路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

2025-01-09 06:05:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.09】:水道のPFAS 周回遅れの対応を見直せ

 暮らしに欠かせない水道水は市民の健康に直結する。被害の恐れがある以上、国は先手を打ち対策を講じる責任がある。

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、政府は現行の暫定目標値を水道法上の水質基準に格上げする方針を決めた。

 PFASは全国各地の水道や河川、地下水などから検出されている。暫定目標値はそれ以下に抑えることを目指す基準に過ぎず、法的強制力はない。超えても改善は努力義務にとどまる。

 格上げ後は、自治体などの水道事業者に定期検査と基準値を超えた場合の改善を義務付ける。2026年4月の施行を想定している。

 PFASは水や油をはじき、焦げ付きにくいフライパンや防水スプレーのほか、半導体の製造過程でも使われてきた。自然界では分解されにくく蓄積されやすい。

 00年代初めに海外で有害性が指摘されるようになった。代表的なPFOSとPFOAは国際条約で製造や使用が禁止された。原料に使っていた工場、泡消火剤を使用していた米軍や自衛隊の基地などで地下水に染み込み、検出されているようだ。

 健康への影響について科学的知見は十分ではない。しかし健康被害を防ぐため、危険性を重視して未然に対応する「予防原則」の考え方は何より重要だ。

 PFAS対策で日本は周回遅れと言わざるを得ない。暫定目標値はPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)だ。米国の飲料水は、この2種の基準が各4ナノグラムと厳しい。欧州でも厳格化の動きがある。

 環境省は暫定目標値をそのまま水質基準に採用する構えだが、妥当なのか十分な説明はない。規制の遅れが被害拡大を招いた過去の公害の反省を踏まえ、対応をためらってはならない。科学的知見の積み上げも急務だ。

 国は初めて大規模調査を行い、昨年公表した。給水人口の大半を占める上水道と簡易水道で、検査した水道事業の2割にPFASが検出されたものの、暫定目標値は超えていなかった。以前超えた地域は水源変更などで改善したとみられる。

 一方、社宅や病院など特定の居住者に供給する専用水道は、暫定目標値を超えた施設があった。福岡県の航空自衛隊芦屋基地では30倍となった。各施設とも上水道に切り替えたり応急的に浄水器を備えたりしている。

 全国的に発生源が不明な所が多い。発生源の特定手法や改善策について国に指針を求める声がある。速やかに実施したい。検査や改善に多額な費用がかかり、水道料金が上がる可能性もある。国の財政支援も検討すべきだろう。

 健康被害への不安も募る。住民の要望があれば血液検査を実施するなど柔軟な対応が求められる。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ

2024-12-31 09:30:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.30》:PFAS規制強化 原因の特定と対策を急げ 

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、政府が水道法上の水質基準の対象とすることを決めた。定期的な水質検査や基準値を超えた場合の改善を、水道事業を担う自治体などに義務づける。

 これまで代表的なPFOAとPFOSについて合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)を暫定目標値に定め、超えないよう求めてきた。努力義務としたため検査の実施や結果の公表は事業者によって対応がまちまちだった。

 法による義務化で、汚染の実態が把握でき、安全な飲み水の確保につながる。ただ住民の不安が払拭されるわけではない。

 基準値は暫定目標値をそのまま採用する。米国の基準値は、2物質それぞれで同4ナノグラムと厳しい。健康影響との因果関係が不十分でも予防を重視し規制を強化する欧米とは、大きな隔たりがある。

 汚染が確認された地域で血液検査など住民の健康調査を重ね、50ナノグラムの基準値が妥当か常に検証し、見直していく必要がある。

 そもそも排出元や流出した原因を特定し、対策を講じなければ汚染はなくならない。

 水や油をはじき熱にも強いPFASは、布製品や食品容器、泡消火剤、半導体製造などで広く使われた。PFOAとPFOSは毒性や蓄積性が確認されたため、既に製造や輸入が禁止されている。

 高濃度で検出が相次いでいる場所は、こうした物質を以前扱っていた工場や、泡消火剤を使っていた在日米軍と自衛隊の基地の周辺などだ。物質が土壌に残り、地下水に浸透したとみられる。

 住民が独自に血液検査や現地調査に取り組み、実態や汚染源に迫っている地域は少なくない。

 一方で、原因の特定に自治体が消極的だったり、米軍が日米地位協定を盾に基地内の立ち入り調査を拒んだりしている。汚泥肥料や使用済み活性炭といった思いもよらないものから汚染が広がる事例も起きている。

 原因の特定や対策についても、政府は指針を示し、住民と自治体が連携して対応できるよう体制を整えていくべきだ。

 費用の問題もある。一つの検体で数万円かかるとされる検査費用は、原則事業者の負担になる。水道料金に跳ね返ってくる可能性が高い。水質改善のため新たに水源や送水管の整備が必要になると、地域の負担はさらに膨らむ。

