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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER・04.23】:鹿児島県公安委員会の機能不全

2025-04-23 05:15:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・04.23】:鹿児島県公安委員会の機能不全

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・04.23】:鹿児島県公安委員会の機能不全 

 鹿児島県警は昨年9月、2021年に起きた鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件に関するハンターの質問取材に回答を拒否した。同様の質問を行った他のメディアには回答しており、県警の腐敗を厳しく追及してきた本サイトだけを不当な扱いで排除した形となっていた。同年11月、県警の方針を不当とみて県公安委員会に抗議文を送付し見解を求めていたが、5カ月経った現在も連絡さえない。鹿児島の公安委員会は機能不全に陥っている。

 ■強制性交事件に関する県警の取材拒否

 鹿児島県警察本部総務課広報係あてに送ったのは、2021年秋に発生した鹿児島県医師会の男性職員(22年10月に退職。以下「男性職員」)による強制性交事件に関する質問書だった。質問の概要は以下の通りだ。

・鹿児島県警中央警察署が、被害女性の告訴状提出を事実上の門前払いにしたのは事実か?

・男性職員が、県警の元警部補だった父親と中央警察署を訪れ、当該事件について相談したのは事実か?また、その際、父親の元警部補は同席していたか?

・男性職員が被害女性の雇用主を訴えた件の取調べで、男性職員の父親が同席したことはあるか?

・鹿児島県医師会の幹部(当時)が、当該強制性交事件について鹿児島県警の警察官より「刑事事件には該当しない」、「暴行と恐喝で負けることはない」などと申し向けられた旨を発言しているが、県警側がこうした発言を行った事実はあるか?

 質問取材の目的は、これまでハンターが報じてきた県医師会の男性職員による強制性交事件を巡り、捜査を担当した鹿児島中央署が、告訴状提出に出向いた被害女性を門前払いにしたことや、男性職員と元警察官の父親が事件発覚前に同署に相談していたか否かの確認だ。もう一点、県医師会の池田琢哉前会長や大西浩之副会長(前・常任理事)が男性職員から聞いたとしていた県警の見立て――「刑事事件には該当しない」、「暴行と恐喝で負けることはない」――が実際に警察側から発せられたものかどうかを確かめる必要があった。

 これに対し県警は、「組織として回答しないことを決めた」という訳の分からない理由で取材拒否。しかし質問内容は、県警が県議会総務警察委員会における質疑の中で認めたものばかりで、事件性がないとの県警の見解については、県医師会の弁護士が会見で「男性職員からそう報告を受け、(池田)会長に伝えた」などと明言していた。

 ハンターが質問書を送付した当時、週刊金曜日のウェブ版が『鹿児島県警、強制性交事件もみ消し疑い 元警察官の父親が相談後、警察署が女性の告訴状受理拒否』という見出しで、強制性交事件に関する記事を配信しており、ハンターの質問対象となった事項が開示された情報であることは明らかだった。

 不当な取材拒否を受けてハンターは、昨年11月に鹿児島県公安委員会に対して「苦情申し立て」を郵送。公安委員会としての見解を求めていた。申し立てに記した「抗議の趣旨」を以下に示す。

【抗議の趣旨】

 質問内容は、何らかの形で事実であることが明らかになったものばかりで、県警はすでに県議会総務警察委員会での質疑の中で「門前払い」を「受け渋り」という言葉で認めていました。また、男性職員と元警察官の父親が、2021年の12月に中央署に行って事前の相談を行っていたことも、8月6日の県議会質疑で県警側が認めています。

 事前相談とその時の「事件性なし」という結果については、県医師会が6月27日に開いた記者会見の席上、同会の顧問弁護士である新倉哲朗弁護士が「男性職員からそう報告を受け、(池田)会長に伝えた」などと明言しており、県警が、門前払いや事前相談の実態を隠さなければならない理由は見当たりません。

 そもそも、ハンターが質問書を送付した8月27日、週刊金曜日のウェブ版が「鹿児島県警、強制性交事件もみ消し疑い 元警察官の父親が相談後、警察署が女性の告訴状受理拒否」という見出しで、強制性交事件に関する記事をウェブ上で記事を配信。その記事は、2021年12月に男性職員が相談のため中央署に出向いた際、同席者が元警察官の父親と弁護士だったことを県警が初めて認めたと報じるものでした。元警察官の父親が同席したという事実が、開示された情報だったことは明らかです。

 さらに県警は、同様の質問を行った新聞社にも回答しており、具体的な理由も述べずに、「組織の判断」などという曖昧な表現をもって、弊社の質問取材にのみ取材拒否をすることは、著しく公平性を欠くものと思料いたします。

 また、当然に説明責任を果たすべき事案について報道機関ごとに対応姿勢を変えることは、形を変えた不当な言論弾圧だと言っても過言ではないと考えます。

 以上の点について苦情を申し立てると同時に、県公安委員会の見解をおうかがい致します。

 質問書の日付は令和6年11月10日。5か月ほど経った現在も連絡さえない。今月初め、どのような扱いになっているか尋ねたが、「やっています」程度の返答だった。機能不全ということだ。

 ■県警の追認機関

 同委員会が県警の追認機関となっていることは証明済みだ。2023年2月に鹿児島県霧島市で起きたクリーニング店で働く20代の女性に対するストーカー事件を巡っては、ハンターの取材や県議会質疑などから、事件捜査の初動を担うはずだった霧島署が「苦情・相談等事案処理票」のデータを消去したり、犯人が映っているはずの防犯カメラ映像を隠滅するという手口で、事実上の事件もみ消しを図っていたことが分かっている。しかし、県公安委員会は、この件についての被害女性からの「苦情申し立て」に対し、不当捜査の実態を隠した虚偽ともとれる県警の言い分を、疑うこともなく容認し、被害女性に通知していた(*既報)。鹿児島の公安委員会はまるで県警の追認機関。この組織に、警察を管理する能力があるとは思えない。

 ちなみに、霧島ストーカー事件における苦情申し立てに対する回答にかかったのは、わずか24日間。前述したように、ハンターの苦情申し立てに対する回答は5カ月経ってもない。理由は何か?

 (中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・鹿児島県警は昨年9月、2021年に起きた鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件に関するハンターの質問取材に回答を拒否した】  2025年04月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・04.08】:変わらぬ鹿児島県警の腐敗体質|ハンター家宅捜索から1年|隠蔽される警察庁キャリアの不正

2025-04-23 05:15:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・04.08】:変わらぬ鹿児島県警の腐敗体質|ハンター家宅捜索から1年|隠蔽される警察庁キャリアの不正

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・04.08】:変わらぬ鹿児島県警の腐敗体質|ハンター家宅捜索から1年|隠蔽される警察庁キャリアの不正 

 鹿児島県警による家宅捜索(ガサ入れ)から1年経った。昨年4月8日の朝、株式会社ハンターの事務所となっている記者の自宅に押し掛けたのは10人の県警捜査員。現場の責任者だという警部は、県警の現職警官による情報漏洩の関係先として室内及び社有車を検索し、証拠品を押収する目的だと説明した。他社の取材や招かれた講演のたび聞かれるが、ガサ入れの妥当性や当日の状況については県警側の公表内容と当方の見解に大きな違いがある。改めてガサ入時の状況や、その後の県警の動きについてまとめた。

 ■不当な「ガサ入れ」の実態

 記者は捜索差押許可状(ガサ状)に記されていた内容を知らない。読み上げを断った記者は直接見せるように言ったが、捜査員は右手に掲げて「示した」だけでガサ状を手放そうとしなかったからだ。チラリと見たのは、屋内に入ってきた捜査員が持っていた文書――おそらくガサ状――に書かれていた当該事件の被疑者名だった。罪名と被疑者を正確に理解したのは、ガサ入れの最後に渡された「押収品目録交付書」(*下の画像参照)を見てからだった。

 ガサ入れの目的は、事件の発端となった県警の内部資料「告訴・告発事件処理簿一覧表」の現物を押さえ、被疑者と記者の関係を示す証拠を見つけることにあったはずだ。しかし、処理簿一覧表の現物は他所に預けていたため不存在。ファイルの中に数枚のコピーが残っているだけだった。県警は、今日に至るまで処理簿一覧表の現物を、見ても触れてもいない。

 ガサ入れで真っ先に押さえられたのは業務用のパソコンとスマートフォン。特にスマホの押収は、弁護士に連絡しようとした記者から強引に取り上げるという乱暴なやり方だった。弁護士に連絡することを拒まれたということだ。許されたのは、固定電話で、翌日に配信予定だった記事を寄稿していたライターへの「配信不能となる可能性」を伝えることだけで、これは「業務妨害」との指摘を避けるためだったと思われる。パソコンとスマホは翌日返却されたが、これも当方が「業務妨害」を強く主張したからだった。

 そもそも、ハンターがガサ入れを受けるいわれはない。昨年2月、記者は処理簿一覧表の現物を条件付きで渡すため、県警本部を訪ねていたからだ。条件とは、情報漏えいの事実を公表し、なぜそうなったかも含めて謝罪すること。当方の狙いは、鹿児島県医師会の男性職員による強制性交事件で不当捜査が行われたことを周知させることにあった。この折県警は、処理簿一覧表に記載された関係者に内々で話をつけようと動いていた警察官への面会を求める記者の要請を頑なに拒み、「要件は取材と判断した。広報が対応する」と言い張った。これは県警が、ハンターを「取材者=報道機関」として扱っていたことを示している。

 当方の申し出を拒否した県警はその後、さらなる処理簿一覧表の流出を受け、「地方公務員法違反」での立件に向けて動きを早めていく。県警に当事者資格なしと判断した警察庁の強い指示があったことは確かだ。

