路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・01.18】:ガザの停戦合意 恒久的な和平と人道支援を

2025-01-19 16:00:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.18:ガザの停戦合意 恒久的な和平と人道支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.18】:ガザの停戦合意 恒久的な和平と人道支援を 

 15カ月を超える戦闘の傷痕はあまりに深い。恒久的な和平へつなげねばならない。

 イスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザの停戦に合意した。

 停戦への工程は3段階とされ、合意に至った第1段階では19日から6週間戦闘を休止する。ハマスは人質のうち女性や高齢者、負傷者らを解放する。イスラエルは拘束するパレスチナ人数百人を釈放し、軍も人口密集地から撤退するという。

 期間中、停戦継続を協議。第2段階ではハマスは男性兵を含む人質を追加で解放し、イスラエル軍はさらに撤収を進める。第3段階ではガザの復興が予定される。

 だが、シナリオ通り進むかは予断を許さない。停戦合意の発表後もイスラエル軍はガザを攻撃し、死傷者を出した。ネタニヤフ連立政権に加わる対パレスチナ強硬派の極右閣僚は、反対を表明している。政権を失うことを恐れ、ネタニヤフ首相が「自衛」と称して再び攻撃を始める可能性もある。

 2023年11月にも人質解放と戦闘休止で合意したが、7日後に戦闘が再開された。

 双方は今度こそ、合意を確実に履行すべきだ。国際社会も総力を挙げて支える必要がある。

 合意の背景には、米国の政権交代があったとみられる。退任前に成果をあげたいバイデン政権は交渉を強め、20日に大統領に就任するトランプ氏はハマスとイスラエルに圧力をかけ、異例の協力が実現したようだ。

 イスラエルを軍事、経済の両面から支援し、戦争犯罪を許してきたバイデン政権の責任は極めて重い。今後、よりイスラエル寄りのトランプ政権下で停戦が実現するのか。注視したい。

 ガザの統治の在り方は見通せない。バイデン政権は国連などの協力を得た上で暫定統治と復興に当たる計画を発表し、引き継ぐとした。トランプ氏は計画を踏まえ、中東全域の安定化も視野に入れて関係国への働きかけを強めるべきである。

 奇襲をかけたハマスの蛮行は当然許されないが、イスラエルがパレスチナ人居住地への不法入植を進め、ガザを封じ込めてきた積年の行為も問われよう。

 何より優先すべきは、人道危機の解決にほかならない。

 ガザでは、女性や子どもを含む死者は4万6千人を超える。世界食糧計画(WFP)によると、全人口の9割超に当たる200万人以上に食料や水が行き届いていない。空爆で病院や学校は破壊し尽くされ、乳児の餓死や凍死も相次ぐ。食料や医療品はもちろん、インフラ整備や教育などの支援が急がれる。

 イスラエルは、ガザを支援する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法を月末に施行する方針だが、撤回すべきだ。支援継続へ各国も手を尽くしたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月18日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.18】:ガザ停戦合意 恒久的な和平につなげよ

2025-01-18 06:05:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説・01.18:ガザ停戦合意 恒久的な和平につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.18】:ガザ停戦合意 恒久的な和平につなげよ 

 まずは停戦合意を着実に履行すべきだ。さらに恒久的な停戦、中東和平へつながるように国際社会が支援しなくてはならない。

 パレスチナ自治区ガザの停戦に、イスラエルとイスラム組織ハマスが合意した。あす19日に発効する。

 第1段階として、戦闘を6週間休止し、ハマスは女性や高齢者ら人質33人を段階的に解放する。イスラエルは拘束しているパレスチナ人数百人を釈放し、ガザの人口密集地から軍を撤収する。

 ガザへの人道支援は大幅に拡充され、住民は避難先から全域に帰還できる。

 6週間の中で停戦継続を協議し、合意できればイスラエル軍は撤収範囲を広げ、ハマスはイスラエル兵を含む人質を解放する。恒久停戦への過程が第2段階となる。

 ガザでの戦闘は2023年10月から15カ月以上続き、ガザ側の死者は4万6千人を超えた。冬になって凍死する子どもがいる。餓死者も絶えない。犠牲者をこれ以上増やしてはならない。

