路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【陰謀論者の大行進 春のトンデモ最前線・04.04】:統一教会の「断食デモ」の前で、鈴木エイト氏らと抗議の「暴飲暴食デモ」

2024-04-04 06:16:00 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【陰謀論者の大行進 春のトンデモ最前線・04.04】:統一教会の「断食デモ」の前で、鈴木エイト氏らと抗議の「暴飲暴食デモ」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【シニアのためのマネー講座】:【陰謀論者の大行進 春のトンデモ最前線・04.04】:統一教会の「断食デモ」の前で、鈴木エイト氏らと抗議の「暴飲暴食デモ」

 デモ活動は見るのも楽しいが、自分でやるのも楽しい。筆者が主催した初めてのデモ活動は、十数年前。東京・紀尾井町にある文芸春秋の本社ビル前だ。ただし、抗議の相手は文春ではなく統一教会(現・世界平和統一家庭連合)だった。

「週刊文春許さないぞ~!」

「週刊文春は廃刊しろ~!」

 週刊文春が当時、日本の統一教会が4900億円もの金を韓国に送金していた送金リストを報道。これに抗議する信者数十人が、文芸春秋前で1カ月以上にわたって「断食デモ」を行った。

 断食といっても、信者たちが交代で行う「リレー断食」という軽いもの。しかし信者の健康を案じた私とジャーナリストの鈴木エイト氏らは、彼らの前で「体に悪いから断食やめろ!」「やめるまでこちらは抗議の暴飲暴食ストを行う!」というデモを行った。眼前で牛丼などを頬張り、統一教会系企業が販売している韓国の「メッコール」というドリンクをがぶ飲み。

 意外にも、信者たちは好反応。終了後にお礼を言われ拍手された。

 「吉本(興業のお笑い)より面白い! 本日はありがとうございました!」

 私たちは、断食中でも飲めるようミネラルウオーターを信者に配布した。

 両者に友情が芽生えたかと思えたが、統一教会側は、腹の底では怒っていたようだ。文春側の差し金だと誤解し、後日、文春に抗議したという。予想外のとばっちりだ。

 ■幸福の科学vs迷惑系ユーチューバー

 2022年に迷惑系ユーチューバーを幸福の科学にぶつけたこともある。アニメ「鬼滅の刃」のキャラクターのコスプレで知られる煉獄コロアキ氏だ。最近は私人逮捕系などと言われているが、コロナ禍の当時は反ワクチン活動家。山手線車内でノーマスク飲み会を開催するなどの迷惑活動を繰り広げていた。

<picture>幸福の科学職員に詰め寄られた(提供写真)</picture>

  幸福の科学職員に詰め寄られた(提供写真)

 そんな折、幸福の科学の教祖・大川隆法総裁が、「鬼滅の刃」の作者である吾峠呼世晴氏の霊を呼び出したと称する内容を公開。私はコロアキ氏らを誘って、東京・高輪にある幸福の科学の施設「東京正心館」前の歩道で抗議のシュプレヒコールを上げた。プラカードも用意した。

 「大川隆法は吾峠呼世晴先生に謝れ」

 「大川隆法は死後裁きにあう」

 施設から出てきた教団職員たちは敵意丸出し。ものすごく罵ってきた。

 ネット上では、「鬼滅の刃」のコスプレで迷惑活動を行うコロアキ氏に「(吾峠呼世晴先生に謝れと)おまえが言うな」などの声も。全くもって同感だ。

 ※動画リポートはこちら

藤倉善郎
著者のコラム一覧
 ■藤倉善郎 ジャーナリスト

 1974年、東京都生まれ。カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、総裁就任。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」など。「徹底検証 日本の右傾化」(塚田穂高編著)、「だから知ってほしい『宗教2世』問題」などの共著も多数。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・陰謀論者の大行進 春のトンデモ最前線】  2024年04月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・11.22】:むち打ち虐待疑惑など政治家が語らぬ宗教実態

2023-11-28 07:40:10 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【政界地獄耳・11.22】:むち打ち虐待疑惑など政治家が語らぬ宗教実態

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・11.22】:むち打ち虐待疑惑など政治家が語らぬ宗教実態 

 ★ここにきて宗教に関する話題が多くなった政界。旧統一教会は解散命令が出され、教会の被害者救済を巡り自民・公明両党と国民民主党が協議し3党の共同提出。また立憲民主党と日本維新の会もそれぞれが提出した法案の一本化で合意。与野党で行われる法案の修正協議に進められるが、教団に近かった元首相・安倍晋三、前衆院議長・細田博之が相次いで死亡し、政界の接点は自民党政調会長・萩生田光一らから聞くしか方法がなくなったが、接点のあった議員たちはその実態を話そうとはしない。

「エホバの証人」日本支部=神奈川県海老名市で2022年11月17日午前11時11分、藤田剛撮影

 ■「エホバの証人」“児童虐待” 「ムチ」「輸血拒否」の実態とは 元2世信者・現役幹部などが証言(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

 ■エホバの証人児童虐待…輸血拒否証81% 弁護団「教団が強制」疑い | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 ★20日、教義に輸血拒否などがあるキリスト教系宗教団体「エホバの証人」の元2世信者らが児童虐待疑惑などに取り組む弁護団はこども家庭庁に、エホバの証人のアンケートによる実態調査の報告書を提出した。また素手や定規、ベルトなどでたたくことを「むち打ち」と呼び、たたかれた経験があると回答したのは9割を超えるなど“宗教虐待”の実態が浮き彫りになった。いずれも親の信仰で子供の人生が左右される宗教2世が大きな問題となっているが、今後は踏み込んだ法改正などが必要になろうが、この実態を無視して信仰の自由を逆手に取る議員もいるため、政界ではタブー視されてきた。

 ★また公明党の生みの親ともいえる創価学会名誉会長・池田大作が亡くなったが、公の場での目撃は10年11月以来ないというから13年間、晩年の実態はわからなかった。首相・岸田文雄は池田死去が報じられた直後に「御逝去の報に接し、深い悲しみにたえません。池田氏は、国内外で、平和、文化、教育の推進などに尽力し、重要な役割を果たされ、歴史に大きな足跡を残されました。内閣総理大臣 岸田文雄」とXに投稿した。当然、野党や国民から政教分離に抵触しまいかという声が上がったが、官房長官・松野博一は「個人としての哀悼の意を表するため、首相個人のSNSを使っている」と個人を強調したが、通用するだろうか。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年11月22日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【集英社新書】:橋爪大三郎『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』を有田芳生さんが読む オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここに(レビュー)

2023-06-17 07:54:50 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【集英社新書】:橋爪大三郎『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』を有田芳生さんが読む オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここに(レビュー)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【集英社新書】:橋爪大三郎『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』を有田芳生さんが読む オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここに(レビュー)

 ◆オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここに

 この著作に眼を通してまずハッとしたのは、オウム真理教事件を契機に、アメリカやフランスは対処ができて、この震源地の日本でいままでまったく放置されてきた課題を提示してくれたことだ。それは欧米諸国で行われてきた若い世代への「カルト」(セクト)教育である。「カルトがカルトでなくなることはあるのか」「仏教でもカルトになるのか」など、具体的な問題を事実に基づいて説明しているから、とてもわかりやすい。

<button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す</button>
   日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す(集英社)

 本書「序論」に置かれた「カルト原論」は、すべての世代に知られるべき基礎知識だ。中学生世代にも理解できる文体で書かれているので、各家庭に一冊、全国すべての図書館に置いていただき、親世代から子ども世代へと薦めてほしいと心底思う。オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここにある。この序論だけでも一読の価値がある。