 ■でっち上げた国家公務員法違反事件で「公益通報」潰し

 ガサ状を発行した裁判所が認めた押収物は、「地方公務員法違反事件」に関してのものだ。しかし県警は、ガサ入れで押収したパソコンにあった別の文書から県警の元生活安全部長を割り出し、「国家公務員法違反事件」をでっち上げる。その文書とは、北海道のジャーナリスト小笠原淳氏に元生安部長が郵送したもの。内容が、県警本部長による不当な捜査指揮を暴いた明らかな「公益通報」だったため、あわてた警察庁や県警が、組織内の不正隠ぺいに走らざるを得なかったと考えられる。公益通報者保護法を無視したあげく、通報者を犯罪者に仕立てて逮捕するという理不尽な事案処理だったと言えるだろう。

 元生安部長の国家公務員法違反事件は、公益通報を認めたくない警察組織による悪質な「でっち上げ工作」の証左である。背景にあるのは、「威信」のためなら犯罪行為も辞さない腐った警察組織の体質だ。県警本部長は警察庁キャリア。同庁が組織の体面を守るため、なりふり構わぬ動きに出た可能性は否定できない。後述するが、この方針は、その後に起きた別の国家公務員法違反事案でも貫かれている。

 ■「情報漏えい」で異なる対応 ― 地元出身は逮捕、キャリア2課長は軽い処分

 鹿児島県警は今年2月、捜査2課長だった安部裕行警視(29)を知人女性に対する不同意性交の疑いで書類送検。さらに先月、同警視は、捜査情報を漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反容疑でも書類送検されている。複数の女性との不適切な交際も明らかになっているが、県警の処分は「停職1カ月」という極めて軽いものに終わった。

 同じ情報漏えいでありながら、地元のたたき上げ警察官は逮捕、警察庁キャリアは軽微な処分だけという著しく公平性を欠く対応は、公益通報を潰すため野川明輝前県警本部長による事件の隠ぺいを早々に否定した警察庁の姿勢に通底する。「正義」ではなく組織防衛を優先させた警察組織に対し、県民や県議会関係者からはもちろん、県警OBからも非難の声があがる状況だ。

 容認できないのは、昨年4月のハンターへのガサ入れや、逮捕された二人の元警官に関する情報漏洩事件の捜査指揮を執っていたのが2課のトップだった安部警視だったということ。正義を実現しようとして公益通報を行った警官に情報漏えいの疑いをかけ逮捕させるという異常な捜査指揮をしていた張本人が、自身の付き合い相手の女性にその捜査情報を漏らしていたというのだから開いた口が塞がらない。その安部警視が、不同意性交に加え情報漏えいという犯罪行為を重ねていながら逮捕を免れたことには、怒りさえ覚える。これで鹿児島県民の信頼が得られるはずがない。

 ■強制性交事件

 軽重に差はあれ、鹿児島県警の情報漏えい事件で処分されたのは元巡査長、元生安部長、前2課長の3人だ。これまで何度も言及してきたが、一連の事件の起点となったのは2021年秋に発生した鹿児島県医師会の男性職員(2022年に退職)による強制性交事件である(その事件に関する詳しい経緯は弊社の配信記事をまとめた『追跡・鹿児島県警 闇を暴け』=南方新社刊・Amazonで購入可能=をご覧いただきたい)。「強制性交」が刑法改正後に「不同意性交」と変わったことは周知の通り。皮肉というしかないが、キャリア警視の犯罪行為が表面化した原因は、知人女性に対する不同意性交=強制性交だった。

 世間知らずの29歳の若者が、捜査2課長という重責を担いながら、自身が指揮する性犯罪絡みの情報漏えい事件に関する捜査情報を漏らしていたという事実――。記者以上にやりきれぬ思いを抱いているのは、強制性交事件の被害者女性と逮捕された二人の元警察官ではないだろうか。

 ところで、その強制性交事件だが、告訴状受け取り拒否に始まった県警のデタラメ捜査とそれを追認した検察が出した答えは「不起訴」。刑事事件は終わった形となっていたが、被害女性が元男性職員に対して損害賠償を求めた民事訴訟は、思いもよらぬ展開となっている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警による家宅捜索(ガサ入れ)から1年経った。県警の現職警官による情報漏洩の関係先として室内及び社有車を検索し、証拠品を押収する目的だと説明した】  2025年04月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・04.01】:【鹿児島県警の闇】:見逃がし?廃棄?|捜査記録なき警官犯罪

2025-04-23 05:15:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・04.01】:【鹿児島県警の闇】:見逃がし?廃棄?|捜査記録なき警官犯罪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・04.01】:【鹿児島県警の闇】:見逃がし?廃棄?|捜査記録なき警官犯罪 

 鹿児島県警察が過去の不祥事の捜査記録を3年越しで一部開示した問題で、開示対象にならなかった事案の中にも法令違反が疑われるケースが複数あることがわかった。職員の処分の記録からは犯罪疑いが読み取れるにもかかわらず、事件捜査に伴って作成・保存される筈の『事件指揮簿』などが存在していない、あるいは適切に保存されていないことになり、捜査のあり方もしくは文

             ◆   ◆   ◆

 先行する本サイト記事で報告した通り、鹿児島県警では過去5年間で(実際には2019年1月から23年1月までの4年間強)職員の処分などがあった不祥事が124件に上ることがわかっている。改めて再録しておくと、以下の通りだ。

2019年……18件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒7、注意11)

2020年……35件(免職1、停職0、減給1、戒告1)(訓戒4、注意28)

2021年……30件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒4、注意25)

2022年……38件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒10、注意27)

2023年(1月のみ)……3件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒2、注意1)

 このうち事件捜査の対象となった事案が何件あったのかを確認するため、筆者がそれらの捜査に伴って作成された公文書の開示を求めたのが、一昨年3月。当初これに「存否応答拒否」回答をもって応じた県警は、筆者の不服申し立てを経て第三者機関から同決定の誤りを指摘された結果、ほぼ丸2年が過ぎた本年3月に対象文書を一部開示することとなった。

 開示文書によると、上の124件のうち捜査の対象となったのは13件。そこには児童買春や業務上過失致死傷、暴行・傷害といった深刻な事案が含まれており、それらの記録の多くが“海苔弁当”状態で開示された。開示までの一連の経緯は、先行記事で伝えた通りだ。

 県警の情報開示のあり方には大いに疑問なしとしないところだが、ここでもう1つの問題に眼を向けておく必要がある。即ち、今回の文書開示の対象になった13件を除く101件の中にも法令違反は含まれていなかったのか、という点だ。

 文書が示された13件のうち、最初の年にあたる2019年に記録されたのは10月15日付で所属長訓戒となった事案1件のみ。だが同年の台帳には、ほかにも複数の法令違反疑いが記録されていた。台帳の言い回しをそのまま引用して採録すると、以下の如し。

・2月15日付「所属長注意」…職員は、平成30年12月3日、交通事故を起こしたものである(巡査)

・2月15日付「所属長注意」…職員は、平成30年12月11日、交通違反をしたものである(巡査部長)

・3月1日付「所属長注意」…職員は、平成31年1月18日、貸与された拳銃に関し、適切な管理を怠ったものである(巡査長)

・7月12日付「所属長注意」…職員は、平成31年2月14日、交通事故をしたものである(警部補)

・8月9日付「所属長注意」…職員は、平成31年1月3日から同年1月6日までの間、外部記録媒体等に関し、不適切な取扱いをしたものである(警部補)

・11月22日付「所属長注意」…職員は、令和元年8月26日、捜査書類に関し、適切な管理を怠ったものである(巡査長)

・12月6日付「本部長訓戒」…職員は、平成30年10月6日、同僚職員に対し、セクシュアル・ハラスメントをしたものである(巡査部長)

・12月6日付「本部長注意」…職員は、平成31年4月頃から令和元年7月頃までの間、部下職員に対し、セクシュアル・ハラスメントをしたものである(警部補)

 はっきり「交通事故」と記されている事案だけでも3件あり、しかしながら県警は警察官による事故に伴って作成される筈の『重要特異交通事故発生報告書』などを開示の対象としなかった。

 残る5件については法令違反の罪名こそ明記されていないものの、たとえば3月1日付の拳銃不適切管理事案は銃刀法違反や火薬取締法違反などにあたる行為だった可能性があるほか、8月9日と11月22日に記録された書類等の不適切管理については公文書の毀棄や改竄などがあった可能性を窺わせる。

            ◆   ◆   ◆

 12月6日にはセクハラが2件記録されているが、これらが不同意わいせつや県迷惑行為防止条例違反などにあたる可能性はなかったのか。とりわけ警部補が部下職員に加害していた事案では短くとも4カ月間にわたってセクハラが繰り返されていた事実が読み取れるが、これが捜査の対象となっていないのはどういうわけなのか。

 続く2020年は、一度に3人が処分された虚偽有印公文書作成・同行使・公用文書毀棄事件に始まり、業務上過失致死傷や児童買春など計7件で事件捜査の記録が一部開示された。本稿冒頭に示した一覧の通り、同年の懲戒処分と監督上の措置は合わせて35件あったことがわかっているが、では残る28件の中に法令違反はなかったのか。

 鹿児島県警は同年2月21日、交通事故を理由に2人の職員を所属長注意処分としていた。うち1件は同年1月14日に事故を起こした巡査への措置で、こちらは今回の筆者の開示請求により『交通事故事件簿』2枚が開示されている。ところがもう1件、具体的には前年8月30日に別の巡査長が起こした事故の記録は開示対象とならなかった。また9月14日にも交通違反で本部長注意となった警部補がいるが、こちらのケースも違反の処理の記録は開示されていない。さらに11月下旬にはこんな処分があった。

・11月27日付「本部長注意」…職員は、令和2年7月11日、交通事故を起こし、警察官への報告を怠るなどしたものである(巡査)

 事故を起こしただけでなく、その事実を報告しなかった、つまり隠していたというケースだ。これが事件として捜査されない理由は、いったい何なのか。

 先述、2019年の処分・措置にみられた捜査書類や拳銃の不適切管理事案は20年も複数件確認されており、しかしながらそれらもことごとく捜査の対象となっていなかった。加えて同年は、下のような不祥事も記録されている。

