路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言

2025-03-07 07:40:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言

 『漂流する日本の羅針盤を目指:【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言 

 ★25年2月6日(現地時間)首相・石破茂は米・ホワイトハウスを訪れ、翌7日にドナルド・トランプ米大統領と初の日米首脳会談を行った。トランプは就任以来、バイデン前大統領の功績の多くを覆すために大統領令を次々と発令。カナダ、メキシコにも外交とは言えない挑発を繰り返した。日米変人同士の会談としては注目されたものの、石破は外務省の振り付けと一夜漬けの勉強が功を奏し、日本メディアのワシントン電はいずれももろ手を挙げての成功としていたが、各社の社説はもう少し冷めていた。

 ★その体質からほかの選択肢はないのだろうが、外務省が演出すれば、日米同盟の強化を繰り返し、対米投資が大きいことで機嫌は取れたかもしれないが、石破だからこその成功とは言えまい。ただアメリカに寄り添うのか、トランプとともに歩むのかではだいぶ違う。ウクライナ支援に前のめりだったバイデン政権とトランプ政権の違いを日本外交はどう消化していくのか。そこが全く分からない。日本の報道だけ見ていたら、ゼレンスキー支持者とトランプ支持者が生まれ、対立するのは必然だろう。外交は利害の交渉だけではない。地政学と信頼関係も重要な要素になる。だが商取引だけが議題になる外交をテレビカメラの前でやるまでアメリカの外交は価値が下がったといえる。

 ★外交に値段をつけるために米露が組むなどという構図はどんな国際政治の世界にも想定されず、多分そんな小説ができても売れないだろう。ただ現実に起こっていることをみれば、外交のカードは交渉に使える資源か領土かカネということになる。首相は3月1日、この会談について「かなり感情的なやりとりだったようだが、平和を実現するためには忍耐も思いやりもいる。外交は感情をぶつけ合えばいいというものではない」「G7の結束が乱れないよう努力したい」と中途半端な感想を述べた。世界が新たなる戦前に駒を進めかねない時期に極めて物足りない。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年03月04日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・02.02】:石破首相に3日遅れのお誕生日プレゼント? トランプ大統領との会談、キーマンはやはりあの人か

2025-03-03 07:45:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【中山知子の取材備忘録・02.02】:石破首相に3日遅れのお誕生日プレゼント? トランプ大統領との会談、キーマンはやはりあの人か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・02.02】:石破首相に3日遅れのお誕生日プレゼント? トランプ大統領との会談、キーマンはやはりあの人か 

 昨年来の懸案だった石破茂首相とトランプ米大統領の首脳会談が、石破首相が訪米して、2月7日(現地時間)に行われることになった。本来は昨年11月、南米での国際会議の後、米国に移動して就任前のトランプ氏との面会も模索されたが、最終的に、トランプ氏が正式に大統領に就任した後のタイミングが選ばれた。日本では通常国会が開会中。衆院予算委員会での与野党論戦をいったん終えた後のタイミングで、石破首相は訪米することになる。

 首相は、2月4日が68歳の誕生日。約2カ月あまり続いた「石破首相がトランプ氏に会えない問題」は、ようやく解消され、3日遅れとはいえ、何よりのお誕生日プレゼントとなるのでは?と話す自民党関係者の声を聞いた。

 首脳会談といえば、相手国に持参する「手みやげ」が、よく話題になる。対トランプ氏でいえば、最初の政権が発足する前の2016年11月に当時の安倍晋三首相が、共通の趣味でもあるゴルフのドライバーを1本持参し、どの国の首脳よりも早くNYのトランプタワーに乗り込んだ。ドライバーは「本間ゴルフ」のシニア層向け最高級ラインで、価格は54万円(当時)。ヘッドもトランプが好きな金色。このお土産が与えたインパクトは少なくなかったようで、その後の盟友関係にもつながったといわれている。

 関係者によると、石破首相のトランプ氏との首脳会談に備えて、昨年来、政府内でさまざまな準備は行われてきたという。そこには「首脳のセンスと調査能力が表れる」(関係者)といわれるおみやげの準備も含まれ、目利きのセンスも問われるそうだ。トランプ氏にドライバーを贈った安倍氏は、前任のオバマ元大統領には、ゴルフパターを贈っている。オバマ氏もゴルフ好きで知られ、首脳同士の「共通の話題」が、おみやげ選びのテーマになった側面もありそうだ。

通常国会召集日、本会議場の自席で中谷元防衛相(左)と談笑する石破茂首相(2025年1月24日撮影)
通常国会召集日、本会議場の自席で中谷元防衛相(左)と談笑する石破茂首相(2025年1月24日撮影)