 私は橋爪大三郎さんと一回だけお会いしたことがある。オウム真理教が地下鉄サリン事件を実行した一九九五年のことだ。テレビ朝日系の「サンデープロジェクト」でご一緒し、そのとき著作にサインしていただいた。私は事件報道に巻き込まれ、ただただ日々の課題を消化しているときだった。社会学者の分析に「すごいな」と思い、スタジオに著作を持参したのだ。あれから二八年になる。再び専門家の歴史的認識の深みと蓄積を本書で知った。

 二〇二二年七月八日の安倍晋三元総理銃撃事件をきっかけにおびただしい統一教会報道が行われてきた。テレビや新聞報道などは、結局のところ「文鮮明機関」(フレーザー委員会報告、一九七八年)の本質に触れないところに限界がある。橋爪さんは、教祖の人生から、難解な『原理講論』の分析、紹介も行い、「反社会的カルト宗教」と分析した。序論がわかりやすい入門編だとすれば、続く「生長の家と日本会議」、「統一教会と自由民主党」は、この日本社会を不可視の世界で動かす組織を原理的に分析した応用編である。日本会議と統一教会の接点はあるのか。著者は「結論」で、日本会議も統一教会も、やがて政治の表舞台から消えていくと予測する。その根拠を明らかにした知的刺激に満ちた一冊だ。

 ■有田芳生 ありた・よしふ

 ●ジャーナリスト [レビュアー]有田芳生(参議院議員・ジャーナリスト)

Book Bang

 元稿:BOOK Bang 主要出版物 【青春と読書 2023年4月号 掲載】  2023年03月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。  

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【カルト宗教検証】:統一教会、日本会議、創価学会。それぞれが持つ問題の本質をえぐり出す資料を「どう読み解く」か

2023-06-17 07:54:20 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【カルト宗教検証】:統一教会、日本会議、創価学会。それぞれが持つ問題の本質をえぐり出す資料を「どう読み解く」か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【カルト宗教検証】:統一教会、日本会議、創価学会。それぞれが持つ問題の本質をえぐり出す資料を「どう読み解く」か

 宗教社会学の第一人者である橋爪大三郎氏がカルト宗教の危険性を説き、民主主義と宗教のあるべき関係について、明快に解説した『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』が発売された。同書を読み「学者とはかくも恐ろしい生き物なのか……」との感想を抱いたのは、著述家の菅野完氏だ。<button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す</button>

              日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す

 学者とはかくも恐ろしい生き物なのか……。 本書を通読したいま、そう恐れ慄いている。

 昨年7月の安倍晋三横死事件以降、にわかに統一教会に対する社会的関心が高まった。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のみならず、日本会議、そして公明党=創価学会と、政権与党・自民党のまわりには、とかく宗教勢力の姿が見え隠れする。それら宗教勢力がどれほどの影響を自民党に与えているのか、そして政治と宗教はそもそもどのような距離感を持つべきなのかについての議論が、あの不幸な事件を契機に、熱を帯びて展開されるようになったことは当然のことではあろう。

 しかし、その議論はいささか冷静さを欠いてはいまいか。統一教会の悪辣さに目を奪われ、全体像を見失ってはいないか……。本書は、こうした「違和感」を出発点とし、「政治と宗教の関係」に関する議論を改めて冷静に、そして「民主主義を守る」という視点から、やり直そうと問いかける。

 本書では、統一教会のみならず、日本会議と創価学会についても検証が加えられている。自民党を取り巻く三大宗教勢力の全てを横断的に論じきり、しかもそれを新書サイズにまとめ上げた橋爪大三郎の筆力は、まさに圧巻だ。 だが、私は、その「書く力」に、「学者という生き物の恐ろしさ」を感じたのではない。

 自民党をとりまく宗教勢力の様子を横断的に捉え議論しようとする試みはこれまで何度もなされてきた。しかしそのほとんどは失敗に終わっている。何故か。書くために必須の「読む作業」が出来ないからだ。宗教勢力は膨大な数の書籍やパンフレットを通じて教義や主張を宣伝する。ひとつの団体だけならまだしも、複数の団体の印刷物を横断的に読み込むなど、物理的に不可能なのだ。

 しかし橋爪大三郎はそれを見事にやってのけた。無論それは先行研究の参照という形で行われているのだが、そのセレクトが実に素晴らしい。膨大に積み上がった資料の山から、統一教会、日本会議、創価学会のそれぞれが持つ問題の本質を抉り出す資料に、最短距離かつピンポイントで到達している。その手際の鮮やかさと確かさこそ、学者の真骨頂だろう。

 そう。私は、橋爪大三郎の「読む力」にこそ、「学者という生き物の恐ろしさ」を感じ、畏敬の念を覚えたのだ。

 当代随一の泰斗が、その尋常ならざる「読む力」と「書く力」の双方を注ぎ込んだ本書は、今後「政治と宗教」の議論に参加する人々にとっての、ひとつの確かな羅針盤になるに違いない。

 文/菅野完

 元稿:集英社 主要出版物 集英社新書 【集英社オンライン】 2023年03月24日 16:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察】:安倍元首相なら「関係を清算しろ」と言うだろう…宗教団体とズブズブの自民党が今すぐやるべき3つのこと

2023-06-17 07:54:10 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【考察】:安倍元首相なら「関係を清算しろ」と言うだろう…宗教団体とズブズブの自民党が今すぐやるべき3つのこと

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察】:安倍元首相なら「関係を清算しろ」と言うだろう…宗教団体とズブズブの自民党が今すぐやるべき3つのこと

 日本には、政治の世界に影響力を持つ宗教団体が存在する。社会学者の橋爪大三郎さんは「宗教政党である公明党や日本会議、統一教会の助けを借りないと、現在の自民党は与党でいられない。国政に関与しないよう公明党は解散し、自民党は宗教団体との関係を清算すべきだ」という――。<button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">※写真はイメージです - 写真=iStock.com/oasis2me</button>

 ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/oasis2me(株式会社プレジデント社)

 ■ 【この記事の画像を見る】  

 ※本稿は、橋爪大三郎『日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す』(集英社新書)の一部を再編集したものです。

 ■政党と宗教団体のWin-Winな関係  

 さて日本では、(カルト教団であってもそうでなくても)宗教団体が政治的パワーを持つ、という現象がある。これは、どういうことなのか。  

 それは、選挙のときに、まとまった票が見込めるからである。宗教団体票である。

 すると、政党は、選挙を有利に運ぼうと、宗教団体と良好な関係を築こうとする。  宗教団体は、票と引き換えに、政治的な要求を政党に持ちかけることができる。これが、宗教団体の政治的パワーの源泉である。

 宗教団体が、集票マシンになる。――これは、日本では当たり前だと受け取られ、あまり不思議に思われない傾向がある。けれども、国際的にみると、とってもとっても、特殊な現象である。西欧社会、たとえばアメリカでは、こんなことは考えられない。「特殊な現象」を通り越して、スキャンダルと言ってもいいほどである。

 ■公明党への集票に燃え上がる創価学会  

 創価学会の政治力の源泉は、学会員の献身的な選挙活動である。  選挙になると、創価学会は燃え上がる。親戚や友人に電話をかけまくる。ビラを配布して回る。ポスターを貼る。選挙事務所をボランティアで手伝う。ほかの政党がうらやむほどの厚い支援を、公明党は受けることができる。浮動票を集める力は、それほど大きくないかもしれない。けれども、確実に読める票が集まることほど、心強いことはない。

 小選挙区制度のもと、自公の選挙協力は洗練の度を加えている。一人区の立候補を、自民党と公明党で調整する。「一人区は自民党、比例区は公明党」などと、投票を依頼する。両党が綿密に協力して、目一杯の議席を獲得して分け合うことをはかる。

