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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【日米首脳】:半導体生産協力 声明検討、経済安保連携

2022-05-14 17:35:30 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【日米首脳】:半導体生産協力 声明検討、経済安保連携

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日米首脳】:半導体生産協力 声明検討、経済安保連携

 日米両政府は、23日に予定している首脳会談で、半導体の研究開発や生産で協力を強化し、安定確保を図ることで合意する方針を固めた。台湾や韓国への依存度が高い半導体を有事の際も自国で確保できる体制を目指す。中国の軍事力増強で厳しさを増す東アジア情勢を念頭に、経済安全保障分野での連携を深化させる。日米は共同声明発表も検討。サイバーや宇宙など新たな防衛領域に関する連携強化への言及も調整している。日本政府関係者が14日、明らかにした。

 米政府はバイデン大統領の初来日に合わせ、米主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を打ち出す構えだ。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・外交・日米両政府・23日に予定している首脳会談・半導体の研究開発や生産で協力を強化し、安定確保を図ることで合意する方針】  2022年05月14日  17:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:経済安保法成立 過剰介入の懸念拭えぬ

2022-05-14 05:05:55 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説①】:経済安保法成立 過剰介入の懸念拭えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:経済安保法成立 過剰介入の懸念拭えぬ 

 岸田文雄政権が重視する経済安全保障推進法が成立した。

 半導体、医薬品など生活や産業に不可欠な物資をできるだけ国内でまかなえるようにしたり、電力などのインフラ設備へのサイバー攻撃を防いだりする狙いがある。来年から段階的に施行する。

 政府は関係企業に財政支援する一方、勧告や命令を出すことができ、違反した場合は罰則を科す。「アメとムチ」で民間の経済活動への関与を強めるものだ。

 だが規制の詳細は政省令で定める項目が138カ所もある。細部を法律に書かずに裁量で決める手法は近年の政権の常とう手段だ。法の支配を揺るがしかねない。

 輸出や外資を規制する現行の外為法でも政府の過剰介入が問題視されている。経済安保法でも同様の懸念は拭えず、中央省庁の権限を拡大させたい思惑も透ける。

 政府は施行に向けて民間の意見を十分に取り入れるとともに、自制的で透明性の高い運用に努めていかなくてはならない。

 経済安保法は、重要物資のサプライチェーン(供給網)強化、基幹インフラ設備の事前審査、先端技術開発の官民協力、特許非公開化の4本柱からなる。

 ロシアのウクライナ侵攻で、天然資源を確保する重要性が改めて認識された。権威主義を強める中国も念頭に、法整備を進める米欧と連携する必要はあろう。

 経済界は規制内容の明確化を繰り返し求めてきた。しかし法律には「合理的に必要と認められる限度」と記されたのみだ。

 国会での野党の追及に対し、政府は機動的対応が必要などとして説明を避ける場面が目立った。

 法成立後、経済界から改めて、政府の裁量によって規制の適用範囲が拡大する余地を排除すべきだとの意見が表明されたのは当然と言えよう。政府は真摯(しんし)に受け止めるべきである。

 政府から「特定重要物資」に指定されると、関係する企業や団体には助成金が出る。軍事転用可能な技術の特許を非公開にする際も補償される。だが選定や金額の基準などは決まっていない。

 新たな利権や天下り、不振企業の安易な救済につながる恐れがある。政府の恣意(しい)的な運用を防ぐルールづくりが欠かせない。

 衆参の内閣委員会は付帯決議で企業の自主性尊重などを求めた。法的拘束力はないとはいえ、国会の意思であり、政府は決議を踏まえて運用していく必要がある。国会もしっかり監視してほしい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月14日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:経済安全保障法の成立 乱用防止へ国会が監視を

2022-05-14 02:05:50 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

《社説①》:経済安全保障法の成立 乱用防止へ国会が監視を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:経済安全保障法の成立 乱用防止へ国会が監視を

 ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して国際社会が制裁を強める中、今国会の焦点だった経済安全保障推進法が成立した。

 岸田文雄首相が掲げる看板政策である。軍事や技術面で台頭する中国への対抗を念頭に、半導体や医薬品など国民生活に重要な物資を確保するのが目的だ。関係企業への支援と規制という「アメとムチ」を盛り込んだ。

 政府が指定する「特定重要物資」について、安定供給計画を策定した企業を財政支援する。海外からのサイバー攻撃を防ぐため、電力やガスなど14業種の基幹インフラで、問題のある外国部品が使われないかを事前審査する。

 先端技術の開発に取り組む官民協議会を設置し、政府が資金や制度面で支援する。軍事技術につながる特許は、流出を防ぐため非公開とする。命令違反や情報漏えいには懲役などの罰則を設けた。