 一方、「テーマ」を考えたはすが、物議を醸したおみやげもある。岸田文雄前首相が2023年3月、ウクライナを電撃訪問してゼレンスキー大統領と会談した際には、自身の地元、広島の工芸品「必勝しゃもじ」をプレゼントの1つとして贈った。しゃもじは宮島の伝統工芸品だが、かつての日清戦争や日露戦争の際に「飯取る」「敵を召し捕る」の語呂合わせから、しゃもじを厳島神社に奉納するようになった言い伝えがあるそうだ。地元では、勝負の際の「縁起もの」で知られ、日露戦争で日本がロシアに勝利したことを踏まえ、ロシアの侵攻を受けるゼレンスキー氏を励まそうとしたようだが、逆にロシアを刺激する恐れもあるとして、賛否を呼んだ。

 一方、岸田氏は昨年、バイデン前米大統領と会談した際には、同年元日に発生した石川・能登半島地震の地元を代表する、輪島塗のコーヒーカップやペンを贈っている。こうした日本の災害被災地の名産品だけでなく、首相とゆかりのある地域の品を持参する場合もあるという。石破首相の地元鳥取にも「因州和紙」「弓浜がすり」をはじめ、陶磁器や織物など多くの名産品があり、そうした品も候補になるのかもしれない。

 一方、トランプ氏といえばやはりゴルフ。ゴルフ部出身ながら、国会議員になってからは事実上「封印」している石破首相が、ゴルフに関連した話題を持ち出す可能性は「低い」といわれるが、予測不能、何を仕掛けてくるか分からないトランプ氏に、強いファーストインプレッションを与えることが大事なのはいうまでもない。そこで鍵を握る人物がいるという。

 ある政界関係者を取材すると、「総理とトランプ大統領の話題が一致するのは、結局、安倍さん」と話してくれた。「トランプさんは今も安倍さんを『良き友人だった』と述べている。石破首相は安倍さんとの関係は良くなかったが、トランプ大統領が2人の関係性を詳細に把握しているとは思えず、石破さんは『シンゾーの後任』という位置づけだろう。となれば、最初は安倍氏をフックにしていくことも、1つのやり方かもしれない」そうだ。

安倍晋三氏(2020年撮影)

安倍晋三氏(2020年撮影)
 トランプ氏は、第1次政権時よりも言動がさらに過激化し、やりたい放題ぶりが増しているように見える。そんな「猛獣」(関係者)に対峙(たいじ)するため、初対面時の印象はかなり大事になってくる。安全保障の論客として鳴らしてきた石破首相だが、トランプ氏を「おっ」と思わせるファーストインプレッションを演出できるだろうか。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。 

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2025年02月02日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.09】:日米首脳会談/安心できない「日本重視」

2025-02-12 06:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・02.09】:日米首脳会談/安心できない「日本重視」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社②・02.09】:日米首脳会談/安心できない「日本重視」 

 石破茂首相とトランプ米大統領が初めて会談した。日米同盟をインド太平洋地域の平和、安全、繁栄の礎であり続けると強調し、同盟の抑止力と対処力を高めることで一致した。

 「米国第一」を掲げ、同盟関係ですらディール(取引)の材料とみなすトランプ氏の出方が読めなかっただけに、日本政府関係者はひとまず胸をなで下ろしたに違いない。

 ただ、こうした「日本重視」は、中国を最大の脅威と位置づけるトランプ政権の対中抑止策の一環でもある。

 会談後の共同記者会見で、トランプ氏は日本の防衛費について「(今後)さらに増える」と述べた。米中の覇権争いは一層の激化が予想される。米国による防衛費の増額要求が高まるのは確実で、日本は難しい対応を迫られよう。

 会談はなごやかな雰囲気だったという。日本が用意した「土産」が奏功した面もありそうだ。石破首相は対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模に増やすと表明したほか、日本の自動車メーカーによる米国での新工場建設計画を紹介した。

 一方、トランプ氏は対日貿易赤字の解消を求め、貿易不均衡が続けば、関税が選択肢になるとの見解を示した。同盟国でも貿易赤字を問題視するトランプ氏が、高関税を課す可能性のある相手国リストから日本を除外するとは考えにくい。

 既に中国との間では関税合戦の様相だ。世界経済を縮小させ、インフレなどで自国民にも影響が及びかねない高関税の連鎖を防ぐために、日本は欧州連合(EU)などとも連携して米国に働きかける必要がある。

 驚いたのは、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、両首脳が「買収ではなく、多額の投資で合意した」と述べた点である。買収に反対していたトランプ氏自ら日本製鉄の幹部と協議するという。真意は不明だが、民間企業の経営に政治が介入することへの違和感は拭えない。

 会談では、日米豪印や日米韓といった多国間連携を重視する方針も打ち出した。国際協調の枠組みの実効性を高め、平和に資するためにも、日本は主体的な外交に努めるべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.09】:日米首脳会談 「言うべきは言う」関係築け

2025-02-11 16:00:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・02.09】:日米首脳会談 「言うべきは言う」関係築け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.09】:日米首脳会談 「言うべきは言う」関係築け 

