収容された外国人で、病気などの事情で一時的に拘束を解かれた仮放免者の2割が路上生活を経験していたことが分かった。

 住居の確保は命を守ることにつながる。政府や自治体は仮放免者の生存権を守るため、住居確保に向けた施策を進めるべきだ。
 
 仮放免者は2022年末時点で3391人。就労や登録地域外への移動は禁じられ、生活保護など公的支援の対象外なので医療保険にも加入できない。多くが支援団体の援助などで暮らしている。
 
 困窮者を支援する3団体は昨年12月、仮放免者の居住実態についての調査結果を発表した。回答した146人のうち22%が路上生活を経験し、46%が家賃、40%が光熱水費を滞納していた。過去に滞納経験がある人は家賃、光熱水費とも約6割に上った。
 
 コロナ禍で失業し、在留資格を失う外国人は増える一方で、支援団体の宿泊施設は満杯。経済難で寄付は減り、物価高もあって支援活動も限界に近づいている。
 
 3団体は国などに、家賃の安い公営住宅への入居を仮放免者にも認めることや、支援団体を介した公営住宅の空き室利用のための措置などを要望した。いずれも速やかに実施することが必要だ。
 
 ただ、問題の原因は仮放免者に就労を認めず、収入がないことにある。調査では回答者の8割以上が就労可能だが、国は就労が「不法滞在の容認、助長につながる」と禁じる。これは年内施行の改正入管難民法でも変わらない。
 
 仮放免者の多くが難民認定の申請中や裁判での係争中だが、いずれも時間がかかる。申請や裁判は権利であり、その間も生存権が保障されて当然だ。留学生のように制限付きであっても就労を認めるべきではないか。
 
 仮放免者には日本で生まれ育った子どもたちもいる。日本も批准している子どもの権利条約に照らしても、路上生活と紙一重の境遇が看過されてはならない。
 
 何より日本の難民認定率が2%(22年)と、欧米諸国と比べて桁外れに低いことが、仮放免者の困窮の根底にあることも忘れてはなるまい。
 
 上川陽子外相は昨年12月のグローバル難民フォーラムで、世界の人道状況改善に向けた決意を述べた。その視線はまず足元の未認定難民らに向けられるべきである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月27日  08:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:技能実習廃止 外国人の就労環境を改善せよ

2024-02-12 05:01:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説②】:技能実習廃止 外国人の就労環境を改善せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:技能実習廃止 外国人の就労環境を改善せよ

 外国人材を受け入れる制度を大きく改めることになる。国際的に人材獲得競争が激しくなる中、外国人の就労環境を改善し、「選ばれる日本」にしていくことが大切だ。

 政府は、技能実習制度に代わる新たな仕組みとして、3年間の就労を認める「育成就労制度」を創設することを決めた。今国会での法改正を目指し、受け入れ態勢を整えたうえで導入する方針だ。

 約30年前に始まった技能実習制度は、日本で習得した技術を帰国後に生かしてもらうという「国際貢献」を目的に掲げてきたが、実際は労働力を確保するための手段となってきた。

 労働者の権利を守る仕組みも不十分で、長時間労働や賃金の不払いなどの問題が相次いだ。実習生の失踪も後を絶たなかった。

 新たに設ける育成就労は、「人材の確保と育成」を掲げ、人手不足を補う目的を明確にした。技能の有無を問わずに外国人を労働力として受け入れるという点で、大きな政策転換と言える。

 新制度では、1~2年間働けば、同じ業種での転職を認める。技能実習では、本人の希望による転職は原則禁じられていた。

 自由に職場を選べず、厳しい環境から逃れられないことは、失踪の大きな要因となっていた。外国人が自らの意思で、勤務先などを選べるようにするのは当然だ。

 転職を制限する期間を巡り、政府は1年とする方針だったが、自民党から「地方から都市へ人材が移ってしまう」といった声が出たため、2年まで幅を持たせた。雇い主が転職を認めない場合、昇給などの待遇改善を図るべきだ。