 住民の大半が家を追われ、食料や医薬品が極度に不足している。目を覆うばかりの人道危機である。

 戦火は中東の周辺国にも拡大した。戦闘当事者だけの問題ではない。

 停戦は米国やカタール、エジプトが仲介した。とりわけ大きな役割を果たしたのは、もうすぐ米大統領に復帰するトランプ氏だ。

 バイデン大統領とは政治スタンスを異にするトランプ氏だが、ガザの停戦を求める考えでは一致している。

 20日の大統領就任までに人質を解放しなければ「中東に地獄が訪れる」とハマスを脅した。一方で次期政権の中東担当特使をイスラエルに送り込み、ネタニヤフ首相に妥協を迫った。

 ハマスは戦闘で指導者を失い弱体化している。ネタニヤフ氏にとって、トランプ氏との良好な関係を保つことは政権運営で非常に重要だ。こうした事情がハマスとイスラエルを歩み寄らせた。

 恒久停戦につながるかは予断を許さない。23年11月にも一時停戦したが、人質解放などの合意が守られなかったとして、わずか1週間で戦闘を再開している。

 懸念されるのはイスラエルの政情だ。汚職裁判を抱えるネタニヤフ氏は、ハマスとの戦闘が自身の政治的延命策でもあった。政権内は停戦合意への不満が残り、戦闘再開の火だねがくすぶる。

 合意の履行状況は仲介役を担った米国などが監視するという。ほごにしないように目を光らせるべきだ。

 トランプ氏には、親密な関係にあるイスラエル側に偏ることなく、公平な姿勢で恒久停戦への指導力を発揮することを求めたい。

 日本はガザへの人道支援や復興協力、中東和平を後押しする外交などで存在感を示してほしい。

 元稿:西日本新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.15】:ASEAN外交 アジア安定へ連携強化を

2025-01-18 06:05:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説・01.15:ASEAN外交 アジア安定へ連携強化を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.15】:ASEAN外交 アジア安定へ連携強化を 

 アジアの平和と安定を維持するために、日本は米国と東南アジアをつなぐ役割が期待されている。積極的に貢献していきたい。

 石破茂首相がマレーシアとインドネシアを訪問し、両国首脳と会談した。昨年10月に就任した首相にとって、国際会議を除いて初となる2国間外交だ。

 日本は近年、中国が影響力を強める東南アジアとの連携強化に注力している。

 安倍晋三(第2次内閣)、菅義偉、岸田文雄各氏も首相になって最初の2国間会談の訪問先として、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国を選んだ。

 マレーシアは今年のASEAN議長国を務める。インドネシアはASEAN最大の約2億8千万の人口と経済規模を有しており、今後も成長が見込まれる。

 今回の訪問は、シーレーン(海上交通路)の要衝に位置する両国と安全保障分野で結束を強めるとともに、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国への関与を強める狙いがあった。

 マレーシアのアンワル首相との会談では、東・南シナ海で覇権主義的行動を強める中国を念頭に、法の支配に基づく国際秩序の維持に向けた連携拡大を確認した。

 インドネシアのプラボウォ大統領との会談ではさらに踏み込み、日本からの高速警備艇の無償供与を含む安保協力の推進で一致した。

 警備艇の供与は、日本が防衛装備品などを無償で提供する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を活用する。供与額は10億円だ。

 インドネシアとは外務・防衛閣僚会合(2プラス2)の年内開催にも合意した。

 石破首相の2カ国訪問は、米国で2期目のトランプ政権が20日に発足することを多分に意識している。

 トランプ氏は第1次政権でASEANと日米中ロなどが参加する東アジアサミットを繰り返し欠席し、ASEANの不信を招いた。

 多国間協調に後ろ向きなトランプ政権の再始動により、ASEANと米国との関係が弱まる恐れがある。対照的に経済力を背景とした中国への傾斜が強まりかねない。

 こうした情勢から、石破首相はASEANを引き付けようと、2カ国に安全保障や経済分野で協力する姿勢を強調した。日本は引き続き、ASEAN各国との連携を強化すべきだ。

 同時に日本に求められるのは、アジアにおける米国の影響力を維持する役割だ。石破首相は2月にトランプ氏と会談する方向で調整している。アジアに関与する重要性を直接説いてほしい。

 留意しなければならないのは、対米協調一辺倒にならないように、中国と対話する道を広げることだ。アジアの安定のため、日本はバランスの取れた外交を展開する必要がある。

 元稿:西日本新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.17》:ガザの停戦合意 人道危機の解決が急務だ

2025-01-17 02:02:00 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説①・01.17》:ガザの停戦合意 人道危機の解決が急務だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.17》:ガザの停戦合意 人道危機の解決が急務だ