 表面的には無難な滑り出しにみえる一方、今後に向けた危うさも見え隠れする。

 石破茂首相は、返り咲いたトランプ米大統領と首都ワシントンで初めて会談した。

 両首脳は日米関係の「新たな黄金時代を追求する」とした共同声明を発表した。基軸となる日米安全保障体制の抑止力向上などを確認した。

 一方、経済面でトランプ氏は対日貿易赤字の解消を求めた。各国への「脅しの道具」として用いる関税を持ち出し、日本でも貿易不均衡が続けば、引き上げによる赤字削減が選択肢になるとの考えを示した。

 石破氏は8千億ドル弱で世界一の対米投資を、1兆ドル(約151兆円)規模に増やすとした。

 すでにトランプ氏は中国からの輸入品に対する10%の追加関税を発動した。中国は報復措置として、米製品に最大15%の追加関税を課すと発表し、「貿易戦争」の様相を帯びている。

 1カ月延期したものの、メキシコやカナダへの25%関税も発動の構えを崩さない。来週は、各国が米製品に課しているのと同水準の関税をかける措置の計画も公表するという。

 日本にも高関税をちらつかせることで、「米国第一」の利益追求へさらなる圧力をかけてくる可能性が明確になったといえよう。石破氏は対米投資の実績や計画を挙げて理解を求めたようだが、予断は許されまい。

 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、両首脳は「買収でなく、多額の投資で合意した」と述べた。トランプ氏は日鉄の首脳と会うともいい、禁止命令を出したバイデン前政権の方針を実質的に覆すことになるのか。日本は注意深く見極める必要があろう。

 気になるのは、防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増やす日本方針を、トランプ氏が評価しつつ「さらに増える」と強調したことだ。そうした点を含め、国会は会談の内実を検証してもらいたい。

 トランプ氏は先月20日の就任以来、前政権の方針を反転させる大統領令を連発。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を指示し、世界保健機関(WHO)の脱退手続きを進める。先日は唐突に、米国がパレスチナ自治区ガザを長期的に「所有する」と表明し、200万人超の住民をガザ域外に移住させるべきだと主張した。

 国際協調に背を向けた身勝手なふるまいや、苦難の歴史を無視した暴論に対し、会談で石破氏はひと言も触れなかった。

 初対面で時間的な制約があったにせよ、かねて「対等な日米関係」を唱えてきた首相が、持論とする日米地位協定の改定を含め、国内外の対米懸案を素通りしたのは残念である。

 多層的な意思疎通を築き、「言うべきことは言う」日米関係の深化を求めたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月09日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.07】:米の「ガザ所有」 国際法に反する暴論だ

2025-02-11 16:00:25 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・02.07】:米の「ガザ所有」 国際法に反する暴論だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.07】:米の「ガザ所有」 国際法に反する暴論だ 

 また突拍子もない脅し文句だと聞き捨てにできない。不見識で危うい暴論である。

 トランプ米大統領は、パレスチナ自治区ガザを米国が長期的に「所有する」と主張し、住民をガザ域外に恒久的に移住させるべきと提案した。再建に米国が取り組むとし、米軍派遣も否定しなかった。

 いかなる権限でどう進めるか具体策は語らず、どこまで本気か、実現性も疑わざるを得ない。

 国連加盟国の多数が国家として承認するパレスチナの土地を一方的に切り離し、住民を追うことは明らかに国際法に反する。

 ガザのイスラム組織ハマスは「パレスチナ人の権利否定だ」と反発。エジプトやサウジアラビアはじめ中東、欧州など各国が批判の声を上げたのは当然だろう。

 こぎつけたガザ停戦を恒久化する交渉を阻害し、混乱に陥れる妄言だ。断じて認められない。

 唐突な提案は、イスラエルのネタニヤフ首相との会談後の記者会見で表明された。トランプ氏は、15カ月以上の攻撃で破壊されつくしたガザを米国が引き継ぎ、倒壊した建物や不発弾を撤去、経済開発や雇用創出を進めるとした。

 歴代政権以上のイスラエルへの後押しで自らの保守支持層に応えつつ、「不動産王」の発想で事態を動かす思惑も透ける。

 だが、トランプ氏のいう「ガザは地獄」は、過剰に自衛権を振りかざした無差別攻撃で死者4万7千人超、避難者の人道危機を深めるイスラエルと、軍事支援する米国が引き起こした惨状である。

 1948年のイスラエル建国で土地を追われたパレスチナ人の苦難の歴史的経緯も顧みないのか。またも200万人超のガザ住民を強制移住させることは、自決権を踏みにじる国際人道法違反である。国連のグテレス事務局長は「民族浄化だ」と指弾する。

 ドイツやフランス、英国の首脳らも提案を「容認できない」とし、国際合意であるイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を改めて支持した。

 法の支配や基本的人権に基づく国際秩序をないがしろにするトランプ流は、ロシア、中国の覇権主義や排外・極右勢力の台頭に口実を与え、世界的な信頼低下を招くばかりである。

 戦後、中東に軍事関与をせず、独自の交流も重ねた日本の役割は重要だ。週末、トランプ氏と初の首脳会談に臨む石破茂首相は、自決権と2国家共存論を擁護し、事態を憂慮する国々とも連携していさめねばならない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月07日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【三崎優太氏】:「投資や増税は即決」「自国民への投資や減税は鈍い」日米首脳会談での「投資発言」

