【社説】:[沖縄県知事選 きょう投開票]「沖縄の将来」選択の時
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[沖縄県知事選 きょう投開票]「沖縄の将来」選択の時
沖縄の将来の行方を大きく左右する県知事選挙は30日、投開票される。
米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の市長選挙も同日実施され、両選挙とも深夜には大勢が判明する見通しだ。
最初から最後まで異例づくめの選挙だった。2期目を目指した翁長雄志前知事が急逝し、選挙日程が当初の11月18日よりも大幅に早まった。選挙は、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と、前衆院議員の玉城デニー氏(58)の事実上の一騎打ちに。
知事選は、復帰後13回目となるが、終盤になって、大型で非常に強い台風24号が沖縄地方を直撃、県選管や市町村選管は台風対策に振り回され、各陣営の選対事務所も遊説日程の変更など対策に追われた。
期日前投票は、台風が接近する前から前回を上回っていたが、台風接近に伴い、県選管や各選対が積極的に期日前投票を呼びかけたことから、うなぎ上りに増え、空前の数字を記録した。
そして選挙戦最終日の29日。沖縄地方は猛烈な風雨に見舞われ街頭活動は完全にストップ、各陣営ともネットや電話作戦に専念せざるを得なかった。
過去に例のないこのような経過が選挙結果にどう影響するか、正直、見通せない。
気になるのは投票率である。4年前の知事選は64・13%だった。身の安全を確保した上で、大切な1票の権利を行使してほしい。
■ ■
佐喜真、玉城両陣営の取り組みは、何から何まで対照的だった。
佐喜真氏は安倍官邸と国政与党の全面的な支援を受け、企業・団体を中心とする組織選挙を徹底し、期日前投票によって票固めを図った。
玉城氏は翁長県政を誕生させた「オール沖縄」勢力を軸に、手づくり選挙を展開し、無党派層や若年層に対する支持の拡大に努めた。
「県民の暮らし最優先」を主張する佐喜真陣営は、子どもの貧困率や待機児童数、1人当たりの県民所得など、劣位の数字を列記した。
「誇りある豊かな沖縄」を訴える玉城陣営は、実質経済成長率や地価上昇率、入域観光客数の増加など経済の好調な側面を取り上げた。
両陣営が掲げた明暗二つの数字は、沖縄の二つの側面を示すもので、ピンからキリまでの数字が並ぶのは沖縄社会の特徴である。
その点を見極め、実現可能性を吟味して政策を評価する必要がある。
■ ■
玉城氏が辺野古の新基地建設に反対し、翁長前知事の姿勢を引き継ぐことを強調したのに対し、佐喜真氏は、普天間返還は繰り返したが、辺野古移設についてはほとんど語らなかった。
選挙戦の期間中、議論はまったくかみあわなかった。
だが、はっきりしていることがある。選挙結果は沖縄の将来を左右するだけではない。安倍晋三首相の今後の政権運営に影響を与え、国民の「沖縄理解」や辺野古に対する考え方にもさまざまな影響を与えることになるだろう。
元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2018年09月30日 08:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。