 歓喜に震え、笑顔で抱き合う人々。爆音の下、多数の命が奪われた戦いの地に希望の光が一筋差し込んだ。まずは人道危機の解決を急ぐ必要がある。

 パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を巡り、イスラエルとイスラム組織ハマスが、19日からの一時停戦と人質解放で合意した。

ハマスとイスラエルの停戦合意に喜ぶ人たち=ガザ中部デルバラーで2025年1月15日、AP 

 戦闘は1年3カ月余に及んだ。攻撃がやむのは2023年11月24日~12月1日以来だが、恒久停戦に向けた合意は初めてだ。

 停戦は3段階で進む。まず、42日間戦闘を停止し、イスラエル軍は人口密集地などから徐々に撤退する。

 ハマスが人質のうち女性や子ども、高齢者ら33人を解放する一方、イスラエル側は拘束中のパレスチナ人を釈放する。その後、恒久停戦とイスラエル軍の完全撤退を経て、復興に着手する。

 両者は合意を順守し、履行しなければならない。

 ◆着実な履行が欠かせぬ

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/17/20250117ddm005070074000p/9.webp?1" type="image/webp" />イスラエルとハマスが停戦で合意したことについて演説するジョー・バイデン米大統領(中央)=米ホワイトハウスで2025年1月15日、ロイター</picture>
イスラエルとハマスが停戦で合意したことについて演説するジョー・バイデン米大統領(中央)=米ホワイトハウスで2025年1月15日、ロイター

 戦闘が始まったのは23年10月7日だ。ハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、約1200人を殺害、約250人を人質に取った。現在も約100人が捕らえられている。

 イスラエル軍は空爆と地上侵攻で対応し、これまでに4万6000人以上を殺害した。国際人道法で市民を標的にすることは禁じられているが、ハマスの戦闘員が隠れているとして学校や病院、難民キャンプも攻撃し、多くの子どもや女性が犠牲になった。

 米国やカタール、エジプトが仲介する停戦交渉は挫折を繰り返した。軍の一部駐留継続を主張するイスラエルに対し、ハマスは完全撤退を求めたためだ。

 だが、戦闘の長期化で状況が変わった。指導者を殺害されたハマスは弱体化した。共闘していたレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルとの停戦に応じたことで孤立状態に陥った。

 一方、イスラエルでは、「ハマス壊滅」にこだわるネタニヤフ首相に対し、人質の家族から早期決着を求める声が高まっていた。

 交渉急展開の背景には、米政治の転換がある。大統領への返り咲きを決めたトランプ氏が今月20日の就任までに停戦するよう、双方に圧力をかけた。バイデン大統領も協力を得たと認めている。

 たとえ戦闘が終わったとしても課題は山積している。人道状況は筆舌に尽くしがたい。

 住民約230万人の9割以上が家を追われ、避難民となった。病院や学校のほとんどが機能不全になっている。治療を受けられない負傷者も少なくない。

 人道支援物資の搬入が滞り、栄養不足は深刻だ。飢餓で死亡する子どもも続出している。

 停戦合意に従い、1日あたりトラック600台分の物資が届けられる。滞りなく実施できるよう、イスラエルは万全を期さなければならない。

 インフラの再建も必要になる。残されたがれきは4200万トン以上とされる。08年から今回の戦闘開始までの断続的な衝突で生じたがれき総量の14倍にも上る。不発弾も残っており、撤去作業は難航が必至だ。

 ◆国際社会は支援強化を

 ネタニヤフ政権はハマスによるガザ統治の継続は認めない方針だ。イスラエル軍の撤退後、どのような体制で治安を維持し、行政機能を立て直すかも難題である。

 ガザ紛争は中東の混乱を広げただけでなく、米欧の国際的な信頼も失墜させた。

 ウクライナに侵攻したロシアを非難しながらイスラエルに及び腰な姿勢は、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国などから「二重基準」との批判を浴びた。失われた信頼を回復するためにもガザの復興に貢献すべきである。

 イスラエル、パレスチナ双方には想像を絶する憎しみが残った。

 罪のない同胞を長期間人質に取られたイスラエル国民は大きな衝撃を受けた。ハマスは停戦を受け入れた後も、苦しみを「忘れないし、許さない」と警告している。ただ、両者が隣人であることは変わらない。

 「和平は友人とするのではなく、敵と結ぶものだ」

 パレスチナ和平を主導してノーベル平和賞を受け、ユダヤ人青年に暗殺されたラビン元イスラエル首相の言葉である。

 敵意や怨念(おんねん)を乗り越え、和平へと歩み出せるのは当事者だけだ。国際社会は恒久平和の実現に向けて、支援を惜しんではならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月17日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【主張①・01.12】:石破首相の外遊 なぜ米訪問を延ばすのか