 政党と政党が、選挙協力をしたり、政策協定を結んだり、連立政権を組んだりすることは、問題がない。ふつうの政党同士であるならば。

 公明党は、創価学会の価値観、世界観をもとに行動する、宗教政党である。創価学会の価値観、世界観がストレートに政治に反映してしまう点が、問題なのである。

 ■宗教政党・公明党はなぜ存在するのか  

 宗教教団が政党をつくる。こういう、民主主義の原則と合わないことが起こったのは、創価学会の世界観によるところが大きい。

 創価学会の人びとはたぶんこう思った。政治家は腐敗し、汚職にまみれている(そうだろう)。一般大衆を大事にする、大衆のための政治が必要だ(そうだろう)。いまある政党はどれも信頼ならないから、清潔で信仰を持つ人びとの新しい政党が必要だ(ここが問題だ! )。

 この最後のところが、キリスト教にもとづく西側世界の考え方と、まるで違っている。そして、民主主義の原則から逸脱していく、原因になっている。本人にそのつもりがなくても。

 キリスト教は考える。人間は罪深い。しょっちゅう間違いを犯す。社会が不完全なのは当たり前である。政党も同じだ。正しい信仰というものはある。だが、正しい信仰を持っている人びとが政党をつくったからといって、ほかの政党よりましなものができるわけではない。創価学会の信仰が正しいからと言って、創価学会が政党をつくれば政治がよくなる、とは決して考えないのだ。

 そのかわりに、どう考えるか。人間は間違えるが、悔い改め、間違いを正すことができる。誰にもそのチャンスがある。選挙がその機会だ。有権者が議員を選び、代表として行動する権限を与える。だがそれは条件つきだ。有権者の信託に応えなければ、つぎの選挙で落選する。どこかに理想の政治や政党があるわけではない。不断にそうやって、互いの過ちを正していくことが、政治をよくする唯一の道である。

 だから教会は、「公明正大で」「清らかな」よい政党などそもそも存在しないと考える。一人ひとりが神に導かれ、まあましな行ないがどうにかできるだけだ。─こう考えれば、現実的であり、民主主義の原則とも合致する。

 ■「いい政党をつくろう」では政治はよくならない  

 創価学会は、既存の政党を信頼せず、憎み、前途がないものと思った。だから、ピュアな政党として、公明党をつくった。

 これは、政治思想として、間違っていると思う。少なくとも、民主主義の考え方ではない。いい政党/よくない政党があります。いまある政党はよくない政党で、救いようがないです。だから、いい政党=公明党が必要です。これでは、政治はよくならない。むしろ、いまある政党の欠点を正して、少しでもましな政党につくり替えていく努力が大切だ。公明党さえよければいい、という考え方では、それ以外の政党がそのままになってしまう。

 むしろ、創価学会としては、政治に対して厳しい批判の目を向け、個別の政策や候補者のよしあしをチェックする役割に徹したほうがよかったろう。そのためのメディア(新聞や雑誌など)も持っているのだから。

 ■公明党は解散し、地域政党として存続すればよい  

 それでは、公明党はどうすればいいか。  

 国政政党としての公明党は、解散するのがよいと思う。

 そうすれば、創価学会⇒政治、の影響力について、一般国民の疑念を持たれなくてすむ。日本の政治も、国会運営も、ずっとすっきりするはずだ。

 非自民連立政権(細川政権)の当時、公明党自身が、その道を模索した。そのあと、自公連立政権の時代が続いているが、いつまでも続くはずがない。民主主義の原点に戻ろう。公明党は、母体である創価学会を大事に思うなら、国政政党としては店じまいするのがよい。

 県政以下の地方自治については、どうか。公明党が、政党としての活動を続けたいなら、地域に貢献する政党として、存続すればよいと思う。地方議会の政党は、国政の立法に関与しないのだから、宗教教団と深いつながりがあっても、社会に与える害は少ないからだ。

 ■共産党は看板を下ろし、反省と謝罪を

 それでは、共産党はどうすればいいか。

 共産党は、もともとマルクス主義の革命党だった。それがなし崩しに議会主義の政党になった。にもかかわらず、党内民主主義のあり方が不透明で、上意下達の民主集中制をそのままにしている。

 まず、共産党の看板を下ろそう。そして、共産党の時代のさまざまな過ちを反省し、謝罪しよう。昔、暴力革命路線をとったこと。リンチ殺人事件で有罪となった人物がずっと党の指導的地位にあったこと。組織原則を改め、党内民主主義を確立し、ふつうの政党に生まれ変わろう。野党がもし再編統一するなら、この際解党して、新政党に合流するのもよいと思う。

 それでは、乱立する野党はどうすればいいか。

 自民党の長期政権が続いているのは、野党がふがいないことが原因の一つである。  

 私に言わせると、野党は、政治のなんたるか、政党のなんたるかがわかっていない。  

 政党は、選挙区で議員を育てる地方組織である。政党は、与党と野党と、二つあれば十分である。人脈や、考え方(イデオロギー? )や、過去のいきさつや、支持母体の違いで細かく分かれてはいけない。自民党が、政党として近代化できていない、いまのうちがチャンスだ。しかも自民党は、公明党の助けを借りないと過半数が取れない。それでも足りなくて、日本会議や統一教会の手も借りている。そんな自民党に、有権者の大半はあきあきしている。 

 元稿:PRESSIDENT Online 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・担当者:橋爪 大三郎 社会学者 】 2023年03月28日 10:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【宗教を問う・09.07】:政治家の「二股」を黙認してきた宗教団体の末路 ■2022年の夏は日本宗教史の大転換点になる 

2023-06-17 07:53:50 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【宗教を問う・09.07】:政治家の「二股」を黙認してきた宗教団体の末路 ■2022年の夏は日本宗教史の大転換点になる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【宗教を問う・09.07】:政治家の「二股」を黙認してきた宗教団体の末路 ■2022年の夏は日本宗教史の大転換点になる  

 安倍晋三元首相銃撃事件以降、マスコミ報道は世界平和統一家庭連合(旧統一教会、以下、統一教会)を中心とした「政治と宗教」の話題一色になった。

  安倍氏を撃った山上徹也容疑者の母親は統一教会の熱心な信者で、教団に多額の献金などを行って家庭が崩壊、山上容疑者は「安倍元首相と統一教会はつながっている」と思い犯行に及んだと供述している。統一教会に注目が集まるのは当然だ。

  実際、多くの政治家が統一教会と数々の接点を持っていたことが事件後に明らかとなった。このような報道に触れていると、一般有権者の中から「日本の政治は特定宗教団体の強い影響下にあるのではないか」といった不安が出てくるのも道理だろう。
7月の参院選後、岸田文雄首相に挨拶する公明党の山口那津男代表。左は同党の石井啓一幹事長。(提供/時事)

  しかし、「政治家と宗教団体」の関係を個別に吟味すると、少し違った状況が見えてくる。特集「宗教を問う」の第4回は、宗教専門誌『宗教問題』編集長の小川寛大氏が、政治家と宗教団体の「いい加減な関係」と、宗教団体の未来は決して明るいものではなくなっている現実を解説する。

 ◆政治家がつながる宗教団体は統一教会だけではない

  統一教会との接点で注目を浴びた国会議員の一人に自民党の下村博文元文部科学相がいる。過去に統一教会関係の雑誌にインタビュー記事が掲載されたり、統一教会が現在の「世界平和統一家庭連合」へと名称変更された2015年時の文科相でもあることから、同教会との関係性が特別に濃いとされる人物だ。

 ただ、下村氏が接点を持ってきたとされる宗教団体は統一教会だけではない。彼は同時に崇教真光やワールドメイトといった新宗教団体とも親密な関係を取り沙汰されてきた人物であり、何より選挙の際には創価学会を支持母体とする公明党の推薦を受けている。

  同じく、自民党には山谷えり子参議院議員という国会議員がいる。彼女も過去に統一教会関係のメディアにインタビューが掲載されるなど、同教会との浅からぬつながりが指摘されている。しかし、山谷氏はそもそも神道の統括団体・神社本庁の関係政治組織である神道政治連盟の組織的なバックアップを受けて選挙を戦ってきた政治家であり、かつ、自身はカトリックを信仰するクリスチャンだと言っている。