・11月14日付「所属長注意」…職員は、令和2年6月5日、当時未成年でありながら飲酒するなどしたものである。

 20歳未満の飲酒は、いわゆる未成年飲酒禁止法で禁じられている。とりわけ飲酒した本人よりもそれを制止しなかった周囲の大人の責任が大きく、科料の罰則もあるほどだ。台帳からは、上の処分と同じ日に別の警察官が所属長注意となったことが確認でき、その措置の理由は「飲酒後に路上で寝込むなどした」というものだった。仮に、その警官が先の未成年の同僚と一緒にアルコールを摂取していたのだとしたら、その人は本来であれば科料の対象となる筈なのだ。

            ◆   ◆   ◆

 2021年の記録に移ろう。同年の鹿児島県警では計30件の処分・措置があり、うち3件で捜査記録が開示された。当事者の警察官らはそれぞれ暴行・傷害、住居侵入等、及び不法投棄の容疑をかけられている。ならば、残る27件はどうだったか。

 同年もやはり、拳銃の不適切管理が複数件記録され、実包の不適切管理も含めると4件に上っていることがわかる。私見ながら、鹿児島は銃の管理が杜撰な印象が否めない。筆者の地元、北海道でも類似の事案はしばしば記録されるが、組織の規模を考えると鹿児島県警の拳銃がらみ事案はやはり数が多いと言わざるを得ない。

 なお同年もセクハラと交通違反が1件ずつ記録されたが、もはや言わずもがな、どちらも捜査などの記録は開示されなかった。それら以外で同じく事件捜査の対象にならなかったとみられる事案の中から、眼についた1件を下に引いておく。

・6月25日付「本部長注意」…職員は、令和2年10月20日から翌21日にかけて、失火させたものである(巡査長)

 失火、即ち過失で火事を起こす行為は、一定の要件を満たせば法律違反となり得る。しかしながらこの件の捜査記録は確認できず、事案の具体的な経緯はほぼ藪の中だ。

            ◆   ◆   ◆

 翌2022年は、処分・措置が38件。うち捜査の記録を確認できるのは3月24日に免職となった巡査の業務上横領、及び同日付で本部長注意となった巡査部長の勤務懈怠の、計2件。前者は文字通りの犯罪だが、後者の勤務懈怠が何の法令違反にあたるのかは明かされていない。とはいえ、捜査を記録した公文書が開示されたこと自体は辛うじて評価できる。問題はやはり、残る36件の中に犯罪疑いが含まれていなかったのかどうかだ。

 結論を言うと、21年以前に違わずその年も少なからず怪しいケースがあった。むしろ前年までよりも数としては有意に多かった。読者の実感を助けるため、下に列挙しておく。

・2月14日付「本部長訓戒」…職員は、令和3年12月22日、拳銃を不正に使用したものである(巡査)

・2月14日付「本部長訓戒」…職員は、令和3年12月22日、拳銃を不正に使用したものである(巡査)

・2月14日付「本部長訓戒」…職員は、令和3年12月22日、拳銃を不正に使用したものである(巡査)

・3月4日付「所属長訓戒」…職員は、令和3年8月31日から10月13日までの間、勤務管理に際して不適切な処理をしたものである(警視)

・7月15日付「本部長訓戒」…職員は、令和3年11月24日から翌25日にかけて、拳銃に関し、適正な管理を怠ったものである(巡査部長)

・8月5日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年5月6日から令和3年8月30日までの間、部下職員等に対し、セクシュアル・ハラスメントをしたものである(警部補)

・8月5日付「所属長訓戒」…職員は、平成28年夏頃から、令和2年秋頃までの間、同僚に嫌がらせ等をしたものである(巡査部長)

・8月5日付「本部長注意」…職員は、令和元年9月頃から、令和3年2月頃までの間、同僚に嫌がらせ等をしたものである(巡査長)

・8月26日付「本部長注意」…職員は、令和4年7月8日、交通違反をしたものである(巡査部長)

・8月26日付「本部長注意」…職員は、令和4年7月17日、交通違反をしたものである(警部補)

・9月9日付「本部長注意」…職員は、令和3年5月7日、部下職員に対し、セクシュアル・ハラスメントをしたものである(警部補)

・9月9日付「本部長注意」…職員は、令和4年4月26日、部下職員に対し、セクシュアル・ハラスメントをしたものである(警部補)

・9月14日付「本部長訓戒」…職員は、令和3年11月8日頃から同月26日頃までの間、部下職員に対し、セクシュアル・ハラスメントをしたものである(巡査部長)

・10月7日付「所属長訓戒」…職員は、令和4年3月30日から同年5月23日にかけて、拳銃に関し、適正な管理を怠ったものである(警部補)

・10月7日付「本部長注意」…職員は、令和4年4月22日から同月25日にかけて、拳銃に関し、適正な管理を怠ったものである(巡査長)

・10月7日付「所属長注意」…職員は、令和4年8月14日、未成年でありながら飲酒するなどしたものである(巡査)

 拳銃がらみの事案だけで6件。うち半数を占める3件は「不正に使用」なる穏やかならぬケースで、ここまで来ると鹿児島の警察官にはとても拳銃を携帯させておけない趣きだが、これらのいずれも法令違反に問われた形跡がない。

 次いで多いのがセクハラの4件。うち1件は2年間以上にわたって部下が被害に遭った悪質な事案だが、それを含めて4件いずれも不同意わいせつや県条例違反などで捜査されていない。交通違反2件の処理の記録が存在しないのも、例年と同様だ。

 開示対象の最後の年となる2023年1月は、捜査記録が1件も開示されなかった。だが同月に記録された3件の訓戒・注意事案のうち2件は、これまた交通違反。県警がそれらをどう処理したのかは、もはや知る由もない。

               ◆   ◆   ◆

 3年越しの開示請求でわかったのは、先行記事で伝えたような県警の情報開示のあり方ばかりではなかった。身内の不祥事を把握しつつ、何を捜査して何を捜査しなかったか、各件への対応が浮き彫りとなったのはほかでもない、処分・措置の台帳を入手した上で捜査記録との突き合わせを試みる「2段階の開示請求」を行なったことによる。こうした手続きを経ない限り明るみに出ない事実があまたあるということは、つまるところ日常的な隠蔽が大きく疑われると言ってよい。

 さらにもう1つ、本サイトが一昨年11月に報告し(既報)、半年ほど遅れて昨年6月には報道大手も大きく報じることとなった鹿児島県警『刑事企画課だより』の不適切なはたらきかけ、即ち「事件記録は速やかに廃棄しましょう」なる文言で奨励されていた公文書破棄の慣行が現場で忠実に行なわれていた可能性もある。棄てられた記録は存在せず、開示請求の対象になりようもないというわけだ。

 県警は多くの事件を適切に捜査しなかったのか、それとも捜査の記録を片っ端から破棄したのか――。いずれであってもおよそ適切とは言い難いのは、改めて指摘するまでもあるまい。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警が3年越しで一部開示した、不祥事の捜査記録の実態】  2025年04月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.27】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(下)|「暴行・傷害」に大甘訓戒

2025-04-08 05:15:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・03.27】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(下)|「暴行・傷害」に大甘訓戒 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.27】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(下)|「暴行・傷害」に大甘訓戒  

 「存否応答拒否」で始まった鹿児島県警による警官不祥事捜査記録の隠ぺい。3年かかってようやく開示された文書は、大半が“のり弁”の状態だった。警察一家による犯罪行為の実態を隠し、組織防衛に躍起となる鹿児島県警―ー。前稿に続いて開示文書の検証を試みる。

 2019年1月から23年1月までの4年強で処分などがあった不祥事は、県警の処分台帳によれば以下の124件。

2019年……18件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒7、注意11)

2020年……35件(免職1、停職0、減給1、戒告1)(訓戒4、注意28)

2021年……30件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒4、注意25)

2022年……38件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒10、注意27)

2023年(1月のみ)……3件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒2、注意1)

 これらのうち以下の13件が捜査対象となっていた(※ 各処分事由は『台帳』記載の文言を採録)。

(1)2019年10月15日付「本部長訓戒」…職員は、平成30年8月26日、知人に対し、不適切な行為をしたものである(巡査)

(2)2020年1月10日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をしたものである(警部)

(3)2020年1月10日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をするなどしたものである(警部補)

(4)2020年1月10日付「所属長注意」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をするなどしたものである(巡査長)

(5)2020年1月10日付「所属長注意」…職員は、令和元年11月27日、交通事故を起こしたものである(巡査長)

(6)2020年1月27日付「戒告」…職員は、令和30年2月21日、交通整理を行うにあたり、必要な注意義務を怠った過失により、死傷者を伴う交通事故を惹起させたものである(巡査部長)

(7)2020年2月21日付「所属長注意」…職員は、令和2年1月14日、交通事故を起こしたものである(巡査)

(8)2020年3月19日付「免職」…職員は、令和元年12月14日、児童買春をしたものである(巡査部長)

(9)2021年7月30日付「所属長訓戒」…職員は、令和3年4月29日及び同年5月6日に、鹿児島市内において、知人に対し、腕を掴むなどして傷害を負わせたものである(巡査)

(10)2021年8月6日付「免職」…職員は、令和元年6月9日から令和3年4月2日までの間、住居侵入等の法令違反及び情報セキュリティに関する訓令違反等の各種規律違反をしたものである(巡査部長)

(11)2021年10月29日付「本部長注意」…職員は、令和3年10月7日、みだりに家庭用ゴミ1袋を捨て、もって、警察の信用を失墜したものである(巡査)

(12)2022年3月24日付「免職」…職員は、令和3年12月3日、業務上横領等をしたものである(巡査長)

(13)2022年3月24日付「本部長注意」…職員は、担当業務を懈怠する等したものである(巡査部長)

 ■「暴行・傷害」がただの訓戒

 やはり“海苔”が多い文書が、しかも1枚だけ開示されたのが(9)の暴行傷害事案。これに到っては「令和3年5月6日」という発生日時のほかは具体的な事実関係が一切開示されず、当時の捜査が適切だったのかどうかを第三者がまったく検証できない形になっている。