2025-01-15 05:03:35 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【主張①・01.12】:石破首相の外遊 なぜ米訪問を延ばすのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・01.12】:石破首相の外遊 なぜ米訪問を延ばすのか 

 石破茂首相が、マレーシアとインドネシアを訪問し、海洋安全保障分野の連携強化で両国と一致した。

 マレーシアとインドネシアは、ともに東南アジア諸国連合(ASEAN)の中核となる民主主義国であり、中国が軍事拡張を進める南シナ海の沿岸国である。

共同記者発表する石破首相(左)とマレーシアのアンワル首相(共同)

 南シナ海の安定は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現と不可分だ。中国への対処を念頭に置いた両国との連携強化は妥当である。

 マレーシアは今年のASEAN議長国を務める。石破首相は同国のアンワル首相と戦略安保対話の促進や海上保安機関の協力強化などで合意した。

 ASEAN最大の経済・人口を有するインドネシアでは、昨年10月に就任したプラボウォ大統領と会談した。高速警備艇の無償供与や年内の外務・防衛閣僚会合開催のほか、行政官らの人材育成支援に合意した。

 石破首相訪問の直前には中谷元・防衛相もインドネシアを訪れ、護衛艦の共同開発をめぐる協議再開で一致した。

 マレーシア、インドネシア両国は中国と海洋権益などの問題を抱える一方、経済面での接近を強めている。

 インドネシアは、中国やロシアなどが主導するBRICSへの加盟を発表した。マレーシアも加盟を申請中だ。こうしたASEAN各国の対中傾斜を食い止めることは重要だ。

 石破首相は、アンワル首相との会談で「日本外交にとって東南アジアとの連携強化は最優先課題のひとつ」と述べた。

 そうではあるが、石破首相が今の時期に実現すべき会談は、ほかにあったのではないか。

 1月20日の大統領就任式典前の打診を受けながら、石破首相が先送りしたトランプ次期米大統領との会談である。

 中国やロシア、北朝鮮という専制国家の脅威やウクライナへの支援継続、内政の混乱が続く韓国情勢などについて、石破首相はトランプ氏と一日も早く会って協議を行い、認識を共有すべきだ。

 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収をめぐり、これを阻止しようとする米国と日本はぎくしゃくした状態にある。この状態を長引かせてもいけない。強固な日米同盟が日本の平和と安定の基盤であることを忘れてはならない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2025年01月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.14】:シリア新体制 暴力と決別し国民融和を図れ

2025-01-14 05:00:55 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.14】:シリア新体制 暴力と決別し国民融和を図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.14】:シリア新体制 暴力と決別し国民融和を図れ

 半世紀にわたる恐怖政治からは解放されたものの、独裁と内戦で深まった社会の分断を克服するのは容易ではない。

 暫定政権はまずは暴力と決別し、国民の融和を図らなければならない。

 シリアでアサド政権が崩壊してから1か月が過ぎた。政権を倒した武装勢力は暫定政権を組織し、閣僚を任命するなど新体制作りを本格化させている。

 しかし、内戦は終結したとはいえ、北東部では米軍と連携するクルド人勢力と、トルコが支援する勢力の戦闘が続く。国全体の暴力停止と統合はなお見通せない。

 国民の間に残る相互不信が、統合を阻む要因となっている。

 シリア国民の多くはイスラム教徒のアラブ人だが、クルド人やキリスト教を信仰するアルメニア人もいる。国造りや新たな憲法制定にあたっては、民族、宗教などを理由とする差別禁止や、女性の権利尊重を基本に置くべきだ。

 政権崩壊後、かつて処刑された政治犯の集団埋葬地が各地で発見されるなど、独裁体制下の暗部が明らかになった。2011年からの内戦で行方不明になった人は約15万人という。アサド政権の非道ぶりに改めて 慄然 りつぜん とする。

 弾圧の責任追及を求める国民の声を踏まえ、暫定政権は「特別法廷」の設置を決めた。恐怖政治の蛮行を明らかにし、公正な裁きを下すことで、法の支配を確立することが求められる。

 内戦で荒廃した国土の復興には、国際社会の支援が不可欠である。だが、暫定政権の主体は、自爆攻撃や拉致を繰り返したイスラム過激派が源流の「シャーム解放機構(HTS)」で、米国などはテロ組織に指定している。