 人口が減少する中、水道事業は運営が厳しくなっている。政府の財政支援が欠かせない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月30日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.27】:PFAS検査義務化へ 不安に応える「基準」か

2024-12-27 04:01:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・12.27】:PFAS検査義務化へ 不安に応える「基準」か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.27】:PFAS検査義務化へ 不安に応える「基準」か

 発がん性などが指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)について、環境省は定期的な水質検査と基準値を超えた場合の改善を法律で義務付けることを決めた。 

 県内では米軍基地周辺の地下水や河川などから高濃度のPFASが検出されており、県民の不安は今も続いている。そんな中で、国がやっと重い腰を上げた格好だ。

 現在、国は暫定目標値を代表物質のPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計で1リットル当たり50ナノグラムとしている。同じ値を水道法上の「水質基準」に引き上げる。3カ月に1回の検査を基本として義務付け、2026年4月の施行を目指すという。

 これまでは暫定目標値を超えた場合でも水質改善は「努力義務」にとどまった。今回、明確な数値が水質基準として法律に位置付けられ、管理態勢が整備されたことの意義は小さくない。

 しかし米国では、飲み水について1リットル当たりのPFOAとPFOSそれぞれ4ナノグラムを基準とするなど、厳しく定められている。ドイツも28年には2物質を含む4種類のPFAS合計で同20ナノグラムを基準とする方針だ。

 日本の基準は海外と比べれば緩い。1リットル当たり50ナノグラムが本当に妥当な数値なのか。さらに多くの知見や根拠を集め、積み上げていく必要がある。

 広がる不安を払拭し安全に暮らせるよう、改善に向けた議論を進めなければならない。

              ■    ■

 義務化される水質検査とPFAS汚染の改善を行うのは、水道事業者である各自治体だ。仮に高濃度で検出された場合、改善には多額の費用が必要となる。数が多いほど金額も跳ね上がる。

 基地周辺のPFAS汚染が明らかになって以降、県は水質浄化設備の設置や維持管理などに膨大な費用を費やしている。10年間で約80億円以上が必要になるとも見込んでいる。

 今回、環境省が実施した調査では、上水や簡易水道を管理する3755事業者のうち約4割が、費用負担などを理由に検査を実施していなかった。

 負担が足かせとなり、検査が不十分なものに終われば本末転倒だ。生きるために不可欠な水の安全確保を自治体に丸投げにせず、費用負担も含め国の責任としてきちんと取り組むべきである。

               ■    ■

 県内では米軍基地に近い本島中部の河川や地下水から高濃度の値が検出されたことで、水源としての利用に不安があるとして取水制限や停止を余儀なくされている。

 普天間飛行場周辺の湧水などから高濃度の値が出たことに対し、県は基地由来の「蓋然(がいぜん)性が高い」と判断した。それでも基地への立ち入り調査がほとんど実現しない背景には、日米地位協定の壁がある。

 石破茂首相は改定について、たびたび言及している。汚染原因を特定し根本的な対策を図るには、協定の改定が必要だ。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月27日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.26】:PFAS法規制化 地位協定改め根本解決を

2024-12-27 04:00:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・12.26】:PFAS法規制化 地位協定改め根本解決を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.26】:PFAS法規制化 地位協定改め根本解決を 

 政府は、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、これまで法的義務のない水質の暫定目標値を法で規制する方針を決めた。水道事業者に水質検査や水質基準値を超えた場合の改善を義務づける。

 沖縄の米軍基地周辺で泡消火剤に含まれるPFASの一種が確認されて以降、全国各地でも米軍基地周辺などで検出が相次ぎ問題になっている。これまで規制がなかったPFASが法規制される動きについては一定評価したい。

 ただ、施行が2026年4月の見込みで、対応は遅い。さらに基準値は現在の目標値をそのままスライドさせただけで、米国の基準と比較しても緩い規制にとどまる。これでは住民の不安を払拭するに足るものとは言いがたい。

 PFASは水や油をはじき、フライパンの塗装や泡消化剤などに広く使われてきた。有害性や環境に蓄積されやすいことから国際的にも製造や使用が禁止されている。

 日本政府は20年に、水道水の水質の暫定目標値として、代表物質のPFOSとPFOAの合算で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)と設定した。一方で米国は24年に、2物質それぞれで、検出できる下限値の4ナノグラムと、日本より厳しい基準を定めている。

