路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【兵庫県警本部長】:「偽情報は社会に不利益」…死亡の前県議「逮捕予定」を否定した理由を説明

2025-02-01 05:00:15 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【兵庫県警本部長】:「偽情報は社会に不利益」…死亡の前県議「逮捕予定」を否定した理由を説明

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県警本部長】:「偽情報は社会に不利益」…死亡の前県議「逮捕予定」を否定した理由を説明 

 前兵庫県議が自殺とみられる形で死亡後にSNS上で拡散された「前県議は逮捕予定だった」との情報を、1月20日の県議会で「事実無根」と指摘した村井紀之・県警本部長(57)が31日、読売新聞のインタビュー取材に応じた。警察が個別の案件に言及した異例の対応について「(拡散が続けば)社会にとって不利益だと考えた」と説明した。

インタビューに応じる村井紀之本部長(31日、兵庫県警本部で)=八木良樹撮影
インタビューに応じる村井紀之本部長(31日、兵庫県警本部で)=八木良樹撮影

 死亡した前県議は、斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラなどの疑惑を調査する県議会百条委員会メンバーだった竹内英明氏(50)。県議辞職後、警察の捜査を受けているとの投稿が拡散された。死亡後は「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、ユーチューブ動画で「逮捕される予定だった」などと発言していた。

 村井氏は取材に対し「100%の虚偽が拡散されていいわけがない。悪意なく拡散している人がいた」と指摘。「人が亡くなり、尊厳が傷つけられているのを放置できなかった」と語った。

 また、県警がX(旧ツイッター)の公式アカウントで 誹謗ひぼう 中傷をやめるよう投稿したことに関して「意見が対立する人同士で折り合える雰囲気がなく、放置すると兵庫の未来が危ぶまれた。一部で続く分断の流れを止めたい」と語った。

 ◆「悪意ない拡散を止める必要」

 村井本部長との主なやり取りは次の通り。

 ――県議会での発言の経緯は。

 「亡くなった方には、反論の機会がない。『県警幹部が否定した』というニュースが流れただけではSNSの拡散は止まらなかった。県警トップの私が答弁する方が否定の効果があり、合理的だろうと考えた」

 ――一般的に捜査に関する情報は公開しないが。

 「常識的な判断をすれば、放置できない。我々がはっきりメッセージを出さないことで、さらなる虚偽が拡散される。現に人が亡くなり、尊厳が傷つけられている。明白な虚偽を発信する大本が一番悪いが、悪意なく拡散する人がおり、止める必要があった」

 ――Xで誹謗中傷をやめるよう県警が1月22日に投稿した経緯は。

 「知事選で虚偽情報が拡散され、選挙後にも止まらなかった。何かメッセージを出すことも検討したが、そのときは諦めた。今回の答弁に思いのほか反響があり、幹部とも相談して発信を決め、自分で書いた」

 ――いま発信した理由は。

 「一部で続く『分断』を止めたかった。選挙が終わったらノーサイドかと思ったが火種が残った。意見が対立する人同士で折り合える雰囲気がなく、兵庫の未来が危ぶまれた」

 ――兵庫県の状態をどう見ているか。

 「分断が根深い状態だという感触はある。思い込みをしている人が、お互いに一切交わらない状態、対立の状態はあるかなと感じている。竹内前県議の死をきっかけにその分断が根深くなり、見過ごすわけにいかない」

 ■あわせて読みたい

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・前兵庫県議が自殺とみられる形で死亡後にSNS上で拡散された「前県議は逮捕予定だった」との情報を、1月20日の県議会で「事実無根」と指摘した村井紀之・県警本部長(57)が31日、読売新聞のインタビュー取材に応じた】  2025年02月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【兵庫県警】:『NHK党』立花孝志氏 亡くなった竹内前県議への問題発言で、ついに「捜査に本腰」へ

2025-01-27 07:12:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【兵庫県警】:『NHK党』立花孝志氏 亡くなった竹内前県議への問題発言で、ついに「捜査に本腰」へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県警】:『NHK党』立花孝志氏 亡くなった竹内前県議への問題発言で、ついに「捜査に本腰」へ

 元稿:講談社 主要出版物 FRIDAY DIGITAL 社会 【話題・兵庫県警・『NHKから国民を守る党』党首・立花孝志氏(57)が、聞きようによっては『竹内元県議が亡くなった原因が県警にある』との発言】  2025年01月26日  12:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・01.16】:鹿児島県警の犯罪疑いに検審「不起訴相当」|「決定の過程がわからない」と告発人男性

2025-01-16 07:03:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・01.16】:鹿児島県警の犯罪疑いに検審「不起訴相当」|「決定の過程がわからない」と告発人男性

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.16】: 鹿児島県警の犯罪疑いに検審「不起訴相当」|「決定の過程がわからない」と告発人男性 

 本サイト(ニュースサイト・ハンター)編集部への家宅捜索などは違法だったとして東京都の編集者が鹿児島県警本部長らを告発していた問題で昨年暮れ、検察の不起訴処分を不服とした告発人による第三者機関への審査申し立てが退けられたことがわかった。議決の理由はとくに明かされていないといい、告発人の男性は「何をどう審査したのかがまったくわからず、これでは議決への不満すら表明できない」と話している。

           ◆   ◆   ◆

 前県警本部長・野川明輝氏と組織としての県警、及び氏名不詳の警察官らを特別公務員職権濫用などで告発したのは、警察不祥事に関するノンフィクション書籍などを出版しているリーダーズノート出版(東京都豊島区)の木村浩一郎代表(63)。昨年6月14日付の告発状によると、県警がハンター編集部を家宅捜索して取材データを押収した行為が特別公務員職権濫用(刑法194条)にあたるほか、県医師会職員の関与が疑われる性犯罪の捜査を怠った行為が犯人蔵匿・犯人隠避(同105条)にあたり、また先の強制捜査で取材の秘密を侵して別の事件を仕立てた行為(情報漏洩の疑いで前生活安全部長を逮捕)が憲法21条違反にあたるとし、検察による適切な捜査と処罰を求めた。

 告発を受理した鹿児島地方検察庁はしかし、上のすべての事実について不起訴処分を決定。処分日は、受理から僅か2週間あまりが過ぎた7月5日だった。告発人の木村さんは、地検のこの対応に率直な疑問を呈する。

 「誰がどう見てもおかしな状況になっているにもかかわらず、あまりにも短い期間で不起訴が決まってしまった。不当逮捕が疑われる前生活安全部長の裁判すら始まっていないのに、ですよ。裁判所が簡単にガサ状を出したことも含め、これでは本当に三権が分立してると言えるのか……」

 不起訴決定に納得できない木村さんは、検察の処分の適正性を審査する第三者機関「鹿児島検察審査会」に審査を申し立てた。7月10日付の申立書では、改めて県警による6つの違法行為疑いを指摘している。具体的には(1)ハンターへの強制捜査時の令状不提示、(2)押収データの一部の消去、(3)先述の元生安部長の逮捕、(4)『刑事企画課だより』を通じた不適切な指示、(5)不祥事隠蔽の指示、及び(6)先述の性犯罪の隠蔽――、の計6件を挙げた上で、次のように訴えた。

 《民主主義の根幹をも揺るがしかねない当該強制捜査に関わる(1)~(6)の犯罪に関して、この短期間での地検の捜査が不十分だという世論もあり、国民の納得も得られていないと考えられ、「不起訴」の決定には大きな疑問が残ります。なお犯罪が行われた場合に行為者本人のみでなく行為者と一定の関係にある組織をも処罰することは「両罰規定」と呼ばれており、私は、県警本部長や関係警察官だけでなく、「鹿児島県警」の罪をも告発しています》