 米欧などはアサド政権に対し、テロ支援を理由に経済制裁を科してきた。国際社会は、HTSを主体とする暫定政権が平和的に統治を進められるかを慎重に見極めながら、制裁やテロ組織指定の解除を検討すべきだ。

 シリアの体制転換で、中東の力学は一変した。アサド政権を支えてきたロシアとイランの影響力が弱まり、両国からの穀物やエネルギーの供給も停止したという。このため、国民生活の困窮が懸念される状況にある。

 暫定政権の外相はサウジアラビアなどのアラブ諸国を訪ね、支援を要請している。平和を取り戻しつつあるシリアが生活不安などから混乱に逆戻りしないよう、関係国は、本格的な制裁解除とは別に緊急支援を始めるべきだろう。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.12】:首相アジア訪問 重層的協力で地域の発展図れ

2025-01-14 05:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・01.12】:首相アジア訪問 重層的協力で地域の発展図れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.12】:首相アジア訪問 重層的協力で地域の発展図れ

 国際情勢が流動化する中、日本がアジアの安定と繁栄に尽力する姿勢を示せたとすれば、意義は大きい。今後も重層的な協力を深めたい。 

 石破首相がマレーシアとインドネシアを訪問した。

 マレーシアは今年、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を務める。インドネシアはASEAN最大の人口と経済規模を誇り、今後の成長が期待されている。

 首相は年明けに訪韓する予定だったが、韓国政界の混乱で断念した。突然の訪問先の変更だったが、アジアを選んだのは妥当だ。

 首相はインドネシアのプラボウォ大統領との会談で、行政官の育成を支援すると表明した。延べ約7200人が対象で、日本の企業や自治体などで受け入れる。

 インドネシアは民主的な統治が進んでいるが、いまだに汚職など腐敗が後を絶たないとされる。

 日本が行政官の育成に携わり、政治や経済システムの健全化に協力していくのは大事なことだ。こうした取り組みは知日派を増やすことにもつながり、望ましい。

 首相とプラボウォ氏はまた、外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を年内に開くことや、艦艇の共同開発に向けて防衛当局間で協議を進めていく方針を確認した。

 インドネシアは、中国との関係を深めながらも、南シナ海の権益を巡っては対立している。日本とインドネシアで防衛協力を深めていくことは重要だ。

 また、首相はマレーシアのアンワル首相との会談で、岸田前政権が提唱した、アジアの脱炭素化の構想を進めることで合意した。

 この構想に基づいて既にマレーシアでは、日本企業が参画して、二酸化炭素を排出せずに水素を生産するプラントの建設計画が始まっている。日本が持つ優れた知見や技術をASEANの温暖化対策に生かしていきたい。

 近年、中国はASEANを経済面で支援し、影響力を強めている。ASEANの多くの国は、中国の覇権的な活動を批判しているが、決定的な対立は避けたいというのが本音だろう。

 日本が大上段に構えて法の支配の重要性など普遍的価値を唱えても、各国のそうしたスタンスを変えるのは容易ではあるまい。

 日本は長年、政府開発援助(ODA)を通じてASEAN各国を支援してきたが、近年は人材の供給源としてASEANを頼るようになった。日ASEANが対等な立場で協力を積み重ね、信頼を一層醸成していくことが大切だ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月12日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.12】:WHO神戸/誘致の成果を総括せねば

2025-01-13 06:00:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説・01.12:WHO神戸/誘致の成果を総括せねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.12】:WHO神戸/誘致の成果を総括せねば 

 兵庫県と神戸市、経済界が誘致し、阪神・淡路大震災の復興事業にも位置付けられた世界保健機関(WHO)神戸センターが岐路に立たされている。地元にメリットが見えないとして、官民の支援打ち切りを求める声が上がっているからだ。

 神戸センターは国内初のWHO直轄研究機関として1996年に開設。98年4月には神戸市の東部新都心(HAT神戸)にオフィスを構え、災害医療や保健などの研究拠点となった。

 見逃せないのは、国の継続的な財政支援がなく、運営費用の全額を地元が負担してきた点だ。震災30年の節目にWHOは活動実績を改めて説明するとともに、地元の官民も想定通りに誘致の成果を挙げたのかをしっかり総括してほしい。

 センター誘致は、臨海部に広がる工場跡地の再開発の要として官民が震災前から力を注いできた。現在、経済界が無償供与した1200平方メートルの事務所で職員13人が研究などに携わる。

 地震と健康についての国際会議や災害医療の世界的な研究指針の策定などを手がけたほか、市や神戸大と市民8万人分のデータを基に6年かけて認知症予防の研究に取り組んできた。