2025-02-10 09:07:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【三崎優太氏】:「投資や増税は即決」「自国民への投資や減税は鈍い」日米首脳会談での「投資発言」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【三崎優太氏】:「投資や増税は即決」「自国民への投資や減税は鈍い」日米首脳会談での「投資発言」 

 元「青汁王子」こと実業家の三崎優太氏が9日までにX(旧ツイッター)を更新。日米首脳会談で石破茂首相がUSスチール「投資」の修正案について私見をつづった。

三崎優太氏(2023年7月撮影)

 「150兆円のアメリカ投資や増税はスピード感を持って即決できるわけじゃん?自国民への投資や減税はどうしてこんなに決断が鈍いの?この差はなんだろうね。世界のATMにはなって欲しくないな」

 石破首相は7日(日本時間8日未明)に行われたトランプ米大統領との首脳会談の中で、日本製鉄によるUSスチール買収計画について、「多額の投資をする」とする内容の発言をしていた。

 岸田文雄前首相から続く与党の政策は、対外的には「バラまき」、対内的には「各種の増税」が目立っている。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・元「青汁王子」こと実業家の三崎優太氏・X(旧ツイッター)を更新。日米首脳会談で石破茂首相がUSスチール「投資」の修正案について私見をつづった】2025年02月10日 09:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.08】:ミャンマー情勢 選挙で軍統治は正当化できぬ

2025-02-08 05:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・02.08】:ミャンマー情勢 選挙で軍統治は正当化できぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.08】:ミャンマー情勢 選挙で軍統治は正当化できぬ

 ミャンマーでは内戦が激化し、人道危機の深刻化が止まらない。こんな状況で総選挙を強行しても、民政復帰にはつながらないのではないか。 

 アウン・サン・スー・チー氏が率いていた民主派政権を軍がクーデターで倒してから、4年が経過した。

 軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官は、軍が全権を掌握する体制を継続するため、非常事態宣言を延長した。民政への移行を目指して年内に総選挙を実施する、と説明している。

 だが、スー・チー氏は実刑判決を受けて拘束されており、スー・チー氏が率いていた民主派政党も政党資格を奪われた。軍は民主派政党を排除して総選挙を行い、親軍政党を勝利させ、実権を握り続けようとしているのだろう。

 軍による統治を正当化するために選挙を利用しようとしているとの批判は免れない。

 軍は昨年、有権者名簿作成のための国勢調査を行ったが、少数民族や民主派勢力が各地で武装闘争を続けていることなどから、多くの地域で調査できなかった。

 加えて、クーデター後の軍や警察の弾圧で市民ら6200人以上が死亡し、350万人以上が避難生活を強いられている。軍は現在の人口は約5132万人と発表したが、約4割分が推計だ。

 ずさんな調査に基づいて形ばかりの総選挙を行っても、国内外の信頼は得られるはずがない。

 軍が総選挙の実施には「平和と安定」が必要だと言いながら、反軍勢力に対して空爆を繰り返しているのは問題だ。

 反軍勢力は、北東部や西部で軍の現地司令部を陥落させるなど、攻勢を強めている。これに対し、軍は、住宅や学校、病院などを無差別に空爆している。

 岩屋外相が1日、「空爆などの暴力で多くの市民が日々死傷している」として、軍を強く非難する談話を出したのは当然だ。米国や英国、オーストラリアなども同様の共同声明を発表した。

 日本はスー・チー氏らの解放を求め、全ての当事者による対話の実現に協力するとしている。必要な支援をいかに現地に届けるかも課題だ。国連や多国間協議の場で議論を主導せねばならない。

 中国は総選挙実施を支援する姿勢を示し、軍への支持を強めている。ミャンマーからの天然ガスのパイプラインなど経済権益を守ろうとしているのだろうが、まずは軍による暴力を止めることに影響力を行使すべきであろう。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.06】:ガザの戦後管理 混乱招く「米国が所有」発言

2025-02-06 05:01:00 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・02.06】:ガザの戦後管理 混乱招く「米国が所有」発言

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.06】:ガザの戦後管理 混乱招く「米国が所有」発言

 米国がパレスチナ自治区ガザの戦後管理や再建を担うという考えは注目に値するが、そのために米国がガザを「所有」するという構想はあまりにとっぴで衝撃的だ。

 トランプ米大統領の発言が国際社会の反発を招き、せっかく実現にこぎつけた停戦に水を差す事態を懸念する。

 トランプ氏が、ワシントンを訪れたイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。その後の共同記者会見で、トランプ氏は「米国がガザを長期的に所有する」と述べ、ガザを管理し、復興や経済発展に取り組む意向を表明した。

 イスラエル軍の攻撃などで倒壊した建物や不発弾を撤去して整地し、住宅やインフラ(社会基盤)を再建する考えを示した。必要であれば米軍を派遣する可能性も否定しなかった。