 今マスコミで「統一教会と接点があった」とされる政治家の「宗教事情」を調べてみると、彼らが実に多種多彩な宗教団体と接点を持ってきたことが浮かび上がる。こうした構図から浮上する疑問は、「彼らは特定の宗教団体に洗脳され、その強い影響下にあるのではないか」といったものより「彼らはいったい何教の信者なのか。いったい宗教を何だと思っているのか」というものではないだろうか。 

  一般有権者が憤る以上に、各宗教団体は自分たちが政治家から都合よく〝二股、三股〟をかけられている現実に怒るべきであろう。もし仮に、自民党が統一教会から言われるがままの政治を行っているのだとしたら、創価学会にとっては「自民党との連立を解除せよ」と公明党に指示する理由にもなるはずだ。

 にもかかわらず、現在「政治と宗教」の問題について明確な意見表明をする宗教団体はほぼない。なぜなら、政治家も宗教団体も「もちつもたれつ」の関係にあることを互いによく知っているからだ。政治家が宗教団体に近づくのは信仰心などではなく、票や選挙運動支援をアテにしているからであり、宗教団体が政治家をイベントに招いたり祝電を要請したりするのは「自分たちはこんな国会議員とつながっている」という箔付け、広告塔に利用できるからだ。だから、宗教団体は政治家のいい加減な態度を黙認してきたのだ。

 ◆「宗教票」は着実に減っている

  政治家のいい加減な態度を黙認してきた果てに、とでも言っていいのだろうか、日本の宗教界は「国の政治を支配して操っている」どころか、足下の基盤が崩れかかっている。10~20年後、果たして宗教界がどのような惨憺たる姿になっているか、想像もつかない状態だ。

 1つのメルクマールとして、7月の参議院議員選挙結果を見てみよう。公明党が今回の選挙で全国から集めた比例票は618万票だった。公明党が国政選挙で集める比例票の数は2005年の衆院選における898万票を頂点に低落傾向にあるが、600万台前半に落ち込んだのは今回が初めてのこと。党本部が目標に掲げていた800万票には遠く及ばなかった。

 自民党の一部から「公明票は昔ほどあてにならない」という声も上がるなか、岡山選挙区では自民・小野田紀美候補が公明の推薦を断って勝利。また京都選挙区では公明票のかなりの割合が野党側に流れるなど、自公連立のゆがみが、かつてなく見られた選挙でもあった。

 また創価学会に次ぐ国内第2位の規模を持つとされる立正佼成会は、比例代表で推した白眞勲候補(立憲民主党)、藤末健三候補(自民党)のいずれもが落選する事態となった。立正佼成会が参院選比例で推薦した候補が全滅するのは、現行制度になって以降初めてのことである。

 幸福の科学を母体とする幸福実現党も党勢の衰えが目立つ。今回の比例代表で集めた票数は14万。幸福実現党は2009年の結党以来、国政選挙で一度も当選者を出したことはないが、20万~30万程度の比例票を集めてきた経緯がある。10万台前半にまで落ち込んだのは、やはり今回が初めてだ。

 衰退傾向にあるのは伝統宗教も同じだ。前述した自民党の山谷参院議員(比例)は神道政治連盟の組織的なバックアップを受けてきたが、今回の選挙で彼女が獲得した票は17万。当選はしたものの2016年の前回選挙で得た24万票から7万票も減らした。

 「宗教票」は着実に減っているのだ。 

 近年、「パワースポット」や「スピリチュアル」といった志向で神社仏閣に足を向ける若者が増えている事実はある。ただ、彼らは観光客的な目線で宗教的雰囲気を「消費」する人々であり、特定宗教団体に入信する例は少ない。

 統一教会も安倍氏銃撃事件が起きたがゆえに世間の注目の的になってしまったが、票数としては数万票程度。創価学会票はおろか幸福実現党の票数にも遠く及ばない。2012年に教祖文鮮明(ムン・ソンミョン)が死去して以降は妻の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁と息子たちによる親族内争いが表面化し、教団の求心力は衰えていた。安倍氏の事件がなくとも、組織としては既に息切れし始めていたのだ。

 ◆参政党と福音派が議席を確保

 ゆるやかに凋落してきた宗教界に、安倍元首相銃撃事件は衝撃をもたらしている。2022年の夏は、この国における「政治と宗教」の大きな転換点として記憶されるだろう。

 それは、安倍元首相銃撃事件が宗教団体の衰退に一気に拍車をかけるという意味だけではない。「政治と宗教」の新しい形が垣間見えたのだ。

 まずは国政選挙初挑戦で1議席を獲得した参政党の存在である。参政党は宗教政党ではないが、出馬した候補者たちに「宗教っぽい人々」が目立った。「聖書的保守主義を名乗る牧師」、「コロナ禍の到来を事前に予見したとする占星術師」、「他人の身体に触れることによって真なる健康と生命力を開花させると称するセラピスト」といった面々だ。

 参政党の候補者が選挙を通じて自分たちの「信者」を募っていた状況は確認されていない。ただし、スピリチュアルな「宗教っぽい癒し」を求める人々の共感を集めたのは事実だ。現に議席を確保しており、日本人の新しい宗教観を反映した政党と言えるのかもしれない。

 さらに、日本維新の会からは金子道仁氏というキリスト教福音派の牧師が比例で当選した。福音派は現在、世界的規模で存在感を増すキリスト教の一派で、政治的傾向は保守。特にアメリカのドナルド・トランプ前大統領の強力な支持基盤として知られた信仰勢力だ。キリスト教の地盤が薄い日本で、今後どこまで存在感を発揮していくかは未知数だが、福音派が日本の国会で議席を取った意味は小さくないだろう。

 連日のマスコミによる統一教会批判は「宗教は怖い」という社会の空気を強め、宗教団体の力を削いでいくだろう。その裏側で、スピリチュアルな雰囲気に下支えされた新しい「宗教っぽい運動」や外来の宗教が台頭している現実を見逃すべきではない。

 その意味でも2022年という年は、この国の宗教史の節目になるはずだ。

【東洋経済では宗教2世に関するアンケートを実施しています】

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 元稿:週刊東洋経済新報社 ONLINE 主要ニュース 社会 【ライフ・「宗教を問う」・担当者:小川 寛大 : 『宗教問題』編集長】 2022年09月07日 06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【新刊】:『創価学会 ~政治宗教の成功と隘路 ~』

2023-06-09 07:09:40 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【新刊】:『創価学会 ~政治宗教の成功と隘路 ~』

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊】:『創価学会 ~政治宗教の成功と隘路 ~』

 ■内容紹介

 何のために政治参加を指向するのか?