 ただそうした活動や神戸センターの存在が、県民に十分に伝わっているとは言い難い。

 県が拠出する運営費は年間200万ドル、神戸市が100万ドルに上るほか、民間分も含めたこれまでの支援は総額約160億円に達する。

 地元官民との支援契約は10年ごとの更新で来年3月末に期限が切れるが、県は打ち切りも含めた支援見直しの方針を示しており、WHO撤退も現実味を帯びる局面だ。

 WHOは当初、高齢化と都市化に対応した健康政策を神戸センターの研究テーマの一つに掲げていた。県市や経済界は2015年、「被災地に立地するメリットを生かし世界に発信できるような研究を」と要望しているが、地域特性に即したテーマを提案するなど、もっと主体的に動くこともできた。

 誘致には熱心でも、その後に誘致のメリットを地域にもたらすための努力をどれだけ重ねたのか。その点を、県市や経済界は真摯(しんし)に省みる必要がある。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岩屋外相】:トランプ次期大統領の就任式に出席へ…アメリカ側から招待状届く

2025-01-11 00:43:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【岩屋外相】:トランプ次期大統領の就任式に出席へ…アメリカ側から招待状届く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岩屋外相】:トランプ次期大統領の就任式に出席へ…アメリカ側から招待状届く 

 岩屋外相は、米ワシントンで20日に行われるトランプ次期大統領の就任式に出席する方針を固めた。米側から招待状が届き、訪米を決めた。トランプ政権の国務長官に指名されたマルコ・ルビオ氏の人事が米議会で承認されていれば、日米外相会談の実現も目指す。2月中の開催で調整している石破首相とトランプ氏との首脳会談に向けた地ならしの機会にもする。

岩屋外相
岩屋外相

 複数の日本政府関係者が10日、明らかにした。就任式には各国の外相や大使らが出席する予定だが、日本からも外相自らが政権発足に合わせて訪米することにより、トランプ政権との関係構築を重視している姿勢を明確にする狙いがある。

 岩屋氏は、ルビオ氏以外の他のトランプ政権高官との会談も模索しており、一連の会談を通じて、日米同盟の深化や経済面での連携強化に向けた認識を米側と共有したい考えだ。岩屋氏は昨年12月に中国を訪問しており、対中認識のすり合わせも行うとみられる。

 関係者によると、日米首脳会談は2月前半にも米国で実施する方向で最終調整が進んでいる。岩屋氏はトランプ政権の国家安全保障担当大統領補佐官に内定しているマイク・ウォルツ氏らとの会談も実現すれば、首脳会談の議題などを調整する可能性がある。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・外務省・岩屋外相は、米ワシントンで20日に行われるトランプ次期大統領の就任式に出席する方針】  2025年01月11日  00:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【カナダ】:トルドー首相「米国の一部になることは絶対にない」…併合に言及するトランプ氏に反論

2025-01-09 05:18:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【カナダ】:トルドー首相「米国の一部になることは絶対にない」…併合に言及するトランプ氏に反論

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【カナダ】:トルドー首相「米国の一部になることは絶対にない」…併合に言及するトランプ氏に反論

 【ニューヨーク=山本貴徳】米国のトランプ次期大統領が、カナダの米国への併合について繰り返し言及していることについて、カナダのトルドー首相は7日、X(旧ツイッター)に「カナダが米国の一部になることは絶対にあり得ない」と投稿して反論した。

トルドー首相=AP
トルドー首相=AP

 トルドー氏は「両国の労働者と地域社会は、お互いに最大の貿易と安全保障のパートナーであることによって、恩恵を受けている」と指摘した。

 トランプ氏は米国のカナダへの貿易赤字に不満を示し、カナダからの輸入品に25%の関税を課すなどと脅している。6日には自身のSNSに「カナダは米国と合併すれば関税はなくなる。税金は大幅に下がる」と述べ、波紋を広げていた。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 国際 【北アメリカ・カナダ】  2025年01月09日  05:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.09】:G7の試練 新たな顔ぶれで協調の道探れ

2025-01-09 05:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・01.09】:G7の試練 新たな顔ぶれで協調の道探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.09】:G7の試練 新たな顔ぶれで協調の道探れ

 先進7か国(G7)の首脳の顔ぶれが、がらりと変わることになる。カナダのトルドー首相が退陣に追い込まれる一方、まもなく米国のトランプ次期大統領が復帰する。 

 米国をはじめ多くの国が「自国第一」主義に傾く中、G7は結束して国際協調体制を支えられるのか。試練の時を迎えている。

 今年の主要国首脳会議(サミット)は6月にカナダ・カナナスキスで開かれる。首相在任9年でG7首脳中最古参のトルドー氏が議長を務めるはずだったが、少数与党による政権運営が行き詰まり、首相を辞任すると表明した。