 新制度はまた、高度な技能を持つ人に認めている在留資格「特定技能」に つな がる仕組みとする。

 育成就労で受け入れる分野を、特定技能と同じ建設業、農業、宿泊業などに合わせる。試験に合格すれば特定技能に移行し、より長く働くことができる。

 日本の生産年齢人口は先細りしており、今後も深刻な人手不足が見込まれている。有為な人材を確保するには、これまでのように外国人を安価な労働力とみなす発想は改めねばならない。

 技能実習制度では、外国人が送り出し機関に多額の手数料を支払い、借金を背負って来日する事例が多かった。受け入れ企業を監督すべき国内の監理団体が機能していないとの指摘もあった。

 新たな制度を作るだけでなく、こうした問題を一つ一つ解決していくことが重要だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ここがおかしい 小林節が斬る!】:国際常識を逸脱した入管法改正案 日本は文明国家でも国際国家でもないのか

2023-07-27 07:04:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【ここがおかしい 小林節が斬る!】:国際常識を逸脱した入管法改正案 日本は文明国家でも国際国家でもないのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ここがおかしい 小林節が斬る!】:国際常識を逸脱した入管法改正案 日本は文明国家でも国際国家でもないのか

 難民条約(1951年採択、54年発効。日本は81年に批准)31条は、「庇護申請国へ不法入国しまたは不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない」と規定している。さらに33条は、「難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされる『おそれがある』国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない」とまで明記している。

 にもかかわらず、今回の入管法改正論争を見ていると、「日本にしがみついている不法滞在外国人を早く母国へ追い払いたい」という国家の強い意思しか伝わってこない。

 思い起こしてほしい。かつて第2次世界大戦の敗者としてどん底まで落ちたわが国は、世界の諸国から助けられ、また、世界の諸国を利用して、立派に復興を遂げることができた。だから、今こそ、転換期の大混乱の中にある世界において、戦争以外の方法で「名誉ある地位」(憲法前文)を目指すべきである。

 <picture>小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ</picture>

   小林 節 慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ

 難民は、母国から迫害されている証拠など持ち出せずに逃げて来た者が、事柄の性質上ほとんどである。だから、その者に「証拠」を求めるなどという無理なことはせずに、「疑わしきは申請人の利益に」という原則に改めるべきである。

 また、公正な難民認定を目指すと標榜するならば、その手続きに、人権先進諸国の例に倣って、司法手続き(公正な第三者)を当然に組み込むべきであろう。

 もうひとつ、出入国在留管理庁の組織としての人権軽視のような体質が気にかかる。最近、収監者の死亡事故を断食による自死と疑った愚かな国会議員がいたが、百歩譲ってそうだと仮定したとしても、その収監者の状態を監視していた入管職員がそれを察知して内科医に診せれば点滴で一命を取り留め得た事例である。にもかかわらず、医師でもない入管職員が、その者の詐病を疑って精神科医に診せて放置して死に至らしめた、その「人を人とも思わない」組織の感覚が恐ろしいと気づくべきである。


 いずれにせよ、アフガニスタン、ミャンマー、スリランカなど、世界は大混乱に陥っている。日本も、もはや移民受け入れ政策を確立すべき時が来ているのであろう。

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小林節
著者のコラム一覧
 ■小林 節 慶応大名誉教授

 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載・「ここがおかしい 小林節が斬る!」】  2023年06月10日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:改正入管法成立 長期収容の弊害を放置するな

2023-06-11 05:00:30 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説①】:改正入管法成立 長期収容の弊害を放置するな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:改正入管法成立 長期収容の弊害を放置するな

 入国管理施設での長期収容は、外国人の人権侵害につながりかねない。政府は改正法を適切に運用し、入管行政の信頼を高める必要がある。

 改正出入国管理・難民認定法が成立した。国外退去処分となった外国人が長期間、収容されている現状を改めるものだ。

 不法残留や罪を犯した外国人は原則、本国に送還される。だが、家族が日本にいるといった理由で帰国を拒む人もいる。こうした「送還忌避者」は昨年末時点で4200人余に上っている。