 だが、そのためにガザにいる200万人以上の住民について、ヨルダンやエジプトなどへ移送し、恒久的に定住させると述べた。

 これは、国際法に違反する非人道的な提案と言わざるを得ない。例えば戦時の文民保護を規定するジュネーブ条約は、住民の強制移送を禁じている。米国も締約国として、条約尊重の義務がある。

 トランプ氏の提案に対し、イスラム主義組織ハマス幹部は「ガザ住民は決して受け入れないだろう」と反発した。ヨルダンやエジプトなどはガザ住民の受け入れを拒否している。

 復興のために住民の一時的な避難がどうしても必要だというのであれば、まずは米国が率先して受け入れるべきではないか。

 そもそもガザがパレスチナ人の自治区であることは、イスラエルも認めている。トランプ氏が、異なる宗教や民族が入り組んだ複雑な土地柄と、対立を続けてきた歴史的な経緯をどこまで理解しているのか、甚だ疑問である。

 ガザではイスラエルとハマスの戦闘が、米国などの仲介で1月にいったん停止した。

 3段階で恒久停戦を実現するとしている。第1段階の6週間のうちにハマスがイスラエルから連れ去った人質のうち33人を解放し、イスラエルは収監するパレスチナ人約1000人を釈放する。

 今のところ順調に進んでいるが、これからは、ハマスが人質全員を解放する一方、イスラエル軍がガザから全面撤退するとした第2段階に進めるかどうかの難しい局面にさしかかる。

 全当事者が冷静さを保ち、停戦合意を維持することが必要だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【石破首相】:生成AIの研究開発で日米協力、トランプ氏との首脳会談で表明へ…中国製AIの台頭に危機感

2025-02-04 05:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【石破首相】:生成AIの研究開発で日米協力、トランプ氏との首脳会談で表明へ…中国製AIの台頭に危機感

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相】:生成AIの研究開発で日米協力、トランプ氏との首脳会談で表明へ…中国製AIの台頭に危機感 

 石破首相は7日にワシントンで開かれる米国のトランプ大統領との首脳会談で、生成AI(人工知能)の研究開発協力を表明する方向で調整に入った。開発を加速する中国への対抗を念頭に、日米が民間投資の促進や知見の共有などで連携を深めることを目指す。

石破首相(左)とトランプ大統領
石破首相(左)とトランプ大統領

 複数の政府関係者が3日、明らかにした。トランプ氏は1月に「AI分野での米国の優位性を維持し、強化する」とした大統領令に署名し、中国との開発競争に注力する姿勢を鮮明にしている。日米は、安全性や信頼性に懸念のある中国製AIの台頭への危機感を共有しており、首相は、日米の利害が一致する協力分野になると判断した。発出を調整している共同声明への明記も検討する。

笑顔を見せる(左から)オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、石破首相(3日午後5時43分、首相官邸で)=帖地洸平撮影
笑顔を見せる(左から)オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、石破首相(3日午後5時43分、首相官邸で)=帖地洸平撮影

 首相は3日、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長やオープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らと首相官邸で面会し、米国でのAI投資について意見交換した。SBGとオープンAIなどは米国のAI関連のインフラ整備に対する5000億ドル(約78兆円)の投資を発表しており、首相は「日本と合衆国がAIの分野において協力を深め、世界がより平和で、豊かで、安全になるように努めたい」として、両社の取り組みを歓迎した。政府は今後、民間投資を促進する方策を検討し、首脳会談でも提起したい考えだ。

 また、首脳会談では、米国が増産する液化天然ガス(LNG)でも、トランプ氏側から輸入拡大の要望があった場合は前向きな姿勢を示す方向だ。

 首脳会談後の報道対応を巡っては、日本政府は首相とトランプ氏の共同記者会見ではなく、首相単独の記者会見を行う方向で調整を進めている。質疑を受けたトランプ氏の発言が予測し難いことなどを考慮したとみられる。首相は6~8日の日程で訪米し、岩屋外相も同行する。

 ■[深層NEWS]ディープシークの生成AI、「中国が開発してしまった衝撃大きい」…鈴木一人・東大教授

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【外交】:石破首相とトランプ大統領、7日にホワイトハウスで会談へ…共同声明に「同盟強化」で調整

2025-02-01 05:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【外交】:石破首相とトランプ大統領、7日にホワイトハウスで会談へ…共同声明に「同盟強化」で調整

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【外交】:石破首相とトランプ大統領、7日にホワイトハウスで会談へ…共同声明に「同盟強化」で調整 

 日米両政府は、石破首相とトランプ大統領による初の首脳会談を2月7日にワシントンで行う方向で最終調整に入った。首相は首脳間の信頼関係を構築し、日米同盟の重要性を確認したい考えで、同盟強化などを盛り込んだ共同声明の発出に向け調整を進める。トランプ氏との対面での首脳会談はイスラエルに続き、2か国目になる見通しだ。