 創価学会はいかなる理念と組織戦略をもって戦後から現代まで生き抜いてきたのか。何のために政治参加を指向するのか?日本最大の教団である創価学会が日本社会に与える衝撃を政治との関係から読み解く意欲的論集。

創価学会

 ■著者からのコメント

 私たちは、政治宗教という耳慣れない言葉を創価学会という教団の特徴を示す分析概念として使っています。戦前の創価教育学会や戦後の創価学会は設立当初から政治参加を企図していたわけではありませんが、公明政治連盟が結成されてから現在に到る60年の歴史において、創価学会は政治に直接参加するための組織体制や運動形態に転換してきました。教説や信仰のあり方においても信者を政治参加に強力に動員する宗教の類型として、特定の政治家や政党を間接的に支援・後援する他教団とは性格を異にしています。

 本書では、創価学会の設立と教団成長・発展の経緯を歴史的にたどりながら、指導者や初期信者たちに抱かれた「勝利への渇望」という集合的記憶、選挙活動に活かされる信仰のあり方とジェンダー化される信仰と組織編成、創価学会信者が抱く平和と福祉の理念が政権与党となった公明党の現実路線によって揺らぐ状況、成長・成功神話に固執するがゆえの隘路を日本社会の将来展望と合わせながらみていきます。

 ところで、創価学会と政治とのかかわりを考察した本書の企画は数年前にさかのぼります。2011年に刊行した李元範・櫻井義秀編『越境する日韓宗教文化-韓国の日系宗教 日本の韓流キリスト教』(北海道大学出版会)の継続的な研究として、韓国で約140万人の信者人口を有し、韓国政界においても注目されている創価学会と日本の創価学会を比較しながら、政治宗教の日韓比較を行おうと考えたのです。

 しかし、両国ともに三年に及ぶコロナ禍と韓国における補足調査の困難などがあり、韓国側は原稿の集約を断念しました。出版の断念も考えたのですが、まずは日本側で研究成果を先に公開し、韓国側を待とうということにしました。その際、日本側の原稿だけでは一書にならないので、六章構成のうち櫻井が二章分、猪瀬がさらに一章を追加して粟津の章と併せることにしました。

 私たちの研究は宗教学や宗教社会学の学術書として執筆したものですが、同時に、宗教関係者や市民の方はもとより、創価学会の幹部、信者のみなさんにも読んでもらえるように宗教に関わる洞察を含めたつもりです。こうした試みがどれほど成功しているかは、読者の判断に任せるしかないのですが、ご高覧いただきご叱正を賜れることを願う次第です。

《目次》
 はじめに [櫻井義秀]
 第一章 創価学会研究の視点 [櫻井義秀]
 第二章 集合的記憶としての「勝利」への道筋 [櫻井義秀]
 第三章 創価学会の選挙活動と信仰 [猪瀬優理]
 第四章 「破られた契約」――路線変更とその現在 [粟津賢太]
 第五章 「家族」イメージとその政治性 [猪瀬優理]
 第六章 成長=成功神話――長期的展望を失うメカニズム [櫻井義秀]
 あとがき [猪瀬優理]
 執筆者一覧
 索引 

 発売予定日:2023-04-07 定価:2300円

 

著者略歴(櫻井 義秀)
1961年、山形県出身。北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授。専門は宗教社会学、タイ地域研究、東アジア宗教文化論。著書に『人口減少社会と寺院――ソーシャル・キャピタルの視座から』(共編、法藏館、2016年)、『東アジア宗教のかたち――比較宗教社会学への招待』(法藏館、2022年)、『統一教会――性・カネ・恨から実像に迫る』(中公新書、2023年)などがある。
著者略歴(猪瀬 優理)
1974年生まれ。北海道出身。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(行動科学)。現在、龍谷大学社会学部教授。専門は宗教社会学。著書に『信仰はどのように継承されるか――創価学会にみる次世代育成』(北海道大学出版会、2011年)、『基礎ゼミ 宗教学』(共編、世界思想社、2017年)、『現代社会を宗教文化で読み解く――比較と歴史からの接近』(共著、ミネルヴァ書房、2022年)などがある。

 元稿:法蔵館 主要出版物 教養・単行本・宗教 【創価学会 ~政治宗教の成功と隘路 ~】 2023年04月07日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察】:日本を揺るがす統一教会問題、それでは創価学会・公明党はどうなのか?

2023-06-09 07:09:30 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【考察】:日本を揺るがす統一教会問題、それでは創価学会・公明党はどうなのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察】:日本を揺るがす統一教会問題、それでは創価学会・公明党はどうなのか?

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題で深手を負った岸田政権だが、自民党と教団のつながりには長い歴史があり、遡れば知られざるエピソードが次々出てくる。だが、自公連立政権のバックには国内ではより大きい宗教勢力が付いている。

 ■【写真】安倍元首相の国会席に置かれた花束  

 安倍元首相はその昔「統一教会より創価学会の方が怖い」と漏らし、あの菅義偉元首相さえ「池田大作は人間の仮面をかぶった狼だ」と罵った。平和の党を標榜する公明党は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有になぜ声高に反対しないのか。『統一教会と改憲・自民党』(作品社)を上梓した評論家の佐高信氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)  

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  創価学会本部の広宣流布大誓堂(写真:アフロ)((C)Japan Business Press Co.,Ltd. All Rights Reserved)

 ──1984年に統一教会の開祖である文鮮明氏が米国? で脱税で逮捕された時、安倍元首相の祖父である岸信介元首相が当時の米大統領ロナルド・レーガン氏に釈放を求める手紙を出したというエピソードが本書の中で紹介されています。

 佐高信氏(以下、佐高):岸が統一教会と組んだのは共産主義の力を削ぐことが目的ですが、文鮮明もまたそこを利用した。お互いに利用する関係でした。

 たしかに、岸は文鮮明の釈放を求めてレーガンに手紙を送っていますが、当時の岸はもはや首相という立場ではなかった。どのようなルートでレーガンに手紙を出したのかは明らかにされていない。ここも問題だと思います。

 ──当時の自民党にとって共産主義はそれほどまでに恐れる存在だったということですか?

   佐高:自民党の中にも2つの考え方があったと思います。岸信介と石橋湛山のそれぞれ異なるスタンスです。石橋湛山は共産主義と競争する「共競」の姿勢でした。共産主義を恐れる必要はなく、競争したって負けやしないと考えた。この石橋湛山の考え方はその後、宏池会に引き継がれていきます。

 これに対して、岸信介などは「共産主義は許すまじ」と考えた。ここが大きな違いです。

 統一教会は霊感商法や高額献金の問題などもあり、警察の取り締まりの対象になりましたが、直後にオウム真理教の活動の方が問題視され、その陰に隠れて見過ごされてしまった。世の中の関心から逸れたところで増殖し、自民党の中にそれを利用した人たちがいたということです。

 【関連記事】

 ◎統一教会の裁判に何度も勝訴した弁護士が語る、規制づくりで肝心なのはここだ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72674)

 ◎ずっと闘い続けてきた弁護士が語る、これが統一教会の勧誘の手口だ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72682)

 ■ 「清和会こそカルトなのでは?」

 ──「岸に始まる統一教会との縁は岸派を継いだ福田赳夫の時に深まり、その派閥の清和会の後継者、安倍晋太郎にバトンタッチされ、息子の晋三がそれを決定的なものにした」と書かれています。自民党でも特に清和会と統一教会が深くつながっているのでしょうか? 

 佐高:岸信介の娘婿が安倍晋太郎ですが、安倍晋太郎、竹下登、宮澤喜一の3名が自民党の総裁選挙を争った時に、統一教会は安倍晋太郎を推しました。

 安倍晋太郎から安倍晋三に至るまで、清和会は宗教勢力と結びついてきた。「清和会こそカルトなのでは?」という印象さえあります。

 これに対して、石橋湛山の流れを汲む宏池会は政治と宗教を一緒にしてはならない、という信念を持っていた。天皇制との関わりからくる政教分離の発想です。

 このように岸信介と石橋湛山の考え方の違いが統一教会問題をめぐり、あらためて浮かび上がってきている印象がある。

 文鮮明は日本を支配しようとしていましたが、そのような統一教会と保守を標榜する清和会が手を組んでいた。清和会の単純さと薄っぺらさが見て取れ、まるでコメディーです。  

 ──清和会は霊感商法や高額献金などの問題を抱える統一教会と関係を持つことに危機感はなかったのでしょうか? 

 佐高:自民党には世襲議員が多い。選挙も伝統的に受け継がれてきた方法で周りがやるので、本人はあまり汚いことや難しいことを考える必要はありません。神輿は軽くてパーがいい。「ぼっちゃん、そちらにいてください」といった調子で。世襲議員は飾りなのです。

 福田赳夫の孫で、衆議院議員の福田達夫が統一教会との関係について、「なんでこんなに騒いでいるのか正直よく分からない」と発言して問題になりましたが、本音なんじゃないでしょうか。

 【関連記事】

 ◎元オウム・上祐史浩が語る、統一教会を解散させれば賠償もせず地下に潜る(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73392)

 ◎元オウム・上祐史浩が語る、文鮮明と麻原彰晃に共通する病理現象(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73393)

 ◎元オウム・上祐史浩が語る、統一教会から家族を脱会させる最善策(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73394) 

 長野 光

 元稿:JB PRESS  政治・経済 【政局・公明党・創価学会・担当:長野 光】2023年01月19日 12:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【創価学会】:統一地方選で激震 新聞は報じない 公明党が過去最多の落選者を出した本当の原因

2023-06-09 07:09:20 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【創価学会】:統一地方選で激震 新聞は報じない 公明党が過去最多の落選者を出した本当の原因

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【創価学会】:統一地方選で激震 新聞は報じない 公明党が過去最多の落選者を出した本当の原因 

池田大作名誉会長(新潮社)

 ◆敵陣にスパイも

 ◆2010年以来、表舞台に立たず

 元稿:新潮社 主要出版物 週刊新潮 【デイリー新潮・DAILY SHINCHO】 2023年05月02日 11:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【集英社新書】:日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す 著者: 橋爪 大三郎

2023-06-05 07:55:40 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【集英社新書】:日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す 著者: 橋爪 大三郎

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【集英社新書】:日本のカルトと自民党 政教分離を問い直す 著者: 橋爪 大三郎

 統一教会、日本会議…
 宗教社会学の第一人者がタガの外れた政教癒着を警告

 日本人は、宗教の訓練が足りない

  •  
  •  

◆内容紹介◆
 カルトが日本を、蝕んでいる。
 安倍晋三元首相暗殺を機に、統一教会が自民党に喰いこんでいた実態が明らかになった。
 だが、病巣はもっと深い。
 統一教会以外の宗教勢力も自民党に隠然と影響を与えている。
 なぜこんなことになってしまったのか? 
 原点に立ち戻り、政治と宗教の関係を考え直す必要がある。
 政府職員も市民もカルトの正体を見抜く基礎知識を身につけよう。
 そして政教分離の原則を改めて体得しよう。
 本書は宗教社会学の第一人者がカルト宗教の危険性を説き、民主主義と宗教のあるべき関係について、基本から明快に解説する。

◆識者の評◆
 オウム事件や統一教会問題を経験した日本でもっとも必要な知識がここにある。
  ――有田芳生氏(ジャーナリスト/『改訂新版 統一教会とは何か』著者)

 当代随一の泰斗が、
 その尋常ならざる「読む力」と「書く力」の双方を注ぎ込んだ本書は、
 今後「政治と宗教」の議論に参加する人々にとっての、
 ひとつの確かな羅針盤になるに違いない。
 ――菅野完氏(著述家/『日本会議の研究』著者)

◆目次◆
  序  カルト原論
 第1部 生長の家から日本会議へ
 第2部 統一教会と自由民主党
  結  政教分離と民主主義

 ◆こんな疑問にも答えます◆
 Qカルトは、ふつうの宗教とどう違いますか?
 Q仏教にも出家があって、俗世間と離れます。これはカルトではない?
 Qカルトはもともとよくない意味なのですか?
 Qカルトが、カルトでなくなることもありますか?
 Q仏教も、カルトになるのですか?
 Q神道は、カルトになりますか?
 Q政教分離とは、どういうことなのですか?
などなど 

  • 発売日:2023年3月17日
  • 定価:本体1160円+税

◆著者略歴◆
 橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう)
 1948年生まれ。
 社会学者。
 大学院大学至善館教授。
 東京工業大学名誉教授。
 著書に『はじめての構造主義』『言語ゲームの練習問題』(講談社現代新書)、『アメリカの教会』(光文社新書)他多数。共著に『ふしぎなキリスト教』(大澤真幸との共著、講談社現代新書、新書大賞2012)、『おどろきのウクライナ』(大澤真幸との共著)『一神教と戦争』『中国共産党帝国とウイグル』(中田考との共著、集英社新書)等がある。

 元稿:集英社 主要出版物 【集英社新書】 2023年03月17日 09:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新宗教とは何か】:大川隆法は大統領、麻原彰晃は神聖法皇…天皇制とのかかわりに注目すると理解できる

2023-05-28 07:54:40 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【新宗教とは何か】:大川隆法は大統領、麻原彰晃は神聖法皇…天皇制とのかかわりに注目すると理解できる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新宗教とは何か】:大川隆法は大統領、麻原彰晃は神聖法皇…天皇制とのかかわりに注目すると理解できる

 平成時代の新宗教は天皇をどう位置付けていたのか。宗教学者の島田裕巳さんは「高度経済成長時代に大きく発展した新宗教においては、天皇という存在はことさら意識されず、信仰対象となる神仏と天皇との関係についても特に言及されることはなくなっていた」という――。

 【この記事の画像を見る】  

 ※本稿は、島田裕巳『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)の一部を再編集したものです。<button class="sc-yyapj QSknM" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-yyapj QSknM" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kana Design Image</button>

 ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kana Design Image(株式会社プレジデント社)

 ■オウムや幸福の科学が登場した平成時代  

 1989年1月8日、昭和天皇の崩御によって、新しい天皇が即位し、平成の時代がはじまった。ベルリンの壁が崩壊したのは、この年の11月9日のことだった。これはやがてソ連邦を中心とした共産主義圏の解体に結びつき、長く続いた冷戦に終止符が打たれた。

 国内的にも、この年の大納会で株価は3万8915円87銭という終値の最高値をつけるが、年が明けると暴落し、株価とともに上昇を続けてきた地価も下落する。これによってバブルが崩壊したとされた。  

 平成という新たな時代は、国内外における激動からはじまった。

 宗教にかんしては、1980年代中頃からのバブルの時代においてブームとなり、オウム真理教や幸福の科学といったこれまでとはタイプの異なる新宗教が登場した。オウム真理教は、95年に地下鉄サリン事件を起こし、世界に衝撃を与えるが、実は、既成の神道や仏教の信者数は地下鉄サリン事件が起こる前の90年代前半がピークで、それ以降、急速に信者を減らしていく。一般の新宗教も同様で、新しく信者が増えていく状態ではなくなり、高度経済成長の時代に入信した信者の高齢化も進んだ。

 ■戦争とは無縁の平成の天皇  

 平成時代の天皇のあり方は昭和時代とは大きく異なった。

 もっとも大きな違いは、昭和天皇が戦争との結びつきが強かったのに対して、平成時代の天皇にはそれがなかった点である。昭和天皇は、大日本帝国憲法によって神聖化された天皇としての時代を経験している。また、戦争責任を問われる立場にもあった。

 それに対して、平成時代の天皇は、最初から日本国憲法のもとにあり、戦争とは無縁だった。天皇自身も、皇后とともに慰霊の旅を続け、平和の重要性を強調することを試みた。

 ■現人神から象徴となった天皇  

 世論調査の結果でも、平成の時代に入ると、天皇に対する好感度は一気に上昇し、時代が進むにつれて、天皇を尊敬する割合が高まった。天皇に反感を抱く人間は、平成の終わりになると、ほとんどいなくなる。象徴天皇制は、平成の時代に広く国民に受け入れられたのである(涌井秀行「昭和・平成・令和の天皇の代替わりと戦後日本――戦後権威・権力としてアメリカ=象徴天皇制――」『Prime43』2020年3月31日)。

 これは、天皇という存在が、現人神という側面をほぼ完璧に喪失したことも意味する。たしかに、天皇が日本国の象徴である根拠は、究極的には神話に求めるしかないわけだが、日本国憲法では、国民の総意によると規定された。戦後は、「開かれた皇室」がスローガンとして掲げられたが、それには国民の支持が不可欠であり、その条件は平成の時代に十分に満たされるようになった。