 政府初の大規模な上水道や簡易水道の調査でも全国でPFASが検出され沖縄でも確認された。専用水道の調査では県外で目標値を超えた自治体もあった。

 今回のPFASの法規制化で自治体には水質改善の義務が課せられる。しかし改善のためには発生源の確定と対策を施さなければ、根本的な解決にはつながらない。

 12月には防衛省や外務省、環境省などが、米軍横田基地(東京都)からPFASが流出した可能性があるとして基地に立ち入りした。日米共同でサンプリング調査もする。沖縄でも20年の米軍普天間飛行場外への泡消火剤流出と、21年のうるま市の米陸軍貯油施設での流出では県の基地内立ち入りが認められた。

 だが他の米軍嘉手納基地などへの立ち入り申請は、日米地位協定により基地の管理権を持つ米軍が拒否する状況が続いている。地位協定本体とは別の環境補足協定は、立ち入り調査の条件として「現に発生した場合」と限定している。補足協定や「運用改善」では事態解決につなげることはできない。地位協定本体の抜本的改定も急務だ。

 有害物質などに関する国連特別報告者が沖縄を視察し、PFAS汚染と米軍基地の関連性は明らかだと指摘した。法規制で義務づけられる改善に自治体の予算が費やされ、住民に転嫁されるようなことがあってはならない。発生源責任が追及されるべきだ。

 適正な法運用ができるためにも、一日も早く基地内の立ち入りを実現し、地下水の環境調査などを実施していくことが必要だ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月26日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【阪神大震災】:アスベスト労災 肺がんで初認定 解体建物の石綿吸引か

2024-12-25 05:30:10 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【阪神大震災】:アスベスト労災 肺がんで初認定 解体建物の石綿吸引か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【阪神大震災】:アスベスト労災 肺がんで初認定 解体建物の石綿吸引か

 1995年1月の阪神大震災でアスベスト(石綿)を吸って肺がんを発症したとして労災を申請した男性について、神戸東労働基準監督署が2023年度に労災認定していたことが厚生労働省などへの取材で判明した。これまで阪神大震災では、石綿が主な原因で発症する中皮腫で労災が認定された例はあったが、肺がんでは初めて。

阪神大震災で被害を受けた建物の解体工事=神戸市中央区で1995年2月5日、多河寛撮影

 阪神大震災は25年1月で発生から30年を迎える。肺がんは石綿を吸ってから30~40年の潜伏期間を経て発症することが多く、支援団体は「阪神大震災の影響で肺がんなどを発症する時期にさしかかっていると言える」と注意を呼びかける。

 男性が当時勤務していた神戸市内の企業によると、男性は自分の仕事で石綿を扱ってはいなかったが、震災発生から約3年間、同市内の自宅からオートバイで市中心部の会社へ通った。また顧客の建物の被災状況を見て回った。

 そうした行動の際に、周囲で解体中などの建物から飛散した石綿を吸った可能性があるという。その後、肺がんを発症し、石綿を吸ったことを示す医学的な証拠が神戸市内の病院で見つかった。男性は24年に80代前半で亡くなった。

 阪神大震災の発生当時、国内では石綿の使用が禁止されておらず、多くの建物に耐火や防音などの目的で石綿が使われていた。建物の倒壊に伴い石綿が飛散したのに加え、倒壊建物の解体が十分な対策がなく行われたため、飛散が拡大したと指摘されている。

 石綿の労災は、中皮腫(潜伏期間約20~60年)では石綿を吸ったことが分かれば認定される。これに対し肺がんは、たばこなど他の原因でも発症しやすいため、石綿を一定量吸ったことを示す胸部の異変や石綿の繊維などの「医学上の証拠」の存在が認定条件になっている。男性が勤務していた企業の社長は「仕事とは関係ないと思っていたので石綿による肺がんと聞いて驚いたが、考えられる可能性を説明し、認定に協力した」と話す。 

 一方、直接的に石綿を扱わなかったが、阪神大震災の復興関連作業に携わった大阪市の会社の従業員が中皮腫を発症し、淀川労基署が22年度に労災認定していたことも新たに分かった。これで阪神大震災で中皮腫を発症したとして労災認定されたのは、公務災害を含めて判明しているだけで7人となった。兵庫県外の会社の認定者は初めて。

 石綿の被害者らを支援しているNPOひょうご労働安全衛生センター(078・382・2118)の西山和宏事務局長は「多量の石綿が飛散していた震災の被災地では、間接的な吸引でもリスクが高いことを示すのではないか。潜伏期間を考えると、さらに被害が広がることも懸念される。体の不調を覚えたら積極的に医療機関で受診してほしい」と訴えている。【大島秀利】