石破首相(左)とトランプ大統領
石破首相(左)とトランプ大統領

 複数の日本政府関係者が明らかにした。首相は6~8日の日程で訪米し、7日にホワイトハウスでトランプ氏と会談する計画だ。

 首相はトランプ氏と、覇権主義的な行動を強める中国や、北朝鮮への対応で日米や同志国が連携する必要性を共有したい意向だ。日本の防衛力強化の取り組みや、日本企業による対米投資の大きさと雇用創出効果を説明し、米国からのエネルギー輸入拡大を提案することも検討する。

 日本政府は、安全保障や経済での連携促進を明記した共同声明の発出に向けた準備を進めており、米側との協議を加速させる。米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約5条を沖縄県・尖閣諸島に適用することや、台湾海峡の平和と安定の重要性などを盛り込むことを目指している。

 首相は31日の衆院予算委員会で、日米首脳会談について「両国の国益を満たすような新しい形の同盟を築くことができるか、きちんと話をし、日米同盟を新たな高みに引き上げていきたい」と述べた。

 首相は昨年11月と今年1月にも就任前のトランプ氏との会談を模索したが、実現に至らなかった。

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 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【外交・石破政権・日米両政府は、石破首相とトランプ大統領による初の首脳会談を2月7日にワシントンで行う方向で最終調整に】  2025年02月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.30】:欧州政治に介入 SNSが選挙を左右する危険

2025-01-31 05:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.30】:欧州政治に介入 SNSが選挙を左右する危険

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.30】:欧州政治に介入 SNSが選挙を左右する危険

 絶大な財力と発信力を誇る人物が、SNSを駆使して偏った言説を他国向けに広げれば、選挙結果すら左右しかねない。欧州が警戒感を強めているのは当然である。

 米実業家イーロン・マスク氏が、ドイツと英国の右派勢力への支持を相次いで表明した。

 ドイツでは、所有するX(旧ツイッター)で野党「ドイツのための選択肢」のワイデル共同党首と対談し、2月の総選挙で同党に投票するよう呼びかけた。一方、ショルツ首相については「無能」と決めつけ、辞任を求めた。

 ショルツ氏が「ドイツの将来を決めるのはSNSオーナーではない」と断じたのも無理はない。

 マスク氏は、英国では右派の野党・改革党を支持すると、Xで宣言した。スターマー首相の交代を画策しているとの見方もある。

 欧州各国の選挙では、欧州統合や移民の受け入れに反対する右派勢力が躍進し、政権政党を脅かしている。そうした中でのマスク氏の言動は、フランスのマクロン大統領が指摘するように「選挙介入」と取られても仕方あるまい。

 Xは世界で数億人が利用し、マスク氏自身も2億人以上のフォロワーを抱えている。しかもマスク氏はトランプ米大統領から官僚機構改革のトップに起用された。発言には責任が伴い、単なる個人の意見表明では済まされない。

 そもそも米国の要人が、同盟国である英独の政治に混乱を引き起こしている状況は異様だ。

 米欧間ではロシアの侵略を受けるウクライナへの支援や、関税政策を巡って亀裂が生じている。マスク氏がもたらしたSNSの弊害が、さらに溝を深めかねない。

 欧州では、外部勢力などによってSNSを通じた違法な情報工作が日常的に行われ、選挙の公平性を揺るがしている。

 ルーマニアでは昨年11月の大統領選挙の1回目投票で、 泡沫 ほうまつ とみられた親ロシアで右派の新人候補が動画投稿アプリによる選挙運動を展開し、首位に立った。

 候補者がインフルエンサーに報酬を払って宣伝を行わせていたことのほか、ロシアが選挙に介入した可能性が捜査当局に指摘された。憲法裁判所は選挙の無効を宣言し、大統領選をやり直すことになった。極めて深刻である。

 欧州連合(EU)はSNS上の不正行為の広がりを重く見て、実態調査に乗り出した。日本の選挙でもSNSの活用が広がっている。欧州と知見を共有することも必要ではないか。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.26】:週のはじめに考える 世界壊す<力こそ正義>

2025-01-26 07:03:55 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.26】:週のはじめに考える 世界壊す<力こそ正義>

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.26】:週のはじめに考える 世界壊す<力こそ正義>

 米国の名優アル・パチーノさんが盲目の退役軍人スレード中佐を演じた映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』では、中佐がレストランのような所で、若い女性と見事にタンゴを踊るシーンが有名ですが、ほかにも一つ、妙に印象に残っている場面があります。

 気骨はあるが頑固な中佐と、アルバイトで中佐の世話役を引き受けた心優しい青年が言い争いになった時、中佐が、半ば軽口のようにこう言うのです。「議論じゃ、勝てっこない。こっちは銃を持っているんだから」
 銃のような「力」が持ち出されると、議論や法のような「言葉」は引っ込むしかない-。今も記憶にあるのは、その冷徹な対比が鮮烈だったからだと思います。