 申し立てを受理した鹿児島検審が審査の結果を明らかにしたのは、5カ月あまりを経た12月24日。伝わった結論は、検察の不起訴処分を是とする「不起訴相当」議決だった。議決の理由は「不起訴処分を覆すに至らなかった」という抽象的な説明に留まり、申立人の木村さんはこれに「何をどう審査したのかがまったくわからない」と呆れる。

 「わからない以上、不満すら表明できない。こういう幕引きには、何が起きているのかわからないことへの本質的な恐さがある。本部長の異動も生安部長の告発と関係ないという建前ですが、そんなことあり得ないでしょう。なんだかわからない恐怖感がずっと残ります」

 そもそも、当初の刑事告発は決して本意ではなかったという。声を上げざるを得なくなったのは「自分もいつ同じ目に遭うかわからない」という危機感ゆえだった。

 「義務感ではなく、やらないとやられる、という恐怖感。自分自身も無関係ではないから告発せざるを得なかった、ということです。警察と裁判所にあんなことされたら、うちみたいな出版社なんかひとたまりもない。ああいうガサを許していくと本なんて作れなくなる。もちろん自己防衛がすべてではなく、一度でもあれを許すと国民にとっても不利益しかないですから」

 鹿児島の検察審査会は、その危機感を受け止められなかったようだ。報道機関への強制捜査は、検察のみならず第三者機関からもお墨つきを与えられる結果となった。

 なお今回のような刑事司法の判断については、その適正性が強く疑われるケースがあることも事実。本サイトで繰り返し報じてきた「首相演説ヤジ排除事件」では、警察官の排除行為を違法とする検察への告訴告発、検察審査会への審査申し立て、及び刑事裁判所への付審判請求がことごとく奏功せず、即ち排除行為になんら違法性はないとの判断が示されたが、排除被害者らが提起した国家賠償請求裁判では排除行為を違法・違憲とする判決が確定し、民事と刑事の判断が相反する結果となった。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2025年01月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・01.09】:能登地震復旧中の「幹部宴会」巡り食い違う警察庁と鹿児島県警の対応

2025-01-16 07:03:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・01.09】:能登地震復旧中の「幹部宴会」巡り食い違う警察庁と鹿児島県警の対応

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.09】:能登地震復旧中の「幹部宴会」巡り食い違う警察庁と鹿児島県警の対応 

 (警察庁と鹿児島県警は不仲なのではないか?)――そう思わせるような情報公開請求への対応となった。

 ハンターが地震被災地の実情を無視して開かれた警察幹部による「宴会」について、鹿児島県警と警察庁が保有しているはずの同一文書の開示請求を行ったところ、県警は文書の存在を認めた上で非開示、警察庁は文書があるか否かについて答えないという「存否応答拒否」を通知してきた。これは一体どういうことか?

            ◆   ◆   ◆

 ハンターが県警に開示請求したのは「本田尚志元生活安全部長が井上昌一元刑事部長の名前を使って発出したとされる文書」。警察庁には「本田尚志元鹿児島県警生活安全部長が井上昌一元鹿児島県警刑事部長の名前を使って発出したとされる文書」の開示を求めた。対象文書は、警察庁の公益通報窓口に郵送された1件の文書だ。

 これは本田氏が1月下旬に、警察庁の公益通報窓口に送ったとされる告発文書。そこには、元日に起きた能登半島地震を受けて全国の警察官が災害派遣され困難を極める復旧作業にあたっていた2月初旬に、鹿児島市内の日本料理店で、本部長をはじめとする鹿児島県警のほとんどの幹部が九州管区警察局長と「宴会」を開く予定であることが明かされていた。告発文書の送り主は、井上刑事部長(当時)になっていたという。

 宴会の開催を要求したのは九州管区警察局長。告発文書は、これを非常識な強要行為であるとして警察庁に中止指導を求めていた。しかし、同庁は宴会を止めることなく告発を黙殺。この件に懲りたのか本田氏は、野川明輝県警本部長(当時)による警官非違い事案の隠ぺい指示など4件の組織内不祥事を、北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に郵送していた(*既報)。

 当時の九州管区警察局長は、前任地の福岡県で本部長を務めていた岡部正勝氏(24年3月で退任。4月から京都産業大学教授)。岡部氏が東大卒の警察庁キャリアだったため、仲間に傷を付けたくない同庁側が、あえて問題にしなかったという見方をする関係者もいる。

 やはり東大卒のキャリア警察官である野川前本部長の隠ぺい指示を「なかった」と決め付け、本田氏の「内部通報」を否定して「情報漏えい」で片付けようとしているのも警察庁。二つの事案に通底しているのは“キャリア擁護”の姿勢だ。それが形を変えて表出したのが、本田氏が警察庁に郵送したとされる告発文書への対応ではないのか。

 ハンターは昨年7月、警察庁に対し令和3年から昨年7月5日までの間に同庁に届いた「鹿児島県警職員の非違事案や不適切行為に関する告発、苦情、相談等の記録及びそれぞれの件ごとに提出を受けた文書、データ」を開示請求。不祥事続きの同県警について、上級庁の警察庁に寄せられた告発や抗議の件数と内容を知るためだったが、一部開示された各文書の受け取り日付から確認した限りでは、本田氏が郵送した文書は含まれていなかった。

 次いで10月、同庁に対し「令和6年1月以降に警察庁に送付されたすべての内部通報」を開示請求したが、一部開示された4件の文書の日付から、本田氏が郵送した内部通報文書に合致するものが対象から外されていたことが分かっている。警察庁は、告発自体を「なかったこと」にしたというわけだ。

               ◆   ◆   ◆

 前置きが長くなったが、「本田尚志元生活安全部長が井上昌一元刑事部長の名前を使って発出したとされる文書。(*県警が会見で事実関係を公表したもの)」の開示請求に対する鹿児島県警の答えが下の「公文書不開示決定通知書」。県警は、対象文書が鹿児島県情報公開条例の「適用除外」であり、その根拠は「弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は(略)訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があって特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧することができない」という刑事訴訟法の規定だとした。要は、刑事裁判の証拠書類だから開示できないということ。つまり、対象文書が「ある」ということを、県警が証明した格好だ。

 一方、同じ対象文書であるにも関わらず、警察庁の「行政文書不開示決定通知書」にある不開示理由は、まったく違うものとなった。それが下、対象文書が「個人情報」だから存在するか否かも回答できないという理由が綴られている。

 県警は刑事事件の証拠書類であることを不開示理由にして対象文書の存在を認めているのに、警察庁は個人情報だとして存否応答拒否。同じ警察組織の対応がこれほど違うとは驚きだ。すり合わせができていないことは明白で、国家公務員法違反という重大事件に関係する文書の扱いとは思えない。

 振り返ってみると、県警は記者会見で――“唐突に”――送り先と内容を秘匿したまま、本田氏が井上前刑事部長の名前を使って文書を送ったという事実のみを公表した。わざわざ井上氏の名前を使ったという部分に興味が向くよう仕向けたのは、本田氏を貶める狙いがあったと見るべきだろう。

 しかし、報道関係者が文書の内容や送り先を探り当てようとするのは当然で、その結果、キャリア警察官が主導した非常識な宴会の実態が報道されることにつながった(*既報2)。警察庁としては、同庁出身のキャリア警察官に傷がつく事態が面白いはずがない。