 資源を輸入に頼る日本の経済基盤や技術を守る措置は必要だ。

 問題は、政府に大きな裁量権が与えられていることだ。

 特定重要物資の範囲や事前審査の対象などは、国会審議を経ずに政府が定める政令や省令に委ねられた。過度な規制につながる恐れが拭えない。

 さらに、国会が運用実態をチェックする仕組みも不十分だ。これでは、政府による乱用に歯止めをかけられない。 

 国会審議でもこれらの点が取り上げられたが、政府はあいまいな答弁に終始した。立憲民主などの野党はウクライナ危機を考慮して賛成に回ったが、審議が尽くされたとは言いがたい。

 衆参両院の委員会は、法整備後の状況を国会や国民に説明するよう求める付帯決議を採択した。法的拘束力がないとはいえ、決議の趣旨に沿って、政府は今後も説明責任を果たすべきだ。

 企業活動の自主性を尊重する観点から、政府は具体的な規制を必要最小限にとどめるべきだ。

 この法律が適正に運用されるよう、国会は監視を強めなければならない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月14日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【焦点】:経済安保、脱中国狙い 企業活動規制、懸念も

2022-05-14 02:03:25 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【焦点】:経済安保、脱中国狙い 企業活動規制、懸念も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【焦点】:経済安保、脱中国狙い 企業活動規制、懸念も 

 経済安保推進法が11日、参院本会議で可決、成立し、国家安全保障を目的に政府が民間のビジネスを規制する仕組みが整った。法律の狙いは米欧諸国と対立を深める中国などへの経済的依存からの脱却だ。激動する国際情勢に対応した取り組みだが、リスク管理と自由な経済活動のバランスをどう取るのかが今後の課題になる。

 

新型コロナウイルスの感染拡大直後、マスクが品薄となったことも経済安保が本格的に議論されるきっかけとなった=大津市で2020年3月、小西雄介撮影(画像の一部を加工しています)

新型コロナウイルスの感染拡大直後、マスクが品薄となったことも経済安保が本格的に議論されるきっかけとなった=大津市で2020年3月、小西雄介撮影(画像の一部を加工しています)

 これまで安全保障に基づく企業活動の規制は軍事関連技術の輸出規制が中心だった。今回の経済安保法は、基幹インフラや重要物資など幅広い民生分野に規制対象が拡大するのが特徴だ。

 背景には、人工知能(AI)や高速通信、宇宙など軍事力に直結する先端技術が発展し、民生と軍事の境界が曖昧になっていることがある。特に、軍事・経済的に台頭する中国が民間の技術を活用して国力を高めることに危機感を募らせる米国が、中国の通信機器メーカーや半導体製造大手に輸出規制を発動。さらにロシアのウクライナ侵攻を受け、欧米の民主主義国家と中国やロシアなど権威主義国家との対立構造が鮮明になり、自国の産業…、残り1899文字(全文2333文字)

 ※:この記事は有料記事です。ご登録から1カ月間は99円!!。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【焦点】  2022年05月12日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・05.07】:極東がホットスポットになるのか

2022-05-13 08:30:20 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【政界地獄耳・05.07】:極東がホットスポットになるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・05.07】:極東がホットスポットになるのか 

 ★米バイデン大統領は今月20~22日に韓国を訪問、21日にソウルで米韓首脳会談が予定され、そのあと22~24日に来日する。来日中は日米首脳会談と米国、日本、オーストラリア、インドの枠組み「クアッド」首脳会議に臨む。来月26~28日にはG7ドイツサミットが開催されるものの、先駆けて日本と韓国に行く必要がバイデンにはあるのではないか。

 ★無論ロシアのウクライナ侵攻とその後を考えれば、対中政策、アジア版NATOを模索するクアッドの信頼構築も急務だろう。2日、ホワイトハウスのサキ報道官はバイデンのアジア歴訪について「過去60年間はそのようなことがなかったが、なぜ日本より先に韓国を訪問するのか」と問われ「あまり深く考えないでほしい」と言葉を濁した。同時に「韓国、日本のどちらとも強力な関係を結んでいる」とした。政権が変わった韓国に対してクアッドに加盟するなど新たな米国の東アジア政策の変化なのかに関心が集まる。