 文書開示決定の際、鹿児島県警はこの事案の「区分」欄に「暴行・傷害」と明記していた。本サイトで何度も参照している警察庁の『懲戒処分の指針』では、それらの法令違反へのペナルティをこう定めている。

 ・他人に対して傷害を与えること……停職、減給又は戒告

 ・他人に対して暴行を加えること……減給又は戒告

 どちらか一方だけでも、最低でも「戒告」。暴行と傷害の両罪が併記されている今回のケースは、いくら軽くとも「減給」程度の懲戒処分とすべきところだ。だが実際の処分は、懲戒ですらない監督上の措置の「所属長訓戒」に留まっていた。なぜそうなったのかが腑に落ちるような記述が開示文書の中にまったく含まれていないことは、もはや言うまでもない。

 ■年を経て広がる黒塗り部分

 続く(10)の住居侵入等事案では、『本部長指揮事件指揮簿』など計15枚の文書が開示された。これまで報告してきたケースに負けず劣らずの“海苔弁当”から事件の概要を紐解くと、次のようになる。

 《被疑者は、■■■令和3年4月2日頃までの間、■■■もって、■■■したものである》

 2枚目以降は、先の(8)の指揮簿をそのままコピーしたような真っ黒の文面が続く。つまるところ、これ以上の事実関係はわからない。ただ、今回の15枚の開示を求める材料となった当事者の警察官の『処分台帳』には、事案の概要がこう記されていた。

 職員は、令和元年6月9日から令和3年4月2日までの間、住居侵入等の法令違反及び情報セキュリティに関する訓令違反等の各種規律違反をしたものである

 もとの文書のほうが詳しい。即ち、この後の審査請求を経て3年越しで新たな文書開示が実現した結果、当初よりも“海苔”の面積が広がったということだ。文字通りのブラックジョークにもならない展開。これを敷衍すると、もともと隠蔽体質が疑われる鹿児島県警は、のみならず年を追うごとに情報開示に消極的になり続けている、ということになる。

 2021年10月に「本部長注意」となった(11)の事案は、家庭ごみを不適切に棄てた巡査の行為が法令違反に問われたもの。先述の住居侵入や児童買春などと同じく本部長指揮事件として捜査され、今回はその『指揮簿』など計9枚の文書が開示された。これもまた当初の台帳から情報開示が後退し、全9枚のほとんどが墨塗り処理された状態。何のために2段階の開示請求を試み、あまつさえ2年間に及ぶ不服申し立てに臨んだのか、時間と手間の浪費が虚しくなってくるほどだ。

 ■報道各社への文書を黒塗りの非常識

 今回最多、26枚の公文書が開示されたのが(12)の業務上横領事案。2022年で唯一、懲戒処分に到ったケースで、当事者の巡査長は同年3月24日付で免職となった。開示された『本部長指揮事件指揮簿』は墨塗り部分が少なく、巡査長の所属が「鹿児島中央警察署」と明示されているほか、その人が遺失物の財布を横領した経緯が詳しく記されている。これは(6)の業務上過失致死傷事案と同じく、発生時点で広く報道されたためとみられる。実際、この事案に限っては捜査の記録に加えて「報道発表の記録」も開示されたのだ。それ自体は情報公開の精神に適っているとして、首を傾げざるを得ないのはその『報道連絡簿』が一部不開示処理されたことだ(*下の画像)。

 鹿児島県警が開示した連絡簿では、報道発表の日時と逮捕日時の一部、逮捕場所、及び容疑者と被害者の情報の一部にべったり“海苔”が貼られていた。“面妖な”、と言わざるを得ない。報道機関への情報提供は、とりもなおさずその報道機関を通じて読者・視聴者へ、即ち一般市民へ広く情報を届けることにある。にもかかわらず、最終的な情報の受け手である一般市民への情報開示で一部を黒く塗り潰すとはどういうことか。一般には開示されない個人情報や公安情報を日常的に特定の営利企業(報道各社)へ提供する行為は、場合によっては組織的な情報漏洩となり得るのではないか――。そういった疑問を招く対応だということを県警自身が自覚しているかどうかは定かでない。

 ■過剰な実態隠し

 最後の(13)の事案では、とどめのように事実上ほぼ不開示状態の文書が3枚開示された。『本部長指揮事件指揮簿』が伝える事案の概要は、こうだ。

 被疑者は、■■■したものである

 いったい何をしたのか、さっぱりわからない。もとの台帳によると、当事者は上の横領事案と同じ2022年3月24日付で本部長注意となった巡査部長。処分理由は、以下の如し。

 職員は、担当業務を懈怠する等したものである

 勤務懈怠がなぜ事件として捜査されることになったのか、開示文書からはおよそ窺い知れない。あたかも昨春以降の報道で顕わになった県警の隠蔽体質を象徴するかのような対応だ。請求人たる筆者がこれに納得しているかどうかは、もはや説明を要しまい。

 一昨年以降、繰り返し報告してきた通り、鹿児島県警は不祥事の事件捜査の記録の開示請求を「存否応答拒否」なる決定で退け、これを不服とした審査請求でも個人情報と公安情報の保護を盾に同決定を正当化し続けた。第三者機関の答申でその姿勢が否定され、公安委員会の裁決でようやく開示のやり直しに踏み切ったが、もとの請求からほぼ丸2年を経て開示された情報は、以上のような程度に留まった――。

 結びにつけ加えておくと、今回の決定になお不服がある場合、請求人は行政不服審査法に基づき再び審査請求を申し立てることができる決まりになっている(*下の画像参照)。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警が3年越しで一部開示した、不祥事の捜査記録の実態】  2025年03月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.26】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(中)| 隠された巡査部長児童買春の“余罪”

2025-04-08 05:15:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・03.26】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(中)| 隠された巡査部長児童買春の“余罪”

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.26】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(中)| 隠された巡査部長児童買春の“余罪” 

 鹿児島県警が3年越しで一部開示した、不祥事の捜査記録。本年3月にようやく開示された100枚の公文書は、しかしながらその多くが墨塗り処理され、事実関係を充分に読み取れない体裁になっていた。前稿に続き、こうした文書開示が情報公開のあり方として適切だったといえるかどうか、読者の検証を助ける報告を続けたい。

 ■報道事案は黒塗り減少

 筆者が一昨年3月に鹿児島県警に開示を求めた公文書は、以下の県警不祥事のうち法令違反が疑われる事案の捜査記録などだ。

2019年……18件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒7、注意11)

2020年……35件(免職1、停職0、減給1、戒告1)(訓戒4、注意28)

2021年……30件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒4、注意25)

2022年……38件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒10、注意27)

2023年(1月のみ)……3件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒2、注意1)

 これら124件のうち事件捜査の対象となっていたのは、前稿で既報の通り全体の1割強を占める以下の13件だった(※ 各処分事由は『台帳』記載の文言を採録)。

(1)2019年10月15日付「本部長訓戒」…職員は、平成30年8月26日、知人に対し、不適切な行為をしたものである(巡査)

(2)2020年1月10日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をしたものである(警部)

(3)2020年1月10日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をするなどしたものである(警部補)

(4)2020年1月10日付「所属長注意」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をするなどしたものである(巡査長)

(5)2020年1月10日付「所属長注意」…職員は、令和元年11月27日、交通事故を起こしたものである(巡査長)

(6)2020年1月27日付「戒告」…職員は、令和30年2月21日、交通整理を行うにあたり、必要な注意義務を怠った過失により、死傷者を伴う交通事故を惹起させたものである(巡査部長)

(7)2020年2月21日付「所属長注意」…職員は、令和2年1月14日、交通事故を起こしたものである(巡査)

(8)2020年3月19日付「免職」…職員は、令和元年12月14日、児童買春をしたものである(巡査部長)

(9)2021年7月30日付「所属長訓戒」…職員は、令和3年4月29日及び同年5月6日に、鹿児島市内において、知人に対し、腕を掴むなどして傷害を負わせたものである(巡査)

(10)2021年8月6日付「免職」…職員は、令和元年6月9日から令和3年4月2日までの間、住居侵入等の法令違反及び情報セキュリティに関する訓令違反等の各種規律違反をしたものである(巡査部長)

(11)2021年10月29日付「本部長注意」…職員は、令和3年10月7日、みだりに家庭用ゴミ1袋を捨て、もって、警察の信用を失墜したものである(巡査)

(12)2022年3月24日付「免職」…職員は、令和3年12月3日、業務上横領等をしたものである(巡査長)

(13)2022年3月24日付「本部長注意」…職員は、担当業務を懈怠する等したものである(巡査部長)

 前稿では上記(1)から(5)までの事案について、県警の情報開示が適切だったかどうかを検証したところだ。結果的にはおよそ充分とはいえない実態をあきらかにすることになったが、では(6)以降の事案はどうだったか。

 懲戒処分の台帳に「職務執行不適切」と標題がつけられていた(6)の事案では、戒告処分となった巡査部長が業務上過失致死傷の容疑で交通指導課に調べられていた。今回開示された公文書は『本部長指揮事件指揮簿』など3種19枚。同指揮簿では「霧島市国分野口北における業務上過失致死傷被疑事件」の事件名で事案が記録されることになり、以下のような概要が開示された(※ 一部墨塗り処理は県警。以下では当該部分の文字量にかかわらず「■■■」で表記)。

 平成30年2月21日午後零時45分頃、霧島市国分野口北5番1号先の四差路信号交差点において、県下一周市郡対抗駅伝競走大会の交通整理に従事していた警察官が、信号機の主道側を青色灯火、従道側を赤色灯火に固定した後、従道側に滞留した車両■■■手信号により交差点内に誘導する際、■■■交差点の安全に注意して誘導すべき注意義務があるのにこれを怠り、■■■交差点内に直進させたため、折から左方道路から青色信号灯火に従い直進してきた上記被害者■■■の被害車両と出合い頭に衝突、横転させ、■■■同人を死亡させ、ほか関係者■■■名を負傷させたものである