 だが、鹿児島県警は告発内容が表に出ても非難される度合いが小さいと判断していたはずだ。宴会を強要したのは九州管区警察局長。告発文書は、県警側が上位者に逆らえず、宴会に“参加させられた”という趣旨になっていたとみられている。県警は被害者、管区警察局長が加害者――そうした構図が表面化することを拒む警察庁の姿勢が、「存否応答拒否」につながったという見立ては十分に成り立つ。

 西日本新聞の報道によれば、同紙記者の取材に応じた岡部前九州管区警察局長は、「監察ではなく巡視。不適切とは思わない」「目的は懇親」などと述べたという。完全に開き直った形だが、巡視であろうが監察であろうが、能登で災害復旧にあたっていた全国の警察官や被災地の住民が、警察幹部の宴会を良しとするはずがない。宴会を開いて“懇親”しなければ機能しない組織なら、税金で支える必要などはあるまい。

 同一文書の開示請求を巡り、食い違う鹿児島県警と警察庁の対応――。共通しているのは、被災地を無視した宴会を「問題なし」と強弁する傲慢な態度だけだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・同一文書の開示請求を巡り、食い違う鹿児島県警と警察庁の対応・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2025年01月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・12.12】:鹿児島県警、能登半島地震の災害派遣中に被災地無視して本部長らが「宴会」|九州管区警察局長、巡視当日の愚行

2025-01-09 05:15:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・12.12】:鹿児島県警、能登半島地震の災害派遣中に被災地無視して本部長らが「宴会」|九州管区警察局長、巡視当日の愚行

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.12】:鹿児島県警、能登半島地震の災害派遣中に被災地無視して本部長らが「宴会」|九州管区警察局長、巡視当日の愚行 

 元日に起きた能登半島地震を受けて全国から警察官が災害派遣され難航する復旧作業にあたっていた2月初旬、鹿児島市内の日本料理店で、本部長はじめとする鹿児島県警のほとんどの幹部が九州管区警察局長と宴会を開いていたことが分かった。

 災害派遣された各地の警察官たちは車中泊するなど厳しい条件下で任務についていたとされ、被災地の住民や命がけで使命を果たしていた警察官たちを愚弄する行為に厳しい批判の声が上がりそうだ。

 ■県警幹部、ずらり参加

 宴会が行われたのは今年の2月5日。誘ったのは2022年3月から2023年7月まで福岡県警本部長を務め、同年8月から九州管区警察局長に就任していた岡部正勝氏(24年3月で退任。4月から京都産業大学教授)だったとされ、県警側からは野川明輝本部長(当時。現・自動車安全運転センター総務部長)以下、中野誠交通部長(現・刑事部長)、井上昌一刑事部長(退職)、本田尚則生活安全部長(退職)、大川隆則警備部長(退職)、上別府高宏首席監察官(現・鹿児島中央署長)など部長級の約10人が参加していた。管区警察局からは岡部局長のほか、その秘書が同席していたという。

 元日発生の能登半島地震を受けた警察庁は、同日中に「災害警備本部」を設置。「警察と被害状況」(第一報)と題する公表文書の発信をホームページ上で開始し、4月までに49回(第49報)の情報発信を行っていた。下の画像は、同庁が公表した2月2日の第37報。鹿児島県警から派遣されていた警察官が、「特別自動車警ら隊」の部隊員として活動していたことが分かる。

 大規模地震に見舞われた能登半島には宿泊施設がなく、全国から応援に入った公務員などのための宿泊拠点がようやくできたのは今年3月の末。2月初旬といえば、災害派遣された警察官や自治体職員が車中泊するなど厳しい状況下での活動を余儀なくされていた時期だった。

 そうした中での警察組織幹部らによる「宴会」――。被災地支援に出向いたすべての人たちはもちろん、被災地の住民をも愚弄する行為だったと言うしかない。

 ■闇に葬られていた警察庁への「内部通報」

 全国の警察で起きた不祥事を受け、2000年に国家公安委員会によって設置された「警察刷新会議」は『警察刷新に関する緊急提言』をまとめ公表した。その発端となった事件の一つは新潟県警が起こした数々の不祥事だった(配信記事参照)。

 この件では、1990年から9年以上も監禁されていた少女が2000年1月に発見された際、特別監察実施後の関東管区警察局長が新潟県警本部長から接待を受けていたことが発覚。局長と本部長は責任をとる形で辞職している。岡部元局長と鹿児島県警の幹部らは、警察組織が信頼を失う原因となった事案の反省を忘れ、絶対にやってはいけない時期に「宴会」を開いていたことになる。「上級者である局長からの誘いで断れなかった」という言い訳が聞こえてきそうだが、過去の事例を挙げて断ることはできたはず。苦しみの中にいる被災者や被災地で活動する人たちをあざ笑うかのような愚行を許すわけにはいくまい。

 ちなみに、この「宴会」を問題視し、事前に警察庁に「内部通報」したとされているのは、情報漏洩の疑いをかけられ国家公務員法違反の疑いで逮捕・起訴された元鹿児島県警生活安全部長の本田氏。しかし、その内部通報を警察庁は黙殺し、宴会は予定通り開かれていた。告発が闇に葬られた格好だ。

 本田氏が警察組織の隠ぺい体質に落胆したことは容易に想像がつく。地元メディアと県警の癒着構造を知る本田氏は、やむなく次の内部通報を北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に郵送。結果的に、それが県警を揺るがす情報漏洩事件につながった。裏を返せば、その後現職警官による犯罪行為が次々に明らかとなるきっかけを作ったのが「警察庁」だったというという見立ても成り立つ。

 県警はこれまでの記者会見で、内容も送り先も伏せたまま、本田元部長が逮捕容疑となった小笠原淳氏への内部通報とは別に、井上刑事部長(当時)の名前を使ったもう1件の文書を発出していたことを明かしている。わざわざ2通目の文書の存在に言及したのは、いずれ「宴会」が表面化するのを見越して、本田氏の狙いが「公益通報」ではなく、井上氏を貶めることにあったと印象付けるためだろう。姑息という他ない。

 ハンターは警察庁に対する複数回にわたる開示請求を行ってきたが、本田氏が送ったはずの告発文書の存在自体が「ない」ことにされており、次稿でその過程の詳細を報じる予定だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2024年12月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・12.24】:【鹿児島県警の闇】:「すみやかに」で1カ月経過|隠蔽失敗の捜査関係文書、開示にのらりくらり対応

2025-01-03 06:18:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・12.24】:【鹿児島県警の闇】:「すみやかに」で1カ月経過|隠蔽失敗の捜査関係文書、開示にのらりくらり対応

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.24】:【鹿児島県警の闇】:「すみやかに」で1カ月経過|隠蔽失敗の捜査関係文書、開示にのらりくらり対応 

 鹿児島県警察の不適切な情報開示が指摘されている問題(既報)で、第三者機関の答申を受けた県公安委員会の裁決から1カ月を経てなお公文書の開示・不開示の目途がついていないことがわかった。現時点で決定時期の見通しは立っていないようで、県警の担当課は「すみやかに」と説明するのみ。官庁御用納めの12月27日にまでに決定が出せるかどうかも明言できないといい、もとの開示請求から数えて3年越しの対応となる可能性が濃厚になってきた。

