【発表!】:2024年読者が選んだ海外10大ニュース
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【発表!】:2024年読者が選んだ海外10大ニュース
◆2024年の「海外10大ニュース」が決まりました。
【1位】トランプ氏 返り咲き
11月5日に投開票された米大統領選は、2017~21年に大統領を務めた共和党のドナルド・トランプ氏が、民主党のカマラ・ハリス副大統領に勝利した。トランプ氏は、来年1月20日に就任する。米大統領が退任後に返り咲くのは132年ぶり2人目だ。
トランプ氏は1月に始まった共和党の指名候補争いで他候補を圧倒し、3月に指名獲得を確実にした。ジョー・バイデン大統領と本選を争う構図がいったん固まったが、バイデン氏は6月のテレビ討論会で精彩を欠き、撤退に追い込まれた。ハリス氏が後継指名され、父がジャマイカ、母がインド出身の移民2世として米国初の女性大統領を目指した。
本選でトランプ氏はバイデン政権下のインフレ(物価上昇)や不法移民問題を徹底批判し、民主党の伝統的な支持基盤である黒人やヒスパニックの一部を引きはがした。ペンシルベニアなど激戦7州をすべて制し、全米538人の選挙人のうち312人を獲得した。
米大統領選と同時に行われた連邦議会選を経て、上下両院でも共和党が多数となる。「米国第一」を掲げるトランプ氏の下、米国は経済や外交の路線を大きく転換させる。世界は、どう向き合うべきか模索している。(ワシントン 淵上隆悠)
→特集・アメリカ大統領選挙は こちら
【2位】演説中に銃撃 負傷
米ペンシルベニア州バトラーで7月13日、共和党のトランプ前大統領が演説中に銃撃された。銃弾はトランプ氏の右耳上部を貫通したが、命に別条はなかった。 しゃがみ込んだトランプ氏は、大統領警護隊(シークレットサービス)の警護官に支えられながら立ち上がると、支持者に向かって「ファイト(戦え)」と叫びながら何度も拳を突き上げた。2日後に開幕した共和党大会にも姿を見せ、暗殺未遂事件に屈しない「強いリーダー」を自己演出した。党内にはトランプ氏を神格化する風潮も生まれた。
事件では、観覧席にいた男性1人が死亡、2人が重傷を負った。大統領警護隊の狙撃手は、ステージから約140メートル離れた建物の屋上から殺傷能力の高い半自動小銃でトランプ氏を狙ったトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)を射殺した。共和党支持で有権者登録していたが、過去に民主党系の組織に寄付をしていたこともわかり、動機の解明は難航している。
不手際が重なり事件を防げなかったとして、大統領警護隊の長官は引責辞任した。トランプ氏に対する暗殺未遂事件は9月にもフロリダ州のゴルフ場で起き、現場から逃げた男が拘束された。(ワシントン 淵上隆悠)
→特集・トランプ氏銃撃は こちら
【3位】通訳の水原氏 解雇
米大リーグ・ドジャースは3月20日、大谷翔平選手の通訳の水原一平氏を解雇したと明らかにした。米連邦検察は4月、違法なスポーツ賭博で作った借金を返済するため、大谷選手の預金口座から金をだまし取ったとして、水原氏を銀行詐欺容疑などで訴追した。
水原氏は大谷選手がエンゼルスに所属していた2021年以降、大谷選手の口座から無断でブックメーカー(賭け業者)に送金を続けたほか、転売目的で野球カードも購入していた。大谷選手の被害総額は1697万5010ドル(約26億円)に上った。
6月、連邦地裁に出廷した水原氏は「ギルティー(有罪です)」と罪を認め、「ギャンブルで大きな借金を抱え、彼(大谷選手)の金を使うことしか考えつかなかった」と述べた。来年1月に量刑が言い渡される。(ロサンゼルス 後藤香代)
→記事は こちら
【4位】中国 日本人児童刺殺される
中国広東省深圳市で9月18日、深圳日本人学校に歩いて登校していた日本人の男子児童(10)が、44歳の中国人の男に刃物で刺され、19日未明に死亡した。事件は約10万人に及ぶ現地の邦人社会に大きな動揺を与えた。