 ◆「銃」を構えて、「売れ」

 つい先日、2度目の米大統領職をスタートさせたトランプ氏。就任前に表明した「暴論」には心底驚きました。グリーンランド買収とパナマ運河の管理権を返還させるという話。デンマークやパナマが反発したのは当然ですが、さらに暗然となったのは、この無体な要求を実現するため、軍事力や経済的圧力を用いる可能性について「やらないとは保証できない」と述べたことです。
 実際、デンマーク首相と電話会談した際も、買収案を拒否されると「輸入品に高関税をかける」とすごんだとか。いわば、銃を構えた相手です。まっとうな議論が通じるはずもなく、首相は「深刻な状況だ」と縮み上がっています。なぜデンマークがこんな目に遭わなければならないのでしょう。
 どれほどグリーンランドに地下資源が豊富で、どれほど地政学的に重要性が増しているとしても、「だから米国のものに」という理屈が成り立つはずがない。まるで拳を振り上げ、年少の子から欲しいおもちゃを奪おうとする幼稚園児のようです。
 古代ギリシャの歴史家トゥーキュディデースがペロポネソス戦争(紀元前431~404年)の模様をつづった『戦史』には、強国アテナイの使節が、征服を狙うメーロス島の統治者に「隷属か、滅ぼされるか」と迫って、こう告げるくだりがあります。<正義か否かは彼我の勢力伯仲のとき定めがつくもの。強者と弱者の間では、強きがいかに大をなし得、弱きがいかに小なる譲歩をもって脱し得るか、その可能性しか問題となり得ないのだ>(岩波文庫版)

 ◆大統領と目を合わせるな

 よく言われる<力こそ正義>という言葉、考え方の淵源(えんげん)はこの辺りにあるようですが、今は、やはりロシアとウクライナを重ねてしまいます。身勝手な理屈で強国が他国に武力侵攻するなど、国際法無視の蛮行そのもの。特に小国から「<力こそ正義>を許すな」の声が上がったのも当然でしょう。無論、戦争は早期の終結が望ましい。でも、ロシアが何の報いも受けぬまま終わって<力こそ正義>が現実になるというのでは、やはり間尺に合いません。
 グリーンランドの件など考えれば、この野蛮なドグマ(教義)を信奉しているとしか思えぬ点で、トランプ氏とプーチン・ロシア大統領には何らの違いもない。就任後、停戦に向け、ロシアに圧力をかけてはいますが、かねてプーチン氏への共感を隠さぬ人。結局はロシアが<いかに大をなし得>るかを優先し<弱き>は従え、とウクライナに無理に譲歩を強いる可能性も小さくありません。
 それにしても、この21世紀に、世界最強の武力と経済力を持ち、民主主義世界をリードする大国の指導者の行動原理が、はるか紀元前のアテナイ人並み、いや、利かん気の幼稚園児みたいだなんて…。誰か、これは悪い夢だと言ってくれないものでしょうか。
 まさか、本当にデンマークやパナマを武力で脅すとは思いませんが、少なくとも大好きな「関税」という「力」を、銃よろしく振り回し、「米国第一」に反するとみれば、どの国であれ標的にすることは間違いないでしょう。当然、日本を含む他国は今後、虎の尾を踏まぬよう、ビクビクし続けることに。まるで、治安の悪い街の裏通りを歩くようなものです。言い掛かりをつけられぬよう、なるべく大柄な金髪の男とは目を合わせないようにして…。

 ◆「弱肉強食」でいいのか

 乱発している大統領令しかり、トランプ氏再登板に憂慮の種は山ほどありますが、やはり一番警戒が必要なことの一つは、<力こそ正義>の瀰漫(びまん)だと思います。武力や銃のような「力」でなく議論や法のような「言葉」で物事を決する。この土台が崩れたら、強国の横暴も貧富の差拡大も許容されてしまう。この世界を、強者が好きに弱者の肉を食らうジャングルに戻すわけにはいきません。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月26日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《憂楽帳・01.24》:涙で流した憎悪

2025-01-25 13:13:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《憂楽帳・01.24》:涙で流した憎悪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.24》:涙で流した憎悪

 「過去や、現在(の状況)を許し合わなければ。我々は未来を失うわけにいかない」

 ユダヤ人のマオズ・イノンさん(50)は2023年10月7日、イスラム組織ハマスによる越境攻撃で両親を殺害された。

和平への思いを語るマオズ・イノンさん(左)=イスラエル北部ナザレで2024年2月22日午前10時18分、三木幸治撮影

 数日間泣き続け、悲しみで全身が激しく痛んだ。だがある時、自分の涙が血で汚れた地面を洗い流した気がした。そして気付いた。「報復してはいけない。相手を(私…

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【社説①・01.18】:ガザの停戦合意 恒久的な和平と人道支援を

2025-01-19 16:00:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.18:ガザの停戦合意 恒久的な和平と人道支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.18】:ガザの停戦合意 恒久的な和平と人道支援を 

 15カ月を超える戦闘の傷痕はあまりに深い。恒久的な和平へつなげねばならない。

 イスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザの停戦に合意した。

 停戦への工程は3段階とされ、合意に至った第1段階では19日から6週間戦闘を休止する。ハマスは人質のうち女性や高齢者、負傷者らを解放する。イスラエルは拘束するパレスチナ人数百人を釈放し、軍も人口密集地から撤退するという。