              ◆   ◆   ◆

 本サイトで繰り返し伝えている通り、鹿児島県の情報公開・個人情報保護審査会(野田健太郎会長、委員5人)が県警の不適切な情報開示対応を指摘することになったのは本年9月下旬のこと。県警は前年の2023年5月、筆者の同年3月の文書開示請求に対して「存否応答拒否(文書が存在するかどうかを明かさず不開示)」決定を出していた。対象の文書は警察官らの不祥事に係る事件捜査の記録などで、ほかの都道府県警察では問題なく開示される情報。鹿児島のみが存否を答えないという対応に合理性は見出せず、筆者は同年7月に審査請求(不服申し立て)を行なった。先述の審査会は1年あまりの審査を経て開示をやり直すべきとの答申をまとめ、これが県警を管理監督する県公安委員会に伝わったのが本年10月下旬のこと。公安委はさらに1カ月を経た11月20日付で当初処分を取り消すとの裁決を出すに到った。

 同裁決を機に改めて「やり直し」時期について筆者が県警に問い合わせを寄せたところ、担当者は「振り出しに戻る、つまり請求時点からの手続きに戻るということ」と説明した。額面通り受け取るならば、県警は筆者が改めて文書開示請求をしたと想定して開示・不開示を決める作業を進め、理想的には通常の開示期限内(原則15日以内)に決定を出すということになる。文書の分量が多いなどで期限内の対応が難しい場合は、これも通常の開示請求への対応がそうであるように「延長通知」がなされることが想定された。

 ところが実際には、裁決から1カ月を過ぎても開示・不開示の決定連絡は届かず、延長決定も通知されていない。きっかり1カ月後となる12月20日、筆者が県警の情報公開係へ問い合わせを寄せたところ、対応を引き継いだ監察課は「今まさに改めて作業を進めているところ」と説明、具体的な時期の目途を尋ねる問いには「書類を集めてどこまで出せるか検討しているところ」と答えたのみで、時期は明言できないとのことだった。「御用納めの27日までに決まらない可能性もあるか」との問いにも明答は返されず、場合によっては年を越すこともあり得る状況が仄めかされた。

 通常の開示請求で示される「延長通知」については、今回は出ることがないという。つまり、おおむねいつごろ結論が出るのかは今後も一切示されることがなく、請求人である筆者はただただ待ち続けるしかないというわけだ。

 2023年3月に開示を求めた文書は、県警で過去5年間に記録された不祥事(懲戒処分、及び監督上の措置)のうち事件捜査の対象となった事案の捜査の記録(事件指揮簿など)。文書量がそれなりに多くなることは理解できるものの、繰り返しになるがそもそも最初に請求を寄せたのは今から1年9カ月ほども前のこと。23年7月に筆者が審査請求を申し立ててから審査会が答申を出すまでの間だけでも1年間以上の猶予があり、その間に県警は先んじて対象文書を探索・特定しておくことができた筈だ。

 今回の審査会答申や公安委裁決は、県警で強く疑われる隠蔽体質を改めて浮き彫りにする大きな意義があった。だがその後の県警の対応は遅々として進まず、担当課は「すみやかに」と繰り返すばかり…。

 結びに、鹿児島県情報公開条例・第1条の条文を全文採録しておく。

 《この条例は、地方自治の本旨にのっとり、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県政に関する情報の一層の公開を図り、もって県の有するその諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を確保し、県民参加による公正で開かれた県政の推進に資することを目的とする

 なお上の条文には主権者として「県民」の語が頻出するが、同第5条では開示請求権者を「何人も」と、即ち“誰であっても”と定めており、実際には県民でなくとも公文書の開示を求めることができる。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2024年12月24日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・12.16】:鹿児島県警で捜査情報漏えい|特定報道機関に個人名と立件時期明示|聞いて呆れる「再発防止」

2025-01-03 06:17:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・12.16】:鹿児島県警で捜査情報漏えい|特定報道機関に個人名と立件時期明示|聞いて呆れる「再発防止」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.16】:鹿児島県警で捜査情報漏えい|特定報道機関に個人名と立件時期明示|聞いて呆れる「再発防止」 

 腐敗組織・鹿児島県警の無反省な体質を象徴する“事件”が起きた。

 12日、鹿児島県議会の小園しげよし議員が記者会見。そこで語られたのは、県警の不当捜査と捜査員による情報漏えいという“犯罪行為”の可能性を示す内容だった。さらに、漏えい情報を得たある報道機関が、「捜査二課」という取材源を明かして捜査対象者に説明を求めるという、とんでもない行為に走っていたことも判明。「再発防止」を誓ったはずの警察と監視役のメディアが、再び県民の信頼を失う事態となった。

 ■またしても「不当捜査」

 小園氏によれば、先月初旬ごろに県警指宿署から連絡があり、昨年春の統一地方選挙・鹿児島県議会議員選挙の期間中に、「戸別訪問」が疑われる行為があったとして取り調べるという告知だった。

 身に覚えのなかった小園氏は、数回の調べに一貫して容疑を否認。一方県警側は、何人もの関係者を県警本部や指宿署に呼びつけ、事情聴取を重ねていた。

 同氏が容認できないと話しているのは、県警が、20年も前に選挙を手伝っただけで今回の県議選には関わっておらず、しかも重病で闘病中だった人物のもとに押し掛けたことだという。

 「告発状が出ている以上、捜査を尽くすということは理解する。しかし、関係がないと分かっている人たちまで捜査の対象にするのは、私に対する圧力、嫌がらせとしか思えない」――小園氏はそう憤るが、ありもしない選挙違反事件をでっち上げて地域住民に多大な被害を与えた「志布志事件」以来、不当捜査は鹿児島県警のお家芸。「反省」や「再発防止」は口だけの腐敗組織なのだ。

 ■捜査情報漏らした県警、取材源明かした報道機関

 そうした不当捜査が続く中、「事件」が起きた。県警捜査二課の警察官が捜査情報を漏えいさせ、情報を得た報道機関の記者が、あろうことか取材源が捜査二課の捜査員であることを明かした上で小園氏に事情説明を求めたのである。経緯はこうだ。

 小園氏の携帯に見知った報道機関の記者から電話が入ったのは今月5日の午後8時頃。その記者は、自社の別の記者が、県警捜査二課の捜査員から『小園は年明け1月に立件する』という情報を得たと発言。小園氏本人に詳しい事情説明を求めてきたという。報道に携わる者にとっては信じられない出来事なのだが、一連の流れには二つの重大な問題がある。

 第一は、小園氏に電話をしてきた記者が、ネタ元=情報源が「捜査二課の捜査員」であることを明かしたことだ。言うまでもなく、取材源の秘匿は報道が死守すべき最低限のルール。これを守れない人間に「記者」を名乗る資格はない。電話取材の冒頭でネタ元を明かした記者の行為は、あまりに愚かというしかない。

 だが最大の問題とは、県警捜査二課の警察官が、捜査対象者の個人名を明かした上で、選挙違反事件の見通し――つまり『小園は年明け1月に立件する』という情報まで漏らしたことだ。しかも、立件前の段階でのリーク。一番たちが悪いのがこの点だ。

 警察や検察による捜査情報のリークは今に始まったことではない。事件ものの記事で、「捜査関係者によると」という逃げ道として使われる一語は、捜査情報の漏えいがあった証左だ。しかし、それはほとんど“立件後”の段階で起きるもので、“立件前”のリークはまったく意味が違う。

 立件前の捜査情報が洩れ、その内容が『前打ち』と言われる形で記事になったり、報道側が関係者に直当たりしたりすることによって危機を知った容疑者が、逃亡や自殺という最悪の選択をする可能性が生じるからだ。実際、そうした例は少なくない。