 前稿で報告したケースに較べ、墨塗り部分がかなり少ない印象だ。理由は定かでないが、考えられる事情はこの件が大きく報道されるに到ったこと。地元では事故発生時からその後の裁判の経過までが都度ニュースになり、県警が発表するまでもなく一連の事実が一般に広く知れ渡る結果となった。下世話な言い回しになるが、「今さら隠しても仕方がない」といえる状況になっていたわけだ。

 ■余罪が見逃された可能性も

 続く(7)の交通事故事案は、先の過失致死傷とは対照的に開示文書が僅か2枚に留まり、その多くが黒く塗り潰されたみごとな“海苔弁当”となっていた。辛うじてわかるのは「令和2年1月14日」という事故発生日や「過失運転致傷」という容疑など。おそらく一般市民が被害に遭ったとみられる事故の状況は一切あきらかにされず、事件送致や起訴の有無も不明。前稿でも指摘しておいたが、警察官がからむ事故に伴って作成される筈の『重要特異交通事故発生報告書』はここでも開示の対象とならず、開示しても差し支えない筈の情報の数々はほとんど藪の中となった。

 深刻な事案ながらもやはり開示情報が充分とはいえなかったのが(8)の児童買春事案。事件を捜査した鹿児島南署の『本部長指揮事件指揮簿』には、こうある。

容疑者は、令和元年12月14日頃、鹿児島県内■■■において、被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら、同児童に対し、■■■児童買春したものである

 確認できる概要は、この簡潔な事実関係のみ。対象となった指揮簿は計6枚あるが、2枚目以降はほぼ全面が墨塗り処理され、事実上非開示の状態で“開示”された。

 当事者の巡査部長は、この件で免職処分を受けている。これ自体は妥当な処分と言ってよいが、当時の処分台帳には上の買春事案のみが記録されるに留まり、重要な“余罪”にはまったく言及がなかった。今回の開示請求で得られた数少ない成果の1つに、この余罪を確認できる文書を入手できたということがある。どういうことか。

 県警は今回、先の指揮簿とは別の容疑事実を記した『署長指揮事件指揮簿』という文書も開示の対象としたのだ。同文書の「概要」欄には「■■■鹿児島県内■■■において、性交したものである」と抽象的な文言が見られるのみだが、注目すべきは事件の発生年月日。それは「令和元年11月下旬」、つまり先の事件の1カ月ほど前に別の児童買春事件が発生していたということだ。その容疑者を記す欄に誰の名が書かれていたかというと――、

 不詳》(*上掲の画像参照)

 つまり、県警はこの時点では容疑者を特定できず、1カ月後にもう1件の被害が発生して初めて現職警察官の関与を疑うに到ったのだ。文書から確認できる容疑はこの2件のみだが、ほかにまったく余罪がないと考えるのはいささか不自然だろう。巡査部長の犯行は常習の可能性が高く、ひいては知られざる被害児童が泣き寝入りを強いられている疑いが残る。だがそれも、今となっては確認困難だ。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警が3年越しで一部開示した、不祥事の捜査記録の実態】  2025年03月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.26】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(上)| ほぼ“のり弁”、容疑罪名伏せた文書も

2025-04-08 05:15:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・03.25】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(上)| ほぼ“のり弁”、容疑罪名伏せた文書も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.25】:鹿児島県警・不祥事捜査記録一部開示(上)| ほぼ“のり弁”、容疑罪名伏せた文書も  

 鹿児島県警による不祥事の捜査記録が「存否応答拒否」の形で長く開示されなかった問題で、第三者機関の答申により改めて開示されることになった公文書が3月上旬、初めて一部開示に到った。

 もとの請求から3年越しの対応となった決定では、開示の対象となった計100枚の文書の多くがいわゆる“海苔弁当”状態で、中には当事者の警察官にかけられた容疑がまったく読み取れなくなっているものもある。

 県警が身内の不祥事を適切に捜査していたかどうかを第三者が検証しにくくなっており、ここに来てなお組織の隠蔽体質が垣間見える対応となった。

 ■3年越しでようやく開示

 本サイト既報の通り、鹿児島県警が改めて上の文書の一部開示を決定したのは本年2月26日。請求人の筆者のもとには同28日に『公文書一部開示決定通知書』が届き、その案内に従って県警の指定金融機関に開示手数料を納付したところ、1週間ほどが過ぎた3月8日に対象文書の写し計100枚が届いた。もとの開示請求は一昨年3月13日付だったので、請求からほぼ丸2年、つまり3年越しでようやく求める文書の一部開示が叶ったことになる。

 請求していたのは、県警で過去5年間に記録された不祥事のうち事件捜査の対象となった事案の捜査の記録など。ここでいう「過去5年間」は請求時の2023年初頭を基点としており、実際には2019年1月から23年1月までの4年強の期間を指す。この間に処分などがあった不祥事は、県警の処分台帳によれば以下の124件だ。

2019年……18件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒7、注意11)

2020年……35件(免職1、停職0、減給1、戒告1)(訓戒4、注意28)

2021年……30件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒4、注意25)

2022年……38件(免職1、停職0、減給0、戒告0)(訓戒10、注意27)

2023年(1月のみ)……3件(免職0、停職0、減給0、戒告0)(訓戒2、注意1)

 これらのうち何件が法令違反として捜査の対象となっていたか。今回鹿児島県警があきらかにした開示対象の事案は、先の台帳と突き合わせることで以下の13件だったことが確認できる(※ 各処分事由は『台帳』記載の文言を採録)。

(1)2019年10月15日付「本部長訓戒」…職員は、平成30年8月26日、知人に対し、不適切な行為をしたものである(巡査)

(2)2020年1月10日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をしたものである(警部)

(3)2020年1月10日付「所属長訓戒」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をするなどしたものである(警部補)

(4)2020年1月10日付「所属長注意」…職員は、令和元年6月28日、不適切な書類作成をするなどしたものである(巡査長)

(5)2020年1月10日付「所属長注意」…職員は、令和元年11月27日、交通事故を起こしたものである(巡査長)

(6)2020年1月27日付「戒告」…職員は、令和30年2月21日、交通整理を行うにあたり、必要な注意義務を怠った過失により、死傷者を伴う交通事故を惹起させたものである(巡査部長)

(7)2020年2月21日付「所属長注意」…職員は、令和2年1月14日、交通事故を起こしたものである(巡査)

(8)2020年3月19日付「免職」…職員は、令和元年12月14日、児童買春をしたものである(巡査部長)

(9)2021年7月30日付「所属長訓戒」…職員は、令和3年4月29日及び同年5月6日に、鹿児島市内において、知人に対し、腕を掴むなどして傷害を負わせたものである(巡査)

(10)2021 年8月6日付8月6日付「免職」…職員は、令和元年6月9日から令和3年4月2日までの間、住居侵入等の法令違反及び情報セキュリティに関する訓令違反等の各種規律違反をしたものである(巡査部長)

(11)2021年10月29日付「本部長注意」…職員は、令和3年10月7日、みだりに家庭用ゴミ1袋を捨て、もって、警察の信用を失墜したものである(巡査)

(12)2022年3月24日付「免職」…職員は、令和3年12月3日、業務上横領等をしたものである(巡査長)

(13)2022年3月24日付「本部長注意」…職員は、担当業務を懈怠する等したものである(巡査部長)

 124件中13件。全体のざっと1割ほどの不祥事が事件として捜査の対象となり、それら各件の捜査の記録が今回新たに開示されることになったわけだ。筆者の手元に届いたコピーは、先述の通り計100枚。これを順に紐解いていくと――。

 ■事件内容、黒塗りで隠ぺい

 まず(1)の不適切行為事案。この件ではのっけからひときわ墨塗りの多い文書が“開示”された。結論を言うと、肝心の不適切行為が具体的にどういう法令違反だったのかがまったくわからなくなっている。(*下の画像参照)

 5枚の文書にべったり貼られた“海苔”の隙間から辛うじて読み取れるのは、事件が起きたのが2018年8月26日で、捜査にあたったのが鹿児島中央署刑事一課だった事実。当事者の巡査の容疑はわからないものの、5枚のうち1枚に「強行」という名詞が登場することから、刑事一課強行犯係が担当する暴行や傷害、強盗などの悪質な犯罪だった可能性が高い。文書からわかるのはここまでで、巡査が逮捕されたのか、あるいは在宅捜査だったのか、また送検されたのか、起訴されたのか、などはことごとく藪の中だ。

 続く(2)から(4)までの3事案は、警察官3人が容疑者となった1件の虚偽有印公文書作成・同行使・公用文書毀棄事件として処理され、捜査記録もまとめて開示された。事件発生は2019年6月28日。その概要を記録した『犯罪事件処理簿』の記述はあちこちが“海苔”だらけで、およそ情報開示の体をなしていない。その滑稽さを実感してもらうには、原文をそのまま引用するしかないだろう(※ 下の画像の通り実際の文書では墨塗り部分の文字量は一定していないが、以下では一律「■■■」で示す)。

 被疑者■■■は、鹿児島県■■■に所在する鹿児島県■■■として、■■■同■■■は、■■■前記■■■同■■■は、■■■前記3名は■■■作成を企図し、同月28日■■■をして、行使の目的をもって、ほしいままに、■■■と署名し、■■■もって、その職務に関し、虚偽の有印公文書を作成した上、■■■において、■■■が真正なもののように装い、■■■に提示して行使し

 被疑者■■■令和元年6月28日■■■において、前記虚偽有印公文書の作成に伴い、■■■もって公務所の用に供する文書を毀棄したものである

 この件も最終的な刑事処分はあきらかでないが、少なくとも3人の警察官が関与した事案で、かつ彼らの上司にあたる警視も3人と同時に「本部長注意」を受けており、ほとんど組織的な犯行だったことが疑われる。