中国側は「偶発的な事件」と繰り返し、男の動機について説明していない。事件の背景には、愛国主義が強まり、SNSで反日的な書き込みが広がっていることもあると指摘される。事件が起きたのも満州事変のきっかけとなった「柳条湖事件」(1931年)から93年にあたる日だった。
事件を受け、中国各地にある日本人学校では警備強化が図られ、スクールバスに警備員を配置する対策も進められた。日本企業の一部が、駐在員の家族に帰国を促したり、新規派遣を停止したりするなど経済活動にも影響が出た。
中国では、6月にも江蘇省蘇州市でスクールバスを待っていた日本人母子ら3人が男に襲われ、中国人女性が死亡した。このほかにも広東省珠海市で11月、男が車を暴走させて35人が死亡、43人が負傷するなど不特定多数を狙った事件が相次ぎ、社会不安が高まった。(広州 鈴木隆弘)
→記事は こちら
【5位】台湾で地震 M7・7
台湾東部の花蓮県沖を震源とする地震が4月3日午前にあり、花蓮で最大震度6強、宜蘭県で震度5強、台北市で震度5弱などを観測した。日本の気象庁によると、震源の深さは約20キロ・メートル、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・7と推測される。日本でも沖縄県与那国町で震度4、石垣市、竹富町で震度3を観測し、与那国島で30センチの津波を記録した。
花蓮中心部ではビル数棟が大きく傾き、花蓮の有名観光地・ 太魯閣 渓谷の歩道で大規模な崩落が起きるなどした。日本人を含む旅行者らが一時、渓谷に取り残された。地震による死者は18人、外国人2人が行方不明となっている。負傷者は1150人以上に上った。(台北 園田将嗣)
→記事は こちら
【6位】北朝鮮部隊 露で戦闘
ウクライナを侵略するロシア軍に北朝鮮が援軍を派遣したことを10月、米国やウクライナ政府が確認した。露国内で訓練を受けた後、ウクライナが越境攻撃を行っている露西部クルスク州に兵士1万人以上が送り込まれた。侵略に第三国の軍隊が参加するのは初めて。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11月5日、ウクライナ軍が初めて北朝鮮軍と交戦したと発表した。多数の死傷者が出ているとみられる。北朝鮮軍には「暴風軍団」と呼ばれる特殊部隊が含まれており、現代戦の経験を積む目的があるようだ。
韓国大統領府高官によると、ロシアは11月までに北朝鮮に対空ミサイルなどを支援した。派兵の見返りとみられる。
→記事は こちら
【7位】ガザ 戦闘1年
パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム主義組織ハマスのイスラエル南部への奇襲で始まったガザでの戦闘は10月7日で1年がたったが、終結していない。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「ハマスの壊滅」と「全人質の帰還」を掲げて戦闘を続けるが、ハマスの抵抗は散発的ながら続いている。イスラエル人ら人質100人のうち36人は死亡が確認されたが、多くはガザで拘束されたままだ。
この間、ガザの住民はイスラエル軍の指示で何度も避難を余儀なくされた。今月16日時点で死者は4万4000人超、負傷者は10万人超だ。イスラエルがガザを封鎖する中で、食料や水が不足しており、未曽有の人道危機となっている。
→記事は こちら
【8位】プーチン大統領5選
3月17日開票のロシア大統領選は、現職のウラジーミル・プーチン大統領が勝利し、通算5選を決めた。投票率77・49%、得票率87・28%で、いずれもソ連崩壊後の露大統領選で最高だ。ウクライナ侵略に批判的な反政権派候補を排除するなど、異論を封殺する手法で「圧勝」を演出した。プーチン氏以外の3候補は、いずれも侵略に反対しなかった。
プーチン氏は2000年に大統領に初めて就任した。事実上、権力を握っていた首相時代を含め、およそ四半世紀の間、ロシアの指導者として君臨してきた。大統領の任期は6年。20年の憲法改正によって、次回30年の大統領選にも出馬が可能だ。今回、当選時71歳のプーチン氏は83歳まで大統領職に就く可能性がある。
→記事は こちら
【9位】スウェーデン、NATO加盟
北欧スウェーデンが、約200年にわたる非同盟政策を転換し、北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。ロシアのウクライナ侵略を受けて2022年5月に加盟を申請した。新規加盟には全加盟国の承認が必要で、スウェーデン加盟に難色を示していたトルコ議会が今年1月23日に、最後に残ったハンガリー議会も2月26日に承認した。これを受け、スウェーデンは3月7日に32番目の加盟国となった。隣国フィンランドも23年4月に加盟しており、NATOは北欧全域に拡大した。
→記事は こちら
【10位】ウクライナ 露に越境攻撃
ウクライナ軍の地上部隊が8月6日、国境を接するロシア西部クルスク州に越境攻撃した。露軍部隊の分散や、露側の領土を確保して将来的な停戦交渉で「取引材料」とする思惑があったとされ、最大で1300平方キロ・メートル超の領土を制圧したとの見方もあった。ただ、ロイター通信は11月、ウクライナ軍参謀本部関係者の話として、制圧地の約40%を露軍に奪還されたと報じた。長期の戦闘による深刻な兵士不足などが原因とみられている。
→記事は こちら
【番外】韓国で戒厳令
韓国の 尹錫悦 大統領は12月3日夜、野党が政府高官の 弾劾 訴追案提出を繰り返していることなどを理由に、政党活動を禁止し、報道機関の活動などを制限する戒厳令の一種「非常戒厳」を宣布した。非常戒厳の宣布は1979年以来、45年ぶりだった。
4日未明に国会で解除要求決議案が可決されると、宣布から約6時間後に尹氏は戒厳令を解除。国会に展開していた戒厳軍と抗議する市民が本格的に衝突する事態は回避されたが、強権的な手法に批判が集まった。
野党は尹氏の弾劾訴追案を国会に提出。7日の採決は保守系与党「国民の力」議員が集団退席して不成立となったが、14日の2回目の訴追案は一部の与党議員が賛成に回り、可決された。弾劾案の可決は 盧武鉉 、 朴槿恵 両大統領以来、3人目で、尹氏は職務停止となった。
検察や警察などの捜査機関も内乱などの容疑で戒厳令宣布を巡る捜査を行っている。
→特集・韓国「戒厳令」は こちら
【番外】シリア アサド政権崩壊
内戦が続いていたシリアのアサド政権が12月8日に崩壊した。11月27日に反体制派が大規模な反攻を開始してからわずか12日目で首都ダマスカスが制圧され、バッシャール・アサド大統領は政権の後ろ盾となってきたロシアに亡命した。
シリアでは、2011年に中東の民主化運動「アラブの春」が波及して始まった反体制デモを政権が弾圧し、内戦に発展した。
政権は、ロシアやイランの支援で軍事的優位を確立したが、ウクライナ侵略を続けるロシア、イスラエルの攻撃を受けるイランやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが余力を失ったことで支援が低下した上、内戦や制裁による経済危機で政権軍の士気も下がり、ほぼ無抵抗で反体制派の進軍を許した。
→記事は こちら
◇
11月26日の「応募の手引」掲載後の「韓国で戒厳令」と「アサド政権崩壊」については、影響の大きさを考慮し「番外」として掲載しました。
◆1~30位ニュース一覧
1位 米大統領選、トランプ氏が勝利 18,078(91.7%)
2位 トランプ氏狙った暗殺未遂事件 13,819(70.1%)
3位 大谷翔平の通訳を球団が解雇 12,086(61.3%)
4位 中国で日本人児童が刺殺される 11,303(57.3%)
5位 台湾でM7・7の地震 9,056(45.9%)
6位 北朝鮮軍部隊のロシアでの戦闘を確認 8,508(43.1%)
7位 ガザ戦闘1年、死者4万1000人超 8,324(42.2%)
8位 露大統領選でプーチン氏通算5選 7,861(39.9%)
9位 スウェーデンのNATO加盟決定 7,158(36.3%)
10位 ウクライナ軍、露西部に越境攻撃 6,806(34.5%)
11位 イラン、イスラエルを初の直接攻撃 6,613(33.5%)
12位 金正恩氏、韓国との平和統一を放棄 5,730(29.1%)
13位 イスラエル、レバノンに地上侵攻 5,535(28.1%)
14位 ロシアの反政権運動指導者が死亡 4,377(22.2%)
15位 トランプ前米大統領に有罪評決 4,323(21.9%)
16位 台湾総統選、頼清徳氏が初当選 4,069(20.6%)
17位 イスラエル、ハマス最高幹部を殺害 3,931(19.9%)
18位 仏俳優アラン・ドロンさん死去 3,825(19.4%)
19位 英国で14年ぶりに労働党政権 3,716(18.8%)
20位 米企業の無人船、月面着陸成功 3,520(17.8%)
21位 モスクワ郊外のコンサート会場で銃乱射 3,509(17.8%)
22位 米金利、4年半ぶりに利下げ 3,430(17.4%)
23位 チャールズ英国王のがん公表 3,066(15.5%)
24位 中国、月の裏側で試料採取 3,063(15.5%)
25位 中国、台湾周辺で合同軍事演習 2,901(14.7%)
26位 ノーベル物理学賞に「AIのゴッドファーザー」ら 2,474(12.5%)
27位 G7、ウクライナ支援へ露凍結資産活用で基本合意 2,436(12.4%)
28位 ノーベル文学賞に韓国女性作家 2,261(11.5%)
29位 中国、太平洋にICBM発射 2,089(10.6%)
30位 米英軍、イエメン反政府勢力の軍事拠点を攻撃 1,964(10.0%)
(数字は得票数。カッコ内は有効投票に占める割合)
◆過去5年トップ3
■2023年
〈1〉ハマスがイスラエルに大規模攻撃、イスラエルが報復
〈2〉トルコ・シリア大地震5万人超死亡
〈3〉ハワイ・マウイ島で大規模山火事
■2022年
〈1〉ロシア、ウクライナ侵略開始
〈2〉エリザベス英女王死去
〈3〉ソウル・梨泰院で雑踏事故
■2021年
〈1〉ジョー・バイデン氏が米大統領に就任
〈2〉新変異株「オミクロン株」、世界で感染拡大
〈3〉新型コロナの世界感染者が2億人超に
■2020年
〈1〉米大統領選、バイデン氏が当選確実
〈2〉WHO、新型コロナウイルスのパンデミック表明
〈3〉米国で警官に拘束された黒人男性が死亡、抗議デモ世界に
■2019年
〈1〉香港で学生らが大規模デモ
〈2〉ノートルダム大聖堂で大火災
〈3〉16歳グレタさん、国連で演説
◆10項目的中 2人
2024年の「海外10大ニュース」には11月26日~12月12日の募集期間に2万1249通の投票があり、うち有効は1万9722通でした(読売新聞オンラインの「よみぽランド」からは1万4628通)。
全49項目のうち、上位10項目を順位に関係なくすべて的中させたのは2通。2人に賞金を贈ります。また、9項目および8項目的中者の中から抽選で計100人に図書カードを贈ります。
◆投票 19歳以下16%
有効投票の年代別構成比をみると、70歳以上が30%で最も多く、60歳代の27%、50歳代の17%、19歳以下の16%などが続いた。
読売新聞社が小中高校の教職員向けに新聞記事を使った教材を配信する「読売ワークシート通信」の活用校を含め、全国57の小中高校などから計3035通の投票があった。読売中高生新聞12月27日号に10代が選んだ10大ニュースの結果を掲載予定。
※文中と写真の日付は現地時間、肩書は当時
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・2024年読者が選ぶ海外10大ニュース】 2024年12月20日 05:20:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。