 送還忌避者の中には、難民認定の申請を繰り返す人が少なくなかった。申請中であれば、強制送還されないという規定があったためで、これが入管施設での長期収容の一因となっていた。

 改正法は、難民認定の申請は原則2回までとし、3回目以降は、申請手続き中でも強制送還できるようにした。送還を免れようという人が、難民認定の仕組みを乱用するのを防ぐため、一定の歯止めをかけるのは妥当だろう。

 改正法はまた、出入国在留管理庁が認めた監理人による監督を条件に、収容施設を出て生活できるようにする制度も導入した。

 外国人の人権にも配慮し、生活環境を改善することは大切だ。

 送還を拒む人の中には、日本で生まれ育った子供もいる。逃亡や再犯の恐れがない場合には、家族が離ればなれにならないで済む何らかの措置を検討してほしい。

 一昨年には、名古屋市の施設で収容中のスリランカ人女性が死亡し、日本の入管行政には国内外から厳しい視線が注がれている。

 入管庁は、収容者の健康に目配りすることが不可欠だ。医療体制も充実させる必要がある。

 政府は近年、送還忌避者であっても、病気などの場合は一時的に収容を解く「仮放免」を柔軟に認めてきた。だが、仮放免後に逃亡するケースが増え続け、昨年末には約1400人に上っている。

 逃亡した人の中には、窃盗や傷害事件で懲役刑を受けた外国人もいる。長期収容を解消するためとはいえ、いたずらに仮放免を認めるのは問題があろう。入管庁は逃亡を防ぐ手段を講じるべきだ。

 今回の法改正で、政府はウクライナからの避難民を念頭に、「補完的保護対象者」の制度を創設した。健康保険への加入を認めるなど、難民に準じた支援を行う。

 日本はかねて、難民の受け入れ数が少ないと言われてきた。救済すべき人を確実に保護していくことが望まれる。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:入管法改正案採決へ 人権を守る制度と言えぬ

2023-06-07 07:00:45 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説】:入管法改正案採決へ 人権を守る制度と言えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:入管法改正案採決へ 人権を守る制度と言えぬ

 2年前に1度は廃案となった入管難民法改正案の国会審議が大詰めを迎えている。自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党が合意した修正案が、参院法務委員会できょうにも、採決される見通しだ。

 難民認定の申請の回数を事実上、制限するなど人権を軽んじる内容で国内外からの批判が根強い。修正案には難民認定を担う専門的な職員の育成や収容手続きで透明性の確保に努めることを盛り込むが、十分とはいえない。採決は時期尚早だろう。

 現行法では、難民認定を申請中の外国人は強制送還しないことを規定している。不法滞在者らが日本からの退去を免れるために難民申請を悪用する例が多いとして、3回目以降は申請中でも送還できるようにするのが改正案の最大の変更点だ。

 送還を拒む外国人の長期収容が課題となり、難民申請中に失踪する例も多い。出入国在留管理庁(入管庁)が手を焼いているのは分かる。だからといって申請回数を事実上制限する新たなルールは乱暴ではないか。

 3回目以降の申請で、難民と認定された例は過去3回あるという。難民支援団体は「保護されるべき人を見逃しかねない」と批判。国連人権理事会の特別報告者も、国際人権基準を満たしていないと指摘している。

 問題は、難民認定に対する国の後ろ向きな姿勢だろう。難民条約や国際人権条約では、人種や宗教、政治的意見などを理由に母国で迫害される恐れがある人の送還を禁じている。

 にもかかわらず、日本の難民認定率は1%に満たず、他の先進国に比べて桁違いに少ない。

 そんな日本の姿勢を象徴する問題がここにきて浮上した。入管庁による1回目の審査で不認定とされた外国人の不服審査に当たる「難民審査参与員」を巡る恣意(しい)的な運用だ。弁護士や元検事、研究者ら111人の担い手がいる中で、特定の参与員に審査件数が偏っている実態が参院法務委で明らかになった。

