【岸田政権】:処理水の海洋放出、月内で最終調整…福島原発視察の首相「漁業者の懸念に寄り添う」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田政権】:処理水の海洋放出、月内で最終調整…福島原発視察の首相「漁業者の懸念に寄り添う」
政府は、東京電力福島第一原子力発電所(福島県)の処理水の海洋放出について、開始時期を月内とする方向で最終調整に入った。岸田首相は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長らと21日にも面会し、関係閣僚会議を経て最終決定する方針だ。首相は20日、同原発を訪れ、放出計画の準備状況を視察した。
首相は視察後、放出時期について、「安全性の確保や風評対策の取り組みの状況を政府全体で確認し、判断していく」と記者団に語った。「(同原発の)廃炉と福島の復興を進めていくために、決して先送りできない課題だ」とも強調した。
日米韓首脳による会談や共同記者会見で米韓から放出への理解が得られたことを踏まえ、首相は「国際的にも科学的な知見に基づく冷静な対応が広がっている」と述べた。放出への環境が整いつつあるとの認識を示したものだ。
9月1日には、福島県沿岸で沖合底引き網漁が再開される。このため、今月中にも放出を始め、モニタリング(監視)データを公表して安全性をアピールする狙いがあるとみられる。
地元の漁業者らが風評被害を懸念していることに関しては、「放出は長期にわたる取り組みで、(漁業者らの)懸念に継続的に寄り添って対応していくことが必要だ。私自身も直接、政府としての考えをお伝えしたい」と語った。
風評被害の対策に万全を期す考えも示した。首相は、経済産業省が300億円の基金を準備していることに言及し、「それでもなお風評被害が発生した場合には、東京電力が適切に賠償を行う仕組みもあり、しっかりと対応していく」と説明した。
首相の同原発視察は2021年10月以来となった。20日は、汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS=アルプス)などの状況を確認し、東電ホールディングスの小早川智明社長らから放出の安全性などに関する説明を受けた。小早川氏は、経営陣が適時に情報を把握し、速やかに指示を出す態勢を整えるため、発電所や風評対応、賠償などの関係部署を横断的に統括する社長直轄のプロジェクトチームを新設する考えを明らかにした。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・岸田政権・東京電力福島第一原子力発電所(福島県)の処理水の海洋放出問題】 2023年08月21日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。