 ■天皇の宗教界への影響がなくなった  

 開かれた皇室における天皇は、現人神としての天皇とは大きく異なる。現人神であることが特に強調されたのは、日中戦争がはじまってから文部省が刊行した『國體の本義』を通してだが、天皇を中心とした政治体制である国体が不敬罪や治安維持法によって守られることで犯し難い神聖性を保持した。そのことが宗教界全体に影響した。昭和天皇にはまだその名残があったが、平成以降になると、そうした面は一掃される。

 高度経済成長時代に大きく発展した新宗教においては、天皇という存在はことさら意識されず、信仰対象となる神仏と天皇との関係についても特に言及されることはなくなっていた。創価学会の戸田城聖が説いた国立戒壇は、国柱会の田中智學が説いたもので、智學は天皇の発する勅宣を前提とし、帝国議会の議決を経て建立されるとした。それに対して、創価学会の国立戒壇は、国会の議決によるものとされ、そこに天皇は介在しなかった。そもそも戦後の社会では、天皇の直接の命令である勅宣自体が存在しなかった。

 ■戦前の皇国史観に立ってはいない顕正会  

 創価学会が国立戒壇建立の計画を捨てたことを批判し続けてきたのが冨士大石寺顕正会である。顕正会は、東京妙信講という日蓮正宗の法華講からはじまるが、創価学会だけではなく、日蓮正宗とも対立するようになり、1974年に日蓮正宗から講中解散処分を受け、日蓮正宗顕正会として独立し、96年にはそれを冨士大石寺顕正会に改めている。

 顕正会の国立戒壇では、天皇をはじめとする皇族が入会することが前提になっており、皇室、もしくは政府の宣命で着工されることになっている。これは智學が主張した国立戒壇のあり方に近い。ただ、天皇が国主であることは認めているものの、戦前の皇国史観に立っているわけではない。顕正会は、国立戒壇の建立を目的に掲げていても、実際に政治の世界に進出しているわけではなく、会員が選挙に出ることもない。その点で、政権を奪取しようとしているわけではなく、天皇、ないしは天皇制をどうするかというプランも持ってはいない。

 ■「麻原は神聖法皇」

 天皇の代わりを占めようとするオウム真理教の思想  平成の時代になって、政治の世界に直接進出を試みたのは、オウム真理教と幸福の科学である。オウムは、1990年の衆議院議員選挙の際に真理党という政党を結成して臨み、教祖の麻原彰晃をはじめ25名の幹部が立候補した。しかし、全員落選し、供託金も没収されている。

 オウムは、自分たちが落選したのは票のすり替えがあったからだと主張し、一連のオウム裁判では、それが教団の武装化に結びついたとされた。武装化は、それ以前から行われており、それだけが理由とは思えないが、その後、オウムは国家転覆を計画し、麻原は「真理国基本律」、あるいは「太陽寂静国基本律」と呼ばれる憲法を策定する。このオウム憲法は、神聖法皇によって制定されるもので、神聖法皇自身が唯一の主権者とされていた。麻原の名はあげられていないが、神聖法皇が麻原であることは明らかだった。

 その第一条では、「神聖法皇は、(シヴァ大神の化身であり、)大宇宙の聖法の具現者であって、何人といえども、その権威を侵してはならない」とされる。大日本帝国憲法の天皇の規定をそのまま流用していることは明らかである。  麻原が天皇の代わりの地位を占めようとしたところでは、璽宇(じう)や天照皇大神宮教の発想に近い。ということは、平成の時代にはまったく意味を持たないものだということになる。麻原は熊本の出身で、熊本は保守色の強い地域である。そうした地域性がこの憲法にも反映されている可能性がある。

 ■国政選挙に挑戦し続ける幸福実現党  

 幸福の科学の場合には、2009年に幸福実現党を結成し、同年の衆議院議員選挙には337名もの候補者を立てたものの、全員が落選し、供託金も没収されている。その後も、国政選挙に挑戦し続けているが、当選者は出していない。一時、すでに議席を持つ議員が入党していた時期があるが、国会に議席を持っていたのはそのときだけである。ただ、地方議会では、幸福実現党は当選者を出している。

 ■大統領制を推す幸福の科学  

 衆議院議員選挙に挑戦するにあたって、幸福の科学では、『新・日本国憲法試案』を発表している。これは書物の形で幸福の科学出版から刊行されたが、前文と16条の条文からなっていた。あわせると17条で、聖徳太子の十七条の憲法が意識されていた。実際、第一条では、「国民は、和を以って尊しとなし、争うことなきを旨とせよ。また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ」と、十七条の憲法を下敷きにしていた。

 この憲法は、国民投票によって選出される大統領が元首となり、強い権限を与えられていることに特徴があった。大統領制となると、天皇の地位が問題になるが、第十四条では、「天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める」とされ、その点で天皇を日本国の象徴とする現行憲法とは内容が大きく異なっていた。尊重が何を意味するのか、具体性がないが、日本を共和制の国家に転換することが、その主旨となっている。

 この憲法では、教祖である大川隆法が大統領となることが想定されているのであろうが、大統領は国民投票で決定されるので、それが前提とされるわけではない。大統領制を採用するなら、天皇制を廃止するのが当然の流れかもしれないが、そこまで踏み込んではおらず、徹底さを欠いている。それは、天皇という存在を幸福の科学が格別意識していないということでもある。この点に、天皇ということと深くかかわる新宗教をめぐる政治的な環境は、平成になってかなり変化してきたことが象徴的な形で示されているのである。

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 島田 裕巳(しまだ・ひろみ) 宗教学者、作家 放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)など著書多数。

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 元稿:PRESSIDENT Online 主要ニュース 社会 【話題・新宗教とは何か・担当者:宗教学者、作家 島田 裕巳】 2023年02月23日 14:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【緊急出版!】:「宝島社新書」新宗教と政治と金

2023-05-28 07:54:30 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【緊急出版!】:「宝島社新書」新宗教と政治と金

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【緊急出版!】:「宝島社新書」新宗教と政治と金

 卑弥呼の時代から、日本では政治と宗教は一体の関係にあった。今、その点が統一教会の問題を通じて改めて浮上した。宗教は世界を、そして社会を変えようとする運動であり、必然的に政治と関わる。

 とくに戦後の新宗教は、創価学会に代表されるように政治の世界に深く浸透してきた。その実像はいかなるものなのか。創価学会や統一教会をはじめ、生長の家や幸福の科学など具体的な新宗教の事例を通じて、豊富な資金力を背景に日本を動かしてきた新宗教の実態に迫る。

 日本中を震撼させた安倍晋三銃殺事件。背景には、容疑者の母が入信している旧統一教会の影響があるとされ、日本中が旧統一協会をはじめとした新宗教と政治との関係に注目しています。

 昭和中期以降は、統一協会ほか宗教右翼と自民党を中心とする保守勢力との関係が深まったことが明らかになりつつあり、また近年の政治問題の陰では、宗教右翼の暗躍がありました。

 本書は、宗教学者であり、政治と宗教の関係を追ってきた島田裕巳氏が、政治と新宗教と金の関係を浮き彫りにします。

 ■隠された戦後史

 統一教会も創価学会もこうして国政に食い込んだ!