 ★これについてサキ報道官は「クアッドはクアッドとして維持される」と別の問題がテーマになることを示唆した。韓国では慎重論が強く見送られているTHAAD(高高度防衛ミサイル)の追加配備問題などを俎上(そじょう)に載せる可能性がある。5日、首相・岸田文雄はロンドンでの日英会談で「ウクライナは明日の東アジアかもしれないという危機感を背景に、対ロシア政策を転換し、制裁など毅然(きぜん)とした対応をしている」と答え、自衛隊と英国軍の相互訪問が可能になる「円滑化協定」にも合意した。政界関係者が言う。「拡大NATOという概念があるかどうかは知らないが、NATO加盟国は組める相手としっかり連携したいし、極東のロシア、中国、北朝鮮がホットスポットになるということではないか」とみる。世界が嫌な方向に進み始めている。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年05月07日  09:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:経済安保法成立 慎重運用が求められる

2022-05-12 07:00:55 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説】:経済安保法成立 慎重運用が求められる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:経済安保法成立 慎重運用が求められる 

 岸田文雄首相が重視する経済安全保障推進法がきのう、参院本会議で可決、成立した。半導体など戦略物資の国内生産や海外調達を強化したり、生活に不可欠なインフラが止まらないよう政府が企業をチェックしたりする制度を盛り込んでおり、来春から段階的に施行する。

 経済安全保障は、防衛力を中心として国益や国民の生命、財産を守る安全保障に、経済政策や企業活動を結びつける考え方。政府はハイテク分野で台頭する中国などを念頭に置いて強化を図る方針だ。

 そのための法律なのに実態は企業の情報管理を強化する色合いが濃い。規制の対象は国会の審議が不要な政令や省令で今後決めるとしており、企業活動への影響は曖昧なままだ。政府の関与は最小限にとどめるべきで、慎重な運用が求められる。

 経済安保法は、(1)半導体や医薬品などのサプライチェーン(供給網)強化(2)サイバー攻撃を防ぐための基幹インフラの事前審査(3)国の競争力を左右する先端技術開発での官民協力(4)核や武器の開発につながる特許の非公開―を4本柱とする。

 非公開の特許を漏えいするなどした場合に最大で懲役2年を科す罰則が導入された。供給網強化の対象となる「特定重要物資」の調達先を隠したり、基幹インフラと位置付ける鉄道や電力、情報通信など14業種で、設備を製造した国を偽ったりした場合も罰則の対象になる。

 民間人が対象となる機密情報の資格制度「セキュリティー・クリアランス」は、身上調査に慎重な意見があり見送られた。

 米国と中国の覇権争いやロシアのウクライナ侵攻で国際情勢は緊迫度を増す。半導体不足やサイバー攻撃、エネルギー確保への懸念など、さまざまなリスクが表面化している。戦略物資の安定供給を図り、技術流出を防ぐのは政府の責務である。

 気掛かりなのは規制の範囲と手法だ。特定重要物資の品目や、基幹インフラで調査対象となる事業者や設備などはいずれも成立後に政省令で定めるとされ、その項目は約130にも及ぶ。経済界が恣意(しい)的な運用や、規制で強いられる新たな負担へ警戒感を強めるのは当然だ。

 さらに、官民技術協力や特許非公開は軍事技術の開発と流出防止に力点が置かれた印象が拭えない。人工知能(AI)や量子などの分野ごとに「官民協議会」を設け、政府が財政支援して研究開発を進めるという。小林鷹之経済安全保障担当相は「防衛装備品に活用されうる」と述べており、こうした観点からの要請が増える懸念がある。

 参院選を控えた今国会の注目法案とされ、審議ではこうした問題点の洗い出しが期待されたが、消化不良は否めない。

 政府側は答弁で「予断を持って言及できない」などと説明を避ける場面が多かった。議論の材料を出し惜しみした印象だ。規制と自由な経済活動の両立などを政府に求める付帯決議を条件に、野党第1党の立憲民主党、日本維新の会、国民民主党が賛成に回った。

 政府は政省令の制定に関する基本指針づくりに当たり、付帯決議を最大限尊重する必要がある。経済界や有識者の意見を参考に政府の関与の範囲をはっきりさせ、国民への情報公開に努めて透明性を高めるべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月12日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:一年でどの月が好きか。アンケートをすれば、五月は上位に入る…

2022-05-09 07:33:35 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【筆洗】:一年でどの月が好きか。アンケートをすれば、五月は上位に入る…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:一年でどの月が好きか。アンケートをすれば、五月は上位に入る…

 一年でどの月が好きか。アンケートをすれば、五月は上位に入るそうだ。新緑のすがすがしさや過ごしやすい気候が五月の人気の理由か

 ▼人気の五月なれど、どうも今年はすっきりせず、肌寒い日が続く。そんな中で迎えた憲法記念日である。こんな句がある。<憲法記念日天気あやしくなりにけり>大庭雄三。あやしいのは天気ばかりではないか。気になるのは憲法改正をめぐる動きである