 ■問われる「非開示」の妥当性

 やはり詳細不明なのが(5)の交通事故事案。開示されたのは『交通事故事件簿』計3枚で、その3枚に貼られた海苔は実に60枚を超える。数少ない開示部分からわかるのは、その事故が令和元年(2019年)11月27日に発生したこと、車2台が絡んでいるらしいこと、現場は鹿児島西署管内だった可能性が高いこと、加害者の容疑が過失運転致傷だったこと――、などだ。

 こうした開示のあり方が適切かどうかは、本サイトで先般報告した北海道警のケース( ⇒既報)と比較することで検証できる。すぐに指摘できるのは、警察官が当事者となった交通事故で作成される筈の『重要特異交通事故発生報告書』が今回まったく開示されなかったこと。海を隔てた道警では同文書が適切に開示され、事故の概要が平面図つきで示されていた。これに対し鹿児島県警は、そもそも同報告書を開示の対象としなかったのみならず、開示した交通事故事件簿では丁寧に60カ所以上を墨塗り処理し、発生日や容疑罪名などを除く多くの事実をあきらかにしなかった。

 残る8件の「開示」がどうだったかは、推して知るべし。とはいえ、それがどれほど不充分だったのかは可能な限り記録しておくべきだろう。(6)以降の文書の概要については、次稿で報告したい。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警が3年越しで一部開示した、不祥事の捜査記録の実態】  2025年03月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.02】:【速報】:鹿児島県警が警官不祥事関連文書の開示決定|公安委裁決から3カ月以上、請求から3年弱

2025-04-02 05:15:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・03.02】:【速報】:鹿児島県警が警官不祥事関連文書の開示決定|公安委裁決から3カ月以上、請求から3年弱

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.02】:【速報】:鹿児島県警が警官不祥事関連文書の開示決定|公安委裁決から3カ月以上、請求から3年弱

 鹿児島県警察が職員の不祥事に関連する捜査の記録の開示を拒んでいた問題で(既報 )、第三者機関の答申を受けた県公安委員会の裁決から3カ月あまりを経た2月下旬、県警が対象文書の一部公開を決定していたことがわかった。

 請求人である筆者は近く写し(コピー)の交付を受けることになるが、文書を入手するころにはもとの開示請求をした2023年3月から丸2年が過ぎることになり、ここに来てむしろ県警の情報開示への消極性が浮き彫りとなった形だ。

            ◆   ◆   ◆

 決定は本年2月26日付。同28日に筆者のもとに届いた『公文書一部開示決定書』によると、一部開示の対象となる公文書は2019年から22年までに記録された懲戒処分と監督上の措置(訓戒・注意)のうち捜査の対象となった事案11件についての『事件指揮簿』など計100枚。11件のうち2件は罪名が明記されていないが、残る9件は警察官による児童買春や住居侵入など、あきらかな法令違反にあたる事案だったことが明かされた。

 鹿児島県警は当初、文書が存在するかどうかを答えずに開示を拒む「存否応答拒否」をもってこれらを全面不開示とし、請求人たる筆者の審査請求(不服申し立て)を受けた第三者機関の答申でその誤りを指摘されてようやく決定をやり直すに到った。

 本サイト既報の通り、福岡など鹿児島以外の都道府県警では同種の公文書を適切に開示しており、鹿児島のみが存否応答すら拒否するのはあまりに無理があり過ぎた。今回の再決定は当然の結論といえるが、先の第三者機関の答申を受けて県公安委員会が当初処分の撤回を裁決したのは昨年11月20日。そこから本年2月26日の結論までに3カ月以上が費やされたことになり、もとの開示請求をした一昨年3月13日から数えるとまもなく丸2年が過ぎることになる。

 また再決定自体は評価できるとしても、これから開示されることになる文書が充分に情報開示の精神に適う状態で、即ち墨塗り処理を必要最小限に留めた状態で示されるかどうかは、今なお未知数だ。

 決定を受けた筆者は3月3日にも県警の指定金融機関で開示手数料を納付する考え。対象文書の写しが手元に届いた折には、改めて本サイトでその概要を報告したい。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警の不祥事】  2025年03月02日  11:45:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.14】:北海道警で事実上の不祥事隠蔽|警官のわいせつやストーカー事件、懲戒未満に

2025-03-15 06:00:00 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・03.14】:北海道警で事実上の不祥事隠蔽|警官のわいせつやストーカー事件、懲戒未満に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.14】:北海道警で事実上の不祥事隠蔽|警官のわいせつやストーカー事件、懲戒未満に 

 北海道警察で昨年最後の四半期(10~12月)に処分などがあった不祥事の中に、警察官の性犯罪を懲戒処分にせず表面化を免れていた事案が複数あることがわかった。いずれも警察庁の『指針』に反して軽いペナルティに留まっており、報道発表の対象外とすることで事実上の隠蔽となった形。筆者が公文書開示請求で3月上旬に入手した情報で判明した。

           ◆   ◆   ◆

 警察官の不祥事に法令違反として捜査されたケースが含まれることは珍しくないが、昨年10月以降に記録された事案の中にとりわけ悪質な犯罪が埋もれていたことは、情報公開制度に基づく「2段階の請求」を経ない限りあかるみに出なかった。

 筆者はまず、同時期に記録された不祥事の『一覧』などを道警に開示請求し、本年1月に対象文書を入手した。その1つである『監督上の措置一覧』に記載があった2つの事案がともに深刻な法令違反として捜査されていたとは、その時点では気づきようもない。文書の記載が、次のような極めて抽象的な言い回しに留まっていたためだ。

・信用失墜事案/不適切な行為をしたことにより、警察の信用を失墜した……10月18日付「警察本部長訓戒」警察署巡査

・信用失墜事案/不適切な行為により、警察の信用を失墜するなどした……12月19日付「警察本部長注意」警察署巡査部長

 上の「訓戒」及び「注意」が懲戒処分に到らない軽微な制裁であることは、本サイトでしばしば解説している通りだ。では、その軽微な不祥事とは具体的にどういう事案だったのか。

 筆者は2月中旬、先の『一覧』をもとに「第2段階」の開示請求に臨んだ。同時期の不祥事の中に事件捜査の対象となったものがある場合、各件の捜査の記録を開示して欲しい、という趣旨の請求だ。これを受理した道警が当該文書の一部開示を決定したのは、約2週間後の3月上旬。その決定で開示された公文書の中に、先述「信用失墜事案」2件の捜査の記録があったのだ。文書から判明したそれぞれの容疑は――、

10月18日付「訓戒」事案……不同意わいせつ

12月19日付「注意」事案……ストーカー規制法違反

 いずれも警察官による性犯罪。これが報道発表の対象にならず、そもそも懲戒処分を免れ、北海道民の眼から隠され続けていたわけだ。しかも、いずれも今回のような「2段階の開示請求」を経ない限り陽の目を見ることがなかった。

 やはり本サイトでたびたび引き合いに出している『懲戒処分の指針』という警察庁の通達がある( ⇒コチラ)。改めてこれを確認すると、上の2件のうち少なくとも1件が同指針にまったく適っていなかったことがわかる。指針では、不同意わいせつへのペナルティは「免職又は停職」と定められているのだ。だが実際は、最低ラインの「停職」どころか懲戒ですらない「訓戒」扱い。あまつさえそれを記録する公文書の表記は「信用失墜事案」なる曖昧な言い回しにされていた。同じ月には具体的に「不適切異性交際事案」と明記された事案が4件も確認できるにもかかわらず。

 第2弾の開示請求で得られた文書からは、先の2事件が検察官送致された形跡が読み取れない。当事者の身柄を拘束しない在宅捜査だった可能性もあるほどだ。いずれも起訴を逃がれた可能性が高いが、これが警察官ならぬ一般市民の容疑だった場合、果たして同じ扱いになるだろうか。

 とはいえ、こうした疑問を発信できるのは、とりもなおさず対象の公文書が適切に公開されたゆえのこと。存否応答拒否の挙げ句3年越しの一部開示決定が伝わった鹿児島県警の不祥事に絡む事件捜査の記録( 既報 )は、果たしてどういう形で「開示」されることになるのか――。入手が見込まれる100枚の公文書の内容は、追って報告することとしたい。

 (小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・北海道警察で昨年最後の四半期(10~12月)に処分などがあった不祥事の中に、警察官の性犯罪を懲戒処分にせず表面化を免れていた事案が複数あることが判明した事案】  2025年03月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・02.25】:ススキノ殺人で問われた取り調べの実態 | 録音録画と調書に多数の喰い違い

2025-03-06 07:03:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・02.25】:ススキノ殺人で問われた取り調べの実態 | 録音録画と調書に多数の喰い違い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・02.25】:ススキノ殺人で問われた取り調べの実態 | 録音録画と調書に多数の喰い違い  

 一昨年7月に札幌・ススキノ地区で起きた殺人・死体損壊事件。昨年から本年にかけて実行犯の両親を被告人とした裁判が進んでおり、報道大手は法廷であきらかになった遺体損壊の様子や当事者の特殊な親子関係などを逐一報じている。一方、事件の捜査をめぐっては逮捕後の両親の長期的な身柄拘束など、いわゆる「人質司法」の問題が浮き彫りとなり、弁護側が鑑定留置理由開示法廷などでその是非を問うてきたところだ(既報)。

        ◆    ◆    ◆

 本年に入ってからはこれに加え、供述調書の内容をめぐって弁護側から深刻な指摘がなされることになった。だその事実は、中央の一部のウェブメディアを除いてほとんど黙殺されている状態。猟奇的な事件の裏に隠れた重要な事実のいくつかを、本稿に記録しておくことしたい。

 2月上旬、実行犯である女性の父親(61)=殺人幇助などで起訴=の公判で、ともに逮捕された母親(62)=死体損壊幇助などで起訴=が弁護側証人として尋問に立った。その主尋問で指摘されたのが、母親への取り調べを記録した映像と供述調書との喰い違い弁護側が引き合いに出した映像は、父親が逮捕された日の午後に行なわれた母親の聴取を記録したもので、録音・録画データは8時間弱に及ぶ。これに収録された問答の中に、たとえば「エタノールを買ったこと」についてのやり取りがあった。