 ここで今回の鹿児島県警のケースを要約すると、捜査二課の警察官が「情報漏えい」という犯罪を行い、その情報を得た報道機関が「取材源の秘匿」という絶対的な決まりを破ったということになる。

 ■「現職警官情報漏えい」で注目される県警の対応

 取材源の秘匿というジャーナリズムの絶対条件を守らなかった報道機関は、自らその経緯を検証して報じるか、“だんまり”を決め込むかのどちらかだろう。しかし、県警のとるべき道は一つしかあるまい。

 鹿児島県警は今年、県警の不当捜査や非違事案を告発した二人の警察官を「情報漏えい」があったとして逮捕した。そのうちの一人、本田尚志元生活安全部長の内部通報により、隠ぺいされていた現職警官の盗撮や2件のストーカー、さらには公金詐取などが白日の下に晒されることになったのは周知の通りだ。

 しかし、警察庁や県警は本田氏の行為を「公益通報」と認めず、「情報漏えい」だと決めつけて立件した。県警が本田氏を逮捕した理由として強調してきたのは、霧島署員によるストーカー事件の被害者の個人名を、北海道のジャーナリストに送った告発文書に記したということ。ならば、捜査対象者の個人名や立件時期という極めて重要な情報を漏らした捜査二課の警察官は、当然逮捕されて然るべきだろう。今後の対応次第で、本田元生安部長を逮捕した事件との整合性が問われることになるのは言うまでもない。断っておくが、今回県警二課の捜査員がやったことに「公益性」はまったくない。

 会見した小園議員は、県警本部長あてに「抗議及び要請」と題する文書を提出しており、公選法違反事件の不当捜査と情報漏洩について検証し、県議会や県民に報告するよう求めている。

 ちなみに、今回ネタ元を安易に明かした報道機関は、本田元生安部長の事件がはじけて「情報漏えい」についての捜査や取材合戦が行われている最中に、記事自体が「情報漏えい」によるものであることを示す「捜査関係者への取材でわかった」「捜査関係者などによると」といった文言を入れた記事を発信した。権力側の情報操作に協力するかのような姿勢を厳しく批判したつもりだったが、癒着が高じて一線を踏み越えたということだろう。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2024年12月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・12.05】:【鹿児島県警の闇】:見過ごされた「巡回連絡簿」悪用の大罪

2025-01-03 06:16:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・12.05】:【鹿児島県警の闇】:見過ごされた「巡回連絡簿」悪用の大罪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.05】:【鹿児島県警の闇】:見過ごされた「巡回連絡簿」悪用の大罪 

 福岡市内の自治会の掲示板に「県民の皆様へ」「巡回連絡にご協力をお願いします。」と記された文書が貼ってあった(*下の写真)。交番の警察官が管轄内の各戸を訪問して作成する『連絡カード』への協力を呼びかけるものだ。連絡カードや『巡回連絡簿』は犯罪防止や実際の捜査において貴重な資料となるものだが、住民が警察に個人情報を渡すにあたって前提となるのは「信頼関係」。集まった情報を警官が悪用すれば、情報を渡した住民は“犯罪者”の餌食になる。福岡では安心して協力できそうだが、鹿児島県ではそうもいかない。同県で巡回連絡簿を使ってストーカーという犯罪行為に走った警官は、逮捕もされず、「懲戒処分」にさえなっていないからだ。

 ■見過ごされた「巡回連絡簿」の悪用

 周知の通り、警察が作成する『巡回連絡カード』もしくは『巡回連絡簿』は、警察官が住人から聞き取った氏名や家族構成などを記入する「個人情報」のかたまりだ。住民が、通常なら絶対他人に教えない情報を与えるのは、相手が制服を着た警察官だからこそ。来訪者が民間人であれば絶対に成立しない話である。

 警察は連絡カードに記載された情報を、地域社会の安心安全に役立て、またある時は犯罪捜査に利用する。情報提供の前提となるのは、「警察は正義」という当たり前の理屈であり、そこに依拠した「信頼関係」だ。しかし鹿児島県では、その前提を覆す事件が起きており、何を信じればいいのか分からない状況となっている。原因を作ったのは、元生活安全部長の公益通報によって明らかとなった「巡回連絡簿」を悪用した警察官によるストーカー事件である。

 不祥事の舞台は鹿児島県霧島市。同署地域課所属で駐在所に勤務していた30歳代の男性巡査長(当時)が、業務を通じて不正に取得した『巡回連絡簿』の個人情報をもとに悪質なストーカー行為を行なっていた。事件の詳細はこうだ。

 同巡査長は一昨年4月、パトロール中に立ち寄った事業所で一般の20歳代女性と知り合う。当初は月に一回程度の巡回の際に世間話をする程度の関係だったが、およそ1年を経た昨年4月ごろから、2人は個人的にLINEのやり取りをする間柄となった。巡査長が駐在所の巡回連絡簿から女性の個人情報を不正入手し、携帯電話番号にメッセージを送信したのがきっかけだったとされる。

 女性に対し頻繁にLINEを送るようになった巡査長は、仕事の休みを聞き出したり「抱いていい?」などと不適切なメールを送信する言動に及び始める。女性は努めて当たり障りのないメッセージを返していたが、その後も食事の誘いやラブホテルなどについて尋ねるメールが送られてくるようになったため、昨年暮れになって交際相手だった別の警察官に被害を相談した。この「交際相手」が警察官だったことで、事件は県警の知るところとなる。本部人身安全少年課の調べに対し、巡査長は「若くて好みのタイプだったので男女の関係になりたかった」などと供述、不適切な言動があったことを認めるに到った。

 事件の調べにあたった県警本部は、巡査長本人の供述やメッセージの記録などから、一連の行為がストーカー規制法に抵触するものであることを確認。年が明けて本年1月に捜査員3人が被害女性宅を訪ね、女性と両親に謝罪した上で捜査状況などを説明していた。

 この訪問からさほど時間を経ていない2月上旬、立件されないまま捜査は唐突に終了する。被害女性が事件化を望まない意向を示したためだという。女性の本意は判然としないが、県警にとっては“警察官による犯罪の隠ぺい”に好都合な結論だったと言ってよい。

 ただし、『巡回連絡簿』が犯罪に使われたという事実は極めて重い。前述したように、警察が作成する『巡回連絡簿』や『連絡カード』は、地域社会の安心・安全を守るための重要な資料であり、それが犯罪に利用されたとなれば全国の警察行政に多大な悪影響を及ぼすからだ。鹿児島での出来事だったためか全国的に注目を集めることはなかったが、これが東京や大阪だったら大ニュースになっていただろう。

 それほど重大な意味を持つ『巡回連絡簿』を使った警官の犯罪行為だったが、鹿児島県警が当該警察官に下したのは懲戒処分にも至らない「本部長訓戒」という“監督上の措置”だった。警察一家の庇い合いというより、事実上隠ぺいした警官の犯罪を過少化するための手段だとみるべきだろうが、この件に関する地元メディアの反応は鈍かった。意図的なのか意識が低いだけなのか分からないが、重要な課題を“見過ごした”ということだ。

 ちなみに、警察組織以外の大半の地方自治体における“監督上の措置”あるいは“行政上の措置”は、『処分』と解されていない。自治体側に確認を求めると、「措置は処分ではありません」という答えが返ってくるのが普通だ。あたかも厳しく対応したと映るよう、警察組織が「措置」を「処分」に含めているだけ。騙されてはいけない。