 ◆長谷川誠紀・兵庫医科大特別招へい教授の話

 CT画像で肺の外側の膜が厚くなる「胸膜プラーク」が明瞭であれば、石綿の専門医でなくても見つけられ、石綿を吸った一つの証拠になる。肺組織から石綿繊維などが検出されればそれも証拠になるが、肺がん発症者は年間10万人以上いて、検査機関が限られ手間と時間がかかるので、石綿との接点がない限りは通常は調べない。プラークが見つかったり、石綿を吸った履歴があったりすれば、石綿の専門医に相談することが重要だ。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【災害・阪神大震災・アスベスト労災】  2024年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.17】:PFASと水道 早急な規制強化が必要

2024-12-18 04:03:20 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説②・12.17】:PFASと水道 早急な規制強化が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.17】:PFASと水道 早急な規制強化が必要 

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS(ピーファス))が全国で検出されている問題で、環境省と国土交通省は先月、全国の水道事業者による調査結果を公表した。本年度に富山県を除く332事業者で検出され、うち7事業者が北海道内だった。
 
 国が定めた安全性の目安となる「暫定目標値」はPFASの代表物質PFOA(ピーフォア)とPFOS(ピーフォス)の合計で水道水1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)だが、いずれもこれを下回った。
 
 ただし安心はできない。全国約3700の事業者のうち、1300余りは2020年度以降、検査を行っていない。
 石破茂首相は国会で検査と公表を義務付ける考えを示した。暫定目標値を、より厳しい規制である水道法上の「水質基準」に格上げする方針も示した。
 早急に実行し、水道水の安全と安心を確保するため万全を尽くしてもらいたい。
 PFASと呼ばれる物質は1万種類以上ある。用途は広く、泡消火剤や界面活性剤、半導体製造などで使われてきた。
 だが一部物質が健康に影響を及ぼすことが分かり、中でも毒性が強いPFOAとPFOSは国際的に廃絶対象となった。
 やっかいなのは、自然界ではほぼ分解されず、影響が長く続くことだ。岡山県吉備中央町では暫定目標値の28倍を検出したと昨年発表した。水源を切り替えるなどし、現在は目標値を下回っているが、町は長期的に住民の健康調査を行う。
 基準の検討も必要だ。米環境保護局(EPA)は今年、PFOAとPFOSの規制値をそれぞれ1リットル当たり4ナノグラムと厳格化した。日本も参考にすべきだ。
 PFASは全国の河川や地下水からも検出されている。
 苫小牧市の安平川では今年7月、暫定目標値を超えた。10月のモニタリングでは下回ったが汚染源は特定されていない。
 ラピダス(東京)の次世代半導体製造工場は安平川を水源とする道の工業用水を使用する。規制対象のPFASは持ち込まず、規制外の物質も浄化装置で除去した上で、千歳市の終末処理場を経て千歳川に流す。
 
 市は千歳川などでPFASを含む水質調査を行っている。
 
 ただ、市とラピダスが結んだ工場排水の水質に関する協定では、PFASを測定項目に入れていない。下水道法で規制項目ではないからだというが、工場内できちんと除去されているか確認する必要があろう。
 
 千歳川下流では江別市が取水している。道を含め、関係者は隙のない対応を取るべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月17日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【払沢(ほっさわ)の滝」】:滝が神秘的に凍る確率は?予報士記者がAIで分析してみた データを支えた、村民のアナログすぎる熱意

2024-12-16 11:00:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【払沢(ほっさわ)の滝」】:滝が神秘的に凍る確率は?予報士記者がAIで分析してみた データを支えた、村民のアナログすぎる熱意

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【払沢(ほっさわ)の滝」】:滝が神秘的に凍る確率は?予報士記者がAIで分析してみた データを支えた、村民のアナログすぎる熱意 

 気温や風速などの気象データを電力需要の予測やフードロスの削減など、産業や社会の課題解決に生かす取り組みが進む。気象予報士の資格を持つ筆者も、気象庁認定「気象データアナリスト育成講座」を受講し、人工知能(AI)による分析に挑戦してみた。対象は、厳冬期に結氷する「払沢(ほっさわ)の滝」(檜原村)。どういう気象条件ならば凍った姿を見られるのか。
2018年1月に完全に結氷した払沢の滝=檜原村観光協会提供

2018年1月に完全に結氷した払沢の滝=檜原村観光協会提供

◆都心から2時間かけても見られないショックを防ぎたい

 最近、滝が100%結氷したのは2018年。その前は06年。凍り付いた滝を見ようとする人たちで、都心方面から村へ続く都道が渋滞になった。それだけ観光価値は高いが、現地へは新宿から電車やバスを乗り継いで2時間ほど。はるばる訪れたのに結氷していなかった時の失望は大きいだろう。事前に予測できれば、今よりも多くの人が村を訪れるのではないか―。そんな効果を期待した。
 
 分析に利用したのは滝の結氷率と、気象データ。結氷率は16~24年の1~2月に住民が毎日記録したもので、完全に凍ったら「100%」、ちょっと凍ったら「20%」。判定しているのは「払沢の滝冬まつり実行委員会」の高木健一委員長(50)。1人で判定するので、ぶれは少ない。
 気象データはというと、...