 ▼ロシアによるウクライナ侵攻が改憲論議のテコになっている印象がある。万が一にもわが国が攻撃を受けた場合、現行憲法で国民を守り抜くことができるのか−。世界を震え上がらせた悲劇と不安を、そのまま武張った改憲に結び付けようとする動きがあることは否定できまい。敵基地攻撃能力や防衛費の大幅増など憲法のうたう平和主義とは色合いの異なる議論も進んでいる

 ▼イソップにこんな話がある。イノシシが熱心に自分の牙を研いでいた。猟師の姿は見えぬ。危険もない。キツネがなぜ牙を研いでいるのか尋ねるとイノシシはこう答えた。「理由がある。危険に襲われた時には研いでいる暇がない」

 ▼なるほど、万が一には備えたい。けれども牙を研ぐイノシシを見れば敵もまた身構え、敵意を一層燃やしはしまいか

 ▼改憲の動きや専守防衛の範(のり)を超えかねない今の議論は何を招くだろう。怖がりな性分はそちらの方が心配になる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年05月03日  07:04:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:自民の安保提言 軍事大国化は許されぬ

2022-05-09 07:30:50 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説①】:自民の安保提言 軍事大国化は許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:自民の安保提言 軍事大国化は許されぬ 

 政府が年内に予定する「国家安全保障戦略」の改定に向けた提言を自民党安全保障調査会がまとめた。抑止力強化を名目に事実上、軍事大国を目指すよう促し、周辺国の警戒と軍拡競争を招きかねない内容だ。平和憲法の理念を損なわぬよう政府に重ねて求めたい。
 
 提言は、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と改称して新たに保有▽国内総生産(GDP)比2%を念頭に防衛費を五年以内に大幅増額▽侵略を受けている国に対する幅広い装備品の移転−が柱だ。
 
 いずれも歴代内閣が自制してきた内容で、実行に移せば安保政策を大幅に転換することになる。
 
 反撃能力と改称しても相手国領域内でミサイル発射を阻む能力は変わらず、先制攻撃の意図を疑われるのは避けられない。攻撃対象に「指揮統制機能等」を明記したことは、他国の政権中枢攻撃も辞さないとの挑発にもなる。
 
 そもそも陸地や海中を移動するミサイル発射地点の動きを事前に察知する情報能力を、日本独自で整備できるのか。現実味に欠ける提言と言わざるを得ない。
 
 防衛費の増額も同様だ。
 
 GDP比2%に増やせば年十兆円を超え、米中に次ぐ世界三位になる。自衛官のなり手が不足する中、増強する装備を使う人員の確保は可能なのか。財源も示しておらず、ロシアのウクライナ侵攻に便乗した軍拡要求は、与党として無責任のそしりは免れまい。
 
 防衛装備品の移転対象を、紛争当事国にも広げ、品目も拡大すれば、紛争を助長しないか。
 
 戦後日本は平和憲法の下、非軍事分野での国際貢献を重ね、国際社会で大きな信頼を得てきた。ウクライナのゼレンスキー大統領も先の国会演説で、日本には武器提供を求めてはいない。
 
 自民党提言は「専守防衛の考え方の下で」としつつ、必要最小限度の防衛力は「時々の国際情勢」に応じて決めるという。情勢変化を理由に防衛力を増強すれば、歴代内閣が堅持してきた専守防衛が骨抜きになりかねない。
 
 安保戦略改定の必要があるなら自民党にとどまらず、国会を含めて幅広く意見を聞き、透明性のある手続きで進めねばならない。
 
 専守防衛に徹し、軍事大国にならなかった平和国家の歩みが国際社会で高い評価と尊敬を得た、との現行戦略の記述は妥当であり、変えるべきではない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月23日  07:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ここがおかしい 小林節が斬る!】:「敵基地攻撃(反撃)能力保有」論の盲点 専守防衛能力の向上こそが急務

2022-05-01 06:29:50 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【ここがおかしい 小林節が斬る!】:「敵基地攻撃(反撃)能力保有」論の盲点 専守防衛能力の向上こそが急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ここがおかしい 小林節が斬る!】:「敵基地攻撃(反撃)能力保有」論の盲点 専守防衛能力の向上こそが急務

 「敵基地攻撃(反撃)能力保有」論は、「ゴキブリは元から絶たなければいなくならない」という主張と同じで、この国を敵の攻撃から守るという観点からは、一見、筋が通っている。

 第2次世界大戦に対する反省から、憲法9条を制定し、「戦力」と「交戦権」という国際法上の戦争の手段を自らに禁じたわが国は、「専守防衛」というユニークな防衛政策を堅持してきた。

 つまり、①こちらからは海外に打って出ない。②しかし、独立主権国家の自然権である自衛権はわが国にもあるのだから、外敵が侵入してきたら、軍隊ではない自衛隊で、日本の領域と周辺だけを用いてしっかり撃退する。

 これは、「やられてからやり返す」という原則では「やられて滅ぼされてからではやり返せないのでは?」という疑問に逢着(ほうちゃく)してしまう。だから、「相手が攻撃態勢に入ったらその基地を叩いていい」、さらに、「相手は移動式のミサイル発射装置を複数使っている以上、その指揮命令の中枢を撃たなければ自衛は全うできない」という結論に至る。

 しかし、現実の戦争はそのようなものではない。まず、大国は戦わずに相手国を服従させようと、外交、軍事演習等で圧力をかける。そのうえで、できるだけ無傷の相手国を占領、支配しようと、大掛かりな準備をして侵攻を開始する。これが普通の戦争で、今回のロシアによるウクライナ侵攻もそうであった。
 
 ■専守防衛能力の向上こそが急務である

 だから、ウクライナは準備をして迎え撃てたために、ロシアの思惑は外れて互角の長期戦になってしまった。

 もしも、ウクライナの意思と装備と国際世論について事前にロシア政府の側に正確な情報があったなら、ロシアは、今回のように自軍の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈してしまう戦争は開始しなかったはずである。

 その点で、日本の経済力、技術力、教育水準に支えられた精鋭自衛隊の能力の高さは公知の事実である。加えて、報道の自由が保障されたわが国で、日本国民が「専制と軍国主義」を峻拒(しゅんきょ)していることも明らかである。

 だから、ロシア、北朝鮮、中国に隣接したわが国が今すべきことは、「先制攻撃論」と取られかねない議論ではなく、事実として専守防衛の質を速やかに高めることであろう。



◆本コラム 待望の書籍化! 発売中
『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

小林節
著者のコラム一覧
 ■小林節 慶応大名誉教授

 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・コラム・「ここがおかしい 小林節が斬る!」】  2022年04月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:転換期の日本外交 安保政策は重層的視点で

2022-05-01 02:01:50 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

《社説①》:転換期の日本外交 安保政策は重層的視点で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:転換期の日本外交 安保政策は重層的視点で

 ロシアによるウクライナ侵攻は、国際社会が約100年かけて築いてきたルールを破る暴挙だ。

 2度の世界大戦を経て発足した国連は、憲章で「武力による威嚇または武力の行使」を禁じている。独立国の主権と領土を侵害する武力行使は許されない。戦時下でも民間人は保護されねばならないという国際人道法に背いた疑いも濃厚だ。

 ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国で、世界最多の核兵器を保有する。責任を果たすべき大国が自ら国際秩序の根幹を揺るがしていることの影響は甚大だ。 

 米国の抑止力の衰えは隠しようがない。冷戦後、「米国1強」を経て米中競争時代にあった国際社会は、秩序なき分断への転換期を迎えているように見える。

 こうした情勢のもと、日本はどういう道を取るべきだろうか。

 ◆アジアの秩序築く責任

 今回、日本は主要7カ国(G7)と足並みをそろえて、ロシアに厳しい経済制裁を科した。

 だが、世界はロシア非難で一枚岩になっているわけではない。国連総会で採択されたロシアへの三つの決議では、反対や棄権に回った国もある。 

 中国は非難を避けつつ、ロシアの「失敗」の要因と帰結を見極めようとしている。非同盟のインドは、国益に応じて連携相手を選ぶ「戦略的自律」路線を取っている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々も日米だけでなく中露との関係を重視している。

 G7とロシアの分断は避けられないだろうが、新興国や途上国にはどちらの陣営にも組み込まれたくない国が多い。 

 ウクライナ侵攻の影響はアジア太平洋地域にも及びかねない。

 最大の課題は中国とどう向き合うかだ。急速な軍事的台頭と東シナ海・南シナ海で見せる一方的な現状変更の動きは、地域の懸念材料となっている。

 日本は、法の支配にもとづいた「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現を米国などとともに掲げる。中国を意識した戦略で、それを推進するために、日米豪印の4カ国の枠組み(クアッド)がある。 

 しかし中国を排除するだけでは、アジアに安定をもたらすことはできない。国際秩序に包摂する努力が求められる。クアッドを軍事的な枠組みに矮小(わいしょう)化してはならない。新型コロナウイルス感染症や気候変動への対策、先端技術、インフラなど、地域に貢献する幅広い協力の場に育てていくことが重要だ。

 ASEAN諸国との連携強化にも力を注ぐべきだ。自由、民主主義、法の支配、人権という普遍的な価値を守ることが、長い目で見れば各国に発展をもたらす。国情を考えながら、その原則が理解されるように丁寧に外交を進めていく必要がある。

 中国だけでなく韓国とも対話の道を模索し、関係改善の努力をするのは当然のことだ。両国を一方的に非難したり、偏狭なナショナリズムをあおったりするような政治は、国益を損なうもので厳に慎むべきだ。

 ◆「軍拡ありき」の危うさ

 日本外交を強化する一方、防衛体制を再点検することも避けられない。しかし軍拡ありきの議論は危うい。

 自民党は、防衛費を5年以内に国内総生産(GDP)比2%以上に増額するよう政府に提言した。だが、どのような防衛装備を増強するのかなど必要額を具体的に積み上げた数字ではなく、北大西洋条約機構(NATO)諸国の国防予算の対GDP比目標を念頭に置いたという。

 また相手国がミサイルを発射する前に発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力」について、自民党は「反撃能力」と名称を変えて保有を提言した。ミサイル基地だけでなく相手国の「指揮統制機能」も対象にするという。

 そもそも日本は、専守防衛の基本方針のもと、そのような装備体系を持たない方針を貫いてきた。どう整合性を図っていくのか、米軍と自衛隊との役割分担をどうしていくのか、精緻な議論のないまま先走っているように見える。

 国際安全保障環境を俯瞰(ふかん)し、外交と防衛のバランスに配慮した議論が足りない。それは本来は国会の役割だ。外交・安保への国民の関心は高まっている。議論を活発化させ、日本外交の針路を定めていく必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月01日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【クローズアップ】:揺らぐ「専守防衛」 自民安保提言 中国軍備増強に対応 反撃対象あいまい

2022-04-30 02:03:15 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【クローズアップ】:揺らぐ「専守防衛」 自民安保提言 中国軍備増強に対応 反撃対象あいまい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【クローズアップ】:揺らぐ「専守防衛」 自民安保提言 中国軍備増強に対応 反撃対象あいまい 

 自民党が27日に岸田文雄首相に提出した安全保障に関する提言は、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力」について、「反撃能力」に改称した上で保有を求めた。北朝鮮や中国の軍事力増強に対応する狙いだが、反撃能力の具体像はあいまいで、従来の「専守防衛」が揺らぐ恐れもある。

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 「今の安全保障環境の中で、相手国のさまざまな能力の向上に対応し、『反撃能力』をしっかりと保有してほしい」。自民党安全保障調査会長の小野寺五典元防衛相は27日、岸田首相に自民党提言を手渡し、こう訴えた。

 提言の背景にあるのは中国などへの警戒感だ。米国は2019年までロシアと中距離核戦力(INF)全廃条約を結んでいた影響で、今も地上発射型の中距離ミサイルを配備していない一方、中国は地上発射型の短・中距離弾道ミサイルを約1900発保有しているとされる。自民党内では「米国だけでなく日本も射程の長いミサイルを保有しなければ、抑止力を発揮できない」との主張が広がっている。残り2367文字(全文2791文字)

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【クローズアップ】  2022年04月28日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:自民党の安全保障提言 危機に便乗、許されない

2022-04-29 06:19:35 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説】:自民党の安全保障提言 危機に便乗、許されない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:自民党の安全保障提言 危機に便乗、許されない 

 政府が年末に予定する外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」など三つの文書の改定に向けた提言をきのう、自民党が決定した。防衛政策の大転換につながる内容で、看過できない。

 敵国のミサイル発射前に発射基地などをたたく「敵基地攻撃能力」について、名称を「反撃能力」と変えた上で保有するよう求めるのが柱だ。防衛費の大幅増強や武器輸出の制限緩和も盛り込んでいる。ウクライナ危機に乗じて、一足飛びに防衛力の強化と変容を図ろうとする意図が見える。

 憲法9条に基づいて戦後の日本が堅持してきた「専守防衛」を逸脱するのではないか。政府内だけでなく、国会でも徹底的な議論が必要だ。

 中国の軍備拡張や北朝鮮の弾道ミサイル発射に、ロシアの侵攻が加わり、日本を取り巻く環境は激変している。安保戦略を見直していくことは重要だ。だが提言は外交の視点が抜け落ち、軍事に傾き過ぎている。

 その第一は、敵基地攻撃能力の保有である。

 専守防衛は攻撃に対して必要最小限の自衛力を行使し、装備も最小限にとどめるという原則だ。日米安保条約に基づき「矛」を米軍に委ね、自衛隊は「盾」に徹する。

 そもそも他国を攻撃するための兵器が必要最小限と言えるのか。反撃の名称を使うのは、国際法が禁じる先制攻撃ではないと強調したいのだろう。実態は同じで、姑息(こそく)なやり方と言わざるを得ない。どの時点で、どんな武器を使うかも不明確だ。相手の攻撃着手の見極めは難しく、判断を誤れば逆に先制攻撃と見なされる可能性がある。

 しかも、攻撃対象に「指揮統制機能」を加えることも求めている。軍司令部はおろか国家の中枢まで標的にされると受け取られても仕方あるまい。相手国が警戒を強め、かえって地域の不安定化を招きかねない。

 第二は、国内総生産(GDP)の1%程度で推移してきた防衛費の大幅増額である。

 想定する水準は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が目標とするGDP2%以上だが、根拠は乏しい。2%なら年間11兆円。米国と中国に次ぐ世界3位の規模となる。5年以内の実現を図るとするが、現実的な目標と思えない。増額をふっかけるため、とさえ感じる。

 専守防衛が求める必要最小限度の自衛力も「国際情勢や科学技術等の諸条件」を考慮して決められるとした。最小限の「たが」を外す狙いではないか。

 第三は「防衛装備移転三原則」の運用指針見直しによる武器輸出の制限緩和である。防衛産業の育成が狙いで、侵攻を受けた国に広く軍事的な支援ができる制度の検討も明記された。

 運用指針は政府判断で改定できる。ウクライナ支援では防弾チョッキなどの提供を決めた。大幅緩和に踏み切れば、提供する装備の範囲や相手国がなし崩し的に広がる恐れがある。

 提言はきょうにも岸田文雄首相に提出される。財政を含めた課題を精査した形跡が乏しく、夏に参院選を控え、保守層を意識したのは間違いない。

 国民的な議論を欠いては禍根を残す。平和国家として、外交努力を重視した総合的な安保戦略の構築が求められる。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月27日  06:19:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:「攻撃能力」提言 専守防衛を逸脱するな

2022-04-26 05:05:20 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説②】:「攻撃能力」提言 専守防衛を逸脱するな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:「攻撃能力」提言 専守防衛を逸脱するな 

 自民党は、政府が年内に予定する外交・安全保障政策の長期指針「国家安保戦略」など3文書の改定に向けた提言案をまとめた。

 岸田文雄首相が保有の検討を表明した「敵基地攻撃能力」については、名称を「反撃能力」に変えた上で保有するよう求めた。

 さらに攻撃目標に相手領域のミサイル発射拠点だけでなく、国家の指導部や軍司令部を念頭に「指揮統制機能」を加えるとした。

 保有することは憲法に基づく専守防衛に反するとして、安倍政権以前は否定してきた。専守防衛から逸脱することは認められない。

 また防衛費について、国内総生産(GDP)比2%以上を想定し、5年以内に防衛力の抜本的な強化を図ることを盛り込んだ。

 党内ではロシアのウクライナ侵攻を機に、防衛力の大幅な強化を求める主張が勢いづく。だが欧州の情勢に乗じて攻撃力を高める装備を強化すれば周辺国との緊張を高め、軍拡競争を招きかねない。

 提言は月内に首相に提出される。安保政策は憲法の平和主義が前提だ。冷静な議論が欠かせない。

 専守防衛は武力攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使し、その場合も自衛のための必要最小限にとどめる日本の安保政策の原則だ。

 歴代政権は相手領域への攻撃能力については米国に委ねるとしてきた。岸田首相が初めて攻撃能力の保有について検討すると国会で表明した。

 提言は中国が弾道ミサイルを多数保有し発射技術も進化している状況にあり、迎撃だけでは防衛できないとして、反撃能力を保有することで攻撃を抑止するとした。

 だがどの時点に、どんな武器で、どこを攻撃すべきかといった議論は深まっていない。憲法や国際法が禁じる先制攻撃との違いが極めてあいまいだ。

 改称して敵基地攻撃という文言を避けたのは、先制攻撃の印象を薄めたいのだろう。

 本質を隠す姑息(こそく)なやり方と言わざるを得ない。

 指揮統制機能に関しても具体的に触れておらず、対象が歯止めなく拡大しかねない。

 防衛費については、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が、GDP比2%以上を目標としている点を念頭に置いたとしている。

 必要な装備品などを積み上げた額ではなく、根拠は乏しい。

 財政難の中で大幅増額するなら、増税や歳出削減など国民の負担は避けられない。財源に言及がないのは無責任と言うほかない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:自民の「反撃能力」案 専守防衛と整合するのか

2022-04-26 02:03:40 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

《社説①》:自民の「反撃能力」案 専守防衛と整合するのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:自民の「反撃能力」案 専守防衛と整合するのか

 武力攻撃に対する「反撃能力」の保有を政府に求める提言案を、自民党がまとめた。防衛政策の大転換につながる内容だ。

 敵国がミサイルを発射する前に発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力」から名称を変更した。

 岸田文雄首相は、敵基地攻撃能力の保有を検討すると表明してきた。自民は年末に改定される政府の「国家安全保障戦略」などへの反映を目指す。

 ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮による弾道ミサイル発射、中国の軍備増強など、安全保障環境は激変している。日本の防衛のあり方が問われているのは確かだ。

 だが提言案には懸念や疑問が多い。そもそも敵基地攻撃能力の保有は、憲法9条に基づく専守防衛を逸脱しかねない。

 専守防衛は攻撃に対して必要最小限の自衛力を行使し、保有する装備も最小限にとどめるという原則だ。「矛」の能力を米軍に委ね、自衛隊は「盾」の役割を担う。

 ただし政府は、敵国がミサイル攻撃に着手し、防衛手段が他にない場合に限り、敵基地攻撃は憲法上認められると解釈している。

 しかし、こうした「反撃」は、国際法が禁じる先制攻撃との線引きが難しい。他国領域を攻撃するための兵器が必要最小限と言えるのかという疑問もある。

 しかも今回の提言案は、反撃の対象に基地だけでなく「指揮統制機能」も含めている。拡大解釈の余地を広げるものだ。司令部や政治指導部など、対象が際限なく拡大する恐れがある。 

 想定されるケースは「弾道ミサイルを含む武力攻撃」があった場合としたが、具体的にどんな攻撃を指すのかは不明確だ。

 反撃能力を抑止力として振りかざせば、地域での軍拡競争を過熱させかねない。能力の保有には、偵察や相手の防空網の無力化などに膨大な装備が必要だ。財政面でも妥当性に疑問符が付く。

 平和国家の根幹を左右する問題にもかかわらず、提言案には、専守防衛との整合性や現実の課題を精査した形跡が乏しい。

 首相は「検討する」と繰り返すばかりで、具体像は明示していない。国民的な議論を欠いたまま、保有路線をなし崩しに推し進めれば、将来に禍根を残す。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月23日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:経済安保法案 恣意的な運用避けねば

2022-04-08 07:03:50 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【社説②】:経済安保法案 恣意的な運用避けねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:経済安保法案 恣意的な運用避けねば

 岸田政権が重視する経済安全保障推進法案が衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。貿易を中心に経済分野での安全保障を強化する法案だが、国家の介入は企業活動を萎縮させかねない。施行後、政府には慎重な運用を求めたい。

 法案の柱は「供給網の強化」「基幹インフラの安全確保」「先端技術での官民協力推進」「特許の非公開」の四項目。中国やロシアとの取引を念頭に国が企業の経済活動を監視しながら物資の安定供給を図り、技術流出を防ぐのが狙いだ。
 
 目玉である「供給網の強化」では、国が指定した半導体や医薬品など「特定重要物資」の調達が監視対象となる。政府は指定品目の貿易に関わる企業への調査を原則として自由に実施できる。
 
 「基幹インフラ」は鉄道や電力、情報通信などが対象となる。安全保障上、脅威となる国の製品が事業に使われていないか導入時に事前審査が行われる。
 
 懸念されるのは規制品目の範囲など具体的な運用方法が明確に定められていない点だ。政府は政令や省令で順次定めていく方針だが、それでは時の政権の意向で恣意(しい)的な運用が可能となる。
 
 企業の取引先は経済合理性を優先して決められる。国が恣意的な介入を常態化させれば、企業側に無用な忖度(そんたく)が生まれ自由な貿易環境を失いかねない。
 
 同法案には違反した場合の罰則規定もあり、貿易全体が萎縮する恐れさえある。政府には中小企業を含む経済界全体と十分に意見交換するよう強く求めたい。詳細な運用モデルを提示し、実際の運用も極力抑制的に行うべきだ。運用をめぐっては国会でのチェックがより重要になる。
 
 経済安保という概念の背景に、米中対立の激化があることは否定できない。ハイテク分野での中国の著しい台頭を考慮すれば一定の警戒はやむを得ない。ただ覇権争いを繰り広げる米中と、日中では関係のあり方が大きく違う。
 
 日本の対外貿易の総額は二〇〇七年以降、中国が常にトップだ。大企業のみならず社運をかけて対中進出した中小企業も多い。コロナ後をにらみ観光分野での中国への期待も大きい。
 
 米国の戦略に漫然と追随するのでなく、日本の国益を優先させた独自の経済戦略を強く望みたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月08日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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