 ■公表資料からみえる鹿児島県警の思惑

 ところで、冒頭で紹介した福岡県警の巡回連絡カード作成への協力依頼は、同県警のホームページ上でも閲覧が可能だ。それが下の画像である。

 《個人情報の保護は大丈夫?》の項目には、《皆様からお聞きしたことや巡回連絡カードに記載していただいた個人情報については、皆様の日常生活の安全と安心の確保に役立てる目的以外のことには絶対に利用することはありません。》とある。福岡県警が個人情報保護を保障したということだ。制服警官の訪問を受けた県民の大半は、この一文の内容を疑うことなく協力するだろう。しかし、今年10月に鹿児島県警がホームページ上で公表した「巡回連絡」に関する内容は、下の画像の通り県民への協力要請ではなかった。

 昨年9月に国家公安委員会が定める「地域警察運用規則」が改正されたことを受け(⇒警察庁公表文書)、交番及び駐在所の配置人員基準見直しや巡回連絡の実施方法の見直しを図るという内容だ。巡回連絡簿については《各戸の居住実態については、これまで地域警察官が巡回連絡の際に把握していましたが、今後は警察署の窓口等を訪れた住民に対し、他の警察職員が同意を得た上で、巡回連絡カードに家族構成等を記載してもらい、これを受持の地域警察官に引き継ぐといった取組が可能となります。》と記されている。他の都道府県警のホームページをチェックしてみたが、鹿児島のように「巡回連絡」の実施方法が変わるということを告知したものは見当たらなかった。

 巡回連絡簿を悪用したストーカー行為によって県民の信頼を失った鹿児島県警は、警察署内で「同意」を得てから巡回連絡簿作成にあたるということを強調したかったようだ。しかし、この書きぶりだと巡回連絡簿の「任意性」や「安全性」が担保されたとは言えない。そもそも、巡回連絡簿を悪用した犯罪行為を、“被害者の意思”のせいにして立件せず、犯行に及んだ警察官を懲戒免職にもしなかった組織を誰が信用するのか?(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・話題・鹿児島県警が抱える数多くの疑惑】  2024年12月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【HUNTER・12.20】:道警の「被疑者ノート」持ち去りは違法|私物検閲・黙秘権侵害で札幌地裁判決

2025-01-03 06:15:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・12.20】:道警の「被疑者ノート」持ち去りは違法|私物検閲・黙秘権侵害で札幌地裁判決

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.20】:道警の「被疑者ノート」持ち去りは違法|私物検閲・黙秘権侵害で札幌地裁判決 

 黙秘権行使を申し出る容疑者に供述を強要し、また弁護人とのやり取りを記録した『被疑者ノート』を無断で持ち去るなどした警察官の行為の違法性が問われていた裁判(既報)で、問題の捜査を一部違法と認める判決が言い渡された。判決ではノートの持ち去り行為が接見交通権と黙秘権の侵害にあたると認定された一方、取り調べでの警察官らの暴言や供述強要などの違法性は認められなかった。

             ◆   ◆   ◆

 12月3日に札幌地方裁判所(布施雄士裁判長)で判決を迎えたのは、不起訴事件の容疑者だった札幌市の20歳代女性が北海道警察に損害賠償を求めて起こした裁判。道警の捜査員らは、女性の黙秘権行使の申し出を聴き入れずに長時間にわたって供述を迫り続け、しばしば女性の人格を否定するような暴言を放っていた。それらの言動は取り調べを撮影した映像に記録されており、一部が裁判所の法廷で上映された( ダイジェスト版をYouTubeのHUNTERチャンネルで視聴可能⇒コチラ)。

 その女性が身柄を拘束されていた道警本部内の留置施設では、留置担当警官が女性と弁護人とのやり取りを記録した『被疑者ノート』などを無断で持ち去り、内容を検閲した疑いが指摘されている。警察官らは破損部分の修繕や保安検査などを理由に強引にノートを持ち出し、15分間あまりにわたって返却を拒んだという。

 いずれも事実ならば重大な人権侵害と言ってよく、容疑をかけられた事件で不起訴処分となった女性は2021年12月、道警を相手どる国家賠償請求訴訟を提起。裁判の原告には、事件の弁護人を務めた河西宏樹弁護士(札幌弁護士会)も名を連ねた。提訴から3年弱に及んだ審理では、いわゆる自白偏重主義や密室での長時間の取り調べの問題点を指摘する原告側に対し、被告の道警は当時の捜査を飽くまで適切な職務執行だったとして請求棄却を求め続けた。

 12月の判決で札幌地裁は、黙秘権行使を表明する女性に供述を迫り続けた警察官の行為について「取り調べの継続や供述の説得はただちに黙秘権侵害にあたるとはいえない」とし、また『被疑者ノート』検閲行為についても「具体的な内容が点検されたとまではいえない」と判断、人権侵害を訴える原告の主張を退けた。

 一方、ノートを持ち去って一定時間にわたり返却を拒んだ行為に対してはその違法性を認め、次のように断じることとなった。

 「留置担当官が本件『被疑者ノート』を持ち去った行為は、留置施設の管理の必要から許容される限度を超え、原告らの接見交通権を侵害したものと認められる」

 ひいては、この権利侵害によって女性を畏縮させたおそれがあるとして、こう指摘した。

 「このような事態に直面した場合、原告の黙秘を含む供述意思形成に対する畏縮効果が生じることは否定できないから、その意味において原告の黙秘権を侵害したとも認められる」

 以上をふまえ、原告女性には20万円の、河西弁護士には5万円の賠償を支払うよう被告側に命じる判決となった。

               ◆   ◆   ◆

 言い渡し後に記者会見を開いた原告代理人の吉田康紀弁護士は「取り調べの違法性が認められなかったのは残念」と肩を落とすことになる。

 「被疑者に対して許されない発言が多々あった中、そこが違法ではないとなると、裁判所が捜査機関に対して『この程度までは許容される』というお墨つきを与えてしまう危険性がある。やはり、相手が被疑者だからといって何を言ってもいいということにはならないわけです」

 裁判所の「文書提出命令」で開示された計25時間ぶんの動画には、黙秘の意思を示す容疑者女性に捜査員が執拗に供述を迫り、当時亡くなったばかりの長男を引き合いに出して「要らない子だったの」「産まなきゃよかったんじゃない」などと暴言を放つ場面が記録されていた。吉田弁護士はこれらの不適切捜査を批判しつつ、仮にこうした言動がなかったとしても当時の取り調べには問題があったと指摘する。

 「これほどの長時間に及ぶ聴取で、黙秘を続けることができるのか。そう考えると、仮に人権を侵害するような発言がなかったとしても、弁護人もいない中でひたすら『説得』し続けるということ自体が違法だということにならないと、黙秘権の本当の保障はできないんじゃないですか」

 今回のケースでは取り調べを記録した動画が存在し、かつ裁判所の命令でそれが開示されたことで人権侵害の実態を検証できたが、実際に捜査機関が扱う事件の多くでは映像などの客観的な記録が残らない。取り調べには弁護人などの同席が認められず、つまりは密室で聴取が重ねられ、容疑者の供述は捜査員の主観をまじえた調書の形で残される。吉田弁護士はこう指摘する。

 「弁護人が立ち会えたら、長時間の取り調べにはならないでしょう。カメラが回っててもあれほどのことがなされるのであれば、カメラだけでは不充分。やっぱり録音・録画と弁護士立ち会いは両方必要ということです」