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 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・気象・自然現象・檜原村・厳冬期に結氷する「払沢(ほっさわ)の滝」】  2024年12月16日  11:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。
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《社説②・12.13》:水道水のPFAS検査 安心できる基準が必要だ

2024-12-14 02:01:40 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説②・12.13》:水道水のPFAS検査 安心できる基準が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.13》:水道水のPFAS検査 安心できる基準が必要だ

 水道水の安全と安心を確保するには、リスクと向き合い、迅速に対処する姿勢が求められる。

 有機フッ素化合物「PFAS」が水道水に含まれているかどうかについて、環境省と国土交通省が全国3755の水道事業者による検査状況を初めて集計した。

PFASの飲料水の基準

 検査対象は、PFASのうち水や油をはじき熱に強い性質を持つ2種類の化学物質だ。発がん性などが指摘され、すでに製造や輸入が原則禁止されている。

 食品の包装紙、焦げ付きにくいフライパン、燃料火災向けの泡消火剤などに利用されてきた。各地の米軍基地や工場周辺の河川などから検出報告が相次いでいる。

 国は2020年、安全性の目安として、水道水1リットル当たり50ナノグラム以下とする「暫定目標値」を設定した。

 20年度以降に目標値を超えたのは1都2府9県の計14事業者だった。今年度は9月末時点で超過は確認されず、環境省の担当者は「水源の変更などが奏功したのではないか」と説明している。

 PFASが問題なのは、「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解されにくいためだ。過去の使用分が環境中に残ってしまう。

 だが、水銀やヒ素とは異なり、水質基準の対象項目ではなく、検査は任意だ。約4割の事業者は「汚染されているとは考えにくい」「費用負担が重い」などを理由に検査していない。

 今年度は目標値を下回っているものの、検出された事業者も333あった。汚染源の大半は特定されず、対策は難しい。今後、新たに検出されたり、目標値を超えたりする可能性もある。

 政府は水質基準に格上げし、検査などを義務づけることを検討している。科学的知見に基づき、実効性のある基準となるよう調査研究を強化することも欠かせない。

 健康や環境に重大な影響を及ぼす恐れがある場合、因果関係が十分証明されていなくても規制措置を取る「予防原則」が対策の基本である。

 日本では高度成長期に公害対策が遅れ、多くの犠牲者を出した。今も健康被害に苦しむ人がいる。その二の舞いとならないよう、政府は検査や除去技術などで事業者を支援しなければならない。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月13日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《質問なるほドリ・12.13》:水道水PFAS調査どうだった? 暫定目標値超えゼロ 検査義務化求める声=回答・渡辺諒

2024-12-14 02:01:00 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《質問なるほドリ・12.13》:水道水PFAS調査どうだった? 暫定目標値超えゼロ 検査義務化求める声=回答・渡辺諒

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《質問なるほドリ・12.13》:水道水PFAS調査どうだった? 暫定目標値超えゼロ 検査義務化求める声=回答・渡辺諒

 なるほドリ 水道水に含まれるPFAS(ピーファス)の調査結果が発表されたんだって?

 記者 11月に国が2020年度以降の状況を初めて公表しました。PFASとは有機(ゆうき)フッ素化合物(かごうぶつ)の総称で、その種類は1万種以上あります。そのうち代表的なPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の合計値が明らかになりました。国の暫定(ざんてい)目標値は水1リットル当たり50ナノグラムで、今年度は超えた水道事業者はゼロでした。

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/13/20241213ddm003070106000p/9.webp?1" type="image/webp" />有機フッ素化合物(PFAS)</picture>
有機フッ素化合物(PFAS)
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 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【質問なるほドリ】  2024年12月13日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.07】:飲み水の安全 PFASの調査と対策、急げ

2024-12-07 16:00:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説①・12.07:飲み水の安全 PFASの調査と対策、急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.07】:飲み水の安全 PFASの調査と対策、急げ

 飲み水の安全を守るため、踏み込んだ汚染対策を求めたい。

 発がん性が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)が全国で検出されている問題を巡り、国が水道水の全国調査を初めて公表した。京都、滋賀など46都道府県の332水道事業でPFASが検出されたが、国が目安とする「暫定目標値」を超えた箇所はなかったとしている。 