 一方、欧州では移民流入や物価高への不満を背景に極右勢力が伸長し、政治的な混乱が続く。ドイツでは昨年、ショルツ首相が不信任となった。2月の総選挙で政権が交代する可能性が高い。

 フランスのマクロン政権も昨年の総選挙で少数与党内閣となり、首相任命と辞任が繰り返されている。マクロン大統領の求心力も低下している。

 こうしたことから、今年のサミットは2017年就任のマクロン氏、22年就任のイタリアのメローニ首相を除き、就任から1年足らずで外交経験が浅い首脳が大半となる。頼りなさは否めない。

 そこに加わるトランプ氏が、G7の動揺に追い打ちをかけるのは確実とみられる。

 1期目の18年に出席したカナダ・シャルルボワでのサミットでは、「世界貿易は不公平だ」と主張して亀裂をもたらし、首脳宣言を承認しなかった。

 1975年にフランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリアの6か国で最初のサミットが開かれてから今年で50年となる。先進国の首脳が顔を合わせ、石油危機や金融不安など世界経済の課題を話す枠組みとして始まった。

 その時々の政治情勢についても議論し、国際秩序の安定に一定の役割を果たしてきた。一方で、先進国だけでは解決できない気候変動など新たな分野の課題が増え、その限界も指摘されてきた。

 2008年のリーマン・ショックを踏まえ、新興国も加えた主要20か国・地域(G20)などの枠組みができたが、政治体制や経済規模の違いなどから利害が対立することも多く、問題解決の枠組みとしては機能していない。

 ウクライナと中東で紛争が続く。G7は今こそ連携し、侵略や人道に背く 殺戮 さつりく は許さないという規範を示し、国際協調の輪を広げる努力を強めねばならない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.09》:小人国のガリバーよろしく…

2025-01-09 02:03:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《余録・01.09》:小人国のガリバーよろしく…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.09》:小人国のガリバーよろしく…

 小人国のガリバーよろしく太いこん棒をかついで艦隊をロープで引っ張りカリブ海をのし歩く。20世紀初頭のセオドア・ルーズベルト米大統領の風刺画だ。世界史の教科書で見たという人も多いだろう

パナマ運河の工事現場で蒸気ショベルをテストするセオドア・ルーズベルト米大統領(中央)=1906年11月、AP

 ▲「太い棒を持ち穏やかに話せばうまくいく」という「こん棒外交」でキューバを保護国化し、パナマをコロンビアから強引に独立させて運河建設の権利を獲得。運河周辺地帯は米国の租借地になった

1999年末のパナマ運河返還式典でパナマのモスコソ大統領(左)と書類を交換するカーター米元大統領=1999年12月14日、AP

 ▲きょう9日はパナマの殉教者の日。1964年に民族主義の高まりから住民が蜂起し、多くの死者が出た。運河地帯でパナマ国旗の掲揚が拒否されたのがきっかけだった。暴動は77年の新運河条約につながり、99年末の返還が実現した

 ▲歴史の針を巻き戻すような発言だ。トランプ次期米大統領が運河の「法外な通航料」や中国の影響力を問題視し、返還は「大きな間違い」と言い切った。再び管理下に置くことも視野にあるらしい。メキシコ湾はアメリカ湾に改称するという

 ▲北極圏にあるデンマーク領グリーンランドにも触手を伸ばし、売却に応じなければ関税をかけると脅した。新たな巨人が闊歩(かっぽ)する範囲は「裏庭」をはるかに超え、こん棒だけでなくお金を回収するドル箱も抱えている

 ▲「我々は大国だが、より小さな主権国家とも公平で名誉あるディール(取引)ができる」。77年の条約締結の際、米国民に訴えたカーター元大統領の言葉である。理想主義が通用した時代が懐かしいが、唯我独尊のディールの達人には馬耳東風だろう。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2025年01月09日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《記者の目・01.09》:アサド政権崩壊直後のシリア 恐怖政治が残した亀裂=金子淳(カイロ支局)

2025-01-09 02:03:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《記者の目・01.09》:アサド政権崩壊直後のシリア 恐怖政治が残した亀裂=金子淳(カイロ支局)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《記者の目・01.09》:アサド政権崩壊直後のシリア 恐怖政治が残した亀裂=金子淳(カイロ支局) 