 日本弁護士連合会が作成する『被疑者ノート』は、取り調べなどに関する情報を容疑者と弁護人とが共有する目的で使われる。今回の判決では警察がノートの記述を検閲した事実については認められなかったものの、無断で持ち去った行為の違法性は認定された。吉田弁護士らはこの判断を率直に評価し、今後の違法捜査の抑止力になると期待している。

 被告の北海道警察は判決後の取材に「判決内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントしていたが、結果的に控訴を断念したことが伝わった。原告側も控訴に到らず、地裁判決が確定。吉田弁護士ら原告代理人が18日付で発表したコメントの全文を、以下に採録しておく。

《取調べの違法性が否定されたことには全く納得していないが、一区切りにしたいという原告女性の意向を尊重し、控訴しないこととした。捜査機関が真相解明を重視するのは理解するが、被疑者の人権を軽視してはならないのは当然だ。違法性は否定されたが、極めて不適切な取調べがなされたことは間違いなく、捜査機関には、取調べのあり方について、根本的な意識改革が求められる。並行して、早急に取調べの可視化を全事件、在宅事件にも拡大し、取調べへの弁護人立会いを認めるべきだ》

 なお今回の判決言い渡しの傍聴取材にあたり、筆者は記者クラブ非加盟者として「判決文等の交付」「記者席の提供」及び「開廷前撮影の許可」を札幌地裁に求めていた。申請を受理した同地裁は11月28日、筆者への電話連絡で検討結果を通知し、「撮影」不許可、「判決文」「記者席」許可の決定を伝えた。裁判所が判決文交付対象を拡大した経緯は本サイト既報の通りだが、これに加えて記者席使用が認められたことでフリー記者の取材機会がさらに拡がった形。撮影許可の壁は今なお厚いものの、今回の地裁決定の意義は大きく、筆者は今後も折に触れて各地の裁判所へ同様の申請を重ねていく考えだ。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【行政ニュース・地方自治体・北海道・道警を巡る諸問題】  2024年12月20日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《斜面・12.25》:ニセ警官

2024-12-27 09:31:15 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

《斜面・12.25》:ニセ警官

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《斜面・12.25》:ニセ警官

 携帯電話に番号非通知で電話がきたのは10月ころ。

 警戒しながら出ると「警視庁捜査2課です」「○○さんですか?」。

 認めると「詐欺事件であなたのキャッシュカードが使われました。

 確認するために青森県の警察に来てください」

 ◆「東京の警視庁なのに、なぜ青森?」と思い、特殊詐欺を確信。番号通知でのかけ直しを求める…、

 ■この記事は、会員限定の記事です。(残り442文字/全文593文字) 

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【斜面】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《なるほドリ・12.27》:パトカー赤色灯、発光パターン増えたの? 緊急走行と巡回分ける 聴覚障害者も識別可能=回答・塚本紘平

2024-12-27 02:03:00 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

《なるほドリ・12.27》:パトカー赤色灯、発光パターン増えたの? 緊急走行と巡回分ける 聴覚障害者も識別可能=回答・塚本紘平

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《なるほドリ・12.27》:パトカー赤色灯、発光パターン増えたの? 緊急走行と巡回分ける 聴覚障害者も識別可能=回答・塚本紘平

 なるほドリ パトカーの赤色灯(せきしょくとう)に新しい発光(はっこう)パターンが導入されたって聞いたよ。

 記者 これまでの赤色灯は、0・5秒間隔でチカチカと光る1パターンしかありませんでした。緊急走行(きんきゅうそうこう)時もパトロール時も光り方は同じで、緊急時はサイレンを鳴らすことで区別していました。

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/27/20241227ddm003070108000p/9.webp?2" type="image/webp" />パトカーに搭載された新型赤色灯の光り方を確かめる聾(ろう)学校の児童生徒ら=岐阜市の岐阜県立岐阜聾学校で11月、稲垣洋介撮影</picture>
パトカーに搭載された新型赤色灯の光り方を確かめる聾(ろう)学校の児童生徒ら=岐阜市の岐阜県立岐阜聾学校で11月、稲垣洋介撮影

 警察庁は10月から、パトロール時には2秒周期で、一度光って消えた後に蛍(ほたる)の明かりのように光って穏やかに消えていく新たな発光パターンの導入を始めました。

 2024年度中には全都道府県警に、新型赤色灯を付けた小型パトカー420台などが配備されます…

 ■この記事は有料記事です。残り417文字(全文694文字)

 ■続きは、会員登録後、お読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ】  2024年12月27日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・12.23】:【仮装身分捜査】:闇バイト根絶の実現を

2024-12-24 05:05:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【社説・12.23】:【仮装身分捜査】:闇バイト根絶の実現を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.23】:【仮装身分捜査】:闇バイト根絶の実現を

 交流サイト(SNS)を通じて犯罪の実行役を募る闇バイトが絡んだ事件が後を絶たない。国民の体感治安が悪化しているだけでなく、若者らが都合よく使われ凶悪犯罪に加担させられている。対策を急がなければならない。
 政府は闇バイト問題の緊急対策をまとめた。柱は捜査員が身分を偽り犯人に接触し摘発する「仮装身分捜査」の導入だ。来年早期の実施を目指す。
 手口は巧妙化し、従来の捜査方法では対応しきれない側面がある。新たな手法に期待がかかる一方、適用範囲の拡大などの懸念も指摘される。捜査当局は慎重に運用し、根絶につなげる必要がある。
 一連の事件は、SNSなどで緩くつながる「匿名・流動型犯罪グループ(匿流(とくりゅう))」による犯行とみられている。SNS上に求人情報を投稿し、応募者に身分証などの個人情報を送らせ、脅迫して犯行に加担させるケースが目立つ。指示役や首謀者は姿を見せず、連絡に秘匿性の高い通信アプリを使うため、実態をつかみにくい。
 仮装身分捜査は、捜査員が闇バイトに応募し、犯人側に架空の身分証などを提示。身分を偽装して接触し、摘発につなげることを想定している。被害の発生防止のほか、犯行への抑止効果も期待される。
 似た捜査手法に、捜査員が身分を隠して犯罪を誘発し摘発する「おとり捜査」がある。国内では薬物事件などに限定して用いられてきた。
 一方、特殊詐欺など組織犯罪が深刻化する中、仮装身分捜査も長年検討はされてきた。ただ、身分証の偽造が公文書偽造罪に当たるとの懸念があり実現しなかった経緯がある。
 今回は、「正当な業務による行為は罰しない」との刑法の規定から違法性は退けられると判断された。闇バイト関連の事件のみに適用し、警察庁は運用指針を策定する方針だ。
 しかし、適用範囲の解釈がなし崩し的に拡大しかねないとの指摘がある。海外でも米国やドイツなどで導入されているが、安易な拡大は行き過ぎた捜査を生む。乱用を防ぐ仕組みが求められる。
 緊急対策はこのほか、民間の事業者にも協力を求めた。SNS事業者にアカウント開設時の本人確認の厳格化を要請する。違法な求人情報を明確に定義し、削除も促す。
 ただ、指示役が使う秘匿性の高い通信アプリの規制については課題が残る。こうしたアプリは海外事業者が提供している。日本には窓口がなく運営実態も不透明で、指示役特定の障害になっている。
 新たな被害を防ぐには指示役の摘発が不可欠だ。緊急対策では事業者に対する窓口設置の働きかけにとどまった。憲法が保障する通信の秘密に配慮しながら、指示役特定への方策を探る必要がある。
 警察庁によると、11月末までの約1カ月半で各地の警察が闇バイトへの応募者らを対象に保護措置をとった事例は125件だった。犯罪の手前で踏みとどまる流れも一層強めたい。
 