 だが、自治体の独自調査などでは超える例も相次ぎ、各地域に不安が広がっている。

 臨時国会で石破茂首相は「来春をめどに水質基準の引き上げなど対応の方向性をまとめる」と答弁したが、不十分ではないか。自治体や事業者の対策支援、発生源調査や除去指導なども含め包括的に検討すべきだ。

 米企業が開発したPFASは撥水(はっすい)・撥油の特性からフライパン加工、半導体や車の製造、泡消火剤などに使われてきた。

 用途に応じて1万種類以上あり、毒性が判明した種類は国際条約で製造禁止などになった。だが自然界で分解されずに水や土に残るため、汚染は続く。

 健康被害は確認されていないが、がんのリスク増加や胎児の成長低下などの疫学報告がある。内閣府の食品安全委員会も6月、健康への悪影響は「否定できない」とした。

 全国調査は5月から9月に行われ、2割の水道事業者から検出された。すべて国の暫定目標値の1リットル当たり50ナノグラムを下回ったが、値が欧米より緩いと指摘されている。米国は4ナノグラム、ドイツは20ナノグラムである。

 これとは別の自治体調査で8月、綾部市の犀川で72ナノグラム、京田辺市内三つの川で最大140ナノグラムが検出された。目標値を超えていた福知山市と京丹波町の猪鼻川では11月調査で、上流域にある産業廃棄物処分場の放流水から92ナノグラムを確認。発生源の一つとみられている。

 泡消火剤を用いる在日米軍や自衛隊の基地、消防施設のほか、工場などの周辺でも高濃度PFASが見つかっており、発生源とされる。日米地位協定に阻まれる米軍基地はもとより、行政による調査権の規定がない。水源の安全に関わるだけに、石破氏が持論とする地位協定の改定も含め、立ち入りや指導などの仕組みが不可欠だ。

 水道法上の「水質基準」対象でないPFASは、暫定目標値を超えても公表や改善の義務はなく、法改正は欠かせない。水質管理や浄化などへの政府助成とセットで進めたい。

 一部浄水場で高濃度の値が検出された岡山県吉備中央町は先月から、周辺住民ら800人を対象に公費で血液検査を始めた。岡山大と結果を分析し、5年後も調査するという。

 PFASのリスクや実態に未知の部分も多く、継続的な調査と研究は重要である。過小評価することなく、国が主導して被害予防に努めねばならない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月07日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.07】:水道のPFAS/厳格な水質基準を設けよ

2024-12-07 06:00:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・12.07】:水道のPFAS/厳格な水質基準を設けよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.07】:水道のPFAS/厳格な水質基準を設けよ

 人体への影響が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)について、環境省と国土交通省が水道水の全国調査結果を公表した。

 国の暫定目標値は代表的なPFASであるPFOAとPFOSの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)で、2024年度にこれを超えた水道事業はなかった。小規模事業者にも対象を広げた全国的な調査は初めてだ。国民の健康を守るために、実態把握を続けてもらいたい。

 調査対象は全国3755の水道事業で、20~24年度の水質を調べた。3595事業から回答があった。環境省は、全国の給水人口に対して98・2%の水質の安全性が確認できたとした。汚染された水源の取水停止などの対策が奏功したという。

 だが全体の2割の水道からPFASが検出され、北海道などの3事業では暫定目標値に近い数値が出た。20~23年度では、12都府県14水道事業で暫定目標値を超えていた。兵庫県では宝塚市(54ナノグラム)、西脇市(100ナノグラム)が含まれる。いずれも現在は50ナノグラムを下回るものの、水質の変化を見守る必要がある。

 PFASは水や油をはじき熱に強い化学物質で、身近で幅広く使われてきた。近年の研究で発がん性などが指摘され、PFOAなどは国際条約で製造や使用が規制された。米軍基地や化学工場、廃棄物処分場などの周辺で検出される例が多い。

 20~23年度に最大で1400ナノグラム(目標値の28倍)が検出された岡山県吉備中央町では11月、公費による血液検査に踏み出した。住民約800人が希望した。自治体では全国初の試みで、影響の確認や不安の軽減につながる取り組みである。 

 市民団体などによる独自の血液検査は明石市や大阪、東京、沖縄などで既に実施されている。1リットル当たり20ナノグラムという米国アカデミーの指針値を上回る人が含まれていた。

 ところが環境省は血中濃度と健康影響との関係性が明らかでないとして、血液検査には慎重な姿勢だ。データの蓄積は汚染に関する現状把握に欠かせない。市民や自治体に任せず、責任を持って血液検査などを進める姿勢が国には求められる。

 暫定目標値しかない国内の現状では、PFASの検査や水質改善は水道事業者の努力義務でしかない。これを法的義務とする「水質基準」への引き上げについて、政府は来春をめどに方向性をまとめるとする。