 生長の家、神社本庁、天理教、霊友会、立正佼成会、幸福の科学、PL教団 ほか

 安倍元首相暗殺でわかった自民党と新宗教の隠微な関係

 ――新宗教の歴史は、日本の戦後史でもある。

 生長の家も統一教会も、反共産主義の運動を組織することによって、政治の世界に食い込み、その社会的な影響力を増そうとしました。(本文より)

 ◆目次

 第1章 なぜ3人のA級戦犯は釈放されたのか

 第2章 高度経済成長と新宗教の巨大化

 第3章 創価学会の資金力と政治進出

 第4章 たった一人の反乱――政教分離をめぐって

 第5章 政治と宗教は分けられるべきなのか

 第6章 「無宗教」であることの問題

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 ◆島田 裕巳(しまだ ひろみ) プロフィール

1953年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究課博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、NPO法人葬送の自由をすすめる会会長を歴任。現在は作家、宗教学者、東京女子大学・東京通信大学非常勤講師。主な著書に『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書)、『創価学会』(新潮新書)、『新宗教 驚異の集金力』(ビジネス社)、『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社新書)など多数。

 著者:島田裕巳
 発売日:2022年10月7日
 価格:990円(税込)

 元稿:宝島社 主要出版物 【宝島社新書】 2022年10月07日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ちくま新書】:新宗教を問う ─近代日本人と救いの信仰

2023-05-28 07:54:20 | 【新宗教=新興宗教と呼ばれる教団は多岐にわたり、時代的には19世紀に創始さ...

【ちくま新書】:新宗教を問う ─近代日本人と救いの信仰

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ちくま新書】:新宗教を問う ─近代日本人と救いの信仰

 創価学会、霊友会、大本、立正佼成会──。なぜ日本では新宗教がかくも大きな存在になったのか。新宗教から日本人の精神の根源に迫り、現代の救済のかたちを問う。

新宗教を問う ─近代日本人と救いの信仰

 ■この本の内容

 創価学会、霊友会、大本、立正佼成会、PL教団、天理教―。日本ほど新宗教が大きな力をもつ国は世界に類例がないといわれるが、どうして日本で新宗教はこれほどの影響力をもつのか。近代に大発展した新宗教はなぜ現代において衰退しつつあるのか。救いの信仰に向けられた人々の心はどこへ向かっているのか。この三つの問いはそのまま日本の近代とは何かを問うことでもある。「宗教からスピリチュアリティへ」の転換期にある現代において、人間を救済できるのか。「新宗教」が明らかにする、時代の相貌と日本人の精神の根源に迫る。

 価格:1,034円(税込)

この本の目次

 新宗教とは何か
 新宗教としての創価学会
 創価学会―弾圧と戦後の変容
 法華系の新宗教―霊友会系の新宗教教団
 大本の誕生と背景
 二度の大本事件
 新宗教発展の社会背景
 新宗教の思想と信仰
 江戸時代に形づくられた発生基盤
 明治維新期の新宗教の展開
 救済宗教としての新宗教
 現代日本人の宗教意識の変容
 新宗教の後退とオウム真理教
 新宗教と新宗教以後のスピリチュアリティ
 「救い」にかわるものを求めて

 ■著作者

島薗 進
島薗 進 シマゾノ ススム

 1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業。現在、東京大学文学部・大学院人文社会系研究科宗教学・宗教史学研究室教授。主な研究領域は比較宗教運動論、近代日本宗教史、著書に『スピリチュアリティの興隆』(岩波書店)、『いのちの始まりの生命倫理』(春秋社)、『<癒す知>の系譜』(吉川弘文館)、『ポストモダンの新宗教』(東京堂出版)、『現代宗教の可能性』(岩波書店)、『精神世界のゆくえ』(東京堂出版)、『現代救済宗教論』(青弓社)など。編著に『何のための<宗教>か?』(青弓社)、『宗教学文献事典』(弘文堂)、『宗教学キーワード』(有斐閣)など多数がある。

【書評】 『新宗教を問う: 近代日本人と救いの信仰』 島薗 進

 新宗教が日本で強い影響力をもっていることはよく知られている。政党と結びつき、選挙の際には大きな力を発揮する。教団本部その他の施設が置かれ、新宗教の城下町のようになっている地域さえある。公称ではあるが、日本に100万人以上の信徒を有する新宗教は7団体あり、伝統宗教の信徒数をはるかに上回る団体が数多く存在する。

 かくも大きな勢力をもつ新宗教が、いかに誕生し、何によって人々の心を引き寄せたのか、またどのように発展し、現在どんな活動を行っているのか、新宗教を学ぶ意義は小さくない。

 著者は本書を、宗教学者としての集大成と位置づける。「長い時間をかけて取り組んできた新宗教研究の全体を、手頃なサイズでまとめたいと思った。集大成といっても研究書ではなく、研究水準は踏まえつつも読みやすい概説書の形にしようと考えた」(「あとがき」)

 新宗教はその活動開始時期から大きく四つに分けることができるという。第一期は19世紀はじめから明治時代中期で、天理教、黒住教、金光教など。第二期は明治後期から大正期で、大本、国柱会などがあり、宮沢賢治も国柱会に所属していた。第三期は1920~60年代で、創価学会、霊友会、(大本から分かれた)世界救世教、生長の家、立正佼成会、PL教団などが勢力を伸ばす。この時期は新宗教の最盛期で、「神々のラッシュアワー」とも称される。第四期は1970年以降であり、阿含宗、真光、統一教会、オウム真理教、幸福の科学などが含まれ、新宗教よりも新しいため「新新宗教」とも呼ばれる。またこの時期に伸長が著しかったのは真如苑とエホバの証人である。

 これらの各新宗教について、その起こりから現在までの歴史、教祖とその来歴、基本教理、布教方法、組織の特徴、国家との関係などが資料を交えて詳説されている。どの団体に対しても客観的な記述に徹し、たとえ奇妙な教えや活動であったとしても、それら新宗教に向かう日本人の心性に焦点を当てているのが本書の特徴でもある。

 後半では、新宗教が発生した背景を探る。江戸時代から明治期の民俗宗教が基盤となっていることを明らかにしつつ、当時の日本の社会情勢を検討し、人々の心をつかんだものが何であったのかを見極めようとする。また、救いの宗教とは何か、救いの観念がなぜ重要かを問い、「宗教とは何か」という宗教論や救済観に発展して論考する。

 終章にかけては、1970年代以降の日本の宗教やスピリチュアリティの動向を捉えて、新宗教の先にあるものを展望する。近代に大発展した新宗教はなぜ現代において衰退しつつあるのか、救いの信仰に向けられた人々の心はどこへ向きを変えていくのかを考察し、新宗教が担ってきた精神文化を引き継ぐものとして、新たなスピリチュアリティの諸形態に注目している。

 日本の近代化と共にあった新宗教。「救い」に代わるものを求めて、人々の心は今後どこへ向かうのか。本書は現代の視点から新宗教全体を捉え返し、現代人のスピリチュアリティ(霊性)を再考する機会を与えてくれる。

 元稿:筑摩書房 主要出版物 【ちくま新書】 2020年11月05日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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 ◆なぜベールに包まれているのか

 「宗教法人法が、宗教団体に『法律上の能力を与える』ことを目的としている性質上、財産管理や業務事業の主体は、あくまで法人格を得た『宗教法人』であり、同法第25条第3項の閲覧請求・情報開示に応じるか否かは、宗教法人が判断いたします」

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 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【担当:伊藤 博敏(ジャーナリスト)】  2022年12月08日  06:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【論点】:「宗教が怖い」日本社会

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【論点】:「宗教が怖い」日本社会

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【論点】:「宗教が怖い」日本社会

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令問題は9日、宗教法人法に基づき文部科学省が教団側に報告を求めた事項の回答期限を迎えた。「宗教は怖い」と思われがちな日本だが、クリスマスや初詣など宗教行事だらけだ。「自分は無宗教」と信じる人が多い背景や、政教分離が特に厳格なフランスとの対比で考える。

 ◆習俗とカルトの両極で 磯前順一・国際日本文化研究センター教授

 日本では自分が「無宗教」だと信じる人が多い。「宗教は怖い」と言う一方、クリスマスを祝った1週間後には、神社へ初詣に行く。社会や家庭などに埋め込まれた宗教由来の行事や儀礼は、すべて習俗として理解され、宗教とは無関係だと信じられている。、残り3685文字(全文3980文字)

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【論点】  2022年12月09日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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