 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【小社会・12.23】:雇われたふり作戦

2024-12-24 05:05:35 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【小社会・12.23】:雇われたふり作戦

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.23】:雇われたふり作戦

 遊び人に身をやつして敵地に潜入し、庶民を泣かせる悪事を目の当たりにする。お白州でしらを切る悪人に「この桜吹雪に見覚えねえか」。ふと遠山の金さんが短絡的に浮かんだのは、テレビ時代劇の隆盛期に育ったせいだろう。

 各地で相次ぐ強盗事件。交流サイト(SNS)を通じ、実行役を募る闇バイトの緊急対策を政府がまとめた。捜査員が架空の身分証を使って、バイトに応募。摘発や防止を狙う「仮装身分捜査」を、来年の早期に導入する。

 特殊詐欺の「だまされたふり作戦」に続き、「雇われたふり作戦」と呼ぶらしい。むろん、悪化を実感する治安の改善に役立てばいい。ただ、金さんほどスカッとはいかない側面もいわれる。

 実行役には接触できても、秘匿性の高い通信アプリを使う上位者までたどり着けるか。摘発のタイミングも難しそうだ。誤れば、被害者や潜入した捜査員にも危険が及ぶ。特例的な捜査手法の適用範囲を安易に広げないよう、明確な歯止めも必要になる。

 ことしは高知でも、SNSで緩やかに結びついた犯行グループの詐欺事件が明るみに出た。「ルフィ」は遠い世界の話ではない、と以前の本紙にもある。対策をいうならば、高額の報酬につられ、軽々と「闇」に近づいているように見える若者らの環境も見据えるべきなのだろう。

 時代劇とは違って現実は一網打尽、一刀両断とはいくまい。知恵を絞るべきときは続きそうだ。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説②・12.23】:仮装身分捜査 乱用招かぬ歯止め必要

2024-12-23 04:05:40 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【社説②・12.23】:仮装身分捜査 乱用招かぬ歯止め必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.23】:仮装身分捜査 乱用招かぬ歯止め必要 

 交流サイト(SNS)で犯罪の実行役を募る「闇バイト」について、政府が緊急対策をまとめた。捜査員が応募者を装い犯行グループに近づく「仮装身分捜査」を来年導入するという。
 
 闇バイトによる強盗などの事件では死者も出ており、住民の不安は高まっている。闇バイト事件の根絶に向け、手だてを尽くすべき状況にある。
 
 とはいえ、仮装身分捜査の適用範囲がなし崩しに広がるようなことがあれば、捜査を理由に市民生活にさまざまな影響が及ぶ恐れがある。
 警察庁は闇バイト関連にのみ適用するとして運用指針をつくるというが、それでは不十分ではないか。
 法律で厳格に規定して乱用に歯止めをかけるべきだろう。捜査手法の正当性や実効性を含め、国会で議論するべきだ。
 闇バイトの犯行グループは多くの場合、秘匿性の高い通信アプリで実行役に犯行を指示する。事前に犯行を察知するのは難しく、被害は後を絶たない。この状況への危機感が仮装身分捜査を導入する背景にある。
 似た捜査手法に、違法薬物や銃器の取引などで行う「おとり捜査」がある。犯罪を意図して起こさせる捜査の行き過ぎが課題として指摘されている。
 仮装身分捜査では、架空の人物になりすました捜査員が偽の運転免許証などの身分証を用意して応募。指示役から集合場所などを聞き出し、犯行の前に実行役らを逮捕し被害を防ぐことを想定している。
 ただ、偽の身分証をつくることは本来、公文書偽造などに当たる違法行為だ。
 警察庁は、刑法の「正当な業務による行為は罰しない」との規定を根拠に違法性は阻却されるとみているが、身分証の信頼低下といった混乱を社会に招くことも考えられる。
 捜査員が偽造の身分証を悪用することはあってはならず、厳格な管理が欠かせない。乱用を防ぐために、運用状況を点検できる仕組みも求められる。
 捜査員の安全をどう確保するかも大きな課題だ。
 
 緊急対策には、SNS事業者に問題のある求人情報の削除を促し、アカウント開設時の本人確認の厳格化を要請することも盛り込まれた。各社は主体的に取り組みを強化してほしい。
 
 秘匿性の高い通信アプリは海外の事業者が運営している。それらの事業者に交渉のための日本法人窓口の開設も働き掛ける。表現の自由や通信の秘密を踏まえながら、理解を求めていく必要がある。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月23日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【社説・12.22】:闇バイト対策 あらゆる手段で撲滅図れ

2024-12-22 06:10:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【社説・12.22】:闇バイト対策 あらゆる手段で撲滅図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.22】:闇バイト対策 あらゆる手段で撲滅図れ 

 国民の「体感治安」は悪化している。捜査当局は新たな捜査手法を適切に活用し、卑劣な犯罪の撲滅に全力を挙げねばならない。

 首都圏を中心に各地で相次ぐ闇バイトが絡む強盗事件を受け、政府が緊急対策をまとめた。柱となるのは「仮装身分捜査」の来年早期の導入だ。

 一連の強盗事件は、交流サイト(SNS)などを通じて緩やかにつながり、犯罪ごとに離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」による犯行とみられる。

 SNS上に「高収入」などと詳細を明かさずに求人情報を投稿し、応募者に身分証などの個人情報を送信させた後、脅迫して犯罪に加担させている。

 仮装身分捜査は、捜査員が募集に応じたふりをし、架空の運転免許証などを送信して犯人に接触する手法だ。

 強盗の実行前に集まったメンバーを摘発することを想定する。応募者に警察官がいるかもしれないと思わせ、闇バイトの募集や応募をためらわせる抑止効果も狙う。

 捜査員が積極的に身分を偽る任意捜査を導入するのは初めてだ。捜査員が身分や目的を隠して犯罪をするように働きかけ摘発する「おとり捜査」とは、犯罪を誘発しない点で異なっている。

 導入は長年検討されてきたが、架空の身分証の作成が公文書偽造罪に当たるとの懸念から実現に至っていなかった。闇バイト捜査の拡充を探る中で「正当な業務は罰しない」との刑法の規定から違法性は退けられると判断した。

 警察にはあらゆる手を尽くして国民を守ってほしい。ただ気になるのは乱用への懸念だ。

 警察庁は仮装身分捜査を闇バイト関連事件のみに適用する方針で、具体的な運用指針を作る計画だ。野放図に適用範囲を拡大して人権侵害を招くことがないようにしてもらいたい。

 闇バイト対策ではほかに、SNS事業者にアカウント開設時の本人確認の厳格化を要請する。違法な求人情報を明確に定義し、削除を促す対策も進める。

 総務省は既にX(旧ツイッター)など5社に要請を行っている。表現の自由や通信の秘密に十分配慮しながら、事業者の側も協力してほしい。

 しかし、犯人グループが使う秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」や「シグナル」などを提供する海外事業者は、日本に窓口がない。総務省は日本法人窓口の設置を働きかけるとするが、どれだけ実効性があるかは見通せない。

 匿流による卑劣な犯罪の根絶には実行役だけでなく、指示役や首謀者の摘発が不可欠だ。警察には引き続き力を尽くしてほしい。

 実行役は逮捕されやすい「捨て駒」で、使い捨てにされるだけだ。闇バイトには絶対に手を出してはならない。

  元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月22日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする