路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【安倍元首相暗殺の謎 】:(中)卑劣な蛮行の背景と混迷政局の今後

2024-07-08 07:44:30 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【安倍元首相暗殺の謎 】:(中)卑劣な蛮行の背景と混迷政局の今後

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍元首相暗殺の謎 】:(中)卑劣な蛮行の背景と混迷政局の今後

 ◆防げなかったのか警察の大失態

 白昼の銃撃事件は防げなかったのか。安倍は近鉄大和西大寺駅前のロータリーで演説中に銃撃された。背後の歩道にいた山上がロータリーに入り、安倍の至近距離に近づき、2発、発砲した。

 要人の背後を狙う不審な行動。なぜ警察は制止しなかったのか。現地で取材をする元大阪府警刑事で犯罪ジャーナリストの中島正純氏が言う。

<picture>警備の検証が必要(大和西大寺駅前の現場)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

  警備の検証が必要(大和西大寺駅前の現場)/(C)日刊ゲンダイ

 「極めてずさんな警備だと思います。私がヒアリングした目撃者によると、安倍氏に当たらなかった1発目が撃たれた時点で警備担当者は何ら反応しなかったという。この時点で、次の被弾に備えて安倍氏に覆いかぶさる必要がありました。また、山上容疑者が歩道からロータリーに入り、安倍氏から3~5メートルの地点に近づくまでは、かなりの距離があります。大きなカバンを持ちながら、安倍氏に接近している時に、警備担当が山上容疑者を制止したり、取り押さえることは十分できたはずです」

 警察庁は「奈良県警と警視庁のSPらで必要な体制で警護していた」と説明したが、配置された警察官の人数などの詳細については、今後の警備や警護に差し支えるとして公表しなかった。さらなる確認を行い、要人警護体制を検討するというが、奈良県警や警察庁の責任論が浮上するのは避けられない。

 「警備と選挙での失態は重大です。奈良県警の本部長、警備部長、担当課長、警察庁の責任者の処分は免れないでしょう。場合によっては、警察庁長官の進退問題にも発展する可能性があります」(警察関係者)

 ずさんな警備が招いた悲劇なのか。徹底的な真相解明が必要だ。

 ◆日本も「テロの時代に突入」という安易な世論醸成の怖さ

 亡くなった人のことを悪く言わないのは日本人の美徳だ。銃弾に倒れた安倍も、立派な功績を残した大宰相として賛美され、追悼され、批判的な言論は許されないような空気が醸成されつつある。

<picture>テレビは「暗殺報道」一色(C)共同通信社</picture>

  テレビは「暗殺報道」一色(C)共同通信社

 もちろん、安倍はテロの被害者であり、卑劣なテロは絶対に許されない。だが、テロを許さないことと、死者の功罪を正当に評価することは別次元の話だ。

 仮に、政治家に対する批判がテロを惹起するからダメということになれば、それは民主主義を殺すも同然である。批判を許さない考え方は、暴力で言論を封殺するテロの側に近いことを自覚する必要がある。われわれが命がけで守るべきは、政治家の名誉より民主主義と言論の自由だ。

 言論ではなく、気に入らないヤツは暴力で攻撃するという意味では、参院選比例区に出馬中の立憲民主党辻元清美候補の事務所に生卵が投げつけられた事件も同根である。どんな小さな暴力でも、言論の自由に対する挑戦を許してはいけない。

 また、「いよいよ日本もテロの時代に突入」という安易な見方もすべきではない。事件の背景を慎重に検証する必要がある。

 「暗殺事件の報道一色のテレビをずっと見ていれば、社会は動揺します。極端な意見が支持されたり、一方向に流されやすくもなる。こういう時こそ冷静に、理性を保たなければいけません。民主主義が試されているのです。政治信条に関係なく、暴力は決して許さないという一点で社会が連帯する必要がある。そして、元首相の政治家としての功罪は別途、きちんと検証されるべきです。この国の民主主義を守ることが何よりの弔いなのです」(政治評論家・森田実氏)

 過去にも、政治テロによって民主主義が壊される事例は多々あった。ひとりの身勝手なテロリストによって選挙や国政が左右されることがあってはならない。

 ◆要人暗殺で暗転した日本近代史の教訓

 要人の暗殺は歴史の転機になることがある。それは日本近代史でも繰り返されてきた。

<picture>安倍氏の祖父、岸信介首相(中央)もナイフで太ももを刺されたことが…(㊨は安倍晋三氏)/(C)共同通信社</picture>

 安倍氏の祖父、岸信介首相(中央)もナイフで太ももを刺されたことが…(㊨は安倍晋三氏)/(C)共同通信社

 1909年に初代首相の伊藤博文が、中国のハルビン駅で独立運動家の安重根に銃撃され死亡。このことが抗日運動を抑えることを口実にした韓国併合の遠因になったとされる。

 昭和初期にはテロが激化。1930年に浜口雄幸首相が東京駅で右翼活動家に銃撃されて重傷を負い、回復しないまま翌年に亡くなった。

 32年には血盟団事件と呼ばれる連続テロが起き、政財界の要人が狙われて、2月に井上準之助前蔵相が暗殺された。同年5月には、海軍青年将校らが首相官邸に押し入り、犬養毅首相を銃殺。いわゆる「五・一五事件」だ。

 これらの事件をきっかけに、政党政治は崩壊に向かう。背景には、昭和恐慌に端を発する暗い世相があった。

 政党や財閥への反感が社会に蔓延していたのだ。

 そして、36年の「二・二六事件」では軍事クーデターを企てた陸軍の青年将校らが高橋是清蔵相や斎藤実内大臣を殺害。この事件が軍部の台頭を招き、戦争への道を邁進する契機になった。

 「60年安保の時代にも、安倍氏の祖父にあたる岸信介首相がナイフで太ももを刺されたり、社会党の浅沼稲次郎委員長が日比谷公会堂で演説中に右翼少年に刺されて死亡する政治テロ事件が起きました。社会の不安や混乱がテロにつながることもあるし、要人の暗殺が社会に与える影響は大きい。重要なのは、感情的に流されないことです。第1次世界大戦も一発の銃声から始まった。こういう時こそ理性を保つことが、歴史の教訓です」(森田実氏=前出)

 社会から理性を失わせるのがテロ行為の恐ろしさでもある。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2022年07月09日  14:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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