 期間中、停戦継続を協議。第2段階ではハマスは男性兵を含む人質を追加で解放し、イスラエル軍はさらに撤収を進める。第3段階ではガザの復興が予定される。

 だが、シナリオ通り進むかは予断を許さない。停戦合意の発表後もイスラエル軍はガザを攻撃し、死傷者を出した。ネタニヤフ連立政権に加わる対パレスチナ強硬派の極右閣僚は、反対を表明している。政権を失うことを恐れ、ネタニヤフ首相が「自衛」と称して再び攻撃を始める可能性もある。

 2023年11月にも人質解放と戦闘休止で合意したが、7日後に戦闘が再開された。

 双方は今度こそ、合意を確実に履行すべきだ。国際社会も総力を挙げて支える必要がある。

 合意の背景には、米国の政権交代があったとみられる。退任前に成果をあげたいバイデン政権は交渉を強め、20日に大統領に就任するトランプ氏はハマスとイスラエルに圧力をかけ、異例の協力が実現したようだ。

 イスラエルを軍事、経済の両面から支援し、戦争犯罪を許してきたバイデン政権の責任は極めて重い。今後、よりイスラエル寄りのトランプ政権下で停戦が実現するのか。注視したい。

 ガザの統治の在り方は見通せない。バイデン政権は国連などの協力を得た上で暫定統治と復興に当たる計画を発表し、引き継ぐとした。トランプ氏は計画を踏まえ、中東全域の安定化も視野に入れて関係国への働きかけを強めるべきである。

 奇襲をかけたハマスの蛮行は当然許されないが、イスラエルがパレスチナ人居住地への不法入植を進め、ガザを封じ込めてきた積年の行為も問われよう。

 何より優先すべきは、人道危機の解決にほかならない。

 ガザでは、女性や子どもを含む死者は4万6千人を超える。世界食糧計画(WFP)によると、全人口の9割超に当たる200万人以上に食料や水が行き届いていない。空爆で病院や学校は破壊し尽くされ、乳児の餓死や凍死も相次ぐ。食料や医療品はもちろん、インフラ整備や教育などの支援が急がれる。

 イスラエルは、ガザを支援する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法を月末に施行する方針だが、撤回すべきだ。支援継続へ各国も手を尽くしたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月18日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.17】:ガザ停戦合意 恒久的な和平実現につなげよ

2025-01-19 05:00:35 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.17】:ガザ停戦合意 恒久的な和平実現につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.17】:ガザ停戦合意 恒久的な和平実現につなげよ

 15か月以上にわたって人々の命と生活を奪い続けてきた戦闘がようやくいったん停止する。戦火に逆戻りすることなく、今度こそ恒久的な和平につなげなければならない。 

 パレスチナ自治区ガザを巡り、イスラエルとイスラム主義組織ハマスが停戦に合意した。

 第1段階の42日間に、ハマスが2023年10月の越境攻撃で拉致した約100人のうち33人を解放する。イスラエルも収監するパレスチナ人を釈放する。残る人質の解放やイスラエル軍の全面撤退なども並行して協議する。

 イスラエルとハマスは23年11月にも人質解放と戦闘停止で合意したが、7日後に戦闘が再開した。今回は双方が着実に合意を履行することが重要だ。

 米国の政権移行が停戦実現に影響したのは間違いない。

 バイデン大統領は任期中の合意成立を急ぎ、退任前日の19日の発効にこぎつけた。一方、後継となるトランプ次期大統領は、20日の就任までに人質を解放するよう、ハマスに圧力をかけてきた。

 米国の強い働きかけで停戦には至ったものの、イスラエルとハマスの間の不信と憎悪は根深い。散発的な発砲などが引き金となって停戦が崩れる懸念は残る。

 一方、イスラエルはガザ侵攻と並行してレバノンやシリア、イランも攻撃し、ハマスへの連帯を示す武装勢力を弱体化させた。イスラエルと敵対してきたシリアのアサド政権は崩壊し、イランも影響力が低下した。

 中東の力学がイスラエル有利に転じたのは間違いない。

 トランプ氏はバイデン氏以上にイスラエル寄りの姿勢が際立つ。一方で、イスラエルとアラブ諸国の平和的な共存を仲介し、成果とすることにも意欲を示す。

 まずはガザでの停戦を守るよう、ハマスとイスラエルの双方に強く働きかけるべきだ。

 戦闘開始以降、ガザでは子供や女性を含む4万6000人以上が死亡した。あまりに痛ましい。

 停戦合意には、ガザに食料や燃料などを搬入することも盛り込まれている。イスラエル軍はガザで多くの住宅や学校、病院を破壊し、域外から支援物資を届けることが極めて困難になった。水や食料、医薬品が欠乏している。

 苦境に置かれた人々を一刻も早く救わなければならない。そのためには国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を中心に、人道支援を早急かつ大規模に再開することが何より必要である。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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