 検察官による尋問では、この時の調書(映像ではなく)をもとに「エタノールは『娘の計画』に必要だったから買った」との供述が確認され、母親自身も「そう答えたかもしれない」と応じていた。ところが調書ならぬ映像には、この重要な発言がまったく記録されていないのだ。映像そのものが法廷で再生されることはなかったものの弁護側の尋問で再現されたのは「エタノールは何に使うと思ったか」との捜査員の問いに母親が「何かの消毒かしら」と答え、さらに「何の消毒か」と問われて「何の消毒はとくに聴かなかった」と答えたやり取り。映像にはこれを含めて「エタノール」という名詞が登場する場面が計6カ所あり、そのいずれでも母親は調書に残されたような発言していないことが確認された

 こうした喰い違いは1つに留まらず、実行犯による「仕返ししたい」「殺してやる」などの発言を母親が聴いたか聴かなかったか、実行犯の被害者への怒りについて母親が「沸々と増していた」などと発言したか否か、など複数の供述で映像と調書と内容が異なっていた。問題とされる調書は13枚あるが、そのうち印字された部分は約半分の7枚に留まり、映像内にも取調官がその7枚を母親に示す場面が記録されていた。残り6枚は、手書きで訂正が加えられたページだったという。これらの事実が明かされた尋問を目の当たりにした傍聴人の1人は、SNSへの投稿で「法廷にざわめきが…」とその様子を再現したが、地元報道はこれをほとんど伝えていない。筆者の把握する限り、調書と映像との喰い違いを報じたメディアは今のところウェブ媒体のNEWSポストセブン(⇒コチラ)などごく一部に留まる。

 指摘された喰い違いについて、2月17日夕に設けられた札幌地方検察庁の定例会見で筆者が質問したところ、飽くまで一般論として「調書はすべて逐語的に文章化しているわけではないので被告人の認識と違ってしまう可能性もある」「言ってもいないことを調書にすることはあってはならない」などの答えが返された。

 事件の実行犯である女性(30)は現在、弁護側の求めにより逮捕後2度目の精神鑑定中で、公判期日などは決まっていない。先に逮捕された父親の裁判は2月18日に結審、3月12日午後に一審判決言い渡しを迎えることになっている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【事件・疑惑・一昨年7月に札幌・ススキノ地区で起きた殺人・死体損壊事件】  2025年02月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・02.14】:【速報】:鹿児島県警捜査二課長を不同意性交の疑いで立件|14日付で書類送検

2025-02-15 05:15:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・02.14】:【速報】:鹿児島県警捜査二課長を不同意性交の疑いで立件|14日付で書類送検

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・02.14】:【速報】:鹿児島県警捜査二課長を不同意性交の疑いで立件|14日付で書類送検

 鹿児島県警で捜査2課長を務めていた安部裕行警視(28)が、不同意性交の疑いで取り調べを受けていたことが分かった。

 なぜか逮捕されることなく、本日付で書類送検されている。警察庁も当該事案を把握しており、後任人事も終わっている。 

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警の不祥事】  2025年02月14日  17:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・02.12】:鹿児島県警、「警官不祥事」捜査関係文書をのり弁開示|変わらぬ隠蔽体質

2025-02-15 05:15:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・02.12】:鹿児島県警、「警官不祥事」捜査関係文書をのり弁開示|変わらぬ隠蔽体質

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・02.12】:鹿児島県警、「警官不祥事」捜査関係文書をのり弁開示|変わらぬ隠蔽体質 

 本サイトで折に触れ報告している鹿児島県警察の不適切な情報開示問題。ほかの都道府県警で当たり前に受理される請求を「存否応答拒否」で突っぱねた対応は第三者機関の審査により撤回を余儀なくされたところだが(既報)、本年に入ってハンターに開示された公文書について、およそ適切な情報開示とは言い難い対応があきらかになっている。隠す必要のない情報をみだりに墨塗り処理した「のり弁当」の如き文書を見るにつけ、紙と黒インクの無駄遣いに首を傾げざるを得ない。

            ◆   ◆   ◆

 鹿児島県警がこのほど開示したのは、昨年1年間に県警で記録された不祥事のうち事件捜査の対象になった事案の捜査記録など。同県警はハンター・中願寺純則記者の請求に対し、計10件の事案に係る『本部長指揮事件指揮簿』などの公文書を一部開示した。それらの写しを入手した筆者は、地元・北海道警への同旨の請求で得られた文書とのあまりの違いに驚くこととなった。

 結論を述べると、鹿児島の文書はことごとく「文書」の体裁をなしていない。意味のある情報が片っ端から墨塗り処理され、最低限の事実確認も困難になっている。例を挙げて比較すれば、それは一目瞭然だ。

 改めて引き合いに出すのは、昨年11月配信の本サイト記事( 既報2)で伝えた北海道警の不祥事2件。現職警察官による強制性交事件(発生時の罪名)と、同じく交通違反事件の記録だ。

 まず、前者の性犯罪の記録を紐解いてみる。当時の記事でも詳報したように、道警の開示した『事件指揮簿兼犯罪事件処理簿』には「令和5年3月28日午前0時41分頃」と発生日時が明記され、犯行の様子も「劣情を催し」「性交をしようと考え」「その反抗を著しく困難に」などと再現されていた。事件が釧路地方検察庁帯広支部へ送致された事実やその送致年月日も開示され、捜査を手がけた警察署が「帯広警察署」と明記されているのはもちろんのこと、捜査主任官の警視や調べにあたった警部の氏名も墨塗りされず、決裁した課長や次席の名も読み取れるようになっている。一般的に被害者などの特定を避けて公表されるべき性犯罪にあっても、この程度の開示は充分に可能ということだ。言うまでもなく、公文書は開示が原則。役所の情報は役所の所有物ではなく、国民の財産だからだ。

 これが鹿児島県警の文書になると、事情が大きく異なってくる。手元にある『本部長指揮事件指揮簿』には「強制性交被疑事件」の事件名が記されているのみで、発生日時や犯行態様などはまったくわからない。計8枚の文書は意味のある記述がすべて真っ黒の「のり」で隠され、適切な捜査が行なわれたのかどうか、そもそも実際に事件があったのかどうかすら確認できない体裁だ。これを「開示」というのはあまりに無理がある。

 同時に開示された「道路交通法違反(酒気帯び運転)被疑事件」の記録はさらに輪をかけて「のり」が多く、のっけから警察署の名や捜査主任官の氏名がべったり墨塗り。採取されたアルコール量が「呼気1リットルに0.15ミリグラム」と明かされるのみで、事件の現場や日時は完全に不開示。送致先の検察庁の名も隠され、否、送致されたかどうかも判断できない状態にされており、文書はただただ「酒気帯び運転がありました」という事実を語っているのみだ。

 一方の北海道警。現職警察官の起こした交通事故の捜査記録として開示された『重要特異交通事故発生報告書』には、事故の発生日時や現場の記載があるのみならず、状況を示した略図まで添えられている。当日の天候や路面の状況、破損したタイヤの種類、制限速度の有無も明記されている。併せて開示された『指揮簿』には「同乗中の被疑者を負傷させた」との記述があり、それが護送中の事故だった事実を確認できるようになっている。

 どちらが適切な情報開示なのかは、改めて言うまでもない。本サイトで繰り返し伝えているように、警察は日常的に事件・事故の情報を報道機関に提供し、軽微な交通違反などでもあっても場合によっては当事者の個人情報を公開するような役所だ。ならばこそ、身内の警察官が法令違反を起こした時には自戒を込めていっそう詳しい情報を、少なくとも一般市民の事件・事故と同じぐらいの情報を積極的に公表する責任がある筈だ。鹿児島県警がその責任を充分に果たしているとは、お世辞にも言い難い。

 筆者の審査請求で決定が覆った同旨の公文書開示では2月上旬現在、県警からなおも具体的な進捗連絡が届いていない状況。いずれ「開示」される文書がどれほどの「のり」に覆われることになるかは、追って報告を続けたい。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・事件・犯罪・鹿児島県警に多発する不祥事】  2025年02月12日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・02.01》:仮装身分捜査の導入 乱用防ぐ仕組みを確実に

2025-02-03 02:03:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

《社説②・02.01》:仮装身分捜査の導入 乱用防ぐ仕組みを確実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・02.01》:仮装身分捜査の導入 乱用防ぐ仕組みを確実に

 新たな捜査手法が乱用されないための仕組みが必要だ。

 「闇バイト」による強盗事件などを摘発するため、警察庁が「仮装身分捜査」を導入した。捜査員が身分を偽って応募し、犯人グループに接触する。

 

 雇われたふりをして情報を入手し、実行犯らを検挙するのが狙いだ。警察官の応募があるかもしれないと思わせ、犯罪を抑止する効果も期待されている。

 

「仮装身分捜査」の流れとイメージ

「仮装身分捜査」の流れとイメージ

 闇バイトの募集では、応募者の個人情報を把握する目的で、身分証明書の画像を送信させるケースが多い。

 このため、架空の顔写真や氏名を記載した運転免許証、マイナンバーカードなどを都道府県警が作製し、捜査員が使う。

 本来は公文書偽造などの罪に当たる行為だ。警察庁は「正当な業務による行為は罰しない」とする刑法の規定を根拠に、違法にはならないと説明している。

 これでは、捜査活動の一環であれば、何をしてもいいということになりかねない。非常に問題のある解釈だ。

 仮装身分捜査については、警察庁の実施要領で、インターネット上で実行犯を募集する強盗や詐欺などが対象とされた。

 さらに「他の方法では犯人の検挙が困難な場合」に限られる。都道府県警の担当部門が実施計画書を作り、本部長の承認を得ることも明記された。

 ただ、警察内部のルールに過ぎない。対象が、なし崩しに広がっていくことも懸念される。市民活動の監視などに悪用されるリスクもある。

 恣意(しい)的な運用を防ぐには、法律で要件や適用範囲を規定すべきだ。裁判官ら第三者によるチェックも欠かせない。

 捜査現場での課題もある。実行犯らを逮捕するタイミングが遅れれば、取り返しのつかない事態を招く恐れがある。

 仮装身分捜査の導入は、昨夏以降に相次いだ闇バイト強盗を受けて、短期間で決まった。必要性や問題点に関する議論が不十分だったのではないか。

 警察は、犯罪捜査や治安維持で大きな権限を持つ。慎重かつ公正に行使しなければ、市民の信頼が損なわれる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月01日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県警本部長】:「偽情報は社会に不利益」…死亡の前県議「逮捕予定」を否定した理由を説明