 米国はPFOAとPFOSの飲料水の規制値を、それぞれ1リットル当たり4ナノグラムとし、ドイツも28年に4種類のPFAS合計で同20ナノグラムとする。日本も各国の研究動向などを参考にし、科学的な知見に基づいた厳格な水質基準を早急に設けるべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月07日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.04】:PFAS汚染 米軍基地の調査拒むな

2024-12-04 07:07:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説①・12.04】:PFAS汚染 米軍基地の調査拒むな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.04】:PFAS汚染 米軍基地の調査拒むな

 発がん性の疑いがある有機フッ素化合物(PFAS(ピーファス))を巡る調査が全国で進む中、汚染源とみられる各地の在日米軍基地では実態解明が進んでいない。

 消火剤に含まれるPFASが地下水を汚染したと考えられるが、米軍に特権的な法的地位を認めた日米地位協定が壁となっている。国民の健康を守るため、協定改定に踏み込むよう政府に求める。
 
 横田基地(東京都福生市など)=写真=では8月、PFASを含む汚染水が基地外に出た恐れがある。都などが米軍に現地での説明を求めたが、実現していない。
 
 汚染事故時の日本側の立ち入り調査について、2015年に結ばれた日米地位協定の環境補足協定では「手続きを日米で定める」などと規定するが、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)や横須賀基地(神奈川県横須賀市)で立ち入りが米軍に拒まれる例が相次ぐ。
 
 米軍の特権的な立場は、費用負担にも及ぶ。地位協定は基地の維持費を米軍負担と定めているが、普天間飛行場では日本が肩代わりしたPFAS汚染対策費が計6億円近くに達する。
 
 実態解明できずに費用負担を強いられる現状は放置できない。
 
 日弁連によると、ドイツの米軍基地周辺でPFASが検出された際、米軍は浄化費用を負担した。イタリアや韓国では、基地内への立ち入り権が規定されている。日本が結ぶ協定とは大差がある。
 
 地位協定の改定は石破茂首相の持論でもある。極端な米国第一主義を掲げるトランプ次期政権との交渉は容易ではないが、PFAS問題を突破口に、日本側が主権を行使できるよう協定の改定を米側に提起してはどうか。
 
 PFAS汚染は、自衛隊基地や半導体工場周辺などにも広がる。航空自衛隊基地がある岐阜県各務原市では、水道水源の地下水から国の暫定目標値を超えるPFASを検出した。浄化対策に年間1億円超が必要だという。
 
 各地の水道事業は人口減少や施設老朽化で維持が難しくなっており、PFAS対策は新たな負担になる。政府は米軍よりも自治体への財政支援を優先すべきである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  07:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.04】:国のPFAS対策 排出源特定 責任果たせ

2024-12-04 04:01:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【社説・12.04】:国のPFAS対策 排出源特定 責任果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.04】:国のPFAS対策 排出源特定 責任果たせ

 健康被害の可能性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」について、環境省は代表的なPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)に関する対応の手引きを、自治体へ通達した。 

 全国の地下水などからPFASの検出が相次ぎ、懸念が広がっている。これまでの専門家会議での意見などを踏まえ、2020年6月の初版を更新した。新たに「今後の対応の方向性」を追加したのが特徴だ。

 PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラムと定める国の暫定目標値を超えた汚染水を住民が飲まないよう、対策の徹底を呼びかけている。

 関連が報告されている健康影響として、コレステロール値の上昇や、発がん、赤ちゃんの低体重などを挙げた環境省の「Q&A集」を紹介するなど、情報発信に力を入れている。

 一方で、汚染の原因となる「排出源」を特定するための記述が少ない。

 手引きでは、特定の原因によると疑われ、継続性があると判断される場合、「必要に応じて排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討することが考えられる」との表記だ。

 具体性に乏しく、国民の不安からすれば、あまりにも消極的過ぎる。

 汚染のリスクを伝えるだけで、その原因を突き止め、拡大を防ぐ対応を示さないようでは、不十分と言わざるを得ない。

               ■    ■

 県内では、県企業局の本格調査が始まった14年以降でも北谷浄水場の水源となる河川などから高濃度のPFASが検出され、継続性が認められる。

 嘉手納基地や普天間飛行場周辺の河川、地下水からも高濃度のPFASが検出され、県は「米軍基地が汚染源の蓋然(がいぜん)性が高い」と判断し、繰り返し立ち入り調査を求めてきた。

 だが、米軍は日米地位協定を根拠に調査を認めず、日本政府も環境補足協定の要件に該当しない、と歩調を合わせている。

 東京都の横田基地や山口県の岩国基地の周辺でも自治体や市民団体の調査で、地下水などからPFASが検出されている。

 環境省は手引き通達後も米軍基地内の調査には「外務省や防衛省との調整、米側への申し入れの対応を進める」と従来の説明にとどまり、排出源特定の本気度が伝わってこない。

                ■    ■

 国の調査では、全国の水道事業で目標値を超えなかった。ただ、沖縄ではPFASが検出された河川からの取水を制限し、高機能粒状活性炭で浄水するなど抑え込んでいるのが実態だ。

 県はPFAS対策に10年間で80億円以上を見込む。

 米国では飲み水の基準をPFOSとPFOAの各1リットル当たり4ナノグラムと設定するなど厳格化の流れにある。

 環境省も水質管理を強化する方針で、対策費用はさらにかさむ。

 汚染を食い止めるためには排出源の特定は欠かせない。安全な水の提供は国の重要な役割だ。排出源の特定に責任を果たすべきだ。

 元稿:沖縄タイムス社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  04:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【産経抄・12.03】:安全を世界に誇る日本の水道に新たな脅威

2024-12-03 05:01:30 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

【産経抄・12.03】:安全を世界に誇る日本の水道に新たな脅威

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・12.03】:安全を世界に誇る日本の水道に新たな脅威 

 日本の水道の歴史は江戸の上水道に始まる。問題は水質である。枡(ます)に溜(た)まる泥をさらい、水死人が出ると吐口(はきぐち)から水を捨てた。明治時代に入ると大流行したコレラが近代水道の普及を急がせた。

使用済み活性炭周辺の地下水から暫定目標値を超える数値が測定された(円城浄水場PFAS問題有志の会提供)

 ▼現在の日本は蛇口からそのまま水が飲める世界でも数少ない国である。その安全性を世界に誇る水道が新たな脅威にさらされている。発がん性が懸念される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」である。

 ▼水や油をはじき熱に強い特性が重宝されて、食品容器から半導体製造まで幅広く使われてきた。自然界でほぼ分解せず、生物の体内に蓄積されやすく「永遠の化学物質」とも呼ばれる。米軍基地や工場の周辺から検出の報告が相次ぎ、昨年から国が対策強化に乗り出していた。

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 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】  2024年12月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.01》:PFAS全国調査 水道の安全につなげねば

2024-12-01 09:31:50 | 【環境問題(公害・排ガス・治水・産廃・水俣病・アスベスト・有機フッ素化合物

《社説①・12.01》:PFAS全国調査 水道の安全につなげねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.01》:PFAS全国調査 水道の安全につなげねば

 健康への悪影響が懸念されているPFAS(有機フッ素化合物)をめぐり、環境省と国土交通省が5~9月に行った水道水の全国調査の結果を公表した。

 1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)という国の暫定目標値を超えたところはなかったが、検査済み全体の2割に当たる332の水道事業で検出された。

 長野県内も中野市や長野市、大町市などの7事業で確認された。検査が推奨されるようになった2020年以降では東北中南信すべてで検出例がある。それだけ身近な化学物質になっている現実を、あらためて共有したい。

 PFASは水や油をはじき、熱にも強い。フライパンや食品包装といった生活用品の皮膜、泡消火剤、半導体の生産工程などで幅広く使われている。

 その便利さと裏腹に、健康リスクについての疫学研究が蓄積されている。世界保健機関(WHO)の研究機関も発がん性があるなどと評価した。各地で住民の血液中から検出される例が相次ぎ、浄水場で高濃度の汚染が確認された岡山県吉備中央町は公費による住民の血液検査を始めた。

 住民の不安に応えるには、まずは定期的な水質検査と結果の公表が欠かせない。

 暫定目標値のままだと、検査や水質改善などは努力義務でしかないため、環境省は水道法上の「水質基準」とし、対応を法的に義務付けるかどうか検討している。欧米に比べて緩い50ナノグラムという現在の基準値の見直しも含め、対応の強化が要る。

 発生源の特定と環境中への漏出防止の強化も必要になる。

 暫定目標値を超えた水道事業は20年度の11から減り、初めてゼロになった。主に取水停止や水源の切り替え、活性炭吸着などの浄水強化による。20年度に一部水源で暫定目標値を超えた長野市も検出値を下げてきている。

 それらは根本的な解決策ではない。これまでは化学工場や泡消火剤を使う米軍基地からの漏出、PFASを含む廃棄物の放置などが発生源として疑われてきた。ただ、水道水や人の血液中に入り込む経路には不明な点も多く、特定に至らないケースが目立つ。

 1万種類以上あるとされるPFASのうち代表的な数種類は国内製造や輸入が禁止されたが、使われ続ける限り、混入するおそれはいつでも、どこででもあり得る。それを前提に、生産、流通における規制や自治体の調査権限の強化も考える必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月01日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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