 昨年12月8日のアサド政権崩壊から4日後、シリアに入り、首都ダマスカスや近郊を取材した。わずか1週間の滞在だったが、実感したことがある。独裁体制が続いたこの国で常に国民を縛り続けてきた「恐怖」の深さだ。

 
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/09/20250109ddm012070104000p/9.webp?2" type="image/webp" />アサド政権崩壊で無人となった旧政府軍の拠点で、かつて自身が拘束されていた施設を訪れたフアードさん=シリア・ダマスカス近郊で2024年12月16日、和田大典撮影</picture>
アサド政権崩壊で無人となった旧政府軍の拠点で、かつて自身が拘束されていた施設を訪れたフアードさん=シリア・ダマスカス近郊で2024年12月16日、和田大典撮影

 ダマスカス近郊から市内に戻る道すがら、同行してくれた現地スタッフのフアードさん(44)が突然、車を止めた。政権崩壊とともに放棄された旧政府軍の検問所だった。

 建物の裏手に向かうと、真っ暗な部屋が並んでいた。そのうち一つの扉を開けると、いつもは落ち着いている彼が「うおおおお!」と叫び始めた。毎日新聞の現地スタッフとして約10年間、生真面目に取材に取り組んできた彼がここまで感情をあらわにするのは珍しい。「ここだ、この場所だ。20年前、おれはここにいた。徴兵されていた。上官に逆らったから、ここに閉じ込められたんだ」、

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【記者の目】  2025年01月09日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《激動の世界を読む・01.09》:「世界から信頼される」日本 国際協調の主導役、担おう=東京大名誉教授・田中明彦

2025-01-09 02:02:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《激動の世界を読む・01.09》:「世界から信頼される」日本 国際協調の主導役、担おう=東京大名誉教授・田中明彦

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《激動の世界を読む・01.09》:「世界から信頼される」日本 国際協調の主導役、担おう=東京大名誉教授・田中明彦

 新年ということで、あえて明るいテーマを語りたい。それは、日本についての世界の見方がきわめて好意的であるということだ。

 世界全体を見渡してこれまでにないほどの危機が山積している。ウクライナでの戦争は継続しているし、中東でもガザにおける人道危機は続いている。世界は対立と分断に満ちているようにみえる。

 

2004年のインド洋大津波で大きな被害を受けたスリランカで、テント暮らしを続ける子どもたちと綱引きをして遊ぶ青年海外協力隊員。協力隊員は途上国での日本への信頼醸成に大きな役割を果たしてきた=スリランカ南部ゴール県で05年6月、望月亮一撮影

2004年のインド洋大津波で大きな被害を受けたスリランカで、テント暮らしを続ける子どもたちと綱引きをして遊ぶ青年海外協力隊員。協力隊員は途上国での日本への信頼醸成に大きな役割を果たしてきた=スリランカ南部ゴール県で05年6月、望月亮一撮影

 そのなかで、円安もあって日本の経済力は世界のなかでは相対的にますます小さくなっている。国内総生産でいえば、いずれはインドやインドネシアなどにも抜かれるであろう。 

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【激動の世界を読む】  2025年01月09日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《なるほドリ・01.09》:米不法移民の強制送還、増えているの? 現政権、1年で27万人 トランプ氏も強硬姿勢=回答・鈴木玲子

2025-01-09 02:02:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《なるほドリ・01.09》:米不法移民の強制送還、増えているの? 現政権、1年で27万人 トランプ氏も強硬姿勢=回答・鈴木玲子

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《なるほドリ・01.09》:米不法移民の強制送還、増えているの? 現政権、1年で27万人 トランプ氏も強硬姿勢=回答・鈴木玲子

 なるほドリ 米国で移民(いみん)に関するニュースがあったと聞いたけど。

 記者 米国で強制送還(きょうせいそうかん)される不法移民が増えていることですね。 

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/09/20250109ddm003070099000p/9.webp?2" type="image/webp" />米西部アリゾナ州サセイブでメキシコ国境に築かれた「国境の壁」=2024年5月、秋山信一撮影</picture>
米西部アリゾナ州サセイブでメキシコ国境に築かれた「国境の壁」=2024年5月、秋山信一撮影

 移民・税関捜査局(ぜいかんそうさきょく)(ICE)は、バイデン政権下の2023年10月から24年9月末までの1年間に、約27万人の不法移民を強制送還したと発表しました。

 これは第1次トランプ政権時代(17~21年)を含め、過去10年間で最も多いそうです。

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