2025-02-01 05:00:15 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【兵庫県警本部長】:「偽情報は社会に不利益」…死亡の前県議「逮捕予定」を否定した理由を説明

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県警本部長】:「偽情報は社会に不利益」…死亡の前県議「逮捕予定」を否定した理由を説明 

 前兵庫県議が自殺とみられる形で死亡後にSNS上で拡散された「前県議は逮捕予定だった」との情報を、1月20日の県議会で「事実無根」と指摘した村井紀之・県警本部長(57)が31日、読売新聞のインタビュー取材に応じた。警察が個別の案件に言及した異例の対応について「(拡散が続けば)社会にとって不利益だと考えた」と説明した。

インタビューに応じる村井紀之本部長(31日、兵庫県警本部で)=八木良樹撮影
インタビューに応じる村井紀之本部長(31日、兵庫県警本部で)=八木良樹撮影

 死亡した前県議は、斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラなどの疑惑を調査する県議会百条委員会メンバーだった竹内英明氏(50)。県議辞職後、警察の捜査を受けているとの投稿が拡散された。死亡後は「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、ユーチューブ動画で「逮捕される予定だった」などと発言していた。

 村井氏は取材に対し「100%の虚偽が拡散されていいわけがない。悪意なく拡散している人がいた」と指摘。「人が亡くなり、尊厳が傷つけられているのを放置できなかった」と語った。

 また、県警がX(旧ツイッター)の公式アカウントで 誹謗ひぼう 中傷をやめるよう投稿したことに関して「意見が対立する人同士で折り合える雰囲気がなく、放置すると兵庫の未来が危ぶまれた。一部で続く分断の流れを止めたい」と語った。

 ◆「悪意ない拡散を止める必要」

 村井本部長との主なやり取りは次の通り。

 ――県議会での発言の経緯は。

 「亡くなった方には、反論の機会がない。『県警幹部が否定した』というニュースが流れただけではSNSの拡散は止まらなかった。県警トップの私が答弁する方が否定の効果があり、合理的だろうと考えた」

 ――一般的に捜査に関する情報は公開しないが。

 「常識的な判断をすれば、放置できない。我々がはっきりメッセージを出さないことで、さらなる虚偽が拡散される。現に人が亡くなり、尊厳が傷つけられている。明白な虚偽を発信する大本が一番悪いが、悪意なく拡散する人がおり、止める必要があった」

 ――Xで誹謗中傷をやめるよう県警が1月22日に投稿した経緯は。

 「知事選で虚偽情報が拡散され、選挙後にも止まらなかった。何かメッセージを出すことも検討したが、そのときは諦めた。今回の答弁に思いのほか反響があり、幹部とも相談して発信を決め、自分で書いた」

 ――いま発信した理由は。

 「一部で続く『分断』を止めたかった。選挙が終わったらノーサイドかと思ったが火種が残った。意見が対立する人同士で折り合える雰囲気がなく、兵庫の未来が危ぶまれた」

 ――兵庫県の状態をどう見ているか。

 「分断が根深い状態だという感触はある。思い込みをしている人が、お互いに一切交わらない状態、対立の状態はあるかなと感じている。竹内前県議の死をきっかけにその分断が根深くなり、見過ごすわけにいかない」

 ■あわせて読みたい

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・前兵庫県議が自殺とみられる形で死亡後にSNS上で拡散された「前県議は逮捕予定だった」との情報を、1月20日の県議会で「事実無根」と指摘した村井紀之・県警本部長(57)が31日、読売新聞のインタビュー取材に応じた】  2025年02月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県警】:『NHK党』立花孝志氏 亡くなった竹内前県議への問題発言で、ついに「捜査に本腰」へ

2025-01-27 07:12:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【兵庫県警】:『NHK党』立花孝志氏 亡くなった竹内前県議への問題発言で、ついに「捜査に本腰」へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県警】:『NHK党』立花孝志氏 亡くなった竹内前県議への問題発言で、ついに「捜査に本腰」へ

 元稿:講談社 主要出版物 FRIDAY DIGITAL 社会 【話題・兵庫県警・『NHKから国民を守る党』党首・立花孝志氏(57)が、聞きようによっては『竹内元県議が亡くなった原因が県警にある』との発言】  2025年01月26日  12:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・01.16】:鹿児島県警の犯罪疑いに検審「不起訴相当」|「決定の過程がわからない」と告発人男性

2025-01-16 07:03:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・01.16】:鹿児島県警の犯罪疑いに検審「不起訴相当」|「決定の過程がわからない」と告発人男性

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.16】: 鹿児島県警の犯罪疑いに検審「不起訴相当」|「決定の過程がわからない」と告発人男性 

 本サイト(ニュースサイト・ハンター)編集部への家宅捜索などは違法だったとして東京都の編集者が鹿児島県警本部長らを告発していた問題で昨年暮れ、検察の不起訴処分を不服とした告発人による第三者機関への審査申し立てが退けられたことがわかった。議決の理由はとくに明かされていないといい、告発人の男性は「何をどう審査したのかがまったくわからず、これでは議決への不満すら表明できない」と話している。

           ◆   ◆   ◆

 前県警本部長・野川明輝氏と組織としての県警、及び氏名不詳の警察官らを特別公務員職権濫用などで告発したのは、警察不祥事に関するノンフィクション書籍などを出版しているリーダーズノート出版(東京都豊島区)の木村浩一郎代表(63)。昨年6月14日付の告発状によると、県警がハンター編集部を家宅捜索して取材データを押収した行為が特別公務員職権濫用(刑法194条)にあたるほか、県医師会職員の関与が疑われる性犯罪の捜査を怠った行為が犯人蔵匿・犯人隠避(同105条)にあたり、また先の強制捜査で取材の秘密を侵して別の事件を仕立てた行為(情報漏洩の疑いで前生活安全部長を逮捕)が憲法21条違反にあたるとし、検察による適切な捜査と処罰を求めた。

 告発を受理した鹿児島地方検察庁はしかし、上のすべての事実について不起訴処分を決定。処分日は、受理から僅か2週間あまりが過ぎた7月5日だった。告発人の木村さんは、地検のこの対応に率直な疑問を呈する。

 「誰がどう見てもおかしな状況になっているにもかかわらず、あまりにも短い期間で不起訴が決まってしまった。不当逮捕が疑われる前生活安全部長の裁判すら始まっていないのに、ですよ。裁判所が簡単にガサ状を出したことも含め、これでは本当に三権が分立してると言えるのか……」

 不起訴決定に納得できない木村さんは、検察の処分の適正性を審査する第三者機関「鹿児島検察審査会」に審査を申し立てた。7月10日付の申立書では、改めて県警による6つの違法行為疑いを指摘している。具体的には(1)ハンターへの強制捜査時の令状不提示、(2)押収データの一部の消去、(3)先述の元生安部長の逮捕、(4)『刑事企画課だより』を通じた不適切な指示、(5)不祥事隠蔽の指示、及び(6)先述の性犯罪の隠蔽――、の計6件を挙げた上で、次のように訴えた。

 《民主主義の根幹をも揺るがしかねない当該強制捜査に関わる(1)~(6)の犯罪に関して、この短期間での地検の捜査が不十分だという世論もあり、国民の納得も得られていないと考えられ、「不起訴」の決定には大きな疑問が残ります。なお犯罪が行われた場合に行為者本人のみでなく行為者と一定の関係にある組織をも処罰することは「両罰規定」と呼ばれており、私は、県警本部長や関係警察官だけでなく、「鹿児島県警」の罪をも告発しています》

 申し立てを受理した鹿児島検審が審査の結果を明らかにしたのは、5カ月あまりを経た12月24日。伝わった結論は、検察の不起訴処分を是とする「不起訴相当」議決だった。議決の理由は「不起訴処分を覆すに至らなかった」という抽象的な説明に留まり、申立人の木村さんはこれに「何をどう審査したのかがまったくわからない」と呆れる。

 「わからない以上、不満すら表明できない。こういう幕引きには、何が起きているのかわからないことへの本質的な恐さがある。本部長の異動も生安部長の告発と関係ないという建前ですが、そんなことあり得ないでしょう。なんだかわからない恐怖感がずっと残ります」

 そもそも、当初の刑事告発は決して本意ではなかったという。声を上げざるを得なくなったのは「自分もいつ同じ目に遭うかわからない」という危機感ゆえだった。

 「義務感ではなく、やらないとやられる、という恐怖感。自分自身も無関係ではないから告発せざるを得なかった、ということです。警察と裁判所にあんなことされたら、うちみたいな出版社なんかひとたまりもない。ああいうガサを許していくと本なんて作れなくなる。もちろん自己防衛がすべてではなく、一度でもあれを許すと国民にとっても不利益しかないですから」

 鹿児島の検察審査会は、その危機感を受け止められなかったようだ。報道機関への強制捜査は、検察のみならず第三者機関からもお墨つきを与えられる結果となった。

 なお今回のような刑事司法の判断については、その適正性が強く疑われるケースがあることも事実。本サイトで繰り返し報じてきた「首相演説ヤジ排除事件」では、警察官の排除行為を違法とする検察への告訴告発、検察審査会への審査申し立て、及び刑事裁判所への付審判請求がことごとく奏功せず、即ち排除行為になんら違法性はないとの判断が示されたが、排除被害者らが提起した国家賠償請求裁判では排除行為を違法・違憲とする判決が確定し、民事と刑事の判断が相反する結果となった。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2025年01月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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