 その一人、NPO法人「難民を助ける会」の柳瀬房子名誉会長は、2年前の衆院法務委で「難民と認定できる申請者はほとんどいない」と発言。政府が法改正のよりどころとして資料などでたびたび引用している。

 入管庁が1次審査で不認定とした判断を追認しそうな参与員に都合良く配分していたと勘ぐりたくなる。そんな状況で改正法が成立すれば、救済すべき外国人を誤って危険な母国へ送り返し、命の危険にさらすリスクが高まるばかりではないか。

 難民認定を巡る問題で透けて見えるのは、入管行政全般に通じる外国人への人権意識の欠如だ。

 2年前、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋の入管施設で亡くなった問題が象徴的だ。最初に提出された改正案が廃案となるきっかけとなった。入管庁はこれを教訓に、入管施設へ常勤医を配置するなどの対策を講じた。

 ところが、先月末には、大阪入管の常勤医が酒に酔った状態で収容者を診察したと疑われる事例が発覚した。問題の根深さを突き付ける。

 外国人の人権を守れる制度や体制が整っているとは到底言えない。求められているのは、国家の人権意識を根本的に改めることだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月06日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:技能実習の廃止 「選ばれる日本」の姿示せ

2023-06-03 06:00:10 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【社説】:技能実習の廃止 「選ばれる日本」の姿示せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:技能実習の廃止 「選ばれる日本」の姿示せ

 建前と実態が懸け離れた仕組みを根本から見直すべきである。小手先の改革では国内外からの批判はやむまい。

 政府の有識者会議が外国人技能実習制度の廃止を求める中間報告をまとめた。新たな制度作りを議論し、秋には最終報告を出すという。

 1993年に創設された、この制度の目的は「国際貢献」である。日本からの技能移転や人材育成を通じて、その地域の経済発展への貢献を目指すというものだ。

 現在は32万人余りが最長5年間の期限で働いている。半数以上はベトナムからだ。

 実態は日本の人手不足を補う手段になっている。違法な長時間労働や賃金不払い、実習生の失踪などが絶えず、人権侵害とも批判されている。志もあって来日した若者を失望させるだけでなく、日本の国際的な信用も損なう。

 中間報告は「人手不足が深刻化する中、外国人が日本の経済社会の担い手となっている」と現実を認めた。その上で、経済や地域社会を支える一員として外国人を受け入れるよう求めた。

 当然の視点である。ただ現行制度の大枠は残す方向だ。制度の目的に新たに労働力としての「人材確保」を明記する一方、「人材育成」という要素は残した。

 職場を当初3年は原則転籍できないという制限が、労働環境が劣悪でも耐えるしかない原因を生んでいる。中間報告はこれについて、緩和するとの表現にとどめた。緩和すれば、比較的高賃金の都市部に人材が流れるとの懸念も地方の事業者にはある。実習生の権利を守りつつ均衡の取れた制度化を進めてほしい。

 中間報告は、実習生を仲介し事業者を監督する「監理団体」などを通じた受け入れの枠組みも維持した。2017年の技能実習適正化法で監理団体の実地検査や行政処分の仕組みはできたが、十分な改善とは言えないだろう。

 他方、実習生の母国の送り出し機関が高額の仲介料を求めることも、実習生が借金を背負って来日する要因となっている。中間報告は、悪質な送り出し機関には「実効的な二国間取り決めなどを強化する」としているものの、具体策は国に任せた形だ。

 政府はこれまで在留資格をさまざまな名目で緩和し、外国人が国内で働くことを労働力不足対策として例外的に認めてきた。4月には、熟練労働者として永住や家族帯同が認められる「特定技能2号」の対象を現在の2分野から拡大する方針を示している。

 日本は「外国人との共生社会」を目指すとしながら、その政策は今や周回遅れとも言わざるを得ない。賃金も伸び悩み、経済成長するアジアの人々にとって働き先としての魅力も低下してきた。

 外国人から「選ばれない国」となっては、日本の社会・経済の持続も難しい。そうした厳しい認識を持って、新制度を議論するべきである。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース オピニオン 【社説】  2023年05月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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